(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007740
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20250109BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H05K3/28 B
H05K1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109341
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 陽太
(72)【発明者】
【氏名】小林 知広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕次郎
【テーマコード(参考)】
5E314
5E338
【Fターム(参考)】
5E314AA27
5E314AA32
5E314AA36
5E314AA42
5E314BB02
5E314CC01
5E314CC03
5E314CC15
5E314FF05
5E314GG09
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB63
5E338EE21
(57)【要約】
【課題】クラックの発生が抑制される配線基板の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板1は、絶縁層113と、導体パッドP1を含む導体層123と、ソルダーレジスト層114と、を含んでいる。ソルダーレジスト層114が、導体パッドP1における絶縁層113と反対側を向く表面及び導体パッドP1の側面の全体を露出させる開口114aを有し、開口114aの内側面は、絶縁層113との境界a1を含む第1部分114a1と、第1部分114a1の絶縁層113と反対側の第2部分114a2と、を含み、第2部分114a2は、開口114aの最も内側に位置する部分を含み、第1部分114a1の絶縁層113との境界a1は、開口114aの最も内側に位置する部分から、絶縁層113の表面に沿う方向において導体パッドP1から離間する方向に、5μm以上、且つ、25μm以下の距離だけ離間している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層の表面上に形成され、導体パッドを含む導体層と、
前記絶縁層の表面上に形成されているソルダーレジスト層と、
を含む配線基板であって、
前記ソルダーレジスト層が、前記導体パッドにおける前記絶縁層と反対側を向く表面及び前記導体パッドの側面の全体を露出させる開口を有し、
前記開口の内側面は、前記絶縁層との境界を含む第1部分と、前記第1部分の前記絶縁層と反対側の第2部分と、を含み、
前記第2部分は、前記開口の最も内側に位置する部分を含み、
前記第1部分の前記絶縁層との境界は、前記開口の最も内側に位置する部分から、前記絶縁層の表面に沿う方向において前記導体パッドから離間する方向に、5μm以上、且つ、25μm以下の距離だけ離間している。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1部分が前記絶縁層の表面に対して接する角度は、前記第2部分における前記開口の最も内側に位置する部分の前記絶縁層の表面に対する角度よりも小さい。
【請求項3】
請求項2記載の配線基板であって、前記第1部分が前記絶縁層の表面に対して接する角度は、30°以上、75°以下である。
【請求項4】
請求項2記載の配線基板であって、前記第2部分における前記開口の最も内側に位置する部分の前記絶縁層の表面に対する角度は、略90°である。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1部分と前記第2部分における前記開口の最も内側の部分とは、曲面を介して接続されている。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、前記配線基板が、第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有し、前記第2面は部品が実装される部品実装面であり、前記導体層は前記第1面側に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソルダーレジスト層が、絶縁層上に形成されている導体パッドの表面及び側面全体を露出させる開口を有する配線基板が開示されている。開口の内側面は、絶縁層と反対側に向かって拡がるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の配線基板では、配線基板に加わる応力が、ソルダーレジストの内側面と接触する絶縁層の接触部の近傍に集中することがある。