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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007792
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H05K3/46 L
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109421
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 雅
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA22
5E316AA35
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC05
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC12
5E316CC13
5E316CC14
5E316CC32
5E316CC37
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316EE33
5E316FF07
5E316FF13
5E316FF14
5E316GG17
5E316HH11
(57)【要約】
【課題】配線基板の信頼性向上。
【解決手段】実施形態の配線基板1は、第1面1Fを有し、第1ビルドアップ部10及び第2ビルドアップ部20を含む。第1ビルドアップ部10は、第2ビルドアップ部20の第1面1F側に積層されていて平面視で第2ビルドアップ部20よりも小さく、その絶縁層21a内に埋め込まれている。第1ビルドアップ部10内の導体層12と第2ビルドアップ部20内の導体層22とが互いに接続されていて、第2ビルドアップ部20は、第1ビルドアップ部10と重なる領域とその外側の領域とに渡って形成されている配線22wを含む。第1ビルドアップ部10内の配線12fの最小配線幅は第2ビルドアップ部20内の配線22aの最小配線幅よりも小さく且つ3μm以下であり、配線12f同士の最小間隔は配線22a同士の最小間隔よりも小さく且つ3μm以下であり、配線12fのアスペクト比は2.0以上、4.0以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有し、
交互に積層されている絶縁層及び導体層を含む第1ビルドアップ部と、
交互に積層されている絶縁層及び導体層とビア導体とを含む第2ビルドアップ部と、
を含む配線基板であって、
前記第1ビルドアップ部は前記第2ビルドアップ部の前記第1面側に積層されており、
前記第1ビルドアップ部は、平面視で前記第2ビルドアップ部よりも小さく、且つ、前記第2ビルドアップ部の絶縁層内に埋め込まれており、
前記第1ビルドアップ部内の導体層と前記第2ビルドアップ部内の導体層とが前記ビア導体で互いに接続されており、
前記第2ビルドアップ部は、前記第1ビルドアップ部と重なる領域と前記領域の外側の領域とに渡って形成されていて前記ビア導体と接続されている配線を含み、
前記第1ビルドアップ部の前記第1面側の表面は、前記第1面に露出していて、前記配線基板の使用時に搭載部品に覆われる1以上の部品領域を含み、
前記第1ビルドアップ部に含まれる配線の最小の配線幅は、前記第2ビルドアップ部に含まれる配線の最小の配線幅よりも小さく、且つ3μm以下であり、
前記第1ビルドアップ部に含まれる配線同士の最小の間隔は、前記第2ビルドアップ部に含まれる配線同士の最小の間隔よりも小さく、且つ3μm以下であり、
前記第1ビルドアップ部に含まれる配線のアスペクト比は2.0以上、4.0以下である。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1ビルドアップ部に含まれる導体層の前記第2面側の表面は研磨面である。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記第2ビルドアップ部の前記第2面側に、絶縁層及び導体層を含む第3ビルドアップ部を含んでおり、
前記第3ビルドアップ部は、前記第3ビルドアップ部に含まれる導体層と前記第2ビルドアップ部に含まれる導体層とを接続するビア導体を含んでいる。
【請求項4】
請求項3記載の配線基板であって、前記第3ビルドアップ部に含まれる絶縁層が芯材を含んでいる。
【請求項5】
請求項4記載の配線基板であって、前記芯材がガラス繊維である。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1ビルドアップ部に含まれる配線の厚さは7μm以下であり、前記第2ビルドアップ部に含まれる配線の厚さは10μm以上である。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1ビルドアップ部は、前記第1ビルドアップ部の前記絶縁層を貫通するビア導体を含み、
前記第1ビルドアップ部に含まれる前記ビア導体及び前記第2ビルドアップ部に含まれる前記ビア導体は、それぞれ、前記第2面から前記第1面に向かって縮径する形状を有している。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1ビルドアップ部に含まれる前記ビア導体のアスペクト比は、0.5以上、1.0以下である。
【請求項9】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1ビルドアップ部に含まれる導体層、及び前記第2ビルドアップ部に含まれる導体層は、第1金属膜、及び前記第1金属膜における前記第2面側に形成されている第2金属膜を含んでおり、
前記第1ビルドアップ部に含まれる前記第1金属膜はスパッタリング膜であり、
前記第2ビルドアップ部に含まれる前記第1金属膜は無電解めっき膜である。
【請求項10】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1ビルドアップ部において各導体層は前記第1面側の絶縁層内に埋め込まれている。
【請求項11】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1ビルドアップ部は、前記表面を構成する絶縁層に埋め込まれて一面を前記表面に露出する部品搭載パッドを含んでいる。
【請求項12】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記第2ビルドアップ部に含まれる絶縁層よりも剛性の高い材料で形成されていて平面視で前記第1ビルドアップ部の外側に配置されている固形部材を備えている。
【請求項13】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1ビルドアップ部に含まれる絶縁層、及び前記第2ビルドアップ部に含まれる絶縁層は、それぞれ無機フィラーを含んでおり、
前記第1ビルドアップ部に含まれる無機フィラーの最大粒径は、前記第2ビルドアップ部に含まれる無機フィラーの最大粒径よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビルドアップ配線層からなる第二配線基板と、第二配線基板に形成される配線パターンよりも微細な配線パターンを含んでいて第二配線基板に接合された第一配線基板とを備える配線基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-4926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の配線基板では、第一配線基板と第二配線基板とは、はんだバンプを介して接続されている。温度変化による熱応力によってはんだバンプにクラックなどが生じて配線基板の十分な接続信頼性が得られないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有し、交互に積層されている絶縁層及び導体層を含む第1ビルドアップ部と、交互に積層されている絶縁層及び導体層とビア導体とを含む第2ビルドアップ部と、を含んでいる。そして、前記第1ビルドアップ部は前記第2ビルドアップ部の前記第1面側に積層されており、前記第1ビルドアップ部は、平面視で前記第2ビルドアップ部よりも小さく、且つ、前記第2ビルドアップ部の絶縁層内に埋め込まれており、前記第1ビルドアップ部内の導体層と前記第2ビルドアップ部内の導体層とが前記ビア導体で互いに接続されており、前記第2ビルドアップ部は、前記第1ビルドアップ部と重なる領域と前記領域の外側の領域とに渡って形成されていて前記ビア導体と接続されている配線を含み、前記第1ビルドアップ部の前記第1面側の表面は、前記第1面に露出していて、前記配線基板の使用時に搭載部品に覆われる1以上の部品領域を含み、前記第1ビルドアップ部に含まれる配線の最小の配線幅は、前記第2ビルドアップ部に含まれる配線の最小の配線幅よりも小さく、且つ3μm以下であり、前記第1ビルドアップ部に含まれる配線同士の最小の間隔は、前記第2ビルドアップ部に含まれる配線同士の最小の間隔よりも小さく、且つ3μm以下であり、前記第1ビルドアップ部に含まれる配線のアスペクト比は2.0以上、4.0以下である。
