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特開2025-7631交通誘導システム、操作端末、状態表示方法及び状態表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007631
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】交通誘導システム、操作端末、状態表示方法及び状態表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/07 20060101AFI20250109BHJP
   G08G 1/0955 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G08G1/07 P
G08G1/0955 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109165
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 沢樹
(72)【発明者】
【氏名】大谷 洋介
(72)【発明者】
【氏名】上野 哲郎
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181GG03
5H181GG08
5H181HH14
5H181JJ23
(57)【要約】
【課題】工事用規制区間の交通誘導を行う交通誘導員の混乱を防止し、効率的かつ適正な交通誘導を行うことを課題とする。
【解決手段】交通誘導員が下り線側に立って工事用規制区間の車両の通行状況を監視する場合、交通誘導員が所持する操作端末40は、上り線に設置した信号機25aの状況を画面の左端に、下り線に設置した信号機25bの状況を画面の右端に表示する。交通誘導員が移動し、上り線側に立って工事用規制区間の車両の通行状況を監視する場合、操作端末40は、交通誘導員の向く方向を検知して、上り線に設置した信号機25aの状況を画面の右端に、下り線に設置した信号機25bの状況を画面の左端に表示を変更する。また、操作端末40に表示される地図も、交通誘導員の向く方向からの地図を表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する事前に定められた道路範囲に設置され、該道路範囲を通行する車両の通行権に係る情報を呈示する複数の信号機と、前記道路範囲における車両の進行及び停止を誘導するよう各信号機を制御する制御装置と、前記制御装置及び前記複数の信号機の状態表示及び設定を行う操作端末とを有する交通誘導システムであって、
前記操作端末は、
少なくとも前記操作端末の向きを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を所定の表示部に表示制御する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする交通誘導システム。
【請求項2】
前記特定手段は、
前記操作端末の向き及び前記操作端末の傾きを特定し、
前記表示制御手段は、
前記特定手段により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を前記操作端末の傾きに応じて前記表示部に表示制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の交通誘導システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記特定手段により特定された前記操作端末の傾きが所定の範囲の角度であった場合、又は、前記操作表示部に視線が向けられた場合に、前記特定手段により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を前記表示部に表示制御することを特徴とする請求項2に記載の交通誘導システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
前記特定手段により特定された前記操作端末の傾きが所定の範囲の角度であった場合、又は、前記操作表示部に視線が向けられた場合に、前記表示部に表示制御された表示画像の表示方向が変化したならば、その旨の通知を行うことを特徴とする請求項3に記載の交通誘導システム。
【請求項5】
前記操作端末は、
前記制御装置及び前記複数の信号機の状態表示および設定を遠隔で行う携帯型タッチパネル端末又はウエアラブルデバイスであることを特徴とする請求項1に記載の交通誘導システム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記車両、前記信号機、前記制御装置及び/又は前記操作端末の位置が、前記道路範囲を含む地図データに重畳された表示画像を前記表示部に表示制御することを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の交通誘導システム。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記道路範囲を含む地図データ上の前記車両、前記信号機、前記制御装置及び/又は前記操作端末の位置に、前記車両、前記信号機、前記制御装置及び/又は前記操作端末のアイコンを重畳した表示画像を前記表示部に表示制御することを特徴とする請求項6に記載の交通誘導システム。
【請求項8】
前記表示制御手段は、
前記表示部に表示制御した前記信号機、前記制御装置又は前記操作端末のアイコンが選択操作されたならば、選択操作されたアイコンに対応する前記信号機、前記制御装置又は前記操作端末の状態を表示制御することを特徴とする請求項7に記載の交通誘導システム。
【請求項9】
前記表示制御手段は、
前記特定手段により特定された前記操作端末の傾きが所定の範囲の角度であった場合、又は、前記操作表示部に視線が向けられた場合に、地図上に表示されている各アイコンを、それぞれの位置情報に応じた地図上の位置に表示制御し、前記信号機に係る情報は、地図上に再表示した前記信号機の位置に近くなるように表示制御することを特徴とする請求項7に記載の交通誘導システム。
【請求項10】
前記表示制御手段は、
前記表示部に表示制御した前記信号機又は前記制御装置のアイコンが選択操作されたならば、選択操作されたアイコンに対応する前記信号機又は前記制御装置の設定を行う設定画面を表示制御することを特徴とする請求項7に記載の交通誘導システム。
【請求項11】
車両が走行する事前に定められた道路範囲に設置され、該道路範囲を通行する車両の通行権に係る情報を呈示する複数の信号機、及び、前記道路範囲における車両の進行及び停止を誘導するよう各信号機を制御する制御装置の状態表示及び設定を行う操作端末であって、
少なくとも前記操作端末の向きを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を所定の表示部に表示制御する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする操作端末。
【請求項12】
車両が走行する事前に定められた道路範囲に設置され、該道路範囲を通行する車両の通行権に係る情報を呈示する複数の信号機と、前記道路範囲における車両の進行及び停止を誘導するよう各信号機を制御する制御装置と、前記制御装置及び前記複数の信号機の状態表示及び設定を行う操作端末とを有する交通誘導システムにおける状態表示方法であって、
前記操作端末が、少なくとも前記操作端末の向きを特定する特定工程と、
前記操作端末が、前記特定工程により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を所定の表示部に表示制御する表示制御工程と
を含むことを特徴とする状態表示方法。
【請求項13】
車両が走行する事前に定められた道路範囲に設置され、該道路範囲を通行する車両の通行権に係る情報を呈示する複数の信号機、及び、前記道路範囲における車両の進行及び停止を誘導するよう各信号機を制御する制御装置の状態表示及び設定を行う操作端末において実行される状態表示プログラムであって、
少なくとも前記操作端末の向きを特定する特定手順と、
前記特定手順により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を所定の表示部に表示制御する表示制御手順と
を実行させることを特徴とする状態表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通誘導システムを活用して工事用規制区間の交通誘導を行う交通誘導員について、交通誘導システムの操作端末に表示される状態の把握に関する混乱を防止することにより、効率的かつ適正な交通誘導を行うことができる交通誘導システム、操作端末、状態表示方法及び状態表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、市区町村等が道路工事業者を使って道路工事を行う場合には、車両の円滑な通行を図るために交通誘導が行われる。具体的には、交通誘導員が各車両を運転するドライバーに対して任意の協力を求め、各車両の進行を円滑に誘導する。
