(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007621
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】植物収容構造
(51)【国際特許分類】
A01G 13/00 20060101AFI20250109BHJP
A01G 20/00 20180101ALI20250109BHJP
E01C 5/20 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A01G13/00 D
A01G20/00
E01C5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109149
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】523204673
【氏名又は名称】株式会社サクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【弁理士】
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 護
【テーマコード(参考)】
2B022
2D051
【Fターム(参考)】
2B022AB02
2B022AB06
2D051AC11
2D051DA02
2D051DA16
2D051DB15
(57)【要約】
【課題】良好な歩行感や、車椅子やベビーカーのスムーズな走行が可能となる植物収容構造を提供する。
【解決手段】植物収容構造2は、匍匐植物HSを育成及び収容可能なものであり、内部空間10Kを有する枠体10と、内部空間10Kを仕切る仕切板20と、内部空間10Kに配された支持構造30と、を備える。枠体10は、X方向に延びる横板11と、Y方向に延びる縦板12とを備え、平面視、正方形状となっている。枠体10の内部空間10Kは、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23によって、複数の基準空間10Sに区画される。支持構造30は、内部空間10Xの上端に配される上端支持構造31と、内部空間10Xの下端に配される下端支持構造32と、を備える。上端支持構造31と、下端支持構造32と、は平面視円弧状となっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物又は前記植物を育成するための植栽部が収容可能な内部空間を有する枠体と、
前記内部空間を仕切る仕切板と、
前記内部空間に配された支持構造と、を備え、
前記支持構造は、
前記内部空間の上端又は下端のうち少なくとも一方に配され、
一端側は前記仕切板又は前記枠体から延び、他端側は前記仕切板又は前記枠体から延びることを特徴とする植物収容構造。
【請求項2】
前記支持構造の一端側及び他端側は、前記仕切板と前記枠体との交点、又は前記仕切板同士の交点から離れていることを特徴とする請求項1記載の植物収容構造。
【請求項3】
前記支持構造は、円弧状に形成されたことを特徴とする請求項2記載の植物収容構造。
【請求項4】
前記仕切板は、
第1仕切板と、
第2仕切板と、を備え、
前記第2仕切板は前記第1仕切板と交差するものであり、
前記支持構造は、
前記第1仕切板及び前記枠体を接続する第1枠体側支持板と、前記第2仕切板及び前記枠体を接続する第2枠体側支持板と、前記第1仕切板及び前記第2仕切板を接続する仕切板側支持板と、のうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の植物収容構造。
【請求項5】
隣り合う内部空間を仕切る前記仕切板又は前記枠体の上端には、当該内部空間同士を連通するための連通路が形成され、
前記連通路は、前記仕切板における前記支持構造との接続位置の間に位置することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の植物収容構造。
【請求項6】
前記連通路の幅方向の壁面は、前記支持構造であることを特徴とする請求項5項記載の植物収容構造。
【請求項7】
前記支持構造は、
前記内部空間の上端に配された上端支持構造と、
前記内部空間の下端に配された下端支持構造と、を備え、
前記上端支持構造と前記下端支持構造との寸法又は形状が異なることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の植物収容構造。
【請求項8】
前記内部空間の上端に配された上端支持構造と、
前記内部空間の下端に配された下端支持構造と、を備え、
前記上端支持構造と前記下端支持構造とは、それぞれ、円弧状に形成されたことを特徴とする請求項7記載の植物収容構造。
【請求項9】
