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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007722
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車室構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20250109BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60K1/04 Z ZHV
B60R7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109309
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】井岡 忠士
【テーマコード(参考)】
3D022
3D235
【Fターム(参考)】
3D022CB01
3D022CC03
3D022CD07
3D235AA01
3D235BB18
3D235BB45
3D235BB57
3D235CC15
3D235DD25
3D235EE63
3D235FF12
3D235FF37
3D235FF38
3D235HH07
(57)【要約】
【課題】後席用吹出口を後席乗員への対向に適した高さ位置に安定して設置できることと、バッテリ容量を損なうことなく、フロアパネルの上方における、バッテリケースの設置箇所の床面高さの抑制とを両立すること。
【解決手段】フロアパネル1の上方には、後席用センタコンソール部70の内部に収容されるとともに、前端部44Fが左右の後席座部30C,31C間から前方へ延びるバッテリケース44を備え、左右の前席座部27C,28C間に配置される前席用センタコンソール部50の後部において、後席乗員に前方側から対向するように設けられた後席用吹出し口60を、バッテリケース44の前端部44Fより後方かつ上方に配置した。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の床面を形成し、左右の前席と左右の後席が前後各側に設置されるフロアパネルと、
左右の前記前席の座部間に配置され、物品収納部および、該物品収納部より後方において後席乗員に前方側から対向するように設けられた後席用吹出口を有する前席用センタコンソール部と、
該前席用センタコンソール部の内部において前後方向に配索され、車室前部のエアコンユニットの吐出風を前記後席用吹出口まで導くダクトと、
左右の前記後席の座部間に配置され、左右の前記後席の前記座部を仕切る後席用センタコンソール部と、を備えた車室構造であって、
前記フロアパネルの上方には、前記後席用センタコンソール部の内部に収容されるとともに、前端部が前記物品収納部の後端部に近接するまで左右の前記後席の前記座部間から前方へ延びる駆動用バッテリケースを備え、
前記後席用吹出口が、前記駆動用バッテリケースの前記前端部より後方かつ上方に配置された
車室構造。
【請求項2】
前記物品収納部は、底壁と、該底壁の左右両サイドから立ち上がる側壁とを備えた有底筒状に形成され、
前記ダクトは、前記前席用センタコンソール部の側面部と前記物品収納部の前記側壁との間の空間に配索された
請求項1に記載の車室構造。
【請求項3】
前記ダクトは、
前記物品収納部の前方から前記底壁の直下へと配索され、前記物品収納部の直下において後方へ配索される後方配索部と、
前記空間において、前記後方配索部の後端部から前記物品収納部の前記側壁に沿って前記後席用吹出口に相当する高さまで鉛直上方または後方ほど上方へ配索される上方配索部とを有した
請求項2に記載の車室構造。
【請求項4】
前記物品収納部には上方に開口する開口部が設けられるとともに、前記開口部を開閉するリッドを備え、
前記開口部の側辺部には、前後方向に沿って延びる軸を介して前記リッドを枢着する枢着部が設けられ、
前記側辺部の直下に位置する前記空間に、前記ダクトが配索された
請求項3に記載の車室構造。
【請求項5】
前記上方配索部は、前記物品収納部の車幅方向の両側に配設され、
前記後方配索部は、前記後端部が車幅方向の両外側へ分岐して車幅方向の両側の前記上方配索部の下端部に夫々連結された
請求項3または4に記載の車室構造。
【請求項6】
前記上方配索部の上端部は、前記駆動用バッテリケースの前記前端部よりも前方に位置し、
前記ダクトには、前記駆動用バッテリケースの上端部より上方において、前記上方配索部の前記上端部から前記後席用吹出口まで後方向へ配索する上側後方配索部を備えた
請求項3に記載の車室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車室の床面を形成し、左右の前席と左右の後席が前後各側に設置されるフロアパネルと、左右の前席の座部間に配置され、後席乗員に前方側から対向するように後面に後席用吹出口が設けられた前席用センタコンソール部と、を備えた車室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車等の車両において、フロアパネルの上方に駆動用バッテリを搭載する車室構成においては、駆動用バッテリに備えられた駆動用バッテリケースを、特許文献1に例示されるように荷室のリヤフロアの上方にレイアウトするものや、特許文献2に例示されるように後席座部の下方領域にレイアウトするものが提案されている。
【0003】
しかし、駆動用バッテリケースを、駆動用バッテリのバッテリ容量を損なうことなくフロアパネルの上方にレイアウトしようとすると、駆動用バッテリケースを搭載した箇所の床面が高くなるため、車室内空間が不足するという課題が生じる。
【0004】
一方、特許文献3に例示されるように、左右の前席の座部間に配置された前席用センタコンソール部の内部に、車室前部のエアコンユニットの吐出風を前席用センタコンソール部の後端に設けられた後席用吹出口まで導く延長ダクトが前後方向に配索された構成が知られている。
【0005】
後席用吹出口は、後席乗員への対向に適した高さ位置において、例えば、後席乗員が後席用吹出口からの風向きや風量を調節するために後席用吹出口に備えたルーバーにアクセスすることが可能に安定して設置することが望ましい。
【0006】
しかしながら後席用吹出口や、該後席用吹出口に後端が接続される延長ダクトの後部を所定の高さで支持するためのブラケットを例えば、フロアパネルの上面から立設した場合は、構造が大掛かりとなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-71759号公報
【特許文献2】特開2009-29159号公報
【特許文献3】特開2008-81024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、後席用吹出口を後席乗員への対向に適した高さ位置に安定して設置できることと、バッテリ容量を損なうことなく、フロアパネルの上方における、駆動用バッテリケースの設置箇所の床面高さの抑制とを両立できる車室構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、車室の床面を形成し、左右の前席と左右の後席が前後各側に設置されるフロアパネルと、左右の前記前席の座部間に配置され、物品収納部および、該物品収納部より後方において後席乗員に前方側から対向するように設けられた後席用吹出口を有する前席用センタコンソール部と、該前席用センタコンソール部の内部において前後方向に配索され、車室前部のエアコンユニットの吐出風を前記後席用吹出口まで導くダクトと、左右の前記後席の座部間に配置され、左右の前記後席の前記座部を仕切る後席用センタコンソール部と、を備えた車室構造であって、前記フロアパネルの上方には、前記後席用センタコンソール部の内部に収容されるとともに、前端部が前記物品収納部の後端部に近接するまで左右の前記後席の前記座部間から前方へ延びる駆動用バッテリケースを備え、前記後席用吹出口が、前記駆動用バッテリケースの前記前端部より後方かつ上方に配置されたことを特徴とする。
【0010】
前記構成によれば、後席用吹出口を後席乗員への対向に適した高さ位置に安定して設置できることと、前方に延長することにより高さが嵩むことなく容量を確保した駆動用バッテリケースの設置とを両立できる。
【0011】