【0006】
本発明の実施形態によれば、配線密度の異なる複数の導体層を含む配線基板の信頼性を高め得ることがある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図2図1の配線基板の平面図。
図3図1のIII部の拡大図。
図4図1の配線基板の変形例を示す断面図。
図5図1の配線基板の第1ビルドアップ部の変形例を拡大して示す断面図。
図6A】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図6B】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図6C】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を拡大して示す断面図。
図6D】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を拡大して示す断面図。
図6E】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を拡大して示す断面図。
図6F】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図6G】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図7】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す平面図。
図8A】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図8B】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図8C】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図8D】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図8E】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図8F】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す断面図。
図9】実施形態の配線基板の製造中の状態の一例を示す平面図。
図10A】実施形態の配線基板の製造中の状態の他の例を拡大して示す断面図。
図10B】実施形態の配線基板の製造中の状態の他の例を拡大して示す断面図。
図10C】実施形態の配線基板の製造中の状態の他の例を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態の配線基板の構造>
一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1には、一実施形態の配線基板の一例である配線基板1の断面図が示されている。図2には、図1の配線基板1の平面図として、配線基板1の平面視における外観の一例が示されている。図1は、図2のI-I線を通る切断線による断面図である。さらに、図3には図1のIII部の拡大図が示されている。「平面視」は、配線基板1の厚さ方向に沿う視線で対象物を見ることを意味している。なお、配線基板1は本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。本実施形態の配線基板における導体層及び絶縁層それぞれの数や厚さ、並びに各導体層に含まれる導体パターンは、図1の配線基板1に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数や厚さ、並びに導体パターンに限定されない。また、以下の説明で参照される各図面では、開示される実施形態が理解され易いように特定の部分が拡大して描かれていることがあり、大きさや長さに関して、各構成要素が互いの間の正確な比率で描かれていない場合がある。
【0009】
図1及び図2に示されるように、配線基板1は、積層されている第1ビルドアップ部10及び第2ビルドアップ部20を含んでいる。配線基板1は、配線基板1の厚さ方向と直交する2つの表面(第1面1F及び第1面1Fと反対側の第2面1B)を有している。第1ビルドアップ部10は、平面視で全体的に第2ビルドアップ部20と重なっている。第2ビルドアップ部20は、平面視で部分的に第1ビルドアップ部10と重なっている。第1ビルドアップ部10は、平面視で第2ビルドアップ部20よりも小さい。第1ビルドアップ部10は、第2ビルドアップ部20のうちの第1ビルドアップ部10と重なっている部分よりも配線基板1の第1面1F側に位置している。すなわち、第1ビルドアップ部10は第2ビルドアップ部20の第1面1F側に積層されている。図1の配線基板1は、さらに、第2ビルドアップ部20における配線基板1の第2面1B側に積層されている第3ビルドアップ部30と、第3ビルドアップ部30の表面を覆うソルダーレジスト40と、を含んでいる。本実施形態の配線基板は、好ましくは、図1の配線基板1のように、コア層を含まないコアレス配線基板である。
【0010】
なお、本実施形態の配線基板1の説明において、配線基板1の第1面1F側は、「上」、又は「上側」とも称され、配線基板1の第2面1B側は、「下」、又は「下側」とも称される。また、各構成要素において配線基板1の第1面1F側を向く表面は「上面」とも称され、配線基板1の第2面1B側を向く表面は「下面」とも称される。
【0011】
第1ビルドアップ部10は、配線基板1の第1面1F側の表面である第1面10F及び第1面10Fと反対側の表面である第2面10Bと、を有している。第1ビルドアップ部10は、交互に積層されている導体層12及び絶縁層11、並びに各絶縁層11を貫通するビア導体13を含んでいる。第1ビルドアップ部10は、さらに、第1ビルドアップ部10における最も配線基板1の第1面1F側の導体層である導体層12aを含んでいる。各導体層12及び導体層12aは、それぞれ、任意の導体パターンを含んでいる。導体層12aは、第1ビルドアップ部10における最も配線基板1の第1面1F側の絶縁層11に埋め込まれて上面を第1面10Fに露出している。露出している導体層12aの上面と、第1ビルドアップ部10における最も配線基板1の第1面1F側の絶縁層11の上面とによって、第1ビルドアップ部10の第1面10Fが構成されている。
【0012】
各導体層12は、それぞれの上側に隣接する絶縁層11の下面に形成されている。また、各絶縁層11は、それぞれの上側に隣接する絶縁層11の下面のうち導体層12に覆われていない部分を覆うと共に、その下面を覆っている導体層12の各導体パターンの下面及び側面を覆っている。各ビア導体13は、各ビア導体13を含む絶縁層11それぞれの下側の導体層12と、上側の導体層12又は導体層12aとを接続している。各ビア導体13は、それぞれ、配線基板1の第2面1B側において接している導体層12と一体的に形成されている。
【0013】