前記上端支持構造と前記下端支持構造との径が異なることを特徴とする請求項8項記載の植物収容構造。
【請求項10】
前記植物がコケ植物又は地被植物であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の植物収容構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物収容構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芝生を保護するための芝生保護材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような芝生保護材は、枠体と、枠体において格子状に配された仕切り板と、を備える。そして、仕切板によって囲まれた空隙部にて芝生を育成し、人や車からの踏圧を枠体や仕切板で受けることにより、芝生に踏圧が直接伝わる事を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、都市化に伴うヒートアイランド現象は環境問題の1つである。ヒートアイランド化対策として、駐車場の緑化や工場や倉庫の敷地内の緑化が推進されている。この流れを受けて、特許文献1に記載のような芝生保護材を使用した緑化がすすめられている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の芝生保護材においては、次のような問題がある。まず、歩行者にとっては、芝生から突出する枠体を踏むこととなるため、良好な歩行感が得られにくい。また、車椅子やベビーカーが移動する際、枠体状の凸凹は、スムーズな走行を阻害することとなる。このような問題に対し、格子の目が細かくなるように仕切り板を増やすと、植物の育成が行いにくくなる。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、従来に比べて、良好な歩行感や、車椅子やベビーカーのスムーズな走行が可能となる植物収容構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の植物収容構造は、植物又は前記植物を育成するための植栽部が収容可能な内部空間を有する枠体と、前記内部空間を仕切る仕切板と、前記内部空間に配された支持構造と、を備え、前記支持構造は、前記内部空間の上端又は下端のうち少なくとも一方に配され、一端側は前記仕切板又は前記枠体から延び、他端側は前記仕切板又は前記枠体から延びることを特徴とする。
【0008】
前記支持構造の一端側及び他端側は、前記仕切板と前記枠体との交点、又は前記仕切板同士の交点から離れていることが好ましい。前記支持構造は、円弧状に形成されたことが好ましい。
【0009】
前記仕切板は、第1仕切板と、第2仕切板と、を備え、前記第2仕切板は前記第1仕切板と交差するものであり、前記支持構造は、前記第1仕切板及び前記枠体を接続する第1枠体側支持板と、前記第2仕切板及び前記枠体を接続する第2枠体側支持板と、前記第1仕切板及び前記第2仕切板を接続する仕切板側支持板と、のうち少なくとも1つを備えることが好ましい。
【0010】
隣り合う内部空間を仕切る前記仕切板又は前記枠体の上端には、当該内部空間同士を連通するための連通路が形成され、前記連通路は、前記仕切板における前記支持構造との接続位置の間に位置することが好ましい。また、前記連通路の幅方向の壁面は、前記支持構造であることが好ましい。
【0011】
前記支持構造は、前記内部空間の上端に配された上端支持構造と、前記内部空間の下端に配された下端支持構造と、を備え、前記上端支持構造と前記下端支持構造との寸法又は形状が異なることが好ましい。また、前記内部空間の上端に配された上端支持構造と、前記内部空間の下端に配された下端支持構造と、を備え、前記上端支持構造と前記下端支持構造とは、それぞれ、円弧状に形成されたことが好ましい。さらに、前記上端支持構造と前記下端支持構造との径が異なることが好ましい。
【0012】
前記植物がコケ植物又は地被植物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、良好な歩行感や、車椅子やベビーカーのスムーズな走行が可能となる植物収容構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)は、植物収容構造の概要を説明する平面図である。(B)は、植物収容構造概要を説明する底面図である。
【
図2】植物収容構造の概要を説明する拡大図(平面視)である。
【
図3】植物収容構造の概要を説明する拡大図(底面視)である。
【
図4】(A)は、横仕切板の概要を説明するIVa-IVa’線断面図である。(B)は、縦仕切板の概要を説明するIVb-IVb’線断面図である。である。
【
