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特開2025-7650故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007650
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20250109BHJP
   G07D 11/235 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
G07B15/00 H
G07D11/235
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109189
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【テーマコード(参考)】
3E127
3E141
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA40
3E127CA21
3E127CA29
3E141BA12
3E141CA02
3E141CA07
3E141FG03
3E141FG04
(57)【要約】
【課題】料金自動収受機の故障を予知できる故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】故障予知装置は、1又は複数の料金自動収受機から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得する取得部と、取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算する積算部と、積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定する判定部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の料金自動収受機から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得する取得部と、
取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算する積算部と、
積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定する判定部と、
を備える故障予知装置。
【請求項2】
前記所定の回数閾値が、前記貨幣処理部品の部品別に規定された耐久動作回数以下の所定の値である、請求項1に記載の故障予知装置。
【請求項3】
前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定された場合に、前記1又は複数の料金自動収受機のうち、劣化状態であると判定された前記貨幣処理部品を備える警告対象の料金自動収受機についての警告を通知する通知部を、さらに備える、請求項1又は2に記載の故障予知装置。
【請求項4】
前記通知部が、前記警告を通知する際に、劣化状態であると判定された前記貨幣処理部品について積算した前記使用回数を通知する、請求項3に記載の故障予知装置。
【請求項5】
前記通知部が、前記警告を通知する際に、前記警告対象の料金自動収受機が備える全ての前記貨幣処理部品について積算した前記使用回数を通知する、請求項3に記載の故障予知装置。
【請求項6】
前記積算部が、前記貨幣の金種別に規定された所定の係数を前記貨幣処理部品の使用回数に乗じてから積算する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の故障予知装置。
【請求項7】
請求項1又は2のいずれか一項に記載の故障予知装置と、
前記1又は複数の料金自動収受機と、
を備える料金収受システム。
【請求項8】
前記1又は複数の料金自動収受機を遠隔から監視する監視盤が、前記故障予知装置として機能する、請求項7に記載の料金収受システム。
【請求項9】
前記1又は複数の料金自動収受機を遠隔から監視する監視盤を、前記故障予知装置とは別個にさらに備える、請求項7に記載の料金収受システム。
【請求項10】
1又は複数の料金自動収受機から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得するステップと、
取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算するステップと、
積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定するステップと、
を有する故障予知方法。
【請求項11】
故障予知装置のコンピュータに、
1又は複数の料金自動収受機から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得するステップと、
取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算するステップと、
積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等の有料道路の料金所には、利用者から通行料金を収受する料金自動収受機が設置されている場合がある。料金自動収受機は、利用者から現金(紙幣及び硬貨を含む貨幣)による通行料金の支払いを受け付けるとき、投入された現金の金額が通行料金よりも多い場合は、その差額を釣銭として利用者に返却する。
【0003】
料金自動収受機に実装されている紙幣処理ユニット及び硬貨処理ユニットは、物理的に紙幣及び硬貨を搬送する構造になっており、紙幣搬送ベルト、ローラ、及び硬貨選別用モータ等の貨幣処理部品で構成されている。この為、多くの回数使用された貨幣処理部品が消耗して故障した場合には、料金所の運用が停止してしまう可能性がある。
【0004】
料金所の運用が停止してしまう致命的な事態を回避する為に、貨幣処理部品の故障を予知して事前に対応する予知保全の必要性が存在する。例えば、特許文献1には、紙幣処理ユニット及び硬貨処理ユニットの内部に振動を検知するセンサを設け、貨幣処理部品の故障を検知して予知保全する技術が開示されている。
【0005】
また、別の予知保全の技術として、貨幣処理部品の耐用年数を決めて、その耐用年数が経過するタイミングで貨幣処理部品を交換するという運用が採用される場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-164523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、紙幣処理ユニット及び硬貨処理ユニットの内部にセンサを取り付けることは非常にコストがかかる。
また、貨幣処理部品の故障頻度を考慮すると、特許文献1に開示されている技術や、貨幣処理部品の耐用年数に基づく予知保全の技術は、採算性が低いという問題点もある。さらに、貨幣処理部品の耐用年数に基づく予知保全の技術では、各貨幣処理部品の使用回数が考慮されずに、紙幣処理ユニット及び硬貨処理ユニット単位での交換となることが多く、使用回数の少ない貨幣処理部品が交換されてしまい余計なコストがかかるという問題点もある。
【0008】
本開示は、上記課題を解決するためになされるものであって、料金自動収受機が有する貨幣処理部品の故障を予知できる故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る故障予知装置は、1又は複数の料金自動収受機から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得する取得部と、取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算する積算部と、積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定する判定部と、を備える。
【0010】
本開示に係る故障予知方法は、1又は複数の料金自動収受機から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得するステップと、取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算するステップと、積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定するステップと、を有する。
【0011】
本開示に係るプログラムは、故障予知装置のコンピュータに、1又は複数の料金自動収受機から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得するステップと、取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算するステップと、積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムによれば料金自動収受機が有する貨幣処理部品の故障を予知できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムの概略斜視図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る料金自動収受機の機能構成を示す図である。
図3】本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図4】本開示の第1の実施形態に係る故障予知方法の処理の一例を示すシーケンス図である。