この発明の態様として、前記物品収納部は、底壁と、該底壁の左右両サイドから立ち上がる側壁とを備えた有底筒状に形成され、前記ダクトは、前記前席用センタコンソール部の側面部と前記物品収納部の前記側壁との間の空間に配索されたものである。
【0012】
前記構成によれば、エアコンユニットの吐出風をダクトを介して後席用吹出し口へスムーズに送ることと、駆動用バッテリケースを備えた駆動用バッテリのバッテリ容量および物品収納部の収納量の確保とを両立することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記ダクトは、前記物品収納部の前方から前記底壁の直下へと配索され、前記物品収納部の直下において後方へ配索される後方配索部と、前記空間において、前記後方配索部の後端部から前記物品収納部の前記側壁に沿って前記後席用吹出口に相当する高さまで鉛直上方または後方ほど上方へ配索される上方配索部とを有したものである。
前記構成によれば、物品収納部における上方配索部より前方部分の車幅方向の長さを確保することができる。よって、駆動用バッテリケースの前端部を、車幅方向の長さを確保しながら物品収納部後端部の後端部に近接するまで前方へ延ばすことができ、結果としてバッテリ容量を高めることができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記物品収納部には上方に開口する開口部が設けられるとともに、前記開口部を開閉するリッドを備え、前記開口部の側辺部には、前後方向に沿って延びる軸を介して前記リッドを枢着する枢着部が設けられ、前記側辺部の直下に位置する前記空間に、前記ダクトが配索されたものである。
【0015】
前記構成によれば、側辺部の直下に位置する、前席用センタコンソール部の側面部と物品収納部の側壁との間のスペースを、ダクトを配索するスペースとして有効活用することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記上方配索部は、前記物品収納部の車幅方向の両側に配設され、前記後方配索部は、前記後端部が車幅方向の両外側へ分岐して車幅方向の両側の前記上方配索部の下端部に夫々連結されたものである。
【0017】
前記構成によれば、上方配索部を物品収納部の車幅方向の両側に分散できるため、前席用センタコンソール部の側面部と物品収納部の側壁との間のスペースに収まるように配索しつつ、後席吹出口まで導かれる吐出風の流量を確保するために必要な上方配索部のトータルの横断面を確保することができる。
【0018】
特にリッドが左右両開き構造である場合において、上方配索部を物品収納部に対して車幅方向の両側に配設することで、開口部の側辺部の直下に位置する、前席用センタコンソール部の側面部と物品収納部の側壁との間のスペースを物品収納部の左右両側において有効活用することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記上方配索部の上端部は、前記駆動用バッテリケースの前記前端部よりも前方に位置し、前記ダクトには、前記駆動用バッテリケースの上端部より上方において、前記上方配索部の前記上端部から前記後席用吹出口まで後方向へ配索する上側後方配索部を備えたものである。
【0020】
前記構成によれば、ダクトを駆動用バッテリケースの側方において配索することがなく後席吹出口まで後方へ配索できるため、駆動用バッテリケースの車幅方向の長さがダクトによって阻害されることがなく、バッテリ容量を確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
前記構成によれば、後席用吹出口を後席乗員への対向に適した高さ位置に安定して設置できることと、バッテリ容量を損なうことなく、フロアパネルの上方における、駆動用バッテリケースの設置箇所の床面高さの抑制とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の車両の要部を前、左、上方から視た斜視断面図
図2図1において前席を省略するとともに前席用センタコンソール部と後席用センタコンソール部を仮想線で示した斜視断面図
図3図1において後席用アームレストを倒した斜視断面図
図4図1において後席のシートバックおよび中間背もたれ部を倒した斜視断面図
図5】本実施形態の車両の要部を後、左、上方から視た斜視図
図6図1のA-A線に沿った矢視断面図
図7図6の要部拡大図
図8】後席のシートバックおよび中間背もたれ部を倒した図7の要部拡大図
図9】後席用供給ダクトの配索構造を説明する斜視図
図10図6のB-B線矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
なお、図中、矢印Fは車両Vの前方、矢印Uは車両Vの上方、矢印Riは車両Vの右側、矢印Leは車両Vの左側を夫々示すものとする。また、以下の説明において、「前」「後」「右」「左」「上」「下」は、特に記載する場合を除いて車両Vを基準にした方向を示す。
【0024】
本実施形態の車両Vは、内燃機関と電動機を組み合わせて駆動力を得るようにしたハイブリッド自動車の中でも例えば、家庭用の商用電源から蓄電装置を充電することが可能なプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)である。
【0025】
(基本構造)
図1図6の特に図1図5図6に示すように、本実施形態の車両Vは、主に車室2の床面(底面)を形成する鋼板製のフロアパネル1と、左右一対の前席27,28と、左右一対の後席30,31を備えている。
【0026】
フロアパネル1は、左右一対の前席27,28が支持されるフロントフロアパネル11と、フロントフロアパネル11の後端から上方に立ち上がる縦壁状のキックアップ部12と、このキックアップ部12から後方に延びるリヤフロアパネル13とを一体または一体的に形成している。
【0027】
リヤフロアパネル13は、後述する後席30,31のシートクッション30C,31Cが支持される後席クッションパネル131(リヤシートパン)と、後席クッションパネル131に対して後方へ延びるように連接され、荷室2aの床面を形成する荷室フロアパネル132とを一体または一体的に形成している。
【0028】
なお、上述の荷室フロアパネル132の車幅方向中央部の後側部位には、スペアタイヤを収容可能に段下げした凹部132aが設けられる一方、この凹部132aの後端開放側には車幅方向に延びるリヤエンドパネル14a(図6参照)を取付けている。また、フロアパネル1は、フロントフロアパネル11、キックアップ部12および後席クッションパネル131によって車室2の荷室2a以外の床面(すなわち、荷室2a前方の客室の床面)が形成される。
【0029】
なお、図6に示すように、上述のリヤエンドパネル14aの後面には車幅方向に延びるリヤエンドメンバ14bを接合固定し、このリヤエンドメンバ14bとリヤエンドパネル14aとの間には車幅方向に延びるリヤエンド閉断面14sを形成して、後部車体剛性を確保している。
【0030】
また、図6に示すように、本実施形態の車両Vは、後部に後方に向けて開口するリヤゲート開口15が設けられ、リヤゲート開口15を開閉可能に覆うリヤゲート16を備えたハッチバック型で構成されている。
【0031】
このリヤゲート16は、リヤゲートインナパネル17と、リヤゲートアウタパネル18と、リヤウインド19とを備え、これらのうち、リヤゲートインナパネル17が内装部材としてのリヤゲートトリム171で車室2側から覆われている。
【0032】
また、車両Vには屋根として鋼板製のルーフパネル20が構成されており、ルーフパネル20は、内装部材としてのルーフトリム21で車室2内側から覆われている。
そして、これらルーフトリム21、リヤゲートトリム171およびリヤウインド19等によって荷室2aを含めた車室2内の前部を除く高さ寸法が画定されている。
【0033】
さらに、図1図5図6に示すように、上述のフロントフロアパネル11には、ダッシュロアパネル4(ダッシュパネル)(図6参照)と縦壁状のキックアップ部12との間において前後方向に延び、かつ車室2の内側へ突出したトンネル部22を設けている。
【0034】
このトンネル部22は、車体剛性の中心となるもので、後端部がキックアップ部12に接合されている。なお、キックアップ部12は、トンネル部22の後端部より高い縦壁状に形成されている。
【0035】