【0003】
かかる交通誘導員は、道路工事の現場の所定の場所に位置し、操作端末に工事用信号機の点灯状態等を表示するとともに、道路工事の現況を視認しつつ、操作端末に対して各種の操作を行っている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-092474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、工事現場の交通誘導員は、常に工事現場の所定の位置で停止しているわけではなく、道路状況などに応じて所在位置をその都度変える場合がある。例えば、工事車両を工事作業エリアに出し入れする際に上り車線の路肩に所在する交通誘導員は、道路を横断して工事車両を誘導しやすい下り車線へ移動する。
【0006】
かかる場合に、交通誘導員の向きが変わり、操作端末の表示が実際の工事用信号機の配置と逆に表示され、交通誘導員が操作端末を操作するうえでの混乱を招くおそれがある。また、交通誘導員の向きと操作端末の画面の向きとが異なると、交通誘導員が頭の中で向きを置き換えなければならず、交通誘導員による状況把握と操作に遅れが生ずる可能性もある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点(課題)を解決するためになされたものであって、工事用規制区間の交通誘導を行う交通誘導員の混乱を防止し、効率的かつ適正な交通誘導を行うことができる交通誘導システム、操作端末、状態表示方法及び状態表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、車両が走行する事前に定められた道路範囲に設置され、該道路範囲を通行する車両の通行権に係る情報を呈示する複数の信号機と、前記道路範囲における車両の進行及び停止を誘導するよう各信号機を制御する制御装置と、前記制御装置及び前記複数の信号機の状態表示及び設定を行う操作端末とを有する交通誘導システムであって、前記操作端末は、少なくとも前記操作端末の向きを特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を所定の表示部に表示制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記特定手段は、前記操作端末の向き及び前記操作端末の傾きを特定し、前記表示制御手段は、前記特定手段により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を前記操作端末の傾きに応じて前記表示部に表示制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記表示制御手段は、前記特定手段により特定された前記操作端末の傾きが所定の範囲の角度であった場合、又は、前記操作表示部に視線が向けられた場合に、前記特定手段により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を前記表示部に表示制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において前記特定手段により特定された前記操作端末の傾きが所定の範囲の角度であった場合、又は、前記操作表示部に視線が向けられた場合に、前記表示部に表示制御された表示画像の表示方向が変化したならば、その旨の通知を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記操作端末は、前記制御装置及び前記複数の信号機の状態表示および設定を遠隔で行う携帯型タッチパネル端末又はウエアラブルデバイスであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記車両、前記信号機、前記制御装置及び/又は前記操作端末の位置が、前記道路範囲を含む地図データに重畳された表示画像を前記表示部に表示制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記表示制御手段は、前記道路範囲を含む地図データ上の前記車両、前記信号機、前記制御装置及び/又は前記操作端末の位置に、前記車両、前記信号機、前記制御装置及び/又は前記操作端末のアイコンを重畳した表示画像を前記表示部に表示制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記表示制御手段は、前記表示部に表示制御した前記信号機、前記制御装置又は前記操作端末のアイコンが選択操作されたならば、選択操作されたアイコンに対応する前記信号機、前記制御装置又は前記操作端末の状態を表示制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記表示制御手段は、前記特定手段により特定された前記操作端末の傾きが所定の範囲の角度であった場合、又は、前記操作表示部に視線が向けられた場合に、地図上に表示されている各アイコンを、それぞれの位置情報に応じた地図上の位置に表示制御し、前記信号機に係る情報は、地図上に再表示した前記信号機の位置に近くなるように表示制御することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記表示制御手段は、前記表示部に表示制御した前記信号機又は前記制御装置のアイコンが選択操作されたならば、選択操作されたアイコンに対応する前記信号機又は前記制御装置の設定を行う設定画面を表示制御することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、車両が走行する事前に定められた道路範囲に設置され、該道路範囲を通行する車両の通行権に係る情報を呈示する複数の信号機、及び、前記道路範囲における車両の進行及び停止を誘導するよう各信号機を制御する制御装置の状態表示及び設定を行う操作端末であって、少なくとも前記操作端末の向きを特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を所定の表示部に表示制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、車両が走行する事前に定められた道路範囲に設置され、該道路範囲を通行する車両の通行権に係る情報を呈示する複数の信号機と、前記道路範囲における車両の進行及び停止を誘導するよう各信号機を制御する制御装置と、前記制御装置及び前記複数の信号機の状態表示及び設定を行う操作端末とを有する交通誘導システムにおける状態表示方法であって、前記操作端末が、少なくとも前記操作端末の向きを特定する特定工程と、前記操作端末が、前記特定工程により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を所定の表示部に表示制御する表示制御工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、車両が走行する事前に定められた道路範囲に設置され、該道路範囲を通行する車両の通行権に係る情報を呈示する複数の信号機、及び、前記道路範囲における車両の進行及び停止を誘導するよう各信号機を制御する制御装置の状態表示及び設定を行う操作端末において実行される状態表示プログラムであって、少なくとも前記操作端末の向きを特定する特定手順と、前記特定手順により特定された前記操作端末の向きに応じた表示方向の表示画像を所定の表示部に表示制御する表示制御手順とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、工事用規制区間の交通誘導を行う交通誘導員の混乱を防止し、効率的かつ適正な交通誘導を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る交通誘導システムの概要の説明図である。
図2図2は、実施形態に係る交通誘導システムのシステム構成を示す図である。
図3図3は、図2に示した通過管理装置の外観構成を示す図である。
図4図4は、図2に示した通過管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図5図5は、図2に示した制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、図5に示した設定データ、信号制御データ及び停車車両データの一例を示す図である。
図7図7は、図5に示した通過車両データの一例を示す図である。
図8図8は、図2に示した操作端末の構成を示す機能ブロック図である。
図9図9は、図8に示した自端末位置データ、装置位置データ、工事車両データ、信号制御データ及び停車車両データの一例を示す図である。
