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  • 特開-電子機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007665
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20250109BHJP
   H05K 7/10 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01R43/00 Z
H05K7/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109215
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】堀川 祐記
【テーマコード(参考)】
5E051
【Fターム(参考)】
5E051GA09
5E051GB09
(57)【要約】
【課題】電子機器の上面に配置された上面コネクタに対して垂直に嵌合される外部コネクタが適切に嵌合されたことを外部コネクタの上方からでも確認し得る電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、電子部品と、電子部品を収容する上面が開放された筐体を備え、電子部品がその上面に配置された上面コネクタを有し、上面コネクタに対して外部コネクタが垂直に嵌合される。電子部品が、その上面における上面コネクタの近傍領域に、上方から検査光を両コネクタの嵌合部近傍に照射して形成される影が両コネクタの未嵌合状態と嵌合状態とで形状変化することを観察できる判別領域を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、前記電子部品を収容する上面が開放された筐体を備え、前記電子部品がその上面に配置された上面コネクタを有し、前記上面コネクタに対して外部コネクタが垂直に嵌合される電子機器であって、
前記電子部品が、その上面における前記上面コネクタの近傍領域に、上方から検査光を両コネクタの嵌合部近傍に照射して形成される影が前記両コネクタの未嵌合状態と嵌合状態とで形状変化することを観察できる判別領域を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記外部コネクタの水平断面における外形最大面積が、前記上面コネクタの水平断面における外形最大面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判別領域が、前記上面コネクタの周囲に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記判別領域が、前記上面コネクタを基準とした面内方向のうち一方向片側若しくは両側、又は直交する二方向各片側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に係り、さらに詳細には、電子部品の上面に配置された上面コネクタに対して垂直に嵌合される外部コネクタが適切に嵌合されたことを外部コネクタの上方からでも確認し得る電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、作業者の目視によって完全嵌合しているか否かを確認できる半嵌合防止電気コネクタを提案している。この半嵌合防止電気コネクタは、オスハウジングとメスハウジングとを相互に嵌合鎖錠して各ハウジング内に収容した電気端子を機械的に接続する電気コネクタにおいて、オスハウジングの嵌合部終端に蛍光塗料が塗布されているか、又は光の異種反射表面が形成されている。この半嵌合防止電気コネクタにおいては、オスハウジングをメスハウジングに挿入する方向に対してほぼ垂直な方向からの作業者の目視によって完全嵌合しているか否かを確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-175181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような半嵌合防止電気コネクタにおいては、オスハウジングとメスハウジングとが完全嵌合しているか否かをオスハウジングをメスハウジングに挿入する方向に沿った方向からの作業者の目視によっては確認できないという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、電子機器の上面に配置された上面コネクタに対して垂直に嵌合される外部コネクタが適切に嵌合されたことを外部コネクタの上方からでも確認し得る電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、電子機器がその上面における上部コネクタの近傍領域に所定の判別領域を有する構成とすることにより、前記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の電子機器は、電子部品と、電子部品を収容する上面が開放された筐体を備え、電子部品がその上面に配置された上面コネクタを有し、上面コネクタに対して外部コネクタが垂直に嵌合される。