図5】本開示の第1の実施形態に係る故障予知装置が記憶する貨幣処理部品の使用回数記憶テーブルの一例である。
図6】本開示の第1の実施形態に係る故障予知装置が参照する貨幣処理部品の耐久動作回数テーブルの一例である。
図7】本開示の変形例1に係る故障予知装置が通知する貨幣処理部品の使用回数グラフの一例である。
図8】本開示の第2の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図9】本開示の各実施形態に係る故障予知装置が備えるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の各実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本開示の第1の実施形態に係る料金収受システム1について、図1図4を参照しながら説明する。
【0016】
(全体構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
本実施形態に係る料金収受システム1は、例えば、有料道路の料金所(入口料金所又は出口料金所)に設けられ、有料道路と一般道路とを接続する車線Lを走行するETC車両A1及び非ETC車両A2の双方から通行料金を収受する。本実施形態に係る車線Lは、電子式料金収受システム(ETC設備2)が設けられたETC専用車線である。なお、他の実施形態では、車線Lは、ETC車両A1及び非ETC車両A2の両方が走行する混在車線であってもよい。
【0017】
なお、本実施形態では、料金収受システム1が出口料金所に設けられている例について説明する。以下、車線Lの延びる方向(±X方向)を「車線方向」と記載する。また、車線方向の有料道路側(-X側)を「上流側」、一般道路側(+X側)を「下流側」とも記載する。更に、車線Lの幅方向(±Y方向)を「車線幅方向」と記載する。
【0018】
また、図1では、料金所に同じ構成の複数の車線Lが設けられている例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金所に1つだけ車線Lが設けられていてもよい。
【0019】
図1に示すように、料金収受システム1は、複数の車線Lの各々に設けられたETC設備2及び料金自動収受機3と、複数の料金自動収受機3を遠隔から監視する監視盤4と、を備えている。本開示の第1の実施形態では、監視盤4が故障予知装置として機能する。
【0020】
(ETC設備の構成)
ETC設備2は、車載器αを搭載するETC車両A1から無線通信を介して通行料金を自動的に収受する第1料金収受処理を実行するための装置群である。具体的には、ETC設備2は、図1に示すように、進入側車両検知器21と、路側アンテナ22と、通信用車両検知器23と、車線サーバ24と、発進制御機25と、退出側車両検知器26と、を備えている。
【0021】
進入側車両検知器21は、車線方向の最も上流側(-X側)の進入検出位置X1おいて、車線Lの両側に設けられたアイランドI上に設置され、車線Lへの車両の進入を検出する。進入側車両検知器21は、例えば図1に示すように透過型の車両検知器であり、車線Lを挟んで対向設置される投光器及び受光器の対を有している。進入側車両検知器21は、投光器から投光された光を受光器が受光したか否かに基づいて、進入検出位置X1における車両の存在の有無を区別可能な検出信号を出力する。進入側車両検知器21は、受光器が光を受光している間は、進入検出位置X1に車両が存在していないことを示す検出信号を出力する。一方、進入側車両検知器21は、受光器が光を受光していない間は、進入検出位置X1に車両が存在することを示す検出信号を出力する。
【0022】
路側アンテナ22は、進入側車両検知器21よりも車線方向の下流側(+X側)の路面上空に設置される。路側アンテナ22は、進入側車両検知器21により、車線Lに車両が進入したことが検出されると、車線L上の所定の通信領域R1に向けて無線通信用の電波を放射する。通信領域R1は、例えば図1に示すように、進入側車両検知器21から通信用車両検知器23までの範囲に設定される。路側アンテナ22は、無線通信を介して、通信領域R1内に存在するETC車両A1の車載器αと第1料金収受処理を実行するための各種命令及び情報の送受信を行う。
【0023】
通信用車両検知器23は、路側アンテナ22よりも車線方向の下流側(+X側)の通信終了位置X2においてアイランドI上に設置され、車両の通信終了位置X2の通過を検出する。通信用車両検知器23は、進入側車両検知器21と同様の機器構成を有している。
通信用車両検知器23により車両が通信終了位置X2を通過したことが検出されると、路側アンテナ22は電波の放射を停止する。
【0024】
車線サーバ24は、ETC車両A1から通行料金を収受する第1料金収受処理を実行する。例えば、車線サーバ24は、路側アンテナ22を介して車載器αからETC車両A1の車種、ETC車両A1が有料道路に進入した位置(入口料金所)及び日時、通行料金の支払い方法(クレジットカード番号等)を含む情報を取得し、これらの情報に基づいてETC車両A1の車種及び走行距離に応じた通行料金の算出、決済等の処理を行う。なお、車線サーバ24は、図1に示すようにアイランドI上に設置されてもよいし、料金所事務所内に設置されてもよい。
【0025】
発進制御機25は、料金自動収受機3よりも車線方向の下流側(+X側)のアイランドI上に設置される。発進制御機25は、車線サーバ24及び料金自動収受機3の開閉指令に従って開閉バーを上げ下げすることにより、車線Lの開放(車両の通行許可)及び閉塞(車両の通行規制)を行う。車線サーバ24は、第1料金収受処理が完了すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、車線サーバ24は、後述の退出側車両検知器26により車両の車線Lからの退出が検出されると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。同様に、料金自動収受機3は、第2料金収受処理において非ETC車両A2から通行料金を収受すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、料金自動収受機3は、第2料金収受処理の終了指示を受け付けると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。
【0026】
退出側車両検知器26は、車線方向の最も下流側(+X側)の退出検出位置X3においてアイランドI上に設置され、車両の退出検出位置X3の通過(車線Lからの退出)を検出する。退出側車両検知器26は、進入側車両検知器21と同様の機器構成を有している。
【0027】
なお、図1には、進入側車両検知器21、通信用車両検知器23、及び退出側車両検知器26が透過型の車両検知器である例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、これらは反射型の車両検知器であってもよい。
【0028】
また、ETC設備2は、従来のETC専用車線又は混在車線に設置済みの既存の機器を利用してもよい。
【0029】
(料金自動収受機の構成)
料金自動収受機3は、ETC設備2による第1料金収受処理で通行料金を収受できない非対象車両から現金(紙幣及び硬貨を含む貨幣)による通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する。非対象車両とは、車載器αを搭載していない非ETC車両A2である。また、ETC車両A1は、第1料金収受処理により通行料金を正しく収受できた正常ETC車両A1aと、第1料金収受処理により通行料金の収受ができなかった異常ETC車両A1bとが存在する。したがって、非対象車両には、異常ETC車両A1bが含まれる。ETC車両A1に対する第1料金収受処理が正常終了しないケースとしては、ETC設備2又は車載器αの故障、通信エラー、車載器αに挿入されたクレジットカードの有効期限切れ等の原因が考えられる。なお、本実施形態では、非対象車両が非ETC車両A2である態様を例として説明する。
【0030】
図1及び図3に示すように、複数の車線Lの各々に設けられた料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)は、インターネット等の通信網を介して監視盤4に接続されている。なお、図1では、料金所に同じ構成の複数の車線Lの各々に複数の料金自動収受機3が設けられている例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金所に1つだけの料金自動収受機3が設けられていてもよい。
図1及び図2に示すように、料金自動収受機3は、カメラ31と、操作受付部32と、料金収受処理部33とを有している。
カメラ31は、非ETC車両A2の車線Lへの進入、及び車線Lからの退出を検出する。
操作受付部32は、利用者(非ETC車両A2の搭乗者)による操作、通行料金の支払い等を受け付ける。例えば、操作受付部32は、通行券の挿入を受け付ける通行券挿入口、現金の支払いを受け付ける現金投入口、釣銭の払い出しを行う釣銭返却口、ICカード(クレジットカード等)の挿入を受け付けるカード挿入口等を有している。
【0031】