第2ビルドアップ部20は、配線基板1の第1面1F側の表面である第1面20F及び第1面20Fと反対側の表面である第2面20Bを有している。第2ビルドアップ部20は、交互に積層されている導体層22及び絶縁層21、並びに各絶縁層21を貫通するビア導体23を含んでいる。第2ビルドアップ部20は、さらに、第2ビルドアップ部20の最も第1面20F側の絶縁層である絶縁層21a、及び絶縁層21aを貫通するビア導体23aを含んでいる。各導体層22は、それぞれの上側に隣接する絶縁層21又は絶縁層21aの下面に形成されている。また、各絶縁層21は、それぞれの上側に隣接する絶縁層21又は絶縁層21aの下面のうち導体層22に覆われていない部分を覆うと共に、その下面を覆っている導体層22の各導体パターンの下面及び側面を覆っている。
【0014】
第2ビルドアップ部20の各導体層22は任意の導体パターンを含んでいる。図1及び図2の例において、第2ビルドアップ部20内の最も第1ビルドアップ部10側の導体層22は、配線22wを含んでいる。配線22wは、平面視で第1ビルドアップ部10と重なる領域とその外側の領域(すなわち第1ビルドアップ部10の外側の領域)とに渡って形成されている。配線22wは、ビア導体23aを介して第1ビルドアップ部10の各導体層12及び導体層12aと接続されている。
【0015】
各ビア導体23は、各ビア導体23が含まれる絶縁層21それぞれの下側の導体層22と、上側の導体層22とを接続している。ビア導体23aは、後述されるように導体層12と導体層22とを接続している。各ビア導体23、及びビア導体23aは、それぞれ、配線基板1の第2面1B側において接している導体層22と一体的に形成されている。絶縁層21aにおける配線基板1の第1面1F側の表面によって、第2ビルドアップ部20の第1面20Fが構成されている。一方、第2ビルドアップ部20の第2面20Bは、第2ビルドアップ部20における最も配線基板1の第2面1B側の絶縁層21及び導体層22それぞれの下面によって構成されている。第2ビルドアップ部20の第2面20Bは、第3ビルドアップ部30における配線基板1の第1面1F側の表面(上面)と対向している。
【0016】
第1ビルドアップ部10は、第2ビルドアップ部20の絶縁層21a内に埋め込まれて、第1面10Fを配線基板1の第1面1Fに露出している。第1ビルドアップ部10は、平面視において、第2ビルドアップ部20に(具体的には絶縁層21aに)、その周囲を囲まれている。第1ビルドアップ部10の第1面10Fと第2ビルドアップ部20の第1面20Fとによって配線基板1の第1面1Fが構成されている。第1ビルドアップ部10の第1面10Fは、配線基板1の使用時に搭載部品(図1の例において部品E1及び部品E2)に覆われる1以上の部品領域(図1の例において部品領域Ea1及び部品領域Ea2)を含んでいる。すなわち、配線基板1の第1面1Fは、配線基板1の部品搭載面である。
【0017】
そのため、第1ビルドアップ部10は、導体層12aに、導体パッドからなる部品搭載パッド12pを含んでいる。部品搭載パッド12pは、第1ビルドアップ部10の第1面10Fを構成する絶縁層11に埋め込まれて一面を第1面10Fに露出している。部品搭載パッド12pの露出面は、例えば、はんだなどの導電性の接合材(図示せず)によって搭載部品の電極と接続され得る。部品搭載パッド12pの露出面には、例えばニッケル、パラジウム、及び金などを含むめっき層などからなる表面処理層(図示せず)が形成されていてもよい。第1ビルドアップ部10内の導体層12には、隣り合う部品領域Ea1と部品領域Ea2とを接続する配線12wのような導体パターンが形成されていてもよい。実施形態の配線基板の使用時に、図1の部品E1、E2のような搭載部品同士が短い経路で電気的に接続されると考えられる。
【0018】
配線基板1に搭載され得る部品E1、E2としては、例えば、半導体集積回路装置やトランジスタなどの能動部品のような電子部品が例示される。幾つかの例として、部品E1、E2は、ロジックチップなどの集積回路装置、又は、MPU(Micro Processor Unit)などのような処理装置や、HBM(High Bandwidth Memory)のようなメモリ装置などであり得る。
【0019】
一方、第1ビルドアップ部10の第2面10B及び側面は、第2ビルドアップ部20の絶縁層21aに覆われている。第1ビルドアップ部10内の最も第2ビルドアップ部20側(すなわち、最も配線基板1の第2面1B側)の導体層12と第2ビルドアップ部20内の最も第1ビルドアップ部10側の導体層22とが、第2ビルドアップ部20内のビア導体23aで互いに接続されている。第1ビルドアップ部10の第2面10Bは、ビア導体23aの上面と対向している。
【0020】
第3ビルドアップ部30は、積層されている絶縁層31、導体層32、及びビア導体33を含んでいる。導体層32は、導体パッド32pのような、任意の導体パターンを含んでいる。ビア導体33は、導体層32と第2ビルドアップ部20に含まれる導体層22のうちの最も第2面20B側の導体層22とを接続している。ビア導体33は、導体層32と一体的に形成されている。
【0021】
ソルダーレジスト40は、絶縁層31及び導体層32それぞれにおける配線基板1の第2面1B側の表面上に形成されている。ソルダーレジスト40には開口41が形成され、開口41からは第3ビルドアップ部30が有する導体パッド32pが露出している。ソルダーレジスト40は、例えば、感光性のポリイミド樹脂やエポキシ樹脂を用いて形成されている。
【0022】
図1の例では、配線基板1の第2面1Bは、ソルダーレジスト40における配線基板1の第2面側1B側の表面及びソルダーレジスト40から露出する導体層32の露出面からなる。本実施形態の配線基板は、必ずしも第3ビルドアップ部30及び/又はソルダーレジスト40を含まない。第3ビルドアップ部30を含まない実施形態の配線基板の第2面1Bは、第2ビルドアップ部20の第2面20B、又は、ソルダーレジスト40及び第2ビルドアップ部20の第2面20Bにおけるソルダーレジスト40からの露出部からなる。
【0023】
配線基板1の第2面1Bは、外部の配線基板(例えば任意の電気機器のマザーボード)などの外部要素に配線基板1自体が実装される場合に、外部要素に接続される接続面であり得る。図1の例において第3ビルドアップ部30の導体パッド32pは、任意の基板、電気部品、又は機構部品などと接続され得る。
【0024】
第1ビルドアップ部10の絶縁層11、第2ビルドアップ部20の絶縁層21、21a、及び第3ビルドアップ部30の絶縁層31は、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、及びフェノール樹脂などの熱硬化性の絶縁性樹脂を用いて形成され得る。絶縁層11、21、21a、31は、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリエステル樹脂(PE)、又は、変性ポリイミド樹脂(MPI)などの熱可塑性の絶縁性樹脂を用いて形成されていてもよい。絶縁層11、21、21a、31は、互いに同じ絶縁性樹脂を含んでいてもよく、互いに異なる絶縁性樹脂を含んでいてもよい。また、第1ビルドアップ部10及び第2ビルドアップ部20が、それぞれの内部に、互いに異なる絶縁性樹脂を含む絶縁層を含んでいてもよい。
【0025】
絶縁層11、21、21a、31は、ガラス繊維などからなる芯材(補強材)を含んでいてもよい。図1の例では、絶縁層31は芯材31aを含んでいる。芯材31aによって配線基板1に適度な剛性を付与し得ることがある。芯材31aは、例えば、ガラス繊維又はアラミド繊維であり得る。一方、ガラス繊維のような芯材を含まない各絶縁層は、その表面への微細な配線の形成を容易にしたり、導体層との密着性を高めたりすることがある。図1の例において、第1ビルドアップ部10又は第2ビルドアップ部20の絶縁層11、21、21aは芯材を含んでいない。
【0026】
