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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025077405
(43)【公開日】2025-05-19
(54)【発明の名称】鞍乗型車両およびランプユニット
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/00 20200101AFI20250512BHJP
   B62J 6/022 20200101ALI20250512BHJP
【FI】
B62J45/00
B62J6/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189583
(22)【出願日】2023-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】牧原 稔
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハンドル操舵に拘らずに、ハンドルに取り付けられた付属品とコネクタ接続部品との相対位置関係を一定に保つことができる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両1は、車体フレーム10と、車体フレーム10に回動可能に取り付けられたハンドル2と、ハンドル2を支持して、車体フレーム10に対して回動可能に連結される連結ユニット3と、ハンドル2よりも前側に配置されて、外方に露出すると共に、連結ユニット3に取付けられた外殻部材4と、連結ユニット3に接続されて、外殻部材4の車幅方向内側に位置して、外部コネクタを着脱可能に接続するためのコネクタ接続部品5と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに回動可能に取り付けられたハンドルと、
前記ハンドルを支持して、前記車体フレームに対して回動可能に連結される連結ユニットと、
前記ハンドルよりも前側に配置されて、外方に露出すると共に、前記連結ユニットに取付けられた外殻部材と、
前記連結ユニットに接続されて、前記外殻部材の車幅方向内側に位置して、外部コネクタを着脱可能に接続するためのコネクタ接続部品と、
を備えた、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記コネクタ接続部品は、前記外殻部材によって車幅方向外側から覆われる
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記連結ユニットに接続されると共に、前記ハンドルよりも下方に位置するハンドル下部材に対して前方に対向する対向部材をさらに備え、
前記コネクタ接続部品は、前記対向部材の後面に接続される
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記コネクタ接続部品は、前記対向部材のうちで車幅方向一方側端部に配置される
請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記対向部材は、前記外殻部材の車幅方向内側に配置される電装部品ユニットで実現される
請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記対向部材は、前記外殻部材の車幅方向内側に配置されるランプユニットで実現される
請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記対向部材は、別体に設けられる前記外殻部材と接続するための固定部分を有し、
前記コネクタ接続部品は、前記固定部分を介して、前記外殻部材とともに前記対向部材に固定される
請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記コネクタ接続部品は、制振動部材を介して前記対向部材に取付けられている
請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記コネクタ接続部品は、前記外部コネクタを接続するための接続口を有し、
前記接続口は、下方に向かって開口している
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記コネクタ接続部品は、前記接続口を覆うための蓋部を備え、
前記蓋部は、車幅方向の内側にヒンジ部を備える
請求項9に記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記ハンドルの幅方向における他方側には、車体挙動を操作するための運転操作子が備えられている