料金収受処理部33は、第1料金収受処理で通行料金を収受できない非ETC車両A2(第1料金収受処理の非対象車両)から、通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する。また、料金収受処理部33は、非ETC車両A2から通行料金を収受すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、料金自動収受機3は、第1監視盤4から第2料金収受処理の終了指示を受け付けると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。
【0032】
図2に示すように、料金自動収受機3は、第2料金収受処理の際に利用者から現金として投入された貨幣のうち、受け付けた紙幣を現金投入口から料金自動収受機3の内部の格納箇所に搬送する紙幣処理ユニット35と、受け付けた硬貨を現金投入口から料金自動収受機3の内部の格納箇所に搬送する硬貨処理ユニット36と、を備えている。
【0033】
料金自動収受機3は、投入された現金の金額が通行料金よりも多い場合に、その差額を釣銭として利用者に返却する。この場合に、利用者に返却する貨幣のうち、紙幣は、紙幣処理ユニット35によって料金自動収受機3の内部の格納箇所から釣銭返却口に搬送される。利用者に返却する貨幣のうち、硬貨は、硬貨処理ユニット36によって料金自動収受機3の内部の格納箇所から釣銭返却口に搬送される。
紙幣処理ユニット35及び硬貨処理ユニット36は、物理的に紙幣及び硬貨を搬送する構造になっており、紙幣搬送ベルト、ローラ、及び硬貨選別用モータ等の貨幣処理部品37で構成されている。
【0034】
料金自動収受機3は、第1料金収受処理で通行料金を収受できない非ETC車両A2(第1料金収受処理の非対象車両)から、通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する。料金収受処理部33は、監視盤4からの指示に従い、第2料金収受処理を開始及び終了する。また、料金自動収受機3は、非ETC車両A2から通行料金を収受すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、料金自動収受機3は、監視盤4から第2料金収受処理の終了指示を受け付けると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。
【0035】
料金自動収受機3は、監視盤4からの指示に基づいて、第2料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に通知する。例えば、本開示の実施形態では、料金自動収受機3の内部の格納箇所に初期段階で格納されていた紙幣及び硬貨の枚数と、第2料金収受処理の際に出入りした紙幣及び硬貨との差に基づき、釣銭として用意すべき紙幣及び硬貨の枚数を金種別に通知する。
【0036】
(監視盤の構成)
監視盤4は、料金所事務所等の遠隔地に設置され、インターネット等の通信網を介して料金自動収受機3と接続される。監視盤4は、料金所事務所に駐在する収受員が、料金自動収受機3を遠隔から監視するために用いられる。
本開示の第1の実施形態に係る監視盤4は、後述する故障予知部10を備えることにより、故障予知装置としても機能する。
【0037】
図3に示すように、監視盤4は、表示装置41と、入力装置42と、指示送信部43と、故障予知部10と、を有している。
【0038】
表示装置41は、料金自動収受機3から受信した各種データを表示する。例えば、表示装置41は、料金自動収受機3から非ETC車両A2の進入を通知された場合に、料金自動収受機3が備えるカメラ31が撮影した映像を表示する。また、表示装置41は、料金自動収受機3が第2料金収受処理において取得、生成した各種情報(通行券から読み取った情報、算出された通行料金等)を表示してもよい。
【0039】
入力装置42は、料金所事務所に駐在する収受員による入力操作を受け付ける。入力装置42は、表示装置41が有するタッチパネルであってもよい。入力装置42は、料金自動収受機3から、車線Lに非ETC車両A2が進入したことが通知されると、収受員による第2料金収受処理の開始及び終了を指示する操作を受け付ける。
【0040】
指示送信部43は、入力装置42を介して入力された第2料金収受処理の開始指示、及び終了指示を、料金自動収受機3に送信する。
【0041】
故障予知部10は、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37の故障を予知する。図3に示すように、故障予知部10は、取得部11と、積算部12と、判定部13と、通知部14と、記憶部15と、を有している。
【0042】
取得部11は、料金自動収受機3から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得する。例えば、本開示の実施形態では、監視盤4から料金自動収受機3に指示を送信することで、料金自動収受機3に料金自動収受機3から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に通知させて取得する。
【0043】
積算部12は、取得部11が取得した貨幣情報に基づいて、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37の使用回数を部品別に積算する。
【0044】
判定部13は、積算部12が積算した使用回数に基づいて、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを判定する。
【0045】
通知部14は、判定部13によって貨幣処理部品37が劣化状態であると判定された場合に、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37を備える警告対象の料金自動収受機3についての警告を通知する。
【0046】
記憶部15は、積算部12が積算した貨幣処理部品37の使用回数を記憶する貨幣処理部品の使用回数記憶テーブル100、及び判定部13が参照する貨幣処理部品37の耐久動作回数テーブル200等、故障予知の処理フローで用いられる情報を記憶する。
【0047】
(故障予知方法の処理フロー)
図4は、本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムによる故障予知方法の処理の一例を示すシーケンス図である。
以下、図4を参照しながら、本実施形態に係る料金収受システム1の故障予知方法の処理の流れについて説明する。なお、車線LにETC車両A1が進入した場合は、ETC設備2による料金収受処理(第1料金収受処理)が実行されるが、この場合には、料金自動収受機3から貨幣が出入りせず、故障予知方法の処理が行われない為、説明を省略する。ここでは、車線Lに進入した非ETC車両A2から通行料金を収受する料金収受処理(第2料金収受処理)が実行される場合について説明する。
【0048】
車線Lに非ETC車両A2が進入した場合、カメラ31により非ETC車両A2が停車していることが検出され、料金収受処理(第2料金収受処理)が行われる。具体的には、収受員が監視盤4の表示装置41に表示されたカメラ31の映像を参照して入力装置42を操作し、指示送信部43から料金自動収受機3に料金収受処理の開始指示が送信されることで料金自動収受機3が料金収受処理を行う(ステップS100)。
以下では、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)のうち、料金自動収受機3Aが料金収受処理を行った場合について説明するが、他の料金自動収受機についても同様の処理が行われる。
【0049】
料金自動収受機3での料金収受処理では、料金収受処理部33は、利用者(非ETC車両A2の搭乗者)による操作、現金(紙幣及び硬貨を含む貨幣)による通行料金の支払い等を受け付けることで決済処理が完了する。
料金自動収受機3の紙幣処理ユニット35は、料金収受処理の際に利用者から現金として投入された貨幣のうち、受け付けた紙幣を現金投入口から料金自動収受機3の内部の格納箇所に搬送する。図2に示すように、紙幣処理ユニット35は複数の貨幣処理部品37を備えているが、投入された紙幣の金種によって、搬送に使用される貨幣処理部品37は異なる。
【0050】
料金自動収受機3の硬貨処理ユニット36は、料金収受処理の際に利用者から現金として投入された貨幣のうち、受け付けた硬貨を現金投入口から料金自動収受機3の内部の格納箇所に搬送する。図2に示すように、硬貨処理ユニット36は複数の貨幣処理部品37を備えているが、投入された硬貨の金種によって、搬送に使用される貨幣処理部品37は異なる。
【0051】
料金自動収受機3に投入された現金の金額が通行料金よりも多い場合は、その差額は釣銭返却口から釣銭として利用者に返却される。
料金自動収受機3の紙幣処理ユニット35は、釣銭として利用者に返却される貨幣のうちの紙幣を、料金自動収受機3の内部の格納箇所から釣銭返却口に搬送する。図2に示すように、紙幣処理ユニット35は複数の貨幣処理部品37を備えているが、返却される紙幣の金種によって、搬送に使用される貨幣処理部品37は異なる。
【0052】
料金自動収受機3の硬貨処理ユニット36は、釣銭として利用者に返却される貨幣のうちの硬貨を、料金自動収受機3の内部の格納箇所から釣銭返却口に搬送する。図2に示すように、硬貨処理ユニット36は複数の貨幣処理部品37を備えているが、返却される硬貨の金種によって、搬送に使用される貨幣処理部品37は異なる。
【0053】
料金自動収受機3での料金収受処理が完了したタイミングで、監視盤4の取得部11は、料金自動収受機3から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得する(ステップS101)。本開示の実施形態では、監視盤4の取得部11は、料金自動収受機3に指示を送信することで、料金自動収受機3に料金自動収受機3から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に通知させて取得する。監視盤4の取得部11は、取得した貨幣に関する貨幣情報を記憶部15に記憶する。