この集中した応力により、接触部の近傍の絶縁層にクラックが発生することがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、絶縁層と、前記絶縁層の表面上に形成され、導体パッドを含む導体層と、前記絶縁層の表面上に形成されているソルダーレジスト層と、を含んでいる。前記ソルダーレジスト層が、前記導体パッドにおける前記絶縁層と反対側を向く表面及び前記導体パッドの側面の全体を露出させる開口を有し、前記開口の内側面は、前記絶縁層との境界を含む第1部分と、前記第1部分の前記絶縁層と反対側の第2部分と、を含み、前記第2部分は、前記開口の最も内側に位置する部分を含み、前記第1部分の前記絶縁層との境界は、前記開口の最も内側に位置する部分から、前記絶縁層の表面に沿う方向において前記導体パッドから離間する方向に、5μm以上、且つ、25μm以下の距離だけ離間している。
【0006】
本発明の実施形態によれば、ソルダーレジスト層への応力集中が緩和されると共に絶縁層にかかる応力が緩和され得る。ソルダーレジスト層及び絶縁層でのクラックの発生が抑制され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図3】本発明の一実施形態の配線基板の他の一例を示す拡大断面図。
【
図4A】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図4B】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図4C】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。
図1は、一実施形態の配線基板の一例である配線基板1の断面図を示しており、
図2は、
図1に示される配線基板1の一点鎖線で囲われる部分IIを上下逆にして拡大図で示している。なお、以下、参照される図面においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、実施形態の特徴が理解され易いように描かれている。図示される配線基板1は、本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。実施形態の配線基板の積層構造、並びに、導体層及び絶縁層それぞれの数は、図示される配線基板1の積層構造、並びに配線基板1に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。
【0009】
図1に示されるように、配線基板1は、第1主面1F及び第2主面1Sを有しており、第1主面1F及び第2主面1Sのうちの少なくとも一方側(
図1の例では、第1主面1F側)に、第1導体パッドP1(単に「導体パッドP1」とも称される)を有する導体層123と、開口114aを有するソルダーレジスト層114とを含んでいる。本実施形態の配線基板1では、ソルダーレジスト層114の開口114aが、所定の形状を有し、第1導体パッドP1における表面(上面)及び側面全体を露出させている。
図1の例では、配線基板1は、所謂、多層配線基板である。しかし、実施形態の配線基板は、所謂、両面配線基板であってもよい。
【0010】
図1の例では、配線基板1は、コア基板100と、コア基板100の一方の主面(第1面100F)上に形成されている第1配線構造10と、コア基板100の他方の主面(第2面100S)上に形成されている第2配線構造20と、を含んでいる。
【0011】
なお、本実施形態の配線基板の説明においては、コア基板100から遠い側を、「上」、「上側」、「外側」、又は「外」と称し、コア基板100に近い側を、「下」、「下側」、「内側」、又は「内」と称する。また、各構成要素において、コア基板100と反対側を向く表面は「上面」とも称され、コア基板100側を向く表面は「下面」とも称される。
【0012】
図1の例では、コア基板100は、絶縁層(コア絶縁層)101と、コア絶縁層101の両面に形成された導体層(コア導体層)102と、を含んでいる。コア導体層102は、所定の導体パターンを有するようにパターニングされている。コア基板100のコア絶縁層101には、コア基板100における第1面100Fを構成する導体層102の導体パターンと、第2面100Sを構成する導体層102の導体パターンと、を接続するスルーホール導体103が形成されている。筒状のスルーホール導体103の内部は、例えば、エポキシ樹脂などの任意の樹脂を含む樹脂体104で充填されている。
【0013】
図1の例では、第1配線構造10は、コア基板100の第1面100F上に交互に積層されている絶縁層及び導体層を含んでいる。具体的には、第1配線構造10は、コア基板100の第1面100F側から順に、絶縁層111、導体層121、絶縁層112、導体層122、絶縁層113、導体層123、ソルダーレジスト層114が積層された多層配線構造を有している。絶縁層111、112、113はそれぞれビア導体13を含んでいる。第1配線構造10の導体層121、122、123のそれぞれは、ビア導体13によって接続されている。第1配線構造10の最外の導体層123、絶縁層113、及び、ソルダーレジスト層114の露出面によって、配線基板1の第1主面1Fが構成されている。
