(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007719
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】レンズフード及びカメラ及びレンズフードの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03B 11/04 20210101AFI20250109BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20250109BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20250109BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
G03B11/04 C
G02B7/02 D
G02B7/02 Z
G02B7/02 E
G03B11/00
H04N23/55
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109302
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】518189563
【氏名又は名称】有限会社クラウン商会
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】徐 民
(72)【発明者】
【氏名】徐 光孝
(72)【発明者】
【氏名】徐 光宏
【テーマコード(参考)】
2H044
2H083
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AD01
2H044AE09
2H044AJ03
2H083AA21
2H083DD14
2H083DD24
5C122FB22
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】カメラに取設されるレンズの入射側の端部に、レンズフードを正逆いずれの方向で装着する場合でも外れ難いレンズフードを提供する。
【解決手段】レンズ10の入射側の端部10aに取設される第1の雌ねじ構造11に装着されるレンズフードであって、レンズフード本体2と、第1の雌ねじ構造11に螺着され、レンズ10の入射側の端部10aに正方向にレンズフード本体2を装着させる第1の雄ねじ構造4と、第1の雌ねじ構造11に螺着され、レンズ10の入射側の端部10aに逆方向にレンズフード本体2を装着させる第2の雄ねじ構造5と、レンズフード本体2の基部2aから中空部2c側に突出するせり出し部3を備え、このせり出し部3の中空部2c側の端部3aに、第1の雄ねじ構造4と第2の雄ねじ構造5を背合わせで備えるレンズフード1Aによる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラのレンズにおいて入射側の端部に取設されるリング状の第1の雌ねじ構造に装着されるレンズフードであって、
前記レンズを囲むように延びる側壁部を有するレンズフード本体と、
前記第1の雌ねじ構造に螺着され、前記レンズに進入する光の一部を遮るように前記レンズフード本体を装着させるリング状の第1の雄ねじ構造と、
前記第1の雌ねじ構造に螺着され、前記レンズの側面を被覆するように前記レンズフード本体を装着させるリング状の第2の雄ねじ構造と、
前記レンズフード本体の基部から中空側に突出するつば状のせり出し部、を備え、
前記せり出し部の前記中空側の端部は、前記第1の雄ねじ構造と前記第2の雄ねじ構造を背合わせで備えることを特徴とするレンズフード。
【請求項2】
前記レンズフード本体の前記中空側に配され、前記第2の雄ねじ構造を囲むように設けられるリング状の第2の雌ねじ構造を備えることを特徴とする請求項1に記載のレンズフード。
【請求項3】
前記せり出し部は、採光用の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズフード。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のレンズフードと、
カメラ本体と、
前記カメラ本体に取設されるとともに、前記レンズフードを螺着するリング状の第1の雌ねじ構造を入射側の端部に有するレンズを備えることを特徴とするカメラ。
【請求項5】
カメラのレンズにおいて入射側の端部に設けられるリング状の第1の雌ねじ構造に装着されるレンズフードの製造方法であって、
前記レンズに進入する光の一部を遮るレンズフード本体と、
前記レンズフード本体の基部から中空側に突出するつば状のせり出し部の一部、を備えてなる第1のパーツを作製する第1の工程と、
前記せり出し部の残部と、
前記せり出し部の前記残部において、
前記中空側の端部に設けられ、前記第1の雌ねじ構造に螺着されることで前記レンズに進入する光の一部を遮るように前記レンズフード本体を装着させるリング状の第1の雄ねじ構造と、
前記中空側の端部において前記第1の雄ねじ構造と背合わせに設けられ、前記第1の雌ねじ構造に螺着されることで前記レンズの側面を被覆するように前記レンズフード本体を装着させるリング状の第2の雄ねじ構造、を備えてなる第2のパーツを作製する第2の工程と、
前記第1のパーツと前記第2のパーツを接合して一体化する第3の工程を備えることを特徴とするレンズフードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば一眼レフカメラ等の撮像装置に取設されるレンズの入射側に装着して用いられるレンズフードに関する。
