(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025076871
(43)【公開日】2025-05-16
(54)【発明の名称】ラベル集積治具及びラベル集積装置
(51)【国際特許分類】
B31D 1/02 20060101AFI20250509BHJP
【FI】
B31D1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188800
(22)【出願日】2023-11-02
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ピナクル
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小池 庸介
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA23
3E075BA83
3E075CA01
3E075DA32
3E075DB12
3E075DB16
3E075DE21
3E075GA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ラベリング装置等の自動装着装置においてラベルを装填するに際し、ラベルの天地表裏の方向を一致させ、ラベルの挿入孔の廃材などの混入を防止でき、ラベルの製造工程においてラベルの連続回収を可能にし、高速で多量に連続生産するのに適したラベル集積治具、及びそのようなラベル集積治具を備えたラベル集積装置を提供すること。
【解決手段】挿入孔を有する複数のラベルを連続的に集積するためのラベル集積治具10であって、前記ラベルの挿入孔に挿入するためのブレード部11と、集積した前記ラベルの落下を防止するためのフランジ部12と、前記フランジ部を挟んで前記ブレード部と反対に位置するヒルト部13とを含む、ラベル集積治具。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入孔を有する複数のラベルを連続的に集積するためのラベル集積治具であって、
前記ラベルの挿入孔に挿入するためのブレード部と、
集積した前記ラベルの落下を防止するためのフランジ部と、
前記フランジ部を挟んで前記ブレード部と反対に位置するヒルト部と
を含む、ラベル集積治具。
【請求項2】
さらに、前記フランジ部の前記ヒルト部側に設けられたハンドル部を含む、請求項1に記載のラベル集積治具。
【請求項3】
前記ブレード部は先端が丸みを帯びた板状であり、前記ヒルト部は前記ブレード部が延伸して設けられたものである、請求項1又は2に記載のラベル集積治具。
【請求項4】
前記ヒルト部に、ラベル集積装置に取り付けるための取り付け穴及び/又は切欠きが設けられている、請求項1又は2に記載のラベル集積治具。
【請求項5】
挿入孔を有する複数のラベルを連続的に集積するためのラベル集積装置であって、
台座と、
前記台座に固定された少なくとも2本の支柱と、
前記少なくとも2本の支柱の間に水平に設けられたシャフトと、
前記シャフトに取り付けられた少なくとも2つの請求項1又は2に記載のラベル集積治具を備えたラベル集積部と
を含む、ラベル集積装置。
【請求項6】
前記シャフトは前記少なくとも2本の支柱の間で上下に移動可能であり、前記ラベル集積治具は前記シャフトを軸に回動可能である、請求項5に記載のラベル集積装置。
【請求項7】
さらに、移動可能な台車を含み、前記台座には少なくとも2つの前記ラベル集積部が設けられ、前記台車が前記台座をスライドさせるためのレールを含む、請求項5に記載のラベル集積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル集積治具及びラベル集積装置に関する。とりわけ、本発明は、ラベリング装置等の自動装着装置においてラベルを装填するに際し、ラベルの天地表裏の方向を一致させ、ラベルの挿入孔の廃材などの混入を防止でき、ラベルの製造工程においてラベルの連続回収を可能にし、高速で多量な連続生産に適したラベル集積治具、及びそのようなラベル集積治具を備えたラベル集積装置に関する。本発明は特に、容器の首部に装着するための挿入孔を有するラベルの製造装置、特にラベルを一枚ずつ繰り出してビンやボトル等の容器の首部に装着する自動装着装置に実装するのに適している。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンビニエンスストアやスーパー等の陳列棚に並べる清涼飲料水や酒類、調味料等の各種商品の販売促進用として、販促情報を表示したキャンペーンシールやポップラベルなどがその容器に使用されている。