【0014】
図1の例では、第2配線構造20は、コア基板100の第2面100S上に交互に積層されている絶縁層及び導体層を含んでいる。具体的には、第2配線構造20は、コア基板100の第2面100S側から順に、絶縁層211、導体層221、絶縁層212、導体層222、絶縁層213、導体層223、ソルダーレジスト層214が積層された多層配線構造を有している。絶縁層211、212、213はそれぞれビア導体23を含んでいる。第2配線構造20の導体層221、222、223のそれぞれは、ビア導体23によって接続されている。第2配線構造20の最外の導体層223及びソルダーレジスト層214の露出面によって、配線基板1の第2主面1Sが構成されている。
【0015】
導体層121、122、123、221、222、223、102、ビア導体13、23、スルーホール導体103は、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成され、例えば、銅箔などの金属箔、及び/又は、めっきもしくはスパッタリングなどで形成される金属膜によって構成され得る。導体層121、122、123、221、222、223、102、ビア導体13、23、スルーホール導体103は、
図1では単層構造で示されているが、2つ以上の金属層を有する多層構造を有し得る。例えば、絶縁層101の表面上に形成されている導体層102は、金属箔(好ましくは銅箔)、無電解めっき膜(好ましくは無電解銅めっき膜)、及び電解めっき膜(好ましくは電解銅めっき膜)を含み得る。また、導体層121、122、123、221、222、223、ビア導体13、23、スルーホール導体103は、例えば、無電解めっき膜及び電解めっき膜を含み得る。
【0016】
第1配線構造10が有する各導体層121、122、123は、所定の導体パターンを有するようにパターニングされている。特に、第1配線構造10における最外の導体層123は、第1導体パッドP1を有している。第1導体パッドP1は、配線基板1が使用されるときに、配線基板1と接続され得る外部の要素(外部要素)E1の接続パッドE1pと電気的に接続され得る。また、
図1の例では、第2配線構造20における最外の導体層223は、第2導体パッドP2を有している。第2導体パッドP2は、外部要素E2の接続パッドE2pと接続され得る。
【0017】
第1導体パッドP1は、例えば、はんだなどの接合材によって外部要素E1の接続パッドE1pに電気的及び機械的に接続され得る。外部要素E1は、特に限定されることはないが、例えば、マザーボード、又は、配線基板1よりも大きいサイズを有する任意の電子部品であり得る。すなわち、この場合、第1面1Fは、外部要素E1に接続される接続面である。第2導体パッドP2もまた、例えば、はんだなどの接合材によって外部要素E2の接続パッドE2pに電気的及び機械的に接続され得る。外部要素E2は、特に限定されることはないが、半導体素子、又は、配線基板1よりも小さいサイズを有する任意の電子部品であり得る。すなわち、この場合、第2面1Sは、部品が実装される部品実装面である。
図1の例では、第1導体パッドP1は、第2導体パッドP2のいずれよりも大きい。外部要素E2よりも大きな外部要素E1と配線基板1とが、より大きな面積で強固に接続される場合がある。
【0018】
図1の例では、第1導体パッドP1は、平面視において重複する位置に配置されている複数のビア導体13を介して、コア導体層102の導体パターンと接続されている。ここで、「平面視」は、配線基板1の第1主面1F又は第2主面1Sに垂直な方向と平行な視線で、対象物を見ることを意味している。換言すれば、
図1の例では、平面視において重複する位置に配置されている複数のビア導体13は、所謂、スタックビア導体の形態を有している。この場合、導体層102、121、122、123の導体パターン同士が比較的短い経路で接続され得る。しかし、第1導体パッドP1は、平面視において異なる位置に配置されている複数のビア導体13を介して、コア導体層102の導体パターンと接続されていてもよい。また、
図1の例では、第2導体パッドP2は、ビア導体23を介して、コア導体層102の導体パターンと接続されている。
【0019】
図1においては図示を省略されているが、第1導体パッドP1及び第2導体パッドP2は、その表面に表面処理層を含み得る。第1導体パッドP1及び第2導体パッドP2の表面に形成され得る表面処理層は、それぞれ、例えば、第1導体パッドP1及び第2導体パッドP2の露出部分の防食処理及び/又は防錆処理によって形成される被膜である。表面処理層によって、導体パッドP1、P2のコア部分の腐食や酸化などが防がれ得る。表面処理層は、例えば、導体パッドP1、P2のコア部分とは異なる金属を含む金属被膜や、イミダゾール化合物などの有機物を含む有機被膜である。導体パッドP1、P2のコア部分が銅で形成されている場合、表面処理層は、ニッケル、パラジウム、銀、金、もしくはこれらの合金、又ははんだなどによって形成され得る。第1導体パッドP1の表面には、
