(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025078085
(43)【公開日】2025-05-19
(54)【発明の名称】コイル電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20250512BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20250512BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20250512BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20250512BHJP
【FI】
H01F27/00 R
H01F17/00 D
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F27/24 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024194123
(22)【出願日】2024-11-06
(31)【優先権主張番号】10-2023-0152568
(32)【優先日】2023-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0032748
(32)【優先日】2024-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梁 主 歡
(72)【発明者】
【氏名】ジョ 敏 智
(72)【発明者】
【氏名】金 範 錫
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070BB01
5E070CA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多様な形状を有する導線で設計自由度を高めた巻線型カップルドインダクタ構造を有する電子部品を提供する。
【解決手段】コイル電子部品1000は、第1導線210の少なくとも一つのターンを含む第1コイル、第2導線310の少なくとも一つのターンを含んで第1コイルに対向する第2コイル、第1コイルの第1コア113と第2コイルの第2コア123との間の第1領域R1から第1コイルと第2コイルとの間の第2領域R2まで配置されて第1磁性材料を含む中間層(第3磁性体103)並びにコイル及び中間層を囲んで第2磁性材料を含む本体100を備え、第1、第2導線の断面は、夫々長方形形状であり、式1、2を満足する。[式1]0<w1≦t1<T1/2、[式2]0<w1’≦t1’<T1/2。t1:第1導線の断面の厚さ、w1:第1導線の断面の幅、t1’:第2導線の断面の厚さ、w1’:第2導線の断面の幅、T1:本体の厚さ
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導線(conductive wire)の少なくとも一つのターン(turn)を含む第1コイルと、
第2導線の少なくとも一つのターンを含んで前記第1コイルに対向する第2コイルと、
前記第1コイルの第1コアと前記第2コイルの第2コアとの間の第1領域から前記第1コイルと前記第2コイルとの間の第2領域まで配置されて第1磁性材料を含む中間層と、
前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記中間層を囲んで第2磁性材料を含む本体と、を備え、
前記第1導線及び前記第2導線の断面は、それぞれ長方形形状であり、下記条件式1及び条件式2をそれぞれ満足することを特徴とするコイル電子部品。
[条件式1]
0<w1≦t1<T1/2
[条件式2]
0<w1’≦t1’<T1/2
ここで、
t1:第1導線の断面の厚さ
w1:第1導線の断面の幅
t1’:第2導線の断面の厚さ
w1’:第2導線の断面の幅
T1:本体の厚さ
【請求項2】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、
前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和は、0.048以上0.200以下であることを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項3】
前記第1コイルのターン数は、7.81以上27.17以下であり、
前記第2コイルのターン数は、7.81以上27.17以下であることを特徴とする請求項2に記載のコイル電子部品。
【請求項4】
w1及びt1並びにw1’及びt1’は、それぞれ下記範囲を満足することを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
0.0075≦w1/L1≦0.02735、0.0548≦t1/T1≦0.2
0.0075≦w1’/L1≦0.02735、0.0548≦t1’/T1≦0.2
ここで、
L1:本体の長さ
【請求項5】
前記第1コイルのターン数及び前記第2コイルのターン数は、それぞれ4.5であり、
前記第1コイルの第1コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.3905以上0.47以下であり、
前記第2コイルの第2コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.3905以上0.47以下であることを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項6】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、
前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.026であることを特徴とする請求項5に記載のコイル電子部品。
【請求項7】
第1導線(conductive wire)の少なくとも一つのターン(turn)を含む第1コイルと、
第2導線の少なくとも一つのターンを含んで前記第1コイルから離隔される第2コイルと、
前記第1コイルの第1コアと前記第2コイルの第2コアとの間の第1領域から前記第1コイルと前記第2コイルとの間の第2領域まで配置されて第1磁性材料を含む中間層と、
前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記中間層を囲んで第2磁性材料を含む本体と、を備え、
前記第1導線及び前記第2導線の断面は、それぞれ円形であり、下記条件式3及び条件式4をそれぞれ満足することを特徴とするコイル電子部品。
[条件式3]
0<D1<L2/2
[条件式4]
0<D2<L2/2
ここで、
D1:第1導線の断面の直径
D2:第2導線の断面の直径
L2:本体の長さ
【請求項8】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、
前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.012以上0.151以下であることを特徴とする請求項7に記載のコイル電子部品。
【請求項9】
前記第1コイルのターン数は、2.5以上23.2以下であり、
前記第2コイルのターン数は、2.5以上23.2以下であることを特徴とする請求項8に記載のコイル電子部品。
【請求項10】
D1及びD2は、それぞれ下記範囲を満足することを特徴とする請求項7に記載のコイル電子部品。
0.0088<D1/L2≦0.100、0.0088<D2/L2≦0.100
0.0176<D1/T2≦0.200、0.0176<D2/T2≦0.200
ここで、
L2:本体の長さ
T2:本体の厚さ
【請求項11】
前記第1コイルのターン数及び前記第2コイルのターン数は、それぞれ4.5であり、
前記第1コイルの第1コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.1以上0.4785以下であり
前記第2コイルの第2コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.1以上0.4785以下であることを特徴とする請求項7に記載のコイル電子部品。
【請求項12】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、
前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.001以上0.354以下であることを特徴とする請求項11に記載のコイル電子部品。
【請求項13】
第1導線(conductive wire)の少なくとも一つのターン(turn)を含む第1コイルと、
第2導線の少なくとも一つのターンを含んで前記第1コイルから離隔される第2コイルと、
前記第1コイルの第1コアと前記第2コイルの第2コアとの間の第1領域から前記第1コイルと前記第2コイルとの間の第2領域まで配置されて第1磁性材料を含む中間層と、
前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記中間層を囲んで第2磁性材料を含む本体と、を備え、
前記第1導線及び前記第2導線の断面は、それぞれ楕円形であり、下記条件式5及び条件式6をそれぞれ満足することを特徴とするコイル電子部品。
[条件式5]
0<b1<a1<L3/2
[条件式6]
0<b2<a2<L3/2
ここで、
a1:第1導線の断面の長軸(major axis)の長さ
b1:第1導線の断面の短軸(minor axis)の長さ
a2:第2導線の断面の長軸の長さ
b2:第2導線の断面の短軸の長さ
L3:本体の長さ
【請求項14】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、
前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.0202であることを特徴とする請求項13に記載のコイル電子部品。
【請求項15】
前記第1コイルのターン数は、1.8以上11.9以下であり、
前記第2コイルのターン数は、1.8以上11.9以下であることを特徴とする請求項14に記載のコイル電子部品。
【請求項16】
