(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025077406
(43)【公開日】2025-05-19
(54)【発明の名称】ヘッドランプユニット及び鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 6/022 20200101AFI20250512BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20250512BHJP
F21S 41/32 20180101ALI20250512BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20250512BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20250512BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250512BHJP
【FI】
B62J6/022
B62J23/00 A
F21S41/32
F21S41/20
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189585
(22)【出願日】2023-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】太田 匡哉
(72)【発明者】
【氏名】原田 洋幸
(72)【発明者】
【氏名】榑林 徹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型化されたアウタレンズを有するヘッドランプユニット及びそのようなヘッドランプユニットを備えた鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】ヘッドランプユニットは、左右に並んで間隔をあけて配置されており、ロービームを前方に透過させる、2つのロービームアウタレンズ部と、左側に配置されているロービームアウタレンズ部の左端に対して右側、且つ右側に配置されているロービームアウタレンズ部の右端に対して左側に配置されており、2つのロービームアウタレンズ部に対して上方又は下方に間隔をあけて配置されており、ハイビームを前方に透過させる、1つのハイビームアウタレンズ部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に並んで間隔をあけて配置されており、ロービームを前方に透過させる、2つのロービームアウタレンズ部と、
左側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の左端に対して右側、且つ右側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の右端に対して左側に配置されており、2つの前記ロービームアウタレンズ部に対して上方又は下方に間隔をあけて配置されており、ハイビームを前方に透過させる、1つのハイビームアウタレンズ部と
を備える、ヘッドランプユニット。
【請求項2】
前記ハイビームアウタレンズ部は、前記ロービームアウタレンズ部に対して下方、且つ前記ロービームアウタレンズ部の前端に対して後方に配置されている、
請求項1に記載のヘッドランプユニット。
【請求項3】
前記ハイビームアウタレンズ部は、下方に向かって後方に傾斜している、
請求項2に記載のヘッドランプユニット。
【請求項4】
前記ヘッドランプユニットは、
ハイビーム用の光を照射するハイビーム用光源と、
前記ハイビーム用光源から照射される前記ハイビーム用の光を前方に反射し、正面視において前記ハイビームアウタレンズ部と対応する位置に配置される、ハイビームリフレクタと
をさらに備えており、
前記ハイビームリフレクタは、
前記ハイビーム用の光を前方に向けて反射するハイビーム反射面と、
前記ハイビーム反射面の反射率より低い反射率である非反射面と
を有する、
請求項1又は2に記載のヘッドランプユニット。
【請求項5】
前記ハイビームアウタレンズ部は、前記ロービームアウタレンズ部に対して下方に配置されており、
前記ハイビーム用光源は、前記ハイビームリフレクタの上部に配置されている、
請求項4に記載のヘッドランプユニット。
【請求項6】
前記ハイビームアウタレンズ部は、前記ロービームアウタレンズ部の前端に対して後方に配置されており、
前記ハイビーム反射面は、前記ハイビーム用光源に下方から対向しており、
前記非反射面は、前記ハイビーム反射面を除く面のうち、少なくとも前記ハイビーム反射面の上方に形成されている、
請求項5に記載のヘッドランプユニット。
【請求項7】
前記ヘッドランプユニットは、
ハイビーム用の光を照射するハイビーム用光源と、
前記ハイビーム用光源から照射される前記ハイビーム用の光を前方に反射し、正面視において前記ハイビームアウタレンズ部と対応する位置に配置される、ハイビームリフレクタと、
ロービーム用の光を照射する2つのロービーム用光源と、
2つの前記ロービーム用光源から照射される前記ロービーム用の光を前方に反射し、正面視において2つの前記ロービームアウタレンズ部と対応する位置に配置される、2つのロービームリフレクタと
をさらに備えており、
前記ハイビーム用光源は、左側に配置されている前記ロービームリフレクタの左端に対して右側、且つ右側に配置されている前記ロービームリフレクタの右端に対して左側に配置されており、上下方向において2つの前記ロービームリフレクタと前記ハイビームリフレクタとの間に配置されている、
請求項1又は2に記載のヘッドランプユニット。
【請求項8】
前記ヘッドランプユニットは、
2つの前記ロービームアウタレンズ部と前記ハイビームアウタレンズ部とを有するアウタレンズと、
