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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007626
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】蓄電セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20250109BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20250109BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250109BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20250109BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20250109BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20250109BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20250109BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20250109BHJP
   H01M 50/466 20210101ALI20250109BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20250109BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20250109BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/0566
H01M10/052
H01M10/0583
H01M50/46
H01M50/489
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/466
H01M50/434
H01M50/451
H01M4/13
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109155
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和仁
(72)【発明者】
【氏名】後藤 孝章
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 正宜
(72)【発明者】
【氏名】船戸 峰洋
(72)【発明者】
【氏名】金子 剛
(72)【発明者】
【氏名】横井 友香
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H021AA06
5H021EE02
5H021EE05
5H021EE10
5H021EE11
5H021EE21
5H021EE22
5H021HH03
5H028AA05
5H028CC08
5H028CC15
5H028HH05
5H029AJ03
5H029AK03
5H029BJ12
5H029BJ15
5H029HJ04
5H050AA13
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB11
(57)【要約】
【課題】電解液の保持量のムラを軽減すること。
【解決手段】蓄電セルは、ケース、電解液および電極体を含む。ケースは、電解液および電極体を収納している。電極体は、第1電極、第2電極、セパレータおよび介在膜を含む。第1電極および第2電極は、交互に積層されている。セパレータは、第1電極を第2電極から分離している。介在膜は、第1電極とセパレータとの間に介在している。第1電極および第2電極の積層方向と直交する平面において、介在膜は、第1領域および第2領域を含む。第1領域は、平面における介在膜の中心を含む。第2領域は、第1領域の周囲を取り囲んでいる。介在膜は式(1)「T2<T1」の関係を満たす。T1は、第1領域における介在膜の厚さを示す。T2は、第2領域における介在膜の厚さを示す。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース、電解液および電極体を含み、
前記ケースは、前記電解液および前記電極体を収納しており、
前記電極体は、第1電極、第2電極、セパレータおよび介在膜を含み、
前記第1電極および前記第2電極は、交互に積層されており、
前記セパレータは、前記第1電極を前記第2電極から分離しており、
