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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007671
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】飼育設備および移動飼育設備
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A01K1/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109229
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(71)【出願人】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹島 雅之
(72)【発明者】
【氏名】束 敏正
(72)【発明者】
【氏名】柴田 由之
(72)【発明者】
【氏名】新美 匡俊
(72)【発明者】
【氏名】森松 文毅
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA05
2B101AA13
2B101AA20
2B101CA04
2B101DA06
2B101EB13
(57)【要約】
【課題】動物の足が床に形成された隙間に嵌ることを抑制しつつ、糞と尿とを床から除去可能な飼育設備を提供すること。
【解決手段】壁と収容室床とを有し、壁に囲まれた内部空間に動物を収容するための収容室と、収容室床とは鉛直方向に離れた位置で内部空間に設置される床部であって、動物が乗る床部と、を備え、床部は、格子状の本体部と、本体部を囲う外周部とを有し、壁と、外周部との間の少なくとも一部に本体部の格子の隙間である第1隙間よりも大きな第2隙間が形成されている、飼育設備。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物用の飼育設備であって、
壁と収容室床とを有し、前記壁に囲まれた内部空間に動物を収容するための収容室と、
前記収容室床とは鉛直方向に離れた位置で前記内部空間に設置される床部であって、前記動物が乗る床部と、を備え、
前記床部は、格子状の本体部と、前記本体部を囲う外周部とを有し、
前記壁と、前記外周部との間の少なくとも一部に前記本体部の格子の隙間である第1隙間よりも大きな第2隙間が形成されている、飼育設備。
【請求項2】
請求項1に記載の飼育設備であって、
前記収容室床と、前記床部との間に設置される回収板をさらに備え、
前記回収板は、延在方向に延びる溝を有する、飼育設備。
【請求項3】
請求項2に記載の飼育設備であって、
前記回収板は、前記延在方向が水平方向と交わるように傾斜している、飼育設備。
【請求項4】
請求項3に記載の飼育設備であって、
前記回収板上を前記延在方向に沿って移動した前記動物の排泄物を回収するための回収容器をさらに備え、
前記回収容器は、前記排泄物を受け入れる開口部と、前記開口部に設置されるフィルタと、を有する、飼育設備。
【請求項5】
請求項4に記載の飼育設備であって、
前記回収板は、一端部と、前記一端部と前記延在方向に向かい合う他端部とを有し、前記他端部は、前記一端部よりも下方に位置し、
前記回収容器は、前記他端部の下方に設置されている、飼育設備。
【請求項6】
請求項4に記載の飼育設備であって、
前記回収板は、前記溝を有する第1回収板部と、前記溝を有する第2回収板部と、境界部とを含み、
前記第1回収板部は、第1回収板一端部と、前記第1回収板一端部と前記延在方向に向かい合う第1回収板他端部とを有し、前記第1回収板他端部は、前記第1回収板一端部よりも下方に位置し、
前記第2回収板部は、第2回収板一端部と、前記第2回収板一端部と前記延在方向に向かい合う第2回収板他端部とを有し、前記第2回収板他端部は、前記第2回収板一端部よりも下方に位置し、
前記第1回収板他端部は、前記第2回収板他端部と、前記境界部を挟んで向かい合い、
前記境界部は、境界部一端部と、前記境界部一端部と向かい合う境界部他端部とを有し、前記境界部他端部は、前記境界部一端部よりも下方に位置し、
前記回収容器は、前記境界部他端部の下方に設置されている、飼育設備。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の飼育設備であって、
