(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007736
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】清掃具
(51)【国際特許分類】
A47L 13/257 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A47L13/257
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109334
(22)【出願日】2023-07-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 激落ちくんEXPO2023、令和5年6月14日~6月16日開催
(71)【出願人】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 彩子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 伴
【テーマコード(参考)】
3B074
【Fターム(参考)】
3B074AA03
3B074AB02
(57)【要約】
【課題】湾曲面状の被清掃面及び平坦状の被清掃面の両方に効率よく清掃することが可能な清掃具を提供する。
【解決手段】清掃具1は、本体部2と、この本体部2に対して着脱自在の清掃部3とから構成されており、本体部2は、棒状の柄部4と、この柄部4の先端を傾けた状態で連結する芯板部5とから構成されている。芯板部5は平坦な円盤状とされており、可撓性及び弾力性を有する第1の板材部5aと、この第1の板材部5aと屈曲自在に連続し、硬質の素材から成る第2の板材部5bとにより構成されている。被清掃面B1が湾曲面B2である場合は、第1の板材部5aを覆う清掃部3の先端部3fを湾曲させて清掃を行う。芯板部5の第1の板材部5aは、湾曲面B2に倣って、第2の板材部5bから折れ曲がり、清掃部3も芯板部5の変形に追従する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄部と、該柄部を傾けた状態で連結する芯板部とから成る本体部、及び前記芯板部を覆うようにして取り付け可能な清掃部から構成される清掃具であって、
前記芯板部は、可撓性及び弾力性を有する素材から成る第1の板材部と、該第1の板材部と境界線を介して連続し、硬質の素材から成る第2の板材部とから構成され、
前記柄部と前記芯板部とが連結する連結個所は、前記第2の板材部上に位置していることを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記境界線は、傾けた前記柄部の下方への投影線と略平行である、又は前記投影線と直交する直交線と略平行であることを特徴とする請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記芯板部は、一対の前記第1の板材部間に前記第2の板材部が挟まれており、一対の前記境界線は略平行となることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記柄部は、回動部を介して前記芯板部に接続しており、
前記回動部は軸部と、該軸部と係合する軸受部とから成り、
前記境界線は、前記軸部と略平行することを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃具。
【請求項5】
前記芯板部及び前記清掃部は円盤状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃具。
【請求項6】
前記清掃部は開口部を有し、該開口部の下に、該開口部の径より大きく且つ前記芯板部の径と略一致する径の空隙部又は切込み部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃具。
【請求項7】
前記芯板部の表面に前記境界線を有する前記第1の板材部と前記第2の板材部とは、インサート成型により連結しており、前記第1の板材部の中央の底面の一部が、前記第2の板材部に設けた中央孔から突出する突出部と連続しており、前記弾力性を有する素材から成る前記突出部は、前記柄部の柄先端部と当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃具。
【請求項8】