図2に示されるように、表面処理層P11が形成され得る。
【0020】
配線基板1を構成する絶縁層101、111、112、113、211、212、213はそれぞれ、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成され得る。各絶縁層101、111、112、113、211、212、213は、ガラス繊維などの補強材(芯材)、及び/又は、シリカ、アルミナなどの無機フィラーを含み得る。ソルダーレジスト層114、214は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを用いて形成され得る。
【0021】
実施形態の配線基板1では、第1配線構造10におけるソルダーレジスト層114は、第1導体パッドP1を露出させる開口114aを有している。具体的には、開口114aは、第1導体パッドP1における絶縁層113と反対側を向く表面(上面)及び第1導体パッドP1の側面全体を露出させている。すなわち、第1導体パッドP1は、その上面及び側面の全体が開口114a内に露出している。他方、
図1の例では、第2配線構造20におけるソルダーレジスト層214は、第2導体パッドP2の周縁部を覆っており、開口214aは、第2導体パッドP2の周縁部以外の部分(上面の一部)のみを露出させている。しかし、第2配線構造20におけるソルダーレジスト層214の開口214aもまた、第1配線構造10におけるソルダーレジスト層114の開口114aと同様に、第2導体パッドP2における絶縁層213と反対側を向く表面(上面)及び第2導体パッドP2の側面全体を露出させてもよい。
【0022】
図2に示されるように、実施形態の配線基板1では、開口114aの内側面は、絶縁層113の近傍において、開口114aの内側から外側へ向かって開口114aを拡張させる方向に延在する部分を有している。具体的には、開口114aの内側面の絶縁層113との境界a1は、開口114aの内側面における開口114aの最も内側に位置する部分から、絶縁層113の表面(上面)に沿う方向において導体パッドP1から離間する方向に、離間距離D1だけ離間している。離間距離D1は、5μm以上、且つ、25μm以下である。
【0023】
開口114aの内側面における、絶縁層113との境界a1を含む部分(例えば、図示される、内側面の絶縁層113に近い側の部分114a1)は、第1部分114a1と称される。第1部分114a1は、例えば、上述の開口114aの内側から外側へ向かって開口114aを拡張させる方向に延在する部分である。開口114aの内側面における、第1部分114a1よりも絶縁層113から遠い部分(第1部分114a1の絶縁層113と反対側の部分)であって、開口114aの最も内側に位置する部分を含む部分(例えば、図示される、内側面における絶縁層113から遠い側の部分114a2)は、第2部分114a2と称される。
【0024】
ソルダーレジスト層114が第1導体パッドP1の上面及び側面を露出させる開口114aを有する場合、絶縁層113には、例えば、絶縁層113とソルダーレジスト層114との間の熱膨張率の相違や、第1導体パッドP1及びソルダーレジスト層114にかかる外力などによって応力が生じ得る。このような場合に、応力が、絶縁層113の表面上におけるソルダーレジスト層114の開口114aの内側面との接触点に集中する場合がある。集中する応力に耐え切れずに、絶縁層113の開口114aの内側面との接触点にクラックが生じる場合がある。実施形態の配線基板では、上述のように、絶縁層113との境界a1が、第2部分114a2における開口114aの最も内側に位置する部分から、第1導体パッドP1から離間する方向に所定の距離だけ離間している。換言すると、開口114aの内側面は、絶縁層113近傍の第1部分114a1において、開口が広がる方向に拡張している。この構成により、絶縁層113の表面上における、ソルダーレジスト層114の開口114aの内側面との接触部に集中し得る応力が緩和される場合がある。従って、絶縁層113におけるクラックの発生が抑制される場合がある。
【0025】
さらには、絶縁層113との境界a1の、第2部分114a2における開口114aの最も内側に位置する部分から、絶縁層113の上面に沿う方向において離間する距離D1が、5μm以上、且つ、25μm以下であることによって、ソルダーレジスト層114への応力集中も緩和され得る。すなわち、本実施形態の配線基板では、絶縁層113及び絶縁層113上のソルダーレジスト層114におけるクラックの発生が抑制され得る。
【0026】