特に、ポップラベルについては、ビンやボトル等の容器の首部に使用されることが多く、ラベル形状のシート片に挿入孔を形成し、容器の首部を嵌入させて係止するように構成されたものや、首部を嵌入させる切れ目が形成されたラベルが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2020-95158号公報)には、首部を有する装着対象物の前記首部に装着される首掛けラベルであって、長辺と短辺とを有する略長方形状を有し、前記装着対象物の前記首部が挿入される挿入孔が中心部に形成されたシート基材と、前記装着対象物に装着された際に、前記首部を挟み込むように前記挿入孔の縁部に形成された第一の係止部分及び第二の係止部分と、前記装着対象物に装着された際に、前記首部を取り囲むように配置される周縁部分と、を含み、前記第一の係止部分及び前記第二の係止部分は、それぞれ前記装着の前後を通して前記周縁部分と接続し続ける根元接続部位を有し、前記装着の際に、前記挿入孔の縁部に形成された一対の切り込み線によって、前記第一の係止部分及び第二の係止部分が前記周縁部分からそれぞれ切り離されるように構成されており、前記挿入孔は、前記シート基材の長辺方向よりも短辺方向が長い開口幅を有し、前記長辺方向の開口幅と前記短辺方向の開口幅が、前記挿入孔の中心においてそれぞれ最大となるように形成されていることを特徴とする首掛けラベルが開示されている。
【0004】
このようなラベルの製造方法として、一般には、高速で多量に生産が行えるように、一枚のシートから複数枚のラベルを一度に加工している。
【0005】
例えば、特許文献2(特開2023-59666号公報)には、容器の首部に装着するための挿入孔を有するラベルの製造方法であって、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有するシート状のラベル基材に、挿入孔の輪郭を形成する切込み工程、及び前記シート状のラベル基材から、前記挿入孔の輪郭により囲まれる内側のラベル基材の部分を取り除く中抜き工程を含み、前記切込み工程は、前記挿入孔の輪郭を形成するため、部分的な一時接続箇所を除き前記ラベル基材の前記第1面と前記第2面の間を貫通する挿入孔輪郭切込み線を形成することを含む、ラベルの製造方法が開示されている。
【0006】
このように製造されたラベルをビンやボトルといった容器の首部に使用する場合は、例えば、自動装着装置などを用いてラベルを一枚ずつ容器の首部まで自動供給して自動的に装着することで、短時間に大量の容器にラベルを装着することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-95158号公報
【特許文献2】特開2023-59666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ラベルを自動装着装置に容易に装填できるようにするには、ラベルを自動装着装置への装填枚数に合わせて複数枚まとめて梱包しておく必要がある。その際、ラベルの並び方が天地表裏において全て揃っている必要があり、また、ラベルの挿入孔の廃材などが確実に除去されていることが必要である。
【0009】
製造されたラベルを手作業によって回収する場合、ラベルの並び方を確認しながら回収する必要があるだけでなく、手作業によってラベルに不適切な力が加わると、ラベルが破損する可能性がある。また、ラベルの挿入孔の廃材などが確実に除去されているかを確認する必要がある。廃材の混入の可能性が確認されると、場合によっては自動装着装置を止めて廃材の混入がないか点検する必要が生じ、廃材の除去に多くの時間を要してしまう。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、一実施形態において、ラベリング装置等の自動装着装置においてラベルを装填するに際し、ラベルの天地表裏の方向を一致させ、ラベルの挿入孔の廃材などの混入を防止でき、ラベルの製造工程においてラベルの連続回収を可能にし、高速で多量に連続生産するのに適したラベル集積治具、及びそのようなラベル集積治具を備えたラベル集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は1つの側面において、挿入孔を有する複数のラベルを連続的に集積するためのラベル集積治具であって、前記ラベルの挿入孔に挿入するためのブレード部と、集積した前記ラベルの落下を防止するためのフランジ部と、前記フランジ部を挟んで前記ブレード部と反対に位置するヒルト部とを含む、ラベル集積治具である。
【0012】
本発明の一実施形態のラベル集積治具において、ラベル集積治具はさらに、前記フランジ部の前記ヒルト部側に設けられたハンドル部を含む。