前記介在膜は、前記第1電極と前記セパレータとの間に介在しており、
前記第1電極および前記第2電極の積層方向と直交する平面において、
前記介在膜は、第1領域および第2領域を含み、
前記第1領域は、前記平面における前記介在膜の中心を含み、
前記第2領域は、前記第1領域の周囲を取り囲んでおり、
前記介在膜は、式(1):
T2<T1 (1)
の関係を満たし、
前記式(1)中、
T1は、前記第1領域における前記介在膜の厚さを示し、かつ
T2は、前記第2領域における前記介在膜の厚さを示す、
蓄電セル。
【請求項2】
高さ方向、幅方向および厚さ方向を有し、
前記高さ方向、前記幅方向および前記厚さ方向は、互いに直交し、
前記厚さ方向は、前記積層方向と平行であり、
前記積層方向と直交する前記平面において、
前記第1領域は、前記幅方向に延びており、
前記第2領域は、第3領域および第4領域を含み、
前記高さ方向において、前記第1領域は、前記第3領域と前記第4領域との間に配置されており、
前記介在膜は、式(2):
T3<T4 (2)
の関係をさらに満たし、
前記式(2)中、
T3は、前記第3領域における前記介在膜の厚さを示し、かつ
T4は、前記第4領域における前記介在膜の厚さを示す、
請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項3】
前記介在膜は、式(3)および(4):
10μm≦T1≦20μm (3)
T3≦3μm (4)
の関係をさらに満たす、
請求項2に記載の蓄電セル。
【請求項4】
前記介在膜は、前記第1電極および前記セパレータの少なくとも一方の表面に形成されており、
前記介在膜は、多孔質であり、かつ
前記介在膜は、無機粒子およびバインダを含む、
請求項2に記載の蓄電セル。
【請求項5】
前記セパレータは、つづら折り部を含み、
前記つづら折り部においては、前記セパレータがつづら折り状に折り畳まれており、
前記高さ方向の両端において、前記セパレータが折り返されており、かつ
前記セパレータは、前記第1電極または前記第2電極を交互に挟むように、折り返されている、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の蓄電セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電セルに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-079661号公報は、積層電極体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-079661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電セルは、ケース、電解液および電極体を含み得る。ケースは、電解液および電極体を収納する。電極体は「積層型」および「巻回型」に大別され得る。巻回型は、帯状の電極群が渦巻き状に巻回されることにより形成され得る。積層型は、電極群が一方向に積み上げられることにより形成され得る。
【0005】
電極体は、セパレータを含む。セパレータは、電極間に配置される。セパレータは多孔質である。セパレータに電解液が浸透することにより、電極間の隙間に電解液が保持され得る。
【0006】
電極体から電解液が漏出することもある。積層型においては、積層方向と直交する方向の全周で、電極間の隙間が開口している。例えば、積層方向が鉛直方向と直交する時、重力の作用により、電解液が鉛直下方に移動し得る。鉛直下方において、開口した隙間から電解液が漏出し得る。電解液の漏出により、積層方向と直交する平面内において、電解液の保持量にムラが生じると考えられる。
【0007】
本開示の目的は、電解液の保持量のムラを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1.本開示の一局面における蓄電セルは、次の構成を含む。蓄電セルは、ケース、電解液および電極体を含む。ケースは、電解液および電極体を収納している。電極体は、第1電極、第2電極、セパレータおよび介在膜を含む。第1電極および第2電極は、交互に積層されている。セパレータは、第1電極を第2電極から分離している。介在膜は、第1電極とセパレータとの間に介在している。第1電極および第2電極の積層方向と直交する平面において、介在膜は、第1領域および第2領域を含む。第1領域は、同平面における介在膜の中心を含む。第2領域は、第1領域の周囲を取り囲んでいる。介在膜は下記式(1)の関係を満たす。
T2<T1 (1)
T1は、第1領域における介在膜の厚さを示す。T2は、第2領域における介在膜の厚さを示す。
【0009】