a1及びb1並びにa2及びb2は、それぞれ下記範囲を満足することを特徴とする請求項15に記載のコイル電子部品。
0.0175≦a1/L3≦0.150、b1/T3=0.030
0.0175≦a2/L3≦0.150、b2/T3=0.030
ここで、
L3:本体の長さ
T3:本体の厚さ
【請求項17】
前記第1コイルのターン数及び前記第2コイルのターン数は、それぞれ4.5であり、
前記第1コイルの第1コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.1以上0.43以下であり
前記第2コイルの第2コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.1以上0.43以下であることを特徴とする請求項13に記載のコイル電子部品。
【請求項18】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、
前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.007以上0.0412以下であることを特徴とする請求項17に記載のコイル電子部品。
【請求項19】
a1及びb1並びにa2及びb2は、それぞれ下記範囲を満足することを特徴とする請求項18に記載のコイル電子部品。
0.0175≦a1/L3≦0.100、b1/T3=0.030
0.0175≦a2/L3≦0.100、b2/T3=0.030
ここで、
L3:本体の長さ
T3:本体の厚さ
【請求項20】
第1導線(conductive wire)の少なくとも一つのターン(turn)を含む第1コイルと、
第2導線の少なくとも一つのターンを含んで前記第1コイルから離隔される第2コイルと、
前記第1コイルの第1コアと前記第2コイルの第2コアとの間の第1領域から前記第1コイルと前記第2コイルとの間の第2領域まで配置されて第1磁性材料を含む中間層と、
前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記中間層を囲んで第2磁性材料を含む本体と、を備え、
前記第1導線及び前記第2導線の断面は、それぞれ互いに対向する対向部及び前記対向部を連結する曲線部を含み、下記条件式7及び条件式8を満足することを特徴とするコイル電子部品。
[条件式7]
0<t2<w2<L4/2
[条件式8]
0<w2’≦t2’<L4/2
ここで、
t2:第1導線の断面の厚さ
w2:第1導線の断面の幅
t2’:第2導線の断面の厚さ
w2’:第2導線の断面の幅
L4:本体の長さ
【請求項21】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、
前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.0208以上0.0245以下であることを特徴とする請求項20に記載のコイル電子部品。
【請求項22】
前記第1コイルのターン数は、1.8以上11.9以下であり、
前記第2コイルのターン数は、1.8以上11.9以下であることを特徴とする請求項21に記載のコイル電子部品。
【請求項23】
w2及びt2並びにw2’及びt2’は、それぞれ下記範囲を満足することを特徴とする請求項22に記載のコイル電子部品。
0.0175≦w2/L4≦0.150、t2/T4=0.030
0.0175≦w2’/L4≦0.150、t2’/T4=0.030
ここで、
L4:本体の長さ
T4:本体の厚さ
【請求項24】
前記第1コイルのターン数及び前記第2コイルのターン数は、それぞれ4.5であり、
前記第1コイルの第1コアの幅を本体の長さで割った値は、0.1以上0.43以下であり
前記第2コイルの第2コアの幅を本体の長さで割った値は、0.1以上0.43以下であることを特徴とする請求項20に記載のコイル電子部品。
【請求項25】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、
前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.0072以上0.0503以下であることを特徴とする請求項24に記載のコイル電子部品。
【請求項26】
w2及びt2並びにw2’及びt2’は、それぞれ下記範囲を満足することを特徴とする請求項25に記載のコイル電子部品。
0.0175≦w2/L4≦0.100、t2/T4=0.030
0.0175≦w2’/L4≦0.100、t2’/T4=0.030
ここで、
L4:本体の長さ
T4:本体の厚さ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、モバイル機器の機能が多様化することにより消費電力が増加するにつれてモバイル機器内バッテリー使用時間を増やすためにパワー半導体(PMIC:power management integrated circuit)周辺に損失が少なく効率に優れたコイル電子部品が採用されている。
【0003】
コイル電子部品は1次コイルと2次コイルとが積層された巻線型カップルドインダクタ構造を有することができる。この場合、1次コイル及び2次コイルとして使用される導線の断面の形状によって直流抵抗(Rdc)の大きさやインダクタンスが変わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、設計自由度を高めた巻線型カップルドインダクタ構造を有するコイル電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるコイル電子部品は、第1導線(conductive wire)の少なくとも一つのターン(turn)を含む第1コイルと、第2導線の少なくとも一つのターンを含んで前記第1コイルに対向する第2コイルと、前記第1コイルの第1コアと前記第2コイルの第2コアとの間の第1領域から前記第1コイルと前記第2コイルとの間の第2領域まで配置されて第1磁性材料を含む中間層と、前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記中間層を囲んで第2磁性材料を含む本体と、を備え、前記第1導線及び前記第2導線の断面は、それぞれ長方形形状であり、下記条件式1及び条件式2をそれぞれ満足する。
[条件式1]0<w1≦t1<T1/2
[条件式2]0<w1’≦t1’<T1/2
ここで、t1:第1導線の断面の厚さ、w1:第1導線の断面の幅、t1’:第2導線の断面の厚さ、w1’:第2導線の断面の幅、T1:本体の厚さ
【0007】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和は、0.048以上0.200以下であり得る。
前記第1コイルのターン数は、7.81以上27.17以下であり、前記第2コイルのターン数は、7.81以上27.17以下であり得る。
w1及びt1並びにw1’及びt1’は、それぞれ下記範囲を満足し得る。
0.0075≦w1/L1≦0.02735、0.0548≦t1/T1≦0.2
0.0075≦w1’/L1≦0.02735、0.0548≦t1’/T1≦0.2
ここで、L1:本体の長さ
前記第1コイルのターン数及び前記第2コイルのターン数は、それぞれ4.5であり、前記第1コイルの第1コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.3905以上0.47以下であり、前記第2コイルの第2コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.3905以上0.47以下であり得る。
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.026であり得る。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様によるコイル電子部品は、第1導線(conductive wire)の少なくとも一つのターン(turn)を含む第1コイルと、第2導線の少なくとも一つのターンを含んで前記第1コイルから離隔される第2コイルと、前記第1コイルの第1コアと前記第2コイルの第2コアとの間の第1領域から前記第1コイルと前記第2コイルとの間の第2領域まで配置されて第1磁性材料を含む中間層と、前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記中間層を囲んで第2磁性材料を含む本体と、を備え、前記第1導線及び前記第2導線の断面は、それぞれ円形であり、下記条件式3及び条件式4を満足する。
[条件式3]0<D1<L2/2
[条件式4]0<D2<L2/2
ここで、D1:第1導線の断面の直径、D2:第2導線の断面の直径、L2:本体の長さ
【0009】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.012以上0.151以下であり得る。
前記第1コイルのターン数は、2.5以上23.2以下であり、前記第2コイルのターン数は、2.5以上23.2以下であり得る。
D1及びD2は、それぞれ下記範囲を満足し得る。
0.0088<D1/L2≦0.100、0.0088<D2/L2≦0.100
0.0176<D1/T2≦0.200、0.0176<D2/T2≦0.200
ここで、L2:本体の長さ、T2:本体の厚さ
前記第1コイルのターン数及び前記第2コイルのターン数は、それぞれ4.5であり、前記第1コイルの第1コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.1以上0.4785以下であり、前記第2コイルの第2コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.1以上0.4785以下であり得る。
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.001以上0.354以下であり得る。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の更に他の態様によるコイル電子部品は、第1導線(conductive wire)の少なくとも一つのターン(turn)を含む第1コイルと、第2導線の少なくとも一つのターンを含んで前記第1コイルから離隔される第2コイルと、前記第1コイルの第1コアと前記第2コイルの第2コアとの間の第1領域から前記第1コイルと前記第2コイルとの間の第2領域まで配置されて第1磁性材料を含む中間層と、前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記中間層を囲んで第2磁性材料を含む本体と、を備え、前記第1導線及び前記第2導線の断面は、それぞれ楕円形であり、下記条件式5及び条件式6を満足する。