電子部品が、その上面における上面コネクタの近傍領域に、上方から検査光を両コネクタの嵌合部近傍に照射して形成される影が両コネクタの未嵌合状態と嵌合状態とで形状変化することを観察できる判別領域を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子機器がその上面における上部コネクタの近傍領域に上述の判別領域を有する構成としたため、電子機器の上面に配置された上面コネクタに対して垂直に嵌合される外部コネクタが適切に嵌合されたことを外部コネクタの上方からでも確認し得る電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の電子機器の第1実施形態を模式的に示す説明図である。
図2図1に示した上面コネクタに外部コネクタを嵌合させる際の様子を模式的に示す説明図である。
図3】第2実施形態の電子機器における上面コネクタの近傍領域を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の電子機器について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
(第1実施形態)
図1の上側図は、第1実施形態の電子機器において上面コネクタと外部コネクタとが嵌合した状態における上面コネクタの近傍領域を模式的に示す部分断面図であり、図1の下側図は、図1の上側図に示した上面コネクタの近傍領域を模試的に示す平面図である。また、図2の上側図は、図1の上側図に示した上面コネクタと外部コネクタとが嵌合していない状態を模式的に示す部分断面図であり、図2の下側図は、図1の上側図に示した上面コネクタと外部コネクタが嵌合している状態を模式的に示す部分断面図である。なお、図2においては、筐体の記載を省略している。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態の電子機器1は、電子部品10と、電子部品10を収容する上面が開放された筐体20を備えている。電子部品10は、その上面10aに配置された上面コネクタ11を有している。そして、上面コネクタ11に対して外部コネクタ30が垂直に嵌合される。
【0013】
なお、図示例の電子部品10は、例えば、ボルト等の固定部材13を有しており、固定部材13によって筐体20の底面に固定されている。また、図示例の外部コネクタ30は、例えば、図示しない制御装置等に接続されるワイヤハーネス31を有している。なお、特に限定されないが、電子機器1としては、例えば、インバータを挙げることができ、電子部品としては、例えば、電流センサを挙げることができる。
【0014】
また、電子部品10は、その上面10aにおける上面コネクタ11の近傍領域に、通常上方に配置される照明40によって上方から検査光を両コネクタ(11,30)の嵌合部近傍に照射して形成される影が両コネクタ(11,30)の未嵌合状態と嵌合状態で変化することを同様に上方に設置されたカメラ50によって観察できる判別領域10b(10b,10b)を有している(図2参照)。
【0015】
ここで、図示例の判別領域10bにおいて、符号10bは未嵌合状態のときに影が形成される一方、嵌合状態のときに影が形成されない領域を示し、符号10bは未嵌合状態及び嵌合状態のいずれのときにも影が形成される領域を示す。
【0016】
さらに、本実施形態においては、外部コネクタ30の水平断面30aにおける外形最大面積が、上面コネクタ11の水平断面11aにおける外形最大面積よりも大きいことが好ましい(図1の下側図参照)。
【0017】
さらに、本実施形態においては、判別領域10b(10b,10b)が、上面コネクタ11の周囲に設けられていることが好ましい(図1の下側図参照)。
【0018】
さらに、本実施形態においては、判別領域10bの明度が、上面コネクタ11に対して判別領域10bよりも遠い位置に判別領域10bに隣接して設けられた外側隣接領域10cの明度よりも高いことが好ましい。
【0019】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態においては、電子部品10が、その上面10aにおける上面コネクタ11の近傍領域に、照明40によって上方から検査光を両コネクタ(11,30)の嵌合部近傍に照射して形成される影が両コネクタ(11,30)の半嵌合等の未嵌合状態と嵌合状態とで形状変化することを上方に設置されたカメラ50によって観察できる判別領域10b(10b,10b)を有している。このような判別領域10bは、未嵌合状態と嵌合状態とで影の形状変化を観察することができるので、例えば、判別領域10bより相対的に明るくなる判別領域10bを観察することができる。そのため、電子機器の上面に配置された上面コネクタに対して垂直に嵌合される外部コネクタが完全嵌合されたことを外部コネクタの上方からでも確認できる。
【0020】
特に、電子部品のレイアウトの関係上、図示しない横差しの側面コネクタと上面コネクタとが混在するインバータにおける上面コネクタと外部コネクタとの嵌合状態の確認において顕著な効果を奏する。
【0021】
さらに、本実施形態によれば、外部コネクタ30の水平断面30aにおける外形最大面積が上面コネクタ11の水平断面11aにおける外形最大面積よりも大きいので、判別領域10bにより的確に影を形成することができ、上面コネクタに対して垂直に嵌合される外部コネクタが完全嵌合されたことを確認しやすいという利点がある。
【0022】