図10図10は、図8に示した通過車両状態データ及び通過車両数データの一例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る操作端末における表示の一例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る操作端末における表示に関する処理手順を示すフローチャート(その1)である。
図13図13は、実施形態に係る操作端末における表示に関する処理手順を示すフローチャート(その2)である。
図14図14は、変形例1に係る操作端末における表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本実施形態に係る交通誘導システム、操作端末、状態表示方法及び状態表示プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
[実施形態]
<交通誘導システムの概要>
まず、本実施形態に係る交通誘導システムの概要について説明する。図1は、本実施形態に係る交通誘導システムの概要を説明するための説明図である。図1では、片側1車線の2車線道からなる道路を図示した工事作業エリアで道路工事を行っており、この道路工事によって1車線が使用不能となっている。そこで、残りの1車線を用いて交互通行を行う工事用規制区間を設けている。なお、2車線道のそれぞれの車線を上り線及び下り線と呼ぶこととする。
【0025】
工事用規制区間における車両の通行を制御するため、工事用規制区間の上り線の端には信号機25a、下り線の端には信号機25bを設置している。また、車両通行の誘導を行う交通誘導員は、工事用規制区間における車両の通行状況を表示する操作端末40を所持している。
【0026】
図1(a)に示すように、交通誘導員が下り線側に立って工事用規制区間の車両の通行状況を監視する場合、交通誘導員が所持する操作端末40は、上り線に設置した信号機25aの状況を画面の左端に、下り線に設置した信号機25bの状況を画面の右端に表示する。
【0027】
例えば、下り線の信号機25bが青信号の場合に、下り線の工事用規制区間を車両C2が通過済みであり、車両C3が通過中ならば、下り線に設置した信号機25bの状況として「下り線、青、IN2、OUT0」と表示し、上り線に設置した信号機25aの状況として「上り線、赤、IN0、OUT1」と表示する。
【0028】
図1(b)に示すように、交通誘導員が移動し、上り線側に立って工事用規制区間の車両の通行状況を監視する場合、操作端末40は、交通誘導員の向く方向を検知して、上り線に設置した信号機25aの状況を画面の右端に、下り線に設置した信号機25bの状況を画面の左端に表示を変更する。このことにより、交通誘導員から見て、各信号機が工事用規制区間に向かって左右のどちら側に設置されているのかという感覚と、操作端末40に表示される各信号機の状況の表示方向が合致する。また、操作端末40に表示される地図も、交通誘導員の向く方向からの地図を表示する。
【0029】
このように、本実施形態に係る交通誘導システムは、交通誘導員の向く方向を検知して、操作端末における工事用規制区間の地図や信号機の状況等の表示を交通誘導員の向く方向に合致した表示に変更するよう構成したので、工事用規制区間の交通誘導を行う交通誘導員の混乱を防止し、効率的かつ適正な交通誘導を行うことができる。
【0030】
<交通誘導システムのシステム構成>
次に、本実施形態に係る交通誘導システムのシステム構成について説明する。図2は、本実施形態に係る交通誘導システムのシステム構成を示す図である。図2に示すように、通過管理装置20は制御装置10と無線通信を用いて通信可能に接続される。また、制御装置10は、変換器50を介して、操作端末40と無線通信を介して通信可能に接続される。
【0031】
なお、制御装置10と、通過管理装置20及び変換器50との間は、特定小電力通信等による無線通信を使用し、変換器50と操作端末40との間は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を使用する。特定小電力通信は、通達距離が数百mから1km程度であり、工事用規制区間を広くカバーすることができるものの、通信速度が遅いという特性を有する。Bluetooth(登録商標)は、通達距離が10m程度と短いものの、通信速度が速いという特性を有する。
【0032】
制御装置10と通過管理装置20は、相互に無線通信が可能な範囲であれば任意の位置に設置することができる。また、操作端末40は、変換器50を介して制御装置10と無線通信が可能な範囲であれば、任意の位置に移動することができる。
【0033】
通過管理装置20は、停止線付近で停車する車両及び通過する車両を検知するとともに、信号機の点灯制御を行う装置である。通過管理装置20は、停止線付近で停車する車両を検知したならば、停車車両情報として制御装置10に通知する。
【0034】
また、通過管理装置20は、工事用規制区間に出入りする車両を検知したならば、通過車両情報として制御装置10に通知する。通過管理装置20は、制御装置10から受信した信号制御指示に基づき、信号機の進入禁止状態と進入許可状態とを切り替えて点灯制御を行う。
【0035】
制御装置10は、通過管理装置20の信号制御を行うとともに、工事用規制区間に係る車両の情報を管理する装置である。制御装置10は、工事用規制区間の一方に設置した通過管理装置20に対して、青信号に信号制御する信号制御指示を通知したならば、この通知内容を信号制御情報として操作端末40に通知する。
【0036】
また、制御装置10は、通過管理装置20に対して青信号に信号制御する信号制御指示を通知してから所定時間が経過したならば、この通過管理装置20に対して、赤信号に信号制御する信号制御指示を通知するとともに、この通知内容を信号制御情報として操作端末40に通知する。
【0037】
また、制御装置10は、工事用規制区間の一方に設置した通過管理装置20に対して赤信号に信号制御する信号制御指示を通知してから所定時間が経過したならば、工事用規制区間の反対方向に設置した通過管理装置20に対して、青信号に信号制御する信号制御指示を通知する。
【0038】
また、制御装置10は、通過管理装置20から停車車両情報を受信したならば、受信した情報を操作端末40に通知する。制御装置10は、通過管理装置20から通過車両情報を受信したならば、受信した情報を操作端末40に通知する。
【0039】
変換器50は、制御装置10と操作端末40との通信を中継する装置である。変換器50は、制御装置10との間の無線通信における電波強度が所定の閾値を下回ったならば、操作端末40に電波注意情報を通知する。また、操作端末40は、変換器50から電波注意上の通知を受けた場合、または変換器50との間の無線通信における電波強度が所定の閾値を下回った場合、交通誘導員に電波注意情報を通知する。
【0040】
操作端末40は、工事用規制区間付近の工事に係る装置や車両の情報を表示する装置である。操作端末40は、工事用規制区間付近の地図を操作表示部に表示する。操作端末40は、受信したGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を用いて自端末の位置情報を算出し、操作表示部に表示した地図上のこの位置に、自端末のアイコンを表示する。
【0041】
また、操作端末40は、制御装置10又は通過管理装置20の近傍で受信したGNSS信号を用いてその位置情報を算出し、操作表示部に表示した地図上のこの位置に、制御装置10又は通過管理装置20のアイコンを表示する。
【0042】
また、操作端末40は、工事用規制区間に停車する工事車両に関する情報を受け付けたならば、この情報を操作表示部の所定の位置に表示する。操作端末40は、制御装置10から信号制御情報を受信したならば、この信号制御情報を操作表示部の所定の位置に表示する。
【0043】
また、操作端末40は、制御装置10から停車車両情報を受信したならば、この停車車両を検知した通過管理装置20のアイコンの近傍に停車車両のアイコンを表示する。
【0044】
また、操作端末40は、制御装置10から、工事用規制区間に進入する通過車両情報を受信したならば、この通過車両を検知した通過管理装置20のアイコンの近傍に通過車両のアイコンを表示する。なお、赤信号に信号制御する通過管理装置20を通過して工事用規制区間に進入する通過車両情報を受信した場合は、この車両に係るアイコンを点滅する等により強調表示する。
【0045】
また、操作端末40は、所定時間ごとに通過車両の位置を算出して、操作表示部に表示した地図上のこの位置に車両のアイコンを再表示する。操作端末40は、制御装置10から、工事用規制区間から退出する通過車両情報を受信したならば、表示している通過車両のアイコンのうちで先頭の車両のアイコンを削除する。
【0046】
また、操作端末40は、変換器50から電波注意情報を受信したならば、電波強度が低下している旨を操作表示部に表示する。さらに、操作端末40は、自端末と制御装置10の位置情報を用いて相互の距離を算出し、この距離が所定値以上となった場合には、通信可能範囲から外れる可能性がある旨を操作表示部に表示する。
