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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007730
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/22 20060101AFI20250109BHJP
   A47C 1/024 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60N2/22
A47C1/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109320
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】立松 亮也
(72)【発明者】
【氏名】寺田 翔
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊佑
【テーマコード(参考)】
3B087
3B099
【Fターム(参考)】
3B087BD03
3B099BA04
3B099CA01
3B099CA30
(57)【要約】
【課題】 ヒンジピンを支持するための構成の質量及び大きさを小さくすることが可能な乗物用シートの一例を開示する。
【解決手段】 ブッシング10によってヒンジピン7が回転可能に支持された構成となっている。これにより、当該乗物用シート1では、特許文献1に記載の構成に比べて、ヒンジピン7を支持するための構成の質量及び大きさを小さくすることが可能となり得る。なお、ブッシング10は、ヒンジピン7を回転可能に支持する滑り軸受を構成する部材であって、ヒンジピン7が貫通する貫通穴10Aが設けられたブロック体であって、リクライナプレート32Aに直接的に溶接固定されている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物に搭載される乗物用シートにおいて、
リクライナが装着されているとともに、クッションフレームに対して固定されたリクライナプレートと、
前記リクライナを解除作動させるためのヒンジピンと、
前記ヒンジピンを回転可能に支持する滑り軸受を構成するブッシングであって、前記リクライナプレートに固定されたブッシングとを備え、
前記ブッシングは、前記ヒンジピンが貫通した貫通穴が設けられたブロック状であって、前記リクライナプレートに直接的に固定されている乗物用シート。
【請求項2】
操作ケーブルが連結されたケーブル操作ブラケットであって、前記ヒンジピンの中心軸線を中心に回転可能なケーブル操作ブラケットと、
前記ヒンジピンに設けられ、当該ヒンジピンから外方側に突出した鍔状のフランジ部とを備え、
前記ケーブル操作ブラケットは、前記フランジ部及び前記ブッシングと滑り接触可能な状態で、前記フランジ部と前記ブッシングとにより挟まれている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記ヒンジピンが前記貫通穴から脱落することを防止するカバー部材であって、前記リクライナプレートに固定されたカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記フランジ部を挟んで前記ケーブル操作ブラケットと反対側に配置されている請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記カバー部材には、前記操作ケーブルのアウターチューブを係止するケーブル係止部が設けられている請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記ケーブル操作ブラケットに弾性力を作用させるバネを備え、
前記カバー部材には、前記バネを保持するバネ保持部が設けられている請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記バネに設けられ、前記ケーブル操作ブラケットに接触して当該ケーブル操作ブラケットに弾性力を作用させる作用部であって、前記中心軸線と略平行に延びる線状の作用部と、
前記カバー部材に設けられ、前記作用部が予め決められた寸法を超えて傾いたときに当該作用部に接触して当該作用部が更に傾くことを規制する規制部とを備え、