図1では省略されているが、絶縁層11、21、21a、31は、さらに、シリカ(SiO2)、アルミナ、又はムライトなどの微粒子からなる無機フィラーを含み得る。図3に示されるように、配線基板1において、第1ビルドアップ部10に含まれる絶縁層11は無機フィラー11fを含み、第2ビルドアップ部20に含まれる絶縁層21、21aは、いずれも、無機フィラー21fを含んでいる。図3の例において第1ビルドアップ部10に含まれる無機フィラー11fの最大粒径は、第2ビルドアップ部20に含まれる無機フィラー21fの最大粒径よりも小さい。なお、無機フィラー11f、21fそれぞれの「粒径」は、各無機フィラーの表面上の2点間の最長距離である。例えば、絶縁層11は、1μm以下の最大粒径を有する複数の無機フィラー11fを含み得る。
【0027】
各絶縁層に含まれる無機フィラーの粒径が小さいと、各絶縁層に接する導体層において、微細な間隔で並ぶ配線同士の間であっても、無機フィラーに沿ったリーク経路などによる短絡不良が生じ難いことがある。また、ビア導体13のような微小なビア導体の形成が容易なことがある。より粒径の小さい無機フィラー11fを含む第1ビルドアップ部10は、配線間の絶縁性に関する良好な信頼性を有し、且つ微細なピッチで並ぶ配線を含み得る。
【0028】
第1ビルドアップ部10の導体層12、12a及びビア導体13、第2ビルドアップ部20の導体層22及びビア導体23、23a、並びに、第3ビルドアップ部30の導体層32及びビア導体33は、適切な導電性を有する、例えば銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成され得る。図1では、これら各導体層及び各ビア導体は単層で描かれているが、各導体層及び各ビア導体は、図3に示される導体層12、導体層22、及びビア導体13のように、それぞれ、多層構造を有し得る。
【0029】
図3の例では、導体層12、12a、及びビア導体13は、配線基板1の第1面1F側に位置する第1金属膜12α、及び第1金属膜12αにおける配線基板1の第2面1B側(図1参照)に形成されていて第1金属膜12αに積層されている第2金属膜12βを含んでいる。同様に導体層22(及び、図3には示されていないビア導体23、23a)は、第1金属膜22α、及び第1金属膜22αにおける配線基板1の第2面1B側に形成されている第2金属膜22βを含んでいる。第1金属膜12α、22αは、例えば、スパッタリング膜又は無電解めっき膜からなり、第2金属膜12β、22βは、一例として電解めっき膜からなる。第1金属膜12α、22αがスパッタリング膜からなる場合、図示されていないが、第1金属膜12α、22αは、それぞれ、一例として、第1面1F側の銅合金からなる第1膜と、第2面1B側の略銅からなる第2膜とを含み得る。
【0030】
一例として、第1ビルドアップ部10に含まれる第1金属膜12αがスパッタリング膜であり、第2ビルドアップ部20に含まれる第1金属膜22αが無電解めっき膜であってもよい。第1ビルドアップ部10において絶縁層11と導体層12との密着強度が十分に高いことがある。また、第2ビルドアップ部20の形成において導体層22の形成が容易なことがある。
【0031】
一方、図3の例において導体層12aは、単一の層のみを有しており、例えば電解めっき膜であり得る。図3には示されていないが、導体層32及びビア導体33は、それぞれ、導体層22の第1金属膜22αと同様の材料からなる層と、第2金属膜22βと同様の材料からなる層とを有し得る。導体層32は、さらに、これら2つの層よりも絶縁層31側に位置する金属箔からなる層を含んでいてもよい。
【0032】
ビア導体13、23、23a、33は、これら各ビア導体が形成される絶縁層それぞれを貫く貫通孔を導電体で埋めることによって形成されている。ビア導体13、23、23a、33は、いずれも、配線基板1の第2面1Bから第1面1Fに向かって縮径するテーパー形状を有している。ビア導体13、23、23a、33が、このようなテーパー形状を有しているので、部品搭載面であり得る第1面1F側の導体層ほど、微細なピッチで並ぶ配線を含み得ることがある。なお、便宜上、「縮径」という文言が用いられているが、ビア導体13、23、23a、33それぞれにおける配線基板1の積層方向と直交する断面(水平断面)の形状は、必ずしも円形に限定されない。「縮径」は、単に、各ビア導体の水平断面における外周上の最長の2点間の距離(以下では、この距離は各ビア導体の「幅」とも称される)が小さくなることを意味している。
【0033】
第1ビルドアップ部10に含まれるビア導体13は、一例として、0.5以上、1.0以下のアスペクト比(ビア導体13が接続する下側の導体層12の上面と、上側の導体層12又は導体層12aの下面との間の距離/下側の導体層12の上面におけるビア導体13の幅)を有する。第1ビルドアップ部10が、微細なピッチで並ぶ配線を含むと共に、断線し難く低い導体抵抗を有するビア導体13を含み得ることがある。ビア導体13におけるそれぞれの下側の導体層12の上面での幅は、一例として10μm程度である。
【0034】
図3に示されるように、配線基板1の第1ビルドアップ部10は、導体層12に、配線基板1に含まれる配線のうちで比較的微細なピッチで並ぶ配線12fを含んでいる。配線12fは、配線基板1に含まれる配線のうちで比較的高い密度で配置されている。一方、第2ビルドアップ部20は、導体層22に配線22aを含んでいる。
【0035】
配線基板1では、第1ビルドアップ部10に含まれる配線12fの配線幅W1のうちの最小の配線幅は、第2ビルドアップ部20に含まれる配線22aの配線幅W2のうちの最小の配線幅よりも小さい。配線12fの最小の配線幅は、1μm以上、3μm以下程度である。また、第1ビルドアップ部10に含まれる配線12f同士の間隔G1のうちの最小の間隔は、第2ビルドアップ部20に含まれる配線22a同士の間隔G2のうちの最小の間隔よりも小さい。配線12f同士の最小の間隔は、1μm以上、3μm以下程度である。
【0036】
第1ビルドアップ部10がこのような微細なピッチで並ぶ配線12fを有しているので、第1ビルドアップ部10内の配線によって搬送される電気信号に対応した、より適切な特性を有する配線が提供されることがある。また、第1ビルドアップ部10内における配線の密度が高く、よって小型の配線基板1が得られることがある。
【0037】
さらに、本実施形態の配線基板1において、第1ビルドアップ部10に含まれる配線12fのアスペクト比は2.0以上、4.0以下である。このようなアスペクト比を有する配線12fは、小さな配線幅の割に低い導体抵抗を有し得るので、挿入損失の低い信号伝送路となり得る。例えば配線基板1に搭載される部品同士の間で少ない伝送損失で信号を伝播させ得ることがある。また、所望の特性インピーダンスが得られ易く、よって、さらに挿入損失を低減し得ることがある。
【0038】
第1ビルドアップ部10の導体層12が含む配線12fは、配線基板1に含まれる配線のうちで最も小さい配線幅を有していてもよく、隣り合う配線12f同士は、配線基板1において隣り合っている配線同士のうちで最も小さい間隔で並んでいてもよい。第1ビルドアップ部10を構成する導体層12のうち1以上の任意の数の導体層が、配線基板1において最も小さい配線幅を有していて最も小さい間隔で並ぶ一組以上の配線を含み得る。
【0039】
本実施形態の配線基板1は、このように最小配線幅及び最小配線間隔が互いに異なる導体層、すなわち、互いに異なる配線ルールで設計された導体層によってそれぞれが構成されている第1ビルドアップ部10と第2ビルドアップ部20とを含んでいる。そして、前述したように、第1ビルドアップ部10と第2ビルドアップ部20とは、ビア導体23aで互いに接続されている。ビア導体23aは、前述したように第2ビルドアップ部20内の導体層22と一体的に形成されている。さらに、ビア導体23aは、第1ビルドアップ部10の導体層12と、例えば銅のような同種の金属で形成され得る。そのため、前述した特許文献1の第一配線基板と第二配線基板との間の接続信頼性に比べて第1ビルドアップ部10と第2ビルドアップ部20との接続信頼性は高いと考えられる。従って、実施形態によれば、配線密度の異なる複数の導体層を含む配線基板の信頼性を高め得ることがある。
【0040】