前記アウタレンズが取り付けられるヘッドランプと、
前記ヘッドランプを覆うアッパカウルと
をさらに備えており、
前記ハイビームアウタレンズ部は、前記ロービームアウタレンズ部に対して下方に配置されており、
前記アッパカウルは、上面視において前記ハイビームアウタレンズ部を覆う、
請求項1に記載のヘッドランプユニット。
【請求項9】
前記ヘッドランプユニットは、
2つの前記ロービームアウタレンズ部と前記ハイビームアウタレンズ部とを有するアウタレンズと、
前記アウタレンズが取り付けられるヘッドランプと、
前記ヘッドランプを覆うアッパカウルと
をさらに備えており、
前記アッパカウルは、側面視において前記ハイビームアウタレンズ部を覆う、
請求項1又は8に記載のヘッドランプユニット。
【請求項10】
左右に並んで間隔をあけて配置されており、ロービームを前方に透過させる、2つのロービームアウタレンズ部と、
左側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の左端に対して右側、且つ右側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の右端に対して左側に配置されており、2つの前記ロービームアウタレンズ部に対して上方又は下方に間隔をあけて配置されており、ハイビームを前方に透過させる、1つのハイビームアウタレンズ部と
を備える、ヘッドランプユニットを備える、
鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドランプユニット及び鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハイビーム及びロービームを点灯するアウタレンズが設けられた鞍乗型車両用ヘッドランプユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のヘッドランプユニットでは、1つのアウタレンズにハイビーム及びロービームを照射するための光源が含まれているため、アウタレンズのサイズが大きくなる。
【0005】
小型化されたアウタレンズを有するヘッドランプユニット及びそのようなヘッドランプユニットを備えた鞍乗型車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
左右に並んで間隔をあけて配置されており、ロービームを前方に透過させる、2つのロービームアウタレンズ部と、
左側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の左端に対して右側、且つ右側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の右端に対して左側に配置されており、2つの前記ロービームアウタレンズ部に対して上方又は下方に間隔をあけて配置されており、ハイビームを前方に透過させる、1つのハイビームアウタレンズ部と
を備える、ヘッドランプユニットを提供する。
【0007】
本開示に係るヘッドランプユニットによれば、1つのハイビームアウタレンズ部が、左右方向において左右のロービームアウタレンズ部の間に配置され、ロービームアウタレンズ部に対して上方又は下方に間隔をあけて配置されており、ロービーム用のレンズ部とハイビーム用のレンズ部とが異なっている。このため、1つのレンズ部にハイビーム及びロービームを照射するためのそれぞれの光源を収容する必要がないので、各アウタレンズ部のサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るヘッドランプユニットを備えた鞍乗型車両の前部側面図である。
【
図2】本実施形態に係るヘッドランプユニットの正面図である。
【
図3】本実施形態に係るヘッドランプユニットの斜視図である。
【
図4】本実施形態に係るヘッドランプの分解正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化して描かれている場合がある。
【0010】
図1は、本実施形態に係るヘッドランプユニット1を備えた鞍乗型車両100の前部側面図である。本明細書において、「前」、「後」、「左」及び「右」は、鞍乗型車両100に乗車して運転する運転者から見た前方向、後方向、左方向および右方向をいう。また、鞍乗型車両100の高さ方向を上下方向とする。例えば左右方向は、鞍乗型車両100の車幅方向に相当する。
【0011】
本実施形態のヘッドランプユニット1は、鞍乗型車両100の前方を照らすためのランプユニットであり、鞍乗型車両100の前側に取り付けられている。また、鞍乗型車両100には、ヘッドランプユニット1の後方において、鞍乗型車両100の駆動輪を回転駆動させる駆動源となるエンジンと、エンジンを支持する車体フレームとが設けられている。エンジンは、ヘッドランプユニット1の後方において、発熱したエンジンを冷媒で冷却するラジエータ102を備える。鞍乗型車両100にはさらに、ラジエータ102に走行風を導くためのシュラウドが設けられている。
【0012】
本実施形態のヘッドランプユニット1は、フロントフォークを支持するブラケットに支持されている。ヘッドランプユニット1は、ハンドル操舵に伴ってフロントフォークとともに車体フレームに対して角度変位する。本実施形態のヘッドランプユニット1は、車体フレームに固定される場合に比べて、フロントフォークに近づけて配置できる。これによってヘッドランプユニット1の前後方向寸法を小型化して軽量化することができる。ヘッドランプユニットの形状は、小さい方が好ましい場合がある。また、本実施形態のヘッドランプユニット1の前端は、前輪に対して後方に位置している。
【0013】
ヘッドランプユニット1の上下方向の寸法は、前端から後方に向かって徐々に増加している。また、ヘッドランプユニット1の左右方向の寸法は、前端から後方に向かって徐々に増加している(