フロントフロアパネル11のトンネル部22に対して両サイドには、前後方向に離間した複数のクロスメンバ23,24(車体剛性部材)が上方から接合されている。クロスメンバ23,24は、トンネル部22の左右の縦壁部と車体剛性部材として左右のサイドシル5(詳しくは、サイドシルインナ5a)(図5において車両左側のみ図示)とを連結するように車幅方向に延び、図1図6に示すように、フロントフロアパネル11との間において車幅方向に延びる閉断面23s,24sが形成されている。
【0036】
図1図6に示すように、リヤフロアパネル13には、前後方向に離間した複数のリヤクロスメンバ25,26(車体剛性部材)が接合されている。前端リヤクロスメンバ25(No.3クロスメンバ)は、リヤフロアパネル13の前端部(すなわち、後席クッションパネル131の前端部)に対して下方かつキックアップ部12に対して後方から接合され、これらリヤフロアパネル13とキックアップ部12とのコーナー部との間において車幅方向に延びる閉断面25sが形成されている。
【0037】
中間リヤクロスメンバ26(No.4クロスメンバ)は、リヤフロアパネル13に対して上下各側で対向し、下方へ開口する断面ハット形状の中間リヤクロスメンバアッパ26aと、上下各側で対向し、上方へ開口する断面ハット形状の中間リヤクロスメンバロア26bとを備えている。
【0038】
中間リヤクロスメンバアッパ26aと中間リヤクロスメンバロア26bは、各前端フランジ部の間に後席クッションパネル131の後端を挟み込むように接合されるとともに、各後端フランジ部の間に荷室フロアパネル132の前端を挟み込むように接合され互いの間に車幅方向に延びる閉断面26sが形成されている。
【0039】
上述の左右一対の前席27,28のうち運転席シート27(当例では車両右側の前席27)は、乗員の座面を形成するシートクッション27Cと、このシートクッション27Cの後端部から上方に延びて乗員の背もたれ面を形成するシートバック27Bと、このシートバック27Bの上部に設けられて乗員の頭部をサポートするヘッドレスト27Hとを備えている。
【0040】
同様に、図1図5に示すように、上述の左右一対の前席27,28のうち助手席シート28(当例では車両左側の前席28)は、乗員の座面を形成するシートクッション28Cと、このシートクッション28Cの後端部から上方に延びて乗員の背もたれ面を形成するシートバック28Bと、このシートバック28Bの上部に設けられて乗員の頭部をサポートするヘッドレスト28Hとを備えている。
【0041】
また、図1図6に示すように、上述の運転席シート27と助手席シート28との間、すなわち車幅方向の中間部には、これら左右の前席27,28のシートクッション27C,28Cを車幅方向に仕切る前席用センタコンソール部50が設けられている。前席用センタコンソール部50の詳細については後述する。
【0042】
さらに、図1図5に示すように、左右一対の後席30,31は、左右一対の前席27,28の後方に設けられ、後席クッションパネル131の上方に配設されている。左右一対の後席30,31は、乗員の座面を形成するシートクッション30C,31Cと、該シートクッション30C,31Cの後端部から上方に延びて乗員の背もたれ面を形成するシートバック30B,31Bと、このシートバック30B,31Bの上部に設けられて乗員の頭部をサポートするヘッドレスト30H,31Hとを備えている。
【0043】
また、左右の後席30,31の間、すなわち車幅方向の中間部には、これら左右の後席30,31のシートクッション30C,31Cを車幅方向に仕切る後席用センタコンソール部70が設けられるとともに、左右の後席30,31のシートバック30B,31Bの間、すなわち車幅方向中央部には、中間背もたれ部32が設けられている。
【0044】
左右の後席30,31は、後席用センタコンソール部70と中間背もたれ部32とによって車幅方向に離間するとともに仕切られるため、互いの独立性を確保している。後席用センタコンソール部70の詳細については後述する。
【0045】
中間背もたれ部32は、中間背もたれ本体部33と後席用アームレスト34を備えている。後席用アームレスト34は、中間背もたれ本体部33に対して下部に備えた図6に示す支点36(アームレスト支点)を中心に起伏可能(前方に倒伏又は起立可能)に構成されている。
【0046】
これにより、図1に示すように、後席用アームレスト34は、通常時に起立して中間背もたれ部32の上部の前面を構成する。一方、図4図7に示すように、後席用アームレスト34は、前方に倒伏(すなわち、前倒)時には水平状のアームレストとなる。
【0047】
ところで、上述の左右一対の後席30,31の各シートバック30B,30Bは、互いに独立して下部に設けられた支点37(シートバック回動支点)(図6参照)を介して、図4に示すように前倒可能に移動すべく構成されている。
【0048】
同様に、中間背もたれ部32は、上述の支点36(アームレスト回動支点)よりも下方に位置する別の支点38(シートバック回動支点)(図6参照)を介して、図4に示すように前倒可能に移動すべく構成されている。
【0049】
なお、中間背もたれ部32の下部は、後席クッションパネル131から立設された不図示のブラケットに対して上述した支点38を介して軸支されているが、この構成に限らず、左右の後席30,31や後述する第2駆動用バッテリケース44に支点38を介して直接またはブラケット等を用いて間接的に軸支されてもよい。
【0050】
ここで、図7に示すように、中間背もたれ部32の起立状態の前後厚さ(L32)は、左右の後席30,31のシートバック30B,31Bの前後厚さ(L30B)より小さく設定されている。なお、左側の後席31のシートバック31Bの前後厚さは、図示省略するが、右側の後席31のシートバック30Bの前後厚さ(L30B)と同じ前後厚さに設定されている。
これにより、図4図8に示すように、本実施形態の車両Vは、シートバック30B,31Bを、対応する左右一対のシートクッション30C,31Cの上部に前倒するとともに、中間背もたれ部32を対応する後席用センタコンソール部70の上部に前倒すると、左右一対のシートバック30B,31Bの上面部30Bu,31Buと中間背もたれ部32の上面部32uとは、略面一となる。
【0051】
(第1、第2駆動用バッテリ41,42の基本構造)
図1図2図7に示すように、本実施形態の車両Vは、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)であるため、駆動用バッテリ41,42が搭載されている。本実施形態の車両Vは、駆動用バッテリ41,42として第1駆動用バッテリ41と第2駆動用バッテリ42が搭載され、何れもフロアパネル1の上方に配設されている。
【0052】
第1、第2駆動用バッテリ41,42は、何れも1つもしくは複数の電池パック(バッテリパック)(図示省略)を備えている。本実施形態の電池パックは、バッテリケース43,44に収容されており、バッテリケース43,44の内部において、複数の電池(セル)を直列に多数並べて接続することにより構成されている。
【0053】
なお、電池パックを構成する電池は、鉛蓄電池、リチウムイオン電池およびニッケル水素電池のいずれであっても、それらとは別の二次電池であってもよい。さらに、車両Vに搭載される電池は、二次電池のみならず、燃料電池などであってもよい。
なお、第1、第2駆動用バッテリ41,42の各バッテリケース43,44は、何れも所定の剛性が確保されるように例えば、アルミダイカストで成形され、また、図5に示すように、何れの上面部43u,44uも水平な平面状に形成されている。
【0054】
(第1駆動用バッテリ41)
図1図5図7に示すように、第1駆動用バッテリ41は、左右の後席30,31に対して後方に有する荷室2aの下方空間に配置されている。
第1駆動用バッテリ41のバッテリケース43(以下、「第1駆動用バッテリケース43」と称する)は、車幅方向に直線状に延びており、荷室2aの床面を形成する荷室フロアパネル132の前部に、車幅方向の略全長にわたって上方から配置されている。第1駆動用バッテリケース43は、後部の車幅方向中央部が、前部に対して下方へ膨出して形成され、荷室フロアパネル132における、後部の下方膨出部分がスペアタイヤを収容するための凹部132aの前部に収納されている。
【0055】
そして、図5に示すように、第1駆動用バッテリケース43は、上述した中間リヤクロスメンバ26や、荷室フロアパネル132の両サイドの車体剛性部材としてのリヤサイドフレーム3に適宜ブラケット45等を介して締結部材としてのボルトおよびナットにより取り付けられている。