【0047】
また、操作端末40は、自端末の傾きが水平±30度の範囲になり、自端末の方向の変化が、前回自端末が水平±30度となったときの方向から90度以上であることを検知したならば、この方向の変化に応じて、表示する地図の向きを変更する。この際、地図上に表示されている各アイコンは、それぞれの位置情報に応じた地図上の位置に表示する。なお、信号制御情報等の信号機に係る情報は、地図上に再表示した通過管理装置20の信号機の位置に近くなるように、操作表示部の表示位置を設定する。なお、自端末の方向の変化は90度以上に限らず、交通誘導員の必要に応じて所定の角度に設定可能としてもよい。
【0048】
<通過管理装置20の外観構成>
次に、図2に示した通過管理装置20の外観構成について説明する。図3は、図2に示した通過管理装置20の外観構成を示す図である。図3に示すように、通過管理装置20は、接近車両検知センサ21、通過車両検知センサ22、表示部23及びスピーカ24を有する本体部と、本体部に接続された信号機25と、本体部を支持する脚部を有し、脚部にはキャスター28とバッテリ27を設けている。
【0049】
接近車両検知センサ21は、工事用規制区間に接近する車両又は工事用規制区間に進入する前に停車した車両の検知を行うデバイスである。接近車両検知センサ21は、ミリ波などの電波を発射して、その反射波を受信することで工事用規制区間に接近する車両の大きさ、距離及び速度を検知する。あるいは、AI機能を搭載したAIカメラなどのカメラで撮像した画像をAI機能によって、接近する車両の車種、停車の有無を検知する。本実施形態では、ミリ波を利用したセンサにより検知を行う場合について説明する。
【0050】
通過車両検知センサ22は、工事用規制区間に出入りする車両の通過の検知を行うデバイスである。通過車両検知センサ22は、光やミリ波等の電波を発射し、その反射波を受信することで工事用規制区間に出入りする車両の大きさ及び速度を検知する。本実施形態では、ミリ波を利用したセンサにより検知を行う場合について説明する。
【0051】
表示部23は、LEDパネルなどの表示デバイスである。スピーカ24は、必要に応じて警告音やメッセージ音声を出力する音声出力デバイスである。表示部23及びスピーカ24は、例えば、停止線から少し離れて停止した車両に対する「少し前に進んで停止線でお待ち下さい」などのメッセージの報知などに用いられる。
【0052】
信号機25は、進入禁止状態において点灯制御される赤色灯と、進入許可状態において点灯制御される青色灯とを有する。なお、赤色灯と青色灯は、必要に応じて点滅させることも可能である。
【0053】
バッテリ27は、通過管理装置20の電源として用いられる。キャスター28は、通過管理装置20を傾けた状態で接地して回転するよう設けられており、通過管理装置20の移動の補助に用いられる。
【0054】
<通過管理装置20の構成>
次に、図2に示した通過管理装置20の構成について説明する。図4は、図2に示した通過管理装置20の構成を示す機能ブロック図である。
【0055】
図4に示すように、通過管理装置20は、既に説明した接近車両検知センサ21、通過車両検知センサ22、表示部23、スピーカ24及び信号機25に加え、無線通信部29及び制御部26を有する。なお、通過管理装置20は、電源のON/OFFや無線通信のアドレス設定を行うため、操作部30を有する。
【0056】
無線通信部29は、周知技術である特定小電力通信、無線LAN又はLTE(Long Term Evolution)通信等を用いて制御装置10との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。
【0057】
制御部26は、通過管理装置20の全体制御を行う制御部であり、停車検知部26a、通過検知部26b、車両誘導部26c及び設定部26dを有する。実際には、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、停車検知部26a、通過検知部26b、車両誘導部26c及び設定部26dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0058】
停車検知部26aは、工事用規制区間前で停車する車両の検知に関する処理を行う処理部である。停車検知部26aは、接近車両検知センサ21の出力を用いて、工事用規制区間前の停止線付近で停車した車両の有無及びこの車両の大きさを検知する。そして、検知した車両の大きさを所定の基準に基づいて、大型車、中型車又は小型車(以下、「車両区分」と言う)のいずれかに判定し、この判定結果に自装置名を合わせて、停車車両情報として制御装置10に通知する。その後、停車検知部26aは、接近車両検知センサ21が停車車両を検知している状態から検知なしの状態に移行したならば、「停車車両なし」の情報を制御装置10に通知する。
【0059】
通過検知部26bは、工事用規制区間に出入りする車両の通過の検知に関する処理を行う処理部である。通過検知部26bは、接近車両検知センサ21及び通過車両検知センサ22の出力を用いて、工事用規制区間に出入りする車両の大きさ、速度及び移動方向を検知する。そして、車両区分を判定し、この判定結果に自装置名、検知時刻、速度及び移動方向を合わせて、通過車両情報として制御装置10に通知する。
【0060】
車両誘導部26cは、信号機25の点灯制御を行う処理部である。車両誘導部26cは、制御装置10から受信した信号制御指示に基づき、信号機25の進入禁止状態と進入許可状態とを切り替えて点灯制御を行うことで、車両の通行を制御する。
【0061】
また、車両誘導部26cは、必要に応じて表示部23及びスピーカ24によるメッセージ出力を行うことで、停止位置の調整などの車両の誘導を行うことができる。
【0062】
設定部26dは、無線通信のためのアドレスを設定する処理部である。設定部26dは、操作部30から、制御装置10との間の無線通信で使用するアドレスを受け付け、このアドレスを無線通信部29に設定する。
【0063】
<制御装置10の構成>
次に、図2に示した制御装置10の構成について説明する。図5は、図2に示した制御装置10の構成を示す機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置10は、無線通信部11、表示部12、操作部13、スピーカ14、記憶部15及び制御部16を有する。
【0064】
無線通信部11は、周知技術である特定小電力通信、無線LAN又はLTE通信等を用いて、通過管理装置20及び変換器50との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。
【0065】
表示部12は、LEDパネルなどの表示デバイスで構成され、操作者に対する表示出力に用いられる。操作部13は、デジスイッチなどの入力デバイスであり、操作者からの操作の受付けに用いられる。スピーカ14は、操作者に対する音声出力に用いられる音声出力デバイスである。
【0066】
記憶部15は、ハードディスク装置又は不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスであり、設定データ15a、信号制御データ15b、停車車両データ15c及び通過車両データ15dを記憶する。
【0067】
設定データ15aは、通過管理装置20の信号制御を行うための設定値を示すデータである。信号制御データ15bは、通過管理装置20に対する信号制御に関する現在の状況を示すデータである。
【0068】
停車車両データ15cは、通過管理装置20の前の停止線に停車している車両の情報を示すデータである。通過車両データ15dは、工事用規制区間に出入りした車両の情報を示すデータである。
【0069】
制御部16は、制御装置10の全体制御を行う制御部であり、設定管理部16a、信号制御部16b、停車車両管理部16c及び通過車両管理部16dを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、設定管理部16a、信号制御部16b、停車車両管理部16c及び通過車両管理部16dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0070】
設定管理部16aは、設定データ15aを管理する処理部である。設定管理部16aは、操作部13から青信号設定時間、赤信号設定時間、並びに、信号機A及び信号機Bの設置方向を受け付けたならば、受け付けたデータを設定データ15aに記憶する。
【0071】
信号制御部16bは、通過管理装置20の信号制御を行うとともに、信号制御データ15bを管理する処理部である。信号制御部16bは、工事用規制区間の一方に設置した通過管理装置20(例えば、上り線に設置した通過管理装置20)に対して、青信号に信号制御する信号制御指示を通知したならば、この信号制御指示を信号制御データ15bに記憶するとともに、信号制御指示と設定データ15aの青信号設定時間を信号制御情報として、操作端末40に通知する。