【0013】
本発明の一実施形態のラベル集積治具において、前記ブレード部は先端が丸みを帯びた板状であり、前記ヒルト部は前記ブレード部が延伸して設けられたものである。
【0014】
本発明の一実施形態のラベル集積治具において、前記ヒルト部に、ラベル集積装置に取り付けるための取り付け穴及び/又は切欠きが設けられている。
【0015】
本発明はもう1つの側面において、挿入孔を有する複数のラベルを連続的に集積するためのラベル集積装置であって、台座と、前記台座に固定された少なくとも2本の支柱と、前記少なくとも2本の支柱の間に水平に設けられたシャフトと、前記シャフトに取り付けられた少なくとも2つの本発明によるラベル集積治具を備えたラベル集積部とを含む、ラベル集積装置である。
【0016】
本発明の一実施形態のラベル集積装置において、前記シャフトは前記少なくとも2本の支柱の間で上下に移動可能であり、前記ラベル集積治具は前記シャフトを軸に回動可能である。
【0017】
本発明の一実施形態のラベル集積装置において、ラベル集積装置はさらに、移動可能な台車を含み、前記台座には少なくとも2つの前記ラベル集積部が設けられ、前記台車が前記台座をスライドさせるためのレールを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、ラベリング装置等の自動装着装置においてラベルを装填するに際し、ラベルの天地表裏の方向を一致させ、ラベルの挿入孔の廃材などの混入を防止でき、ラベルの製造工程においてラベルの連続回収を可能にし、高速で多量に連続生産するのに適したラベル集積治具、及びそのようなラベル集積治具を備えたラベル集積装置を提供することができる。
【0019】
さらに、本発明の一実施形態のラベル集積治具及びラベル集積装置によれば、ラベルの回収を手作業で行う必要がなくなり、ラベルの折れや破れといった破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1(A)】本発明の一実施形態のラベル集積治具を説明するための模式図である。
【
図1(B)】本発明の一実施形態のラベル集積治具を説明するための模式図である。
【
図1(C)】本発明の一実施形態のラベル集積治具を説明するための模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態のラベル集積治具のヒルト部を説明するための模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態のラベル集積治具の固定具を説明するための模式図である。
【
図4(A)】本発明の一実施形態のラベル集積装置を説明するための模式図である。
【
図4(B)】本発明の一実施形態のラベル集積装置を説明するための模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態のラベル集積装置とラベル集積治具の動作原理を説明するための模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態のラベル集積装置を用いたラベル製造工程の一例を説明するための概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態のラベル集積装置に適用できるシート状のラベル基材の一例を模式的に示した平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態のラベル集積装置に適用できるラベルの一例を模式的に示した平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態のラベル集積装置をラベルの製造工程に用いた一実施形態を説明するための概略図である。
【
図10(A)】本発明の一実施形態のラベル集積装置をラベルの製造工程に用いたときのラベルの集積状態を説明するための概略図である。
【
図10(B)】本発明の一実施形態のラベル集積装置をラベルの製造工程に用いたときのラベルの集積状態を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。なお、本発明の各実施形態を説明する図面における寸法、縮尺、角度などは、理解に資するために便宜上示すものであり、実際の寸法、縮尺、角度などを示すとは限らない。
【0022】
(1.ラベル集積治具)
図1(A)~
図1(C)は、本発明の一実施形態のラベル集積治具を説明するための模式図である。
図1(A)は正面図、
図1(B)は側面図、
図1(C)は上から見た平面図を示している。
図1(A)~