【背景技術】
【0002】
はじめに、
図14を参照しながら従来技術について説明する。
図14はカメラのレンズにフィルタを装着する様子を示す部分断面図である。また、
図14では紙面右側にフィルタ装着前の様子を、紙面左側にフィルタ装着後の様子を示している。さらに、
図14中の符号Sで示す一点鎖線はレンズ32の中心軸を示している。
図14に示すようにカメラ30は、カメラ本体31に取設されるレンズ32の入射側の端部32aに、必要に応じてフィルタ34等のアクセサリを装着するためにリング状の雌ねじ構造33を備えている場合がある。
なお、この雌ねじ構造33は、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の内側面に雌ねじ33aを形成したものである(
図14の紙面右側を参照)。
さらに、上述のような雌ねじ構造33に装着可能なアクセサリである例えばフィルタ34は、所望の波長の光をカットする等の機能を有するフィルタ本体35と、その周縁に設けられる枠部36と、この枠部36において上記フィルタ本体35の一方の面側に固設されるリング状の雄ねじ構造371と、同枠部36において上記フィルタ本体35の他方の面側に固設されるリング状の雌ねじ構造372を備えている。
なお、上記フィルタ34における雄ねじ構造371は、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の外側面に雄ねじ371aを形成したものである。
また、上記フィルタ34における雌ねじ構造372は、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の内側面に雌ねじ372aを形成したものである。
そして、市販のカメラ30のレンズ32の端部32a側に、例えばフィルタ34を装着する場合は、
図14の紙面左側に示すように、レンズ32に取設される雌ねじ構造33の内側に、フィルタ34の雄ねじ構造371を螺着すればよい。
なお、フィルタ34は上述のように、枠部36にリング状の雌ねじ構造372も備えている。このため、
図14に示す市販のカメラ30のレンズ32の端部32a側に、フィルタ34と同一形態の他のフィルタ34を所望数重ね付けしたり(図示せず)、フィルタ以外の他のアクセサリを重ね付けしたりすることができる(図示せず)。
また、本願発明と関連する技術分野の先願としては例えば特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1には「フィルタアダプタ及び撮像装置」という名称で、フィルタアダプタ及び撮像装置に関し、特に、撮像装置のレンズ鏡筒に対して着脱可能に装着され、レンズフィルタとレンズフードの同時装着を可能とするフィルタアダプタに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示されるフィルタアダプタは、レンズ鏡筒の先端部に着脱自在であり、且つ、レンズ鏡筒への撮像画角外からの光を遮るレンズフードの着脱が可能なフィルタアダプタであって、このフィルタアダプタは、レンズ鏡筒の光軸方向と直交する方向でのバヨネット係合によりレンズ鏡筒に対して着脱可能とするために内周面に設けられた第1のバヨネット部と、光軸方向でのバヨネット係合によりレンズフードを着脱可能とするために外周面に設けられた第2のバヨネット部と、を備えることを特徴とする。
上記構成の特許文献1に開示されるフィルタアダプタによれば、レンズ鏡筒の先端側に、レンズフードによりレンズに入射する光の一部を遮るように(=正方向に)レンズフードを装着できるとともに、レンズフードの先端側(花弁形部)がカメラ本体部側を向くように(=逆方向に)レンズフードを装着することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示される発明によれば、レンズ鏡筒の先端側に、レンズフードを正逆方向のいずれにも装着できるものの、その着脱機構としてバヨネット係合が採用されている。
このため、レンズフードに外部から衝撃が加わった際に、レンズ鏡筒の先端側からレンズフードが外れ易く、レンズフード装着時の安定性が乏しいという課題があった。
【0006】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、カメラに取設されるレンズの入射側の端部に、レンズフードを正逆いずれの方向で装着しても外れ難いレンズフード及びそれを備えるカメラ及びレンズフードの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明であるレンズフードは、カメラのレンズにおいて入射側の端部に取設されるリング状の第1の雌ねじ構造に装着されるレンズフードであって、レンズを囲むように延びる側壁部を有するレンズフード本体と、上記第1の雌ねじ構造に螺着され、レンズに進入する光の一部を遮るように(正方向に)レンズフード本体を装着させるリング状の第1の雄ねじ構造と、上記第1の雌ねじ構造に螺着され、レンズの側面を被覆するように(逆方向に)レンズフード本体を装着させるリング状の第2の雄ねじ構造と、レンズフード本体の基部から中空側に突出するつば状のせり出し部、を備え、せり出し部の中空側の端部は、第1の雄ねじ構造と第2の雄ねじ構造を背合わせで備えることを特徴とする。
