(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007776
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ネットワークシステム、情報処理方法、およびサーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109387
(22)【出願日】2023-07-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】521186144
【氏名又は名称】株式会社to you
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕明
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】誹謗や中傷などのような、ユーザの気分を害する可能性が高いネガティブな投稿が当該ユーザの画面に表示されにくいネットワークシステムを提供する。
【解決手段】SNS(Social Networking Service)を提供するサーバ100と、SNSを利用するユーザの通信端末300と、を備えるネットワークシステム1が提供される。サーバは、ユーザ毎に、ネガティブな投稿を行う割合を記憶しておき、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿を別のユーザに表示することを制限する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SNS(Social Networking Service)を提供するサーバと、
前記SNSを利用するユーザの通信端末と、を備え、
前記サーバは、前記ユーザ毎に、ネガティブな投稿を行う割合を記憶しておき、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿を別のユーザに表示することを制限する、ネットワークシステム。
【請求項2】
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザ毎に、表示を制限すべき別のユーザのネガティブな投稿の割合の設定を受け付ける、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザの通信端末に、前記設定された投稿の割合を示す情報を表示させる、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザの通信端末に、当該ユーザに関するネガティブな投稿の割合を示す情報を表示させる、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザの通信端末に、表示されている投稿の投稿者に関するネガティブな投稿の割合を示す情報を表示させる、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザの通信端末に、表示されている投稿がネガティブであることを示す所定の表示を行う、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記サーバは、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザよりも、当該割合が低いユーザの投稿を優先して表示する、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
前記サーバは、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザよりも、当該割合が低いユーザへ優先して広告を表示する、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
ユーザがSNSに投稿するステップと、
サーバが、前記投稿がネガティブなものであるか否かを判断することによって、投稿者であるユーザのネガティブな投稿を行う割合を更新するステップと、
閲覧者であるユーザがSNSを閲覧する際に、前記サーバが、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿の表示を制限するステップと、を備える情報処理方法。
【請求項10】
SNSを提供するサーバであって、
ユーザの通信端末と通信するための通信インターフェイスと、
ユーザ毎の、ネガティブな投稿を行う割合を記憶するためのメモリと、
ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿の別のユーザへの表示を制限するプロセッサと、を備えるサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを利用してSNS(Social Networking Service)を提供するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、インターネットを利用したSNSが知られている。たとえば、特開2022-153093号公報(特許文献1)には、投稿監視装置、投稿監視方法、プログラム及び記録媒体が開示されている。特許文献1によると、投稿監視装置は、投稿受信部、感情分析部、判定部、介入部、通知部及び出力部を含む。投稿受信部は、ユーザから投稿を受信する。感情分析部は、ユーザの感情を分析する。判定部は、分析されたユーザの感情が、投稿を行うのに適切か否かを判定する。介入部は、ユーザの感情が、投稿を行うのに適切でないと判定された場合に、ユーザに対し、感情を鎮めるための介入をする。通知部は、介入後、ユーザに対し、判定の内容を通知する。出力部は、投稿を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、誹謗や中傷などのような、ユーザの気分を害する可能性が高いネガティブな投稿が当該ユーザの画面に表示されにくいネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に従うと、SNS(Social Networking Service)を提供するサーバと、SNSを利用するユーザの通信端末と、を備えるネットワークシステムが提供される。サーバは、ユーザ毎に、ネガティブな投稿を行う割合を記憶しておき、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿を別のユーザに表示することを制限する。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明によれば、誹謗や中傷などのような、ユーザの気分を害する可能性が高いネガティブな投稿が当該ユーザの画面に表示されにくいネットワークシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態にかかるネットワークシステムの全体構成を示すイメージ図である。
【
図2】第1の実施の形態にかかるネットワークシステムにおけるユーザ毎の投稿の履歴情報を示すイメージ図である。
【
図3】第1の実施の形態にかかるネットワークシステムの動作概要を示す第1のイメージ図である。
【
図4】第1の実施の形態にかかるネットワークシステムの動作概要を示す第2のイメージ図である。
【
図5】第1の実施の形態にかかるサーバの構成を示すブロック図である。
【
図6】第1の実施の形態にかかるユーザデータを示すイメージ図である。
【
図7】第1の実施の形態にかかるSNS投稿時におけるサーバの情報処理を示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施の形態にかかるSNS閲覧時におけるサーバの情報処理を示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施の形態にかかる通信端末の構成を示すブロック図である。
【
図10】第7の実施の形態にかかるSNS閲覧時におけるサーバの情報処理を示すフローチャートである。
【
図11】第9の実施の形態にかかるネットワークシステムの動作概要を示すイメージ図である。
【
図12】第11の実施の形態にかかるSNS閲覧時におけるユーザの通信端末の情報処理を示すフローチャートである。
【
図13】各実施の形態のネットワークシステムの適用例を示すフローチャートである。
【
図14】各実施の形態のネットワークシステムをSNSの投稿に適用した場合のフローチャートである。
【
図15】各実施の形態のネットワークシステムをオンラインゲームの投稿に適用した場合のフローチャートである。
【
図16】各実施の形態のネットワークシステムをニュースやレビューや動画のコメントなどの投稿に適用した場合のフローチャートである。
【
図17】各実施の形態のネットワークシステムをTwitter(登録商標)の投稿に適用した場合のフローチャートである。
【
図18】ネガティブな投稿を行うユーザの素質の例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さず、先の説明を援用するものとする。
<第1の実施の形態>
<ネットワークシステム1の全体構成>
【0009】
まず、
図1を参照して本実施の形態にかかるネットワークシステム1の全体構成について説明する。本実施の形態にかかるネットワークシステム1は、主に、SNSを提供するためのサーバ100と、当該SNSを利用する複数のユーザのそれぞれが利用する通信端末300とを含む。通信端末300は、スマートフォンやタブレットやパーソナルコンピュータなどによって実現され、インターネットやキャリア網などを介してサーバ100と通信可能である。
<ネットワークシステム1の動作概要>
【0010】
次に、本実施の形態にかかるネットワークシステム1に関する動作概要について説明する。
【0011】
まず前提として、SNSを利用するユーザには、相手の気分を害する可能性が高い攻撃的な投稿(ネガティブな投稿)を多くするユーザ(ネガティブユーザ)が含まれている。そして、普通のユーザ(ニュートラルユーザ)や、前向きな投稿(ポジティブな投稿)を多くするユーザ(ポジティブユーザ)は、自身に向けられている誹謗や中傷や、その他のネガティブな投稿によって気分を害することが多くある。