さらに、本実施形態によれば、判別領域10b(10b,10b)が上面コネクタ11の周囲(全周)に設けられているので、判別領域が上面コネクタの周囲のうちの一部に設けられている場合(図3参照)よりも未嵌合状態の検知性を向上させることができる。
【0023】
さらに、本実施形態によれば、判別領域10bの明度が上面コネクタ11に対して判別領域10bよりも遠い位置に判別領域10bに隣接して設けられた外側隣接領10cの明度よりも高いので、外側隣接領10cより相対的に明るくなる判別領域10bを観察することができ、上面コネクタに対して垂直に嵌合される外部コネクタが完全嵌合されたことを確認しやすいという利点がある。また、判別領域10bと判別領域10bとの間や判別領域10bと判別領域10b及び外側隣接領10cとの間で明るさの違いによって2値化処理するようにしてもよく、この場合、外部コネクタが完全嵌合されたことを安価なカメラによって確認できる。
【0024】
図3の上側図は、第2実施形態の電子機器において上面コネクタと外部コネクタとが嵌合した状態における上面コネクタの近傍領域を模式的に示す部分断面図であり、図3の下側図は、図3の上側図に示した上面コネクタの近傍領域を模試的に示す平面図である。なお、以下の説明においては、上述した第1実施形態と同じ構成部位に同一符号を付して詳細な発明を省略する。
【0025】
(第2実施形態)
図3に示すように、本実施形態の電子機器2は、判別領域10b(10b,10b)が、上面コネクタ11を基準とした面内方向のうちの直交する二方向(例えば、図2の下側図中矢印Xで示す左右方向、矢印Yで示す上下方向)各片側(左右方向のうちの左側、上下方向のうちの下側)に設けられていること以外は、第1実施形態の電子機器1と同様の構成を有している。
【0026】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態によれば、判別領域10b(10b,10b)が上面コネクタ11を基準とした面内方向のうちの上述の直交する二方向各片側に設けられているので、第1実施形態の利点に加えて、周囲(全周)に判別領域を設ける第1実施形態と比較して判別領域が少なくて済み、電子部品の上面における実装率を向上させることができるという利点がある。
【0027】
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0028】
本発明においては、電子部品10の上面10aに配置された上面コネクタ11に対して垂直に嵌合される外部コネクタ30が完全嵌合されたことを外部コネクタ30の上方からでも確認し得る電子機器を提供すべく、電子部品10が、その上面10aにおける上面コネクタ11の近傍領域に、上方から検査光を両コネクタの嵌合部近傍に照射して形成される影が両コネクタの未嵌合状態と嵌合状態とで形状変化することを観察できる判別領域10bを有することを骨子とする。
【0029】
よって、外部コネクタの嵌合方向から両コネクタの完全嵌合を確認することができれば、図1に示す構造とは天地逆転の他、異なる姿勢を採ることが可能である。
【0030】
また、例えば、上述した実施形態においては、便宜上、両コネクタの真上に配置された照明の隣にカメラが配置された場合を例示して説明したが、本発明においてはこれに限定されない。本発明においては、電子部品が、その上面に上述した影が両コネクタの未嵌合状態と嵌合状態とで形状変化することを観察できる判別領域を有する構成とできればよく、例えば、図2中左上方から検査光を両コネクタの嵌合部近傍に照射して形成される影が未嵌合状態と嵌合状態とで形状変化することを上方に設置されたカメラによって観察してもよい。このように、照明の位置とカメラの位置は適宜変更できる。
【0031】
さらに、例えば、上述した実施形態においては、外部コネクタの水平断面における外形最大面積が上面コネクタの水平断面における外形最大面積よりも大きい場合を例示して説明したが、本発明においてはこれに限定されない。本発明においては、電子部品が、その上面に上述した影が両コネクタの未嵌合状態と嵌合状態とで形状変化することを観察できる判別領域を有する構成とできればよく、例えば、外部コネクタの上述の外形最大面積が上面コネクタの上述の外形最大面積と同じでもよく、外部コネクタの上述の外形最大面積が上面コネクタの上述の外形最大面積よりも小さくてもよい。
【0032】
さらに、例えば、上述した実施形態においては、判別領域が上面コネクタの周囲に設けられている場合、上面コネクタを基準とした面内方向のうち直交する二方向各片側に設けられている場合を例示して説明したが、本発明においてはこれらに限定されない。本発明においては、判別領域が、上面コネクタを基準とした面内方向のうち少なくとも一方向片側に設けられていればよい。
【0033】
さらに、例えば、上述した構成要素は、各実施形態に示した構成要素に限定されるものではなく、電子部品、筐体の仕様や材質の細部を変更することが可能であり、一の実施形態の好適な構成要素を削除すること、一の実施形態の好適な構成要素を他の実施形態の好適な構成要素と入れ替えて又は組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1,2 電子機器
10 電子部品
10a 上面
10b,10b,10b 判別領域
10c 外側隣接領域
11 上面コネクタ
11a 水平断面
13 固定部材
20 筐体
30 外部コネクタ
30a 水平断面
31 ワイヤハーネス
40 照明
50 カメラ
図1
図2
図3