図1(C)によると、ラベル集積治具10は、ラベルを挿入孔に挿入して集積するためのブレード部11と、集積したラベルの落下を防止するためのフランジ部12と、フランジ部12を挟んでブレード部11と反対に位置するヒルト部13と、ヒルト部13側に設けられたハンドル部14を有する。
【0023】
ブレード部11は、ラベルの挿入孔を串刺し、ラベルを縦方向に堆積するための部分である。ブレード部11の形状、寸法などは特に限定されるものではないが、先端が丸みを帯びた板状であると好ましい。すなわち、
図1(A)の角度で見た場合、ブレード部11の先端が円弧上であることが好ましい。先端が丸みを帯びることでラベル製造装置から連続して供給されるラベルをスムーズにブレード部11に集積することができ、また板状、特に細長い板状にすることでブレード部11に挿入されたラベルの回転を防ぎ、ラベルを集積するときにラベルの方向を揃えることができる。
【0024】
例えば、
図8に示すラベル120のように挿入孔121が長径W
1、短径W
2の楕円形である場合、ブレード部11の幅W
bはラベル120の挿入孔121の長径W
1より短く、短径W
2より長いことが好ましく、またブレード部11の厚みT
bはラベル120の挿入孔121の短径W
2より薄いことが好ましい。具体的には、ブレード部11の幅W
bはラベル120の挿入孔121の長径W
1よりも5mm~1mm短いことが好ましく、より好ましくは3mm~2mm短く、短径W
2よりも5mm~1mm長いことが好ましく、より好ましくは3mm~2mm長い。
【0025】
ブレード部11の幅Wbがラベル120の挿入孔121の長径W1より短ければ、ラベル120をブレード部11に集積する際に、ブレード部11がラベル120の挿入孔121を貫通し、連続してラベル120を集積することが容易になる。また、ブレード部11の幅Wbがラベル120の挿入孔121の短径W2より長ければ、ブレード部11にラベル120が挿入される際に、ラベル120の回転を防止することができ、ラベルの天地表裏の方向を揃えることが簡単になる。
【0026】
また、ブレード部11の厚みTbは2mm以上、8mm以下が好ましい。厚みが8mm以下であれば、ラベル集積治具10自体の重みの増加を抑えることができ、ハンドリング性の面で好ましい。一方、厚みが2mm以上であれば、ラベルの集積による重みにより、ブレード部11が過度に変形することを防止することができる。
【0027】
ブレード部11の長さLbは100mm~400mm、好ましくは、200mm~350mmである。この長さであれば、ブレード部11に集積するラベルの積層量として、例えば500~2000枚を集積可能である。
【0028】
ブレード部11の材質は、ラベルを集積したときの重みによる変形に耐えられるものであれば特に限定されないが、長期使用した場合においても脆性が起きず使用に耐えられる材質が好ましい。例えば、鋼板やステンレス、表面処理を行った鉄等を用いることが好ましく、より好ましくは、SUS304等の適度な強度と耐食性のあるものである。
【0029】
フランジ部12は、ブレード部11の根元に設けられ、ブレード部11に集積したラベルの落下を防止する部分である。フランジ部12の形状、寸法などは特に限定されるものではないが、ラベルの外形よりも一回り小さく、ラベルの挿入孔よりも大きい形状であると好ましい。
【0030】
例えば、
図8に示すラベル120のように長さがL
1、幅がL
2の矩形形状である場合、
図1(C)に示すフランジ部12のW
f1の長さはラベル120の幅L
2より短く、ラベル120の挿入孔121の長径W
1より長いことが好ましく、フランジ部12のW
f2の長さはラベル120の長さL
1より短く、ラベル120の挿入孔121の短径W
2より長いことが好ましい。フランジ部12をラベルの外形よりも一回り小さくすることで、ブレード部11に集積されたラベルの抜き取りが容易になる。
【0031】
フランジ部12の材質は特に限定されないが、ブレード部11と同様に長期使用した場合においても脆性が起きず使用に耐えられる材料が好ましい。例えば、鋼板やステンレスや表面処理を行った鉄等を用いることが好ましく、より好ましくは、SUS304等の適度な強度と耐食性のあるものである。
【0032】
ヒルト部13は、フランジ部12を挟んでブレード部11と反対に設けられ、後述するラベル集積装置にラベル集積治具10を取り付けるための部分である。ヒルト部13の形状、寸法などは特に限定されるものではないが、ブレード部11をそのまま延伸させて設けてあってもよい。この場合、ヒルト部13の幅と厚みはブレード部11と同じであってよく、またヒルト部13の材質はブレード部11と同様であってよい。
【0033】
図2は本発明の一実施形態のラベル集積治具のヒルト部を説明するための模式図である。ヒルト部13は、