また、本実施形態の配線基板1において微細なピッチで並ぶ配線12fを含む第1ビルドアップ部10は、前述したように、搭載部品に覆われる部品領域(図1において部品E1、E2にそれぞれ覆われる部品領域Ea1、Ea2)を含み、且つ、平面視で第2ビルドアップ部20よりも小さい。すなわち、微細な配線を含む導体層を、配線基板1の全面ではなく、微細な配線を必要とし易い部品領域に限定的に備えている。製造の難易度が高い微細な配線を含む導体層が、配線基板1の全面ではなく限定的な領域だけに設けられているので、必要な微細配線を含みながら良好な製造歩留まりが得られると推察される。さらに、使用開始後のマイグレーションなどによる不具合の発生も限定的になり、よってその信頼性及び市場品質も高いと推察される。
【0041】
また、図1及び図2の例の配線基板1では、複数の部品搭載パッド12pの一部は、ビア導体13及びビア導体23aを介して第2ビルドアップ部20の配線22wと接続されている。さらに配線22wは、ビア導体23及びビア導体33を介して導体パッド32pに接続されている。すなわち、部品搭載パッド12pと導通している導体パターンが、平面視で第1ビルドアップ部10の外側の領域に引き出されて、部品搭載面である第1面1Fの反対面である第2面1B上のパッドに接続されている。
【0042】
平面視で第1ビルドアップ部10よりも大きい第2ビルドアップ部20及び第3ビルドアップ部30には、第1ビルドアップ部10の部品搭載パッド12pよりも大きなピッチで、導体パッド32pのような導体パッドを設けることができる。従って、第1ビルドアップ部10内の部品搭載パッド12pに繋がる導電路を、配線22wなどによって、第2ビルドアップ部20及び第3ビルドアップ部30までファンアウトすることができる。このように、図1及び図2の例の配線基板1では、限定的な領域(第1ビルドアップ部10)だけに特に微細な配線を含みながら、その他の領域(少なくとも第2ビルドアップ部20)を用いて、微細なピッチで並ぶ部品搭載パッド12pをファンアウトすることができる。配線基板1の第2面1Bと接続されるマザーボードなどとして、ラフな配線ルールで設計された、安価で製造の容易な配線基板の採用が可能になることがある。
【0043】
配線基板1において配線12fのような、第1ビルドアップ部10に含まれる配線の厚さは、例えば4μm以上であって、7μm以下であり得る。製造時のエッチング残り等が生じ難く、よって微細な間隔で並ぶ配線12fなどの配置に有利なことがある。一方、第1ビルドアップ部10に含まれる絶縁層11の厚さは、例えば7.5~10μm程度であり得る。
【0044】
第1ビルドアップ部10の導体層12における配線基板1の第2面1B側の表面は、研磨で仕上げられた状態を有する研磨面であり得る。図1の例では、3つの導体層12の全てにおいて第2面1B側の表面は研磨面である。研磨面は、例えば、金属の析出によって形成されたままのめっき膜の面粗度よりも低い面粗度を有し得る。そのため、研磨面を有する各導体層12に含まれる配線12fにおいて、高周波信号の伝送時の表皮効果による実質的な導体抵抗の増大に伴う信号伝送特性の低下や電圧降下の増大が生じ難いと考えられる。例えば、各導体層12が第2面1B側の表面として有する研磨面は、0.3μm以下の算術平均粗さを有し得る。そのような面粗度が得られていると、伝送特性に関する上記のような好ましい効果が得られることがある。
【0045】
前述したように、第2ビルドアップ部20の導体層22に含まれる配線の配線幅W2及び配線間隔G2それぞれの最小値は、それぞれ、第1ビルドアップ部10の導体層12に含まれる配線の配線幅W1及び配線間隔G1よりも大きい。例えば、第2ビルドアップ部20に含まれる配線の配線幅W2の最小値は4μm程度であり、配線間の間隔G2の最小値は6μm程度である。第2ビルドアップ部20内のビア導体23、23aのビア径(各ビア導体が接続する下側の導体層22の上面における各ビア導体の幅)は、約50μm程度である。さらに、導体層22の厚さは、導体層12の厚さよりも厚くてもよく、例えば第2ビルドアップ部20に含まれる配線22aの厚さは10μm以上であり得る。
【0046】
図1の配線基板1において第3ビルドアップ部30に含まれる導体層32の配線の配線幅は、第2ビルドアップ部20に含まれる配線の配線幅よりも大きく、導体層32の配線の配線間隔は、第2ビルドアップ部20に含まれる配線の配線間隔よりも大きい。また、第3ビルドアップ部30内の絶縁層31及び導体層32は共に、第2ビルドアップ部20内の絶縁層21及び導体層22と比較して厚く形成されている。例えば、絶縁層31の厚さは、100μm以上、250μm以下程度である。また、導体層32の厚さは、20μm程度である。絶縁層31に形成されているビア導体33の幅(導体層32の上面における幅)は、約100μm程度である。
【0047】
<実施形態の配線基板の変形例>
図4には、実施形態の配線基板の変形例である配線基板1aの断面図が示されている。配線基板1aは、図1の配線基板1が含む構成要素に加えて、固形部材5を備えている。固形部材5は、平面視で第1ビルドアップ部10の外側に配置されている。固形部材5は。第2ビルドアップ部20の絶縁層21a内に埋め込まれている。固形部材5における配線基板1aの第1面1F側の表面は第1面1Fに露出している。固形部材5は、第2ビルドアップ部20に含まれる絶縁層21よりも剛性の高い材料で形成されている。そのため、固形部材5が備わっている配線基板1aでは、配線基板1aの機械的強度が強化される。配線基板1aの反りが抑制されると考えられる。
【0048】
固形部材5の材料としては、銅などの金属が例示される。しかし固形部材5の材料は銅に限定されず、金属にも限定されない。図4の例において固形部材5の厚さは、第1ビルドアップ部10の厚さと略同じであるが、固形部材5は、第1ビルドアップ部10よりも厚くてもよい(固形部材5の下面が第1ビルドアップ部10の第2面10Bよりも、配線基板1aの第2面1B側に位置していてもよい)。固形部材5は、第1ビルドアップ部10の外側の全周に渡って配置されていてもよく、従って、固形部材5は平面視で枠状の形状を有していてもよい。また、複数の固形部材5が、第1ビルドアップ部10の周囲全周に不連続に配置されていてもよい。さらに固形部材5は、第1ビルドアップ部10の周囲の一部(例えば、対向する2辺や任意の一辺)だけに配置されていてもよい。
【0049】
図4の配線基板1aは、固形部材5を備えている点で図1の配線基板1と異なっている。図4の配線基板1aにおいて図1の配線基板1と同様の構成要素には、図1に付されている符号と同じ符号が付されるか適宜省略され、それら同様の構成要素についての重複的な説明は省略される。
【0050】
<第1ビルドアップ部の変形例>
図5には、図1の配線基板1の第1ビルドアップ部10の変形例である第1ビルドアップ部10aの一部が示されている。図5は、第1ビルドアップ部10aにおける図1に示されるIII部に相当する部分の拡大図である。
【0051】
図5に示されるように、本変形例の第1ビルドアップ部10aにおいて各導体層12は、第1ビルドアップ部10の第1面10F側、すなわち配線基板1の第1面1F側(図1参照)で接している絶縁層11内に埋め込まれている。導体層12は、絶縁層11における第2ビルドアップ部20側の表面11a付近に埋め込まれていて表面11aに導体層12の下面(第2ビルドアップ部20側の表面)を露出させている。
【0052】
各絶縁層11は、表面11aに凹部111を有している。ビア導体13は、各絶縁層を貫いて凹部111と連通する貫通孔13a内に形成されている。一方、各導体層12は、各絶縁層11が有する凹部111内を充填する導電体によって構成されている。すなわち、各導体層12は、各絶縁層11の凹部111内に形成されている。このような構造を有する各導体層では、配線12fのような各導体パターン間に導電体の残渣が存在し難く、そのため短絡不良が生じ難いと考えられる。そして、一層微細なピッチで並ぶ配線の実現が可能なことがある。
【0053】
図1図3の配線基板1と同様に、導体層12及びビア導体13は、例えばスパッタリング膜である第1金属膜12αと、第1金属膜12αにおける第2ビルドアップ部20側に形成されている第2金属膜12βとによって構成されている。そして本変形例の第1ビルドアップ部10aにおいて第1金属膜12αは、凹部111の底面及び壁面に沿って形成されている。すなわち配線12fのような導体パターンにおいて第1金属膜12αは第2金属膜12βの上面及び側面を覆っている。