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両のランプユニットであって、
ランプユニット本体と、
ランプユニット本体のうちで後方に露出する後面に、外部コネクタを着脱可能に接続するためのコネクタ接続部品と、
を備えた、ランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鞍乗型車両およびランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体フレームに対して固定されたカバー部材内に配置されて外部コネクタを接続する乗り物用コネクタユニット(コネクタ接続部品)を備えた、鞍乗型車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-185061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているカバー部材は、車体フレームに固定されている。このため、ハンドルに取付けられたアクセサリ部品と、外部コネクタとの相対位置が変化し得るため、ずれを考慮して、両者を接続するハーネスに余裕を持たせることを要し、長大化しやすい。
【0005】
本開示は、ハンドル周辺に取り付けられたアクセサリ部品のハーネス長大化を防ぐことができる鞍乗型車両およびランプユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車体フレームと、
前記車体フレームに回動可能に取り付けられたハンドルと、
前記ハンドルを支持して、前記車体フレームに対して回動可能に連結される連結ユニットと、
前記ハンドルよりも前側に配置されて、外方に露出すると共に、前記連結ユニットに取付けられた外殻部材と、
前記連結ユニットに接続されて、前記外殻部材の車幅方向内側に位置して、外部コネクタを着脱可能に接続するためのコネクタ接続部品と、
を備えた、鞍乗型車両を提供する。
【0007】
本開示の一態様によれば、コネクタ接続部品が連結ユニットに接続される。これによってコネクタ接続部品は、ハンドルの回動操作ともに、車体フレームに対して回動移動する。これによってハンドル操舵に拘らずに、ハンドルに取り付けられたアクセサリ部品とコネクタ接続部品との相対位置関係を一定に保つことができ、アクセサリ部品とコネクタ接続部品とにわたって延びるハーネスの長大化を抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る鞍乗型車両によれば、アクセサリ部品とコネクタ接続部品とにわたって延びるハーネスの長大化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る自動二輪車の前部を示す側面図。
図2】自動二輪車の前部を示す背面図。
図3図1の矢印IIIで示す部分における外殻部材を透過させた状態で表示した部分拡大図。
図4】外殻部材、ランプユニット、コネクタ接続部品を示す背面図。
図5】コネクタ接続部品の分解斜視図。
図6】透過させた外殻部材、ランプユニット、およびコネクタ接続部品のみを表示させた側面拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一実施形態に係る鞍乗型車両の一例としての自動二輪車1を図面に従って説明する。本明細書において、「前」、「後」、「左」および「右」は、車両に乗車して運転する運転者から見た前方向、後方向、左方向および右方向をいう。本実施形態では、左右方向を車幅方向と称することがある。鞍乗型車両は、自動二輪車の他、三輪車、四輪バギー、自転車等であってもよい。
【0011】
図1に示す自動二輪車1は、車体フレーム10と、車体フレーム10に回動可能に取り付けられたハンドル2と、ハンドル2を支持して車体フレーム10に対して回動可能に連結される連結ユニット3と、連結ユニット3に取付けられた外殻部材4と、外殻部材4の車幅方向内側に位置するコネクタ接続部品5とを有する。本実施形態では、外殻部材4は、例えば、自動二輪車のうちで車幅方向外側部品を構成するアッパカウルによって実現される。また本実施形態では、コネクタ接続部品5は、後付け部品であるアクセサリ部品のコネクタが着脱可能に接続されるための部品によって実現される。
【0012】
車体フレーム10は、前部に設けられたヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から後方に向かって延びる前フレーム12と、前フレーム12の後端に連結される後フレーム(図示せず)とを有する。ヘッドパイプ11は、略上下方向に延びており、操舵軸13が挿通されている(図2に示す)。本実施形態では、車体フレーム10は、車輪を回転可能に支持する。本実施形態では、車体フレーム10は、運転者が着座するシートや、車輪を回転駆動する駆動源となるエンジンを支持する。