前記清掃部は発泡樹脂製であることを特徴とする請求項1又は2に記載された清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被清掃面の形状に関係なく、清掃が可能な清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、柄部に回動自在に接続するプレートを覆うように、吸収性材料を取り付けた洗浄器具が開示されている。洗浄液を含浸した吸収性材料を、被清掃面に当接して、摺動させることで被清掃面の清掃を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の合成樹脂材から成るプレートは、被清掃面が平坦の場合には容易に清掃することが可能であるが、被清掃面が立体形状、例えばバスタブのような湾曲形状の場合には、プレートが変形しないため、湾曲面状の被清掃面に対して隅々まで清掃することが難しいという問題がある。
【0005】
そこで、上述のプレートを設けずに、柄部に直接軟性のスポンジ材を取り付けた清掃具を使用した場合においては、湾曲面状の被清掃面に対しても清掃が可能となるが、逆に平坦状の被清掃面に対しては洗浄器具の底面全体で押し付けるようにして摺動させることが難しくなり、清掃効率が大きく低下することになる。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、湾曲面状の被清掃面及び平坦状の被清掃面の両方に対して効率良く清掃することが可能な清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するための本発明に係る清掃具は、柄部と、該柄部を傾けた状態で連結する芯板部とから成る本体部、及び前記芯板部を覆うようにして取り付け可能な清掃部から構成される清掃具であって、前記芯板部は、可撓性及び弾力性を有する素材から成る第1の板材部と、該第1の板材部と境界線を介して連続し、硬質の素材から成る第2の板材部とから構成され、前記柄部と前記芯板部とが連結する連結個所は、前記第2の板材部上に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る清掃具によれば、被清掃面が湾曲面状の場合は清掃部の可撓性を有する端部を利用し、被清掃面が平坦状の場合は端部を含む清掃部全体を利用することで、被清掃面の形状に応じて効率的に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】柄部に清掃部を装置した状態の清掃具の斜視図である。
【
図3】柄部に清掃部を装置した状態の清掃具の側方断面図である。
【
図4】被清掃面に清掃部が当接した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は清掃具の分解斜視図、
図2は柄部に清掃部を装置した状態の清掃具の斜視図、
図3は
図2の状態における側方断面図である。
【0011】
清掃具1は、本体部2と、この本体部2に対して着脱自在の清掃部3とから構成されており、本体部2は、棒状の柄部4と、この柄部4の先端を傾けた状態で連結する芯板部5とから構成されている。
【0012】
図1、
図2においては、柄部4は回動部6を介して芯板部5に接続しているが、回動部6を設けずに、柄部4が傾斜した状態のまま芯板部5に直接固定するようにしてもよい。また、柄部4の上部には、図示を省略しているが、把持部を設けた棒状体が連続して設けられている。
【0013】
芯板部5は平坦な円盤状とされており、可撓性及び弾力性を有する素材、例えば合成ゴム材から成る第1の板材部5aと、この第1の板材部5aと屈曲自在に連続し、第1の板材部5aよりも面積が大きく、硬質の素材例えば合成樹脂材から成り、上面に回動部6を設けた第2の板材部5bとにより構成されている。
【0014】
柄部4と芯板部5とが連結する個所は、第2の板材部5b上であり、かつ芯板部5の中央に位置することになる。また、第2の板材部5b、回動部6及び柄部4は同じ材料から構成するようにしてもよい。
【0015】
芯板部5上における第1の板材部5aと第2の板材部5bとの直線状の境界線5cは、傾けた柄部4の下方への投影線と直交する直交線と略平行である。そして、この境界線5cは、芯板部5の中心にある柄部4の傾けた方向の逆側、つまり
図1において左側端が清掃具1の先端とした場合に芯板部5の中心よりも先端側に位置している。
【0016】
なお、芯板部5については、一対の弾力性を有する第1の板材部5a間に硬質の第2の板材部5bが挟まれた構造にしてもよく、このような構造の一対の境界線5cは、略平行とされている。
【0017】