前記飼育設備は、前記外周部と前記壁とに間に設置された支持部をさらに備える、飼育設備。
【請求項8】
請求項1に記載の飼育設備であって、
前記第2隙間は、前記外周部の全周に亘って形成されている、飼育設備。
【請求項9】
移動飼育設備であって、
請求項1に記載の飼育設備と、
前記飼育設備を搭載した車両と、を備えた、移動飼育設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飼育設備および移動飼育設に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飼育されている動物が排泄した糞と尿とを床から除去するための技術がある(例えば、特許文献1、2)。特許文献1の技術では、床をスノコ状に形成することにより、スノコの隙間から糞と尿とを床から落下させて除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-31626号公報
【特許文献2】特表平9-508785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、動物が小さい場合には、糞が通過できる程度にスノコの隙間を大きくすると、動物の足が隙間に嵌るおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1形態によれば、動物用の飼育設備が提供される。この飼育設備は、壁と収容室床とを有し、前記壁に囲まれた内部空間に動物を収容するための収容室と、前記収容室床とは鉛直方向に離れた位置で前記内部空間に設置される床部であって、前記動物が乗る床部と、を備え、前記床部は、格子状の本体部と、前記本体部を囲う外周部とを有し、前記壁と、前記外周部との間の少なくとも一部に前記本体部の格子の隙間である第1隙間よりも大きな第2隙間が形成されている。この形態によれば、動物の尿は、格子状の本体部を通過して収容室床に向かって流れる。動物の糞は、壁と外周部との第2隙間から収容室床に向かって落下する。本体部の格子の大きさである第1隙間と、第2隙間の大きさとは独立して設定できる。第1隙間の大きさを動物の足の大きさよりも小さく設定し、第2隙間を糞が落下する程度に大きく設定することにより、動物の足が第1隙間に嵌ることを抑制しつつ、床部から尿と糞とを除去することができる。
(2)上記形態の飼育設備において、前記収容室床と、前記床部との間に設置される回収板をさらに備え、前記回収板は、延在方向に延びる溝を有していてもよい。この形態によれば、溝の幅を動物の糞が通過できない程度の大きさに設定することにより、糞は溝に落下せず、尿は溝の底に接するため、糞と尿とを分離することができる。よって、アンモニア臭の発生を抑制することができる。
(3)上記形態の飼育設備において、前記回収板は、前記延在方向が水平方向と交わるように傾斜していてもよい。この形態によれば、尿と糞とは、自重により、傾斜している回収板に沿って下方に移動する。よって、尿と糞との回収を効率良く行うことができる。
(4)上記形態の飼育設備において、前記回収板上を前記延在方向に沿って移動した前記動物の排泄物を回収するための回収容器をさらに備え、前記回収容器は、前記排泄物を受け入れる開口部と、前記開口部に設置されるフィルタと、を有していてもよい。この形態によれば、フィルタによって糞と尿とを分離することができる。
(5)上記形態の飼育設備において、前記回収板は、一端部と、前記一端部と前記延在方向に向かい合う他端部とを有し、前記他端部は、前記一端部よりも下方に位置し、前記回収容器は、前記他端部の下方に設置されていてもよい。この形態によれば、簡易な構成で、糞と尿との回収を行うことができる。
(6)上記形態の飼育設備において、前記回収板は、前記溝を有する第1回収板部と、前記溝を有する第2回収板部と、境界部とを含み、前記第1回収板部は、第1回収板一端部と、前記第1回収板一端部と前記延在方向に向かい合う第1回収板他端部とを有し、前記第1回収板他端部は、前記第1回収板一端部よりも下方に位置し、前記第2回収板部は、第2回収板一端部と、前記第2回収板一端部と前記延在方向に向かい合う第2回収板他端部とを有し、前記第2回収板他端部は、前記第2回収板一端部よりも下方に位置し、前記第1回収板他端部は、前記第2回収板他端部と、前記境界部を挟んで向かい合い、前記境界部は、境界部一端部と、前記境界部一端部と向かい合う境界部他端部とを有し、前記境界部他端部は、前記境界部一端部よりも下方に位置し、前記回収容器は、前記境界部他端部の下方に設置されていてもよい。この形態によれば、糞と尿とは、第1回収板の上および第2回収板の上を溝に沿って境界部に向かって移動する。そして、境界部に移動した糞および尿は、境界部の上を回収容器に向かってさらに移動する。よって、糞および尿を集約して回収することができる。