上記構成の第1の発明においてレンズフード本体は、カメラに取設されるレンズの入射側の端部に正方向に装着された場合に、レンズの入射側において側壁部が庇のような役割を果たして、レンズに進入する光の一部を遮るという作用を有する。また、レンズフード本体がレンズの入射側の端部に逆方向に装着された場合、すなわちレンズの外側面を被覆するようにレンズフード本体を装着した場合は、側壁部によりレンズの外側面を保護するという作用を有する。あるいは、レンズの入射側の端部に逆方向にレンズフード本体を装着する場合は、使用しないレンズフード本体をレンズの外側面上に保管するという作用を有する。
また、第1の発明において第1の雄ねじ構造は、レンズの入射側の端部に取設される第1の雌ねじ構造の内側に、レンズフード本体を正方向に螺着させるという作用を有する。さらに、第2の雄ねじ構造は、レンズの入射側の端部に取設される第1の雌ねじ構造の内側に、レンズフード本体を逆方向に螺着させるという作用を有する。
加えて、第1の発明においてせり出し部は、上述のような第1の雄ねじ構造及び第2の雄ねじ構造の支持部材として作用する。
なお、第1の発明におけるリング状の雌ねじ構造(第1の雌ねじ構造)は、短筒体の内側面に雌ねじを形成したものである。
また、第1の発明におけるリング状の雄ねじ構造(第1の雄ねじ構造及び第2の雄ねじ構造)は、短筒体の外側面に雌ねじを形成したものである。
【0008】
第2の発明であるレンズフードは、上述の第1の発明であって、レンズフード本体の中空側に配され、第2の雄ねじ構造を囲むように設けられるリング状の第2の雌ねじ構造を備えることを特徴とする。
上記構成の第2の発明における第2の雌ねじ構造は、カメラに取設されるレンズの入射側の端部に正方向にレンズフードを螺着した状態のまま、さらにレンズの入射側にフィルタ等のアクセサリを螺着可能にする。
つまり、第2の発明において第2の雌ねじ構造は、フィルタ等のアクセサリを装着するための連結構造の一部(雌側)として作用する。
【0009】
第3の発明であるレンズフードは、上述の第1又は第2の発明であって、せり出し部は、採光用の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
上記構成の第3の発明における貫通孔は、レンズフード本体の基部側からレンズフード本体の中空側に光を導き入れるという作用を有する。
この場合、レンズフード本体の開口側からのみ光が入射する場合に比べて、レンズに入射する光量を相対的に増やすという作用を有する。
【0010】
第4の発明であるカメラは、上述の第1乃至第3の発明であるレンズフードと、カメラ本体と、このカメラ本体に取設されるとともに、上記レンズフードを螺着するリング状の第1の雌ねじ構造を入射側の端部に有するレンズを備えることを特徴とする。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のいずれかの発明であるレンズフードを備えたカメラを物の発明として特定したものである。
よって、第4の発明による作用は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じである。
【0011】
第5の発明であるレンズフードの製造方法は、カメラのレンズにおいて入射側の端部に設けられるリング状の第1の雌ねじ構造に装着されるレンズフードの製造方法であって、レンズを囲むように延びる側壁部を備えてレンズに進入する光の一部を遮るレンズフード本体と、このレンズフード本体の基部から中空側に突出するつば状のせり出し部の一部、を備えてなる第1のパーツを作製する第1の工程と、上記せり出し部の残部と、このせり出し部の残部において、レンズフード本体の中空側の端部に設けられ、第1の雌ねじ構造に螺着されることでレンズに進入する光の一部を遮るようにレンズフード本体を装着させるリング状の第1の雄ねじ構造と、同じくせり出し部の残部においてレンズフード本体の中空側の端部でかつ第1の雄ねじ構造と背合わせに設けられ、第1の雌ねじ構造に螺着されることでレンズの側面を被覆するようにレンズフード本体を装着させるリング状の第2の雄ねじ構造、を備えてなる第2のパーツを作製する第2の工程と、第1のパーツと第2のパーツを接合して一体化する第3の工程を備えることを特徴とする。
上記構成の第5の発明における第1の工程は、せり出し部の一部を備えたレンズフード本体(=第1のパーツ)を作製する工程である。また、第2の工程は、互いに背合わせで連結される第1の雄ねじ構造と第2の雄ねじ構造を備えるせり出し部の残部(=第2のパーツ)を作製する工程である。なお、第5の発明において第1の工程と第2の工程は、この順序で行う必要はなく逆でも、並行して行ってもよい。
そして、第3の工程において第1のパーツにおけるせり出し部の一部と、第2のパーツにおけるせり出し部の残部を接合して一体化することで、先の第1乃至第3のそれぞれの発明であるレンズフードが作製される。
【発明の効果】
【0012】
上述のような第1の発明及び第4の発明によれば、カメラに取設されるレンズの入射側の端部に、このレンズへの入射光の一部を遮るようにレンズフード本体を螺着により装着(正方向への装着)でき、かつこのレンズの外側面を被覆するようにもレンズフード本体を螺着により装着(逆方向への装着)できるレンズフードを提供することができる。
この場合、レンズの入射側の端部にレンズフードをバヨネット係合(例えば特許文献1)により装着する場合に比べて、レンズの端部から第1の発明であるレンズフードを外れ難くすることができる。
これにより、第1の発明であるレンズフードの使用時にレンズの端部から意図せずレンズフードが外れてしまうのをより確実に防ぐことができる。