【0013】
図2に示すように、操舵軸13は、ヘッドパイプ11に回動可能に支持されている。操舵軸13の上端部には、連結ユニット3の一つを構成するアッパブラケット31が取り付けられている。また操舵軸13の下端部には、連結ユニット3の他の一つを構成するロアブラケット32が取り付けられている。アッパブラケット31とロアブラケット32の左右の両側部には、一対のフロントフォーク7が取り付けられている。フロントフォーク7の下端部には、前輪Wが回転自在に支持されている。
【0014】
アッパブラケット31は、ハンドルホルダを介して車幅方向に延びるハンドル2を支持する。本実施形態では、バーハンドルがハンドル2として用いられる。バーハンドル2が操作されると、操舵軸13、連結ユニット3及びフロントフォーク7がヘッドパイプ11の軸線周りに回動する。この回動によって、前輪Wがヘッドパイプ11の軸線周りに回動して、自動二輪車1の走行方向を変えることができる。本実施形態では、連結ユニット3は、バーハンドルの他の部品も支持する。具体的には、連結ユニット3は、ハンドル2の前方に配置される計器盤、計器盤の前方に配置されるヘッドランプを支持する。本実施形態では、連結ユニット3は、計器盤の前方を覆う風防体、および、ヘッドランプのうちで光照射面を除く領域を覆うアッパカウルを支持する。
【0015】
アッパカウルは、ハンドル2よりも前側に配置されて、自動二輪車1の外方に露出すると共に、連結ユニット3に取付けられる外殻部材4に相当する。アッパカウル4は、ヘッドランプの車幅方向外側面を覆うとともに、ヘッドランプのアウタレンズを除いたヘッドランプの前面およびヘッドランプの上面を覆う。アッパカウル4は、樹脂材料によって実現されるとともに、前端から後方に進むにつれて左右方向外側に徐々に広がるとともに上下方向寸法が徐々に大きくなる流線型形状に形成される。またアッパカウル4は、ヘッドランプを覆うことで、美観を向上したり、ヘッドランプを保護したりすることができる。
【0016】
図1に示すように、バーハンドル2の後方に燃料タンク15が設けられ、燃料タンク15よりも下側の位置に動力源として、例えば、エンジン16が設けられる。動力源は、電動モータであってもよく、電動モータとエンジンとの両方が用いられてもよい。
【0017】
図2に示すように、バーハンドル2は、車幅方向外側に位置して、概ね車幅方向に延びる一対の棒状のグリップ部21と、グリップ部21をアッパブラケット31に接続するパイプ部材22とを有する。本実施形態では、一本のパイプ部材によって、一対のグリップ部21をアッパブラケット31に接続する。グリップ部21は、バーハンドル2の左側(幅方向における一方側)に位置する左側グリップ部21aと、バーハンドル2の右側(幅方向における他方側)に位置する右側グリップ部21bとを有する。右側グリップ部21bには、車体挙動を操作するための運転操作子21cが備えられている。本実施形態では、運転操作子21cは、スロットルグリップおよびブレーキレバーが相当する。パイプ部材22は、グリップ部21の左右方向内側で、ハンドルスイッチを支持する。
【0018】
パイプ部材22は、ハンドルスイッチよりも左右方向内側で、円筒状部分が露出する露出部分を有する。たとえば、運転者の趣向に応じて、パイプ部材22のうちの露出部分に、アクセサリ部品となる後付け部品が装着されることがある。アクセサリ部品の一例として、カメラ、ドライブレコーダ、無線装置、後付けスイッチ装置、ナビ―ゲーションモニタ、携帯情報端末などの電装部品が想定される。この場合、アクセサリ部品は、既存のクランプ装置を介して、パイプ部材22に接続される。
【0019】
図3は、アッパカウル4を透過させた状態で表示した側面部分拡大図である。図3に示すように、ハンドルの前方には、走行速度、燃料残量などの車両の状態を表示するための計器盤8が配置されている。計器盤8は、一般的なメータ表示装置を採用することができる。計器盤8の前方には、走行風を運転者からそらすための風防部材17が取り付けられている。本実施形態では、風防体17は、非透明、具体的には着色されることで、計器盤8の前面に位置する配線の露出を防ぐカバー部材として機能する。計器盤8は、例えば、アッパブラケット31に締結された支持部材83を介して連結ユニット3に支持されている。
【0020】