【0012】
そこで本実施の形態においては、
図2を参照して、サーバ100が、ユーザが投稿をするたびに、当該投稿の内容を分析して、当該投稿がポジティブなものであるか、ニュートラルなものであるか、ネガティブなものであるか、を判断する。サーバ100は、投稿者としてのユーザ毎に、ポジティブな投稿の割合や、ニュートラルな投稿の割合や、ネガティブな投稿の割合を計算して、保持しておく。
【0013】
そして、
図3を参照して、サーバ100は、閲覧者としてのユーザが、SNSを利用する際に、ネガティブな投稿の割合が多いユーザの投稿を表示しないようにする。換言すれば、
図4に示すように、ポジティブなユーザが、ネガティブな投稿をしている場合には、当該投稿が表示され、ネガティブなユーザがネガティブな投稿をした場合には、当該投稿が表示されない。
【0014】
これによって、SNSを利用するユーザが、気分を害したり、精神に異常をきたしたりする可能性を低減することができる。
【0015】
以下、このような機能を実現するためのネットワークシステム1の具体的な構成について詳述する。
<サーバの構成>
【0016】
まず、本実施の形態にかかるネットワークシステム1を構成するサーバ100の構成の一態様について説明する。
図5を参照して、サーバ100は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)110と、メモリ120と、操作部140と、通信インターフェイス160とを含む。
【0017】
CPU110は、メモリ120に記憶されているプログラムを実行することによって、サーバ100の各部を制御する。たとえば、CPU110は、メモリ120に格納されているプログラムを実行し、各種のデータを参照することによって、後述する各種の処理を実行する。
【0018】
メモリ120は、各種のRAM(Random Access Memory)、各種のROM(Read Only Memory)などによって実現され、サーバ100に内包されているものであってもよいし、サーバ100の各種インターフェイスに着脱可能なものであってもよいし、サーバ100からアクセス可能な他の装置の記録媒体であってもよい。メモリ120は、CPU110によって実行されるプログラムや、CPU110によるプログラムの実行により生成されたデータ、各種の入力されたデータ、その他の本実施の形態にかかるサービスに利用されるデータベースなどを記憶する。
【0019】
たとえば、本サービスにおいては、メモリ120は、ユーザデータ121を記憶する。
図6を参照して、ユーザデータ121は、ユーザ毎に、ユーザID、ユーザ名、総投稿数、ポジティブな投稿の回数、ポジティブな投稿の割合、ネガティブな投稿の回数、ネガティブな投稿の割合、表示制限割合、などを格納する。
【0020】
なお、表示制限割合とは、閲覧者としてのユーザ(第1のユーザ)に関して、投稿者としての他のユーザ(第2のユーザ)の投稿を表示するか否かの判断の対象となる数値である。第2のユーザのネガティブな投稿の割合が、第1のユーザの表示制限割合の数値を超える場合には、当該第2のユーザの投稿が当該第1のユーザには表示されない。換言すれば、CPU110は、第2のユーザのネガティブな投稿の割合が、第1のユーザの表示制限割合を越えている場合、第1のユーザのSNSの表示画面に、第2のユーザの投稿を表示しないようする。
【0021】
本実施の形態においては、CPU110が、通信インターフェイス160を介して通信端末300から、表示制限割合の指定を受け付けると、通信端末300のユーザに対応する表示制限割合を登録したり、更新したりする。なお、サービス登録時の初期値としては、表示制限がかけられていない形態であってもよいし、100%が設定されていてもよいし、50%などの他の数値が設定されていてもよい。
【0022】
図5に戻って、操作部140は、サービスの管理者などの命令を受け付けて、当該命令をCPU110に入力する。
【0023】
通信インターフェイス160は、CPU110からのデータを、インターネット、キャリア網、ルータなどを介して、通信端末300や、その他の機器などに送信する。逆に、通信インターフェイス160は、インターネット、キャリア網、ルータなどを介してそれらの機器からのデータを受信して、CPU110に受け渡したり、メモリ120に格納したりする。
<サーバの情報処理方法>
【0024】
次に、
図7を参照しながら、本実施の形態にかかるサーバ100における投稿受付時の情報処理について説明する。サーバ100のCPU110は、メモリ120のプログラムに従って、以下の処理を実行する。
【0025】
まず、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、通信端末300から新たな投稿を受信する(ステップS112)。投稿は、動画や写真や記事などに対するコメントであってもよいし、当該コメントに対するコメントや返信であってもよい。CPU110は、受信したテキストデータを、ユーザIDや受信日時とともにメモリ120に蓄積する(ステップS114)。