【0054】
本変形例においても、各導体層12の下面は研磨面であり得る。各絶縁層11の表面11aも研磨面であってもよい。また、各導体層12の下面は、各絶縁層11の表面11aと略面一である。このように、各導体層12において絶得層11の表面11aに露出する下面(研磨面)が絶縁層11の表面11aと面一なので、第1ビルドアップ部10の第2面10Bにおいて高い平坦性が得られると考えられる。従って、配線基板1の第2面1B(図1参照)においても良好な平坦性が得られることがある。
【0055】
本変形例において各絶縁層11は、図5に示されるようにバリア層112を含むことがある。バリア層112における第1ビルドアップ部10の第2面10B側の表面は凹部111の底面、すなわち、各導体層12における第1面10F側の表面に接している。図5の例の各絶縁層11は、バリア層112と、バリア層112よりも上側及び下側の部分を構成する本体層113とによって構成されている。本体層113は、図1の配線基板1の各絶縁層の材料として例示されたエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や各種の熱可塑性樹脂によって形成されている。
【0056】
一方、バリア層112は、各絶縁層への凹部111の形成に用いられる加工手段への耐性が本体層113の構成材料よりも高い材料で形成される。例えばエキシマレーザー光が照射されるレーザー加工で凹部111が形成される場合、バリア層112は、シリコン酸化物、又は、シリコン窒化物で形成され得る。そのようなバリア層112を各絶縁層11が含んでいると、所望の深さを有する凹部111の形成が容易なことがある。なお、本変形例において各絶縁層11は必ずしもバリア層112を含まない。例えば、凹部111の形成における加工条件、例えばレーザー光のパワーなどを調整することによって、所望の深さの凹部111が形成され得る。
【0057】
バリア層112を含む絶縁層11が形成される場合は、後述される絶縁層11の形成工程においてフィルム状の樹脂の積層及び熱圧着が2回行われ、その間にバリア層112が形成される。すなわち、1回目のフィルム状樹脂の積層及び熱圧着によって、絶縁層11におけるバリア層112よりも第1ビルドアップ部10の第1面10F側の本体層113が形成される。その後、その本体層113上に、例えばスパッタリングによって、バリア層112としてシリコン酸化膜やシリコン窒化膜が形成される。そのバリア層112上に2回目のフィルム状樹脂の積層及び熱圧着を行うことによって、バリア層112よりも第2面10B側の本体層113が形成される。
【0058】
つぎに、図6A図6G図7図8A図8F、及び図9を参照して、図1に例示の配線基板1が製造される場合を例に、本実施形態の配線基板を製造する方法の一例が説明される。なお、先に為された配線基板1の各構成要素の材料の説明と異なる説明がない限り、各構成要素は、各構成要素について先に説明された材料のいずれかを用いて形成され得る。また、以下の実施形態の配線基板を製造する方法の説明においては、支持基板S1又は支持基板S2に近い側は「下」又は「下側」とも称され、支持基板S1又は支持基板S2から遠い側は「上」又は「上側」とも称される。従って、製造される配線基板の各構成要素における支持基板S1側又は支持基板S2側を向く面は「下面」とも称され、支持基板S1と反対側又は支持基板S2と反対側と向く面は「上面」とも称される。
【0059】
図6Aに示されるように、例えばガラス基板である支持基板S1が用意される。支持基板S1の表面には、例えば光可塑性のアゾベンゼン系高分子接着剤を含む接着層AL1が、塗布や積層などによって形成される。そして、接着層AL1上に導体層12aが形成される。図6Aの例では、導体層12aは、支持基板S1の一方の表面S1a上にのみ形成されている。しかし図6Aにおいて表面S1aと反対側の表面S1bにおいても、導体層12aが形成されてもよい。そして、図6B図6Gを参照して説明される処理や各構成要素の形成が表面S1bにおいて行われてもよいが、図6B図6Gでは、表面S1b側の図示は省略される。
【0060】
導体層12aの形成では、先ず、接着層AL1上に、無電解めっき又はスパッタリングなどによって、又は、接着層AL1を用いた金属箔の貼着によって、例えば銅やニッケルなどからなる金属膜層が形成される。その金属膜層上に、導体層12aに含まれるべき導体パターンの形成領域に応じた開口を有するめっきレジスト(図示せず)が、ドライフィルムのラミネート並びに露光及び現像によって形成される。そして、金属膜層を給電層として用いる電解めっきによって導体層12aが形成される。その後、めっきレジストが除去される。図6Aに示される状態の導体層12aが得られる。
【0061】
図6Bに示されるように、導体層12aを覆う絶縁層11が形成される。絶縁層11は、例えば、フィルム状のエポキシ樹脂を導体層12a上に積層して熱圧着することによって形成される。前述したように、絶縁層11(並びに後工程で形成される絶縁層21、21a、及び絶縁層31(図8C図8E参照))は、エポキシ樹脂以外にも、BT樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又はフッ素樹脂やLCPなどの熱可塑性樹脂を用いて形成され得る。
【0062】
絶縁層11には、ビア導体13(図1参照)の形成位置に、炭酸ガスレーザー光などの照射によって貫通孔13aが形成される。図示されていないが、炭酸ガスレーザー光などの照射による貫通孔13aの形成は、絶縁層11の表面をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の保護膜で保護しながら行われてもよい。その場合、保護膜及び絶縁層11を貫く貫通孔13aが形成されてもよい。
【0063】
貫通孔13aの形成後、好ましくは、貫通孔13a内に残る樹脂屑(スミア)を除去するデスミア処理が行われる。デスミア処理は、過マンガン酸塩溶液などの薬液への浸漬を含むウェット処理であってもよいが、例えば、アルゴン、四フッ化メタン、四フッ化メタンと酸素との混合気、又は、六フッ化硫黄などのプラズマガスを用いるプラズマ処理のようなドライ処理であってもよい。例えばプラズマ処理によるデスミア処理では、ウェット処理と比べて絶縁層11の表面の浸食が抑制されることがある。デスミア処理もまた、絶縁層11の表面がPETフィルムなどの保護膜で保護された状態で行われてもよい。
【0064】
そして、貫通孔13a内及び絶縁層11の表面の全面に、スパッタリングや無電解めっきによって、例えば銅やニッケルなどからなる金属膜121が形成される。スパッタリングで金属膜121が形成されると、絶縁層11との間で高い密着性を示す金属膜121が形成されることがある。金属膜121の一部は、絶縁層11上に形成される導体層12を構成する第1金属膜12α(図3参照)となり得る。なお、貫通孔13aの形成時及び/又はデスミア処理時において絶縁層11の表面に保護膜が設けられている場合、保護膜は、金属膜121の形成前に、剥離により除去される。
【0065】
図6Cに示されるように、金属膜121上に、開口R11を有するめっきレジストR1が設けられる。図6C、並びに以下で参照される図6D及び図6Eは、図6Bに示されるVIC部に相当する部分における各工程後の状態を拡大して示している。導体層12aは、電解めっきによる導体層12aの形成時の給電層である金属膜MF上に形成されている。めっきレジストR1は、例えば金属膜121上へのドライフィルムのラミネートにより形成され、開口R11は、例えばフォトリソグラフィ技術により形成される。開口R11は、絶縁層11上に形成される導体層12(図6F参照)が含むべき導体パターンに対応するパターンで形成される。
【0066】
導体層12に含まれる配線12f(図3参照)などの各導体パターンは、前述したように、3μm以下の配線幅を有することがある。各開口R11は、各開口R11内に形成される配線12fなどの各導体パターンが有するべき配線幅に応じた開口幅で形成される。また、前述したように、導体層12の配線12fは、2.0以上、4.0以下のアスペクト比を有することがある。従って、図6Cに例示の方法では、好ましくは、形成される配線が有するべきアスペクト比を満たす配線の厚さ(高さ)以上の厚さ(高さ)を有するめっきレジストR1が形成される。