例えば、監視盤4の取得部11は、釣銭として補充すべき貨幣の金種情報を通知するように料金自動収受機3に指示を送信することで、料金自動収受機3から釣銭として補充すべき貨幣の金種情報を取得し、記憶部15に記憶する。釣銭として補充すべき貨幣の金種情報は、料金自動収受機3に最初に格納されていた(即ち、初期値として設定されて実際に料金自動収受機3に格納されていた)貨幣の各金種の枚数から、料金自動収受機3での料金収受処理の際に貨幣が出入りしたことにより不足することになった貨幣の各金種の枚数の不足分の情報である。
【0054】
このように、今回の料金収受処理が完了するタイミングで取得した貨幣の各金種の枚数の不足分の情報と、前回の料金収受処理が完了するタイミングで取得して記憶部15に記憶されている貨幣の各金種の枚数の不足分の情報と、の差分から、今回の料金収受処理の際に出入りした貨幣の各金種の枚数を算出することができる。また、釣銭が料金自動収受機3に補充された直後では、今回の料金収受処理が完了するタイミングで取得した貨幣の各金種の枚数の不足分の情報をそのまま今回の料金収受処理の際に出入りした貨幣の各金種の枚数とすることができる。料金自動収受機3に初期値として設定される貨幣の各金種の枚数は、記憶部15に予め記憶されていてもよいし、所定のタイミングで監視盤4の取得部11が取得してもよい。
【0055】
次に、監視盤4の積算部12は、取得部11が取得した貨幣情報に基づいて、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37の使用回数を部品別に積算する(ステップS102)。本開示の実施形態では、監視盤4の積算部12は、取得部11が今回の料金収受処理が完了するタイミングで取得した貨幣の各金種の枚数の不足分の情報に基づいて、今回の料金収受処理の際に出入りした貨幣の各金種の枚数を算出する。また、監視盤4の積算部12は、算出した貨幣の各金種の枚数に基づいて、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37の使用回数を部品別に積算して記憶部15に記憶されている貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100を更新する。
【0056】
以下、今回の料金収受処理が完了するタイミングで取得部11が取得した貨幣の各金種の枚数の不足分の情報に基づいて、監視盤4の積算部12が、今回の料金収受処理の際に出入りした貨幣の各金種の枚数を算出する手順について具体例で説明する。
例えば、釣銭が補充された直後に料金自動収受機3に最初に格納されていた(即ち、初期値として設定されて実際に料金自動収受機3に格納されていた)貨幣の各金種の枚数が、五千円札20枚、千円札100枚、500円硬貨50枚、100円硬貨100枚、50円硬貨50枚、及び10円硬貨100枚だとする。
ここで、例えば、今回の通行料金が2560円である場合には、利用者が料金自動収受機3に一万円札を1枚投入し、7440円の釣銭として、五千円札1枚、千円札2枚、500円硬貨0枚、100円硬貨4枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨4枚が料金自動収受機3の釣銭返却口が返却される。この場合、監視盤4の取得部11は、料金自動収受機3から、貨幣の各金種の枚数の不足分の情報として、五千円札1枚、千円札2枚、500円硬貨0枚、100円硬貨4枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨4枚という情報を取得し、記憶部15に記憶する。
釣銭が料金自動収受機3に補充された直後であるので、監視盤4の積算部12は、記憶部15を参照し、今回の料金収受処理が完了するタイミングで取得した貨幣の各金種の枚数の不足分の情報(五千円札1枚、千円札2枚、500円硬貨0枚、100円硬貨4枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨4枚)をそのまま今回の料金収受処理の際に出入りした貨幣の各金種の枚数として算出する。なお、監視盤4の積算部12は、記憶部15を参照することにより、前回の料金収受処理が完了するタイミングで取得部11が取得した貨幣の各金種の枚数の不足分の情報がないことから、釣銭が料金自動収受機3に補充された直後であると判定できる。
【0057】
さらに次の利用者から通行料金の料金収受処理が行われる場合を考える。例えば、その通行料金が1500円である場合に、利用者が料金自動収受機3に五千円札を1枚投入し、3500円の釣銭として、五千円札0枚、千円札3枚、500円硬貨1枚、100円硬貨0枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨0枚が料金自動収受機3の釣銭返却口が返却されるとする。この場合、監視盤4の取得部11は、料金自動収受機3から、貨幣の各金種の枚数の不足分の情報として、五千円札0枚、千円札5枚、500円硬貨1枚、100円硬貨4枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨4枚という情報を取得し、記憶部15に記憶する。
監視盤4の積算部12は、記憶部15を参照し、今回の料金収受処理が完了するタイミングで取得部11が取得した貨幣の各金種の枚数の不足分の情報(五千円札0枚、千円札5枚、500円硬貨1枚、100円硬貨4枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨4枚)と、前回の料金収受処理が完了するタイミングで取得部11が取得した貨幣の各金種の枚数の不足分の情報(五千円札1枚、千円札2枚、500円硬貨0枚、100円硬貨4枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨4枚)と、の差分から、今回の料金収受処理の際に出入りした貨幣の各金種の枚数を五千円札-1枚、千円札3枚、500円硬貨1枚、100円硬貨0枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨0枚)と算出する。
なお、料金収受処理の際に出入りした貨幣の金種の枚数は、料金自動収受機3から出て減った枚数を示しているので、数値がマイナスである場合には、料金自動収受機3に入って増えた枚数を意味する。
【0058】
本開示の実施形態では、監視盤4の取得部11が取得する料金自動収受機3から釣銭として補充すべき貨幣の金種情報は、五千円札、千円札、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、及び10円硬貨だけであり、一万円札についての情報が含まれていない。この為、料金収受処理の際に出入りした一万円札の枚数については、例えば、監視盤4の取得部11が、通行料金の金額情報を別途取得し、五千円札、千円札、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、及び10円硬貨についての貨幣の各金種の枚数の不足分の情報を参照することにより、監視盤4の積算部12が算出してよい。
最終的に、監視盤4の積算部12は、今回の料金収受処理の際に出入りした貨幣の各金種の枚数を一万円札0枚、五千円札-1枚、千円札3枚、500円硬貨1枚、100円硬貨0枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨0枚と算出する。
【0059】
次に、算出した貨幣の各金種の枚数に基づいて、監視盤4の積算部12が、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算して記憶部15に記憶されている貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100を更新する手順について図5を用いて説明する。
図5は、本開示の第1の実施形態に係る故障予知装置である監視盤4が記憶部15に記憶する貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブルの一例である。
記憶部15には、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)の各々について、図5に示す貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100が別個に記憶されている。
上述したように、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)のうち、料金自動収受機3Aが料金収受処理を行った場合についての処理の場合、料金自動収受機3Aについての貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100が更新対象となる。
【0060】