本開示の一局面においては、電極体が、電極およびセパレータに加えて、介在膜を含む。介在膜は、特定の厚さ分布を有する。すなわち介在膜の第1領域(中央)は、周囲に比して厚い。第1領域の周辺の電解液は、第1領域により移動を阻害され得る。電解液の移動が阻害されることにより、電解液の保持量のムラが軽減することが期待される。
【0010】
2.上記「1」に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。蓄電セルは、高さ方向、幅方向および厚さ方向を有する。高さ方向、幅方向および厚さ方向は、互いに直交する。厚さ方向は、積層方向と平行である。積層方向と直交する平面において、第1領域は、幅方向に延びている。第2領域は、第3領域および第4領域を含む。高さ方向において、第1領域は、第3領域と第4領域との間に配置されている。
介在膜は下記式(2)の関係をさらに満たす。
T3<T4 (2)
T3は、第3領域における介在膜の厚さを示す。T4は、第4領域における介在膜の厚さを示す。
【0011】
第1領域が幅方向に延びることにより、広範囲にわたって、電解液の移動が阻害され得る。さらに、高さ方向において、第1領域(厚肉部)の片側に、第3領域(薄肉部)があることにより、第3領域に電解液が貯留することが期待される。これらの作用の相乗により、電解液の保持量のムラが軽減することが期待される。
【0012】
3.上記「2」に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。介在膜は、下記式(3)および(4)の関係をさらに満たす。
10μm≦T1≦20μm (3)
T3≦3μm (4)
【0013】
4.上記「1」から「3」のいずれか1項に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。介在膜は、第1電極およびセパレータの少なくとも一方の表面に形成されている。介在膜は、多孔質である。介在膜は、無機粒子およびバインダを含む。
【0014】
5.上記「2」から「4」のいずれか1項に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。セパレータは、つづら折り部を含む。つづら折り部においては、セパレータがつづら折り状に折り畳まれている。高さ方向の両端において、セパレータが折り返されている。セパレータは、第1電極または第2電極を交互に挟むように、折り返されている。
【0015】
以下、本開示の実施形態(以下「本実施形態」と略記され得る。)が説明される。ただし本実施形態は、本開示の技術的範囲を限定しない。本実施形態は、全ての点で例示である。本実施形態は非制限的である。本開示の技術的範囲は、請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内における全ての変更を包含する。例えば、本実施形態から任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも当初から予定されている。
【0016】
幾何学的な用語は、厳密な意味に解されるべきではない。幾何学的な用語としては、例えば、「平行」、「垂直」、「直交」等が例示される。例えば「平行」は、厳密な意味での「平行」から多少ずれていてもよい。幾何学的な用語は、例えば、設計上、作業上、製造上等の公差、誤差等を含み得る。各図中の寸法関係は、実際の寸法関係と一致しない場合がある。読者の理解を助けるために、各図中の寸法関係が変更されている場合がある。例えば、長さ、幅、厚さ等が変更されている場合がある。さらに一部の構成が省略されている場合もある。
【0017】
「mからn%」等の数値範囲は、特に断りのない限り、両端を含む。すなわち「mからn%」は、「m%以上n%以下」の数値範囲を示す。「m%以上n%以下」は「m%超n%未満」を含む。「以上」および「以下」は、等号付き不等号「≦」によって表される。「超」および「未満」は、等号を含まない不等号「<」によって表される。数値範囲内から任意に選択された数値が、新たな上限値または下限値とされてもよい。例えば、数値範囲内の数値と、本明細書中の別の部分、表中、図中等に記載された数値とが任意に組み合わされることにより、新たな数値範囲が設定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態における蓄電セルの一例を示す概略斜視図である。
図2】本実施形態における蓄電セルの一例を示す概略断面図である。
図3】本実施形態における電極体の一例を示す断面図である。
図4】介在膜の一例を示す概略平面図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6図4のB-B断面図である。
図7図4のC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.蓄電セル