(7)上記形態の飼育設備において、前記飼育設備は、前記外周部と前記壁とに間に設置された支持部をさらに備えていてもよい。この形態によれば、飼育設備に外力が加えられた場合にも床部の内部空間に対する位置ずれを抑制することができる。
(8)上記形態の飼育設備において、前記第2隙間は、前記外周部の全周に亘って形成されていてもよい。床部における、動物が糞を排泄する場所には個体差がある。よって、この形態によれば、第2隙間が一部に形成されている場合よりも、糞が第2隙間から落ちる確率を上げることができる。
(9)本開示の第2形態によれば、移動飼育設備が提供される。この移動飼育設備は、上記形態の飼育設備と、前記飼育設備を搭載した車両とを備える。この形態によれば、飼育設備に動物を収容して輸送することができる。
本開示は、種々の形態で実現することが可能であり、上記の飼育設備の他に、例えば飼育設備の製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】移動飼育設備を示す模式図である。
図2】飼育設備の斜視図である。
図3】飼育設備の平面図である。
図4】飼育設備の第2壁を除いて示す側面図である。
図5】回収板の側面図である。
図6】第2実施形態に係る回収板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、移動飼育設備1を示す模式図である。図1に示すように、移動飼育設備1は、車両10と飼育設備20とを備える。車両10は、牽引車両11と、被牽引車両12とを有する。被牽引車両12は、牽引車両11に牽引されて移動する。被牽引車両12に動物用の飼育設備20が搭載されている。飼育設備20に実験用の動物EAが収容される。なお、車両10は、牽引車両11と被牽引車両12とからなる形態に限られず、車両10がトレーラであり、トレーラの荷台に飼育設備20が積載されて移動する形態でもよい。
【0009】
移動飼育設備1は、例えば、動物EAが飼育されている場所と、動物実験を行う実験者の居所との間で、動物EAを輸送するために用いられる。実験者は、輸送された動物EAに投薬や、臓器を機能不全とする施術などを行う。つまり、移動飼育設備1を用いて、実験前または施術や投薬などが行われた後の動物EAが輸送される。動物EAは、マイクロブタ、ブタ、サル、イヌ、マウスなどである。
【0010】
図2は、飼育設備20の斜視図である。図3は、飼育設備20の平面図である。図4は、飼育設備20の第2壁31bを除いて示す側面図である。図5は、延在方向に沿って回収板50を見た、回収板50の側面図である。図2には、互いに直交するX軸,Y軸,Z軸が示されている。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向は、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を示している。X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向と逆の方向が、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向である。X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向を、それぞれ-X方向,-Y方向,-Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸に沿った方向で正負を問わないものを、それぞれX方向,Y方向,Z方向とよぶ。これ以降に示す図及び説明についても同様である。飼育設備20は、典型的には、後述する床部40が鉛直方向と垂直な水平方向と平行となる設置状態で使用される。よって、以下の説明では、設置状態における飼育設備20を例示して説明する。+Z方向は、鉛直方向の逆方向である。XY平面は、鉛直方向に垂直な水平方向と平行である。+X方向を後、-X方向を前、+Z方向を上、-Z方向を下、+Y方向を右、-Y方向を左と呼ぶ場合がある。