【0013】
第2の発明及び第4の発明によれば、レンズの入射側の端部に正方向にレンズフードを螺着した状態で、さらにレンズの入射側にフィルタ等のアクセサリを螺着することができる。
これにより、レンズの入射側にレンズフード及びフィルタ等のアクセサリを両社とも螺着できるので、カメラの使用時にレンズフード及びフィルタ等のアクセサリが意図せず外れてしまうのをより確実に防ぐことができる。
【0014】
第3の発明及び第4の発明によれば、せり出し部に採光用の貫通孔が形成されない場合に比べて、レンズフードの中空側に導き入れられる光量がより多いレンズフードを提供できる。
この結果、レンズフードを備えたカメラにより撮影される画像の表現性を広げることができる。
【0015】
第5の発明によれば、せり出し部の端部に第1の雄ねじ構造と第2の雄ねじ構造を背合わせで備えたレンズフード本体を容易に製造することができる。
この結果、先の第1乃至第4のそれぞれの発明による効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るレンズフードの中心軸方向断面図である。
【
図2】カメラのレンズに本実施形態に係るレンズフードを正方向に装着する様子を示す部分断面図である。
【
図3】カメラのレンズに本実施形態に係るレンズフードを逆方向に装着する様子を示す部分断面図である。
【
図4】本実施形態に係るレンズフードの試作品をレンズの端部に正方向に装着した状態を正面側から見た画像である。
【
図5】本実施形態に係るレンズフードの試作品をレンズの端部に逆方向に装着した状態を正面側から見た画像である。
【
図6】本実施形態に係るレンズフードとフィルタを併用する場合の第1の使用例を示す部分断面図である。
【
図7】本実施形態に係るレンズフードとフィルタを併用する場合の第2の使用例を示す部分断面図である。
【
図8】本実施形態に係るレンズフードとフィルタを併用する場合の第3の使用例を示す部分断面図である。
【
図9】本実施形態に係るレンズフードとフィルタを併用する場合の第4の使用例を示す部分断面図である。
【
図10】本実施形態に係るレンズフードを正方向に装着し、さらにこのレンズフードにフィルタを装着する様子を示す部分断面図である。
【
図11A】本実施形態に係るレンズフードを構成する第1のパーツおよび第2のパーツの断面図である。
【
図11B】第1のパーツ及び第2のパーツを接合して一体化した様子を示す断面図である。
【
図12】変形例に係るレンズフードの中心軸方向断面図である。
【
図13】他の変形例に係るレンズフードの中心軸方向断面図である。
【
図14】カメラのレンズにフィルタを装着する様子を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係るレンズフード及びカメラ、並びにレンズフードの製造方法について
図1乃至
図13を参照しながら説明する。
【0018】
[1-1;本発明の基本構成について]
はじめに、
図1乃至
図3を参照しながら本発明の実施形態(以下、本実施形態という)に係るレンズフードの基本構成について説明する。
図1は本実施形態に係るレンズフードの中心軸方向断面図である。また、
図2はカメラのレンズに本実施形態に係るレンズフードを正方向に装着する様子を示す部分断面図である。さらに、
図3はカメラのレンズに本実施形態に係るレンズフードを逆方向に装着する様子を示す部分断面図である。なお、
図2及び
図3では、紙面右側に本実施形態に係るレンズフードを装着する前の様子を、紙面左側に本実施形態に係るレンズフードを装着した後の様子を示している。なお、
図1乃至
図3中の符号Sで示す一点鎖線はレンズフード本体2の中心軸を示している(以下に示す他の図面においても同様である)。
本実施形態に係るレンズフード1Aは、
図2及び
図3に示すように、カメラ本体9に取設されるレンズ10において入射側の端部10aに取設されるリング状の第1の雌ねじ構造11に装着(螺着)されるレンズフードである。
なお、レンズ10の端部10aに取設されるリング状の第1の雌ねじ構造11は、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の内側面に雌ねじ11aを形成したものであり、レンズ10の入射側の端部10aに予め固設されている。
つまり、リング状の第1の雌ねじ構造11は、レンズ10の入射側の端部10aに、先の
図14に示すようなフィルタ34と同形態のフィルタやレンズカバー(図示せず)等のアクセサリを装着(連結)するための連結構造の一方(雌側)をなす。
【0019】
より詳細には、本実施形態に係るレンズフード1Aは、例えばレンズ10を囲むように延びる側壁部26を有するレンズフード本体2と、このレンズフード本体2をレンズ10の端部10aに設けられる第1の雌ねじ構造11に正方向に装着させるリング状の第1の雄ねじ構造4(
図1及び
図2を参照)と、レンズフード本体2を第1の雌ねじ構造11に逆方向に装着させるリング状の第2の雄ねじ構造5(
図1及び
図3を参照)を備えている。
さらに、本実施形態に係るレンズフード1Aは、
図1乃至
図3に示すように、レンズフード本体2の基部2aから中空部2c側に向かって突出するつば状のせり出し部3を備え、このせり出し部3の中空部2c側の端部3aに、上記第1の雄ねじ構造4と第2の雄ねじ構造5を背合わせで備えている。