【0056】
第1駆動用バッテリケース43は、図4図8に示すように、前端部43fが後席30,31の前倒状態のシートバック30B,31Bの後端部30Br,31Brに後方から近接して配置され、前倒状態のシートバック30B,31Bに対して前後方向に略隙間なく配置されている。
【0057】
さらに、図4に示すように、第1駆動用バッテリケース43は、上面部43uが前倒させた左右の後席30,31のシートバック30B,31Bおよび中間背もたれ部32の各上面部30Bu,31Bu,32uと前後方向に面一となるように配置されている。
一方、図1図4図6に示すように、上述の荷室フロアパネル132の上方かつ第1駆動用バッテリケース43の後端部よりも後方には、荷室2aの後部を上下に仕切る荷室仕切りボード40が着脱可能に水平に設けられている。この荷室仕切りボード40の配置高さは、上面部40uが第1駆動用バッテリケース43の上面部43uと略同一高さに設定されている。
【0058】
このため、荷室仕切りボード40が荷室フロアパネル132の上方かつ後方に設置されている状態においては、第1駆動用バッテリケース43と荷室仕切りボード40とのフラットな各上面部43u,40uによって、荷室フロアパネル132の上面部によって形成される荷室床面とは異なる実質的な荷室床面2Fが形成される(図6図7参照)。
【0059】
さらに、図4図8に示すように、左右の後席30,31のシートバック30B,31Bおよび中間背もたれ部32を前倒させると、これら部材30B,31B,32の各上面部30Bu,31Bu,32u(つまり通常時の背面)と第1駆動用バッテリケース43と荷室仕切りボード40との各上面部43u,40uとが略面一となる。
【0060】
すなわち、各上面部43u,40uによって形成される実質的な荷室床面2Fは、各上面部30Bu,31Bu,32uによって後席30,31周辺の空間まで拡大され、図4図8に示すように、大容量積載可能なフラットな拡大荷室床面2Faとなるように構成している。
【0061】
なお、図示省略するが左右の後席30,31のシートバック30B,31Bと中間背もたれ部32とは、それぞれ独立して前倒できるため、これらシートバック30B,31B,32のうち、何れか1つのシートバックを前倒させなくてもよい。これにより、何れかのシートバック30B,31Bを前倒させない後席30,31に対する乗員の着座と、荷室2aのスペースの拡大との両立を図ることもできる。また、荷室仕切りボード40は必須ではなく、備えずに構成してもよい。さらに、荷室仕切りボード40は、第1駆動用バッテリケース43の上面部43uの高さよりも若干高い位置に配置するとともに、上面部43uも含めて上方から覆うように前方へ延設した構成としてもよい。さらに、荷室仕切りボード40は、第1駆動用バッテリケース43の上面部43uに上方から設置されるように前方へ延設し、該荷室仕切りボード40の前方延設部分が第1駆動用バッテリケース43の実質的な上面部(43u)を形成してもよい。
【0062】
(第2駆動用バッテリ42)
図2図5図7に示すように、第2駆動用バッテリ42は、左右の後席30,31のシートクッション30C,31Cの車幅方向の間に配置されている。
詳しくは、第2駆動用バッテリ42は、後席クッションパネル131の上方に配置されているが、例えば、左右の後席30,31のシートクッション30C,31Cの下方には配置されておらず、後席クッションパネル131の車幅方向における、左右の後席30,31のシートクッション30C,31Cの間にのみ前後方向に直線状に配置されている。
【0063】
第2駆動用バッテリ42のバッテリケース44(以下、「第2駆動用バッテリケース44」と称する)は、不図示のボルトおよびナットからなる締結部材により後席クッションパネル131の上面部に取り付け固定されている。図7に示すように、第2駆動用バッテリケース44は、後端部44rが、第1駆動用バッテリケース43の車幅方向中間部の前端部43fに近接して配置され、前方へ直線状に延びる。
【0064】
これにより、第1、第2駆動用バッテリケース43,44は、全体として平面視略Tの字形状に構成されている。
さらに、図2図5図7に示すように、第2駆動用バッテリケース44は、前部がトンネル部22に沿ってキックアップ部12より前方へ水平に延設され、トンネル部22の上面部22u(図2参照)に対して上方に離間して配置されている。
なお、図示省略するが本実施形態において第2駆動用バッテリケース44の内部の電池パックは、前後方向に延びる第2駆動用バッテリケース44に対応して多数の電池を前後方向に直列に並べて構成されている。このため、第2駆動用バッテリケース44をキックアップ部12より前方へ延ばすことで、結果的に第2駆動用バッテリ42のバッテリ容量を確保している。
【0065】
図1図2図5図7図8の特に図8に示すように、第2駆動用バッテリケース44は、前端部44Fが、前席用センタコンソール部50に対して後方から嵌め込まれるように前席用センタコンソール部50の後端部50rよりも前方に延びている。第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fは、前席用センタコンソール部50の内部において、後述する取付け部材67(図7)を介してトンネル部22に支持されている。
これにより、第2駆動用バッテリケース44の前部(すなわち、キックアップ部12より前方への延出部分)は、取付け部材67と後席クッションパネル131との間で水平に架設(掛け渡)されている。
【0066】
(前席用センタコンソール部50)
図1図5に示すように、上述した前席用センタコンソール部50は、トンネル部22の上面部22uに立設され、車室2内前方側で車幅方向に延びるインストルメントパネル7(図6参照)の車幅方向の中央部の下部に前端近傍が連結されている。
【0067】
図1図5図6図7に示すように、前席用センタコンソール部50は、主に中空箱体形状の内装部材としてのカバー部材51と、シフトレバー52と、物品収納部53と、リッド57と、物品収納部53を支持する取付け部材67(図7参照)と、後席用供給ダクト62(図6図7参照)を備えている。
【0068】
図1図5に示すように、カバー部材51は、車幅方向で対向して前席用センタコンソール部50の側面をなす左右一対の側面部511(図10参照)と、左右の側面部511の間に配設され、前席用センタコンソール部50の上面部の前部をなす天面部512と、前席用センタコンソール部50の後端部50rの上部に配設された後面部513(図5参照)とを備え、何れも化粧パネルである。
【0069】
シフトレバー52は、乗員の操作を受け付けて、車両Vの変速機(図示省略)を変速するためのレバーである。このシフトレバー52は、天面部512の車両V前側かつ車幅方向の中央側の部位に配置されている。
【0070】
図7に示すように、物品収納部53は、前席用センタコンソール部50の後部に備えている。物品収納部53は、底壁531と、底壁531の両サイドの縁辺から立ち上がる左右一対の側壁352(図10参照)と、底壁531の前縁辺から立ち上がる前壁533と、底壁531の後縁辺から立ち上がる後壁534とを有するとともに上方に開口する開口部56が設けられた有底角筒状に形成されている。物品収納部53の開口部56は、前席用センタコンソール部50の天面部512よりも後方に設けられている。
なお、本実施形態の物品収納部53は、タブレット端末を縦置き可能な深さを有している。
【0071】
リッド57は、開口部56を閉塞可能に物品収納部53の上部に備えている。
リッド57は、物品収納部53の上方の開口部56を開閉可能に左右一対の分割リッド571,571を備えている。図10に示すように、前席用センタコンソール部50の後部上面における、開口部56の左右の側辺部156には、左右の分割リッド571,571を前後方向に沿って延びる軸58aを介して該側辺部156に対して枢着する枢着部58が設けられている。
これにより、左右一対の分割リッド571,571は、開口部56を中央から開く観音開きタイプ(両開きタイプ)で構成されている。
【0072】
リッド57は、開口部56を閉塞した状態において、アームレストとして機能するような強度およびクッション性を有して構成されている。
さらに、物品収納部53のリッド57の上面部は、天面部512よりも上方の位置に位置するように配置され、前席乗員(前席27,28に着座する乗員)の前腕(肘から手首まで)を載置可能な大きさおよび高さに設定されている。