図3参照)。
【0014】
図2は、ヘッドランプユニット1の正面図である。ヘッドランプユニット1は、ヘッドランプ2とヘッドランプ2を覆うアッパカウル3とを備えている。ヘッドランプ2には、前方に光を透過させるアウタレンズ12が取り付けられている。アウタレンズ12の材料は、透光性を有する材料、具体的には透明樹脂である。アッパカウル3は、非透明であり、ヘッドランプ2のうちアウタレンズ12を除く領域を覆っている。
【0015】
アウタレンズ12は、3つの部分を有する。具体的にはアウタレンズ12は、ロービームを前方に透過させる2つのロービームアウタレンズ部12aと、ハイビームを前方に透過させる1つのハイビームアウタレンズ部12bとを有している。それぞれのロービームアウタレンズ部12aとハイビームアウタレンズ部12bは、それぞれ別体に形成されおり、互いに間隔をあけて配置されている。
【0016】
ロービームとは、すれ違い用前照灯であり、例えば夜間に前方40mの距離にある交通上の障害物を確認できるように、車両前方に照射される光である。ハイビームとは、走行用前照灯であり、例えば夜間に前方100mの距離にある交通上の障害物を確認できるように、車両前方に照射される光である。このようにハイビームは、ロービームに比べて遠くの障害物を確認できるように照射方向が設定されている。走行時において、ロービームは常時点灯しており、ハイビームは、運転者の操作によって適宜点灯される。
【0017】
2つのロービームアウタレンズ部12aは、左右にそれぞれ並んでおり、左右方向に間隔をあけて、ヘッドランプ2の左右中心C1(ヘッドランプ2を構成する前ハウジング10の左端と右端との中点を通る中心線)に対して左右対称に配置されている。2つのロービームアウタレンズ部12aは、ヘッドランプ2の上下中心C2(前ハウジング10の上端と下端との中点を通る中心線)を通って配置されている。言い換えると、ロービームアウタレンズ部12aの上縁12a1、12a2と下縁12a4との間に、ヘッドランプの上下中心C2が位置している。正面視において、ロービームアウタレンズ部12aは、左右方向内側から外側に向かって上方に傾斜する第1上縁12a1を有している。ロービームアウタレンズ部12aの下縁12a4はまた、左右方向内側から外側に向かって上方に傾斜している。
【0018】
ハイビームアウタレンズ部12bは、2つのロービームアウタレンズ部12aの左右方向の間に位置する。ハイビームアウタレンズ部12bは、ヘッドランプ2の左右中心C1に対して左右対称に配置されている。具体的には、ハイビームアウタレンズ部12bは、左側に配置されているロービームアウタレンズ部12aの左端に対して右側、且つ右側に配置されているロービームアウタレンズ部12aの右端に対して左側に配置されており、2つのロービームアウタレンズ部12aの下端に対して下方に間隔をあけて配置されている。
【0019】
より具体的には、ハイビームアウタレンズ部12bの上縁12b1は、左側に配置されているロービームアウタレンズ部12aの下縁12a4の右端に対して右側、且つ右側に配置されているロービームアウタレンズ部12aの下縁12a4の左端に対して左側に位置している。さらにハイビームアウタレンズ部12bの上縁12b1は、2つのロービームアウタレンズ部12aの下縁12a4に対して下方に位置している。
【0020】
またハイビームアウタレンズ部12bの左右方向の外側端は、ロービームアウタレンズ部12aの左右方向の内側端に対して左右方向の外側に位置している。すなわち、上面視において、ハイビームアウタレンズ部12bは、2つのロービームアウタレンズ部12aと左右方向に重複する部分を有している。正面視において、ハイビームアウタレンズ部12bの上縁12b1と下縁12b4とは、左右方向に平行に延びている。
【0021】
ロービームアウタレンズ部12aは、正面視において、略五角形であり、ヘッドランプの左右中心C1側の第1上縁12a1と、左右中心C1と反対側の第2上縁12a2と、左右中心C1と反対側の第1側縁12a3と、下縁12a4と、左右中心C1側の第2側縁12a5とによって五角形が形成されている。
【0022】
第2側縁12a5は、左右方向外側から内側に向かって上方に傾斜している。このため、第1上縁12a1と第2側縁12a5との間の角度は、鋭角である。従って、左右方向外側における上下方向の寸法(第1上縁12a1と下縁12a4との間の上下方向の距離)は、ロービームアウタレンズ部12aの左右方向内側における上下方向の寸法(第1上縁12a1と第2側縁12a5との間の上下方向の距離)より大きい。またロービームアウタレンズ部12aには、ハイビームアウタレンズ部12bに対して左右方向外側に配置される領域が形成されており、その領域の上下方向の寸法は、ハイビームアウタレンズ部12bの上下方向の寸法より大きい。これにより、ロービームアウタレンズ部12aは、ハイビームアウタレンズ部12bに比べて、左右方向外側に向けて光を照射しやすくすることができる。
【0023】
ハイビームアウタレンズ部12bは、正面視において、略六角形であり、上縁12b1と、2つの上部側縁12b2と、2つの下部側縁12b3と、下縁12b4とによって六角形が形成されている。また、上縁12b1の中点と下縁12b4の中点とが左右中心C1に位置しており、ハイビームアウタレンズ部12bの中心位置は、左右中心C1と一致している。このようにハイビームアウタレンズ部12bが左右中心C1寄りに配置されるので、ロービームアウタレンズ部12aに比べて、走行方向前方の比較的離れた領域に向けて光を照射しやすい。
【0024】