図5】斜仕切板の概要を説明するV-V’線断面図である。
【
図6】(A)は、横板の概要を説明する正面図である。(B)は、縦板の概要を説明する正面図である。
【
図7】植物収容構造の概要を説明する斜視図である。
【
図8】植物収容構造の概要を説明する分解斜視図である。
【
図9】(A)及び(B)は、仕切板側上端支持板の変形例の概要を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、植物収容構造2は、匍匐植物を育成及び収容可能なものであり、内部空間10Kを有する枠体10と、内部空間10Kを仕切る仕切板20と、内部空間10Kに配された支持構造30と、を備える。枠体10と、仕切板20と支持構造30とは一体に形成されることが好ましい。
【0016】
以降、説明の便宜上、水平面における任意の方向をX方向とし、水平面においてX方向に直交する方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。
【0017】
枠体10は、X方向に延びる2つの横板11と、Y方向に延びる2つの縦板12とを備える。横板11及び縦板12は、Z方向に向かって起立するように配される。2つの横板11は、Y方向に並び互いに平行となっている。2つの縦板12は、X方向に並び互いに平行となっている。横板11の端部と縦板12の端部が連結することで、枠体10は、、平面視、正方形状となる。
【0018】
図2~3に示すように、仕切板20は、Z方向に向かって起立するように配されるものであり、X方向に延びる複数の横仕切板21(第1仕切板)と、Y方向に延びる複数の縦仕切板22(第2仕切板)と、X方向に対して斜めに延びる斜仕切板23(第3仕切板)と、を備える。
【0019】
複数の横仕切板21は、Y方向に所定間隔で並ぶ。複数の縦仕切板22は、X方向に所定間隔で並ぶ。それぞれの横仕切板21と縦仕切板22とは直交するため、格子状に配される。斜仕切板23は、横仕切板21と縦仕切板22とによって形成される交点を結ぶ。本実施形態では、1組の横仕切板21と1組の縦仕切板22とによって囲まれる部分(後述の基準空間)は平面視正方形であり、斜仕切板23は、その正方形の対角線上に配される。
【0020】
枠体10の内部空間10Kは、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23によって、複数の基準空間10Sに区画される。
図4~5に示すように、基準空間10Sにおいて、Z方向中央部には、匍匐植物HSを育成するための植栽部HBが収容され、植栽部HBの上面部及び下面部には、それぞれ、匍匐植物HSが植栽される。
【0021】
植栽部HBは、匍匐植物HSを生育させるための植栽基盤であって、植物収容構造2の内部空間10KにおいてZ方向の中間部に収容されるものである。植栽部HBは、均等の厚みとなるように載置された土壌である。ここで、この植栽部HBとしては、匍匐植物HSを生育可能な限り任意のものを用いる事が出来るが、本実施の形態においては、多孔質の火山砂利を主要骨材として構成する客土材を用いるものとして説明する。なお、この客土材は、シルトや粘土といった細粒分を含まず、多孔質な礫砂で構成されており、保水性および排水性に優れる。また、イネ科の植物を植栽部HBに育て、イネ科の植物の根が十分に植栽部HBにいきわたったところで、イネ科の植物の地上部を切り取ってもよい。植栽部HBに残った根は、植栽部HBを一体化させる機能を果たす。
【0022】
匍匐植物HSは、植栽部HBに根を生やし、植物収容構造2の内部空間10Kに収容されるように植栽されている。本実施形態では、植物収容構造2の内部空間10Kにおいて、匍匐植物HSは、植栽部HBの上面及び下面にそれぞれ植栽される。匍匐植物HSとしては、コケ植物(例えば、ハイゴケ、シノブゴケやスナゴケ等)がある。コケ植物は、他の植物に比べ、背が高くなりにくく、水分や日光を必要としない。このため、匍匐植物HSとして、コケ植物を用いることにより、壁面、屋上、屋根や日陰等における緑地化を行いやすくなる。また、コケ植物には、多様な特性(強光性、耐陰性、耐乾燥性、耐薬品性、耐病虫害性など)を有する品種があり、これらを混植して育成することが可能である。ゆえに、所定の環境で、当該環境に適した種類が優先する育ち方をするので、全滅を回避しやすくなる。なお、コケ植物の茎葉体には上に伸びるように立ち上がってほとんど分枝しない直立性タイプと、這ってよく分枝する匍匐性タイプがあるが、いずれも適用可能である。
【0023】