【0073】
なお、本実施形態の前席用センタコンソール部50は、シフトレバー52のみならず、図示省略するがナビゲーションシステムの操作等車両Vの各種設定に係る操作を受け付ける操作部や、シフトレバー52等のシフト操作機構を支持する支持ブラケットを備えている。
【0074】
図5に示すように、前席用センタコンソール部50は、後席乗員用リヤベント付きのコンソールであって、上述したカバー部材51の後面部513には、後席乗員(後席30,31に着座した乗員)用の後席用吹出し口60が開口形成されている。
【0075】
図7に示すように、後面部513は、物品収納部53より後方かつ天面部512と略同じ高さで配置され、後面部513の正面視中央部に設けられた後席用吹出し口60が後席乗員の頭胸部に対向するように下方かつ後方へ傾斜する傾斜面状に形成されている。
なお、後席用吹出し口60には、後席乗員が手動で後席用吹出し口60を開閉したり、風向きを変動させることができるルーバーを備えている。
【0076】
ここで、図6に示すように、車室2の前方側のインストルメントパネル7の内部には、エアコンユニット100(エアコンディショナー)と、エアコンユニット100からダッシュボードに設けられた前席用吹出し口(図示省略)へ調温空気(冷気・暖気)を供給する前席用供給ダクト101とを備えている。
【0077】
後席用供給ダクト62は、前席用供給ダクト101の風流れ上流側に連通接続されており、エアコンユニット100から前席用供給ダクト101を介して前席用吹出し口(図示省略)へ流れる調温空気の一部が後席用供給ダクト62内へ分岐される。
【0078】
後席用供給ダクト62は、前席用センタコンソール部50の内部を前後方向に貫通するように配設され(延在し)、後端部(66b)が、前席用センタコンソール部50の後面部513に設けた後席用吹出し口60に接続されている。後席用供給ダクト62における、前席用供給ダクト101との接続部分近傍部位、すなわち、風流れ上流側部位には、リヤブロア102が配置される。
【0079】
エアコンユニット100を運転した場合は、調温空気の一部が前席用吹出し口(図示省略)から吹き出されるとともに、残りは後席用供給ダクト62の側へ送出され、リヤブロア102によって、後席用供給ダクト62を介して後席用吹出し口60の側へ圧送される。
【0080】
続いて、後席用供給ダクト62の配索ルートについて詳述する。
図6図7図9に示すように、後席用供給ダクト62は、後方配索部63と車幅外方配索部64と上方配索部65と上側後方配索部66を風流れ方向の上流側から下流側へこの順に有している。これら配索部63,64,65,66のうち後方配索部63以外の配索部は、何れも左右一対備えている。
【0081】
後方配索部63は、前席用供給ダクト101との接続部分からトンネル部22の上面部22uに沿って後方へ配索される。図7図9に示すように、後方配索部63の後部は、物品収納部53の前壁533の前方から物品収納部の底壁531の直下、すなわち底壁531とトンネル部22の上面部22uとの間へ潜り込むように後方へ配索される。
【0082】
図7図9に示すように、物品収納部53の底壁531の直下に潜り込んだ後方配索部63の後部は、物品収納部の車幅方向の中間部において後方へ物品収納部53の後壁534(図7参照)に対して前方手前まで略水平に配置される。すなわち、後方配索部63の後端部63aは、物品収納部53の底壁531の直下に位置する。
【0083】
図9図10に示すように、左右一対の車幅外方配索部64は、後方配索部63の後端部63aから左右両外側に車幅方向と一致する方向へ略水平に延びており、何れも車幅方向内端部が後方配索部63の後端部63aと連通接続されている。これにより後席用供給ダクト62は、物品収納部53の底壁531の直下おいて、左右各側へ分岐している。
【0084】
すなわち、左右の一対の車幅外方配索部64は、後方配索部63の後端部63aから互いに相反する車幅方向外方向へ配索される。そして、左右の車幅外方配索部64の車幅外端部64bは、物品収納部53の左右各側において、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sに位置する。
【0085】
上方配索部65は、物品収納部53に対して左右両外側に位置する、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sにおいて、物品収納部53の側壁532に沿って鉛直上方に配索されている。さらに、上方配索部65は、下端部65aが左右の車幅外方配索部64の車幅外端部64bに連通接続され、図7図9に示すように、後席用吹出し口60に相当する高さに至るまで上方に配索されている。
【0086】
ここで、図10に示すように、前席用センタコンソール部50の後部において、物品収納部53の上方に開口する開口部56の左右の側辺部156の直下には、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sがデッドスペースとして存在する。
本実施形態において、前席用センタコンソール部50の開口部56の左右の側辺部156には、上述したように分割リッド571を開閉可能に枢着する枢着部58が設けられる。このため、左右の側辺部156の直下に位置する、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sは、開口部56の左右の側辺部156に枢着部58を有しない構成と比して幅広に形成される。
【0087】
本実施形態において、上述したように上方配索部65を、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sに上下方向の全長にわたって配設することで当該空間S、すなわち幅広なデッドスペース(無駄なスペース)を有効活用している(図10参照)。
【0088】
また、上方配索部65は、当例のように鉛直上方に配索する(図7図9参照)に限らず、図示省略するが物品収納部53の側壁532に沿って上方ほど後方へ車両Vの側面視で傾斜して配索してもよいが、何れの場合も、上端部65b(図9参照)を含めた上下方向の全長にわたって、物品収納部53の後壁534よりも前方に位置している。
【0089】
これにより、図7に示すように、上方配索部65は、物品収納部53の後壁534よりも後方に位置する第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fよりも前方に配索される。従って、第2駆動用バッテリ42は、前端部44Fの両サイドに上方配索部65が配置されることがないため、左右一対の上方配索部65によって車幅方向の長さが制限されることがなく、バッテリ容量を確保することができる。
【0090】
また、左右一対の上側後方配索部66は、後席用吹出し口60に相当する高さ、換言すると、第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fの上面部44uより上方において、前後方向に配索されている。そして、図9に示すように、上側後方配索部66の前端部66aは、上述した上方配索部65の上端部65bに連通接続されている。
【0091】
上側後方配索部66は、上方配索部65の上端部65bから物品収納部53の後壁534よりも後方に位置する後席用吹出し口60まで略水平に後方向へ配索され、後端部66bが後席用吹出し口60に連通接続されている。
なお、左右の上側後方配索部66は、物品収納部53の後壁534よりも後方かつ後席用吹出し口60よりも前方において後部が車幅方向内側へと配索され、夫々の後端部66b(車幅方向内端部)が後席用吹出し口60に対して互いに分離して接続されてもよいし、左右各側が互いに合流した状態で接続されてもよい。
【0092】
ここで、図7に示すように、第2駆動用バッテリケース44は、上述したように、前席用センタコンソール部50の後端部50rよりも前方へ前端部44Fが前席用センタコンソール部50の内部に嵌め込まれるように前方へ延びており、後席用吹出し口60が設けられたパネル状の後面部513は、第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fの上面部44uよりも上方に配置されている。そして、後席用吹出し口60に接続される後席用供給ダクト62の後端部(66b)、すなわち、上側後方配索部66の後端部66bは、第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fによって直下から支持されている(図示省略)。