【0072】
また、信号制御部16bは、通過管理装置20に対して青信号に信号制御する信号制御指示を通知した時点から計時を開始し、設定データ15aの青信号設定時間が経過したならば、この通過管理装置20に対して、赤信号に信号制御する信号制御指示を通知する。
【0073】
また、信号制御部16bは、通過管理装置20に対して、赤信号に信号制御する信号制御指示を通知したならば、この信号制御指示を信号制御データ15bに記憶するとともに、信号制御指示と設定データ15aの赤信号設定時間を信号制御情報として、操作端末40に通知する。
【0074】
また、信号制御部16bは、工事用規制区間の一方に設置した通過管理装置20(例えば、上り線に設置した通過管理装置20)に対して赤信号に信号制御する信号制御指示を通知した時点から計時を開始し、設定データ15aの赤信号設定時間が経過したならば、工事用規制区間の反対方向に設置した通過管理装置20(例えば、下り線に設置した通過管理装置20)に対して、青信号に信号制御する信号制御指示を通知する。
【0075】
停車車両管理部16cは、停車車両データ15cを管理する処理部である。停車車両管理部16cは、通過管理装置20から停車車両情報を受信したならば、受信した情報を停車車両データ15cに記憶するとともに、操作端末40に通知する。
【0076】
また、停車車両管理部16cは、通過管理装置20から「停車車両なし」の情報を受信したならば、この通過管理装置20に対応する停車車両データ15cの検知装置に係るデータをクリアする。そして、この停車車両データ15cを停車車両情報として操作端末40に通知する。
【0077】
通過車両管理部16dは、通過車両データ15dを管理する処理部である。通過車両管理部16dは、通過管理装置20から通過車両情報を受信したならば、受信した情報を通過車両データ15dに記憶するとともに、操作端末40に通知する。
【0078】
次に、図5に示した制御装置10の記憶部15が記憶するデータの一例について説明する。図6及び図7は、図5に示した設定データ15a、信号制御データ15b、停車車両データ15c及び通過車両データ15dの一例を示す図である。
【0079】
図6(a)に示す設定データ15aは、青信号設定時間が「90秒」であり、赤信号設定時間が「30秒」であり、信号機Aが「上り方向」であり、信号機Bが「下り方向」である状態を示している。
【0080】
図6(b)に示す信号制御データ15bは、信号機Aが「赤信号」であり、信号機Bが「青信号」である状態を示している。
【0081】
図6(c)に示す停車車両データ15cは、検知装置「信号機A」に対して、時刻が「2023/6/5 10:20:35」であり、車両区分が「小型車」である状態を対応付け、検知装置「信号機B」に対して、時刻が「-」であり、車両区分が「-」である(つまり、停車車両がない)状態を対応付けている。
【0082】
図7に示す通過車両データ15dは、時刻「2023/6/5 10:20:30」に対して、検知装置が「信号機B」であり、方向が「IN」であり、車両区分が「小型車」であり、速度が「35km/h」である状態を対応付け、時刻「2023/6/5 10:20:40」に対して、検知装置が「信号機B」であり、方向が「IN」であり、車両区分が「大型車」であり、速度が「30km/h」である状態を対応付けている。
【0083】
また、通過車両データ15dは、時刻「2023/6/5 10:20:50」に対して、検知装置が「信号機B」であり、方向が「IN」であり、車両区分が「中型車」であり、速度が「35km/h」である状態を対応付け、時刻「2023/6/5 10:20:55」に対して、検知装置が「信号機A」であり、方向が「OUT」であり、車両区分が「小型車」であり、速度が「40km/h」である状態を対応付けている。
【0084】
<操作端末40の構成>
次に、図2に示した操作端末40の構成について説明する。図8は、図2に示した操作端末40の構成を示す機能ブロック図である。
【0085】
図8に示すように、操作端末40は、操作表示部41、GNSS受信部42、電子コンパス43、加速度センサ44、カメラ45、スピーカ46、無線通信部47、記憶部48及び制御部49を有する。
【0086】
操作表示部41は、タッチパネルディスプレイなどの入出力デバイスである。GNSS受信部42は、米国が運営するGPS(Global Positioning System)や日本が運営する「みちびき」などの全球測位衛星システムであるGNSSの信号を受信する入力デバイスである。
【0087】
電子コンパス43は、地球の地磁気を観測して方位を検知するデバイスである。加速度センサ44は、操作端末40の移動の加速度を計測して移動の変化を検知するデバイスである。カメラ45は、操作表示部41と同じ面に設置され、撮影を行う画像入力デバイスである。
【0088】
スピーカ46は、交通誘導員に対する音声出力に用いられる音声出力デバイスである。無線通信部47は、周知技術であるBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を用いて変換器50との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。
【0089】
記憶部48は、ハードディスク装置又は不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスであり、地図データ48a、自端末位置データ48b、装置位置データ48c、工事車両データ48d、信号制御データ48e、停車車両データ48f、通過車両状態データ48g及び通過車両数データ48hを記憶する。
【0090】
地図データ48aは、工事用規制区間周辺の道路状況等を示すために使用する地図データである。自端末位置データ48bは、自端末の位置情報を示すデータである。装置位置データ48cは、制御装置10及び通過管理装置20の位置情報を示すデータである。
【0091】
工事車両データ48dは、工事用規制区間に停車している工事車両の停車方向及び台数を示すデータである。信号制御データ48eは、通過管理装置20に対する信号制御に関する現在の状況を示すデータである。停車車両データ48fは、通過管理装置20の前の停止線に停車している車両の情報を示すデータである。
【0092】
通過車両状態データ48gは、工事用規制区間に出入りした車両の情報を示すデータである。通過車両状態データ48gは、工事用規制区間内での通過距離及び異常状態の有無を含む。通過車両数データ48hは、上り方向及び下り方向のそれぞれにおいて、工事用規制区間に出入りした車両の台数を示すデータである。
【0093】
制御部49は、操作端末40の全体制御を行う制御部であり、自端末位置情報管理部49a、装置位置情報管理部49b、工事車両情報管理部49c、信号制御情報管理部49d、停車車両情報管理部49e、通過車両情報管理部49f、通過距離算出部49g、異常状態判定部49h、通信状況管理部49i、情報表示制御部49j及び表示方向制御部49kを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、自端末位置情報管理部49a、装置位置情報管理部49b、工事車両情報管理部49c、信号制御情報管理部49d、停車車両情報管理部49e、通過車両情報管理部49f、通過距離算出部49g、異常状態判定部49h、通信状況管理部49i、情報表示制御部49j及び表示方向制御部49kにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0094】
自端末位置情報管理部49aは、自端末位置データ48bを管理する処理部である。自端末位置情報管理部49aは、GNSS受信部42から受信したGNSS信号、電子コンパス43で検知した方位及び加速度センサ44で検知した加速度を用いて所定時間(例えば、5秒)ごとに自端末の位置情報を算出し、この位置情報を自端末位置データ48bに記憶する。
【0095】
装置位置情報管理部49bは、装置位置データ48cを管理する処理部である。装置位置情報管理部49bは、操作表示部41から制御装置10又は通過管理装置20の位置情報取得指示を受け付けたならば、GNSS受信部42から受信したGNSS信号を用いて自端末の位置情報を算出し、操作表示部41から受け付けた装置名と算出した位置情報を対応付けて装置位置データ48cに記憶する。
【0096】
工事車両情報管理部49cは、工事車両データ48dを管理する処理部である。工事車両情報管理部49cは、操作表示部41から工事用規制区間に停車する工事車両に関する情報を受け付けたならば、この情報を工事車両データ48dに記憶する。工事車両に関する情報は、工事車両の向き及び台数を含む。ここで、工事車両の向きとは、当該向きが赤信号のときに工事車両を出すことが可能であることを意味する。工事車両の台数とは、工事用規制区間に停車する工事車両の台数を向きごとに管理するものである。
【0097】