図5に示すように、貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100は、縦の列が貨幣処理部品37の貨幣処理部品名を示し、横の行が貨幣(紙幣及び硬貨)の金種を示している。例えば、使用回数記憶テーブル100において、貨幣処理部品名が搬送用ベルトAであり、金種が1000円である項目には、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトAの使用回数が記録される。なお、異なる金種で共通して使用される貨幣処理部品37については、同じ使用回数が記録されることになる。例えば、千円札、五千円札、及び一万円札の搬送に共通して使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトBの使用回数はいずれも45000回と記録されている。
【0061】
監視盤4の積算部12は、取得部11が取得した貨幣情報に基づいて、今回の料金収受処理の際に出入りした貨幣の各金種の枚数を算出した後に、算出したこの情報から料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37の使用回数を部品別に積算する。
上述したように、料金収受処理の際に投入された貨幣の金種によって、貨幣の搬送に使用される貨幣処理部品37は異なる。同様に料金収受処理の際に返却される貨幣の金種によって、貨幣の搬送に使用される貨幣処理部品37は異なる。
例えば、千円札が投入される場合には、紙幣処理ユニット35が備える貨幣処理部品37のうち、搬送用ベルトA、搬送用ベルトB、及び搬送用ローラAが用いられる。また、千円札が返却される場合には、紙幣処理ユニット35が備える貨幣処理部品37のうち、搬送用ベルトB、搬送用ベルトC、及び搬送用ローラBが用いられる。
貨幣の金種と貨幣の搬送に用いられる貨幣処理部品37との関係を示す関連情報は記憶部15に記憶されていてよい。
【0062】
監視盤4の積算部12は、今回の料金収受処理の際に出入りした貨幣の各金種の枚数を一万円札0枚、五千円札-1枚、千円札3枚、500円硬貨1枚、100円硬貨0枚、50円硬貨0枚、及び10円硬貨0枚と算出しているので、算出した情報に基づいて、図5に示す使用回数記憶テーブル100の各項目を積算する。即ち、積算部12は、図5に示す使用回数記憶テーブル100において、五千円札の投入に使用される各貨幣処理部品37の回数を1つ積算し、千円札の返却に使用される各貨幣処理部品37の回数を3つ積算し、500円硬貨の返却に使用される各貨幣処理部品37の回数を1つ積算する。
【0063】
次に、監視盤4の判定部13は、積算部12が積算した使用回数に基づいて、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを判定する(ステップS103)。
具体的には、積算部12が積算して図5に示す貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100を更新した後に、判定部13は、積算部12が積算した使用回数が所定の回数閾値以上であるか否かを判定する。
所定の回数閾値は、貨幣処理部品37の部品別に規定された耐久動作回数以下の所定の値であってよい。本開示の実施形態では、貨幣処理部品37の部品別に規定された耐久動作回数の70%の値が所定の回数閾値として設定される。なお、所定の回数閾値は、貨幣処理部品37の部品別に規定された耐久動作回数の70%以外の値であってよいし、部品別に異なる値であってもよい。
【0064】
判定部13が上記判定に用いる所定の回数閾値について図6を用いて説明する。
図6は、本開示の第1の実施形態に係る故障予知装置が参照する貨幣処理部品37の耐久動作回数テーブルの一例である。
記憶部15には、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)の各々について、図6に示す貨幣処理部品37の耐久動作回数テーブル200が別個に記憶されている。
【0065】
図6に示すように、貨幣処理部品37の耐久動作回数テーブル200は、縦の列が貨幣処理部品37の貨幣処理部品名を示し、横の行が貨幣(紙幣及び硬貨)の金種を示している。例えば、耐久動作回数テーブル200において、貨幣処理部品名が搬送用ベルトAであり、金種が1000円である項目には、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37の耐久動作回数として100000回が記憶されている。なお、異なる金種で共通して使用される貨幣処理部品37については、同じ耐久動作回数が記憶されている。例えば、千円札、五千円札、及び一万円札の搬送に共通して使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトBの耐久動作回数はいずれも80000回と記憶されている。
【0066】
上述したように、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)のうち、料金自動収受機3Aが料金収受処理を行った場合についての処理の場合、判定部13は、料金自動収受機3Aについての貨幣処理部品37の耐久動作回数テーブル200を参照して上記判定を行う。
【0067】
図6を参照すると、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトAの耐久動作回数は100000回であるので、所定の回数閾値はその70%の70000回となる。また、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトBの耐久動作回数は80000回であるので、所定の回数閾値はその70%の56000回となる。
図5に示す貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100では、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトAの使用回数が70000回であり、所定の回数閾値の70000以上であるので(ステップS103のYES)、判定部13は、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトAが劣化状態であると判定する(ステップS104)。
一方、図5に示す貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100では、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトBの使用回数が45000回であり、所定の回数閾値の56000以上ではないので(ステップS103のNO)、判定部13は、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトBが劣化状態でないと判定し、図4に示すように故障予知方法の処理フローの処理はステップS100の前に戻る。
【0068】
判定部13により貨幣処理部品37が劣化状態であると判定された場合に、監視盤4の通知部14は、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)のうち、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37を備える警告対象の料金自動収受機3Aについての警告を保守員に通知する(ステップS105)。
上述したように、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)のうち、料金自動収受機3Aが料金収受処理を行った場合の処理において、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトAが劣化状態であると判定されたので、通知部14は、警告対象の料金自動収受機3Aについての警告を保守員に通知する。
本開示の実施形態では、監視盤4の通知部14が、保守員に警告を通知する際に、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37について積算した使用回数を通知する。具体的には、通知部14は、料金自動収受機3Aが備える、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトAの使用回数が70000回である旨を通知する。通知部14は、例えば、監視盤4の表示装置41を介して保守員に警告を通知してよい。この場合、通知部14からの通知により、表示装置41には、料金自動収受機3Aが千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトAの使用回数が70000回である点と、当該搬送ベルトAを交換することを促すメッセージが表示されてよい。
なお、通知部14は、料金自動収受機3Aに警告を通知してもよい。この場合、保守員には、料金自動収受機3Aを介して警告が通知される。さらに、料金自動収受機3Aから監視盤4の表示装置41に警告が通知されてもよい。
【0069】
警告対象の料金自動収受機3Aについての警告が通知された保守員は、劣化状態であると判定された料金自動収受機3Aの貨幣処理部品37を交換する(ステップS106)。
【0070】
保守員により、劣化状態であると判定された料金自動収受機3Aの貨幣処理部品37が交換された後、交換された貨幣処理部品37の使用回数をリセットする(ステップS107)。
具体的には、図5に示す貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100において、千円札の搬送に使用される貨幣処理部品37である搬送用ベルトAの使用回数が0回にリセットされる。本開示の実施形態では、劣化状態であると判定された料金自動収受機3Aの貨幣処理部品37を交換した後に、保守員が入力装置42を介して図5に示す貨幣処理部品37の使用回数記憶テーブル100における交換された貨幣処理部品37の使用回数をリセットする。しかしながら、例えば、故障予知部10が、料金自動収受機3Aの貨幣処理部品37の交換を検知して自動的に交換された貨幣処理部品37の使用回数をリセットしてもよい。