[条件式5]0<b1<a1<L3/2
[条件式6]0<b2<a2<L3/2
ここで、a1:第1導線の断面の長軸(major axis)の長さ、b1:第1導線の断面の短軸(minor axis)の長さ、a2:第2導線の断面の長軸の長さ、b2:第2導線の断面の短軸の長さ、L3:本体の長さ
【0011】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.0202であり得る。
前記第1コイルのターン数は、1.8以上11.9以下であり、前記第2コイルのターン数は、1.8以上11.9以下であり得る。
a1及びb1並びにa2及びb2は、それぞれ下記範囲を満足し得る。
0.0175≦a1/L3≦0.150、b1/T3=0.030
0.0175≦a2/L3≦0.150、b2/T3=0.030
ここで、L3:本体の長さ、T3:本体の厚さ
前記第1コイルのターン数及び前記第2コイルのターン数は、それぞれ4.5であり、前記第1コイルの第1コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.1以上0.43以下であり、前記第2コイルの第2コアの幅を前記本体の長さで割った値は、0.1以上0.43以下であり得る。
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.007以上0.0412以下であり得る。
a1及びb1並びにa2及びb2は、それぞれ下記範囲を満足し得る。
0.0175≦a1/L3≦0.100、b1/T3=0.030
0.0175≦a2/L3≦0.100、b2/T3=0.030
ここで、L3:本体の長さ、T3:本体の厚さ
【0012】
上記目的を達成するためになされた本発明のまた更に他の態様によるコイル電子部品は、第1導線(conductive wire)の少なくとも一つのターン(turn)を含む第1コイルと、第2導線の少なくとも一つのターンを含んで前記第1コイルから離隔される第2コイルと、前記第1コイルの第1コアと前記第2コイルの第2コアとの間の第1領域から前記第1コイルと前記第2コイルとの間の第2領域まで配置されて第1磁性材料を含む中間層と、前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記中間層を囲んで第2磁性材料を含む本体と、を備え、前記第1導線及び前記第2導線の断面は、それぞれ互いに対向する対向部及び前記対向部を連結する曲線部を含み、下記条件式7及び条件式8を満足する。
[条件式7]0<t2<w2<L4/2
[条件式8]0<w2’≦t2’<L4/2
ここで、t2:第1導線の断面の厚さ、w2:第1導線の断面の幅、t2’:第2導線の断面の厚さ、w2’:第2導線の断面の幅、L4:本体の長さ
【0013】
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.0208以上0.0245以下であり得る。
前記第1コイルのターン数は、1.8以上11.9以下であり、前記第2コイルのターン数は、1.8以上11.9以下であり得る。
w2及びt2並びにw2’及びt2’は、それぞれ下記範囲を満足し得る。
0.0175≦w2/L4≦0.150、t2/T4=0.030
0.0175≦w2’/L4≦0.150、t2’/T4=0.030
ここで、L4:本体の長さ、T4:本体の厚さ
前記第1コイルのターン数及び前記第2コイルのターン数は、それぞれ4.5であり、前記第1コイルの記第1コアの幅を本体の長さで割った値は、0.1以上0.43以下であり、前記第2コイルの第2コアの幅を本体の長さで割った値は、0.1以上0.43以下であり得る。
前記第1コイルと前記第2コイルとが対向する方向に平行な方向に切断した断面を基準にして、前記本体の断面積に対する前記第1コイルの断面積と前記第2コイルの断面積との和の比は、0.0072以上0.0503以下であり得る。
w2及びt2並びにw2’及びt2’は、それぞれ下記範囲を満足し得る。
0.0175≦w2/L4≦0.100、t2/T4=0.030
0.0175≦w2’/L4≦0.100、t2’/T4=0.030
ここで、L4:本体の長さ、T4:本体の厚さ
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、巻線型カップルドインダクタの設計自由度を高めることによって多様な特性を有するコイル電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態によるコイル電子部品を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のコイル電子部品を概略的に示す平面図である。
【
図3】
図1のコイル電子部品を概略的に示す底面図である。
【
図4】
図1のIV-IV’線に沿って切断した概略断面図である。
【
図5】他の実施形態によるコイル電子部品の第1例を概略的に示す断面図である。
【
図6】他の実施形態によるコイル電子部品の第2例を概略的に示す断面図である。
【
図7】他の実施形態によるコイル電子部品の第3例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図面において、本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体に亘って同一又は類似の構成要素については同一の参照符号を付けた。また、図面において、一部の構成要素は誇張されるか省略されるか又は概略的に示され、各構成要素の大きさは実際の大きさを全体的に反映するものではない。
【0018】
図面は本明細書に開示する実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、図面によって本明細書に開示する技術的思想は制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物、又は代替物を含むものと理解されなければならない。
【0019】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために使用されるが、構成要素は用語によって限定されない。用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0020】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」又は「上に」あるという場合、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分「の直上に」あるという場合は中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」又は「上に」あるということは基準となる部分の上又は下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向に「の上に」又は「上に」位置することを意味するものではない。
【0021】
明細書全体で、「含む」又は「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素を更に含むことができることを意味する。
【0022】
また、明細書全体で、「平面上」という場合、これは対象部分を上から見た場合を意味し、「断面上」という場合、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た場合を意味する。
【0023】
また、明細書全体で、「連結される」という場合、これは二つ以上の構成要素が直接的に連結されることのみを意味するものではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に連結されること、物理的に連結されることだけでなく、電気的に連結されること、又は位置や機能によって異なる名称で称するが一体であることを意味する。
【0024】
図1は、一実施形態によるコイル電子部品を概略的に示す斜視図であり、
図2は、
図1のコイル電子部品を概略的に示す平面図であり、
図3は、
図1のコイル電子部品を概略的に示す底面図であり、
図4は、
図1のIV-IV’線に沿って切断した概略断面図である。
【0025】
図1、
図2、
図3、及び
図4を参照すると、本実施形態によるコイル電子部品1000は、本体100、第1コイル200、第2コイル300、第1外部電極500、第2外部電極600、第3外部電極700、及び第4外部電極800を含む。
【0026】
本体100は大略直六面体形状に形成されるが、本実施形態はこれに限定されるものではない。焼成(sintering)時、磁性粉末などの収縮によって、本体100は完全な直六面体形状ではないが、実質的に直六面体形状を有する。例えば、本体100は、大略直六面体形状であるが、角や頂点に該当する部分が丸い形状を有する。
【0027】
本実施形態では、説明の便宜のために、長さ方向(L軸方向)に対向する二つの面をそれぞれ第1面S1及び第2面S2と定義し、幅方向(W軸方向)に対向する二つの面をそれぞれ第3面S3及び第4面S4と定義し、厚さ方向(T軸方向)に対向する二つの面をそれぞれ第5面S5及び第6面S6と定義する。
【0028】
コイル電子部品1000の長さは、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、上述の断面写真に示されたコイル電子部品1000の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結して長さ方向(L軸方向)に平行な複数の線分の長さのうちの最大値を意味する。又は、コイル電子部品1000の長さは、上述の断面写真に示されたコイル電子部品1000の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結して長さ方向(L軸方向)に平行な複数の線分の長さのうちの最小値を意味する。或いは、コイル電子部品1000の長さは、上述の断面写真に示されたコイル電子部品1000の長さ方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結して長さ方向(L軸方向)に平行な複数の線分のうちの少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味する。