【0011】
本実施形態において、動物EAは、マイクロブタの幼体である。このため、飼育設備20に収容されるマイクロブタの足の大きさは、10mm程度である。マイクロブタは、決められた場所で糞SIをするように躾けることが可能である。しかし、飼育設備20に収容されるマイクロブタは、生後間もないため、躾されていない。このため、個体によって糞SIをする場所は様々である。また、マイクロブタの幼体は、尿URをする頻度が高い。本実施形態では、動物EAは、例えば1週間程度の長時間、飼育設備20にて飼育される。よって、管理負担を軽減することが求められている。このような事情が勘案されて、本実施形態にかかる飼育設備20は、マイクロブタが安全に、かつ、マイクロブタの排泄する尿URと糞SIとにより、マイクロブタが乗る床部40が不潔にならない工夫が施されている。
【0012】
図2に示すように、飼育設備20は、収容室30と、床部40とを備える。収容室30は、壁31と収容室床32とを有する。そして、壁31と収容室床32とに囲まれた内部空間34に動物EAが収容される。本実施形態において、内部空間34は、直方体である。壁31は、第1壁31aと、第2壁31bと、第3壁31cと、第4壁31dとを含む。第2壁31bは、X方向において、第1壁31aと向かい合う。第4壁31dは、Y方向において、第3壁31cと向かい合う。第3壁31cおよび第4壁31dは、第1壁31aと第2壁31bとに挟まれている。本実施形態において、第4壁31dは、内部空間34を形成するとともに、内部空間34を開放する格子状の扉として構成されている。具体的には、第4壁31dは、第1壁31aと第2壁31bに対して取り外し可能に取り付けられている。また、第4壁31dの下方向の端部と、収容室床32との間には隙間が形成されている。第4壁31dの下方向の端部のZ方向における位置は、床部40のZ方向における位置と同程度である。
【0013】
板状の床部40は、内部空間34内に設置されている。床部40は、格子状の本体部41と、本体部41を囲う外周部42とを有する。床部40には、4本の足部43が取り付けられている。本実施形態において、床部40と足部43とは金属製である。床部40は、収容室床32とは鉛直方向であるZ方向に離れた位置に設置されている。動物EAを収容した飼育設備20の配置状態では、床部40は、収容室床32よりも上方に位置する。本体部41は、格子状であるため、動物EAが排泄した尿URは、本体部41の格子の隙間を通過して、収容室床32に向かって流れる。
【0014】
図3に示すように、本実施形態では、床部40の平面形状は、長方形である。そして、図2に示すように、床部40の4隅の各々に、支柱となる足部43が、床部40に対して略垂直に取り付けられている。4本の足部43によって、床部40が支持されることにより、床部40は、収容室床32とは鉛直方向であるZ方向に離れた位置に設置されている。
【0015】
図3に示すように、本体部41の格子の隙間である第1隙間は、収容される動物EAの足の大きさよりも小さい。本実施形態では、第1隙間の大きさCAは5mm程度である。ここで、第1隙間の大きさCAとは、格子の孔の最大の幅である。第1隙間の大きさCAが動物EAの足の大きさよりも小さいことにより、動物EAの足が本体部41の隙間に嵌ることが抑制される。また、外周部42と壁31との間に隙間が形成されている。第1隙間と区別するために、外周部42と壁31との間の隙間を第2隙間と呼ぶ。第2隙間の大きさCBは、第1隙間の大きさCAよりも大きい。第2隙間の大きさCBは、動物EAの糞SIが通過できる程度の大きさである。ここで、第2隙間の大きさCBとは、外周部42と壁31との間の水平方向における最小距離である。本実施形態において、第2隙間の大きさCBは30mm程度である。
【0016】
外周部42と壁31との間には、支持部44が取り付けられている。本実施形態では、床部40の4辺の各々に、支持部44が取り付けられている。支持部44は、外周部42と壁31とを第2隙間だけ離した状態で連結する。これにより、車両10の移動中に、飼育設備20に振動が加えられた場合においても、内部空間34に対する床部40の位置ずれを抑制し、第2隙間を適切に維持することができる。なお、他の実施形態として、支持部44は、床部40の4辺全てではなく、床部40の4辺の少なくともいずれかの1辺に取り付けられていてもよい。