絶縁層113との境界a1を含む内側面の第1部分114a1は、絶縁層113の開口114a内に露出する表面(開口114aの底面)に対して、第1角度θ1で接している。第1角度θ1は、具体的には、開口114aの内側において絶縁層113の上面と内側面とがなす角度である。また、内側面の第2部分114a2は、絶縁層113の上面となす角が第2角度θ2となる、開口114aの最も内側の部分を含んでいる。具体的には、図示の例では、絶縁層113の上面に対して第2角度θ2を有しているのは、開口114aの内側面のうち、開口114aの最も内側の部分である。この開口114aの最も内側の部分は、ソルダーレジスト層114の上面近傍において、ソルダーレジスト層114の厚さ方向に直線的に延在している。第1角度θ1は第2角度θ2よりも小さい。この構成により、上述された、絶縁層113及びソルダーレジスト層114に係る応力の緩和が効果的に実現され、絶縁層113、及び、ソルダーレジスト層114におけるクラックの発生が効果的に抑制され得る。
【0027】
第1角度θ1は、例えば、30°以上、75°以下の値を有し得る。また、例えば、第1角度θ1は、35°以上、70°以下であることがより好ましく、45°以上、70°以下であることがさらに好ましい。第2角度θ2は、例えば、略90°である。第2角度θ2が略90°である場合、配線基板1の第1導体パッドP1と外部要素E1の接続パッドE1p(
図1参照)との接続が容易になる場合があると考えられる。開口114aの内側面における、離間距離D1、第1角度θ1、及び、第2角度θ2は、後述されるように、例えば、ソルダーレジスト層114に開口114aを形成するフォトリソグラフィ工程における露光、現像の条件などによって調整され得る。
【0028】
なお、
図2の例では、第1導体パッドP1は、導体層123を導体層122(
図1参照)に接続するビア導体13に接続されている。換言すれば、
図2の例では、第1導体パッドP1は、所謂、ビアパッドである。第1導体パッドP1がビアパッドであることで、第1導体パッドP1に係り得る外力がビア導体13に分散され、これにより、絶縁層113におけるクラックの発生がさらに抑制されることがある。しかし、第1導体パッドP1は、導体層122とビア導体13を介して接続されていなくてもよく、第1導体パッドP1は、所謂独立パッドであってもよい。
【0029】
なお、
図3に示される例のように、第2部分114a2に含まれる、開口114aの最も内側の部分が絶縁層113の上面に対して有する第2角度θ2は、90°より小さい場合があり得る。
【0030】
また、絶縁層113に対して第1角度θ1で接する第1部分114aと、第2部分114a2における開口114aの最も内側の部分とは、
図2及び
図3に示されるように、曲面を介して接続され得る。この構成により、開口114aの内側面は、応力の集中によるクラックが比較的発生し難い構造を有することになり、よって、さらに信頼性の高い配線基板が提供される場合がある。
【0031】
実施形態の配線基板は、任意の一般的な配線基板の製造方法によって製造され得る。
図1及び
図4A~
図4Cなどを参照して、
図1及び
図2に示される配線基板1が製造される場合を例に、実施形態の配線基板の製造方法が説明される。なお、
図4A~
図4Cでは、
図2と同様に、
図1中の部分IIの範囲に対応する部分が、上下逆にして拡大図で示されている。
【0032】
先ず、
図1に示されるようなコア基板100が用意される。コア基板100の用意では、例えば、コア絶縁層101の表面に金属箔が設けられた両面銅張積層板が用意される。両面銅張積層板に貫通孔101hが例えばドリル加工によって形成され、貫通孔101hの内壁及び金属箔の上面に、例えば無電解めっき膜が形成され、この無電解めっき膜の上に、この無電解めっき膜を給電層として用いて電解めっき膜が形成される。貫通孔101hの内壁にスルーホール導体103が形成される。
【0033】
貫通孔101hの内壁に形成されるスルーホール導体103の内側は、例えばエポキシ樹脂を注入することによって、樹脂体104で充填される。充填された樹脂体104が固化された後、樹脂体104及び電解めっき膜の上面に、さらに無電解めっき膜及び電解めっき膜が形成される。この結果、金属箔、無電解めっき膜、電解めっき膜、無電解めっき膜、及び電解めっき膜の5層構造を有する導体層102が、絶縁層101の両面に形成される。そして、サブトラクティブ法によって導体層102をパターニングすることで、所定の導体パターンを備えたコア基板100が得られる。
【0034】
次いで、
図1に示されるように、コア基板100の第1面100F上に、複数の絶縁層111、導体層121、絶縁層112、導体層122、絶縁層113、及び、導体層123が交互に積層される。第2面100S上には、複数の絶縁層211、導体層221、絶縁層212、導体層222、絶縁層213、及び、導体層223が交互に積層される。例えば、コア基板100の第1面100F上にフィルム状の絶縁性樹脂を熱圧着することによって絶縁層111が形成され得る。例えば、コア基板100の第2面100S上にフィルム状の絶縁性樹脂を熱圧着することによって絶縁層211が形成され得る。
【0035】