【0067】
図6Dに示されるように、金属膜121を給電層として用いる電解めっきによって、例えば銅やニッケルなどからなる金属膜122がめっきレジストR1の開口R11内に形成される。金属膜122の一部は、絶縁層11上に形成される導体層12を構成する第2金属膜12β(図3参照)となり得る。絶縁層11の貫通孔13a内にはビア導体13が形成される。金属膜122は、図6Dの例のように、開口R11内を全て充填し、さらにめっきレジストR1の上面よりも上側に向かって突出する湾曲した上面を有するように形成されてもよい。所望の厚さ及びアスペクト比を有する配線をより確実に形成し得ることがある。
【0068】
図6Eに示されるように、金属膜122の上面側の一部が研磨によって除去される。少なくともめっきレジストR1の上面からの金属膜122の突出部分は除去される。金属膜122は、金属膜121との合計の厚さが、絶縁層11上に形成される導体層12(図6F参照)に求められる厚さに達するまで、例えば、7μm以下となるように研磨される。図6Eの例のように、めっきレジストR1の上面側の一部も金属膜122の一部と共に除去されてもよい。金属膜122の研磨は、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)などの任意の方法により行われる。研磨の結果、金属膜122の上面(絶縁層11側と反対側の表面)は、0.3μm以下の算術平均粗さを有し得る。
【0069】
金属膜122の研磨後、めっきレジストR1が除去される。さらに、金属膜121のうちの金属膜122に覆われていない部分が、例えばクイックエッチングなどによって除去される。
【0070】
図6Fに示されるように、配線12fなどの互いに分離された所定の導体パターンを含む導体層12が得られる。図6Fでは、図1と同様に、導体層12が1つの層だけを有するように示されているが、導体層12は、図6Eに示される金属膜122、及び、前述されたように図6Eの状態から一部が除去された後の金属膜121によって構成されている。
【0071】
図6Fに示されるように、図6Eまでの工程で形成されている絶縁層11及び導体層12の上に、さらに、2組の絶縁層11及び導体層12、並びにビア導体13が、図6Bから図6Eを参照して説明された方法と同様の方法で形成される。
【0072】
図6Gに示されるように、支持基板S1が除去される。例えばレーザー光が接着層AL1に照射され、接着層AL1が軟化した後、支持基板S1が導体層12a及び絶縁層11から剥離される。具体的には、接着層AL1と金属膜MF(図6C参照)とが分離され、露出する金属膜層MFがエッチングなどで除去される。導体層12aの下面及び絶縁層11の下面が露出する。導体層12a内の部品搭載パッド12pなどの個々の導体パターン同士が互いに分離される。第1ビルドアップ部10が完成する。
【0073】
支持基板S1の除去後、第1ビルドアップ部10内の導体層12及び導体層12a、並びにビア導体13に関する、オープン・ショートチェックが行われてもよい。後述される後工程でさらに各材料や工数が費やされる前に不良品を除去することができる。
【0074】
なお、図7に示されるように、第1ビルドアップ部10の形成では、平面視で個々の第1ビルドアップ部10の大きさの2倍以上の大きさの支持基板S1上で、複数の第1ビルドアップ部10が同時に形成されてもよい。そして、支持基板S1と共に、連結状態の第1ビルドアップ部10がルーターなどを用いて切断線C1で切断されて個片化されてもよい。
【0075】
図8A図8Fに示されるように、第2ビルドアップ部20(図8D参照)及び第3ビルドアップ部30(図8E参照)が形成される。図8Aに示されるように、支持基板S2が用意される。支持基板S2の表面に接着材が積層又は塗布されて接着層AL2が形成される。図8Aの例において、支持基板S2は、一例としてエポキシ樹脂などで形成されている基材S21と、基材S21の両面それぞれに圧着されている例えば銅箔からなる金属層S22とによって構成されている両面銅張積層板である。しかし、支持基板S2は、図6Aの支持基板S1の材料として例示されたガラス板であってもよく、任意の材料で構成され得る。接着層AL2は、後工程で支持基板S2の剥離が可能なように、例えば、熱可塑性や光可塑性の接着剤で形成され得る。
【0076】
そして、図6A図6Gに例示の工程を経て形成された第1ビルドアップ部10が、接着層AL2上に搭載され、接着層AL2の粘着力で保持される。第1ビルドアップ部10は、導体層12aが形成されている側の表面(第1面10F)を支持基板S2に向けて搭載される。なお、図8A図8Eには、支持基板S2の両面それぞれに第2ビルドアップ部20及び第3ビルドアップ部30が形成される例が示されているが、第2ビルドアップ部20及び第3ビルドアップ部30は、支持基板S2の片面だけに形成されてもよい。図8B図8Eにおいて、支持基板S2の上面側に示される各構成要素についての符号は省略される。
【0077】
図8B及び図8Cに示されるように、第1ビルドアップ部10を覆う絶縁層21aが形成される。絶縁層21aは、図8Bに示されるように、フィルム状樹脂21aaを第1ビルドアップ部10、及び接着層AL2の上に積層し、熱圧着することによって形成される。フィルム状樹脂21aaは、絶縁層21aなどの材料として前述したように、エポキシ樹脂、BT樹脂、及びフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又はフッ素樹脂やLCPなどの熱可塑性樹脂であり得る。
【0078】
フィルム状樹脂21aaは、支持基板S2上に搭載された第1ビルドアップ部10を覆うので、熱圧着後の絶縁層21aは、図8Cに二点鎖線L1で示されるように表面に隆起部211を有することがある。従って、フィルム状樹脂21aaの熱圧着後、必要に応じて、絶縁層21aの表面が、CMPなどの任意の方法で研磨されてもよい。研磨によって、図8Cに示されるような良好な平坦性を有する表面212が得られると考えられる。
【0079】
また、熱圧着後の絶縁層21aの表面の研磨は、第1ビルドアップ部10における第1面10Fと反対側の表面(第2面10B)を構成する導体層12が露出するまで行われてもよい。すなわち、図8Cに二点鎖線L2で示されるような、導体層12における第2面10B側の表面と絶縁層21aの表面とが面一になる位置まで、絶得層21aの表面が研磨されてもよい。研磨量(研磨終了位置)の制御が容易なことがある。また、導体層12の表面の面粗度を一層低下させて、導体層12の高周波信号の伝送特性を一層向上させ得ることがある。このように導体層12が露出するまで絶縁層21aが研磨される場合、研磨後に、再度、図8Bに示されるフィルム状樹脂21aaのようなフィルム状樹脂、好ましくは、フィルム状樹脂21aaよりも薄いフィルム状樹脂が、積層されて熱圧着されてもよい。その結果、図8Cに示されるような状態の絶縁層21aが形成されてもよい。
【0080】
図8Dに示されるように、絶縁層21a上に導体層22が形成されると共に、絶縁層21a内にビア導体23aが形成される。導体層22及びビア導体23aは、導体層及びビア導体の任意の形成方法を用いて形成される。例えば、セミアディティブ法を用いて、導体層22及びビア導体23aが形成される。
【0081】
そして、絶縁層21が、絶縁層21aと同様にフィルム状樹脂の熱圧着によって形成され、その絶縁層21の内部及び表面にビア導体23及び導体層22が、セミアディティブ法などによって形成される。さらに、絶縁層21、ビア導体23、及び導体層22の形成が、必要な回数だけ繰り返され、図8Dに示される第2ビルドアップ部20が完成する。
【0082】