【0029】
コイル電子部品1000の厚さは、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、上述の断面写真に示されたコイル電子部品1000の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結して厚さ方向(T軸方向)に平行な複数の線分の長さのうちの最大値を意味する。又は、コイル電子部品1000の厚さは、上述の断面写真に示されたコイル電子部品1000の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結して厚さ方向(T軸方向)に平行な複数の線分の長さのうちの最小値を意味する。或いは、コイル電子部品1000の厚さは、上述の断面写真に示されたコイル電子部品1000の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結して厚さ方向(T軸方向)に平行な複数の線分のうちの少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味する。
【0030】
コイル電子部品1000の幅は、コイル電子部品1000の厚さ方向(T軸方向)中央部における長さ方向(L軸方向)-幅方向(W軸方向)の断面(cross section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準にして、上述の断面写真に示されたコイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結して幅方向(W軸方向)に平行な複数の線分の長さのうちの最大値を意味する。又は、コイル電子部品1000の幅は、上述の断面写真に示されたコイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結して幅方向(W軸方向)に平行な複数の線分の長さのうちの最小値を意味する。或いは、コイル電子部品1000の幅は、上述の断面写真に示されたコイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結して幅方向(W軸方向)に平行な複数の線分のうちの少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味する。
【0031】
一方、コイル電子部品1000の長さ、幅、及び厚さのそれぞれは、マイクロメータ(micrometer)測定法で測定することもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップの間に本実施形態によるコイル電子部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定する。一方、マイクロメータ測定法でコイル電子部品1000の長さを測定する場合、コイル電子部品1000の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。これは、コイル電子部品1000の幅及び厚さ測定にも同様に適用することができる。
【0032】
本体100は、コイル電子部品1000の外観を成し、第1外部電極500及び第2外部電極600を通じて第1コイル200に電流が印加されて第3外部電極700及び第4外部電極800を通じて第2コイル300に電流が印加される時に、第1コイル200で誘導される磁束及び第2コイル300で誘導される磁束が通る経路である磁路(magnetic path)が形成される空間である。
【0033】
本体100は、第1コイル200及び第2コイル300を囲んで封じ合わせ(encapsulation)、磁性物質を含む。本体100は磁性粒子を含み、磁性粒子の間には絶縁材が介される。
【0034】
磁性物質は、第1金属磁性粉末、第1金属磁性粉末よりも粒径が大きい第2金属磁性粉末、及び第2金属磁性粉末よりも粒径が大きい第3金属磁性粉末を含む。第1金属磁性粉末の平均粒径(D50)は0.1μm以上0.2μm以下であり、第2金属磁性粉末の平均粒径(D50)は1μm以上2μm以下であり、第3金属磁性粉末の平均粒径(D50)は25μm以上30μm以下である。
【0035】
磁性粒子は、磁気特性を示すフェライト(ferrite)粒子や金属磁性粒子である。
【0036】
フェライト粒子は、例えばMg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト、及びLi系フェライトのうちの少なくとも一つ以上である。
【0037】
金属磁性粒子は、組成が異なる2種類以上の粉末で構成され、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、及びニッケル(Ni)からなる群より選択される1種以上を含む。例えば、金属磁性粒子は、純鉄(pure iron)であり、軟磁性(soft magnetic)合金である。金属磁性粒子が軟磁性合金である場合、金属磁性粒子は、Fe-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Ni-Mo系合金、Fe-Ni-Mo-Cu系合金、Fe-Co系合金、Fe-Ni-Co系合金、Fe-Cr系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Cu-Nb系合金、Fe-Ni-Cr系合金、Fe-Cr-Al系合金のうちの少なくとも一つ以上である。ここで、金属磁性粒子の組成が異なるということは含量が異なる場合を意味する。
【0038】
金属磁性粒子は非晶質又は結晶質であってもよい。例えば、金属磁性粒子はFe-Si-B-Cr系非晶質合金であるが、本実施形態はこれに限定されるものではない。金属磁性粒子は、平均粒径が約0.1μm~30μmであるが、これに限定されるものではない。本明細書上で、平均粒径はD90又はD50などと表現される粒度分布を意味する。粒度分布は、測定対象となる粒子群内に、どのような大きさ(粒径)の粒子がどのような割合で含まれているかを示す指標であり、通常の技術者によく知られている。D50(粒度分布の体積累積50%に相当する粒径)は平均粒径を示す。
【0039】
金属磁性粒子は2種類以上の異なる金属磁性粒子であってもよい。ここで、金属磁性粒子の種類が異なるということは、金属磁性粒子が平均粒径、組成、成分比、結晶性、及び形状のうちの少なくとも一つにおいて互いに区別されることを意味する。
【0040】
絶縁材は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独で又は混合して含むが、これに限定されるものではない。
【0041】
本体100を形成する方法は特に制限されない。例えば、第1コイル200の下部、第1コイル200と第2コイル300との間、及び第2コイル300の上部に磁性材料からなるシート(sheet)を配置した後、これを圧着及び硬化して本体100を形成する。他の例として、第1コイル200の下部及び第1コイル200の上部に磁性材料からなるシートをそれぞれ配置した後、これを圧着及び硬化し、その上に第2コイル300及び磁性材料からなるシートを順次配置した後、これを圧着及び硬化して本体100を形成することもできる。
【0042】
第1コイル200及び第2コイル300は、本体100の内部に配置され、コイル電子部品の特性を発現する。例えば、本実施形態のコイル電子部品1000がパワーインダクタとして活用される場合、第1コイル200及び第2コイル300に電流が印加されると、エネルギーを磁場形態に貯蔵して出力電圧を維持することによって電子機器の電源を安定させる役割を果たす。
【0043】
第1コイル200と第2コイル300とは互いに磁気的に結合(coupling)されてカップルド(coupled)インダクタ構造を成す。
【0044】
第1コイル200は第1導線(conductive wire)210の少なくとも一つのターン(turn)を含み、第2コイル300は第2導線310の少なくとも一つのターン(turn)を含む。例えば、第1コイル200及び第2コイル300は、表面が絶縁物質で被覆された金属(例えば、銅(Cu)又は銀(Ag))線を螺旋形に巻いた形態である。即ち、第1コイル200及び第2コイル300は巻線型コイルである。第1コイル200及び第2コイル300は、単線に限定されず、撚線や2つ以上の線からなるものであってもよい。
【0045】
第1コイル200及び第2コイル300は円形コイルであるが、これに限定されない。例えば、第1コイル200及び第2コイル300は、長方形コイル、トラック(race track)形状コイルなどの公知の多様なコイルである。
【0046】
図4を参照すると、第1コイル200の第1導線210の断面及び第2コイル300の第2導線310の断面はそれぞれ長方形形状である。
【0047】
この場合、第1コイル200の第1導線210は、第1コイル面211、第2コイル面212、第3コイル面213、及び第4コイル面214を有する。第1コイル面211と第2コイル面212とは厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向する。第3コイル面213及び第4コイル面214は第1コイル面211と第2コイル面212とを連結して長さ方向(L軸方向)に沿って互いに対向する。
【0048】
第2コイル300の第2導線310は、第1コイル面311、第2コイル面312、第3コイル面313、及び第4コイル面314を有する。第1コイル面311と第2コイル面312とは厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向する。第3コイル面313及び第4コイル面314は第1コイル面311と第2コイル面312とを連結して長さ方向(L軸方向)に沿って互いに対向する。
【0049】