【0071】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る故障予知装置(監視盤4)の取得部11は、1又は複数の料金自動収受機3から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得する。また、積算部12は、取得部11が取得した貨幣情報に基づいて、1又は複数の料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37の使用回数を部品別に積算する。さらに、判定部13は、積算部12が積算した使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、貨幣処理部品37が劣化状態であると判定する。
【0072】
このようにすることで、本実施形態に係る故障予知装置(監視盤4)は、料金自動収受機3が有する各貨幣処理部品37の使用回数を考慮し、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別に定量的に精度よく判定できる。従って、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37が消耗して故障する前に故障を予知して事前に交換する等の予知保全をすることができる。これにより、料金所の運用が停止してしまう事態を回避できる。
また、貨幣処理部品の耐用年数が経過するタイミングで貨幣処理部品を交換する従来技術の場合のように紙幣処理ユニット35及び硬貨処理ユニット36単位での交換をせずに、劣化状態である可能性の高い貨幣処理部品37の交換だけを交換することができるので余計なコストを削減することができる。
さらに、貨幣処理部品37の使用頻度が高い場合と低い場合との両方の場合に、適切な交換タイミングを把握することができる。
【0073】
また、本実施形態の一例によれば、所定の回数閾値は、貨幣処理部品37の部品別に規定された耐久動作回数以下の所定の値であってよい。
【0074】
このようにすることで、本実施形態に係る故障予知装置(監視盤4)は、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別により精度よく判定できる。
【0075】
また、本実施形態に係る故障予知装置(監視盤4)の通知部14は、貨幣処理部品37が劣化状態であると判定された場合に、1又は複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)のうち、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37を備える警告対象の料金自動収受機3Aについての警告を通知する。
【0076】
このようにすることで、保守員は、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)が備える各貨幣処理部品37のうち、いずれが劣化状態であるかを容易に把握し、劣化状態である貨幣処理部品37を迅速に交換できる。
また、保守員が、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)の各々を個別に点検確認する作業が不要になる。
【0077】
また、本実施形態に係る故障予知装置(監視盤4)の通知部14は、警告を通知する際に、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37について積算した使用回数を通知する。
【0078】
このようにすることで、保守員は、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37についてすぐに交換が必要であるか、交換までに時間的に余裕があるか等、貨幣処理部品37の交換の緊急性を判断することができる。また、所定の回数閾値を予め低く設定している場合には、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37について積算した使用回数を確認することで余裕を持って交換の対応をすることができる。
【0079】
また、本実施形態に係る料金収受システム1は、故障予知装置である監視盤4と、1又は複数の料金自動収受機と、を備える。
【0080】
このようにすることで、本実施形態に係る故障予知装置(監視盤4)を備える料金収受システム1は、料金自動収受機3が有する各貨幣処理部品37の使用回数を考慮し、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別に定量的に精度よく判定できる。従って、貨幣処理部品37が消耗して故障し、料金所の運用が停止してしまう事態を回避できる。
また、貨幣処理部品の耐用年数が経過するタイミングで貨幣処理部品を交換する従来技術の場合のように紙幣処理ユニット35及び硬貨処理ユニット36単位での交換をせずに、劣化状態である可能性の高い貨幣処理部品37の交換だけを交換することができるので余計なコストを削減することができる。
さらに、貨幣処理部品37の使用頻度が高い場合と低い場合との両方の場合に、適切な交換タイミングを把握することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る料金収受システム1は、1又は複数の料金自動収受機3を遠隔から監視する監視盤4が、故障予知装置として機能する。
【0082】
このようにすることで、料金収受システム1は、既存の監視盤4に故障予知装置としての機能(故障予知部10)を追加するだけで、低費用で非常に容易に貨幣処理部品の故障を検知する予知保全を実現することができる。
【0083】
(変形例1)
本実施形態の一例では、監視盤4の通知部14が、保守員に警告を通知する際に、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37について積算した使用回数を通知するが、変形例として、通知部14は、警告を通知する際に、警告対象の料金自動収受機3Aが備える全ての貨幣処理部品37について積算した使用回数を通知してもよい。
【0084】
このようにすることで、警告が通知された保守員は、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37以外の料金自動収受機3Aが有する他の貨幣処理部品37の使用回数を確認し、必要に応じて余裕を持って交換する等の予知保全を実施することができる。
【0085】
例えば、通知部14は、図7に示すグラフの形式で警告対象の料金自動収受機3Aが備える全ての貨幣処理部品37について積算した使用回数を通知してもよい。
図7は、本開示の変形例に係る故障予知装置である監視盤4が通知する貨幣処理部品37の使用回数グラフの一例である。
図7に示す使用回数グラフGでは、警告対象の料金自動収受機3Aが備える全ての貨幣処理部品37が金種別に棒グラフとして表示されている。各棒グラフ自体の高さは、各貨幣処理部品37の耐久動作回数を示し、各棒グラフの中で黒塗りの高さは、各貨幣処理部品37の使用回数を示す。
【0086】
このようにすることで、警告が通知された保守員は、警告対象の料金自動収受機3Aが備える全ての貨幣処理部品37の使用回数を非常に容易に把握し、交換の必要性について的確に判断することができる。
【0087】
(変形例2)
本実施形態の一例では、監視盤4の積算部12が、取得部11が取得した貨幣情報に基づいて、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37の使用回数を部品別に積算する際に、使用回数をそのまま積算するが、変形例として、積算部12は、貨幣の金種別に規定された所定の係数を貨幣処理部品37の使用回数に乗じてから積算してもよい。
【0088】
このようにすることで、金種による貨幣処理部品37の摩耗度合いをより正確に反映し、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別により精度よく判定できる。また、貨幣処理部品37の交換頻度を抑制することによるコスト削減もできる。
具体的には、貨幣処理部品37の摩耗度合いがより高い金種についての所定の係数が、貨幣処理部品37の摩耗度合いのより低い金種についての所定の係数よりも高くなるように設定してよい。
例えば、異なる金種で共通して使用される貨幣処理部品37については、金種が千円札である場合には、使用回数に乗じる所定の係数を0.5とし、金種が五千円札及び一万円札である場合には、使用回数に乗じる所定の係数を0.2とすることで、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かをより精度よく判定できる。
なお、貨幣処理部品37の使用回数に乗じる貨幣の金種別に規定される所定の係数は、任意の値が規定されてよい。例えば、貨幣の大きさ、重量、及び硬度等の貨幣の性質に基づいた値を設定してもよい。
【0089】
<第2の実施形態>
以下、本開示の第2の実施形態に係る料金収受システム1について、図8を参照しながら説明する。
図8は、本開示の第2の実施形態に係る料金収受システム1の機能構成を示す図である。
本開示の第2の実施形態に係る料金収受システム1の構成は、以下に説明する点を除いて、第1の実施形態と同様である。
【0090】