信号制御情報管理部49dは、信号制御データ48eを管理する処理部である。信号制御情報管理部49dは、制御装置10から信号制御情報を受信したならば、この情報を信号制御データ48eに記憶する。そして、受信した信号制御情報に含まれる信号設定時間のカウントダウンを行う。
【0098】
停車車両情報管理部49eは、停車車両データ48fを管理する処理部である。停車車両情報管理部49eは、制御装置10から停車車両情報を受信したならば、この情報を停車車両データ48fに記憶する。
【0099】
通過車両情報管理部49fは、通過車両状態データ48g及び通過車両数データ48hを管理する処理部である。通過車両情報管理部49fは、制御装置10から通過車両情報を受信した場合に、この通過車両情報の方向が「IN」であれば、受信した通過車両情報を通過車両状態データ48gに記憶する。この際、通過区分を「通過中」として、記憶する。
【0100】
また、通過車両情報管理部49fは、制御装置10から通過車両情報を受信した場合に、この通過車両情報の方向が「OUT」であれば、通過車両状態データ48gの通過区分が「通過中」のデータで最古のデータを抽出し、このデータの通過区分を「通過済」にするとともに、通過距離及び異常状態をクリアして更新する。
【0101】
また、通過車両情報管理部49fは、制御装置10から通過車両情報を受信したならば、通過車両数データ48hの該当する項目に1を加算して更新する。通過車両情報管理部49fは、制御装置10から青信号に信号制御する信号制御情報を受信したならば、通過車両数データ48hをクリアして更新する。なお、通過車両情報管理部49fは、操作表示部41の操作により通過車両状態データ48gや通過車両数データ48hを更新することが可能である。
【0102】
通過距離算出部49gは、工事用規制区間に進入した車両の通過距離を算出する処理部である。通過距離算出部49gは、所定時間(例えば、3秒)ごとに通過車両状態データ48gの通過区分が「通過中」であるデータを抽出し、このデータの時刻と現在時刻との差及び速度を用いて車両の通過距離を算出し、通過車両状態データ48gの通過距離に記憶して更新する。
【0103】
異常状態判定部49hは、工事用規制区間を通過中の車両に関する異常状態の有無を判定する処理部である。異常状態判定部49hは、制御装置10から赤信号に信号制御する信号制御情報を受信してから、青信号に信号制御する信号制御情報を受信するまでの間に、通過車両状態データ48gに新たなデータが追加されたならば、このデータに係る車両を異常状態と判定し、この追加されたデータの異常状態を「有」にして更新する。
【0104】
通信状況管理部49iは、無線通信の状況を管理する処理部である。通信状況管理部49iは、無線通信部47から無線通信の電波強度を受け取り、この電波強度が閾値を下回っていたならば、電波が届かなくなった旨を操作表示部41に表示するとともに、スピーカ46から警告音を発報する。
【0105】
また、通信状況管理部49iは、自端末位置データ48b及び装置位置データ48cの制御装置の位置データを用いて、自端末と制御装置10との距離を算出し、この距離が所定値(例えば、300m)以上となった場合には、通信可能範囲から外れる可能性がある旨を操作表示部41に表示するとともに、スピーカ46から警告音を発報する。
【0106】
情報表示制御部49jは、工事用規制区間における通過車両等の状況に関する表示制御を行う処理部である。情報表示制御部49jは、地図データ48aを用いて、工事用規制区間付近の地図を操作表示部41に表示する。
【0107】
また、情報表示制御部49jは、表示した地図に重畳して次のアイコンを表示する。操作端末40のアイコンを自端末位置データ48bの位置情報を基づいた位置に、制御装置10のアイコンを装置位置データ48cの制御装置の位置情報に基づいた位置に、通過管理装置20のアイコンを装置位置データ48cの通過管理装置の位置情報に基づいた位置に、停車車両データ48fの車両区分に対応する車両のアイコンを停車車両データ48fの検知装置に対応する位置に、それぞれ表示する。なお、停車車両のアイコンには、この車両の車両区分(例えば、「小型車」)を付記して表示する。
【0108】
また、通過車両状態データ48gの通過区分が「通過中」であるデータの車両区分に対応する車両のアイコンを、工事用規制区間の道路上における通過車両状態データ48gの検知装置から通過距離の位置に表示する。なお、通過車両のアイコンには、この車両の車両区分及び速度を付記して表示する。
【0109】
上記の各アイコンの表示は、対応するデータが更新される都度、一旦消去した後に再表示する。なお、通過車両状態データ48gの異常状態が「有」であるデータに係る車両のアイコンは、点滅する等により強調表示するとともに、スピーカ46から警告音を発報する。
【0110】
また、情報表示制御部49jは、表示した地図及びアイコンに重畳して次の情報を表示する。工事車両データ48dを操作表示部41の所定の位置(例えば、左下の位置)に、信号制御情報管理部49dが処理している信号設定時間のカウントダウンを操作表示部41の所定の位置(例えば、右下の位置)に、それぞれ表示する。また、信号制御データ48e及び通過車両数データ48hを合わせた信号機に係る情報を、信号機A及び信号機Bの区分ごとに操作表示部41の左右の端に表示する。この際、地図上に表示した信号機A及び信号機Bの位置に近くなるように、信号機に係る情報の左右の表示位置を設定する。
【0111】
表示方向制御部49kは、操作端末40の向きに応じて表示方向を制御する処理部である。表示方向制御部49kは、電子コンパス43を用いて操作端末40の向きを検知し、情報表示制御部49jにより表示する現在の地図の向きからの変化を算出する。
【0112】
また、表示方向制御部49kは、加速度センサ44を用いて、自端末の傾きが水平±30度の範囲になった場合に、上記で算出した方向の変化が90度以上であったならば、この方向の変化に応じて、表示する地図の向きを変更する。この際、地図上に表示されている各アイコンは、それぞれの位置情報に応じた地図上の位置に表示する一方、工事車両データ48d及び信号設定時間に係る情報は、それぞれ所定の位置に固定して表示する。なお、信号機に係る情報は、地図上に再表示した信号機A及び信号機Bの位置に近くなるように、操作表示部41の左右の表示位置を設定する。
【0113】
また、表示方向制御部49kが、表示する地図の向きを変更する条件は、自端末の傾きが水平±30度の範囲になった場合の他、カメラ45が撮影した交通誘導員の顔が正面を向いたことを条件とすることもできる。また、ボタン操作などにより手動で表示する地図の向きを更新することができる。また、表示する地図の向きを変更した際に、スピーカ46より変更を通知する出力をしたり、操作表示部41に変更を通知する表示をしてもよい。
【0114】
次に、図8に示した操作端末40の記憶部48が記憶するデータの一例について説明する。図9及び図10は、図8に示した自端末位置データ48b、装置位置データ48c、工事車両データ48d、信号制御データ48e、停車車両データ48f、通過車両状態データ48g及び通過車両数データ48hの一例を示す図である。
【0115】
図9(a)に示す自端末位置データ48bは、自端末位置データが「35.67710,139.77320」である状態を示している。
【0116】
図9(b)に示す装置位置データ48cは、制御装置が「35.67674,139.77289」であり、信号機Aが「35.67546,139.77173」であり、信号機Bが「35.67839,139.77381」である状態を示している。
【0117】
図9(c)に示す工事車両データ48dは、方向が「上り方向」に対して、工事車両の台数が「2」台であり、方向が「下り方向」に対して、工事車両の台数が「1」台であることを示している。
【0118】
図9(d)に示す信号制御データ48eは、信号機Aが「赤信号」であり、信号機Bが「青信号」である状態を示している。
【0119】
図9(e)に示す停車車両データ48fは、検知装置「信号機A」に対して、時刻が「2023/6/5 10:20:35」であり、車両区分が「小型車」である状態を対応付け、検知装置が「信号機B」に対して、時刻が「-」であり、車両区分が「-」である状態を対応付けている。
【0120】
図10(a)に示す通過車両状態データ48gは、時刻「2023/6/5 10:20:30」に対して、検知装置が「信号機B」であり、方向が「IN」であり、車両区分が「小型車」であり、速度が「35km/h」であり、通過区分が「通過済」であり、通過距離が「-」であり、異常状態が「-」である状態を対応付けている。
【0121】
また、通過車両状態データ48gは、時刻「2023/6/5 10:20:40」に対して、検知装置が「信号機B」であり、方向が「IN」であり、車両区分が「大型車」であり、速度が「30km/h」であり、通過区分が「通過中」であり、通過距離が「400m」であり、異常状態が「-」である状態を対応付けている。
【0122】