第1コイル200及び第2コイル300はそれぞれ複数の層で構成される。第1コイル200は下部コイル200A及び上部コイル200Bを含む。上部コイル200Bは下部コイル200Aに連結されて下部コイル200Aの上側、即ち本体100の第5面S5側に配置されて層を成す。第2コイル300は下部コイル300A及び上部コイル300Bを含む。上部コイル300Bは下部コイル300Aに連結されて下部コイル300Aの上側、即ち本体100の第5面S5側に配置されて層を成す。
【0050】
第1コイル200及び第2コイル300は、複数のターン(turn)を有する。
【0051】
例えば、第1コイル200は、本体100の外面側から内側に向かって順次に最外側ターンコイルC1、少なくとも一つの中間ターンコイルC2、及び最内側ターンコイルC3を有する。
【0052】
同様に、第2コイル300は、本体100の外面側から内側に向かって順次に最外側ターンコイルC1’、少なくとも一つの中間ターンコイルC2’、及び最内側ターンコイルC3’を有する。
【0053】
第1コイル200の第1導線210の表面及び第2コイル300の第2導線310の表面に沿って絶縁膜IFが備えられる。絶縁膜IFは第1コイル200の第1導線210及び第2コイル300の第2導線310を保護し、絶縁させるためものであり、パリレン(Parylene)などの公知の絶縁性物質を含む。絶縁膜IFに含まれる絶縁性物質は、どのようなものでも可能であり、特別な制限はない。例えば、絶縁膜IFは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂である。絶縁膜IFは、気相蒸着などの方法で形成されるが、これに限定されない。
【0054】
第1コイル200は、巻回部220及び引出部230を含む。
【0055】
巻回部220は、第1導線210が少なくとも一つのターン(turn)を成す部分である。
【0056】
引出部230は、巻回部220の両端からそれぞれ延長されて本体100の第6面S6にそれぞれ露出する。引出部230は、第1引出部233及び第2引出部235を含む。第1引出部233は巻回部220の一端から延長されて本体100の第6面S6に露出し、第2引出部235は巻回部220の他端から延長されて本体100の第6面S6に露出する。
【0057】
一方、第1引出部233及び第2引出部235が本体100の第6面S6に露出した部分は長さ方向(L軸方向)に互いに離隔されるが、これに限定されるものではない。
【0058】
第2コイル300は、巻回部320及び引出部330を含む。
【0059】
巻回部320は、第2導線310が少なくとも一つのターン(turn)を成す部分である。
【0060】
引出部330は、巻回部320の両端からそれぞれ延長されて本体100の第6面S6にそれぞれ露出する。引出部330は、第1引出部333及び第2引出部335を含む。第1引出部333は巻回部320の一端から延長されて本体100の第6面S6に露出し、第2引出部335は巻回部320の他端から延長されて本体100の第6面S6に露出する。
【0061】
一方、第1引出部333及び第2引出部335が本体100の第6面S6に露出した部分は長さ方向(L軸方向)に互いに離隔されるが、これに限定されるものではない。
【0062】
例えば、本体100は、第1磁性体101、第2磁性体102、及び第3磁性体103を含む。
【0063】
第1磁性体101は、本体100の第1面S1の一部、第2面S2の一部、第3面S3の一部、及び第4面S4の一部を成し、本体100の第6面S6を成す。第1磁性体101は第1コイル200が第2コイル300に対向する部分を除いて第1コイル200の大部分を囲む。
【0064】
第2磁性体102は、本体100の第1面S1の一部、第2面S2の一部、第3面S3の一部、及び第4面S4の一部を成し、本体100の第5面S5を成す。第2磁性体102は第2コイル300が第1コイル200に対向する部分を除いて第2コイル300の大部分を囲む。
【0065】
第3磁性体103は、第1コイル200と第2コイル300との間に配置され、以下では必要時に「中間層」と称する。例えば、第3磁性体103は第1コイル200及び第2コイル300に接する。
【0066】
第3磁性体103は、第1コイル200の第1コア113と第2コイル300の第2コア123との間の第1領域R1から第1コイル200と第2コイル300との間の第2領域R2まで延長されるように配置される。第3磁性体103は、第2領域R2を越えて本体100の外面に接するように延長される。例えば、第3磁性体103は本体100の第1面S1及び第2面S2に接する。
【0067】
第1コア113は第1コイル200の第1中空(hollow space)が第1磁性体101によって少なくとも部分的に満たされた領域であり、第2コア123は第2コイル300の第2中空が第2磁性体102によって少なくとも部分的に満たされた領域である。即ち、第1コイル200の第1中空を満たした第1磁性体101は第1コイル200が巻回された第1コア113を成し、第2コイル300の第2中空を満たした第2磁性体102は第2コイル300が巻回された第2コア123を成す。
【0068】
第3磁性体103は第1領域R1から第1コア113の一部分まで延長されるか、又は第1領域R1から第2コア123の一部分まで延長される。他方、第3磁性体103は第1領域R1から第1コア113の一部分及び第2コア123の一部分まで延長される。
【0069】
第3磁性体103が第1領域R1から第1コア113の一部分まで延長される場合、第1コア113の一部分は第3磁性体103で満たされて第1コア113の残りの部分は第1磁性体101で満たされる。また、第3磁性体103が第1領域R1から第2コア123の一部分まで延長される場合、第2コア123の一部分は第3磁性体103によって満たされ第2コア123の残りの部分は第2磁性体102によって満たされる。この場合、第1コイル200の第1中空を満たした第1磁性体101及び第3磁性体103は第1コイル200が巻回された第1コア113を成し、第2コイル300の第2中空を満たした第2磁性体102及び第3磁性体103は第2コイル300が巻回された第2コア123を成す。
【0070】
第1磁性体101及び第2磁性体102と同様に第3磁性体103は上述の磁性物質を含むが、第3磁性体103の透磁率(permeability)は第1磁性体101及び第2磁性体102の透磁率よりも小さくてもよく大きくてもよい。更に、第1磁性体101及び第2磁性体102の透磁率と第3磁性体103の透磁率とは第1コイル200と第2コイル300との結合係数(coefficient of coupling、K)を調節するために適切に設定される。
【0071】
例えば、第1磁性体101の透磁率と第2磁性体102の透磁率とが同一であり第1磁性粒子を含む場合、第3磁性体103の透磁率を調節する方法で第1磁性体101及び第2磁性体102に含まれている第1磁性粒子の体積分率と第3磁性体103に含まれている第2磁性粒子の体積分率とを互いに異なるようにする。ここで、磁性粒子の体積分率は、第1磁性体101及び第2磁性体102の体積に対する第1磁性粒子の体積の比率又は第3磁性体103の体積に対する第2磁性粒子の体積の比率を意味する。第1磁性粒子及び第2磁性粒子の体積分率で第1磁性体101及び第2磁性体102と第3磁性体103との相対的な透磁率を調節するために第1磁性粒子及び第2磁性粒子を同一物質、例えば同一な組成の金属合金で実現する。一方、第1磁性体101及び第2磁性体102と第3磁性体103の透磁率とを調節する方法で、断面積で確認時に、第1磁性体101及び第2磁性体102に含まれている第1磁性粒子の面積分率と第3磁性体103に含まれている第2磁性粒子の面積分率とを互いに異なるようにすることができる。ここで、磁性粒子の面積分率は第1磁性体101及び第2磁性体102の断面積に対する第1磁性粒子の断面積の比率又は第3磁性体103の断面積に対する第2磁性粒子の断面積の比率を意味する。
【0072】
第3磁性体103の透磁率が第1磁性体101及び第2磁性体102の透磁率よりも大きい場合は、第3磁性体103に含まれている第2磁性粒子の体積分率が第1磁性体101及び第2磁性体102に含まれている第1磁性粒子の体積分率よりも大きい場合である。第3磁性体103の透磁率が第1磁性体101及び第2磁性体102の透磁率よりも大きい場合、第1コイル200と第2コイル300との結合係数は相対的に減少する。ここで、結合係数が相対的に減少するということは、第3磁性体103の透磁率と第1磁性体101及び第2磁性体102の透磁率とが同一な場合に比べて結合係数が小さくなるということを意味する。第3磁性体103の透磁率が相対的に大きい場合、第3磁性体103に流れる磁束(magnetic flux)の量は相対的に多く第1コイル200及び第2コイル300が共有する磁束による相互インダクタンスは小さくなる。ここで、第3磁性体103に流れる磁束は
図4で第3磁性体103を長さ方向(L軸方向)に流れるものとして理解される。
【0073】
結局、第1コイル200と第2コイル300との相互インダクタンスは小さくなり、第1コイル200又は第2コイル300にのみ形成される漏れインダクタンス(leakage inductance)は大きくなるため、第1コイル200と第2コイル300との結合係数は小さくなる。
【0074】
反面、第3磁性体103の透磁率が第1磁性体101及び第2磁性体102の透磁率よりも小さい場合は、第3磁性体103に含まれている第2磁性粒子の体積分率が第1磁性体101及び第2磁性体102に含まれている第1磁性粒子の体積分率よりも小さい場合である。第3磁性体103の透磁率が第1磁性体101及び第2磁性体102の透磁率よりも小さい場合、第1コイル200と第2コイル300との結合係数は相対的に増加する。ここで、結合係数が相対的に増加するということは、第3磁性体103の透磁率と第1磁性体101及び第2磁性体102の透磁率とが同一な場合に比べて結合係数が大きくなるということを意味する。第3磁性体103の透磁率が相対的に小さい場合、第3磁性体103に流れる磁束(magnetic flux)の量は相対的に少なく第1コイル200及び第2コイル300が共有する磁束による相互インダクタンスは大きくなる。ここで、第3磁性体103に流れる磁束は