【0026】
CPU110は、AIを利用したり、自然言語処理用のサーバを利用したりすることによって、受信した投稿を解析する(ステップS116)。
【0027】
CPU110は、当該解析によって、今回の投稿が、ポジティブなものであるか、ネガティブなものであるか、ニュートラルなものであるかを判断する(ステップS118)。たとえば、CPU110は、投稿のデータから文脈に基づく特徴量を抽出したり、機械学習モデルを使用したりして、これらの特徴量がどの感情(ポジティブ、ネガティブ、ニュートラル)を示しているかを判断する。なお、投稿内容の解析や感情の特定の方法は限定するものではない。
【0028】
CPU110は、判断結果に基づいて、今回の投稿者のユーザデータ121を更新する(ステップS120)。たとえば、CPU110は、投稿者のユーザIDの、総投稿数を+1して、判断結果に基づいて、ポジティブ投稿回数またはネガティブ投稿回数を+1して、ポジティブ投稿割合またはネガティブ投稿割合を計算して更新する。
【0029】
次に、
図8を参照しながら、本実施の形態にかかるサーバ100における投稿表示画面提供時の情報処理について説明する。サーバ100のCPU110は、メモリ120のプログラムに従って、以下の処理を実行する。
【0030】
まず、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、通信端末300からSNSのWEBページの要求を受信する(ステップS132)。
【0031】
CPU110は、通信端末300のユーザの閲覧履歴やその他の属性などから、当該ユーザに関連性が高いニュースや投稿を検索する(ステップS134)。
【0032】
CPU110は、ユーザデータ121を参照して、当該ユーザの表示制限割合を読み出す(ステップS136)。
【0033】
CPU110は、検索した投稿のうちから、投稿者としてのユーザのネガティブな投稿の割合が表示制限割合を越えているユーザからの投稿を取り除く(ステップS138)。あるいは、CPU110は、検索した投稿のうちから、ネガティブな投稿の割合が表示制限割合未満のユーザの投稿だけを抽出する(ステップS138)。
【0034】
CPU110は、残った投稿から構成されるSNSのWEBページデータを作成する(ステップS140)。
【0035】
CPU110は、通信インターフェイス160を介して、当該WEBページデータをユーザの通信端末300に送信する(ステップS142)。
<通信端末300の構成>
【0036】
次に、
図9を参照して、ユーザが利用する通信端末300の構成の一態様について説明する。たとえば本実施の形態にかかる通信端末300は、主たる構成要素として、CPU310と、メモリ320と、ディスプレイ330と、操作部340と、通信インターフェイス360と、スピーカ370と、マイク380と、カメラ390とを含む。
【0037】
CPU310は、メモリ320に記憶されている各種のプログラムを実行することによって、通信端末300の各部を制御する。
【0038】
メモリ320は、各種のRAMや、各種のROMなどによって実現される。メモリ320は、各種サービスのためのアプリケーションプログラム、インターネットからダウンロードしたWEBページ、CPU310によるプログラムの実行により生成されたデータ、サーバ100から受信したデータ、操作部340を介して入力されたデータ、通信端末300自身の情報やユーザの情報などを記憶する。
【0039】
ディスプレイ330は、CPU310からのデータに基づいて、画像やテキストを表示する。操作部340は、ポインティングデバイスやスイッチなどから構成され、ユーザからの各種の命令をCPU310に入力する。なお、通信端末300は、ディスプレイ330と操作部340とを含むタッチパネル350を有してもよい。
【0040】
通信インターフェイス360は、インターネットやキャリア網やルータなどを介して、サーバ100などの他の装置との間でデータを送受信する。たとえば、CPU310は、WEBブラウザのプログラムやその他のアプリケーションプログラムに従って、通信インターフェイス360を介してサーバ100と、WEBページデータ、テキストデータ、画像データや、音声データなど、各種の情報をやりとりする。
【0041】
スピーカ370は、CPU310からの信号に基づいて、各種の音声を出力する。
【0042】
マイク380は、音声を受け付けて、音声データをCPU310に入力する。CPU310は、操作部340に限らず、ユーザからの音声メッセージを受け付けて、当該音声メッセージをサーバ100に送信する。
【0043】
カメラ390は、CPU310からの指示に従って、動画像や静止画像を撮影して、当該画像データをCPU310に入力したり、メモリ320に格納したりする。
【0044】
本実施の形態においては、CPU310は、操作部340を介して、投稿者としてのユーザから投稿の入力を受け付ける。CPU310は、通信インターフェイス360を介して、投稿データをサーバ100に送信する。あるいは、CPU310は、操作部340を介して、閲覧者としてのユーザからページ閲覧の命令を受け付ける。CPU310は、通信インターフェイス360を介して、サーバ100からSNSのページのデータを受信して、ディスプレイ330に表示する。