図4~6に示すように、横板11、縦板12、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23のZ方向における長さ(高さH1)は、それぞれ、等しい。なお、横板11及び縦板12の高さは、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23の高さよりも高くてもよい。また、横板11、縦板12、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23の厚みは、Z方向において、一方側から他方側に向かって漸減していることが好ましい。高さH1は、枠体10にて育成する植物に応じて決定すればよいが、コケ植物が主体であれば、例えば、20mm以上60mm以下であることが好ましく、30mm以上50mm以下であることがより好ましい。
【0024】
図2、6に示すように、枠体10を構成する横板11及び縦板12のZ方向における上端には、上端枠切り欠き10TWが形成される。
図3、6に示すように、枠体10を構成する横板11及び縦板12のZ方向における下端には、下端枠切り欠き10UWが形成される。上端枠切り欠き10TW及び下端枠切り欠き10UWは、自身が形成される板の長さ方向において所定間隔だけ離れて並ぶように形成される。図示するように、上端枠切り欠き10TW及び下端枠切り欠き10UWは、横板11又は縦板12と各仕切板21~23との交点の間に位置することが好ましい。
【0025】
図2、4、5に示すように、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23のZ方向における上端には、上端仕切板切り欠き20TWが、自身が形成される板の長さ方向において所定間隔だけ離れて並ぶように形成される。
図3~5に示すように、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23のZ方向における下端には、下端仕切板切り欠き20UWが、自身が形成される板の長さ方向において所定間隔だけ離れて並ぶように形成される。図示するように、上端枠切り欠き20TW及び下端枠切り欠き20UWは、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23の交点の間に位置することが好ましい。
【0026】
図2~3に示すように、各切り欠き(上端枠切り欠き10TW、下端枠切り欠き10UW、上端仕切板切り欠き20TW及び下端仕切板切り欠き20UW)は、隣り合う基準空間10Sを連通する連通路として機能する。この連通路により、匍匐植物HSは、隣り合う基準空間10Sに対し生長することができる。本実施形態においては、上端側の切り欠き10TW、20TWの形状は、正面視において、下辺が上辺よりも短い台形状であり、下端側の切り欠き10UW、20UWの形状は、正面視において、下辺が上辺よりも長い台形状である。なお、上端側の切り欠き10TW、20TWと、下端側の切り欠き10UW、20UWとの形状は、XY面を基準に対象となっているが、本発明はこれに限られない。上端側の切り欠き10TW、20TWや、下端側の切り欠き10UW、20UWの形状は、正面視、V字状、U字状、コ字状等でもよい。
【0027】
上端枠切り欠き10TWの幅WT1は、下端枠切り欠き10UWの幅WU1と等しい。また、上端枠切り欠き10TWの深さDT1は、下端枠切り欠き10UWの深さDU1と等しい。なお、上端枠切り欠き10TWの幅WT1は、下端枠切り欠き10UWの幅WU1と異なっていてもよい。また、上端枠切り欠き10TWの深さDT1は、下端枠切り欠き10UWの深さDU1と異なっていてもよい。
【0028】
横仕切板21及び縦仕切板22において、上端仕切板切り欠き20TWの幅WT2は、下端仕切板切り欠き20UWの幅WU2と等しい。また、幅WT2は、幅WT1と等しい。同様に、幅WU2は、幅WU1と等しいことが好ましい。また、上端枠切り欠き20TWの深さDT2は、下端枠切り欠き20UWの深さDU2と等しい。そして、深さDT2は、深さDT1と等しいことが好ましく、深さDU2は、深さDU1と等しいことが好ましい。
【0029】
なお、横仕切板21及び縦仕切板22において、上端仕切板切り欠き20TWの幅WT2は、下端仕切板切り欠き20UWの幅WU2と異なっていてもよい。同様に、上端枠切り欠き20TWの深さDT2は、下端枠切り欠き20UWの深さDU2と異なっていてもよい。
【0030】
また、斜仕切板23において、上端仕切板切り欠き20TWの幅WT3は、下端仕切板切り欠き20UWの幅WU3と等しい。また、上端枠切り欠き20TWの深さDT3は、下端枠切り欠き20UWの深さDU3と等しい。上端仕切板切り欠き20TWの幅WT3は、X方向側面視又はY方向側面視において、横仕切板21及び縦仕切板22の上端仕切板切り欠き20TWの幅WT2と等しい又はそれよりも大きいことが好ましい。また、下端仕切板切り欠き20UWの幅WU3は、X方向側面視又はY方向側面視において、横仕切板21及び縦仕切板22の下端仕切板切り欠き20UWの幅WU2と等しい又はそれよりも大きいことが好ましい。また、深さDT3は、深さDT2と等しいことが好ましく、深さDU3は、深さDU2と等しいことが好ましい。