図4で第3磁性体103を長さ方向(L軸方向)に流れるものとして理解される。
【0075】
結局、第1コイル200と第2コイル300との相互インダクタンスは大きくなり、第1コイル200又は第2コイル300にのみ形成される漏れインダクタンス(leakage inductance)は小さくなるため、第1コイル200と第2コイル300との結合係数は大きくなる。
【0076】
以上の説明は、第1磁性体101と第2磁性体102との透磁率が同一であり、第1磁性粒子を含む場合に関するものであるが、第1磁性体101と第2磁性体102との透磁率が異なり第1磁性体101と第2磁性体102とが異なる磁性粒子を含む場合にも同様に適用される。
【0077】
第1外部電極500及び第2外部電極600は、本体100の外部に備えられ、第1コイル200に電気的に連結される。
【0078】
第1外部電極500は本体100の第6面S6に配置され、第1コイル200の第1引出部233は本体100の第6面S6に露出して第1外部電極500に連結される。
【0079】
第2外部電極600は本体100の第6面S6に配置され、第1コイル200の第2引出部235は本体100の第6面S6に露出して第2外部電極600に連結される。
【0080】
第1外部電極500及び第2外部電極600は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などの導電性物質から形成されるが、これに限定されるものではない。
【0081】
第1外部電極500及び第2外部電極600は、導電性金属をメッキして形成された複数の金属層を含む。
【0082】
図1の左側円を参照すると、第1外部電極500は、第1金属層501、第2金属層502、及び第3金属層503を含む。
【0083】
第1金属層501は、第1コイル200の第1引出部233及び本体100の外面に接するメッキ層であり、銅(Cu)を含む。第2金属層502は、第1金属層501を覆うメッキ層であり、ニッケル(Ni)を含む。第3金属層503は、第2金属層502を覆うメッキ層であり、スズ(Sn)を含む。但し、本実施形態は、このような3層構造に限定されるものではなく、第1金属層501の上に一つのメッキ層のみが追加された2層構造も可能である。
【0084】
図1の右側円を参照すると、第2外部電極600は、第1金属層601、第2金属層602、及び第3金属層603を含む。
【0085】
第1金属層601は、第1コイル200の第2引出部235及び本体100の外面に接するメッキ層であり、銅(Cu)を含む。第2金属層602は、第1金属層601を覆うメッキ層であり、ニッケル(Ni)を含む。第3金属層603は、第2金属層602を覆うメッキ層であり、スズ(Sn)を含む。但し、本実施形態は、このような3層構造に限定されるものではなく、第1金属層601の上に一つのメッキ層のみが追加された2層構造も可能である。
【0086】
このように、第1外部電極500及び第2外部電極600は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、又はこれらの合金を含み、複数のメッキ層を含む。例えば、第1外部電極500及び第2外部電極600は、ニッケル(Ni)層、銅(Cu)層、ニッケル/銅(Ni/Cu)層(即ち、ニッケル(Ni)層上に銅(Cu)層が積層された金属層)、パラジウム/ニッケル(Pd/Ni)層(即ち、パラジウム(Pd)層上にニッケル(Ni)層が積層された金属層)、パラジウム/ニッケル/銅(Pd/Ni/Cu)層(即ち、パラジウム(Pd)層上にニッケル(Ni)層及び銅(Cu)層がこの順に順次積層された金属層)、及び銅/ニッケル/銅(Cu/Ni/Cu)層(即ち、銅(Cu)層上にニッケル(Ni)層及び銅(Cu)層がこの順に順次積層された金属層)の組み合わせで形成される。
【0087】
場合によっては、外部電極の一番外側層をスズ(Sn)で構成することもできる。スズメッキ層は、相対的に低い溶融点を有するため、第1外部電極500及び第2外部電極600の基板実装容易性を向上させることができる。
【0088】
一般に、スズメッキ層は、スズ(Sn)-銅(Cu)-銀(Ag)合金ペーストを含むソルダ(solder)を通じて基板上の電極パッドに結合される。即ち、スズメッキ層は熱処理(reflow)工程時ソルダと互いに溶融して結合される。
【0089】
他の例として、第1外部電極500及び第2外部電極600は複数の電極層を含むことができる。例えば、第1外部電極500及び第2外部電極600は、第1電極層、第1電極層を覆う第2電極層、及び第2電極層を覆う第3電極層を含む。第1電極層は、銅(Cu)を含み、導電性樹脂層である。導電性樹脂層は電気伝導性を確保するための導電性金属及び衝撃吸収のための樹脂を含む。樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合されてペーストを作るものであれば特に制限されず、例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂を含む。導電性金属は、例えば銅(Cu)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む。
【0090】
第3外部電極700及び第4外部電極800は本体100の外部に備えられて第2コイル300に電気的に連結される。
【0091】
第3外部電極700は本体100の第6面S6に配置され、第2コイル300の第1引出部333は本体100の第6面S6に露出して第3外部電極700に連結される。
【0092】
第4外部電極800は本体100の第6面S6に配置され、第2コイル300の第2引出部335は本体100の第6面S6に露出して第4外部電極800に連結される。
【0093】
第3外部電極700及び第4外部電極800の構造及び成分は上述の第1外部電極500及び第2外部電極600と同一なため、それに関する重複する説明は省略する。
【0094】
一方、本実施形態によるコイル電子部品1000の本体100で、第1外部電極500、第2外部電極600、第3外部電極700、及び第4外部電極800が配置された領域を除いた領域には絶縁層900が備えられる。これとは異なり、本体100の第6面S6で第1コイル200の第1引出部233が露出した部分、第1コイル200の第2引出部235が露出した部分、第2コイル300の第1引出部333が露出した部分、及び第2コイル300の第2引出部335が露出した部分の間の領域に絶縁層が存在してもよい。この場合、第1外部電極500、第2外部電極600、第3外部電極700、及び第4外部電極800は絶縁層の一部分を覆う。
【0095】
このように絶縁層900は、本体100の第1面S1、第2面S2、第3面S3、第4面S4、第5面S5、及び第6面S6のうちの少なくとも一部に配置されて他の電子部品と外部電極(500、600、700、800)との間の電気的ショートを防止する。
【0096】
絶縁層900は電解メッキで外部電極(500、600、700、800)を形成する時にレジスト(resist)として使用されるが、これに限定されるものではない。
【0097】
一方、本実施形態による外部電極(500、600、700、800)の形状は上述のものに限定されず多様な形状であり得る。
【0098】
一例として、第1外部電極500は本体100の第6面S6で第1コイル200の第1引出部233に連結されて本体100の第2面S2まで延長される。また、第2外部電極600は本体100の第6面S6で第1コイル200の第2引出部235に連結されて本体100の第1面S1まで延長される。第3外部電極700は本体100の第6面S6で第2コイル300の第1引出部333に連結されて本体100の第1面S1まで延長される。また、第4外部電極800は本体100の第6面S6で第2コイル300の第2引出部335に連結されて本体100の第2面S2まで延長される。
【0099】
また他の例として、第1外部電極500は本体100の第6面S6で第1コイル200の第1引出部233に連結されて本体100の第2面S2及び第5面S5まで延長される。また、第2外部電極600は本体100の第6面S6で第1コイル200の第2引出部235に連結されて本体100の第1面S1及び第5面S5まで延長される。第3外部電極700は本体100の第6面S6で第2コイル300の第1引出部333に連結されて本体100の第1面S1及び第5面S5まで延長される。また、第4外部電極800は本体100の第6面S6で第2コイル300の第2引出部335に連結されて本体100の第2面S2及び第5面S5まで延長される。
【0100】
コイル電子部品の長さが一定な場合、コア(core)の幅が大きいほど磁路(magnetic path)の面積が大きくなるため、インダクタンスが増加する。また、磁性体の長さ方向(L軸方向)のマージン部の大きさが小さいほどインダクタンスが増加する。即ち、マージン部の大きさを縮小すると、それだけコイルがコイル電子部品の中心から遠く配置されるため、コアの幅が大きくなりインダクタンスが増加する。一方、コイルの導線のターン数が大きいほどインダクタンスが増加する。
【0101】
本実施形態では、コアの幅及び導線の断面の面積を固定したまま導線の断面の厚さ及び幅を変化させることによってコイルのターン数を調整するか、又はコイルのターン数及び導線の断面の面積を固定したまま導線の断面の厚さ及び幅を変化させることによってコアの幅を調整する。これについては、以下で更に具体的に説明する。
【0102】
第1導線210の断面は長方形形状であり、下記条件式1を満足する。
【0103】
[条件式1]0<w1≦t1<T1/2
ここで、t1:第1導線の断面の厚さ、w1:第1導線の断面の幅、T1:本体の厚さ
【0104】
また、w1及びt1は下記範囲を満足する。
【0105】
0.0075≦w1/L1≦0.02735、0.0548≦t1/T1≦0.2
ここで、L1:本体の長さ
【0106】
例えば、本体の長さが2.000mm、厚さが1.000mmである場合、w1及びt1は下記範囲を満足する。
【0107】
0.015mm≦w1≦0.0547mm、0.0548mm≦t1≦0.200mm
【0108】
また、第2導線310の断面は長方形形状であり、下記条件式2を満足する。
【0109】
[条件式2]0<w1’≦t1’<T1/2
ここで、t1’:第2導線の断面の厚さ、w1’:第2導線の断面の幅、T1:本体の厚さ