ハイビームアウタレンズ部12bの上部側縁12b2は、左右方向外側に向かって下方に傾斜しており、その傾斜方向は、ロービームアウタレンズ部12aの第2側縁12a5の傾斜方向と同じである。これらの側縁12b2,12a5が同じ方向に傾斜することで、それぞれの側縁12b2,12a5間における傾斜方向に沿った間隔を確保しやすくでき、ロービームアウタレンズ部12aとハイビームアウタレンズ部12bとの間にアッパカウル3を配置しやすくできる。
【0025】
正面視において、ハイビームアウタレンズ部12bの面積は、それぞれのロービームアウタレンズ部12aの面積より小さい。
【0026】
図1において、ハイビームアウタレンズ部12bの前端は、ロービームアウタレンズ部12aの前端に対して後方に配置されている。また、ハイビームアウタレンズ部12bは、前端から後方に向かって下方に傾斜しており、いわゆる逆スラント形状を形成している。このため、鞍乗型車両100の走行時における走行風は、ハイビームアウタレンズ部12bに衝突すると、ハイビームアウタレンズ部12bの傾斜に沿って後方且つ下方に案内される。この場合、走行風は、ヘッドランプユニット1の後方且つ下方に位置するラジエータ102に向けて案内される。これにより、走行風をラジエータ102に積極的に導くことができる。
【0027】
ロービームアウタレンズ部12aも、前端から後方に向かって下方に傾斜しており、いわゆる逆スラント形状を形成している。これにより、ロービームアウタレンズ部12aを目立ちにくくすることができる。また鞍乗型車両100の走行時における走行風は、ロービームアウタレンズ部12aに衝突すると、ロービームアウタレンズ部12aの傾斜に沿って下方且つ左右方向外方に案内される。このため、走行風は、ヘッドランプユニット1の上方に向かうことが防がれる。従って、ヘッドランプ上面に沿って運転者に向かう走行風の流れを抑えることができる。
【0028】
図3は、ヘッドランプユニット1を斜め上から見た図である。
図3において、ロービームアウタレンズ部12aは、左右方向内側端から左右方向外側に向かって後方に傾斜している。ヘッドランプ2及びアッパカウル3も同様に左右方向内側から左右方向外側に向かって後方に傾斜している。またヘッドランプ2及びアッパカウル3は、上面が前端から後方に向かって上方に傾斜している。これにより、鞍乗型車両100としてのヘッドランプユニット1の形状を、走行風を後方に案内する流線形状に近づけることができる。
【0029】
ロービームアウタレンズ部12aは、左右上下方向及び前後上下方向に広がっている。言い換えると、ロービームアウタレンズ部12aには、前端から後方に向かって左右方向外側に傾斜し、且つ上縁12a1、12a2から下方に向かって後方に傾斜する主傾斜面12a6が形成されている。主傾斜面12a6は、ロービームアウタレンズ部12aを構成する面のうちの残余の面より面積が大きな平坦面である。主傾斜面12a6は、ロービームが透過する部分である。
【0030】
ハイビームアウタレンズ部12bは、左右上下方向に広がっている。言い換えると、ハイビームアウタレンズ部12bには、左右方向に延びており、上縁12b1から下方に向かって後方に傾斜する主傾斜面12b5が形成されている。主傾斜面12b5は、ハイビームが透過する部分である。
【0031】
図2において、アッパカウル3は、ヘッドランプ2の上部を覆う第1アッパカウル30とヘッドランプ2の下部を覆う第2アッパカウル31とを有している。
【0032】
第1アッパカウル30は、ロービームアウタレンズ部12aの上縁12a1、12a2に沿って配置されており、第2アッパカウル31は、ロービームアウタレンズ部12aの側縁12a3、12a5及び下縁12a4に沿って配置されている。
【0033】
第1アッパカウル30の前端は、ロービームアウタレンズ部12aの前端に対して前方に位置する。具体的には、第1アッパカウル30の前端は、ロービームアウタレンズ部12aの上縁12a1、12a2に沿って前方に突出している。これにより、上方からヘッドランプユニット1を目視した場合に、ロービームアウタレンズ部12aが露出することを抑えることができる。
【0034】
図3に示すように、第2アッパカウル31は、ハイビームアウタレンズ部12bの上縁12b1に沿って、ロービームアウタレンズ部12aの第2側縁12a5から前方に突出する第1突出部31aと、ハイビームアウタレンズ部12bの左右の側縁12b2、12b3に沿って、ロービームアウタレンズ部12aの下縁12a4から前方に突出する左右一対の第2突出部31bとを有している。
【0035】
第1突出部31aは、上面視においてハイビームアウタレンズ部12bを上方から覆い、第2突出部31bは、側面視においてハイビームアウタレンズ部12bを側方から覆っている。言い換えると、ハイビームアウタレンズ部12bは、第2アッパカウル31の前端に対して後方に配置されている。具体的には、ハイビームアウタレンズ部12bは、第1突出部31aに対して後方に配置されている。またハイビームアウタレンズ部12bは、左右の第2突出部31bに対して後方に配置されている。これにより、上面視及び側面視において、ハイビームアウタレンズ部12bは、アッパカウル3によって露出することが防がれる。
【0036】
本実施形態の第1突出部31aと第2突出部31bとは、ロービームアウタレンズ部12aに対して前方に突出している。これにより、第1突出部31aと第2突出部31bとがロービームアウタレンズ部12aに対して突出しない場合に比べて、ハイビームアウタレンズ部12bの露出をさらに抑えることができる。例えば太陽光、街灯などの外光がハイビームアウタレンズ部12bに侵入しにくくすることができる。
【0037】
第2アッパカウル31のうち、ロービームアウタレンズ部12aの第2側縁12a5とハイビームアウタレンズ部12bの上部側縁12b2との間の領域を覆う部分は、それぞれの側縁12b2、12a5に沿って延びている。これにより、それぞれの側縁12b2、12a5間方向の幅が小さくなることを抑制し、当該部分をロービームアウタレンズ部12aから前方に突出させやすくすることができる。