図1は、本実施形態における蓄電セルの一例を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態における蓄電セルの一例を示す概略断面図である。蓄電セル1は、例えば、高さ方向、幅方向、および、厚さ方向を有していてもよい。高さ方向、幅方向、および、厚さ方向は、互いに直交する。「高さ方向」は、図1等のH方向である。「幅方向」は、図1等のW方向である。「厚さ方向」は、図1等のD方向である。高さ方向は、例えば、鉛直方向と平行であってもよい。幅方向および厚さ方向は、例えば、水平方向と平行であってもよい。「高さ」は、高さ方向における寸法を示す。「幅」は、幅方向における寸法を示す。「厚さ」は、厚さ方向における寸法、または、対象物の厚さを示す。
【0020】
蓄電セル1は、ケース200、電解液(不図示)、および、電極体100を含む。電解液は、液体電解質である。電解液は、例えば、有機溶媒およびリチウム塩等を含んでいてもよい。
【0021】
2.電極体
電極体100は、例えば、直方体状の外形を有していてもよい。「第1アスペクト比」は、電極体100における、高さに対する幅の比を示す。第1アスペクト比は、例えば、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上、3以上、5以上、または、10以上のいずれでもよい。第1アスペクト比は、例えば、10以下、5以下、3以下、2.5以下、2以下、または、1.5以下のいずれでもよい。「第2アスペクト比」は、電極体100における、高さに対する厚さの比を示す。第2アスペクト比は、例えば、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.5以上、または、1以上のいずれでもよい。第2アスペクト比は、例えば、1以下、0.5以下、0.3以下、または、0.2以下のいずれでもよい。
【0022】
2-1.第1電極、第2電極
図3は、本実施形態における電極体の一例を示す断面図である。電極体100は、1枚以上の第1電極110、1枚以上の第2電極120、1枚以上のセパレータ130、および、介在膜140を含む。厚さ方向において、第1電極110および第2電極120は、交互に積層されている。すなわち、厚さ方向は、第1電極110および第2電極120の積層方向と平行である。第1電極110および第2電極120の枚数は、それぞれ、2枚以上、5枚以上、10枚以上、50枚以上、または、100枚以上のいずれでもよい。第1電極110および第2電極120の枚数は、それぞれ、200枚以下、100枚以下、50枚以下、10枚以下、または、5枚以下のいずれでもよい。
【0023】
第2電極120は、第1電極110と異なる極性を有する。例えば、第1電極110が正極であり、かつ第2電極120が負極であってもよい。例えば、第1電極110が負極であり、かつ第2電極120が正極であってもよい。
【0024】
第1電極110は、例えば、第1集電体112および第1活物質層114を含んでいてもよい。第1集電体112は、例えば、金属箔等を含んでいてもよい。金属箔は、例えば、Al、Cu、Ni、Ti、Fe等を含んでいてもよい。第1活物質層114は、第1集電体112の表面に配置されている。第1活物質層114は、第1集電体112の片面のみに配置されていてもよい。第1活物質層114は、第1集電体112の両面に配置されていてもよい。第1活物質層114は、正極活物質または負極活物質を含む。正極活物質は、例えば、リチウムニッケル複合酸化物等を含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛、SiO、Si等を含んでいてもよい。
【0025】
第2電極120は、例えば、第2集電体122および第2活物質層124を含んでいてもよい。第2集電体122は、例えば、金属箔等を含んでいてもよい。第2活物質層124は、第2集電体122の表面に配置されている。第2活物質層124は、第2集電体122の片面のみに配置されていてもよい。第2活物質層124は、第2集電体122の両面に配置されていてもよい。第2活物質層124は、正極活物質または負極活物質を含む。第2活物質層124は、第1活物質層114と同一面積を有していてもよいし、異なる面積を有していてもよい。例えば、第2活物質層124の面積は、第1活物質層114の面積より大きくてもよい。第1活物質層114の面積に対する、第2活物質層124の面積の比は、例えば、1.01以上、1.05以上、または、1.1以上のいずれでもよい。第1活物質層114の面積に対する、第2活物質層124の面積の比は、例えば、1.1以下、1.05以下、または、1.01以下のいずれでもよい。
【0026】