図2に示すようにラベル集積装置に取り付けるための取り付け穴及び/又は切欠きを有する。
図2の例示では、ヒルト部13にひょうたん型の取り付け穴15と切欠き16の両方が設けられている。
【0034】
図3はラベル集積治具10をラベル集積装置に取り付けるための固定具20の一例である。固定具20は、
図3の上部及び下部でそれぞれ異なる角度で示されている。
図3の例示では、固定具20はラベル集積装置のシャフト33に取り付けられ、シャフト33を挿入するクランプ部21と、クランプ部21を締め付けるとともにラベル集積治具10(ヒルト部13)を固定するために突出した2本のネジ22を有している。突出した2本のネジ22はヒルト部13に設けた取り付け穴15や切欠き16を嵌め込むための部分であり、固定具20にラベル集積治具10を着脱する際、ラベル集積治具10のハンドル部14を掴み、上下に動かして、ヒルト部13に設けた取り付け穴15や切欠き16を固定具20の突出した2本のネジ22に嵌め込むか、又は抜き取ることで、固定具20からラベル集積治具10を着脱することができる。
【0035】
また、必要によりクランプ部21には磁石を装着することができる。クランプ部21に磁石が装着されている場合、ヒルト部13の材質に鉄やスチールの磁性体を組み合わせることにより、ラベル集積治具10を固定具20に楽に取り付けることができる。
【0036】
本実施形態のラベル集積治具10は、ラベル集積装置(固定具20)への着脱用のハンドル部14が設けられている。ハンドル部14の形状、材質等は特に制限されず、作業者が片手で把持しやすく、着脱作業しやすいものであればよい。
【0037】
(2.ラベル集積装置)
図4(A)及び
図4(B)は、本発明の一実施形態のラベル集積装置を説明するための模式図である。
図4(A)は正面図、
図4(B)は上から見た平面図を示している。
図4(A)によると、ラベル集積装置30は、台座31に固定された少なくとも2本(図示では3本)の支柱32と、該3本の支柱32の間に水平に設けられたシャフト33と、ラベル集積治具10を備えたラベル集積部34とを有する。ラベル集積治具10は前述のように、固定具20を介してシャフト33に取り付けられている。台座31は移動可能な台車35に設けられた2本のレール36上をスライドして移動可能に載置されている。台車35は、典型的にはキャスターが取り付けられており前後左右に移動可能で、ラベル製造装置のラベル排出位置に設置し、キャスターが固定される。
【0038】
図4(A)では、台座31に固定された2本の支柱32の間にそれぞれ5本のラベル集積治具10が取り付けられている。すなわち、2つのラベル集積部34に、合計10本のラベル集積治具10が固定されている。ラベル集積部34が2つあることで、一方のラベル集積部34にラベルを所定枚数集積後、ラベル集積部34をレール36上でスライドさせ移動し、もう一方のラベル集積部34に切り替えて、ラベルの生産と集積を継続すると同時に、ラベルを集積したラベル集積部34から集積されたラベルを回収、梱包する作業を並行して行うことができる。2つのラベル集積部34をレール36上でスライドさせ移動させる場合、ラベル集積部34を任意の位置で固定できるように、レール36に磁石付きのストッパーを設置し、固定できるようにしておくとよい。また、ラベル集積部34は、3つ以上あってもよい。
【0039】
1つのラベル集積部34におけるシャフト33の長さや、ラベル集積治具10の本数、間隔は特に制限されるものではないが、
図7に例示するように、一枚のシート状のラベル基材100に複数のラベル120が面付けされ、一枚のシート状のラベル基材100から複数のラベル120の個片を製造する場合、ラベル基材100の寸法及びラベル120の面付数に応じて、シャフト33の長さ、及びラベル集積治具10の本数、間隔を任意に設定することができる。
図7では、シート状のラベル基材100の「幅方向×長手方向」において「4×5個」のラベル120が印刷により面付けされている。ラベル製造工程でのシート状のラベル基材100の流れ方向が幅方向であれば、シャフト33の長さはおおよそシート状のラベル基材100の幅に等しく、ラベル集積治具10の本数、間隔はそれぞれシート状のラベル基材100の長手方向の面付数、面付間隔と等しくすればよい。
【0040】
図5は、本発明のラベル集積装置とラベル集積治具の動作原理を説明するための模式図である。シャフト33は少なくとも2本の支柱32の間で上下に移動可能であり、ラベル集積治具10はシャフト33を軸に回動可能な構成となっている。