導体層121、221は、それぞれ、セミアディティブ法などの任意の導体パターンの形成方法を用いて形成され得る。導体層121、221の形成と同時に、絶縁層111、211に例えばレーザー光によって形成され得る開口を充填するビア導体13、23が形成される。コア基板100の第1面100F側では、さらに、絶縁層111及び導体層121と同様の方法により、導体層121上に、絶縁層112、導体層122、絶縁層113が形成される。コア基板100の第2面100S側では、さらに、絶縁層211及び導体層221と同様の方法により、導体層221上に、絶縁層212、導体層222、絶縁層213が形成される。第1面100F側の最外の絶縁層113、及び、第2面100S側の最外の絶縁層213が積層された状態となる。
【0036】
次いで、コア基板100の第1面100F側では、最外の絶縁層113の表面上に、第1導体パッドP1を含む導体層(最外の導体層)123が形成される。また、コア基板100の第2面100S側では、最外の絶縁層213の表面上に、第2導体パッドP2を含む導体層(最外の導体層)223が形成される。
【0037】
次いで、絶縁層113及び導体層123の表面上に、感光性膜によりソルダーレジスト層114が形成される。絶縁層213及び導体層223の表面上に、感光性膜によりソルダーレジスト層214が形成される。ソルダーレジスト層114、214は、例えば感光性のエポキシ樹脂から構成され、スプレーコーティング、カーテンコーティング、又はラミネーションなどによって形成され得る。
図4Bに示されるように、絶縁層113及び導体層123上に形成されるソルダーレジスト層114によって第1導体パッドP1の上面及び側面が被覆された状態となる。
【0038】
次いで、ソルダーレジスト層114に、第1導体パッドP1を露出させる開口114aが形成される。ソルダーレジスト層214には、第2導体パッドP2を露出させる開口214aが形成される。
図4Cに示されるように、コア基板100の第1面100F側においては、ソルダーレジスト層114の上方に、開口114a(
図2参照)の形状に応じた所定のパターンを有するフィルム状のマスクMが配置され、マスクMを介して、ソルダーレジスト層114に露光光Lが照射される。
【0039】
ソルダーレジスト層114の露光では、露光光源により近い部分(ソルダーレジスト層114のうちの絶縁層113と反対側の部分)114Uと比較して、露光光源から遠い部分(ソルダーレジスト層114のうちの絶縁層113に近い部分)114Bは、露光による硬化が進行しにくい場合がある。この、ソルダーレジスト層114の部位による、露光における硬化の進行の相違によって、続く現像処理において、絶縁層113と反対側の部分114Uと比較して絶縁層113側の部分114Bを現像液によって多く除去させ得ることがある。露光の条件(例えば、露光光Lの強度、露光時間)、及び、現像における処理条件(例えば、現像液の濃度、現像処理温度)を適切に選択することで、絶縁層113側の部分114Bが比較的多く除去され得る。これにより、
図2又は
図3に示されるような形状を有する開口114aを備えたソルダーレジスト層114が形成され得る。
【0040】
なお、図示しないが、コア基板100の第2面100S側のソルダーレジスト層214における開口214aもまた、感光性膜の露光及び現像などの任意の一般的なの形成方法によって形成される。コア基板100の第2面100S側のソルダーレジスト層214がコア基板100の第1面100F側のソルダーレジスト層114と同様な形状を有する場合には、ソルダーレジスト層214は、上述のソルダーレジスト層114の形成方法と同様の方法によって形成され得る。
【0041】
第1導体パッドP1の表面及び側面には、表面処理層が形成され得る(表面処理層P11、
図4A参照)。例えば、スプレーイングによって耐熱性の有機物を塗布することにより、イミダゾール化合物などの有機物を含む有機被膜が形成され得る。又は、例えば、無電解めっきなどによって、ニッケル、パラジウム、金などの金属を析出させることにより金属被膜が形成され得る。第2導体パッドP2の表面及び側面にも同様に、表面処理層が形成され得る。
【0042】
以上の製造工程を経て、
図1に示される配線基板1が製造され得る。なお、ソルダーレジスト層114、214への開口114a、214aの形成においては、マスクが用いられず露光光Lが直接ソルダーレジスト層114、214に照射される場合もあり得る。
【0043】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。例えば、配線基板を構成する第1配線構造及び第2配線構造は任意の数の絶縁層及び導体層を有し得る。また、配線基板は、コア基板を有する態様に限定されず、コアレス基板であってよい。
【符号の説明】
【0044】
1 配線基板
100 コア基板
101 コア絶縁層
102 コア導体層
103 スルーホール導体
111~113 絶縁層
114 ソルダーレジスト層
114a 開口
114a1 第1部分
114a2 第2部分
121~123 導体層
13 ビア導体
a1 境界
P1 導体パッド(第1導体パッド)
θ1 第1角度
θ2 第2角度