【0031】
なお、斜仕切板23において、上端仕切板切り欠き20TWの幅WT3は、下端仕切板切り欠き20UWの幅WU3と異なっていてもよい。また、上端枠切り欠き20TWの深さDT3は、下端枠切り欠き20UWの深さDU3と異なっていてもよい。
【0032】
また、斜仕切板23の上端仕切板切り欠き20TWや下端仕切板切り欠き20UWをXZ平面またはYZ平面の投影した場合、投影部分が、横仕切板21又は縦仕切板22の上端仕切板切り欠き20TWや下端仕切板切り欠き20UWに含まれることが好ましい。
【0033】
支持構造30は、Z方向において、内部空間10Xの上端に配される上端支持構造31(
図2)と、内部空間10Xの下端に配される下端支持構造32(
図3)と、を備える。
【0034】
図2に示すように、上端支持構造31は、XY平面上に形成されるものであり、横仕切板21及び縦板12を接続する横枠体側上端支持板31A(第1枠体側支持板)と、縦仕切板22及び横板11を接続する縦枠体側上端支持板31B(第2枠体側支持板)と、横仕切板21及び縦仕切板22を接続する仕切板側上端支持板31C(仕切板側支持板)と、横板11及び縦板12を接続する枠体側上端支持板31Dと、を備える。各支持板31A~31Dは、斜仕切板23の上端を貫通する。
【0035】
図2に示すように、横枠体側上端支持板31Aの一端側は、縦板12のうち、横仕切板21及び縦板12の横枠交点P10から離れた離隔位置Q11に設定され、他端側は、横仕切板21のうち横枠交点P10から離れた離隔位置Q12に設定される。同様に、縦枠体側上端支持板31Bの一端側は、横板11のうち、縦仕切板22及び横板11の縦枠交点P20から離れた離隔位置Q21に設定され、他端側は、縦仕切板22のうち縦枠交点P20から離れた離隔位置Q22に設定される。同様に、仕切板側上端支持板31Cの一端側は、縦仕切板22のうち縦仕切板22及び横仕切板21の縦横枠交点P30から離れた離隔位置Q31に設定され、他端側は、横仕切板21のうち縦横交点P30から離れた離隔位置Q32に設定される。また、枠体側上端支持板31Dの一端側は、横板11のうち枠体10の角部10Rから離れた離隔位置Q41に設定され、枠体側上端支持板31Dの他端側は、縦板12のうち枠体10の角部10Rから離れた離隔位置Q42に設定される。
【0036】
図3に示すように、下端支持構造32は、XY平面上に形成されるものであり、横仕切板21及び縦板12を接続する横枠体側下端支持板32A(第1枠体側支持板)と、縦仕切板22及び横板11を接続する縦枠体側下端支持板32B(第2枠体側支持板)と、横仕切板21及び縦仕切板22を接続する仕切板側下端支持板32C(仕切板側支持板)と、横板11及び縦板12を接続する枠体側下端支持板32Dと、を備える。
【0037】
図3に示すように、横枠体側下端支持板32Aの一端側は、縦板12のうち横仕切板21及び縦板12の横枠交点P10から離れた離隔位置Q11に設定され、他端側は、横仕切板21のうち横枠交点P10から離れた離隔位置Q12に設定される。同様に、縦枠体側下端支持板32Bの一端側は、横板11のうち縦仕切板22及び横板11の縦枠交点P20から離れた離隔位置Q21に設定され、他端側は、縦仕切板22のうち縦枠交点P20から離れた離隔位置Q22に設定される。同様に、仕切板側下端支持板32Cの一端側は、縦仕切板22のうち縦仕切板22及び横仕切板21の縦横枠交点P30から離れた離隔位置Q31に設定され、他端側は、横仕切板21のうち縦横交点P30から離れた離隔位置Q32に設定される。枠体側下端支持板32Dの一端側は、横板11のうち枠体10の角部10Rから離れた離隔位置Q41に設定され、枠体側上端支持板31Dの他端側は、縦板12のうち枠体10の角部10Rから離れた離隔位置Q42に設定される。
【0038】
図2に示すように、上端支持構造31となる各支持構造31A~31Dは、それぞれ、円弧状に形成され、各内径R1a及び外径R1bは、それぞれ等しいことが好ましい。
図3に示すように、下端支持構造32となる各支持構造32A~32Dは、それぞれ、円弧状に形成され、各内径R2a及び外径R2bは、それぞれ等しいことが好ましい。上端支持構造31や下端支持構造32を円弧状にすることにより、匍匐植物HSが外部空間に露出する面積を広しつつ、植物収容構造2を通過する移動体(人の足、車椅子やベビーカー等)を支持することが可能となる。
【0039】