図5では、ラベル集積治具10を角度θだけ前方に傾け、シャフト33を高さXだけ上方に移動させた状態を例示したものである。ラベル集積治具10の角度の調整は、シャフト33に取り付けた固定具20のネジ22を緩めて任意の角度に固定し直すことで傾けることができ、同様にシャフト33の高さの調整は、シャフト33を支柱32に固定しているクランプ部21を移動させることで任意の高さに調整することができる。また他の方法として、シャフト33を2本の支柱32の間で回転させ、ラベル集積治具10をシャフト33の回転により回動させることでラベル集積治具10の角度を調整するようにしてもよい。これによりラベル集積治具10のブレード部11の先端位置とラベル製造装置のラベル排出位置、ラベルの挿入角度を合わせることができ、ラベル製造装置から搬送されてきたラベルの飛び出し等による集積漏れを防ぎ、効率よく集積することがきる。
【0041】
(3.ラベル製造工程)
次に本発明の一実施形態のラベル集積装置を用いたラベル製造工程の一例について説明する。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態のラベル集積装置を用いたラベル製造工程の一例を説明するための概略図である。
図6に示すラベルの製造工程は、シート状のラベル基材100を載置台に複数載置し、複数のシート状のラベル基材100の積層物からシート状のラベル基材100を一枚ずつ繰り出すシート供給工程51と、シート供給工程51から繰り出されたシート状のラベル基材100を所定の位置まで搬送ベルトによって搬送する搬送工程52と、シート状のラベル基材100に、ラベル120の挿入孔121の輪郭を形成する切込み工程53と、シート状のラベル基材100から、ラベル120の挿入孔121の輪郭により囲まれる内側の部分122(「抜き取り廃材122」とも呼ぶ。)を取り除く中抜き工程54と、中抜き工程54の後に、シート状のラベル基材100のラベル120以外の抜き取り廃材123を取り除く廃材除去工程55と、廃材を除去されたラベル120を搬送するコンベア搬送工程56と、ラベル120を回収するラベル回収工程57から構成されている。これらの工程は、順次行われてもよく、連続ラインにおいて同時に行われてもよい。
【0043】
図7は、本発明の一実施形態のラベル集積装置に適用できるシート状のラベル基材の一例を模式的に示した平面図である。
図7に示すシート状のラベル基材100は、実質単層のシート状からなるが、多層構造のものを使用することもできる。シート状のラベル基材100の材質は特に限定されず、ラベルとして使用できるものであればよい。シート状のラベル基材100の材質の例としては、紙、合成紙、PP(ポリエチレン)やPE(ポリエステル)などのポリオレフィン系、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル系、PS(ポリスチレン)やPA(ポリアミド)などの剛性樹脂性シート等を好適に使用することができる。シート状のラベル基材100の厚みは特に限定されないが、強度などの観点から50μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、170μm以上であることがさらにより好ましい。一方、シート状のラベル基材100の厚みは、コストや扱いやすさの観点から、300μm以下が好ましく、250μm以下であることがより好ましく、230μm以下であることがさらにより好ましい。シート状のラベル基材100は、必ずしも1種類の材質からなる単層のシートである必要はなく、2種類以上の材質のシートを積層したものであってもよいが、この場合であっても、積層されたシートを実質的に単層のものと同じように扱って、シート状のラベル基材100に用いればよい。
【0044】
シート状のラベル基材100の片面又は両面には、必要により、商品の消費者などに情報を伝達するための絵柄や文字等の印刷を施すことができる。印刷の方式としては、例えば平板式印刷法(オフセット印刷等)、凹版式印刷法(彫刻凹版印刷やグラビア印刷等)、孔版式印刷法(シルクスクリーン印刷等)、デジタル印刷(IJP、乾式トナー、湿式トナー等)を使用できる。また印刷に用いるインキとしては、アクリルやセルロースといった樹脂等に着色剤を分散したインキが挙げられる。そうした着色剤としては、無機顔料(酸化チタン、カーボンブラック、銅など)、パール顔料、アルミ粉といったものを使用可能である。絵柄や文字の印刷層の厚さは特に限定されないが、例えば0.5μm以上、好ましくは1μm以上とすることができ、また、10μm以下、好ましくは3μm以下の範囲とすることができる。
【0045】