<第2の実施の形態>
【0045】
上記の実施の形態においては、ユーザ毎に、表示制限割合を設定するものであった。しかしながら、表示制限割合は、予め全ユーザに対して決め打ちされているものであってもよい。たとえば、50%などである。
【0046】
あるいは、ユーザ毎に、自身の投稿のネガティブな投稿の割合に基づいて、自動的に表示制限割合が決定されてもよい。たとえば、
図8のステップS136において、CPU110は、ユーザデータ121から、閲覧者としてのユーザのネガティブな投稿の割合を読み出して、当該ネガティブな投稿の割合を表示制限割合として設定してもよい。つまり、自分よりもネガティブな投稿が多いユーザからの投稿を表示させないようすることができる。
<第3の実施の形態>
【0047】
また、
図8のステップS140において、CPU110は、閲覧者としてのユーザに表示するためのSNSのページに、当該ユーザの表示制限割合の数字やアイコンなどを含ませてもよい。これによって、通信端末300のCPU310は、ディスプレイ330にSNSのページを表示する際に、画面のいずれかの場所に、自身に設定されている表示制限割合が表示される。画面に表示制限割合が表示されることによって、ネガティブな投稿を子供のユーザが閲覧する可能性が低いということを保護者が認識することができ、その結果、安心して子供にSNSを利用させることができる。また、ユーザが、俳優や歌手である場合にも、ネガティブな投稿を閲覧する可能性が低いことを、プロダクションなどのマネージャーや担当者が認識することができる。
<第4の実施の形態>
【0048】
また、
図8のステップS140において、CPU110は、閲覧者としてのユーザに表示するSNSのページに、当該ユーザ自身に関するネガティブな投稿の割合を示す数字やアイコンなどを含ませてもよい。これによって、通信端末300のCPU310は、ディスプレイ330にSNSのページを表示する際に、画面のいずれかの場所に、自身に関するネガティブな投稿の割合が表示される。これによって、SNSのユーザに対して、ネガティブな投稿を減らそうとする動機を与えることができる。
<第5の実施の形態>
【0049】
また、
図8のステップS140において、CPU110は、SNSのWEBページに表示される投稿毎に、投稿者名と、当該投稿者のネガティブな投稿の割合と、を付記してもよい。これによって、通信端末300のCPU310は、ディスプレイ330にSNSのページを表示する際に、投稿毎に、投稿者名と、当該投稿者のネガティブな投稿の割合と、を表示する。その結果、ユーザは、自身への誹謗や中傷を見かけても、そのような投稿をしたユーザがいつもネガティブなことを言っているユーザであると認識することができ、気分を害する程度を低減することができる。
【0050】
なお、投稿毎に、投稿者名と、当該投稿者のネガティブな投稿の割合と、が常に表示されていてもよいし、投稿記事や投稿者名がクリックされたり、投稿記事や投稿者名にカーソルが合わされたりしたときに、当該投稿者のネガティブな投稿の割合をポップアップ表示してもよい。
<第6の実施の形態>
【0051】
また、
図8のステップS140において、CPU110は、SNSのページに表示される投稿毎に、投稿者名の隣や、投稿記事の直上などに、当該投稿自体がネガティブな投稿であることを示すアイコンなどの情報を付してもよい。通信端末300のCPU310は、ディスプレイ330にSNSのページを表示する際に、自身の投稿であるか、他人の投稿であるかにかかわらず、また、投稿者のネガティブな投稿の割合にかかわらずに、今回の投稿がネガティブなものであることを示すアイコンを表示することができる。
【0052】
これによって、ネガティブな投稿の割合が少ないユーザがネガティブな投稿を行った場合における閲覧者への悪い影響を低減することができる。より詳細には、投稿を閲覧するユーザには、ネガティブな投稿が表示されているという心の準備をしてから、投稿内容を閲覧することができるので、ショックを低減することができる。また、投稿を行ったユーザも、自身の投稿がネガティブなものであることを認識できるため、多くのユーザに閲覧される前に、内容を修正したり、削除したりすることも可能である。
【0053】
より詳細には、第4~第6の実施の形態の構成によって、匿名化による心理的影響を「社会的フィードバックの理論」に基づき減らすことができる。社会的フィードバックの理論は、人々の行動が他人からのフィードバックによって変化するという考え方である。人々は他人からどう見られているか、どう評価されているかに敏感であり、そのフィードバックによって自己認識や行動を修正しようとする傾向がある。ネガティブな投稿を行ったユーザが自分の行動が「ネガティブ」とラベル付けされることで、その行動が否定的に評価されているというフィードバックを受け取る。その結果、社会的評価を気にするユーザはネガティブな投稿を避け、よりポジティブなコミュニケーションを促進する行動に変わる可能性がある。また、他のユーザもそのフィードバックを見ることで、ネガティブな投稿が社会的に受け入れられていないことを理解し、同様の投稿を避ける傾向が強まる。これは「社会的学習理論」の一環でもある。オンライン(特に匿名)でのWEBコミュニケーションでは攻撃性が増すのは、多数の論文で紹介されている(online disinhibition effect)。たとえば、