【0017】
なお、本実施形態において、床部40の第1隙間の平面形状は矩形であるが、第1隙間の平面形状は矩形に限られない。例えば、第1隙間の平面形状は円形でもよい。第1隙間の平面形状が円形である場合、第1隙間の大きさCAとは、直径である。また、床部40における、第1隙間の大きさと、格子を形成する枠の幅との比率は、図3に示す比率に限られない。第1隙間の大きさと、格子を形成する枠の幅との比率は、床部40に載せされる動物EAの体重によって決めると良い。つまり、床部40に加えられる荷重によって決めると良い。また、本実施形態では、床部40の4辺のすべてにおいて、第2隙間が形成されている。そして、第2隙間の大きさCBは、床部40の4辺のすべてにおいて、同じである。これに限定されず、第2隙間の大きさCBは、床部40の4辺の各々の辺で互いに異なっていてもよい。
【0018】
本実施形態において、動物EAは、マイクロブタである。マイクロブタは、清潔好きであるため、寝る場所と遠い場所に糞SIをする習性がある。このため、マイクロブタは、床部40の端、つまり第2隙間の真上で糞SIをする場合が多い。さらに、マイクロブタは、糞SIを遠くに移動させるために、糞SIを蹴る性質がある。よって、第2隙間の真上に糞SIが排泄された場合だけでなく、第2隙間からずれた場所に糞SIが排泄された場合にも、マイクロブタによって蹴られることにより、糞SIは第2隙間から下に落ちる場合が多い。このように、動物EAが排泄した糞SIは、第2隙間から下に落下する。そして、上記のように、動物EAが排泄した尿URは、本体部41の第1隙間を通過する。よって、床部40から糞SIや尿URが除去されるため、床部40を清潔に保つことができる。
【0019】
図4に示すように、飼育設備20は、さらに、回収板50と、回収容器60とを備える。回収板50は、床部40と、収容室床32との間に設置されている。回収容器60は、第4壁31d付近の収容室床32の上に設置されている。なお、図2では、回収板50と、回収容器60と、支持部44との図示が省略されている。
【0020】
回収板50の外形は、矩形である。回収板50は、一端部51と、他端部52とを有する。図5に示すように、回収板50は、延在方向に延びる複数の溝53を有する。本実施形態において、複数の溝53は互いに平行であり、等間隔に形成されている。具体的には、本実施形態において、回収板50は樹脂製の波打ち板である。溝53の最大幅L1は、糞SIの大きさの1/2程度である。本実施形態において、溝53は、溝53の底部53aに向かうにつれ、溝53の幅が狭くなる形状を有している。これにより、糞SIを溝53の底部53aに接しないようにできる可能性を高くすることができる。溝53の最大幅L1は、5mm程度である。溝53の深さL2は、5mm程度である。
【0021】
図4に示すように、回収板50は、溝53が延びる延在方向が水平方向と交わるように傾斜している。具体的には、他端部52が一端部51より下方に位置するように設置されている。これにより、糞SIと尿URとは、溝53に沿って、他端部52に向かって移動する。図5に示すように、糞SIと尿URとが、溝53に沿って移動する場合に、溝53の最大幅L1は、糞SIの大きさの1/2程度であるため、糞SIは、底部53aに接さない状態で移動し、尿URは、底部53aを流れる。よって、糞SIと尿URとを分離した状態で、回収容器60に向かって移動させることができる。なお、溝53の形状は、図5に示す形状に限られない。例えば、溝53の側面は曲面ではなく平面でもよい。また、溝53は、溝53の底部53aに向かうにつれ、溝53の幅が狭くなる形状でなくてもよい。例えば、溝53の深さ方向において、溝53の幅は均一でもよい。
【0022】
図4に示すように、回収容器60は、回収板50の他端部52の下方に設置されている。回収容器60は、排泄物、つまり糞SIおよび尿URを受け入れる開口部61と開口部61に設置されるフィルタ62と、を有する。本実施形態において、フィルタ62は、網目が糞SIよりも小さい網である。これにより、尿URはフィルタ62を通過し、糞SIはフィルタ62に支持される。よって、糞SIと尿URとを分離した状態で回収することができる。
【0023】