つまり、第1の雄ねじ構造4(短筒体)と第2の雄ねじ構造5(短筒体)が、これらの中心軸S方向に直列に連結されてなる筒状構造において、中心軸S方向における中間位置の外側面上にせり出し部3がフランジ状に周設されている。
なお、第1の雄ねじ構造4は、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の外側面に雄ねじ4aを形成したものである。
同様に、第2の雄ねじ構造5も、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の外側面に雄ねじ5aを形成したものである。
【0020】
また、
図1乃至
図3では、レンズフード本体2を構成する側壁部26の形態が筒状をなす場合を例にあげて説明しているが、この側壁部26の形態は必ずしも筒状である必要はなく、例えば花弁状をなすいわゆる花形タイプや、例えば錐筒状や角筒状等をなす異形タイプでもよい。
【0021】
そして、上述のような本実施形態に係るレンズフード1Aは、
図2に示すように、レンズ10の端部10aに設けられる第1の雌ねじ構造11の内側に第1の雄ねじ構造4を螺着することで、レンズ10の端部10a側にレンズフード本体2を正方向に装着することができる。
つまり、レンズ10の端部10a側に、このレンズ10に進入する光の一部を側壁部26により遮るようにレンズフード本体2を装着することができる。
なお、
図4は本実施形態に係るレンズフードの試作品をレンズの端部に正方向に装着した状態を斜め正面側から見た画像である。また、
図4中に示す試作品に係るレンズフード7は、先の
図1乃至
図3に示すレンズフード1Aと同じ形態である。なお、
図4の画像中の「NIKKOR」は登録商標である。
【0022】
さらに、本実施形態に係るレンズフード1Aは、
図3に示すように、レンズ10の端部10aに設けられる第1の雌ねじ構造11の内側に第2の雄ねじ構造5を螺着することで、レンズ10の端部10a側にレンズフード本体2を逆方向に装着することができる。
つまり、レンズ10の端部10a側に、レンズ10の周側面を側壁部26により被覆するようにレンズフード本体2を装着することができる。
なお、
図5は本実施形態に係るレンズフードの試作品をレンズの端部に逆方向に装着した状態を正面側から見た画像である。また、
図5中に示す試作品に係るレンズフード7も、先の
図1乃至
図3に示すレンズフード1Aと同じ形態である。なお、
図5の画像中の「NIKKOR」も登録商標である。
【0023】
また、本実施形態に係るレンズフード1Aは、従来公知のレンズフィルタ(以下、単に「フィルタ」という)と併用することができる。
以下に、本実施形態に係るレンズフード1Aと従来公知のフィルタを併用する場合の使用態様について
図6乃至
図9を参照しながら説明する。
図6乃至
図9はいずれも本実施形態に係るレンズフード1Aと従来公知のフィルタを併用する場合の第1~第4のそれぞれの使用例を示す部分断面図である。また、
図6乃至
図9では、紙面右側にレンズ10の端部10a側に本実施形態に係るレンズフード1Aと従来公知のフィルタを装着する前の様子を、紙面左側にレンズ10の端部10a側に本実施形態に係るレンズフード1Aと従来公知のフィルタを装着した後の様子を示している。なお、
図1乃至
図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
また、本実施形態に係るレンズフード1Aと併用する従来公知のフィルタ12は、先の
図14に示すフィルタ34と同一形態である。
【0024】
より具体的にはこのフィルタ12は、例えば
図6に示すように、所望の波長の光をカットする等の機能を有するフィルタ本体13と、その周縁に設けられる枠部14と、この枠部14において上記フィルタ本体13の一方の面側に固設されるリング状の雄ねじ構造151と、同枠部14において上記フィルタ本体13の他方の面側に固設されるリング状の雌ねじ構造152を備えている。
なお、上記フィルタ12における雄ねじ構造151は、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の外側面に雄ねじ151aを形成したものである。
また、上記フィルタ12における雌ねじ構造152は、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の内側面に雌ねじ152aを形成したものである。
つまり、従来公知のフィルタ12は、その雄ねじ構造151を、先の
図2及び
図3に示すレンズ10の端部10a側に設けられる第1の雌ねじ構造11に螺着できるとともに、このフィルタ12に設けられる雌ねじ構造152に、本実施形態に係るレンズフード1Aの第1の雄ねじ構造4又は第2の雄ねじ構造5を螺着することができる。
【0025】
より具体的には、
図6に示すように、カメラ8(図示せず)のレンズ10の端部10a側に設けられる第1の雌ねじ構造11に従来公知のフィルタ12を装着(螺着)した状態で、さらにこのフィルタ12に重ねるように本実施形態に係るレンズフード1Aを正方向に装着(螺着)できる。
また、
図7に示すように、カメラ8のレンズ10の端部10a側に設けられる第1の雌ねじ構造11に本実施形態に係るレンズフード1Aを正方向に装着(螺着)した状態で、このレンズフード1Aの第2の雄ねじ構造5にフィルタ12を装着(螺着)することができる。
さらに、
図8に示すように、カメラ8のレンズ10の端部10a側に設けられる第1の雌ねじ構造11に本実施形態に係るレンズフード1Aを逆方向に装着(螺着)した状態で、このレンズフード1Aの第1の雄ねじ構造4にフィルタ12を装着(螺着)することができる。