【0038】
第2アッパカウル31はまた、ハイビームアウタレンズ部12bの下縁12b4に沿って前方に突出する第3突出部31cをさらに有している。第3突出部31cの前方への突出量は、第1突出部31aの前方への突出量より小さい。これにより、ハイビームアウタレンズ部12bに衝突した走行風が上方に逸れることを抑制し、ヘッドランプユニット1の下方に位置するラジエータ102に向けて風を案内することができる。さらに、第2突出部31bがハイビームアウタレンズ部12bの左右の側縁12b2、12b3から突出しているので、走行風が左右方向に逸れることも抑制され得る。
【0039】
第1突出部31aの下面、すなわち第1突出部31aのハイビームアウタレンズ部12b側の面は、前端から後方に向かって下方に傾斜している。また、第2突出部31bの左右方向内側面、すなわち第2突出部31bのハイビームアウタレンズ部12b側の面は、前端から後方に向かって左右方向内側に傾斜している。これにより、ハイビームアウタレンズ部12bを透過するハイビームが第1突出部31a及び第2突出部31bによって遮られにくくなり、広範囲にハイビームを照射させることができる。
【0040】
第2アッパカウル31のうち、ロービームアウタレンズ部12aの下縁12a4に沿う部分は、前方に向かって下方に傾斜している。またロービームアウタレンズ部12aの第1側縁12a3に沿う部分は、前方に向かって左右方向外側に傾斜している。さらにロービームアウタレンズ部12aの第2側縁12a5に沿う部分は、前方に向かって左右方向内側に傾斜している。これにより、ロービームアウタレンズ部12aを透過するロービームがこれらの当該部分によって遮られにくくなり、広範囲にロービームを照射させることができる。
【0041】
図2において、ヘッドランプ2は、アウタレンズ12が取り付けられる前ハウジング10と前ハウジング10に取り付けられる後ハウジング11とを有している。
【0042】
図4は、前ハウジング10とアウタレンズ12とを取り外したヘッドランプ2の分解正面図である。ヘッドランプ2には、正面視において2つのロービームアウタレンズ部12aと対応する位置に配置されている2つのロービームリフレクタ13と、正面視において1つのハイビームアウタレンズ部12bと対応する位置に配置されている1つのハイビームリフレクタ20とが設けられている。
【0043】
ロービームリフレクタ13は、ロービームアウタレンズ部12aと同様の形状であり、上縁が左右中心C1に向かって下方に傾斜しており、左右中心C1側の側縁が左右中心C1に向かって上方に傾斜している。
【0044】
2つのロービームリフレクタ13の上部には、ロービーム用の光をロービームリフレクタに向かって照射するロービーム用光源14がそれぞれ設けられている。ロービーム用光源14には、ロービーム用光源14に電力を供給するロービーム用基板と、ロービーム用基板を冷却するロービーム用ヒートシンクとが設けられている。
【0045】
ロービーム用光源14がロービームリフレクタ13に向かってロービーム用の光を照射すると、ロービームリフレクタ13は、ロービーム用の光をロービームとして前方に反射する。ロービームリフレクタ13によって前方に反射されたロービームは、ロービームアウタレンズ部12aを透過して、鞍乗型車両100の前方を照射する。
【0046】
2つのロービームリフレクタ13の上部にはさらに、ロービーム用光源14に対して左右方向内側において、ポジションランプ18がそれぞれ設けられている。これにより、ポジションランプ18がロービームリフレクタ13の上部の左右方向外側に設けられている場合と比して、ロービームアウタレンズ部12aを小さくすることができる。ポジションランプは、鞍乗型車両の存在を知らせるためのランプである。
【0047】
ハイビームリフレクタ20の上部には、ハイビーム用の光をハイビームリフレクタ20に向かって照射するハイビーム用光源21が左右に併設されている。ハイビーム用光源21には、ハイビーム用光源21に電力を供給するハイビーム用基板と、ハイビーム用基板を冷却するハイビーム用ヒートシンクとが設けられている。本実施形態のロービーム用光源14とハイビーム用光源21とは、LEDである。
【0048】
ハイビーム用光源21がハイビームリフレクタ20に向かってハイビーム用の光を照射すると、ハイビームリフレクタ20は、ハイビーム用の光をハイビームとして前方に反射する。ハイビームリフレクタ20によって前方に反射されたハイビームは、ハイビームアウタレンズ部12bを透過して、鞍乗型車両100の前方を照射する。
【0049】
ハイビーム用光源21は、正面視において、左側に配置されているロービームリフレクタ13の左端に対して右側、且つ右側に配置されているロービームリフレクタ13の右端に対して左側に配置されており、上下方向において2つのロービームリフレクタ13とハイビームリフレクタ20との間に配置されている。また、ハイビームリフレクタ20とハイビーム用光源21とは、上面視において、2つのロービームリフレクタ13と左右方向に重複している。
【0050】
ハイビームリフレクタ20は、ハイビーム反射面20aと、非反射面20bとを有する。ハイビーム反射面20aは、ハイビーム用光源21に下方から対向しており、ハイビーム用光源21の出射光を前方に向けて反射する。ハイビーム反射面20aは、後方且つ下方に湾曲している。非反射面20bは、ハイビームリフレクタ20うち、ハイビーム反射面20aを除く面に設けられている。非反射面20bは、ハイビーム反射面20aの上方に位置しており、前後左右方向において略平坦に延びている。ハイビームリフレクタ20はまた、ハイビーム反射面20a及び非反射面20bの左右両端において上下方向に延びる一対の側面20cを有する。
【0051】