自動二輪車1は、バーハンドル2に対して前方でかつ下方に位置するハンドル下部材に対向する対向部材として、ヘッドランプユニット9を有する。本実施例では、ハンドル下部材は、フロントフォーク7、操舵軸13、アッパブラケット31、ロアブラケット32が相当する。ヘッドランプユニット9は、一般的なヘッドランプの構成を採用することができる。ヘッドランプユニット9は、光源を収容するケースに相当するハウジング93を有する。例えば、ハンドル下部材に対して、コネクタ接続部品5の少なくとも一部が隠れることで、コネクタ接続部品5の露出を抑えて保護性や美観を向上することができる。
【0021】
ハウジング部93の後端部には、ヘッドランプユニット9を連結ユニット3に固定するための連結ユニット固定部94と、アッパカウル4を固定するためのカウル固定部97と、コネクタ接続部品5を固定するためのコネクタ固定部98とを有する。
【0022】
図4に示すように、連結ユニット固定部94は、ハウジング部93の後端面のうちで、上下および左右に間隔をあけた4カ所にそれぞれ配置される。カウル固定部97は、連結ユニット固定部94の車幅方向外側に配置されて、上下及び左右に間隔をあけて複数配置される。
【0023】
コネクタ固定部98は、ハウジング部93の上端よりも下方に位置し、下端よりも上方に位置する。コネクタ固定部98は、ハウジング部93の上下方向中間位置よりも上方に位置する。コネクタ固定部98は、コネクタ固定部98の左右方向のいずれかの端部に位置する。これによってコネクタ接続部品5へのアクセサリ部品のコネクタを接続させやすくすることができる。例えば、図2に示すように、自動二輪車1が直進姿勢の状態で、コネクタ接続部品5の一部が、フロントフォーク7よりも左右方向外側に露出する部分が形成されてもよい。
【0024】
好ましくは、図4に示すように、コネクタ固定部98は、ハウジング部93に形成されるヘッドランプ9の光軸調整用の調整ネジ91位置よりも左右方向外側に配置される。これによって調整ネジ91へのアクセスの際に、コネクタ接続部品5との干渉を防ぐことができる。またコネクタ固定部98は、ハウジング部93に形成されるハーネス接続部92に対して、左右方向外側かつ上下方向にずれて配置される。これによってコネクタ接続部品5と、ヘッドランプ9に接続されるハーネスとの干渉を防ぐことができる。
【0025】
具体的には、コネクタ固定部98は、ハウジング部93の幅方向一方側、本実施形態における左側縁部の上側部分から幅方向外側に突出する第1側方固定部98aと、第1側方固定部98aよりも下側の部分から幅方向外側に突出する第2側方固定部98bとを有する。本実施形態において、第1側方固定部98aは、カウル固定部97の一つによって構成されている。第2側方固定部98bは、第1側方固定部98aよりも前方に配置されている。
【0026】
図3に示すように、アッパカウル4は、樹脂材料で形成されている。アッパカウル4は、バーハンドル2よりも前側に配置されている。より詳しくは、アッパカウル4は、自動二輪車1が直進状態となるフロントフォーク7よりも前側に配置されている部分を有する。アッパカウル4の左右方向外側の面は、自動二輪車1の外方に露出している。アッパカウル4は、ヘッドランプユニット9を介して連結ユニット3に取付けられている。アッパカウル4は、ヘッドランプユニット9に取付けられるための複数の取付片部45が設けられている。
【0027】
アッパカウル4は、ヘッドランプユニット9に対応した形状を有する。アッパカウル4は、ヘッドランプユニット9の前方を覆う前壁部41と、前壁部41の幅方向両縁から後方に向かって延びてヘッドランプユニット9の側方を覆う左右の側壁部42,42と、前壁部41の下縁部から後方に向かって延びてヘッドランプユニット9の下方を覆う下壁部43とを有する。したがって、ヘッドランプユニット9は、アッパカウル4の車幅方向内側に配置されている。ヘッドランプユニット9の後面9aの少なくとも一部は、後方に露出している。
【0028】
各側壁部42は、平面視において前壁部41の両縁から後方に向かって幅方向外側に位置するように傾斜している。側壁部42の後縁は、ヘッドランプユニット9のハウジング部93の後面から後方に離れた位置まで延びている。これによってハウジング部93の背面に配置されるコネクタ接続部品5をアッパカウル4で覆いやすくすることができ、美観と保護性を向上しやすい。また本実施形態では、側壁部42の後端は、直進状態でのフロントフォーク7の前端に対して、前方に間隔をあけて配置される。このようにしてアッパカウル4とフロントフォーク7との間に隙間を形成することで、コネクタ接続部品5へのアクセス性を高めやすい。側壁部42の上縁は、アッパブラケット31の上下高さ位置付近に位置している。側壁部42の下縁は、ロアブラケット32の上下高さ位置付近に位置している。
【0029】