前記規制部は、前記中心軸線と平行な方向において、前記ケーブル操作ブラケットに対してずれている請求項5に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物に搭載される乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の乗物用シートでは、板材にプレス成形が施されたヒンジブラケット(60)にてヒンジピン(4a)を回転可能に支持している。そして、当該ヒンジブラケット(60)は、回動操作部材(50)を介してリクライナプレート(3f)に固定されている。なお、括弧内の符号は、特許文献1における参照符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-30519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の乗物用シートでは、ヒンジピンを支持するためのヒンジブラケット及び回動操作部材の形状が大きいため、ヒンジピンを支持するための構成部品の質量が大きくなるとともに、それらの部材を配置するための大きなスペースを必要とする。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、ヒンジピンを支持するための構成の質量及び大きさを小さくすることが可能な乗物用シートの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
乗物に搭載される乗物用シートは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
すなわち、当該構成要件は、リクライナ(61)が装着されているとともに、クッションフレーム(32)に対して固定されたリクライナプレート(32A)と、リクライナ(61)を解除作動させるためのヒンジピン(7)と、ヒンジピン(7)を回転可能に支持する滑り軸受を構成するブッシング(10)であって、リクライナプレート(32A)に固定されたブッシング(10)とを備え、ブッシング(10)は、ヒンジピン(7)が貫通した貫通穴(10A)が設けられたブロック状であって、リクライナプレート(32A)に直接的に固定されていることである。
【0007】
これにより、当該乗物用シートでは、ブッシング(10)によってヒンジピン(7)が回転可能に支持された構成となるので、特許文献1に記載の構成に比べて、ヒンジピン(7)を支持するための構成の質量及び大きさを小さくすることが可能となり得る。
【0008】
なお、当該乗物用シートは、以下の構成であってもよい。
すなわち、操作ケーブル(13)が連結されたケーブル操作ブラケット(11)であって、ヒンジピン(7)の中心軸線を中心に回転可能なケーブル操作ブラケット(11)と、ヒンジピン(7)に設けられ、当該ヒンジピン(7)から外方側に突出した鍔状のフランジ部(7B)とを備え、ケーブル操作ブラケット(11)は、フランジ部(7B)及びブッシング(10)と滑り接触可能な状態で、フランジ部(7B)とブッシング(10)とにより挟まれていることが望ましい。
【0009】
これにより、ケーブル操作ブラケット(11)の中心軸線方向の位置が、ブッシング(10)を基準として決まる。つまり、ケーブル操作ブラケット(11)は、ブッシング(10)に接触するので、ケーブル操作ブラケット(11)の中心軸線方向の位置は、ブッシング(10)の外形寸法により一義的に決まる。したがって、当該乗物用シートでは、ケーブル操作ブラケット(11)の中心軸線方向の位置精度が、容易に高い精度となり得る。
【0010】
ヒンジピン(7)が貫通穴(10A)から脱落することを防止するカバー部材であって、リクライナプレート(32A)に固定されたカバー部材(12)を備え、カバー部材(12)は、フランジ部(7B)を挟んでケーブル操作ブラケット(11)と反対側に配置されていることが望ましい。
【0011】
そして、カバー部材(12)には、操作ケーブル(13)のアウターチューブ(13A)を係止するケーブル係止部(12C)が設けられていることが望ましい。
また、ケーブル操作ブラケット(11)に弾性力を作用させるバネ(14)を備え、カバー部材(12)には、バネ(14)を保持するバネ保持部(12D)が設けられていることが望ましい。
【0012】
さらに、バネ(14)に設けられ、ケーブル操作ブラケット(11)に接触して当該ケーブル操作ブラケット(11)に弾性力を作用させる作用部(14B)であって、中心軸線と略平行に延びる線状の作用部(14B)と、カバー部材(12)に設けられ、作用部(14B)が予め決められた寸法を超えて傾いたときに当該作用部(14B)に接触して当該作用部(14B)が更に傾くことを規制する規制部(12E)とを備え、規制部(12E)は、中心軸線と平行な方向において、ケーブル操作ブラケット(11)に対してずれていることが望ましい。
【0013】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る乗物用シートを示す図である。
図2】第1実施形態に係るヒンジピン周囲の構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係るヒンジピン周囲の分解図である。
図4】第1実施形態に係るブッシングを示す図である。
図5】第1実施形態に係るヒンジピン周囲の構造を示す図である。
図6】第1実施形態に係るヒンジピン周囲の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0016】