2-2.セパレータ
セパレータ130は、電気絶縁性を有する。セパレータ130は、多孔質である。セパレータ130は、例えば、ポリオレフィン製の微多孔膜等を含んでいてもよい。セパレータ130の厚さは、例えば、5から50μm、5から30μm、または、5から15μmのいずれでもよい。セパレータ130は、第1電極110を第2電極120から分離している。セパレータ130は、例えば、2枚以上であってもよい。例えば、第1電極110と第2電極120との各間に、セパレータ130が1枚1枚挿入されていてもよい。
【0027】
セパレータ130は、例えば、1枚であってもよい。例えば、セパレータ130は、つづら折り部135を含んでいてもよい。つづら折り部135においては、セパレータ130がつづら折り状に折り畳まれている。つづら折り部135は、平面部131および折り返し部132を含む。平面部131では、セパレータ130が平面状に延びている。折り返し部132においては、セパレータ130が折り返されている。折り返し部132は、高さ方向の両端に配置される。セパレータ130は、第1電極110または第2電極120を交互に挟むように、折り返されている。平面部131が第1電極110または第2電極120を挟んでいる。セパレータ130は、例えば、外周部136をさらに含んでいてもよい。外周部136は、つづら折り部135を包むように巻回されていてもよい。なお、幅方向の両端において、セパレータ130が折り返されることにより、つづら折り部が形成されてもよい。
【0028】
3.介在膜
介在膜140は、少なくとも、第1電極110とセパレータ130との間に介在している。介在膜140は、第2電極120とセパレータ130との間にも、介在していてもよい。介在膜140は、多孔質であってもよい。介在膜140の空隙率は、セパレータ130の空隙率に比して、高くてもよいし、低くてもよい。介在膜140の平均細孔径は、セパレータ130の平均細孔径に比して、高くてもよいし、低くてもよい。
【0029】
介在膜140は、例えば、耐熱材料等を含んでいてもよい。介在膜140は、例えば、無機粒子およびバインダを含んでいてもよい。介在膜140は、例えば、質量分率で、0.1から50%のバインダ、および、残部の無機粒子を含んでいてもよい。バインダの質量分率は、例えば、1から30%、1から10%、1から5%、または、1から3%のいずれでもよい。
【0030】
無機粒子は、例えば、アルミナ、ベーマイト、チタニア、マグネシア、シリカ、および、ジルコニアからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、アクリル系樹脂、および、メタクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0031】
介在膜140は、例えば、自立膜であってもよい。「自立膜」は、それ自身で形状を維持している膜を示す。介在膜140は、例えば、非自立膜であってもよい。「非自立膜」は、支持体に支持されることにより、形状を維持している膜を示す。例えば、第1電極110およびセパレータ130の少なくとも一方に、介在膜140が支持されていてもよい。すなわち、介在膜140は、第1電極110およびセパレータ130の少なくとも一方の表面に形成されていてもよい。例えば、耐熱材料が、セパレータ130の表面に塗布されることにより、介在膜140が形成されてもよい。例えば、耐熱材料が、第1電極110の表面に塗布されることにより、介在膜140が形成されてもよい。例えば、耐熱材料が、第1電極110およびセパレータ130の両方の表面に塗布されることにより、介在膜140が形成されてもよい。セパレータ130がつづら折り部135を含む場合、介在膜140は、平面部131のみに形成されていてもよいし、平面部131および折り返し部132の両方に形成されていてもよい。
【0032】
図4は、介在膜の一例を示す概略平面図である。図4には、積層方向(厚さ方向)と直交する平面が示されている。同平面は、高さ方向および幅方向と平行である。介在膜140は、第1領域141および第2領域142を含む。第1領域141は、介在膜140の中心145を含む。「中心」は、介在膜140の輪郭線がなす図形の幾何中心を示す。第1領域141は、いわば厚肉部である。第1領域141は、電解液の移動を阻害し得る。第1領域141が電解液の移動を阻害することにより、電解液の保持量のムラが軽減することが期待される。
【0033】