図4を参照すると、コネクタ接続部品5は、外部コネクタを着脱可能に接続することができる。本実施形態では、コネクタ接続部品5は、USB端子形状に形成され、アクセサリ部品から延びるハーネス端子が接続可能に設けられる。コネクタ接続部品5は、アッパカウル4の車幅方向内側に配置されている。コネクタ接続部品5は、接続ブラケット55を介して、ヘッドランプユニット9の左側(車幅方向の一方側)の後面に設けられたコネクタ固定部(固定部分)98に固定されている。
【0030】
図5は、コネクタ接続部品5の分解斜視図である。図6は、透過させたアッパカウル4、ヘッドランプユニット9、およびコネクタ接続部品5のみを表示させた側面拡大図である。図5および図6を参照すると、本実施形態では、コネクタ接続部品5は、樹脂材料等で形成され、概ね四角柱状を有する。コネクタ接続部品5は、上面部51と下面部52と上面部51と下面部52とを接続する周壁部53とを有する。
【0031】
上面部51には、車両側のハーネス等が接続されるコネクタ51aが上方に向かって突設されている。下面部52には、外部コネクタを接続するための接続口52aが下方に向かって突設されると共に、開口している。
【0032】
周壁部53は、前側に位置する前面部53aと、前面部53aに対向する後面部53bと、幅方向外側に位置する外面部53cと、外面部53cに対向すると共に幅方向内側に位置する内面部53dとを有する。
【0033】
周壁部53の外周は、ゴム等の制振部材で形成された四角筒状のケーシング54によって囲まれている。ケーシング54は、周壁部53の形状に対応する。ケーシング54にコネクタ接続部品5が挿入されると、周壁部53にケーシング54が密着して固定されている。ケーシング54の上縁部54aからはコネクタ51aが突出し、下縁部54bからは接続口52aが突出している。
【0034】
ケーシング54は、内面部53dの外側に位置する面54cから幅方向内側に膨出すると共に前後方向に貫通する貫通穴54dを有する取付部54eを有する。ケーシング54は、接続口52aを下方から覆うための蓋部54fを有する。蓋部54fは、車幅方向の内側にヒンジ部54gを有する。
【0035】
コネクタ接続部品5は、ケーシング54の蓋部54fが閉じられた状態で、側面視において側壁部42によって大部分が覆われている。言い換えると、コネクタ接続部品5は、ケーシング54の蓋部54fが閉じられた状態で、側面視において、側壁部42によって少なくとも一部が覆われている。また言い換えると、コネクタ接続部品5は、側面視において、側壁部42によって接続口52aが覆われている。
【0036】
コネクタ接続部品5は、側壁部42の幅方向内側かつ後縁の近傍に位置している。より詳しくは、本実施形態において、コネクタ接続部品5の下端部を形成するケーシング54の蓋部54fの下面は、側壁部42の後縁よりも上方に位置し、コネクタ接続部品5の後端部を形成するケーシング54の後面部54iは、側壁部42の後縁よりも前方に位置している。後縁の近傍とは、例えば、側壁部42の後縁よりも前方の位置で後縁から100mm以下の領域、好ましくは20mm以下の領域である。
【0037】
図5および図6に示すように、接続ブラケット55は、ヘッドランプユニット9に固定される上側固定部55aおよび下側固定部55bと、上側固定部55aと下側固定部55bと接続する接続部55cと、上側固定部55aから後方に向かって延びるアーム部57とを有する。
【0038】
図6に示すように、上側固定部55aおよび下側固定部55bは、それぞれ、第1側方固定部98aおよび第2側方固定部98bに対応する位置に設けられている。上側固定部55aは、下側固定部55bよりも後方かつ幅方向外側に位置する。接続部55cは、側面視で逆L字状を有し、上側固定部55aから下方に向かって延びると共に下端部において前方かつ幅方向内側に延びて下側固定部55bに接続されている。上側固定部55aおよび下側固定部55bには、第1側方固定部98aおよび第2側方固定部98bの貫通穴に対応すると共に、前後方向に貫通する貫通孔がそれぞれ設けられている。
【0039】
上側固定部55aを第1側方固定部98aに対して後方から当接させた状態で、上側固定部55aの貫通孔に、後方からボルトを挿通し、第1側方固定部98aおよび取付片部45の貫通孔にボルトを挿通して、第1側方固定部98aの前方からナットが螺合される。上側固定部55aと取付片部45とは、第1側方固定部98aに共締めされている。下側固定部55bを第2側方固定部98bに対して前方から当接させた状態で、第2側方固定部98bの後方からボルトを挿通すると共に下側固定部55bの貫通穴に前方からナットが螺合されている。上側固定部55aと下側固定部55bによって、接続ブラケット55が、ヘッドランプユニット9に固定されている。
【0040】