ここで、上端支持構造31や下端支持構造32の外径(R1b、R2b)を大きくすることにより、ヒールのように設置面積が比較的小さな履物であってもスムーズな歩行を行うことができる。このため、上端支持構造31の内径R1a及び外径R1bと、下端支持構造32の内径R2a及び外径R2bとは、異なることが好ましい。これにより、植物収容構造2を通過する移動体の重量や、移動時の擦れの大きさに応じて、植物収容構造2の設置方向として、上面(上端支持構造31)と枠体10の下面(下端支持構造32)とのいずれを適宜選択することができる。
【0040】
上端支持構造31や下端支持構造32において、外径(R1b、R2b)と内径や内径(R1a、R2a)の差を大きくすることにより、各支持構造31,32の強度が増す一方、匍匐植物HSの外部に露出する面積は小さくなる。また、外径(R1b、R2b)と内径や内径(R1a、R2a)を小さくすることにより、各支持構造31,32の強度は小さくなる一方、匍匐植物HSの外部に露出する面積は広くなる。このため、植物収容構造2を通過する移動体の重量や、移動時の擦れの大きさに応じて、植物収容構造2の設置方向として、上面(上端支持構造31)と枠体10の下面(下端支持構造32)とのいずれを適宜選択すればよい。
【0041】
図2~3に示すように、横板11における上端枠切り欠き10TW及び下端枠切り欠き10UWは、離隔位置Q41と離隔位置Q21との間、及び離隔位置Q21と離隔位置Q21との間に形成されることが好ましい。縦板12における上端枠切り欠き10TW及び下端枠切り欠き10UWは、離隔位置Q42と離隔位置Q11との間、及び離隔位置Q11と離隔位置Q11との間に形成されることが好ましい。同様に、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23における上端枠切り欠き20TW及び下端枠切り欠き20UWは、離隔位置Q12と離隔位置Q32との間、及び離隔位置Q32と離隔位置Q32との間に形成されることが好ましい。
【0042】
なお、ここで、平面視において(XY平面において)、縦板12及び横板11、斜仕切板23の上端に形成される各切欠部の幅方向の壁面は、上端支持構造31であることが好ましい。また、縦板12及び横板11、斜仕切板23の下端に形成される各切欠部の幅方向の壁面は、下端支持構造32であることが好ましい。
【0043】
図4、5に示すように、上端支持構造31の上端は、枠体10(横板11や縦板11)の上端10Tに対して面一であることが好ましい。また、下端支持構造32の下端は、枠体10(横板11や縦板11)の下端10Uに対して面一であることが好ましい。なお、上端支持構造31の上端は、枠体10(横板11や縦板11)の上端10Tに対して突出していてもよい。また、下端支持構造32の下端は、枠体10(横板11や縦板11)の下端10Uに対して突出していてもよい。
【0044】
また、
図7~8に示すように、植物収容構造2は、枠体10の下方に配された蓋部材60を備えていてもよい。なお、図が煩雑になるため、
図7~8において、支持構造30、斜仕切板23や仕切板20に形成される切欠部の図示は省略している。
【0045】
蓋部材60は、枠体10よりも下方に配され、内部空間10Kを下方側から塞ぐ。蓋部材60は、正方形状の底板部61と、底板部61の4辺から起立する側板部62と、を備える。蓋部材60は、透水性及び通気性の確保のほか、枠体10の沈み込み防止と枠体10の収容物(植栽部HB等)の流亡を防止する役割がある。蓋部材60は、対候性を有することが好ましい。
【0046】
底板部61を枠体10の下端部に当接すると、4枚の側板部62の内面は、枠体10の外面に嵌る。一方、底板部61を枠体10の下端部から離すと、4枚の側板部62は、枠体10から外れる。このようにして、蓋部材60は、枠体10の下端部に対し、着脱自在となっている。底板部61には、所定の寸法の孔61Xが形成される。孔61Xは、匍匐植物HSの育成に必要な空気や水の通り道となる。
【0047】
次に、植物収容構造2の使用方法について説明する。
【0048】
まず、
図8に示すように、枠体10の内部空間10Kに仕切板20を収容する。枠体10の内部空間10Kは、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23によって、複数の基準空間10Sに区画される(
図1~3)。それぞれの基準空間10Sにおいて、Z方向中央部には、匍匐植物HSを育成するための植栽部HBが収容され、植栽部HBの上面部及び下面部には、それぞれ、匍匐植物HSが植栽される。
【0049】
蓋部材60を用いて、枠体10の内部空間10Kを上方側及び下方側のいずれか一方から塞ぐ。この状態で、匍匐植物HSの育成を行う。育成中は、枠体10に対し蓋部材60を取り付ける位置を適宜交換して、植栽部HBの上面部及び下面部に植栽された匍匐植物HSを育成してもよい。匍匐植物HSが十分に育成した後は、所定の場所に植物収容構造2を設置する。設置の方法は、吹付工法等、公知のものを利用することができる。