更には、傾けた柄部4の下方への投影線と略平行とするように、第1の板材部5aと第2の板材部5bとの境界線5cを設けるようにしてもよい。又は、第2の板材部5bは円盤状とし、この円盤状の第2の板材部5bを取り囲むように円環状の第1の板材部5aを配置するようにすることもできる。
【0018】
また回動部6は、柄部4の柄先端部4aの挿通孔4bに挿通する軸部6aと、芯板部5の上面中央から立設され、軸部6aを係合する軸受部6bとから構成されている。この場合の境界線5cは軸部6aと略平行とされている。
【0019】
図3に示すように、軸部6aの断面形状を中空状の多角形とし、併せて挿通孔4bも多角にすることで、軸部6aと柄部4は一体となって軸受部6bに対して回動可能となる。
【0020】
そして、図示しない軸部6aに設けた凸部と、この凸部を軸受部6bに設けた所定角度の溝部に嵌合されることで、柄部4の回動角度を規制することができる。この回動角度は、例えば柄部4が芯板部5と平行する水平状態の0度~40度程度が好ましい。更には、芯板部5に対して柄部4を回動させる際に、回動部6をクリック状に回動する構造を採用してもよい。
【0021】
また、芯板部5の表面に境界線5cを備えた第1の板材部5aと第2の板材部5bとは、インサート成型により連結している。
図3に示すように、第1の板材部5aの中央の底面の一部が、第2の板材部5bに設けた挿入孔5dから突出する突出部5eと連続している。弾力性を有する素材から成る突出部5eは、柄部4の柄先端部4aと当接し、適宜の摩擦力を柄部4に対して発生させている。
【0022】
清掃部3は、例えば柔軟性かつ弾性を有する発泡樹脂材から成り、上面3aに円形状の開口部3bを備えている。この開口部3bの下には、開口部3bの径よりも大きく、かつ芯板部5の径と略一致する径を有する空隙部3cが設けられている。なお、この空隙部3cは水平状にカットされた切込み状であってもよい。
【0023】
清掃部3及び芯板部5は、何れも円盤状とされているが、それぞれ適宜の形状を採用することも可能である。例えば、清掃部3は長方形とし、芯板部5は菱形板を採用することができ、空隙部3cも菱形となる。
【0024】
また開口部3bには、開口部3bの広い拡開を容易にする縦状の切欠辺3dが設けられている。清掃部3の下面には、多数の極細繊維毛から成る払拭層3eが配置されている。この払拭層3eは清掃部3に必ずしも設ける必要はない。
【0025】
本体部2に清掃部3を装着するには、清掃部3の開口部3bを広く拡開して芯板部5を挿入して、
図2に示すように柔軟な清掃部3により芯板部5を覆う。
【0026】
このようにして、清掃部3を本体部2に装着した清掃具1を使用して清掃する場合には、被清掃部Bの形状に応じて回動部6の角度を適宜に選択した後、柄部4の後端の図示しない把持部を把持して、清掃部3を被清掃部Bに当接させて摺動する。この際に、清掃部3に液体洗剤等を含浸させてもよい。
【0027】
図4は、被清掃部B、例えばバスタブの被清掃面B1に、清掃部3が当接した状態の断面図である。被清掃面B1がバスタブの角部である湾曲面B2である場合は、第1の板材部5aとこの第1の板材部5aを覆う清掃部3の先端部3fを湾曲させて清掃を行う。
【0028】
芯板部5の第1の板材部5aは、湾曲面B2に倣って、第2の板材部5bから折れ曲がり、清掃部3も芯板部5の変形に追従する。このように、可撓性及び弾力性を有する清掃部3の先端部3fによって、湾曲面B2を効率的に清掃することができる。
【0029】
そして、被清掃面B1が平坦状の場合は、
図3に示すように芯板部5の第1、第2の板材部5a、5bは平坦な状態が維持され、先端部3fを含む清掃部3の全体を利用して清掃を行う。硬質であり、変形しない第2の板材部5bを利用することで、清掃部3を被清掃面B1に対して、強く押圧しながら擦り付けることができる。
【0030】
また、清掃部3に設けた研磨層3eによって、被清掃面B1の付着物が効率良く除去できると共に、清掃部3に液体洗剤を含有させることで清掃部3から液体洗剤が滲み出して、被清掃面がより効率良く清掃される。
【0031】
このように、本発明による清掃具によれば、被清掃面B1が立体的な湾曲面状の場合は、清掃部3の可撓性を有する端部を利用し、被清掃面B1が平坦状の場合は、端部を含む清掃部3の全体を利用することで、被清掃面B1の形状に応じて効率的に清掃することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 清掃具
2 本体部
3 清掃部
3a 上面
3b 開口部
3c 空隙部
3d 切欠辺
4 柄部
5 芯板部
5a 第1の板材部
5b 第2の板材部
5c 境界線
5d 挿入孔
5e 突出部
6 回動部
6a 軸部
6b 軸受部