また、シート状のラベル基材100又はその印刷層の上には、滑り性や耐磨耗性を与えるためにニス層を適用してもよい。ニス層の材質は、製造方式や滑り性、光沢度や光透過性、意匠性などを考慮し適宜選択することができる。ニス層の材質としては例えば、OPニスや油性ニス、水性ニス、UV硬化型ニス、その他特殊ニスといったものが挙げられる。ニス層の厚さは特に限定されないが、例えば0.5μm以上、好ましくは1μm以上とすることができ、また、10μm以下、好ましくは3μm以下の範囲とすることができる。
【0046】
図7に例示するように、高速で多量のラベルの生産が可能となるように一枚のシート状のラベル基材100に、複数のラベル120が面付けされている。ラベル基材100の寸法は、ラベル120の面付数に応じて任意に設定することができる。
図7では、シート状のラベル基材100の「幅方向×長手方向」において「4×5個」のラベル120が印刷により面付けされている。
【0047】
本実施形態では、シート状のラベル基材100が載置台に載置され、複数のシート状のラベル基材100が積層された積層物からシート状のラベル基材100を一枚ずつ繰り出すシート供給工程51が実施される。例えば、載置台に載置されたシート状のラベル基材100の積層物から最上部の1枚をエアーで吸引し、搬送ベルトに送り出すシートフィーダー装置を用いて、シート供給工程51を実施することができる。
【0048】
本実施形態では、シート供給工程51から繰り出されたシート状のラベル基材100を所定の位置まで搬送ベルトによって搬送する搬送工程52が実施される。シート供給工程51から繰り出されたシート状のラベル基材100は搬送工程52によって切込み工程53に送られる。
【0049】
本実施形態では、シート状のラベル基材100に、ラベル120の挿入孔121(
図8参照)の輪郭を形成する切込み工程53が実施される。切込み工程53では、ラベル120の挿入孔121の輪郭がシート状のラベル基材100の厚さより薄くなるように、シート状のラベル基材100をハーフカットする。これは、挿入孔121に切込み線を形成する切込み工程53と、挿入孔121の輪郭により囲まれる内側のラベル基材100の部分122を取り除く中抜き工程54が通常異なる位置で行われることを考慮し、中抜き工程54の実施を容易にしつつ、搬送中に挿入孔121の輪郭により囲まれる内側のラベル基材100の部分122が脱落しないようにするためである。また、本実施形態では、切込み工程53において、ラベル120の外形の輪郭を形成するために、シート状のラベル基材100を貫通する外形輪郭切込み線を形成することができる。
【0050】
シート状のラベル基材100にラベル120の挿入孔121の輪郭や外形の輪郭を形成する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ビク刃、ピナクル刃、金型、抜き型を使用することが可能であり、また、レーザー光やマシニングセンターといった機械での切削方法を使用することができる。
【0051】
切込み工程53で挿入孔121の輪郭、及び任意的には外形輪郭切込み線が形成されたシート状のラベル基材100は、搬送ベルトによって中抜き工程54に送られ、中抜き工程54で、シート状のラベル基材100からラベル120の挿入孔121の輪郭により囲まれる内側の部分122が取り除かれる。シート状のラベル基材100からラベル120の挿入孔121の輪郭により囲まれる内側の部分122を取り除く方法は、シリンダーによる押し込みやエアーの吹込みなどが考えられる。
【0052】
中抜き工程54の後、廃材除去工程55でシート状のラベル基材100からラベル120以外の抜き取り廃材123を取り除くことができ、ラベル回収工程57でラベル120を回収することができる。
【0053】
廃材除去工程55でシート状のラベル基材100からラベル120以外の抜き取り廃材123を取り除いた後、コンベア搬送工程56が実施される。コンベア搬送工程56では、コンベアの速度調整が可能であり、排出されるラベル120の流れ方向の距離を可変することができる。すなわち、搬送工程52によって搬送されたラベル120の各個片の間隔を縮めることや伸ばすことが可能となる。具体的には、ラベル120のサイズに応じて、コンベア搬送速度は1m/min~20m/minで調整可能であり、通常は、搬送ベルトの搬送速度よりも遅くするのが好ましい。コンベア搬送工程56からラベル回収工程57へのラベル120の受け渡しは、ラベル120の自由落下を利用し、ラベル集積装置30のラベル集積治具10の先端にラベル120の挿入孔121を差し込み回収する。そのため、搬送ベルトの搬送速度よりもコンベア搬送工程56のコンベアの速度を遅くすることで、ラベル120の間隔を縮めて、先行するラベル120と後方のラベル120が重なるようにし、集積されるラベル120の挿入孔121の位置ズレを抑えることができる。具体的には、先行するラベル120と後方のラベル120の重なりが、コンベア搬送方向におけるラベル寸法の1/2以下、好ましくは1/2~1/3になるようにする。ラベル寸法の1/2以上が重なると、ラベル120の挿入孔121にラベル120の先端が引っかかり、ラベル120の挿入孔121が塞がれてしまうので、ラベル寸法の1/2を超える重なりは回避したほうが好ましい。一方、ラベル120の重なりをラベル寸法の1/3以上とすることにより、集積されるラベル120の挿入孔121の位置ズレを抑制することでき、ラベル回収工程57でラベル集積治具10の先端がラベル120の挿入孔121に挿入しやすくなり、ラベル回収率が高い。