また、通過車両状態データ48gは、時刻「2023/6/5 10:20:50」に対して、検知装置が「信号機B」であり、方向が「IN」であり、車両区分が「中型車」であり、速度が「35km/h」であり、通過区分が「通過中」であり、通過距離が「100m」であり、異常状態が「有」である状態を対応付けている。
【0123】
図10(b)に示す通過車両数データ48hは、検知装置「信号機A」に対して、INの台数が「0」台であり、OUTの台数が「1」台である状態を対応付け、検知装置「信号機B」に対して、INの台数が「3」台であり、OUTの台数が「0」台である状態を対応付けている。
【0124】
<実施形態に係る操作端末40における表示の一例>
次に、本実施形態に係る操作端末40における表示の一例について説明する。図11は、本実施形態に係る操作端末40における表示の一例を示す図である。
【0125】
図11に示すように、操作端末40は、操作表示部41に工事用規制区間付近の地図を表示し、この地図に重畳して制御装置10等の装置や車両のアイコンを表示する。例えば、地図に示された道路付近に、「制御」と記された制御装置10のアイコン、信号機の形をした通過管理装置20のアイコン、「自端末」と記された操作端末40のアイコンを表示する。
【0126】
また、通過管理装置20のアイコン付近で停車する「小型車」と付記された車両のアイコン、道路上を右から左に移動する「大型車、30km/h」と付記された車両のアイコン及び「中型車、35km/h」と付記された車両のアイコンを表示する。
【0127】
また、上記の地図及び各アイコンに重畳して、信号機に係る情報を画面の左右に、工事車両数に係る情報を画面の左下に、信号制御までの残り時間を画面の右下に、それぞれ表示する。なお、信号制御までの残り時間は、カウントダウン表示する。
【0128】
また、自端末が制御装置10から離れた、車両配置により電波を遮断された、などの原因で、電波強度が閾値を下回することで通信可能範囲から外れる恐れがある場合には、画面の左上に「通信可能範囲から外れる恐れがあります」と表示する。
【0129】
<実施形態に係る操作端末40における表示に関する処理手順>
次に、本実施形態に係る操作端末40における表示に関する処理手順について説明する。図12及び図13は、本実施形態に係る操作端末40における表示に関する処理手順を示すフローチャートである。ここでは、工事用規制区間の一方に設置された通過管理装置20に対する、青信号への信号制御から赤信号への信号制御に至るまでの表示に関する処理手順について説明する。
【0130】
図12及び図13に示すように、操作端末40は、制御装置10から、青信号への信号制御情報を受信したならば(ステップS101;Yes)、信号設定時間からの残り時間を計時して表示する(ステップS102)。ここで表示する残り時間は、カウントダウン表示する。
【0131】
制御装置10から、工事用規制区間に侵入する通過車両情報を受信したならば(ステップS103;Yes)、受信した通過車両情報に対応する車両のアイコンとして新たに表示する(ステップS104)。
【0132】
制御装置10から、工事用規制区間から退出する通過車両情報を受信したならば(ステップS105;Yes)、表示している先頭の通過中車両のアイコンを削除する(ステップS106)。そして、通過中の車両の位置を算出して、算出した位置にそれぞれの車両のアイコンを再表示する(ステップS107)。
【0133】
制御装置10から、停車車両情報を受信したならば(ステップS108;Yes)、受信した情報に対応する通過管理装置20のアイコンの前に停車車両のアイコンを表示する(ステップS109)。そして、自端末情報を操作端末40のアイコンとして再表示する(ステップS110)。
【0134】
自端末の向き及び傾きに関して、所定の変化を検知したならば(ステップS111;Yes)、自端末の向きに応じた表示の方向を変更する(ステップS112)。制御装置10から、赤信号への信号制御情報を受信していないならば(ステップS113;No)、ステップS103に移行する。
【0135】
制御装置10から、赤信号への信号制御情報を受信した後(ステップS113;Yes)、工事用規制区間に侵入する通過車両情報を受信したならば(ステップS114;Yes)、進入した車両に関して、受信した通過車両情報に対応する車両のアイコンを異常状態として新たに表示する(ステップS115)。異常状態の表示は、アイコンを点滅する等により強調表示する。
【0136】
通過中の全車両が工事用規制区間から退出していないならば(ステップS116;No)、ステップS114に移行する。通過中の全車両が工事用規制区間から退出したならば(ステップS116;Yes)、処理を終了する。
【0137】
上述してきたように、本実施形態に係る交通誘導システムは、交通誘導員の向く方向を検知して、操作端末における工事用規制区間の地図や信号機の状況等の表示を交通誘導員の向く方向に合致した表示に変更するよう構成したので、工事用規制区間の交通誘導を行う交通誘導員の混乱を防止し、効率的かつ適正な交通誘導を行うことができる。
【0138】
なお、上記の実施形態では、操作端末において、工事用規制区間を通過中の車両の状況を地図上にアイコンとして表示するとともに、通過管理装置を通過した車両数として画面の左右に表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、操作端末において、工事用規制区間を通過中の車両数を音声により報知するよう構成することもできる。また、通過車両の車両区分及び速度を音声により報知するよう構成することもできる。
【0139】
また、上記の実施形態では、操作端末において、工事用規制区間の状況を地図上にアイコンとして表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、交通誘導員から見える範囲を表示するよう構成することもできる。また、表示内容を鳥瞰図として表示するよう構成することもできる。
【0140】
また、上記の実施形態では、操作端末において、工事用規制区間を通過中の車両の状況を地図上にアイコンとして表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、事前に設定した地図上の所定の地区をタップする等で指定することにより、この地区を拡大表示するよう構成することもできる。
【0141】
また、上記の実施形態では、操作端末において、制御装置及び通過管理装置を地図上にアイコンとして表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、制御装置及び通過管理装置に設定したID情報をアイコンに付加して表示するよう構成することもできる。また、このID情報を音声により報知するよう構成することもできる。
【0142】
また、上記の実施形態では、操作端末において、制御装置、通過管理装置、操作端末及び車両を地図上にアイコンとして表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、制御装置、通過管理装置、操作端末及び車両をカメラで撮影し、この撮影した画像を地図上に表示するよう構成することもできる。
【0143】
また、上記の実施形態では、操作端末において、制御装置及び通過管理装置を地図上にアイコンとして表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、制御装置及び通過管理装置を含む各装置周辺の映像をカメラで撮影し、この撮影した映像を操作端末にリアルタイム表示するよう構成することもできる。この際、装置ごとに映像表示の有無を設定できるよう構成することもできる。
【0144】
また、上記の実施形態では、操作端末において、制御装置、通過管理装置及び車両を地図上にアイコンとして表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各装置及び工事用規制区間周辺の人工物や自然物の映像をカメラで撮影し、この撮影した映像を操作端末にリアルタイム表示するよう構成することもできる。また、工事用規制区間に停車又は通過中の車両の映像をカメラで撮影し、この撮影した映像を操作端末にリアルタイム表示するよう構成することもできる。
【0145】
また、上記の実施形態では、操作端末において、制御装置及び通過管理装置の状況を所定の位置に表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、端末装置の地図上に表示された制御装置又は通過管理装置のアイコンをタップすることにより、タップした装置の状態をポップアップ表示するよう構成することもできる。
【0146】
また、上記の実施形態では、操作端末において、通過管理装置の状況を所定の位置に表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、通過管理装置が有するセンサの検知範囲を地図上に扇状の形状で表示するよう構成することもできる。