加えて、
図9に示すように、カメラ8のレンズ10の端部10a側に設けられる第1の雌ねじ構造11に従来公知のフィルタ12を装着(螺着)した状態で、さらにこのフィルタ12に重ねるように本実施形態に係るレンズフード1Aを逆方向に装着(螺着)することができる。
なお、
図6乃至
図9では、単数のフィルタ12を本実施形態に係るレンズフード1Aと併用する場合を例にあげているが、複数のフィルタ12を重ね付けして用いたり、本実施形態に係るレンズフード1Aの第1の雄ねじ構造4及び第2の雄ねじ構造5の両者にそれぞれ単数又は複数のフィルタ12を装着(螺着)したものをレンズ10の第1の雌ねじ構造11に装着(螺着)して用いたりしてもよい。
【0026】
なお、カメラ本体9に取設されるレンズ10の第1の雌ねじ構造11に本実施形態に係るレンズフード1Aを正方向又は逆方向に螺着したカメラ8が、本実施形態に係るカメラ8である(
図2又は
図3を参照)。
【0027】
[1-2;基本構成による作用・効果について]
上述のような本実施形態に係るレンズフード1Aによれば、レンズ10の端部10aに予め設けられる第1の雌ねじ構造11に、レンズフード本体2を正方向、逆方向のいずれの方向にも螺着することができる(
図2乃至
図5を参照)。
この場合、レンズ10の端部10a側にレンズフードをバヨネット係合(例えば特許文献1)により装着する場合に比べて、レンズ10の端部10aからレンズフード1Aを外れ難くすることができる。
これにより、本実施形態に係るカメラ8の使用時にレンズ10の端部10aから意図せずレンズフード1Aが外れてしまうという不具合が生じるのをより確実に防ぐことができる。
【0028】
特に、本実施形態に係るレンズフード1Aは、先の
図6乃至
図9に示すように、カメラ8のレンズ10にレンズフード1Aを正逆いずれの方向に装着する場合でも、従来公知のフィルタ12を併用することができる。
また、本実施形態に係るレンズフード1Aと従来公知のフィルタ12を併用する場合、レンズフード1Aにフィルタ12を装着する場合も、あるいはフィルタ12にレンズフード1Aを装着する場合も、これらを螺着して一体化できるので、レンズフード1Aとフィルタ12のいずれか一方又は両方がレンズ10の端部10a側から外れてしまうのを防ぐことができる。
したがって、本実施形態に係るレンズフード1Aによれば、レンズフード1Aとフィルタ12を併用する際の安定性を良好にできる。
【0029】
特に、本実施形態に係るレンズフード1Aをレンズ10の端部10aに逆方向に装着する場合(
図3及び
図5を参照)はさらに、カメラ本体9からレンズ10を取り外して保管又は携行する際に、レンズ10の保護部材としてレンズフード1Aを利用することができる(
図5を参照)。
この場合、レンズ10の周側面がレンズフード本体2の側壁部26により被覆されるので、レンズ10の周側面側からレンズ10に強い衝撃が加わった際に、レンズフード1Aが変形又は破損することで、レンズ10自体の破損を防ぐことができる。
つまり、レンズ10に本実施形態に係るレンズフード1Aを逆方向に装着することで、レンズ10の耐衝撃性を向上させることができる。
なお、本実施形態に係るレンズフード1Aを特にレンズ10の保護部材として利用する場合、側壁部26の形態は、花形タイプや異形タイプよりも筒状であることが望ましい。これは、レンズ10にレンズフード本体2を装着した際に、レンズフード本体2により被覆される領域が、花形タイプや異形タイプよりも筒状の方が広いためである。
【0030】
[1-3;基本構成の任意付加的事項について]
<1-3-1;第2の雌ねじ構造について>
図1及び
図10を参照しながら本実施形態に係るレンズフード1Aの変形例について説明する。
図10は本実施形態に係るレンズフードを正方向に装着し、さらにこのレンズフードにフィルタを装着する様子を示す部分断面図である。なお、
図10では紙面右側にフィルタ装着前の様子を、紙面左側にフィルタ装着後の様子を示している。また、
図1乃至
図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係るレンズフード1Aは、例えば
図1等に示すように、レンズフード本体2の中空部2c側に配され、第2の雄ねじ構造5を囲むように設けられるリング状の第2の雌ねじ構造6を備えていてもよい。
なお、この第2の雌ねじ構造6は、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の内側面に雌ねじ6aを形成したものである。
より詳細には、本実施形態に係るレンズフード1Aは、例えば
図1等に示すように、せり出し部3は段差18を備え、この段差18において第2の雄ねじ構造5の雄ねじ5aが形成される面と対向する面に雌ねじ6aを備えている。
なお、せり出し部3形成される段差18と雌ねじ6aの組み合わせが、リング状の第2の雌ねじ構造6に対応する構成である。
【0031】
上述のような第2の雌ねじ構造6を備えるレンズフード1Aによれば、
図10に示すように、第2の雌ねじ構造6に、リング状の雄ねじ構造22を備えるフィルタ19等のアクセサリを装着(螺着)して用いることができる。
なお、フィルタ19は、例えば所望の波長の光をカットする等の機能を有するフィルタ本体20と、その周縁に設けられる枠部21と、この枠部21に固設されるリング状の雄ねじ構造22を備えている。
また、上記フィルタ19における雄ねじ構造22は、例えば金属製又は樹脂製の短筒体の外側面に雄ねじ22aを形成したものである。