【0054】
ラベル回収工程57は本発明のラベル集積装置を用いて実施される。
図9は本発明の一実施形態のラベル集積装置をラベルの製造工程に用いた一実施形態を説明するための概略図である。
【0055】
図9では、それぞれ5本のラベル集積治具10が固定された2つのラベル集積部34が設けられ、一方のラベル集積部34がラベル製造装置のラベル排出位置(コンベア搬送工程56はコンベアの位置)に設置され、固定される。その際、ラベル集積治具10のブレード部11の角度、先端の高さをラベル120の落下位置に合うように調整する(
図5参照)。これにより、ラベル集積治具10のブレード部11の先端位置とラベル120の挿入角度を合わせることができ、コンベア搬送工程56から搬送されてきたラベル120の飛び出し等による集積漏れを防ぎ、効率よく集積することがきる。
【0056】
ラベル集積部34におけるシャフト33の長さや、ラベル集積治具10の本数、間隔は、例えば
図7、
図8を例に、シート状のラベル基材100として上質紙の四六4切(サイズ:545mm×394mm、厚み:170μm、定量米坪:約160g/m
2)を用意し、ラベル120のサイズを74×60mmとし、挿入孔121を長径W
1が30mm、短径W
2が20mmの楕円とし、シート状のラベル基材100の「幅方向×長手方向」において「4×5個」のラベル120を10mm間隔で印刷により面付けした場合、シャフト33の長さは340mm~545mm、例えば420mmとし、ラベル集積治具10の本数は5本、ブレード部11の間隔は中心基準で70mmとすればよい。また、ラベル120の挿入孔121のサイズから、ブレード部11の幅W
bは28mm、厚みT
bは3mm、長さL
bは250mmが最適である。
【0057】
図10(A)及び
図10(B)は、本発明の一実施形態のラベル集積装置をラベルの製造工程に用いたときのラベルの集積状態を説明するための概略図である。
図10(A)では、ラベル120を先行するラベル120と後方のラベル120が1/3程度重なるようコンベア搬送工程56で搬送され、
図10(B)に示すように、ラベル120はラベル集積治具10に順次堆積される。
【0058】
ラベル集積治具10にラベル120の集積枚数が一定数(例えば500枚)に達したら、装置を停止し、又は、間欠動作を入れることにより、ラベル集積治具10からラベル120を回収することができる。ラベル集積部34が2つあることで、一方のラベル集積部34にラベル120を所定枚数集積後、ラベル集積部34をレール36上でスライドさせ移動し、もう一方のラベル集積部34に切り替えてラベル120の生産を継続すると同時に、ラベル120を集積した方のラベル集積部34からラベル120を回収することで、次工程(例えば梱包工程)への受け渡しも容易に、かつ並行して行うことができる。
【0059】
本発明のラベル集積治具10およびラベル集積装置30をラベル製造工程の回収工程に用いることにより、ラベル120を自動的に天地表裏方向が一致した状態で集積することができ、挿入孔121が形成されていないラベル120は排除され、抜きカス等の混入を防止することができる。ラベル回収工程57で回収されたラベル120は、必要により梱包作業を経て、例えば自動装着装置(例:株式会社トッパンインフォメディア、商品名「TLN-800」)のスタッカー部分に装填(例えば500枚)され、清涼飲料水や酒類、調味料等の容器の首部に装着することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 ラベル集積治具
11 ブレード部
12 フランジ部
13 ヒルト部
14 ハンドル部
20 固定具
30 ラベル集積装置
31 台座
32 支柱
33 シャフト
34 ラベル集積部
35 台車
36 レール
51 シート供給工程
52 搬送工程
53 切込み工程
54 中抜き工程
55 廃材除去工程
56 コンベア搬送工程
57 ラベル回収工程
100 シート状のラベル基材
120 ラベル
121 挿入孔