図5に示すように、アーム部57は、上側固定部55aから後方に向かって下方に傾斜する傾斜部57aと、傾斜部57aの後端から後方に向かって延びてコネクタ接続部品5が取り付けられる後方延在部57bとを有する。後方延在部57bの前後方向の長さは、コネクタ接続部品5の前後方向の幅と概ね一致する。後方延在部57bの上下方向の高さは、取付部54eの貫通穴54dの高さと概ね一致する。後方延在部57bの上縁には、切欠き部57cが設けられている。
【0041】
アーム部57が貫通穴54dに挿通されることで、コネクタ接続部品5が接続ブラケット55に支持されている。コネクタ接続部品5は、ケーシング54を介して接続ブラケット55に支持されているので、コネクタ接続部品5を接続ブラケット55に剛体結合する場合に比べて、コネクタ接続部品5に対する車体からの振動の伝達を抑制できる。
【0042】
以上のように、ヘッドランプユニット9、アッパカウル4、および、コネクタ接続部品5は、ブラケット等を介してアッパブラケット31およびロアブラケット32に固定されているので、バーハンドル2の回動に伴って、ヘッドパイプ11の軸線回りに回動する。
【0043】
本実施形態に係る鞍乗型車両1およびヘッドランプユニット9によれば、次の効果を奏する。
【0044】
本開示の一態様に係る鞍乗型車両1は、車体フレーム10と、
車体フレーム10に回動可能に取り付けられたバーハンドル2と、
バーハンドル2を支持して、車体フレーム10に対して回動可能に連結される連結ユニット3と、
バーハンドル2よりも前側に配置されて、外方に露出すると共に、連結ユニット3に取付けられた外殻部材4と、
連結ユニット3に接続されて、外殻部材4の車幅方向内側に位置して、外部コネクタを着脱可能に接続するためのコネクタ接続部品5と、
を備える。
【0045】
本開示の一態様によれば、コネクタ接続部品5が連結ユニット3に接続される。これによってコネクタ接続部品5は、バーハンドル2の回動操作ともに、車体フレーム10に対して回動移動する。これによってハンドル操舵に拘らずに、バーハンドル2に取り付けられた付属品とコネクタ接続部品5との相対位置関係を一定に保つことができ、付属品とコネクタ接続部品5とにわたって延びるハーネス等の長さが過剰となることを防ぐことができる。
【0046】
コネクタ接続部品5は、外殻部材4によって車幅方向外側から覆われている。
【0047】
本構成によれば、コネクタ接続部品5が車幅方向外側に露出することを防ぐことができ、コネクタ接続部品5の保護効果を高めることができる。またコネクタ接続部品5の外方への露出を抑えることで、美観低下を抑えることができる。
【0048】
連結ユニット3に接続されると共に、バーハンドル2よりも下方に位置するハンドル下部材(フロントフォーク7、操舵軸13、アッパブラケット31、ロアブラケット32)に対して前方に対向する対向部材9をさらに備え、
コネクタ接続部品5は、対向部材9の後面に接続される。
【0049】
本構成によれば、コネクタ接続部品5がバーハンドル2に対向する後面に配置されることで、バーハンドル2と近い位置にコネクタ接続部品5を配置でき、付属品とコネクタ接続部品5とにわたって延びるハーネス等の長さが過剰となることを防ぐことができる。
【0050】
コネクタ接続部品5は、対向部材9のうちで車幅方向一方側(左側)端部に配置される。
【0051】
本構成によれば、作業者が車幅方向一方側(左側)から近づいて、ハーネスをコネクタ接続部品5に着脱する場合に、コネクタ接続部品5が車幅方向内側に位置する場合に比べて、作業者に近い位置で着脱作業を行うことができ、着脱作業の容易化を実現できる。
【0052】
対向部材は、外殻部材4の車幅方向内側に配置されるヘッドランプユニット9で実現される。
【0053】
本構成によれば、ヘッドランプユニット9は、バーハンドル2前方に配置される電装部品のうちで車幅方向に大きく、コネクタ接続部品5を接続するための接続面や支持構造を実現しやすい。
【0054】
対向部材9は、別体に設けられる外殻部材4と接続するための固定部分97を有し、
コネクタ接続部品5は、固定部分97を介して、外殻部材4とともに対向部材9に固定される。
【0055】
本構成によれば、例えば、コネクタ接続部品5を取り付けるための専用の固定部分を別途設ける必要がなく、汎用性を向上しやすい。
【0056】
コネクタ接続部品5は、制振部材で形成されたケーシング54を介して対向部材9に取付けられている。
【0057】
本構成によれば、コネクタ接続部品5が対向部材9に固定された接続ブラケット55に対して制振部材で形成されたケーシング54を介して取り付けられているので、例えば、精密機器で構成されるコネクタ接続部品に、自動二輪車1の振動が伝達されることを抑制できる。