ハイビーム反射面20aは、例えば樹脂製のハイビームリフレクタ20にアルミニウムを蒸着させることによって形成される。また、非反射面20bには、当該蒸着工程においてマスキングがされており、アルミニウムが蒸着されない。従って、ハイビーム反射面20aにはアルミニウムの光沢が形成されており、非反射面20bには樹脂素材の色(例えば黒色)が表れている。このため、非反射面20bの反射率は、ハイビーム反射面20aの反射率より低い。
【0052】
ロービームリフレクタ13は、その下面において、ロービーム用の光を前方に反射するロービーム反射面13aを有する。ロービーム反射面13aは、ロービーム用光源14の下方に位置し、前方に向かって下方に傾斜しており、後方且つ下方に湾曲している。ロービーム反射面13aには、ハイビーム反射面20aと同様に蒸着工程を経て反射膜が形成される。
【0053】
各光源14、21と各リフレクタ13、20とは、各ビームの照射方向を調整するためのエーミングブラケットに支持されている。エーミングブラケットをハウジング10、11に対して角度調整することによって、ロービーム及びハイビームの照射方向は、調整される。
【0054】
本実施形態に係るヘッドランプユニット1及びヘッドランプユニット1を備える鞍乗型車両100によれば、次の効果を奏する。
【0055】
(1)左右に並んで間隔をあけて配置されており、ロービームを前方に透過させる、2つのロービームアウタレンズ部12aと、
左側に配置されているロービームアウタレンズ部12aの左端に対して右側、且つ右側に配置されているロービームアウタレンズ部12aの右端に対して左側に配置されており、2つのロービームアウタレンズ部12aに対して上方に間隔をあけて配置されており、ハイビームを前方に透過させる、1つのハイビームアウタレンズ部12bと
を備える。
【0056】
その結果、1つのアウタレンズでハイビーム及びロービームを照射するヘッドランプユニットと比して、各アウタレンズ部12a、12bのサイズを小さくすることができる。
【0057】
(2)ハイビームアウタレンズ部12bは、ロービームアウタレンズ部12aに対して下方、且つロービームアウタレンズ部12aの前端に対して後方に配置されている。
その結果、特にヘッドランプユニット1を上方又は斜め上から見たときにハイビームアウタレンズ部12bを目立ちにくくさせることができる。ハイビームは、ロービームより強い光を照射するため、比較的目立ちやすい。本実施形態のようにハイビームアウタレンズ部12bを目立ちにくくさせることによって、ヘッドランプユニット1を小さく見せることができる。
【0058】
(3)ハイビームアウタレンズ部12bは、下方に向かって後方に傾斜している。
その結果、正面視におけるハイビームアウタレンズ部12bの面積は、ハイビームアウタレンズ部12bの前面に対して直交する方向から見たハイビームアウタレンズ部12bの面積より小さい。従って、ハイビームで必要な照射量を確保しつつ、ハイビームアウタレンズ部12bを目立ちにくくさせることができる。また、ハイビームアウタレンズ部12bの前面が後方に傾斜しているため、ハイビームアウタレンズ部12bの前面を通過する走行風をヘッドランプユニット1の後方に配置されているラジエータ102に導きやすい。これにより、ヘッドランプユニット1の後方且つ下方に位置するラジエータ102に風が案内されやすく、ラジエータ102によるエンジンの冷却が促進される。
【0059】
(4)ヘッドランプユニット1は、
ハイビーム用の光を照射するハイビーム用光源21と、
ハイビーム用光源21から照射されるハイビーム用の光を前方に反射し、正面視においてハイビームアウタレンズ部12bと対応する位置に配置される、ハイビームリフレクタ20と
をさらに備えており、
ハイビームリフレクタ20は、
ハイビーム用の光を前方に向けて反射するハイビーム反射面20aと、
ハイビーム反射面20aの反射率より低い反射率である非反射面20bと
を有する。
【0060】
その結果、ハイビーム非点灯時において、街灯等の光がヘッドランプユニット1を照らした場合、又はロービーム用の光がヘッドランプユニット内でハイビームリフレクタに照射された場合、ハイビームリフレクタ20が非反射面20bを有するので、当該光又はロービーム用の光がハイビームリフレクタ20で反射されにくく、ハイビームアウタレンズ部12bを目立ちにくくさせることができる。
【0061】
(5)ハイビームアウタレンズ部12bは、ロービームアウタレンズ部12aに対して下方に配置されており、
ハイビーム用光源21は、ハイビームリフレクタ20の上部に配置されている。
【0062】
その結果、ハイビーム用光源がハイビームリフレクタの下方に突出することを抑制し、ハイビームリフレクタをヘッドランプユニットのできるだけ下方に配置することができる。これにより、ハイビームリフレクタ及びハイビームアウタレンズ部の高さが低くなり、ハイビームアウタレンズ部を目立ちにくくさせることができる。
【0063】
(6)ハイビームアウタレンズ部12bは、ロービームアウタレンズ部12aの前端に対して後方に配置されており、
ハイビーム反射面20aは、ハイビーム用光源21に下方から対向しており、
非反射面20bは、ハイビーム反射面20aを除く面のうち、少なくともハイビーム反射面20aの上方に形成されている。
【0064】
その結果、路面反射光等、ヘッドランプユニット1の下方からの外光がハイビームリフレクタ20に照射された場合において、非反射面20bによって外光による反射が抑制される。これにより、ハイビームアウタレンズ部12bをさらに目立ちにくくさせることができる。
【0065】
(7)ヘッドランプユニット1は、
ハイビーム用の光を照射するハイビーム用光源21と、
ハイビーム用光源21から照射されるハイビーム用の光を前方に反射し、正面視においてハイビームアウタレンズ部12bと対応する位置に配置される、ハイビームリフレクタ20と、