【0093】
具体的には、後席用吹出し口60に接続される上側後方配索部66の後端部66bが不図示のブラケット等を介して第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fの上面部44uに取り付け固定されている。
【0094】
(物品収納部53と第2駆動用バッテリケース44との取付け部材67)
図7に示すように、物品収納部53を支持する取付け部材67は、前席用センタコンソール部50の内部において、物品収納部53の底壁531とトンネル部22の上面部22uとの間に設けられている。すなわち、物品収納部53は取付け部材67を介してトンネル部22の上面部22uに支持されている。
【0095】
一方、図7に示すように、第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fは、物品収納部53の後壁534の後方近傍に位置するまで前方へ延びている。さらに、物品収納部53を支持する取付け部材67は、このような第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fを支持する取付け部材を兼ねている。
すなわち、前席用センタコンソール部50の物品収納部53と第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fとは、共通の取付け部材67を介してトンネル部22の上面部22uに取り付けられている。
【0096】
(後席用センタコンソール部70)
図1図5図6に示すように、上述した後席用センタコンソール部70は、後席クッションパネル131から立設され、主に樹脂製の内装部材としてのカバー部材71として、上面部をなす天面部711と、上端の左右両端から下方へ延びる左右一対の側面部712(左側のみ図示)を備え、何れも化粧パネルである。
【0097】
これら天面部711と左右の側面部712によって画成される、後席用センタコンソール部70の内部には、上述した第2駆動用バッテリケース44が収容されている。
すなわち、第2駆動用バッテリケース44は、後席用センタコンソール部70の内部において、前後方向の略全長にわたって備えられ、後席用センタコンソール部70の骨格部材として機能して該後席用センタコンソール部70を補強する。
【0098】
このため、後席用センタコンソール部70における天面部711や左右の側面部712は、後席用センタコンソール部70の内部に備えたブラケット(図示省略)を介して後席クッションパネル131に支持されてもよいが、第2駆動用バッテリケース44に適宜取り付け固定されてもよい(図示省略)。具体的に、第2駆動用バッテリケース44の直上に配置される後席用センタコンソール部70の天面部711は、第2駆動用バッテリケース44によって支持されてもよい。
【0099】
また、図1図5図6に示すように、後席用センタコンソール部70は、上述した前席用センタコンソール部50と車室2の車幅方向の中間部において前後方向に連続して設けられている。
詳しくは、図5図6に示すように、後席用センタコンソール部70の天面部711の前端部と、前席用センタコンソール部50の後席用吹出し口60に設けられた後面部513の下端部とが互いに係合する等により連結され、同様に後席用センタコンソール部70の右側の側面部(図示省略)の前端部と、前席用センタコンソール部50の右側の側面部511(図10参照)の後端部とが連結され(図示省略)、後席用センタコンソール部70の左側の側面部712の前端部と、前席用センタコンソール部50の左側の側面部511の後端部とが連結されている。
なお、前席用センタコンソール部50の左右の側面部511と後席用センタコンソール部70の左右の側面部712とは、互いの境界部において、前後方向に略面一に連結されている。
【0100】
後席用センタコンソール部70は換言すると、前後方向における、後席クッションパネル131の上方に配置される後席用センタコンソール後部72と、キックアップ部12よりも前方へ延出される後席用センタコンソール前部73とを備えている。
さらに、後席用センタコンソール前部73は、後席用センタコンソール後部72と同様に第2駆動用バッテリケース44を内部に備えたアッパ部74と、アッパ部74および第2駆動用バッテリケース44の直下に有し、第2駆動用バッテリケース44を内部に備えていないロア部75とが設けられている。
【0101】
なお、後席用センタコンソール部70の上述した天面部711および左右の側面部712(左側のみ図示)は、後席用センタコンソール後部72と後席用センタコンソール前部73(アッパ部74およびロア部75)とにわたって形成されている。
【0102】
また、第2駆動用バッテリケース44を内部に備えていないロア部75には、車幅方向に貫通する開口部76(貫通孔)が設けられている。
開口部76によって、左右の後席乗員の足元スペースの車幅方向の通気性を確保するとともに後席乗員が開放感を得ることができる外観意匠としている。
【0103】
すなわち、後席乗員の足元の高さに相当するロア部75に開口部76を設けることで、左右の後席30,31を後席用センタコンソール部70によって仕切ることで得られる後席30,31ごとの独立性を保ちつつも、後席乗員が圧迫感を感じることがなく快適性も高めることができる。
【0104】
なお、ロア部75における、車幅方向に延びる筒状に形成された開口部76の内面、すなわち、上側内面、下側内面、前側内面および後側内面にも、不図示の化粧パネルが設けられ、開口部76の内面の外観意匠を確保している。
【0105】
開口部76の大きさ、形成箇所、数等の形態は本実施形態に限定しない。例えば、開口部76は、ロア部75の正面視(すなわち車両Vの側面視)で中央部に設けたが、開口部76の例えば、前縁、後縁、下縁等の周縁の少なくとも一部を設けなくてもよく、また、例えば、ロア部75全体に形成してもよいし、複数をロア部75に配設してもよい。さらにまた、アッパ部74とロア部75とを上下方向に離間させてこれらの間に開口部76を設けてもよい。
【0106】
また、ロア部75の車幅方向の厚みについても、第2駆動用バッテリケース44に対応する厚みに限らず、ロア部75を形成する左右の側面部712(左側のみ図示)を、これら左右の側面部712の車幅方向の間隔が第2駆動用バッテリケース44の車幅方向長さより狭くなるように配置してもよい。
【0107】
(後席用センタコンソール部70の天面部711)
図1図5図7に示すように、後席用センタコンソール部70の天面部711には、例えば、携帯端末等の物品を載置可能な底浅のトレイ77と、トレイ77の前方において上方へ隆起する隆起部80とが設けられている。
【0108】
図5に示すように、トレイ77は、車幅方向に水平な底面部78と、底面部78に対して左右両縁から立ち上がり、前後方向の側縁に沿って同じ高さで連続して延びる左右の縦壁部79とが設けられ、横断面が上方に開口する凹状に形成されている。
【0109】
図8に示すように、トレイ77は、前倒した中間背もたれ部32を載置可能な中間背もたれ載置部として、前倒した中間背もたれ部32の前後方向に相当する長さで前後方向に延びるとともに、中間背もたれ部32の車幅方向と略同じ車幅方向の長さを有している。
【0110】
隆起部80は、トレイ77の左右の縦壁部79の上端よりも上方へ隆起する。隆起部80の上面部は、トレイ77の前端から前方へ延び、前方ほど上方に位置するように傾斜する隆起上面後部81と、隆起上面後部81の前端から前方へ延び、前方ほど下方へ緩やかに傾斜する隆起上面前部82とを備えている。
【0111】
具体的に、図5に示すように、トレイ77の底面部78は、前側領域を除いて水平に形成され、底面部78の前側領域は、後方の水平部分の前端から前上方向に傾斜して形成されている。隆起部80の隆起上面後部81は、トレイ77の底面部78の前側領域と連続するように底面部78の前端から縦壁部79の高さまで前上方向に傾斜して後席乗員と車両Vの側面視で対向するように形成されている。
【0112】
また、隆起部80の隆起上面後部81は、後席乗員の手の届く領域に設けられており、各種情報を後席乗員が入力する入力機能と後席乗員へ出力する出力機能との少なくとも一方の機能を有する機能パネル面として形成されている。
【0113】