【0032】
この場合、カメラ8で撮像する際に、レンズ10の端部10a側にレンズフード1A及びフィルタ19の両者を螺着により装着することができる。
この結果、カメラ8の操作時に、レンズフード1A及びフィルタ19が意図せず外れてしまうリスクを大幅に低減できるので、カメラ8の操作性を一層向上させることができる。
また、特に図示しないが、カメラ8のレンズ10の端部10a側に単数又は複数のフィルタ12を装着(螺着)して、さらにこのフィルタ12に本実施形態に係るレンズフード1Aを装着(螺着)して、さらにこのレンズフード1Aの第2の雌ねじ構造6にフィルタ19を装着(螺着)して使用することもできる。つまり、本実施形態に係るレンズフード1Aによれば、単数又は複数のフィルタ12、レンズフード1A及びフィルタ19の三者を併用することができる。
この場合も、上述の三者を互いに螺着して一体化できるので、使用中にアクセサリのいずれか又は全てが外れてしまうリスクが極めて低い。したがって、本実施形態に係るレンズフード1Aによれば、上述の三者を併用する際の安定性を向上させることができる。
【0033】
<1-3-2;採光用の貫通孔について>
本実施形態に係るレンズフード1Aは、必要に応じてせり出し部3の厚み方向を貫通して形成される採光用の貫通孔17を備えていてもよい(
図4及び
図5中に示すレンズフード1Aと同形態の試作品に係るレンズフード7における貫通孔17を参照)。
また、この貫通孔17は、レンズフード本体2の周方向の複数個所に均等に配置しておくとよい。
さらに、
図4及び
図5中に示す試作品に係るレンズフード7では、貫通孔17が長孔である場合を例に挙げて説明しているが、貫通孔17の形状は円形でもよいし、これら以外の任意の平面形状を有していてもよい。
そして、本実施形態に係るレンズフード1Aは、せり出し部3に採光用の貫通孔17が形成されていることで、レンズフード本体2の開口部2b側に加えて、この貫通孔17からもレンズフード本体2の中空部2c側に光を導き入れることができる。
この結果、貫通孔17が形成されていない本実施形態に係るレンズフード1Aを用いる場合に比べて、カメラ8により撮影される画像の画質を異なるものにすることができる。
【0034】
なお、特に図示しないが、せり出し部3をその厚み方向に2層構造にするとともに、これらをレンズフード本体2の中心軸を基軸にレンズフード本体2の周方向に回動可能に構成することで、貫通孔17の開度や開閉状態を切り替え可能にしてもよい。
この場合は、カメラ8により撮影される画像の画質の調整をより自在に行うことができるので、より高機能なレンズフードを提供することができる。
【0035】
[1-4;基本構成の製造方法について]
ここで
図11A及び
図11Bを参照しながら本実施形態に係るレンズフード1Aの製造方法について説明する。
図11Aは本実施形態に係るレンズフードを構成する第1のパーツおよび第2のパーツの断面図である。また、
図11Bは第1のパーツ及び第2のパーツを接合して一体化した様子を示す断面図である。なお、
図1乃至
図10に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係るレンズフード1Aが特に第2の雌ねじ構造6を備える場合は、第2の雄ねじ構造5と第2の雌ねじ構造6の間隙である狭小部に、雄ねじ5aと雌ねじ6aを対向させて形成する必要がある。しかしながら、この狭小部に工具を挿入して雄ねじ5aと雌ねじ6aを加工することは極めて難しい。
このような事情に鑑み、発明者らは鋭意検討の結果、以下に示す本実施形態に係るレンズフードの製造方法に想到した。
【0036】
すなわち、本実施形態に係るレンズフードの製造方法は、レンズフード本体2と、第2の雌ねじ構造6を有するせり出し部3の一部16aを備えてなる第1のパーツ23を作製する第1の工程(
図11Aを参照)と、互いに背合わせに設けられる第2の雄ねじ構造5と第2の雄ねじ構造5を有するせり出し部3の残部16bからなる第2のパーツ24を作製する第2の工程(
図11Aを参照)と、上記第1のパーツ23と第2のパーツ24を例えば接着剤25等により一体化してレンズフード1Aを形成する第3の工程(
図11Bを参照)からなる。
なお、本実施形態に係るレンズフードの製造方法における第1の工程と第2の工程はこの順序で行う必要はなく、逆でもこれらを並行して行ってもよい。
さらに、第1のパーツ23と第2のパーツ24の接合に、接着剤25を用いる必要はなく、レンズフード1Aの材質に応じて溶接や熱圧着等の手段により接合してもよい。
【0037】
上述のような本実施形態に係るレンズフードの製造方法によれば、第2の雄ねじ構造5と第2の雌ねじ構造6の間隙である狭小部において、雄ねじ5aと雌ねじ6aを工具により加工して形成する必要がない。
つまり、第1のパーツ23における第2の雌ねじ構造6(段差18)に雌ねじ6aを形成する際に、第2の雄ねじ構造5の存在が障害になることがない。また、同様に第2のパーツ24における第2の雄ねじ構造5に雄ねじ5aを形成する際に、第2の雌ねじ構造6(段差18)の存在が障害になることがない。
よって、本実施形態に係るレンズフードの製造方法によれば、第2の雌ねじ構造6を有する本実施形態に係るレンズフード1Aを効率良くかつコストをかけずに製造することができる。
【0038】
[2;基本構成の変形例について]
以下に、
図12を参照しながら本実施形態の変形例に係るレンズフード(以下、単に「変形例に係るレンズフード」という)について説明する。