ロービーム用の光を照射する2つのロービーム用光源14と、
2つのロービーム用光源14から照射されるロービーム用の光を前方に反射し、正面視において2つのロービームアウタレンズ部12aと対応する位置に配置される、2つのロービームリフレクタ13と
をさらに備えており、
ハイビーム用光源21は、左側に配置されているロービームリフレクタ13の左端に対して右側、且つ右側に配置されているロービームリフレクタ13の右端に対して左側に配置されており、上下方向において2つのロービームリフレクタ13とハイビームリフレクタ20との間に配置されている。
【0066】
その結果、ハイビーム用光源21がロービームリフレクタ13及びハイビームリフレクタ20に対して上下方向に突出することを抑制し、ヘッドランプユニット1をより小型化しやすい。
【0067】
(8)ヘッドランプユニット1は、
2つのロービームアウタレンズ部12aとハイビームアウタレンズ部12bとを有するアウタレンズ12と、
アウタレンズ12が取り付けられるヘッドランプ2と、
ヘッドランプ2を覆うアッパカウル3と
をさらに備えており、
ハイビームアウタレンズ部12bは、ロービームアウタレンズ部12aに対して下方に配置されており、
アッパカウル3は、上面視においてハイビームアウタレンズ部12bを覆う。
【0068】
その結果、アッパカウル3でハイビームアウタレンズ部12bの上方が覆われているので、特にヘッドランプユニット1を上方又は斜め上から見たときにハイビームアウタレンズ部12bを目立ちにくくさせることができる。
【0069】
(9)ヘッドランプユニット1は、
2つのロービームアウタレンズ部12aとハイビームアウタレンズ部12bとを有するアウタレンズ12と、
アウタレンズ12が取り付けられるヘッドランプ2と、
ヘッドランプ2を覆うアッパカウル3と
をさらに備えており、
アッパカウル3は、側面視においてハイビームアウタレンズ部12bを覆う。
【0070】
その結果、アッパカウル3でハイビームアウタレンズ部12bの側方が覆われているので、特にヘッドランプユニット1を側方から見たときにハイビームアウタレンズ部12bを目立ちにくくさせることができる。
【0071】
(10)鞍乗型車両100は、
左右に並んで間隔をあけて配置されており、ロービームを前方に透過させる、2つのロービームアウタレンズ部12aと、
左側に配置されているロービームアウタレンズ部12aの左端に対して右側、且つ右側に配置されているロービームアウタレンズ部12aの右端に対して左側に配置されており、2つのロービームアウタレンズ部12aに対して上方に間隔をあけて配置されており、ハイビームを前方に透過させる、1つのハイビームアウタレンズ部12bと
を備える、ヘッドランプユニット1
を備える。
【0072】
その結果、小型化されたアウタレンズ12を有するヘッドランプユニット1を備える鞍乗型車両100の美観は、向上される。
【0073】
なお、本開示に係るヘッドランプユニット及びヘッドランプユニットを備える鞍乗型車両は、上記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0074】
本明細書において、鞍乗型車両として、自動二輪車が開示されたが、他の鞍乗型車両に適用されてもよい。例えば鞍乗型車両は、三輪車両や四輪バギー車両であってもよい。
【0075】
鞍乗型車両は、駆動源にエンジンのほか、電動モータを用いてもよく、又は駆動源に電動モータとエンジンとの両方が用いられるハイブリッド車両でもよい。
【0076】
本実施形態のように、ヘッドランプユニットは、フロントフォークとともに角度変位するブラケットに支持されることが好ましい。本開示のヘッドランプユニットは、エンジンが部分的に露出するネイキッド車両に好適に用いられる。なお、ヘッドランプユニットは、これに限られない。例えばヘッドランプユニットは、フロントフォークの角度変位に拘らずに、車体フレームに固定されてもよい。
【0077】
ハイビームは、運転者の操作によって適宜点灯されるとしたが、これに限らない。例えば鞍乗型車両は、周囲の状況、具体的には対向車や先行車の有無を検出するセンサを備えてもよい。この場合、センサ出力に応じて、対向車や先行車を判断すると、ハイビームを消灯させ、対向車や先行車を認識しないと、ハイビームを点灯させてもよい。
【0078】
本実施形態のヘッドランプユニット1は、アッパカウルを含んでいるが、アッパカウルを含んでいなくてもよい。また本実施形態のアッパカウル3は、上下に分割されているが、これに限らず、一体構造であってもよく、左右分割構造など他の分割構造が採用されてもよい。
【0079】
ハイビームアウタレンズ部12bは、2つのロービームアウタレンズ部12aに対して下方に間隔をあけて配置されているが、2つのロービームアウタレンズ部12aに対して上方に間隔をあけて配置されていてもよい。この場合においても、各アウタレンズ部を小型化させることができる。
【0080】
ハイビームアウタレンズ部12bの面積は、正面視において、ロービームアウタレンズ部12aの面積より小さく、これにより、ハイビームアウタレンズ部12bを目立ちにくくさせることができるが、ハイビームアウタレンズ部12bの面積は、正面視において、2つのロービームアウタレンズ部12aの総面積より小さくてもよい。この場合においても、ハイビームアウタレンズ部を目立ちにくくさせることができる。
【0081】
ハイビームリフレクタ20の側面20cは、アルミニウムが蒸着されているが、アルミニウムが蒸着されていなくてもよく、すなわち非反射面であってもよい。ハイビームリフレクタ20の側面20cが非反射面である場合、ハイビーム非点灯時において、街灯等の光がハイビームリフレクタでより反射されにくく、ハイビームアウタレンズ部をさらに目立ちにくくさせることができる。