図8Eに示されるように、第2ビルドアップ部20における支持基板S2側と反対側の表面(第2面20B)上に、第3ビルドアップ部30の絶縁層31、導体層32及び絶縁層31を貫通するビア導体33が形成される。図8Eの絶縁層31は、ガラス繊維などからなる芯材31aに含侵されたエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を含むプリプレグを積層及び熱圧着することによって形成されている。絶縁層31は、絶縁層21aと同様に、フィルム状樹脂の熱圧着によって形成されてもよい。導体層32及びビア導体33は、導体層22及びビア導体23の形成方法と同様に、例えばセミアディティブ法を用いて形成されてもよく、サブトラクティブ法などの他の任意の導体層の形成方法で形成されてもよい。第3ビルドアップ部30の形成が完了する。
【0083】
さらに、ソルダーレジスト40が、絶縁層31及び導体層32の表面上への感光性のエポキシ樹脂やポリイミド樹脂層の形成によって形成される。そして、フォトリソグラフィ技術により、導体パッド32pを画定する開口41が形成される。
【0084】
その後、支持基板S2が取り外される。例えば、接着層AL2が、加熱、又はレーザー光の照射などによって軟化され、その状態で、支持基板S2が第1ビルドアップ部10及び絶縁層21aから剥離される。接着層AL2が残存する場合は、適切な溶剤を用いて、残存する接着層AL2が除去される。
【0085】
支持基板S2の除去によって、図8Fに示されるように、部品搭載パッド12pの表面などを含む第1ビルドアップ部10の第1面10F及び第2ビルドアップ部20の第1面20Fが露出する。すなわち、配線基板1の第1面1Fが露出する。図1に示される配線基板1が完成する。
【0086】
配線基板1の製造工程では、図9に示されるように、平面視で個々の配線基板1の大きさの2倍以上の大きさの支持基板S2上に複数の第1ビルドアップ部10が搭載されてもよい。そして、それぞれが各第1ビルドアップ部10及び第2ビルドアップ部20を含む複数の配線基板1が、支持基板S2上で同時に製造されてもよい。そして、支持基板S2と共に、連結状態の配線基板1がルーターなどを用いて切断線C2で切断されて個片化されてもよい。
【0087】
なお、先に参照した図4に例示の配線基板1aが製造される場合は、図8Aを参照して説明された工程において、第1ビルドアップ部10と共に、第1ビルドアップ部10の外側に、固形部材5が搭載される。固形部材5は、接着層AL2上に載置され、接着層ALの粘着力で保持される。そして、図8B及び図8Cを参照して説明された工程で、第1ビルドアップ部10と共に、絶縁層21a内に埋め込まれる。
【0088】
図10A図10Cを参照して、先に参照した図5に示される変形例の第1ビルドアップ部10aの形成方法が説明される。なお、図10A図10Cは、形成途上の第1ビルドアップ部10aにおける、図6C図6Eに示される部分に相当する部分の各工程後の状態を示している。
【0089】
図10Aに示されるように、先に参照された図6Aに示される状態から、絶縁層11と貫通孔13aが順に形成され、さらに凹部111が形成される。図10Aに示される段階では、絶縁層11は、配線基板1(図1参照)の完成時に絶縁層11が有すべき厚さよりも厚く形成されていてもよい。なお、絶縁層11の形成において、前述されたような方法でバリア層112が形成されていてもよい。図10A図10Cでは、バリア層112は、二点鎖線で示されている。貫通孔13aは、例えば炭酸ガスレーザー光の照射などによってビア導体13(図5参照)の形成位置に形成される。貫通孔13aは、バリア層112が形成されている場合には、バリア層112を貫いて導体層12aに達するように形成される。
【0090】
貫通孔13aの形成後、導体層12(図5参照)の各導体パターンの形成位置に凹部111が形成される。例えばエキシマレーザー光の照射によって、所定の深さの凹部111が形成される。バリア層112が形成されている場合は、バリア層112でレーザー光の透過が防がれるため、容易に、所望の深さの凹部111を形成し得ることがある。バリア層112が形成されていなくても、例えばエキシマレーザー光の条件の調整などにより、所望の深さの凹部111を形成することができる。凹部111の形成後、好ましくはプラズマ処理などによるデスミア処理が行われる。
【0091】
金属膜121が、貫通孔13a及び凹部111の内部を含む絶縁層11の露出する表面の全面に形成される。バリア層112が形成されている場合は、バリア層112の露出面上にも金属膜121が形成される。金属膜121は、例えばスパッタリングや無電解めっきによって形成される。
【0092】
図10Bに示されるように、貫通孔13aの内部、凹部111の内部、及び絶縁層11における導体層12aと反対側の表面の全面の金属膜121上に、金属膜122が形成される。金属膜122は、好ましくは、絶縁層11の表面における凹部111が形成されていない領域の上に所望の厚みを有するように形成される。金属膜122は、例えば、金属膜121を給電層として用いる電解めっきによって形成される。凹部111が金属膜122で充填される。貫通孔13a内も金属膜122で充填されてビア導体13が形成される。
【0093】
図10Cに示されるように、絶縁層11の表面において凹部111が形成されていない領域上の金属膜122及び金属膜121が、例えばCMPなどの任意の方法を用いる研磨によって除去される。金属膜122は、凹部111の底面上の金属膜121との合計の厚さが、導体層12に求められる厚さに達するまで研磨される。金属膜122の研磨の際、絶縁層11の表面付近も金属膜122と共に研磨によって除去されてもよい。導体層12の表面と面一な絶縁層11の表面11aが得られる。
【0094】
絶縁層11の表面上の金属膜122及び金属膜121の除去により、導体層12の各導体パターン同士が分離される。図5の第1ビルドアップ部10aの他の導体層12も、図10Cに示される導体層12について説明された方法と同様の方法で形成される。図10A図10Cを参照して説明された方法では、導体層12に含まれる各導体パターンの間に形成されていた金属膜121のような導電体は、エッチングなどではなく研磨によってより確実に除去される。そのため、導体パターン間での短絡不良が生じ難いと考えられる。また、そのように短絡不良が生じ難いので、配線同士が一層微細なピッチで配置され得ることがある。
【0095】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、ならびに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。実施形態の配線基板に含まれる各ビルドアップ部は、上述のように、任意の数の絶縁層及び導体層を有し得る。また、各絶縁層は、図3に示されるような無機フィラーを含んでいなくてもよい。実施形態の配線基板の部品搭載面と反対側の最外層の絶縁層及び導体層が、第2ビルドアップ部内の絶縁層及び導体層よりも厚く形成されなくてもよいし、配線基板の部品搭載面と反対側の最外層の絶縁層が芯材を含んでいなくてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1、1a 配線基板
1F 配線基板の第1面
1B 配線基板の第2面
10、10a 第1ビルドアップ部
10F 第1ビルドアップ部の表面(第1面)
11 第1ビルドアップ部の絶縁層
11f 第1ビルドアップ部の無機フィラー
12、12a 第1ビルドアップ部の導体層
12f 第1ビルドアップ部の配線
12p 部品搭載パッド
12α 第1金属膜
12β 第2金属膜
13 第1ビルドアップ部のビア導体
20 第2ビルドアップ部
21、21a 第2ビルドアップ部の絶縁層
21f 第2ビルドアップ部の無機フィラー
22 第2ビルドアップ部の導体層
22a、22w 第2ビルドアップ部の配線
22α 第2ビルドアップ部の第1金属膜
22β 第2ビルドアップ部の第2金属膜
23、23a 第2ビルドアップ部のビア導体
30 第3ビルドアップ部
31 第3ビルドアップ部の絶縁層
31a 芯材
32 第3ビルドアップ部の導体層
33 第3ビルドアップ部のビア導体
5 固形部材
E1、E2 部品(搭載部品)
Ea1、Ea2 部品領域
W1 第1ビルドアップ部の配線の配線幅
G1 第1ビルドアップ部の配線同士の間隔
W2 第2ビルドアップ部の配線の配線幅
G2 第2ビルドアップ部の配線同士の間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10A
図10B
図10C