【0058】
コネクタ接続部品5は、外部コネクタを接続するための接続口52aを有し、
接続口52aは、下方に向かって開口している。
【0059】
本構成によれば、接続口52aが下方に向かって開口しているので、接続口52aに雨等が侵入しにくく、防水性を向上させることができる。
【0060】
コネクタ接続部品5は、接続口52aを覆うための蓋部54fを備え、
蓋部54fは、車幅方向の内側にヒンジ部54gを備える。
【0061】
本構成によれば、蓋部54fは、車幅方向の内側にヒンジ部54gを備えるので、ヒンジ部54gが幅方向の外側に位置する場合に比べて、車幅方向の外側から近づく作業者に対して、蓋部54fが邪魔することを防いで接続口52aにアクセスしやすい。
【0062】
バーハンドル2の幅方向における他方側(右側)には、車体挙動を操作するための運転操作子21cが備えられている。
【0063】
本構成によれば、運転操作子21cから延びる配線とコネクタ接続部品5が干渉することを防止できる。
【0064】
本実施形態では、対向部材がヘッドランプユニット9で構成される例について説明したが、これに限られるものではなく、対向部材9は、外殻部材4の車幅方向内側に配置される電装部品ユニットとして、計器盤8、車体制御装置で実現されてもよい。
【0065】
本構成によれば、電装部品ユニットにコネクタ接続部品5が接続されることで、電装部品ユニットに向けて導かれる電源ケーブルから分岐させてコネクタ接続部品5まで配線を延ばすことができ、コネクタ接続部品5の配線を簡易化や短縮化を実現しやすい。
【0066】
対向部材は、バーハンドル2の下方でかつ前方に配置されていればよく、例えば、アッパカウルやロアカウルであってもよい。
【0067】
本実施形態では、第1側方固定部98aが、複数のうち1つのカウル固定部97によって構成され、上側固定部55aと取付片部45とは、第1側方固定部98aに共締めされている構成について説明したが、これに限られるものではなく、第1側方固定部98aがカウル固定部97と別体で形成されていてもよい。
【0068】
ハンドル下部材に対向する位置にコネクタ接続部品5が配置されることで、運転者からコネクタ接続部品5を隠すことができ、美観を向上させやすい。コネクタ接続部品5が、アッパブラケット31とロアブラケット32との間に配置されることで、各ブラケットで、コネクタ接続部品5を隠すことができ、美観を向上させやすい。メインハーネスが通過する側にコネクタ接続部品5を配置することで、メインハーネスからの電源共有を受けやすく、ハーネス長さを短くしやすい。ハウジング部93のうちで、上下方向中心より上方にコネクタ接続部品5を配置することで、前輪Wから跳ね上げた雨水がコネクタ接続部品5に達することを防ぎやすい。上面視から見ても、アッパカウル4で隠れる位置にコネクタ接続部品5を配置することで、更に美観と保護性を向上させやすい。接続口52aが車幅方向外側に向くことで、接続口52aが鉛直方向に向くよりも車幅方向外側から挿入させやすい。
【0069】
なお、本開示の鞍乗型車両およびランプユニットは、上述の実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0070】
本実施形態では、左右のグリップ21が一本のパイプ22で接続されるバーハンドル2が用いられたが、これに限られない。たとえば左右のグリップ21に接続されるパイプが左右独立して、アッパブラケット31に接続されるセパレートハンドルが用いられてもよい。この場合、グリップ21とアッパブラケット31とを接続するステー部材に、アクセサリが取り付けられてもよい。
【0071】
本実施形態では、ランプユニット9の後面にコネクタ接続部品5が接続されたがこれに限らない。コネクタ接続部品5が、連結ユニット31に直接または間接的に接続されて、ハンドル2よりも前方で、外殻部材4の車幅方向内側に位置していればよい。たとえばコネクタ接続部品5は、アッパカウル4または風防体17の車幅方向内側部分に固定されてもよい。またコネクタ接続部品5が、連結ユニッ3トとランプユニット9とを接続する接続材に固定されてもよい。またコネクタ接続部品5が、アッパブラケット31、ロアブラケット32またはフロントフォーク7に固定されてもよい。
【0072】
本実施形態では、車体の車幅方向外側に露出する外殻部材4としてアッパカウルが想定されたが、アッパカウルが設けられない車両であってもよい。この場合、ヘッドランプが車幅方外側に位置する場合には、ヘッドランプの車幅方向外側部分が、外殻部材として想定される。
【0073】