【0082】
ハイビームリフレクタ20の上部には2つのハイビーム用光源21が設けられているが、ハイビームに必要な光を1つの光源で満たすことができる場合、ハイビームリフレクタ20の上部には1つのハイビーム用光源が設けられていてもよい。
【0083】
ハイビーム用光源21は、ハイビームリフレクタ20の上部に設けられているが、ハイビームリフレクタの下部に設けられていてもよい。
【0084】
[付記]
本開示に係るヘッドランプユニット及びヘッドランプユニットを備える鞍乗型車両は、以下の態様を提供する。
【0085】
[態様1]
左右に並んで間隔をあけて配置されており、ロービームを前方に透過させる、2つのロービームアウタレンズ部と、
左側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の左端に対して右側、且つ右側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の右端に対して左側に配置されており、2つの前記ロービームアウタレンズ部に対して上方又は下方に間隔をあけて配置されており、ハイビームを前方に透過させる、1つのハイビームアウタレンズ部と
を備える、ヘッドランプユニット。
【0086】
[態様2]
前記ハイビームアウタレンズ部は、前記ロービームアウタレンズ部に対して下方、且つ前記ロービームアウタレンズ部の前端に対して後方に配置されている、
態様1に記載のヘッドランプユニット。
【0087】
[態様3]
前記ハイビームアウタレンズ部は、下方に向かって後方に傾斜している、
態様2に記載のヘッドランプユニット。
【0088】
[態様4]
前記ヘッドランプユニットは、
ハイビーム用の光を照射するハイビーム用光源と、
前記ハイビーム用光源から照射される前記ハイビーム用の光を前方に反射し、正面視において前記ハイビームアウタレンズ部と対応する位置に配置される、ハイビームリフレクタと
をさらに備えており、
前記ハイビームリフレクタは、
前記ハイビーム用の光を前方に向けて反射するハイビーム反射面と、
前記ハイビーム反射面の反射率より低い反射率である非反射面と
を有する、
態様1~3の何れかに記載のヘッドランプユニット。
【0089】
[態様5]
前記ハイビームアウタレンズ部は、前記ロービームアウタレンズ部に対して下方に配置されており、
前記ハイビーム用光源は、前記ハイビームリフレクタの上部に配置されている、
態様4に記載のヘッドランプユニット。
【0090】
[態様6]
前記ハイビームアウタレンズ部は、前記ロービームアウタレンズ部の前端に対して後方に配置されており、
前記ハイビーム反射面は、前記ハイビーム用光源に下方から対向しており、
前記非反射面は、前記ハイビーム反射面を除く面のうち、少なくとも前記ハイビーム反射面の上方に形成されている、
態様5に記載のヘッドランプユニット。
【0091】
[態様7]
前記ヘッドランプユニットは、
ハイビーム用の光を照射するハイビーム用光源と、
前記ハイビーム用光源から照射される前記ハイビーム用の光を前方に反射し、正面視において前記ハイビームアウタレンズ部と対応する位置に配置される、ハイビームリフレクタと、
ロービーム用の光を照射する2つのロービーム用光源と、
2つの前記ロービーム用光源から照射される前記ロービーム用の光を前方に反射し、正面視において2つの前記ロービームアウタレンズ部と対応する位置に配置される、2つのロービームリフレクタと
をさらに備えており、
前記ハイビーム用光源は、左側に配置されている前記ロービームリフレクタの左端に対して右側、且つ右側に配置されている前記ロービームリフレクタの右端に対して左側に配置されており、上下方向において2つの前記ロービームリフレクタと前記ハイビームリフレクタとの間に配置されている、
態様1~6の何れかに記載のヘッドランプユニット。
【0092】
[態様8]
前記ヘッドランプユニットは、
2つの前記ロービームアウタレンズ部と前記ハイビームアウタレンズ部とを有するアウタレンズと、
前記アウタレンズが取り付けられるヘッドランプと、
前記ヘッドランプを覆うアッパカウルと
をさらに備えており、
前記ハイビームアウタレンズ部は、前記ロービームアウタレンズ部に対して下方に配置されており、
前記アッパカウルは、上面視において前記ハイビームアウタレンズ部を覆う、
態様1~7の何れかに記載のヘッドランプユニット。
【0093】
[態様9]
前記ヘッドランプユニットは、
2つの前記ロービームアウタレンズ部と前記ハイビームアウタレンズ部とを有するアウタレンズと、
前記アウタレンズが取り付けられるヘッドランプと、
前記ヘッドランプを覆うアッパカウルと
をさらに備えており、
前記アッパカウルは、側面視において前記ハイビームアウタレンズ部を覆う、
態様1~8の何れかに記載のヘッドランプユニット。
【0094】
[態様10]
左右に並んで間隔をあけて配置されており、ロービームを前方に透過させる、2つのロービームアウタレンズ部と、
左側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の左端に対して右側、且つ右側に配置されている前記ロービームアウタレンズ部の右端に対して左側に配置されており、2つの前記ロービームアウタレンズ部に対して上方又は下方に間隔をあけて配置されており、ハイビームを前方に透過させる、1つのハイビームアウタレンズ部と
を備える、ヘッドランプユニットを備える、
鞍乗型車両。
【符号の説明】
【0095】
1:ヘッドランプユニット
2:ヘッドランプ
3:アッパカウル
12:アウタレンズ
12a:ロービームアウタレンズ部
12b:ハイビームアウタレンズ部
13:ロービームリフレクタ
14:ロービーム用光源
20:ハイビームリフレクタ
20a:ハイビーム反射面
20b:非反射面
21:ハイビーム用光源
100:鞍乗型車両