第1領域141は、例えば、幅方向に延びていてもよい。電極体100の幅に対する、介在膜140の幅の比は、例えば、0.25以上、0.5以上、または、0.75以上のいずれでもよい。電極体100の幅に対する、介在膜140の幅の比は、例えば、0.75以下、0.5以下、または、0.25以下のいずれでもよい。電極体100の高さに対する、介在膜140の高さの比は、例えば、0.01以上、0.05以上、0.1以上、0.2以上、または、0.3以上のいずれでもよい。電極体100の高さに対する、介在膜140の高さの比は、例えば、0.3以下、0.2以下、0.1以下、0.05以下、または、0.01以下のいずれでもよい。
【0034】
第2領域142は、第1領域141の周囲を取り囲んでいる。第2領域142は、例えば、第3領域143および第4領域144を含んでいてもよい。高さ方向において、第1領域141は、第3領域143と第4領域144との間に配置されている。第3領域143は、いわば薄肉部である。第3領域143には、電解液が貯留し得る。
【0035】
例えば、第3領域143は、第1領域141の鉛直上方に位置していてもよい。高さ方向が鉛直方向と平行である時、第1領域141の鉛直上方の領域は、電解液の保持量が最も低下しやすい傾向がある。例えば、電極体100の第1アスペクト比が大きい程、その傾向が顕著になる可能性がある。当該領域が薄肉部(電解液の貯留部)であることにより、電解液の保持量のムラが軽減することが期待される。
【0036】
第4領域144は、第3領域143と隣接していてもよい。第4領域144は、第1領域141と隣接していてもよい。幅方向において、第4領域144は、第3領域143の両側に配置されていてもよい。幅方向において、第4領域144は、第1領域141の両側に配置されていてもよい。第4領域144は、第1領域141の鉛直下方に位置していてもよい。
【0037】
図5は、図4のA-A断面図である。図6は、図4のB-B断面図である。図7は、図4のC-C断面図である。介在膜140は、下記式(1)の関係を満たす。
T2<T1 (1)
T1は、第1領域141における介在膜140の厚さを示す。T2は、第2領域142における介在膜140の厚さを示す。
【0038】
T2に対するT1の比(T1/T2)は、例えば、1.01以上、1.05以上、1.1以上、1.2以上、1.5以上、または、2以上のいずれでもよい。比(T1/T2)は、例えば、3以下、2以下、1.5以下、1.2以下、1.1以下、または、1.05以下のいずれでもよい。
【0039】
介在膜140は、例えば下記式(2)の関係を満たしていてもよい。
T3<T4 (2)
T3は、第3領域143における介在膜140の厚さを示す。T4は、第4領域144における介在膜140の厚さを示す。
【0040】
T4に対するT3の比(T3/T4)は、例えば、0.99以下、0.95以下、0.90以下、0.75以下、または、0.5以下のいずれでもよい。比(T3/T4)は、例えば、0.3以上、0.5以上、0.75以上、0.90以上、または、0.95以上のいずれでもよい。
【0041】
なお、上記式(2)が満たされる時、下記式(2)’も満たされる。
T3<T4≦T2 (2)’
【0042】
介在膜140は、例えば下記式(3)および(4)の関係を満たしていてもよい。
10μm≦T1≦20μm (3)
T3≦3μm (4)
【0043】
T1は、例えば、11μm以上、12.5μm以上、15μm以上、17.5μm以上、または、19μm以上のいずれでもよい。T1は、17.5μm以下、15μm以下、12.5μm以下、または、11μm以下のいずれでもよい。
【0044】
T3は、例えば、2.5μm以下、2μm以下、1.5μm以下、1μm以下、0.5μm以下、または、0.1μm以下のいずれでもよい。T3は、例えば、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、または、2.5μm以上のいずれでもよい。
【0045】
T4(T2)は、例えば、3μm超、3.5μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、または、9μm以上のいずれでもよい。T4(T2)は、例えば、10μm未満、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、または、3.5μm以下のいずれでもよい。
【0046】
4.ケース
ケース200は、電解液および電極体100を収納している。ケース200は、密閉されていてもよい。ケース200は、密封されていてもよい。ケース200は、例えば、缶210および蓋220を含んでいてもよい。缶210は、開口部を有する。開口部は、高さ方向に開口している。開口部は、例えば、鉛直上向きに開口していてもよい。缶210は、例えば、金属製であってもよい。缶210は、例えば、Al等を含んでいてもよい。缶210は、例えば、底壁212および周壁214を含んでいてもよい。底壁212は、例えば、平板状であってもよい。底壁212の平面形状は、例えば、矩形であってもよい。周壁214は、底壁212から起立している。周壁214は、例えば、四角筒状であってもよい。周壁214の幅は、周壁214の厚さより大きくてもよい。周壁214の高さは、周壁214の厚さより大きくてもよい。なお、ここでの「周壁214の厚さ」は、厚さ方向におけるケース200の外形寸法を示す。