図18の各要素に関して、フィードバックを投稿者に与えることで改善を期待できる。そして、上記の実施の形態にかかるネットワークシステム1においては、普段の投稿の傾向から、それらの要素を有する投稿が多いユーザの投稿を非表示にすることができる。
<第7の実施の形態>
【0054】
また、
図10を参照して、CPU110は、検索した投稿のうちから、ネガティブ投稿の割合が表示制限割合を越えているユーザからの投稿を取り除いてから(ステップS138)、ネガティブ投稿の割合が少ないユーザの投稿から順にSNSのページに並べなおすことも好ましい(ステップS139)。そして、CPU110は、投稿が好適に並び替えられたSNSのページデータを作成してもよい(ステップS140)。
<第8の実施の形態>
【0055】
さらには、
図8や
図10のステップS140において、CPU110は、閲覧者としてのユーザの趣味や好みや属性に応じて、SNSのページに広告を掲載してもよい。そして、特に本実施の形態においては、サーバ100のCPU110は、広告主の要請に従って配信先のユーザを選択する際に、ネガティブな投稿の割合が少ないユーザに対して表示するSNSページに優先して広告を配信することが好ましい。
<第9の実施の形態>
【0056】
上記の実施の形態においては、ユーザの投稿を、ポジティブ・ニュートラル・ネガティブの3段階に分けるというものであった。しかしながら、このような形態には限られない。たとえば、各々の投稿に関して、さらに多くの段階に分けたり、2段階だけに分けたりしてもよい。
【0057】
たとえば、
図11に示すように、サーバ100のCPU110は、ユーザの投稿を、ポジティブ・ややポジティブ・ニュートラル・ややネガティブ・ネガティブの5段階に分けてもよい。あるいは、サーバ100のCPU110は、投稿者としてのユーザを、ポジティブなユーザ・ややポジティブなユーザ・ニュートラルなユーザ・ややネガティブなユーザ・ネガティブなユーザの5段階に分類してもよい。そして、ややネガティブまたはネガティブな投稿の割合が多いユーザの投稿を、閲覧者としての他のユーザに表示することを制限する形態であってもよい。
<第10の実施の形態>
【0058】
また、ユーザデータ121を構成する元となる投稿に関しては、数か月分のみを有効なものとして蓄積しても良い。たとえば、半年以上前の投稿に関しては、ユーザデータ121に反映しないようにしたり、3か月以内の投稿に関してネガティブな投稿の割合の計算の際の重み付けを大きくしたりしてもよい。
<第11の実施の形態>
【0059】
上記の実施の形態のネットワークシステム1の各装置の役割の一部または全部を他の装置が実行してもよい。たとえば、上記の実施の形態のサーバ100の役割の一部または全部を通信端末300などの別の装置が担ったり、クラウド上の複数の装置で分担したりしてもよい。
【0060】
たとえば、1つのサーバ群がSNSを実現し、1つのサーバ群が投稿の内容を言語処理し、1つのサーバ群が投稿に関する感情分析を行ってもよい。
【0061】
あるいは、サーバ100が搭載するプログラムの一部を通信端末300で記憶して実行してもよい。より詳細には、サーバ100のCPU110は、閲覧者としてのユーザのために、当該ユーザの趣味や好みや属性などに応じた複数の投稿のデータを抽出して通信端末300に送信する。なお、当該投稿のデータには、投稿の内容と、投稿者名と、投稿者のネガティブな投稿の割合とが含まれる。
【0062】
一方、通信端末300のCPU310は、メモリ320に格納されているSNSのためのアプリケーションプログラムに従って以下の処理を実行する。
【0063】
まず、通信端末300のCPU310は、ユーザが投稿を行うたびに、CPU310の判断によって、またはサーバ100による判断に従って、ネガティブな投稿である否かを判断する。CPU310は、判断結果に基づいてメモリ320のユーザデータ121を更新していく。また、CPU310は、操作部340を介して、ユーザから表示制限割合の設定を受け付けることもできる。
【0064】
そして、
図12に示すように、サーバ100からの、ユーザの趣味や好みや属性に適した複数の投稿のデータを受信する(ステップS232)。CPU310は、ユーザデータ121を参照して、当該ユーザの表示制限割合を読み出す(ステップS236)。CPU310は、サーバ100から受信した投稿のうちから、ネガティブ投稿の割合が表示制限割合を越えているユーザからの投稿を取り除く(ステップS238)。あるいは、CPU110は、検索した投稿のうちから、ネガティブ投稿の割合が表示制限割合未満のユーザの投稿だけを抽出する(ステップS238)。CPU310は、残った投稿のデータに基づいて、SNSの画面をディスプレイ330に表示する(ステップS242)。