本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシート(以下、乗物用シートという。)に本開示に係る乗物用シートが適用された例である。各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び部材又は部位の形状等を理解し易くするために記載されたものである。
【0017】
したがって、当該乗物用シートは、各図に付された方向に限定されない。各図に示された方向は、本実施形態に係る乗物用シートが車両に組み付けられた状態における方向である。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示さない。
【0018】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された乗物用シートは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0019】
(第1実施形態)
<1.乗物用シートの概要>
乗物用シート1は、図1に示されるように、シートクッション3及びシートバック5等を少なくとも備える。シートクッション3は着席者の臀部を支持するための部位である。シートバック5は着席者の背部を支持するための部位である。
【0020】
シートクッション3は、クッションフレーム31及びクッションパッド(図示せず。)等を少なくとも有して構成されている。クッションフレーム31は、シートクッション3の骨格を構成する。クッションパッドは、発泡ウレタン等の弾性部材である。
【0021】
本実施形態に係るクッションフレーム31は、クッションサイドフレーム32、33及び連結部材34等を少なくとも有する枠状のフレームである。クッションサイドフレーム32は、シート幅方向一端側に配置されてシート前後方向に延びている。
【0022】
クッションサイドフレーム33は、シート幅方向他端側に配置されてシート前後方向に延びている。連結部材34は、シート幅方向に延びて2つのクッションサイドフレーム32、33を連結している。
【0023】
シートバック5は、バックフレーム51及びクッションパッド(図示せず。)等を少なくとも有して構成されている。バックフレーム51は、シートバック5の骨格を構成する。クッションパッドは、発泡ウレタン等の弾性部材である。
【0024】
本実施形態に係るバックフレーム51は、バックサイドフレーム52、53及び少なくとも1つの連結部材54等を少なくとも有する枠状のフレームである。バックサイドフレーム52は、シート幅方向一端側に配置されて略上下方向に延びている。
【0025】
バックサイドフレーム53は、シート幅方向他端側に配置されて略上下方向に延びている。連結部材54は、シート幅方向に延びて2つのバックサイドフレーム52、53を連結している。
【0026】
クッションフレーム31とバックフレーム51との連結箇所には、リクライナプレート32A、33A、及びリクライナ61、62等が設けられている。リクライナプレート32Aは、リクライナ61が装着されているとともに、クッションサイドフレーム32に対して固定されている。
【0027】
リクライナプレート33Aは、リクライナ62が装着されているとともに、クッションサイドフレーム33に対して固定されている。リクライナ61、62は、クッションフレーム31に対するバックフレーム51の角度を調節するための機構である。
【0028】
具体的には、リクライナ61、62は、内歯歯車を有するラチェット、及び当該内歯歯車に係合する外歯を有するポール等を有して構成されている。なお、当該構成は、例えば、特開2000-102440号公報のリクライナと同様な構成である。
【0029】
本実施形態に係るリクライナ61、62は、解除機能(フォールドダウン機能ともいう。)を有する。解除機能とは、シートバック5をシートクッション3に近接するように、当該バックフレーム51を前方側に倒伏させる機能である。
【0030】
当該解除機能を実現するための構成要素として、本実施形態では、図2に示されるように、ヒンジピン7、解除レバー8、操作ケーブル9及び操作レバー(図示せず。)等を少なくとも有する。
【0031】
操作レバーは、解除機能を作動させる際に、利用者により回転操作される操作部である。ヒンジピン7は、解除機能を作動させる際に操作レバーの回転と機械的に連動して回転する軸部材である。
【0032】
そして、ヒンジピン7が回転すると、リクライナ61は、バックフレーム51を前方側に倒伏させる作動(以下、解除作動ともいう。)する。具体的には、ヒンジピン7が回転すると、リクライナ61のラチェットとポールとの係合が解除される。このため、渦巻きバネ(図示せず。)の弾性力により、バックフレーム51が前方側に倒伏する。
【0033】
解除レバー8は、ヒンジピン7と一体的に回転するレバーである。操作ケーブル9は、解除レバー8に連結されたコントロールケーブルである。当該操作ケーブル9は、ヒンジピン7の回転をリクライナ62に伝達して当該リクライナ62を解除作動させる。
【0034】
なお、操作レバーは、ヒンジピン7に直接的に連結されている。このため、利用者が操作レバーを回転操作すると、ヒンジピン7が操作レバーに連動して回転する。したがって、操作レバーの回転操作に連動してリクライナ61、62が解除作動する。