【0047】
蓋220は、缶210の開口部を塞いでいる。蓋220は、周壁214に溶接されていてもよい。蓋220は、例えば、平板状であってもよい。蓋220は、例えば、金属製であってもよい。蓋220は、例えば、Al等を含んでいてもよい。蓋220は、例えば、圧力解放弁222、および、封止部材224等を含んでいてもよい。
【0048】
圧力解放弁222は、例えば、蓋220の中央付近に配置されていてもよい。圧力解放弁222は、ケース200の内圧を解放する。内圧が設定値以上になると、圧力解放弁222が開放され得る。封止部材224は、注液口221を封止している。注液口221から電解液が注入され得る。
【0049】
一対の外部端子300は、蓋220に固定されている。外部端子300は、第1電極110または第2電極120に接続されている。外部端子300は、例えば、金属製であってもよい。外部端子は、Al、Cu、Ni等を含んでいてもよい。外部端子は、例えば、直方体状の外形を有していてもよい。外部端子300は、バスバー(不図示)に接続されていてもよい。
【0050】
一対の連結部材400は、電極タブを外部端子300と連結している。電極タブは、第1電極タブ116または第2電極タブ126を示す。2つの連結部材400は、実質的に同一構造を有していてもよい。
【0051】
連結部材400は、例えば、集電タブ410、サブタブ420、および、連結ピン430を含んでいてもよい。集電タブ410は、側方部412、および、上方部414を含む。側方部412は、幅方向における電極体100の側方に位置している。上方部414は、電極体100の上方に位置している。上方部414は、側方部412の上端から、幅方向における内側に向かって延びている。
【0052】
サブタブ420は、複数の電極タブを集電タブ410に接続している。サブタブ420は、第1端部422および第2端部424を含んでいてもよい。第1端部422は、複数の電極タブに接続されている。第2端部424は、側方部412に接続されている。
【0053】
連結ピン430は、集電タブ410を外部端子300と連結している。連結ピン430は、上方部414と外部端子300とを連結している。例えば、連結ピン430の下端部が、上方部414に設けられた貫通孔に挿し通されていてもよい。
【0054】
5.絶縁部材
絶縁部材500は、ケース200を連結部材400から絶縁している。絶縁部材500は、例えば、第1部510、第2部520、第3部530、および、第4部540を含んでいてもよい。
【0055】
第1部510は、蓋220の上面に固定されている。第1部510は、蓋220と外部端子300との間に配置されている。第2部520は、蓋220の下面に固定されている。第2部520は、蓋220と上方部414との間に配置されている。第2部520は、蓋220と、連結ピン430の下部との間に配置されている。第3部530は、連結ピン430と蓋220との間に配置されている。第3部530は、筒状である。第3部530は、連結ピン430を包囲している。第1部510、第2部520および第3部530には、貫通孔が設けられている。貫通孔に、連結ピン430が挿し通される。
【0056】
第4部540は、板状である。上方部414の下面に固定されている。第4部540は、電極体100の上方に配置されている。第4部540において、圧力解放弁222の下方に貫通孔が設けられている。第4部540において、注液口221の下方にも貫通孔が設けられている。
【符号の説明】
【0057】
1 蓄電セル、100 電極体、110 第1電極、112 第1集電体、114 第1活物質層、116 第1電極タブ、120 第2電極、122 第2集電体、124 第2活物質層、126 第2電極タブ、130 セパレータ、131 平面部、132 折り返し部、135 つづら折り部、136 外周部、140 介在膜、141 第1領域、142 第2領域、143 第3領域、144 第4領域、145 中心、200 ケース、210 缶、212 底壁、214 周壁、220 蓋、221 注液口、222 圧力解放弁、224 封止部材、300 外部端子、400 連結部材、410 集電タブ、412 側方部、414 上方部、420 サブタブ、422 第1端部、424 第2端部、430 連結ピン、500 絶縁部材、510 第1部、520 第2部、530 第3部、540 第4部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7