<補足>
【0065】
ここで、上記の投稿内容に関するネガティブまたはポジティブなどの判断手法について補足する。たとえば、サーバ100は、
図13に示すような感情分析処理を行ってもよい。なお、ネガティブな投稿とは、他のユーザにストレスを与える(怒り・嫌悪・失望)の感情の事である。そして、ネガティブ感情を細分化できる感情解析モデルを使用する場合は、「悲しみ、不安、孤独)の感情は、ネガティブ感情ではあるが誹謗中傷ではない可能性が高いため、CPU110は、ネガティブな投稿と判断しないことが好ましい。
<その他の適用例>
【0066】
また、上記の実施の形態のネットワークシステム1は、一例として、
図14に示すように、SNSの情報処理に適用することができる。
【0067】
あるいは、ネットワークシステム1は、一例として、
図15に示すように、オンラインゲームの投稿にも適用することができる。
【0068】
あるいは、ネットワークシステム1は、一例として、
図16に示すように、ニュースやレビューや動画のコメントなどの投稿にも適用することができる。
【0069】
あるいは、ネットワークシステム1は、一例として、
図17に示すように、Twitter(登録商標)などの投稿にも適用することができる。
<自然言語処理モデルで解析した感情解析例>
【0070】
以下に、自然言語処理モデルを利用してAIで解析した感情解析例を示す。
(ネガティブ例1)
Aさんの投稿:
「新しい仕事が見つかり、とても楽しくやっています!」
Bさんのコメント:
「どうせその仕事もすぐ辞めるんでしょう?Aさんの仕事の実績を見てると、長続きするとは思えませんよ。」
感情解析結果:
このコメントは、攻撃的かつ否定的な感情が含まれています。BさんはAさんの過去の職歴を否定的に評価し、その能力や継続性に疑問を投げかけています。
【0071】
(ネガティブ例2)
Aさんの投稿:
「最近、健康に気をつけて、毎日ランニングを始めました。」
Bさんのコメント:
「笑っちゃうね、Aさんが健康志向なんて。いつもジャンクフードばっかり食べてるくせに。」
感情解析結果:
このコメントも攻撃的かつ否定的な感情が込められています。BさんはAさんの新たな試みを皮肉混じりの言葉で否定し、過去の行動を持ち出してからかっています。
【0072】
(ポジティブ例1)
Aさんの投稿:
「今週末は山へハイキングに行く予定です。大自然を楽しみながらリフレッシュしたいと思います!」
Bさんのコメント:
「素晴らしいアイデアですね、Aさん!大自然は最高のリラクゼーションです。美しい風景の写真を楽しみにしています!」
感情解析結果:
このコメントは肯定的でエンカレッジングな感情が含まれています。BさんはAさんのハイキング計画を賞賛し、その楽しみを共有し、期待を示しています。
【0073】
(ポジティブ例2)
Aさんの投稿:
「今日は手作りのケーキを作りました。初めてだったけど、思ったより上手くできたと思います!」
Bさんのコメント:
「すごい、Aさん!そのケーキ、見た目も美味しそう!あなたの料理のセンスと創造力にはいつも感銘を受けます。」
感情解析結果:
このコメントはポジティブで賞賛的な感情を表しています。BさんはAさんの料理能力を賞賛し、彼の試みを肯定的に評価し、労をねぎらっています。
<まとめ>
【0074】
上記の実施の形態においては、SNS(Social Networking Service)を提供するサーバと、SNSを利用するユーザの通信端末と、を備えるネットワークシステムが提供される。サーバは、ユーザ毎に、ネガティブな投稿を行う割合を記憶しておき、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿を別のユーザに表示することを制限する。
【0075】
好ましくは、サーバは、SNSを利用中のユーザ毎に、表示を制限すべき別のユーザのネガティブな投稿の割合の設定を受け付ける。
【0076】
好ましくは、サーバは、SNSを利用中のユーザの通信端末に、設定された投稿の割合を示す情報を表示させる。
【0077】
好ましくは、サーバは、SNSを利用中のユーザの通信端末に、当該ユーザに関するネガティブな投稿の割合を示す情報を表示させる。
【0078】
好ましくは、サーバは、SNSを利用中のユーザの通信端末に、表示されている投稿の投稿者に関するネガティブな投稿の割合を示す情報を表示させる。
【0079】
好ましくは、サーバは、SNSを利用中のユーザの通信端末に、表示されている投稿がネガティブであることを示す所定の表示を行う。
【0080】
好ましくは、サーバは、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザよりも、当該割合が低いユーザの投稿を優先して表示する。
【0081】
好ましくは、サーバは、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザよりも、当該割合が低いユーザへ優先して広告を表示する。
【0082】