【0050】
植物収容構造2によれば、内部空間10Kの上端又は下端に配された支持構造30を備えるため、匍匐植物HS等の植物の育成とともに、良好な歩行感や、車椅子やベビーカーのスムーズな走行が可能となる。植物収容構造2によれば、屋上緑化、駐車場緑化や工場や倉庫の敷地内等に適用可能である。また、植物収容構造2を壁面に設置した場合には、植物収容構造2に人が寄りかかった場合や、ボールがぶつかった場合であっても、支持構造30が外部からの衝撃をうけ、匍匐植物HS等のダメージを軽減することが可能となる。さらに、植物収容構造2を壁面に設置した場合には、支持構造30が、収容された植物が植物収容構造2から脱落することを防ぐ。
【0051】
上記実施形態では、横仕切板21と縦仕切板22とは直交したが、本発明はこれに限られず、横仕切板21と縦仕切板22とは斜めに交差してもよい。また、上記実施形態では、斜仕切板23と横仕切板21との交差角度と、斜仕切板23と縦仕切板22との交差角度と、はそれぞれ45度であったが、本発明はこれに限られず、45度より大きくてもよし、45度より小さくてもよい。
【0052】
上記実施形態では、横仕切板21と縦仕切板22とによって囲まれる基準空間は、平面視正方形であったが、本発明はこれに限られず、平面視長方形でもよい。
【0053】
上記実施形態では、斜仕切板23を設けたが、本発明はこれに限られず、斜仕切板23を省略してもよい。
【0054】
上記実施形態では、上端支持構造31となる各支持構造31A~31Dは、内径及び外径が等しい円弧状であったが、本発明はこれに限られず、各支持構造31A~31D同士の内径及び外径が異なっていてもよい。同様に、下端支持構造32となる各支持構造32A~32Dは、内径及び外径が等しい円弧状であったが、本発明はこれに限られず、各支持構造32A~32D同士の内径及び外径が異なっていてもよい。
【0055】
上記実施形態では、上端支持構造31及び下端支持構造32は円弧状としたが、楕円弧状でもよいし、その他の曲線状でもよいしい、直線状でもよい(
図9(A))。また、用途に応じては、上端支持構造31や下端支持構造32のうち少なくとも一方を円板状(内径R1a=0、R2a=0)としてもよい(
図9(B))。
【0056】
なお、上端支持構造31や下端支持構造32は、横仕切板21同士を接続する横同士支持板や縦仕切板22同士を接続する縦同士支持板を備えていてもよい。
【0057】
上記実施形態では、横板11、縦板12、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23における切欠部の寸法及び形状をXY平面において対象としたが、本発明はこれに限られず、一定であってもよい。上端に形成される切欠部と下端に形成される切欠部とを異なる寸法にする、又は、異なる形状にしてもよい。
【0058】
上記実施形態では、横板11、縦板12、横仕切板21、縦仕切板22及び斜仕切板23の厚みは、Z方向において、一方側から多方側に向かって漸減しているとししたが、本発明はこれに限られず、一定であってもよい。
【0059】
上記実施形態では、匍匐植物HSの育成中、枠体10に対し蓋部材60を取り付ける位置を適宜交換したが、本発明はこれに限られず、枠体10の上面及び下面の両方に対し蓋部材60を取り付け、植栽部HBの上面部及び下面部に植栽された匍匐植物HSを育成してもよい。植栽部HBの上面部及び下面部に植栽された匍匐植物HSを育成する際は、枠体10のZ方向が水平になるように起立させてもよいし、枠体10のZ方向が垂直になるように伏臥させてもよい。
【0060】
上記実施形態では、匍匐植物HSとしてコケ植物を用いたが、本発明はこれに限られず、グランドカバーに適用される地被植物も適用可能である。地被植物としては、日本芝(ノシバ、コウライシバなど)、ヒメイワダレソウ、ダイカンドラ、などがある。この場合の枠体10の高さH1として、植物の種類に応じて適宜決めればよいが、例えば、60mm以上110mm以下であることが好ましく、70mm以上100mm以下であることがより好ましい。
【0061】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
2 植物収容構造
10 枠体
10TW 枠切り欠き
10TW 切り欠き
10S 基準空間
10U 下端
10X 内部空間
11 横板
12 縦板
20 仕切板
21 横仕切板
22 縦仕切板
23 斜仕切板
30 支持構造
31 上端支持構造
31A 横枠体側上端支持板
31B 縦枠体側上端支持板
31C 仕切板側上端支持板
31D 枠体側上端支持板
32 下端支持構造
32A 横枠体側下端支持板
32B 縦枠体側下端支持板
32C 仕切板側下端支持板
32D 枠体側下端支持板
60 蓋部材
61 底板部
61X 孔
62 側板部