【0110】
また、w1’及びt1’は下記範囲を満足する。
【0111】
0.0075≦w1’/L1≦0.02735、0.0548≦t1’/T1≦0.2
ここで、L1:本体の長さ
【0112】
例えば、本体の長さが2.000mm、厚さが1.000mmである場合、w1’及びt1’は下記範囲を満足する。
【0113】
0.015mm≦w1’≦0.0547mm、0.0548mm≦t1’≦0.200mm
【0114】
第1導線210の断面の厚さ及び幅並びに第2導線310の断面の厚さ及び幅は、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0115】
例えば、第1導線210(又は第2導線310)のそれぞれの断面の厚さは、上述のL-T断面写真で、当該断面の第1方向に対向する二つの辺を結ぶ複数の線分の長さのうちの最大値を意味する。ここで、第1方向は、厚さ方向(T軸方向)に平行するか、又は厚さ方向(T軸方向)に45度未満の角度を成す方向である。また、第1導線210(又は第2導線310)の断面の幅は、上述のL-T断面写真で、当該断面の第2方向に対向する二つの辺を結ぶ複数の線分の長さのうちの最大値を意味することができる。ここで、第2方向は、長さ方向(L軸方向)に平行するか、又は長さ方向(L軸方向)に45度未満の角度を成す方向である。更に、第1導線210(又は第2導線310)の断面の厚さは、上述のL-T断面写真で、最外側ターンの第1導線210(又は第2導線310)から同じ間隔で離れた3つの地点における第1導線210(又は第2導線310)の断面の厚さの算術平均値であってもよい。一方、第1導線210(又は第2導線310)の断面の幅は、上述のL-T断面写真で、最外側ターンの第1導線210(又は第2導線310)から同じ間隔で離れた3つの地点における第1導線210(又は第2導線310)の断面の幅の算術平均値であってもよい。
【0116】
また、本体100の断面積に対する第1コイル200の断面積と第2コイル300の断面積との和の比は、0.048以上0.2以下である。
【0117】
第1コイル200の断面積、第2コイル300の断面積、及び本体100の断面積は、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0118】
例えば、第1コイル200の断面積、第2コイル300の断面積、及び本体100の断面積は、上述のL-T断面写真を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)-エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)(以下、「SEM-EDX」という)で測定して得られる。
【0119】
他の例として、第1コイル200の断面積は、公知のイメージ分析ソフトウェアを用いて、上述のL-T断面写真に示された第1導線210の各断面の面積を正確に測定した後、この値を全て足して求めることができる。第2コイル300の断面積もこれと同様に求めることができる。
【0120】
また、公知のイメージ分析ソフトウェアを用いて、上述のL-T写真に示された本体100の断面積を正確に測定することができる。
【0121】
また、第1コイル200のターン数は7.81以上27.17以下であり、第2コイル300のターン数は7.81以上27.17以下である。
【0122】
一方、第1コイル200及び第2コイル300のターン数はそれぞれ4.5であってもよい。この場合、第1コイル200の第1コア113の幅d1は0.781mm以上0.940mm以下であり、第2コイル300の第2コア123の幅d2は0.781mm以上0.940mm以下である。また、第1コイル200の第1コア113の幅d1を本体100の長さL1で割った値(d1/L1)は0.3905以上0.47以下であり、第2コイル300の第2コア123の幅d2を本体100の長さL1で割った値(d2/L1)は0.3905以上0.47以下である。この場合、本体100の断面積に対する第1コイル200の断面積と第2コイル300の断面積との和の比は、0.026である。
【0123】
第1コイル200の第1コア113の幅d1及び第2コイル300の第2コア123の幅d2は、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0124】
例えば、第1コア113の幅は、上述のL-T断面写真で厚さ方向(T軸方向)に沿って同じ間隔で離れた5つの地点における第1コア113の幅の算術平均値である。第2コア123の幅もこれと同様に求められる。
【0125】
図5は、他の実施形態によるコイル電子部品の第1例を概略的に示す断面図である。
【0126】
図5を参照すると、コイル電子部品2000は、本体1100、第1コイル1200、第2コイル1300、第1外部電極500、第2外部電極600、第3外部電極700、及び第4外部電極800を含む。
【0127】
第1コイル1200は第1導線(conductive wire)1210の少なくとも一つのターン(turn)を含み、第2コイル1300は第2導線1310の少なくとも一つのターン(turn)を含む。
【0128】
第1導線1210の断面は円形であり、下記の条件式3を満足する。
【0129】
[条件式3]0<D1<L2/2
ここで、D1:第1導線の断面の直径、L2:本体の長さ
【0130】
また、第2導線1310の断面は円形であり、下記の条件式4を満足する。
【0131】
[条件式4]0<D2<L2/2
ここで、D2:第2導線の断面の直径、L2:本体の長さ
【0132】
第1導線1210の断面の直径D1及び第2導線1310の断面の直径D2は、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0133】
例えば、第1導線1210(又は第2導線1310)の断面の直径は、上述のL-T断面写真で、最外側ターン(C1又はC1’)において厚さ方向(T軸方向)最下側、中央、及び最上側第1導線1210(又は第2導線1310)の断面の直径の算術平均値である。
【0134】
また、本体1100の断面積に対する第1コイル1200の断面積と第2コイル1300の断面積との和の比は、0.012以上0.151以下である。
【0135】
第1コイル1200の断面積、第2コイル1300の断面積、及び本体1100の断面積は、コイル電子部品2000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0136】
例えば、第1コイル1200の断面積、第2コイル1300の断面積、及び本体1100の断面積は、上述のL-T断面写真をSEM-EDXで測定して得られる。
【0137】
他の例として、第1コイル1200の断面積は、公知のイメージ分析ソフトウェアを用いて、上述のL-T断面写真に示された第1導線1210の各断面の面積を正確に測定した後、この値を全て足して求めることができる。第2コイル1300の断面積もこれと同様に求めることができる。
【0138】
また、公知のイメージ分析ソフトウェアを用いて、上述のL-T写真に示された本体1100の断面積を正確に測定することができる。
【0139】
また、第1コイル1200のターン数は2.5以上23.2以下であり、第2コイル1300のターン数は2.5以上23.2以下である。
【0140】
また、D1及びD2はそれぞれ下記範囲を満足する。
【0141】
0.0088≦D1/L2≦0.100、0.0088≦D2/L2≦0.100
0.0176≦D1/T2≦0.200、0.0176<D2/T2≦0.200
ここで、L2:本体の長さ、T2:本体の厚さ
【0142】
例えば、本体の長さが2.000mm、厚さが1.000mmである場合、D1及びD2はそれぞれ下記範囲を満足する。
【0143】
0.0176mm≦D1≦0.2000mm、0.0176mm≦D2≦0.2000mm
【0144】
一方、第1コイル1200及び第2コイル1300のターン数はそれぞれ4.5であってもよい。この場合、第1コイル1200の第1コア1113の幅d3は0.2mm以上0.957mm以下であり、第2コイル1300の第2コア1123の幅d4は0.2mm以上0.957mm以下である。また、第1コイル1200の第1コア1113の幅d3を本体1100の長さL2で割った値(d3/L2)は0.1以上0.4785以下であり、第2コイル1300の第2コア1123の幅d4を本体1100の長さL2で割った値(d4/L2)は0.1以上0.4785以下である。この場合、本体1100の断面積に対する第1コイル1200の断面積と第2コイル1300の断面積との和の比は、0.001以上0.354以下である。
【0145】
第1コイル1200の第1コア1113の幅d3及び第2コイル1300の第2コア1123の幅d4は、コイル電子部品2000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0146】
例えば、第1コア1113の幅は、上述のL-T断面写真で厚さ方向(T軸方向)に沿って同じ間隔で離れた5つの地点における第1コア1113の幅の算術平均値である。第2コア1123の幅もこれと同様に求められる。
【0147】
以上を除いた残りの構成要素は
図1に示したコイル電子部品の構成要素と同一であるか又はそれに対応するため、繰り返される説明は省略する。
【0148】
図6は、他の実施形態によるコイル電子部品の第2例を概略的に示す断面図である。
【0149】
図6を参照すると、コイル電子部品3000は、本体2100、第1コイル2200、第2コイル2300、第1外部電極500、第2外部電極600、第3外部電極700、及び第4外部電極800を含む。
【0150】
第1コイル2200は第1導線(conductive wire)2210の少なくとも一つのターン(turn)を含み、第2コイル2300は第2導線2310の少なくとも一つのターン(turn)を含む。
【0151】
第1導線2210の断面は楕円形であり、下記の条件式5を満足する。
【0152】
[条件式5]0<b1<a1<L3/2
ここで、a1:第1導線の断面の長軸(major axis)の長さ、b1:第1導線の断面の短軸(minor axis)の長さ、L3:本体の長さ
【0153】