一般に、糞SIと尿URとが混ざると、糞SIが軟質化して、アンモニア臭が発生し易くなる。また、糞SIと尿URとが混ざると、糞SIと尿URとを分離した状態で除去するよりも、糞SIと尿URとの除去に時間がかかる場合が多い。本実施形態では、回収板50によって、糞SIと尿URとは分離された状態で、回収容器60まで移動する。そして、回収容器60では、糞SIと尿URとが分離された状態で溜められる。よって、アンモニア臭を抑制することができる。また、飼育設備20の管理負担を軽減することができる。
【0024】
以上説明した第1実施形態によれば、飼育設備20は、収容室30と、床部40とを備える。床部40は、収容室床32とは鉛直方向に離れた位置で内部空間34に設置されている。床部40は、格子状の本体部41と、外周部42とを有する。壁31と、外周部42との間に第2隙間が形成されている。よって、本体部41の格子の大きさと、第2隙間の大きさとを独立して設定できる。第1隙間を動物EAの足の大きさよりも小さく設定し、第2隙間を糞SIが落下する程度に大きく設定することにより、動物EAの足が第1隙間に嵌ることを抑制しつつ、床部40から尿URと糞SIとを除去することができる。また、第2隙間は、外周部42の全周に亘って形成されているため、床部40から糞SIを除去する可能性を高めることができる。
【0025】
また、収容室床32と、床部40との間に回収板50が設置されている。そして、回収板50は、延在方向に延びる溝53を有する。よって、溝53の幅を動物EAの糞SIが通過できない程度の大きさに設定することにより、糞SIは溝53に落ち込まず、尿URは溝53の底部53aを接するため、糞SIと尿URとを分離することができる。よって、アンモニア臭の発生を抑制することができる。
【0026】
また、回収板50は、延在方向が水平方向と交わるように傾斜している。よって、尿URと糞SIとの回収を効率良く行うことができる。また、飼育設備20は、延在方向に沿って移動した排泄物を回収する回収容器60を備える。回収容器60は、開口部61と、フィルタ62とを有する。これにより、フィルタ62によって糞SIと尿URとを分離することができる。また、飼育設備20は、外周部42と壁31とに間に設置された支持部44を有する。よって、飼育設備20に、例えば輸送時の振動などの外力が加えられた場合にも、内部空間34における床部40の位置ずれを抑制することができる。
【0027】
また、移動飼育設備1は、飼育設備20と、飼育設備20を搭載した車両10とを備える。よって、動物EAを飼育設備20に収容して輸送することができる。
【0028】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態に係る回収板150の斜視図である。第1実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0029】
本実施形態に係る回収板150は、溝を有する第1回収板部151と、溝を有する第2回収板部152と、境界部153とを含む。第1回収板部151と、第2回収板部152と、境界部153とのそれぞれは、板状であり、平面形状は矩形である。第1回収板部151と、第2回収板部152とは、第1実施形態の回収板50と同様の形状を有する。第1回収板部151は、第1回収板一端部151aと、第1回収板他端部151bと、延在方向に延びる溝としての第1回収板溝151cとを有する。第1回収板他端部151bは、第1回収板一端部151aと延在方向に向かい合う。第1回収板他端部151bは、第1回収板一端部151aよりも下方に位置する。第2回収板部152は、第2回収板一端部152aと、第2回収板他端部152bと、延在方向に延びる溝としての第2回収板溝152cとを有する。第2回収板他端部152bは、第2回収板一端部152aと延在方向に向かい合う。第2回収板他端部152bは、第2回収板一端部152aよりも下方に位置する。第1回収板他端部151bは、第2回収板他端部152bと、境界部153を挟んで向かい合う。境界部153は、境界部一端部153aと、境界部一端部153aと向かい合う境界部他端部153bとを有する。境界部他端部153bは、境界部一端部153aよりも下方に位置する。回収容器60は、境界部他端部153bの下方に設置されている。
【0030】