本実施形態では、ブラケット55を介して、ハウジング部93にコネクタ接続部品5が接続されたが、ブラケット55を省略して、ハウジング部93にコネクタ接続部品5が直接接続されてもよい。コネクタ接続部品5は、ハウジング部93の車幅方向他方側(右側)の後面に接続されもよく、ハウジング部93の上下方向中心に対して、上方または下方に配置されてもよい。また、コネクタ接続部品5は、外殻部材4によって車幅方向外側から少なくとも一部が覆われればよく、完全に覆われていない場合であってもよい。コネクタ接続部品5は、接続口52aが上方を向くように形成されてもよい。これによってハンドル2に接続されたアクセサリ部品を接続するハーネスをさらに短くすることができる。
【0074】
本実施形態では、アッパカウル4の後端は、フロントフォーク7の後端よりも前方に位置するとしたが、フロントフォーク7の後端よりも後方まで延びてもよい。この場合、より確実にコネクタ接続部品5を覆うことができ、美観と保護性をさらに向上することができる。
【0075】
コネクタ接続部品5は、アクセサリ部品へ電力を供給するためのコネクタであってもよい。コネクタ接続部品5は、USBコネクタや直流電源ソケットであってもよい。そのほか車両の制御装置から供給される信号をアクセサリ部品へ伝達するためのコネクタであってもよい。コネクタ接続部品5の係合構造についても、適宜選択可能であり、凹凸形状については適宜選択することができる。
【0076】
[付記]本開示は以下の態様を包含する。
【0077】
[態様1]
車体フレームと、
前記車体フレームに回動可能に取り付けられたハンドルと、
前記ハンドルを支持して、前記車体フレームに対して回動可能に連結される連結ユニットと、
前記ハンドルよりも前側に配置されて、外方に露出すると共に、前記連結ユニットに取付けられた外殻部材と、
前記連結ユニットに接続されて、前記外殻部材の車幅方向内側に位置して、外部コネクタを着脱可能に接続するためのコネクタ接続部品と、
を備えた、鞍乗型車両。
【0078】
[態様2]
前記コネクタ接続部品は、前記外殻部材によって車幅方向外側から覆われる
態様1に記載の鞍乗型車両。
【0079】
[態様3]
前記連結ユニットに接続されると共に、前記ハンドルよりも下方に位置するハンドル下部材に対して前方に対向する対向部材をさらに備え、
前記コネクタ接続部品は、前記対向部材の後面に接続される
態様1又は2に記載の鞍乗型車両。
【0080】
[態様4]
前記コネクタ接続部品は、前記対向部材のうちで車幅方向一方側端部に配置される
態様3に記載の鞍乗型車両。
【0081】
[態様5]
前記対向部材は、前記外殻部材の車幅方向内側に配置される電装部品ユニットで実現される
態様3又は4に記載の鞍乗型車両。
【0082】
[態様6]
前記対向部材は、前記外殻部材の車幅方向内側に配置されるヘッドランプユニットで実現される
態様3~5のいずれか1つに記載の鞍乗型車両。
【0083】
[態様7]
前記対向部材は、別体に設けられる前記外殻部材と接続するための固定部分を有し、
前記コネクタ接続部品は、前記固定部分を介して、前記外殻部材とともに前記対向部材に固定される
態様3~6のいずれか1つに記載の鞍乗型車両。
【0084】
[態様8]
前記コネクタ接続部品は、制振部材を介して前記対向部材に取付けられている
態様3~6のいずれか1つに記載の鞍乗型車両。
【0085】
[態様9]
前記コネクタ接続部品は、前記外部コネクタを接続するための接続口を有し、
前記接続口は、下方に向かって開口している
態様1~8のいずれか1つに記載の鞍乗型車両。
【0086】
[態様10]
前記コネクタ接続部品は、前記接続口を覆うための蓋部を備え、
前記蓋部は、車幅方向の内側にヒンジ部を備える
態様9に記載の鞍乗型車両。
【0087】
[態様11]
前記ハンドルの幅方向における他方側には、車体挙動を操作するための運転操作子が備えられている
態様1~10のいずれか1つに記載の鞍乗型車両。
【0088】
[態様12]
態様1~11のいずれか1つに記載の鞍乗型車両のランプユニットであって、
ランプユニット本体と、
ランプユニット本体のうちで後方に露出する後面に、外部コネクタを着脱可能に接続するためのコネクタ接続部品と、
を備えた、ランプユニット。
【符号の説明】
【0089】
1 鞍乗型車両
2 バーハンドル(ハンドル)
3 連結ユニット
4 外殻部材
5 コネクタ接続部品
7 フロントフォーク(ハンドル下部材)
9 ヘッドランプユニット(対向部材)
9a 後面
10 車体フレーム
13 操舵軸(ハンドル下部材)
21c 運転操作子
31 アッパブラケット(ハンドル下部材)
32 ロアブラケット(ハンドル下部材)
52a 接続口
54 ケーシング(制振部材)
54f 蓋部
54g ヒンジ部
97 カウル固定部(固定部分)
98a 第1側方固定部(固定部分)
図1
図2
図3
図4
図5
図6