図12は変形例に係るレンズフードの中心軸方向断面図である。なお、
図1乃至
図11Bに記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の
図1等に示す本実施形態に係るレンズフード1Aでは、せり出し部3に形成される段差18を第2の雌ねじ構造6として利用しているが、第2の雌ねじ構造6はこの形態以外でもよい。
より具体的には、変形例に係るレンズフード1Bは、
図12に示すように、レンズフード本体2の基部2aに段差18を有しないつば状のせり出し部3’を突設するとともに、このせり出し部3’の中空部2c側に配される面上にリング状の第2の雌ねじ構造6を設け、さらにせり出し部3’の中空部2c側の端部3a’に、第1の雄ねじ構造4及び第2の雄ねじ構造5を背合わせで備えていてもよい。
また、
図12に示す変形例に係るレンズフード1Bは、本実施形態に係るレンズフード1Aと同じ作用・効果を奏する(上記[1-2]の記載を参照)。
【0039】
さらに、
図12に示す変形例に係るレンズフード1Bは、先の[1-4]に示す手順と同様の手順により作製することができる。
より具体的には、変形例に係るレンズフード1Bにおいて第2の雌ねじ構造6と第2の雄ねじ構造5(又は第1の雄ねじ構造4)の間に配されるせり出し部3’を、その中間位置(例えば
図12中の符号Qで示す位置)で切断してなるパーツ(第1のパーツ及び第2のパーツ)をそれぞれ別々に作製した後、これらのパーツを例えば図示しない接着剤等を用いるなどして接合して一体化すればよい。
この場合も、変形例に係るレンズフード1Bを効率良くかつ廉価に製造することができる。
【0040】
[3;基本構成の他の変形例について]
最後に、
図13を参照しながら本実施形態の他の変形例に係るレンズフード(以下、単に「他の変形例に係るレンズフード」という)について説明する。
図13は他の変形例に係るレンズフードの中心軸方向断面図である。なお、
図1乃至
図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の
図12に示す変形例に係るレンズフード1Bは、せり出し部3’に第2の雌ねじ構造6を備えることで、カメラ8のレンズ10の端部10a側にレンズフード1Bを正方向に装着(螺着)したまま、レンズ10の端部10a側でかつレンズフード本体2の中空部2c側にさらに、リング状の雄ねじ構造22を備えるアクセサリである例えばフィルタ19(先の
図10を参照)等を装着(螺着)することができる。
その一方で、変形例に係るレンズフード1Bにおける第2の雌ねじ構造6が不要な場合も想定される。
【0041】
このような事情に鑑み、他の変形例に係るレンズフード1Cは、先の
図12に示す変形例に係るレンズフード1Bにおけるリング状の第2の雌ねじ構造6を備えていない形態でもよい。
より具体的には、他の変形例に係るレンズフード1Cは、例えば
図13に示すように、レンズフード本体2の基部2aに段差18を有しないつば状のせり出し部3’を突設するとともに、このせり出し部3’の中空部2c側の端部3a’に第1の雄ねじ構造4及び第2の雄ねじ構造5を背合わせで備えていてもよい。
そして、
図13に示す他の変形例に係るレンズフード1Cを用いる場合も、先の[1-2]に記載されるレンズフード1Aによる各効果と同じ効果を奏する。
【0042】
また、
図13に示す他の変形例に係るレンズフード1Cは、先の[1-4]に示す手順と同様の手順により作製することができる。
より具体的には、他の変形例に係るレンズフード1Cのせり出し部3’を、レンズフード本体2を備える側と、第1の雄ねじ構造4と第2の雄ねじ構造5を背合わせで備える側、の間(例えば
図12中の符号Q’で示す位置)で切断した状態のパーツ(第1のパーツ及び第2のパーツ)をそれぞれ別々に作製した後、これらのパーツを例えば図示しない接着剤等を用いるなどして接合して一体化すればよい。
この場合も、他の変形例に係るレンズフード1Cを効率良くかつ廉価に製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明したように本発明は、カメラに取設されるレンズの入射側の端部に、正逆いずれの方向でも螺着することができるレンズフード及びカメラ及びレンズフードの製造方法であり、カメラ等の撮像装置のアクセサリに関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1A~1C…レンズフード 2…レンズフード本体 2a…基部 2b…開口部 2c…中空部 3、3’…せり出し部 3a…端部 4…第1の雄ねじ構造 4a…雄ねじ 5…第2の雄ねじ構造 5a…雄ねじ 6…第2の雌ねじ構造 6a…雌ねじ 7…試作品に係るレンズフード 8…カメラ 9…カメラ本体 10…レンズ 10a…端部 11…第1の雌ねじ構造 11a…雌ねじ 12…フィルタ 13…フィルタ本体 14…枠部 151…雄ねじ構造 151a…雄ねじ 152…雌ねじ構造 152a…雌ねじ 16a…一部(せり出し部) 16b…残部(せり出し部) 17…貫通孔 18…段差 19…フィルタ 20…フィルタ本体 21…枠部 22…雄ねじ構造 22a…雄ねじ 23…第1のパーツ 24…第2のパーツ 25…接着剤 26…側壁部 30…カメラ 31…カメラ本体 32…レンズ 32a…端部 33…雌ねじ構造 33a…雌ねじ 34…フィルタ 35…フィルタ本体 36…枠部 371…雄ねじ構造 371a…雄ねじ 372…雌ねじ構造 372a…雌ねじ S…中心軸