第2実施形態の回収板150においても、第1実施形態と同様に、糞SIと尿URとは、第1回収板溝151cと、第2回収板溝152cとに沿って下方、すなわち境界部153に向かって移動する。そして、糞SIと尿URとは、境界部153に案内されて、回収容器60へ向かって移動する。このように、糞SIと尿URとは、回収板150のX方向の長さ、すなわち幅よりも、幅の狭い境界部153に移動するため、糞SIと尿URとを集約して回収することができる。
【0031】
以上説明した第2実施形態によれば、回収板150は、第1回収板溝151cを有する第1回収板部151と、第2回収板溝152cを有する第2回収板部152と、境界部153とを含む。第1回収板他端部151bは、第1回収板一端部151aよりも下方に位置する。第2回収板他端部152bは、第2回収板一端部152aよりも下方に位置する。境界部153は、第1回収板他端部151bと、第2回収板他端部152bとに挟まれている。境界部他端部153bは、境界部一端部153aよりも下方に位置する。よって、糞SIと尿URとは、第1回収板部151と第2回収板部152とに案内されて、境界部153に向かって移動し、さらに、境界部153上を、境界部他端部153bに向かって移動する。よって、糞SIと尿URとを集約して回収することができる。
【0032】
C.他の実施形態:
(C1)上記第1実施形態では、回収板50は傾斜しているが、これに限定されず、回収板50は傾斜していなくてもよい。回収板50は、少なくとも溝53を有することにより、糞SIと尿URとを分離した状態で保持することができる。なお、回収板50が傾斜していない場合には、回収板50上の糞SIと尿URとを人が除去するとよい。第2実施形態に係る境界部153についても同様である。すなわち、上記第2実施形態に係る境界部153は、水平方向に対して傾斜している。他の形態として、境界部153は、傾斜しておらず、水平方向に平行でもよい。
【0033】
(C2)上記第1実施形態では、第2隙間は、外周部42の全周に亘って形成されている。他の実施形態として、第2隙間は、外周部42の少なくとも一部に形成されていてもよい。少なくとも一部に第2隙間が形成されていることにより、糞SIを第2隙間から落とすことができる。
【0034】
(C3)上記第1実施形態では、動物EAはマイクロブタであると説明したが、動物EAはマイクロブタに限られない。動物EAの種類に限定されず、飼育設備20は第2隙間を有することにより、少なくとも第2隙間の真上に排泄された糞SIを床部40から除去することができる。上記のように、飼育設備20は、床部40の端で糞SIをする、清潔好きの性質を持つ動物EAを収容する用途に適している。
【0035】
(C4)上記第2実施形態では、境界部153に溝が形成されていないが、境界部153に境界部一端部153aから境界部他端部153bに延びる溝が形成されていてもよい。また、境界部153の幅は、図6に示す寸法に限られない。例えば、境界部153の幅を、溝53と同程度の幅としてもよい。この形態によれば、糞SIと尿URとを、回収容器60に向かって移動し易くすることができる。また、図6では、第1回収板部151と第2回収板部152とは同等の形状にて示されているが、これに限られない。例えば、第1回収板部151のX方向における長さは、第2回収板部152のX方向における長さと異なっていてもよい。また、第1回収板部151の傾斜角度と、第2回収板部152の傾斜角度とは互いに異なっていてもよい。
【0036】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…移動飼育設備、10…車両、11…牽引車両、12…被牽引車両、20…飼育設備、30…収容室、31…壁、31a…第1壁、31b…第2壁、31c…第3壁、31d…第4壁、32…収容室床、34…内部空間、40…床部、41…本体部、42…外周部、43…足部、44…支持部、50,150…回収板、51…一端部、52…他端部、53…溝、53a…底部、60…回収容器、61…開口部、62…フィルタ、151…第1回収板部、151a…第1回収板一端部、151b…第1回収板他端部、151c…第1回収板溝、152…第2回収板部、152a…第2回収板一端部、152b…第2回収板他端部、152c…第2回収板溝、153…境界部、153a…境界部一端部、153b…境界部他端部、EA…動物、SI…糞、UR…尿
図1
図2
図3
図4
図5
図6