【0147】
また、上記の実施形態では、操作端末において、制御装置及び通過管理装置の状況を所定の位置に表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、端末装置の地図上に表示された制御装置又は通過管理装置のアイコンをタップすることにより、タップした装置の設定を変更する画面を表示するよう構成することもできる。
【0148】
また、上記の実施形態では、赤信号を無視して工事用規制区間に車両が進入した場合に、この車両を異常状態として操作端末において強調表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。赤信号で停車していた車両が青信号になっても発車しない場合には、この車両を異常状態として操作端末において強調表示するよう構成することもできる。また、操作端末の位置情報を取得できなくなった場合には、この状態を異常状態として、取得できた最後の位置情報の位置に強調表示するよう構成することもできる。
【0149】
また、上記の実施形態では、工事用規制区間付近で1台の操作端末を運用する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、工事用規制区間付近で複数台の操作端末を運用するよう構成することもできる。この場合、各操作端末の操作表示部には、自端末以外の操作端末のアイコンも合わせて表示するよう構成することもできる。
【0150】
また、上記の実施形態では、車両のアイコン表示に付加して車両区分を表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、AIカメラ等により車両の車種を識別した結果を用いて、車両のアイコン表示に付加して車種を表示するよう構成することもできる。
【0151】
また、上記の実施形態では、車両のアイコン表示に付加して、工事用規制区間進入時の速度を表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。工事用規制区間内に設置した速度計等を用いて通過車両の速度変化を検知し、この検知結果及び道路の状況から通過車両の最新の速度を推測することもできる。そして、この推測した速度を車両のアイコン表示に付加して表示するよう構成することもできる。
【0152】
[変形例1]
ところで、上記の実施形態1では、操作端末において、工事用規制区間付近の地図上に各装置や車両の情報を表示する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。工事用規制区間を簡略化して分かりやすく表示するよう構成することもできる。本変形例1では、操作端末における表示について、工事用規制区間を簡略化して分かりやすく表示する交通誘導システムについて、表示の一例をもって説明する。
【0153】
<変形例1に係る操作端末における表示の一例>
本変形例1に係る操作端末における表示の一例について説明する。図14は、本変形例1に係る操作端末における表示の一例を示す図である。
【0154】
図14に示すように、本変形例1に係る操作端末は、工事用規制区間をシンプルな2車線の道路として表示し、工事作業エリアをパイロンのアイコンで表示する。工事用規制区間を通過中の車両数は、「区間内残留車両」として中央の車両アイコンに数値で表示する。
【0155】
また、上り線及び下り線の各信号機に係る情報は、画面の左右に表示する。工事車両数に係る情報は、画面の下部に「工事車両」として表示する。例えば、「工事車両」の左側の「02」は上り方向に2台駐車しており、右側の「01」は下り方向に1台駐車していることを示している。上り方向の工事車両が工事用規制区間に1台出る場合は、上り方向が青信号のときに「+」ボタンを1回クリックすると、「工事車両」の左側は「02」から「01」となり、「区間内残留車両」の数値は1台追加される。また、下り方向の工事車両が2台増える場合は、下り方向が青信号のときに「-」ボタンを2回クリックすると「工事車両」の右側は「01」から「03」となり、「区間内残留車両」の数値は2台減算される。なお、本変形例では「工事車両」を数値のみで表示しているが、道路内に車種を示すアイコンで表示してもよい。さらに、台数の増減はアイコンの数で表示してもよいが、アイコン内に数値を表示してもよい。
【0156】
また、信号制御までの残り時間は画面の最下部に表示する。この信号制御までの残り時間は、カウントダウン表示する。
【0157】
上述してきたように、本変形例1に係る交通誘導システムは、操作端末における表示について、工事用規制区間を簡略化して分かりやすく表示するよう構成したので、工事用規制区間の交通誘導を行う交通誘導員の混乱を防止し、効率的かつ適正な交通誘導を行うことができる。
【0158】
[変形例2]
ところで、上記の実施形態1では、操作端末をタブレット型の端末とした構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、操作端末をスマートグラス等のウエアラブル端末として構成することもできる。本変形例2では、操作端末をスマートグラスとした交通誘導システムについて説明する。
【0159】
本変形例2に係る操作端末であるスマートグラスは、レンズ部分が透過性のディスプレイとなっており、レンズを通した視線方向の背景の前面にディスプレイの情報を表示する。また、スマートグラスは、スマートグラスを装着した交通誘導員の視線方向を検知する。
【0160】
また、スマートグラスは、実施形態1の操作端末と同様に、地図上の工事用規制区間に各装置及び車両のアイコンを表示する。具体的には、スマートグラスのレンズ部分のディスプレイを通じて、実際に見ている光景に各装置及び車両のアイコンを重ねて表示する。スマートグラスは、交通誘導員の視線方向を検知し、この視線方向に応じて、表示する地図の方向を変更する。
【0161】
また、スマートグラスは、瞬間的な視線方向の変更パターンを事前に登録することにより、この変更パターンに応じて、地図の表示方向、表示の拡大、縮小等を行う。
【0162】
また、スマートグラスは、視線方向の人工物や自然物により、工事用規制区間の状況が直視できない場合には、直視できない工事用規制区間に係る各装置、車両の状況をアイコンで表示する。この際、各装置の状況、カメラで撮影した画像やリアルタイム映像を表示するよう構成することもできる。
【0163】
上述してきたように、本変形例2に係る交通誘導システムは、操作端末をスマートグラス等のウエアラブル端末として構成したので、工事用規制区間の交通誘導を行う交通誘導員の混乱を防止し、効率的かつ適正な交通誘導を行うことができる。
【0164】
なお、上記の変形例2では、工事用規制区間に所在する交通誘導員がウエアラブル端末を装着する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、工事用規制区間以外の場所(例えば、遠隔管理センター)に所在する交通誘導員が装着して交通誘導状況を確認するよう構成することもできる。
【0165】
また、上記の実施形態及び変形例1で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明に係る交通誘導システム、操作端末、状態表示方法及び状態表示プログラムは、工事用規制区間の交通誘導を行う交通誘導員の混乱を防止し、効率的かつ適正な交通誘導を行う場合に適している。
【符号の説明】
【0167】
10 制御装置
11 無線通信部
12 表示部
13 操作部
14 スピーカ
15 記憶部
15a 設定データ
15b 信号制御データ
15c 停車車両データ
15d 通過車両データ
16 制御部
16a 設定管理部
16b 信号制御部
16c 停車車両管理部
16d 通過車両管理部
20 通過管理装置
21 接近車両検知センサ
22 通過車両検知センサ
23 表示部
24 スピーカ
25、25a、25b 信号機
26 制御部
26a 停車検知部
26b 通過検知部
26c 車両誘導部
26d 設定部
27 バッテリ
28 キャスター
29 無線通信部
30 操作部
40 操作端末
41 操作表示部
42 GNSS受信部
43 電子コンパス
44 加速度センサ
45 カメラ
46 スピーカ
47 無線通信部
48 記憶部
48a 地図データ
48b 自端末位置データ
48c 装置位置データ
48d 工事車両データ
48e 信号制御データ
48f 停車車両データ
48g 通過車両状態データ
48h 通過車両数データ
49 制御部
49a 自端末位置情報管理部
49b 装置位置情報管理部
49c 工事車両情報管理部
49d 信号制御情報管理部
49e 停車車両情報管理部
49f 通過車両情報管理部
49g 通過距離算出部
49h 異常状態判定部
49i 通信状況管理部
49j 情報表示制御部
49k 表示方向制御部
50 変換器
C1、C2、C3 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14