図8に示すように、1又は複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)を遠隔から監視する監視盤4を、故障予知装置10とは別個にさらに備えていてよい。
即ち、第1の実施形態では、監視盤4が故障予知装置として機能しているが、第2の実施形態に係る料金収受システム1では、図8に示すように、監視盤4と故障予知装置10Aとが別個の分離した装置になっている。なお、第2の実施形態に係る故障予知装置10Aは、第1の実施形態に係る故障予知部10と同様に取得部11と、積算部12と、判定部13と、通知部14と、記憶部15と、を有しており、これらの構成要素は故障予知部10と同様に機能する。
【0091】
(作用効果)
本開示の第2の実施形態に係る料金収受システム1は、第1の実施形態と同様な作用及び効果を有する。
さらに、第2の実施形態に係る料金収受システム1では、1又は複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)を遠隔から監視する監視盤4を、故障予知装置10とは別個にさらに備えることにより、故障予知装置10の監視盤4への取り付け及び取り外しが容易になる。これにより、必要な期間だけ故障予知装置10の監視盤4に取り付けて故障予知を実施することが可能になる。
なお、図8では、料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)と故障予知装置10との間に監視盤4が接続されているが、故障予知装置10が料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)と監視盤4との間に接続される構成にしてもよい。
【0092】
<他の変形例>
上述の各実施形態の一例では、紙幣処理ユニット35及び硬貨処理ユニット36が備える貨幣処理部品3が紙幣搬送ベルト、ローラ、及び硬貨選別用モータ等である場合について説明したが、紙幣処理ユニット35及び硬貨処理ユニット36が備える貨幣処理部品3はその他の部品であってもよい。
上述の各実施形態の一例では、取得部11は、釣銭として補充すべき貨幣の金種情報を通知するように料金自動収受機3に指示を送信することで、料金自動収受機3から釣銭として補充すべき貨幣の金種情報を取得しているが、指示を送信せずに料金自動収受機3から料金自動収受機3から釣銭として補充すべき貨幣の金種情報が取得部11に送信されて取得してもよい。
また、取得部11が料金自動収受機3から取得する料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報は、釣銭として補充すべき貨幣の金種情報以外の情報であってもよい。例えば、料金自動収受機3が料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を記録し、取得部11が取得してもよい。
【0093】
上述の各実施形態の一例では、取得部11が料金自動収受機3から取得する料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報は、一万円札についての情報が含まれていないが、取得部11が料金自動収受機3から取得する料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報に一万円札についての情報が含まれていてもよい。
【0094】
上述の各実施形態の一例では、故障予知装置(故障予知部)10は、一万円札、五千円札、千円札、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、及び10円硬貨についての情報を処理しているが、故障予知装置(故障予知部)10が処理する紙幣及び硬貨の種類はこれら以外の種類であってもよい。例えば、紙幣の種類に二千円札が含まれていてもよい。
【0095】
上述の各実施形態の一例では、料金自動収受機3での料金収受処理が完了したタイミングで、取得部11は、料金自動収受機3から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得するが、取得するタイミングはその他のタイミングであってもよい。例えば、取得部11は、料金収受処理が完了してから所定時間後に取得してもよいし、料金自動収受機3での料金収受処理が完了したタイミングとは関係なく定期的に取得してもよい。
【0096】
上述の各実施形態の一例では、料金自動収受機3での料金収受処理が完了したタイミングで、取得部11は、料金自動収受機3から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得するが、取得するタイミングはその他のタイミングであってもよい。例えば、取得部11は、料金収受処理が完了してから所定時間後に取得してもよいし、料金自動収受機3での料金収受処理が完了したタイミングとは関係なく定期的に取得してもよい。
【0097】
<ハードウェア構成>
図9は、本開示の一実施形態に係る料金自動収受機3、監視盤4、及び故障予知装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図9に示すように、コンピュータ900は、プロセッサ901、メインメモリ902、ストレージ903、インタフェース904を備える。
【0098】
上述の各実施形態に係る料金収受システム1を構成する機器(料金自動収受機3、監視盤4、及び故障予知装置10)は、それぞれコンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ903に記憶されている。プロセッサ901は、プログラムをストレージ903から読み出してメインメモリ902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ902に確保する。
【0099】
プログラムは、コンピュータ900に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。たとえば、プログラムは、ストレージ903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ900は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ901によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0100】
ストレージ903の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部メディア910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムをメインメモリ902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0101】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0102】
<その他の実施形態>
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれる。
【0103】
<付記>
各実施形態に記載の故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0104】
(1)第1の態様に係る故障予知装置4は、1又は複数の料金自動収受機3から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得する取得部11と、取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機3が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算する積算部12と、積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定する判定部13と、を備える。
【0105】
このようにすることで、本実施形態に係る故障予知装置(監視盤4)は、料金自動収受機3が有する各貨幣処理部品37の使用回数を考慮し、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別に定量的に精度よく判定できる。従って、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37が消耗して故障する前に故障を予知して事前に交換する等の予知保全をすることができる。これにより、料金所の運用が停止してしまう事態を回避できる。
また、貨幣処理部品の耐用年数が経過するタイミングで貨幣処理部品を交換する従来技術の場合のように紙幣処理ユニット35及び硬貨処理ユニット36単位での交換をせずに、劣化状態である可能性の高い貨幣処理部品37の交換だけを交換することができるので余計なコストを削減することができる。
さらに、貨幣処理部品37の使用頻度が高い場合と低い場合との両方の場合に、適切な交換タイミングを把握することができる。
【0106】
(2)第2の態様に係る故障予知装置4は、前記所定の回数閾値が、前記貨幣処理部品37の部品別に規定された耐久動作回数以下の所定の値である、(1)の故障予知装置4である。
【0107】
このようにすることで、本実施形態に係る故障予知装置(監視盤4)は、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別により精度よく判定できる。
【0108】