【0035】
<2.ヒンジピンの支持構造等>
図3に示されるように、ヒンジピン7及びリクライナ61の周囲には、ブッシング10、ケーブル操作ブラケット11及びカバー部材12等が少なくとも設けられている。なお、リクライナプレート32Aはリクライナ61の一方の面に溶接固定されている。リクライナ61の他方の面は、バックサイドフレーム52に溶接固定されている。
【0036】
<ヒンジピン>
ヒンジピン7は、棒状の軸部7A及びフランジ部7Bを有している。フランジ部7Bは、軸部7Aから外方側に突出した鍔状の部位である。なお、本実施形態に係るフランジ部7Bは、軸部7Aの全周に亘って突出したリング状の部位である。
【0037】
<ブッシング>
ブッシング10は、ヒンジピン7を回転可能に支持する滑り軸受を構成する部材であって、リクライナプレート32Aに圧入又は溶接(本実施形態では、溶接)等の固定手法にて固定されている。
【0038】
当該ブッシング10は、ヒンジピン7が貫通する貫通穴10Aが設けられたブロック体であって、リクライナプレート32Aに直接的に溶接固定されている。具体的には、ブッシング10は、図4に示されるように、大径部10B及び小径部10Cを有する。
【0039】
大径部10Bは、小径部10Cより外径寸法が大きい部分である。そして、ブッシング10は、大径部10B及び小径部10Cが金属にて一体成形(本実施形態では、鍛造又は鋳造)された一体品である。
【0040】
<ケーブル操作ブラケット>
ケーブル操作ブラケット11は、図2に示されるように、操作ケーブル13が連結されたケーブル操作レバーである。当該ケーブル操作ブラケット11は、ヒンジピン7の中心軸線Lo(図3参照)を中心に回転可能である。
【0041】
具体的には、ケーブル操作ブラケット11は、図5に示されるように、フランジ部7B及びブッシング10と滑り接触可能な状態で、フランジ部7Bとブッシング10とにより挟まれている。
【0042】
より詳細には、ケーブル操作ブラケット11の軸穴11A(図3参照)には、ブッシング10の小径部10Cが滑り接触可能嵌り込んでいる。そして、ケーブル操作ブラケット11の一方側(図5では、左側)には、ブッシング10の大径部10Bが配置されている。
【0043】
ケーブル操作ブラケット11の他方側(図5では、右側)には、ヒンジピン7のフランジ部7Bが配置されている。このため、ケーブル操作ブラケット11は、フランジ部7Bとブッシング10とにより挟まれた構成となる。
【0044】
因みに、ケーブル操作ブラケット11は、シートバック5が倒伏して当該シートバック5に設けられた当接部52A(図2参照)が、当該ケーブル操作ブラケット11の被当接部11B(図2参照)に衝突したときに、操作ケーブル13を引く操作をするものである。
【0045】
そして、操作ケーブル13が引かれると、シートクッション3の後端側下部を車両フロアに固定するロック装置(図示せず。)が解除され、乗物用シート1が前端側下部を中心に回転(タンブル)可能な状態となる。
【0046】
<カバー部材>
カバー部材12は、ヒンジピン7がブッシング10の貫通穴10Aから脱落することを防止する部材である。すなわち、カバー部材12には、ヒンジピン7が貫通する貫通穴12A(図3参照)が設けられている。
【0047】
貫通穴12Aの内径寸法は、フランジ部7Bの外径寸法より小さい。そして、カバー部材12は、図5に示されるように、フランジ部7Bを挟んでケーブル操作ブラケット11と反対側に配置されているとともに、リクライナプレート32Aに固定されている。なお、本実施形態に係るカバー部材12は、溶接にてリクライナプレート32Aに固定されている。
【0048】
カバー部材12には、図2に示されるように、ケーブル係止部12B及びケーブル係止部12Cが設けられている。ケーブル係止部12Bは、操作ケーブル9のアウターチューブ9Aを係止する部位である。
【0049】
ケーブル係止部12Cは、操作ケーブル13のアウターチューブ13Aを係止する部位である。さらに、カバー部材12には、バネ14を保持するバネ保持部12Dが設けられている。バネ14は、ケーブル操作ブラケット11に弾性力を作用させる。
【0050】
なお、当該バネ14は、図6に示されるように、捻りコイルバネであって、操作ケーブル13を引く向きにケーブル操作ブラケット11を回転させる弾性力を発揮する。そして、バネ保持部12Dは、バネ14のコイル14Aを支持する。
【0051】
バネ14には、作用部14Bが設けられている。作用部14Bは、ケーブル操作ブラケット11に接触して当該ケーブル操作ブラケット11に弾性力を作用させる部位であって、中心軸線Loと略平行に延びる線状の部位である。
【0052】
カバー部材12には、規制部12Eが設けられている。規制部12Eは、作用部14Bが予め決められた寸法を超えて傾いたときに当該作用部14Bに接触して当該作用部14Bが更に傾くことを規制する。
【0053】