上記の実施の形態においては、ユーザがSNSに投稿するステップと、サーバが、投稿がネガティブなものであるか否かを判断することによって、投稿者であるユーザのネガティブな投稿を行う割合を更新するステップと、閲覧者であるユーザがSNSを閲覧する際に、サーバが、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿の表示を制限するステップと、を備える情報処理方法が提供される。
【0083】
上記の実施の形態においては、SNSを提供するサーバが提供される。ユーザの通信端末と通信するための通信インターフェイスと、ユーザ毎の、ネガティブな投稿を行う割合を記憶するためのメモリと、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿の別のユーザへの表示を制限するプロセッサと、を備えるサーバが提供される。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
1 :ネットワークシステム
100 :サーバ
110 :CPU
120 :メモリ
121 :ユーザデータ
140 :操作部
160 :通信インターフェイス
300 :通信端末
310 :CPU
320 :メモリ
330 :ディスプレイ
340 :操作部
350 :タッチパネル
360 :通信インターフェイス
370 :スピーカ
380 :マイク
390 :カメラ
【手続補正書】
【提出日】2023-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SNS(Social Networking Service)を提供するサーバと、
前記SNSを利用するユーザの通信端末と、を備え、
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザから、表示を制限すべき別のユーザのネガティブな投稿の割合の設定を受け付けて、
前記サーバは、投稿者としてのユーザから投稿を受け付けて、当該ユーザ毎にネガティブな投稿を行う割合を記憶しておき、閲覧者としてのユーザに投稿を表示する際に、当該ユーザに設定された割合よりもネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿の表示を制限する、ネットワークシステム。
【請求項2】
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザの通信端末に、前記設定された投稿の割合を示す情報を表示させる、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザの通信端末に、当該ユーザに関するネガティブな投稿の割合を示す情報を表示させる、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザの通信端末に、表示されている投稿の投稿者に関するネガティブな投稿の割合を示す情報を表示させる、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記サーバは、前記SNSを利用中のユーザの通信端末に、表示されている投稿がネガティブであることを示す所定の表示を行う、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記サーバは、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザよりも、当該割合が低いユーザの投稿を優先して表示する、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記サーバは、ネガティブな投稿を行う割合が高いユーザよりも、当該割合が低いユーザへ優先して広告を表示する、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
サーバが、SNSを利用中のするユーザから、表示を制限すべき別のユーザのネガティブな投稿の割合の設定を受け付けるステップと、
投稿者としてのユーザがSNSに投稿するステップと、
前記サーバが、前記投稿を受け付けるステップと、
前記サーバが、受け付けた投稿がネガティブなものであるか否かを判断することによって、前記投稿者であるユーザのネガティブな投稿を行う割合を更新するステップと、
閲覧者であるユーザがSNSを閲覧する際に、前記サーバが、当該ユーザに設定された前記割合よりもネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿の表示を制限するステップと、を備える情報処理方法。
【請求項9】
SNSを提供するサーバであって、
ユーザの通信端末と通信するための通信インターフェイスと、
ユーザ毎の、ネガティブな投稿を行う割合を記憶するためのメモリと、
前記SNSを利用するユーザから、表示を制限すべき別のユーザのネガティブな投稿の割合の設定を受け付け、投稿者としてのユーザから投稿を受け付けて、ユーザ毎にネガティブな投稿を行う割合を計算して前記メモリに記憶し、閲覧者としてのユーザに投稿を表示する際に、当該ユーザに設定された前記割合よりもネガティブな投稿を行う割合が高いユーザの投稿の表示を制限するプロセッサと、を備えるサーバ。