(3)第3の態様に係る故障予知装置4は、前記貨幣処理部品37が劣化状態であると判定された場合に、前記1又は複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)のうち、劣化状態であると判定された前記貨幣処理部品37を備える警告対象の料金自動収受機3Aについての警告を通知する通知部14を、さらに備える、(1)又は(2)の故障予知装置4である。
【0109】
このようにすることで、保守員は、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)が備える各貨幣処理部品37のうち、いずれが劣化状態であるかを容易に把握し、劣化状態である貨幣処理部品37を迅速に交換できる。
また、保守員が、複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)の各々を個別に点検確認する作業が不要になる。
【0110】
(4)第4の態様に係る故障予知装置4は、前記通知部14が、前記警告を通知する際に、劣化状態であると判定された前記貨幣処理部品37について積算した前記使用回数を通知する、(3)に記載の故障予知装置4である。
【0111】
このようにすることで、保守員は、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37についてすぐに交換が必要であるか、交換までに時間的に余裕があるか等、貨幣処理部品37の交換の緊急性を判断することができる。また、所定の回数閾値を予め低く設定している場合には、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37について積算した使用回数を確認することで余裕を持って交換の対応をすることができる。
【0112】
(5)第5の態様に係る故障予知装置4は、前記通知部14が、前記警告を通知する際に、前記警告対象の料金自動収受機3Aが備える全ての前記貨幣処理部品37について積算した前記使用回数を通知する、(3)に記載の故障予知装置4である。
【0113】
このようにすることで、警告が通知された保守員は、劣化状態であると判定された貨幣処理部品37以外の料金自動収受機3Aが有する他の貨幣処理部品37の使用回数を確認し、必要に応じて余裕を持って交換する等の予知保全を実施することができる。
【0114】
(6)第6の態様に係る故障予知装置4は、前記積算部12が、前記貨幣の金種別に規定された所定の係数を前記貨幣処理部品37の使用回数に乗じてから積算する、(1)から(5)のいずれかの故障予知装置4である。
【0115】
このようにすることで、金種による貨幣処理部品37の摩耗度合いをより正確に反映し、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別により精度よく判定できる。また、貨幣処理部品37の交換頻度を抑制することによるコスト削減もできる。
具体的には、貨幣処理部品37の摩耗度合いがより高い金種についての所定の係数が、貨幣処理部品37の摩耗度合いのより低い金種についての所定の係数よりも高くなるように設定してよい。
【0116】
(7)第7の態様に係る料金収受システム1は、(1)から(6)のいずれかの故障予知装置4と、前記1又は複数の料金自動収受機3と、を備える。
【0117】
このようにすることで、本実施形態に係る料金収受システム1は、料金自動収受機3が有する各貨幣処理部品37の使用回数を考慮し、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別に定量的に精度よく判定できる。従って、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37が消耗して故障する前に故障を予知して事前に交換する等の予知保全をすることができる。これにより、料金所の運用が停止してしまう事態を回避できる。
また、貨幣処理部品の耐用年数が経過するタイミングで貨幣処理部品を交換する従来技術の場合のように紙幣処理ユニット35及び硬貨処理ユニット36単位での交換をせずに、劣化状態である可能性の高い貨幣処理部品37の交換だけを交換することができるので余計なコストを削減することができる。
さらに、貨幣処理部品37の使用頻度が高い場合と低い場合との両方の場合に、適切な交換タイミングを把握することができる。
【0118】
(8)第8の態様に係る料金収受システム1は、前記1又は複数の料金自動収受機3を遠隔から監視する監視盤4が、前記故障予知装置4として機能する、(7)の料金収受システム1である。
【0119】
このようにすることで、料金収受システム1は、既存の監視盤4に故障予知装置としての機能(故障予知部10)を追加するだけで、低費用で非常に容易に貨幣処理部品の故障を検知する予知保全を実現することができる。
【0120】
(9)第9の態様に係る料金収受システム1は、前記1又は複数の料金自動収受機3を遠隔から監視する監視盤4を、前記故障予知装置10とは別個にさらに備える、(7)の料金収受システム1である。
【0121】
本態様によれば、料金収受システム1は、1又は複数の料金自動収受機3(3A、3B、・・・、3N)を遠隔から監視する監視盤4を、故障予知装置10とは別個にさらに備えることにより、故障予知装置10の監視盤4への取り付け及び取り外しが容易になる。これにより、必要な期間だけ故障予知装置10の監視盤4に取り付けて故障予知を実施することが可能になる。
【0122】
(10)第10の態様に係る故障予知方法は、1又は複数の料金自動収受機から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得するステップと、取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算するステップと、積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定するステップと、を有する。
【0123】
このようにすることで、本実施形態に係る故障予知方法は、料金自動収受機3が有する各貨幣処理部品37の使用回数を考慮し、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別に定量的に精度よく判定できる。従って、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37が消耗して故障する前に故障を予知して事前に交換する等の予知保全をすることができる。これにより、料金所の運用が停止してしまう事態を回避できる。
また、貨幣処理部品の耐用年数が経過するタイミングで貨幣処理部品を交換する従来技術の場合のように紙幣処理ユニット35及び硬貨処理ユニット36単位での交換をせずに、劣化状態である可能性の高い貨幣処理部品37の交換だけを交換することができるので余計なコストを削減することができる。
さらに、貨幣処理部品37の使用頻度が高い場合と低い場合との両方の場合に、適切な交換タイミングを把握することができる。
【0124】
(11)第11の態様に係るプログラムは、故障予知装置のコンピュータに、1又は複数の料金自動収受機から料金収受処理の際に出入りした貨幣に関する貨幣情報を金種別に取得するステップと、取得した前記貨幣情報に基づいて、前記1又は複数の料金自動収受機が有する貨幣処理部品の使用回数を部品別に積算するステップと、積算した前記使用回数が所定の回数閾値以上である場合に、前記貨幣処理部品が劣化状態であると判定するステップと、を実行させる。
【0125】
このようにすることで、本実施形態に係るプログラムは、料金自動収受機3が有する各貨幣処理部品37の使用回数を考慮し、貨幣処理部品37が劣化状態であるか否かを部品別に定量的に精度よく判定できる。従って、料金自動収受機3が有する貨幣処理部品37が消耗して故障する前に故障を予知して事前に交換する等の予知保全をすることができる。これにより、料金所の運用が停止してしまう事態を回避できる。
また、貨幣処理部品の耐用年数が経過するタイミングで貨幣処理部品を交換する従来技術の場合のように紙幣処理ユニット35及び硬貨処理ユニット36単位での交換をせずに、劣化状態である可能性の高い貨幣処理部品37の交換だけを交換することができるので余計なコストを削減することができる。
さらに、貨幣処理部品37の使用頻度が高い場合と低い場合との両方の場合に、適切な交換タイミングを把握することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 料金収受システム
2 ETC設備(電子式料金収受システム)
10 故障予知部、故障予知装置
11 取得部
12 積算部
13 判定部
14 通知部
15 記憶部
21 進入側車両検知器
22 路側アンテナ
23 通信用車両検知器
24 車線サーバ
25 発進制御機
26 退出側車両検知器
3、3A~3N 料金自動収受機
31 カメラ
32 操作受付部
33 料金収受処理部
35 紙幣処理ユニット
36 硬貨処理ユニット
37 貨幣処理部品
4 監視盤(故障予知装置)
41 表示装置
42 入力装置
43 指示送信部
100 貨幣処理部品の使用回数記録テーブル
200 貨幣処理部品の耐久動作回数テーブル
900 コンピュータ
901 プロセッサ
902 主記憶装置
903 補助憶装置
904 インタフェース
910 外部記憶装置
A1、A2 車両
G 貨幣処理部品の使用回数グラフ
I アイランド
L 車線
R1 通信領域
α 車載器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9