具体的に、出力機能は、ディスプレイ(表示部)や、例えば、スピーカ等の音声出力部である。出力機能がディスプレイである場合には、後席乗員からディスプレイに表示される画像の全体が目視できるように配置されている。
【0114】
ディスプレイは、画面を発光させて像を映し出す装置であって、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等、様々なディスプレイを用いることができる。ディスプレイは、乗員が触れて操作することができるタッチパネルを備えていてもよい。
【0115】
入力機能は、オーディオ機器や後席用シートヒータ等の種々の車両搭載電子機器を操作するための操作入力部や、ソケット(接続端子)である。
操作入力部は、押しボタン、ダイヤル、ジョイスティック等を含み、ソケットは、USBソケット、ACソケット、DCソケットを含むが、これら操作入力部やソケットを配設する数や種類は特に限定しない。
【0116】
図5に示すように、本実施形態においては、機能パネル面としての隆起上面後部81には、オーディオ機器や後席用シートヒータ等の操作入力部83と、2つのUSBソケット84と、ACソケット85とが配設されている。
【0117】
また、図8に示すように、隆起部80の上述した隆起上面後部81は、後席用センタコンソール部70の天面部711における、前倒した中間背もたれ部32の前部の車両Vの側面視形状に沿って、前倒した中間背もたれ部32の前部の上下方向の厚みと略同じ高さを有して立ち上がる。
【0118】
本実施形態の後席用センタコンソール部70の天面部711は、トレイ77の底面部78の前部領域から隆起上面後部81にかけて前方ほど滑らかに上方へ立ち上がっている。
これにより、図8に示すように、前倒した中間背もたれ部32は、前部が隆起部80の隆起上面後部81に対して後方近傍から対向し、隆起上面後部81を外力等の外的要因から保護することができる。
【0119】
さらに、中間背もたれ部32は、上述したように、前倒した状態において、後席用センタコンソール部70の天面部711における少なくともトレイ77によって略水平に支持され、上面部32uが左右の前倒した後席30,31のシートバック30B,31Bの上面部30Bu,31Buと車幅方向に面一になるとともに(図4参照)、第1駆動用バッテリケース43の上面部43uと前後方向に面一になる(図4図8参照)。
【0120】
また、図1図5図6図8に示すように、隆起部80の隆起上面前部82は、前端が後席用吹出し口60の下縁よりも下方近傍、すなわち後面部513の下縁に位置するまで隆起上面後部81の前端から前下方向へ緩やかに傾斜して形成されている。これにより、後席用吹出し口60から吹き出された風は、隆起部80によって阻害されることがなく、後席乗員に向けて流すことができる。
【0121】
さらに、図4図8に示すように、隆起部80の上述した隆起上面前部82は、前倒した中間背もたれ部32の上面部32uと前後方向に略面一となるように設けられている。
これにより、隆起部80の隆起上面前部82についても、上述したフラットな拡大荷室床面2Faの一部として形成することができる。
【0122】
上述した本実施形態の車両Vは、図1に示すように、車室2の床面を形成し、左右の前席27,28と左右の後席30,31が前後各側に設置されるフロアパネル1と、左右の前席27,28のシートクッション27C,28C間に配置され、物品収納部53および、該物品収納部53より後方において後席乗員に前方側から対向するように設けられた後席用吹出し口60を有する前席用センタコンソール部50と、図6に示すように、該前席用センタコンソール部50の内部において前後方向に配索され、車室2の前部のエアコンユニット100の吐出風を後席用吹出し口60まで導く後席用供給ダクト62と、左右の後席30,31のシートクッション30C,31C間に配置され、図1図5に示すように、左右の後席30,31のシートクッション30C,31Cを仕切る後席用センタコンソール部70と、を有する車室構造を備え、図6図7に示すように、フロアパネル1の上方には、後席用センタコンソール部70の内部に収容されるとともに、前端部4Fが物品収納部53の後壁534に近接するまで左右のシートクッション30C,31C間から前方へ延びる第2駆動用バッテリケース44(駆動用バッテリケース)を備え、後席用吹出し口60が、第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fより後方かつ上方に配置されたものである。
【0123】
前記構成によれば、後席用吹出し口60を後席乗員への対向に適した高さ位置に設置できることと、前方に延長することにより高さが嵩むことなくバッテリ容量を確保した第2駆動用バッテリケース44の設置とを両立できる。
【0124】
さらに、上述したように、後席用センタコンソール部70の内部に収容される第2駆動用バッテリケース44の高さが嵩むことがないため、後席用センタコンソール部70の上面部をなす天面部711の高さを低く抑えることができる。
【0125】
さらにまた、第2駆動用バッテリケース44は、前端部44Fが物品収納部53の後壁534に近接するまで前方へ延びるため、バッテリ容量を確保することができる。加えて、第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fは、物品収納部53の下方に配置されることがなく後壁534よりも後方に位置するため、物品収納部53の深さ(物品収納量)も確保することができる。
【0126】
後席乗員への対向に適した高さ位置に設置した後席用吹出し口60の下方のスペースまで第2駆動用バッテリケース44を備えることで、該後席用吹出し口60の下方のスペースがデッドスペース(無駄なスペース)となることがなくバッテリ容量を高めるように有効活用することができる。
【0127】
この発明の態様として、図7図9図10に示すように、物品収納部53は、底壁531と、底壁531の左右両サイドから立ち上がる側壁532とを備えた有底筒状に形成され、図10に示すように、後席用供給ダクト62は、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sに配索されたものである。
前記構成によれば、エアコンユニット100の吐出風を後席用供給ダクト62を介して後席用吹出し口60へスムーズに送ることと、第2駆動用バッテリケース44を備えた第2駆動用バッテリ42のバッテリ容量および物品収納部53の収納量の確保とを両立することができる。
【0128】
詳述すると、図7に示すように、物品収納部53に対して前方から後方の後席用吹出し口60まで後席用供給ダクト62を前後方向に配索するにあたり、例えば、物品収納部53の前方から底壁531の直下において該物品収納部53を通過するように後方へ延ばした配索形態とした場合には、物品収納部53の後壁534よりも後方において、後席用供給ダクトを物品収納部53の底壁531の直下から後席用吹出し口60の高さまで上方に延ばす必要がある(図示省略)。
【0129】
その場合、物品収納部53の後方の後席用供給ダクトは、前端部44Fが物品収納部53の後壁534に近接するまで前方へ延びる第2駆動用バッテリケース44と干渉するおそれがあるため、第2駆動用バッテリケース44を、前端部44Fが前記物品収納部53の後壁534に近接するまで前方へ延ばすことが制限され、バッテリ容量を十分に確保できないおそれが生じる。或いは、物品収納部53の前後方向の長さや深さが制限され、物品収納部53の収納量を十分に確保できないおそれが生じる。
【0130】
これに対して、本実施形態の後席用供給ダクト62は、図9図10に示すように、物品収納部53を前方から後方へ通過する際に、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間のデッドスペースとしての空間Sに配索することで、該空間Sを有効活用することができる。
【0131】
さらに、本実施形態の後席用供給ダクト62は、物品収納部53の下方から後席用吹出し口60の高さまで上方向へ配索することを第2駆動用バッテリケース44や物品収納部53と干渉することがなく容易に行うことができ、物品収納部53と第2駆動用バッテリケース44とを前後方向に近接して設置することが可能となる。
【0132】
従って、エアコンユニット100からの吐出風を後席用供給ダクト62を介して後席用吹出し口60へスムーズに送ることと、第2駆動用バッテリ42のバッテリ容量および物品収納部53の収納量の確保とを両立することができる。
【0133】