このため、図6に示された状態、つまり、シートバック5が倒伏していない状態では、規制部12Eと作用部14Bとの間には、微少な隙間(図示せず。)が設けられている。そして、作用部14Bが傾いたときに規制部12Eが作用部14Bに接触して当該作用部14Bが更に傾くことが規制される。
【0054】
さらに、規制部12Eは、中心軸線Loと平行な方向において、ケーブル操作ブラケット11に対してずれている。つまり、ケーブル操作ブラケット11のうち作用部14Bが接触している部位と規制部12Eとは、中心軸線Loと平行な方向において離隔している。
【0055】
なお、バネ16は、解除レバー8に弾性力を作用させる。このため、解除レバー8は、操作レバーに操作力が作用していないときには、図2に示される位置に保持される。そして、当該位置から解除レバー8及びヒンジピン7が回転したときに、リクライナ61、62が解除作動する。
【0056】
<3.本実施形態に係る乗物用シートの特徴>
本実施形態に係る乗物用シート1では、ブッシング10によってヒンジピン7が回転可能に支持された構成となっている。これにより、当該乗物用シート1では、特許文献1に記載の構成に比べて、ヒンジピン7を支持するための構成の質量及び大きさを小さくすることが可能となり得る。
【0057】
ケーブル操作ブラケット11は、フランジ部7B及びブッシング10と滑り接触可能な状態で、フランジ部7Bとブッシング10とにより挟まれている。これにより、ケーブル操作ブラケット11の中心軸線Loと平行な方向の位置(以下、単に「位置」という。)が、ブッシング10を基準として決まる。
【0058】
つまり、ケーブル操作ブラケット11は、ブッシング10に接触するので、ケーブル操作ブラケット11の位置は、ブッシング10の外形寸法により一義的に決まる。したがって、当該乗物用シート1では、ケーブル操作ブラケット11の位置の精度が、容易に高い精度となり得る。
【0059】
カバー部材12には、操作ケーブル13のアウターチューブ13Aを係止するケーブル係止部12C、及びバネ14を保持するバネ保持部12Dが設けられている。これにより、ケーブル係止部12C及びバネ保持部12Dをクッションフレーム31に装着するための工数が削減される。
【0060】
作用部14Bが予め決められた寸法を超えて傾いたときに当該作用部14Bに接触して当該作用部14Bが更に傾くことを規制する規制部12Eを備え、規制部12Eは、中心軸線Loと平行な方向において、ケーブル操作ブラケット11に対してずれている。これにより、バネ14の作動が阻害されることが未然に抑制され得る。
【0061】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係るブッシング10は、段付き部がある円筒状であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、外形が矩形状のブロック体にてブッシングが構成されていてもよい。
【0062】
上述の実施形態に係るブッシング10は、金属製であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、POM等の硬質な樹脂製のブッシングであってもよい。
【0063】
上述の実施形態に係るケーブル操作ブラケット11は、ロック装置を解除するための操作ケーブルを操作するものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、他の操作ケーブルを操作するためのケーブル操作ブラケットであってもよい。
【0064】
上述の実施形態に係るカバー部材12には、操作ケーブル13のアウターチューブ13Aを係止するケーブル係止部12C、及びバネ14を保持するバネ保持部12Dが設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0065】
上述の実施形態では、規制部12Eを備え、当該規制部12Eは、中心軸線Loと平行な方向において、ケーブル操作ブラケット11に対してずれていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、規制部12Eが廃止された構成、又は規制部12Eがケーブル操作ブラケット11に近接した構成であってもよい。
【0066】
上述の実施形態では、車両に本開示に係る乗物用シートを適用した。しかし、本明細書に開示された発明の適用はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるシート、並びに劇場や家庭用等に用いられる据え置き型シートにも適用できる。
【0067】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1… 乗物用シート 3…シートクッション 5… シートバック
7… ヒンジピン 7A…軸部 7B… フランジ部 8… 解除レバー
9… 操作ケーブル 10…ブッシング 10A… 貫通穴
11… ケーブル操作ブラケット 12… カバー部材 61… リクライナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6