この発明の態様として、図9図10に示すように、後席用供給ダクト62は、物品収納部53の前壁533より前方から底壁531の直下へと配索され、物品収納部53の直下において後方へ配索される後方配索部63と、後方配索部63の後端部63aから前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sにおいて、物品収納部53の側壁532に沿って後席用吹出し口60に相当する高さまで鉛直上方または後方ほど上方へ配索される上方配索部65とを有したものである。
前記構成によれば、物品収納部53における上方配索部65より前方部分の車幅方向の長さを確保することができ、結果的に物品収納部53の後壁534に近接するまで前方へ延びる第2駆動用バッテリケース44を備えた第2駆動用バッテリ42のバッテリ容量を高めることができる。
【0134】
この発明の態様として、図10に示すように、物品収納部53には上方に開口する開口部56が設けられるとともに、開口部56を開閉するリッド57を備え、開口部56の側辺部156には、前後方向に沿って延びる軸58aを介してリッド57を枢着する枢着部58が設けられ、側辺部156の直下に位置する、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sに、後席用供給ダクト62が配索されたものである。
【0135】
前記構成によれば、開口部56の側辺部156にリッド57を枢着する枢着部58が設けられた構成においては、枢着部58が設けられていない構成と比して側辺部156が幅広に(車幅方向に大きく)なるため、側辺部156の直下に位置する、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sも幅広になり易い。
【0136】
このため、側辺部156の直下に位置する、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sを、幅広なデッドスペースとすることがなく、後席用供給ダクト62を配索するスペースとして有効活用することができる。
【0137】
この発明の態様として、図10に示すように、上方配索部65は、物品収納部53の車幅方向の両側に配設され、後方配索部63は、後端部63aが車幅方向の両外側へ分岐して車幅方向の両側の上方配索部65の下端部65aに夫々連結されたものである。
【0138】
前記構成によれば、エアコンユニット100からの吐出風を物品収納部53の車幅方向の両側の上方配索部65に分散できるとともに、左右の上方配索部65の何れをも前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sに収まるように配索することができる。
【0139】
従って、物品収納部53の容量を縮小したり、物品収納部53を前席用センタコンソール部50の内部において幅方向に偏って設けたりせずとも後席用吹出し口60まで導かれる吐出風の流量を確保するために必要な上方配索部65のトータルの横断面を確保することができる。
【0140】
特に、リッド57が本実施形態のように左右両開き構造である場合において、上方配索部65を物品収納部53の車幅方向の両側に配設することで、開口部56の側辺部156の直下に位置する、前席用センタコンソール部50の側面部511と物品収納部53の側壁532との間の空間Sを有効活用することができる。
【0141】
この発明の態様として、図9図10に示すように、上方配索部65の上端部65bは、第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fよりも前方に位置し、第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fの上面部44uより上方において、上方配索部65の上端部65bから後席用吹出し口60まで後方向へ配索する上側後方配索部66を備えたものである。
【0142】
前記構成によれば、後席用供給ダクト62を第2駆動用バッテリケース44の側方において配索されないように車両Vの側面視で第2駆動用バッテリケース44に対して前方かつ上方のルートに沿って後席用吹出し口60まで配索できる。
【0143】
従って、第2駆動用バッテリケース44の車幅方向の長さが後席用供給ダクト62によって阻害されることがなく、第2駆動用バッテリ42のバッテリ容量を確保することができる。
【0144】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、左右の前席の座部は前席27,28のシートバック27B,28Bに対応し、同様に
左右の後席の座部は後席30,31のシートクッション30C,31Cに対応し、
駆動用バッテリケースは第2駆動用バッテリケース44に対応し、
駆動用バッテリケースの前端部は第2駆動用バッテリケース44の前端部44Fに対応し、
駆動用バッテリケースの上端部は第2駆動用バッテリケース44の上面部44uに対応し、
物品収納部の後端部は物品収納部53の後壁534に対応し、
ダクトは後席用供給ダクト62に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0145】
例えば、上述した本実施形態において、左右の後席30,31間に配設した第2駆動用バッテリケース44は、前部がキックアップ部12よりも前方へ延設された構成としたが、本発明は、この構成に限定せず、第2駆動用バッテリケース44は、前部がキックアップ部12よりも前方へ延設されない構成としてもよい。
【0146】
さらに、本実施形態において、第2駆動用バッテリケース44は、キックアップ部12より前方へ水平に延設された前部が、トンネル部22の上面部22uに対して上方に離間して配置されたが、これに限らず、トンネル部22の上面部22uに対して離間せずに、設置された構成としてもよい。
【0147】
さらにまた、本実施形態のフロアパネル1は、フロントフロアパネル11に上方に突出するトンネル部22や、フロントフロアパネル11の後端から上方に立ち上がる縦壁状のキックアップ部12を備えたが、本発明は、このようなフロアパネルに限定せず、例えば、トンネル部22やキックアップ部12を備えずに、例えば、電気自動車のフロントフロアパネルのように、全体がフラットに形成されたフロントフロアパネルを備えてもよい。
すなわち、第1、第2駆動用バッテリ41,42は、このようなフラットなフロントフロアパネルの上面に設置された構成としてもよい。
【0148】
また、上述した本実施形態において、第1駆動用バッテリケース43の上面部43uは、本実施形態のように、拡大荷室床面2Faの一部を形成するように、荷室2aの空間に向けて露出した形態としたが、本発明は、これに限らず、上面部43uが例えば、化粧パネル、マット、荷室仕切りボード等の被覆部材によって覆われ、これら被覆部材が第1駆動用バッテリケース43の実質的な上面部を形成する場合も、第1駆動用バッテリケース43の上面部43uによって、拡大荷室床面2Faの一部が形成されているものとする。
【0149】
さらにまた、本発明の車両は、例えば、駆動用バッテリが搭載された車両であればよく、プラグイン充電に対応していない通常のハイブリッド車両であってもよいし、電気自動車または燃料電池車であってもよい。
【符号の説明】
【0150】
1…フロアパネル
2…車室
27,28…前席
30,31…後席
30C,31C…後席のシートクッション(後席の座部)
44…第2駆動用バッテリケース(駆動用バッテリケース)
44F…第2駆動用バッテリケースの前端部(駆動用バッテリケースの前端部)
44u…第2駆動用バッテリケースの上面部(駆動用バッテリケースの上端部)
50…前席用センタコンソール部
53…物品収納部
56…開口部
511…前席用センタコンソール部の側面部
531…物品収納部の底壁
532…物品収納部の側壁
534…物品収納部の後壁(物品収納部の後端部)
57…リッド
571…分割リッド
58…枢着部
58a…前後方向に沿って延びる軸
60…後席用吹出し口
62…後席用供給ダクト(ダクト)
63…後方配索部
63a…後方配索部の後端部
65…上方配索部
65a…上方配索部の下端部
65b…上方配索部の上端部
66…上側後方配索部
70…後席用センタコンソール部
156…開口部の側辺部
S…前席用センタコンソール部の側面部と物品収納部の側壁との間の空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10