また、第2導線2310の断面は楕円形であり、下記の条件式6を満足する。
【0154】
[条件式6]0<b2<a2<L3/2
ここで、a2:第2導線の断面の長軸(major axis)の長さ、b2:第2導線の断面の短軸(minor axis)の長さ、L3:本体の長さ
【0155】
第1導線2210の断面の長軸の長さa1及び短軸の長さb1並びに第2導線2310の断面の長軸の長さa2及び短軸の長さb2は、コイル電子部品3000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0156】
例えば、第1導線2210(又は第2導線2310)のそれぞれの断面の短軸の長さは、上述のL-T断面写真で、最外側ターン(C1又はC1’)で厚さ方向(T軸方向)最下側、中央、及び最上側第1導線2210(又は第2導線2310)の断面の短軸の長さの算術平均値である。また、第1導線2210(又は第2導線2310)のそれぞれの断面の長軸の長さは、上述のL-T断面写真で、最外側ターン(C1又はC1’)において厚さ方向(T軸方向)最下側、中央、及び最上側第1導線2210(又は第2導線2310)の断面の長軸の長さの算術平均値である。
【0157】
また、本体2100の断面積に対する第1コイル2200の断面積と第2コイル2300の断面積との和の比は、0.0202である。
【0158】
第1コイル2200の断面積、第2コイル2300の断面積、及び本体2100の断面積は、コイル電子部品3000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0159】
例えば、第1コイル2200の断面積、第2コイル2300の断面積、及び本体2100の断面積は、上述のL-T断面写真をSEM-EDXで測定して得られる。
【0160】
他の例として、第1コイル2200の断面積は、公知のイメージ分析ソフトウェアを用いて、上述のL-T断面写真に示された第1導線2210の各断面の面積を正確に測定した後、この値を全て足して求めることができる。第2コイル2300の断面積もこれと同様に求めることができる。
【0161】
また、公知のイメージ分析ソフトウェアを用いて、上述のL-T写真に示された本体2100の断面積を正確に測定することができる。
【0162】
また、この場合、第1コイル2200のターン数は1.8以上11.9以下であり、第2コイル2300のターン数は1.8以上11.9以下である。
【0163】
また、この場合、a1及びb1並びにa2及びb2はそれぞれ下記範囲を満足する。
【0164】
0.00175≦a1/L3≦0.150、b1/T3=0.030
0.00175≦a2/L3≦0.150、b2/T3=0.030
ここで、L3:本体の長さ、T3:本体の厚さ
【0165】
例えば、本体の長さが2.000mm、厚さが1.000mmである場合、a1及びb1並びにa2及びb2はそれぞれ下記範囲を満足する。
【0166】
0.035mm≦a1≦0.300mm、b1=0.030mm
0.035mm≦a2≦0.300mm、b2=0.030mm
【0167】
一方、第1コイル2200及び第2コイル2300のターン数はそれぞれ4.5であってもよい。この場合、第1コイル2200の第1コア2113の幅d5は0.2mm以上0.86mm以下であり、第2コイル2300の第2コア2123の幅d6は0.2mm以上0.86mm以下である。また、第1コイル2200の第1コア2113の幅d5を本体2100の長さL3で割った値(d5/L3)は0.1以上0.43以下であり、第2コイル2300の第2コア2123の幅d6を本体2100の長さL3で割った値(d6/L3)は0.1以上0.43以下である。また、この場合、本体2100の断面積に対する第1コイル2200の断面積と第2コイル2300の断面積との和の比は、0.007以上0.0412以下である。この場合、a1及びb1並びにa2及びb2はそれぞれ下記範囲をそれぞれ満足する。
【0168】
0.0175≦a1/L3≦0.100、b1/T3=0.030
0.0175≦a2/L3≦0.100、b2/T3=0.030
ここで、L3:本体の長さ、T3:本体の厚さ
【0169】
例えば、本体の長さが2.000mm、厚さが1.000mmである場合、a1及びb1並びにa2及びb2は下記範囲をそれぞれ満足する。
【0170】
0.035mm≦a1≦0.200mm、b1=0.030mm
0.035mm≦a2≦0.200mm、b2=0.030mm
【0171】
第1コイル2200の第1コア2113の幅d5及び第2コイル2300の第2コア2123の幅d6は、コイル電子部品2000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0172】
例えば、第1コア2113の幅は、上述のL-T断面写真で厚さ方向(T軸方向)に沿って同じ間隔で離れた5つの地点における第1コア2113の幅の算術平均値である。第2コア2123の幅もこれと同様に求められる。
【0173】
以上を除いた残りの構成要素は
図1に示したコイル電子部品の構成要素と同一なため、それに関する重複する説明は省略する。
【0174】
図7は、他の実施形態によるコイル電子部品の第3例を概略的に示す断面図である。
【0175】
図7を参照すると、コイル電子部品4000は、本体3100、第1コイル3200、第2コイル3300、第1外部電極500、第2外部電極600、第3外部電極700、及び第4外部電極800を含む。
【0176】
第1コイル3200は第1導線(conductive wire)3210の少なくとも一つのターン(turn)を含み、第2コイル3300は第2導線3310の少なくとも一つのターン(turn)を含む。
【0177】
第1コイル3200及び第2コイル3300は、複数のターン(turn)を有し、エッジワイズ(edgewise)コイルである。
【0178】
例えば、第1コイル3200は、本体3100の第6面S6側から第5面S5側に順次に最外側ターンコイルC1及び最内側ターンコイルC2を有する。一方、図示していないが、最外側ターンコイルC1と最内側ターンコイルC2との間には少なくとも一つの中間ターンコイルが配置され得る。
【0179】
同様に、第2コイル3300は本体3100の第5面S5側から第6面S6側に順次に最外側ターンコイルC1’及び最内側ターンコイルC2’を有する。一方、図示していないが、最外側ターンコイルC1’と最内側ターンコイルC2’との間には少なくとも一つの中間ターンコイルが配置され得る。
【0180】
第1導線3210の断面は互いに対向する第1対向部3211及び第2対向部3213と、第1対向部3211と第2対向部3213とを連結する第1曲線部3215及び第2曲線部3217とを含み、下記条件式7を満足する。
【0181】
[条件式7]0<t2<w2<L4/2
ここで、t2:第1導線の断面の厚さ、w2:第1導線の断面の幅、L4:本体の長さ
【0182】
第1対向部3211と第2対向部3213とは、厚さ方向(T軸方向)に対向する。第1対向部3211及び第2対向部3213は直線形状を有する。
【0183】
第1曲線部3215と第2曲線部3217とは、幅方向(T軸方向)に対向して、第1対向部3211と第2対向部3213とを連結する。即ち、第1対向部3211の左側(
図7基準)端部と第2対向部3213の左側(
図7基準)端部とは第1曲線部3215によって連結され、第1対向部3211の右側(
図7基準)端部と第2対向部3213の右側(
図7基準)端部とは、第2曲線部3217によって連結される。第1曲線部3215及び第2曲線部3217は曲線形状であり、それぞれ幅方向(T軸方向)に凸の形状を有する。例えば、第1曲線部3215及び第2曲線部3317の曲率半径は第1導線3210の厚さの1/2である。
【0184】
また、第2導線3310の断面は互いに対向する第1対向部3311及び第2対向部3313並びに第1対向部3311と第2対向部3313とを連結する第1曲線部3315及び第2曲線部3317を含み、下記条件式8を満足する。
【0185】
[条件式8]0<t2’<w2’<L4/2
ここで、t2’:第2導線の断面の厚さ、w2’:第2導線の断面の幅、L4:本体の長さ
【0186】
第1対向部3311と第2対向部3313とは厚さ方向(T軸方向)に対向する。第1対向部3311及び第2対向部3313は直線形状を有する。
【0187】
第1曲線部3315と第2曲線部3317とは、幅方向(T軸方向)に対向して、第1対向部3311と第2対向部3313とを連結する。即ち、第1対向部3311の左側(
図7基準)端部と第2対向部3313の左側(
図7基準)端部とは第1曲線部3315によって連結され、第1対向部3311の右側(
図7基準)端部と第2対向部3313の右側(
図7基準)端部とは第2曲線部3317によって連結される。第1曲線部3315及び第2曲線部3317は、曲線形状であり、それぞれ幅方向(T軸方向)に凸の形状を有する。例えば、第1曲線部3315及び第2曲線部3317の曲率半径は第2導線3310の厚さの1/2である。
【0188】
第1導線3210の断面の厚さ及び幅並びに第2導線3310の断面の厚さ及び幅は、コイル電子部品4000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0189】
例えば、第1導線3210(又は第2導線3310)のそれぞれの断面の厚さは、上述のL-T断面写真で、当該断面の第1対向部と第2対向部との間の距離の最大値を意味する。また、第1導線3210(又は第2導線3310)の断面の幅は、上述のL-T断面写真で、当該断面の第1曲線部と第2曲線部との間の距離の最大値を意味する。更に、第1導線3210(又は第2導線3310)の断面の厚さは、上述のL-T断面写真で、最外側ターンの第1導線3210(又は第2導線3310)から同じ間隔で離れた3つの地点における第1導線3210(又は第2導線3310)の断面の厚さの算術平均値である。一方、第1導線3210(又は第2導線3310)の断面の幅は、上述のL-T断面写真で、最外側ターンの第1導線3210(又は第2導線3310)から同じ間隔で離れた3つの地点における第1導線3210(又は第2導線3310)の断面の幅の算術平均値である。
【0190】
他の例として、第1導線3210(又は第2導線3310)の断面の厚さは、上述のL-T断面写真で、当該断面の第1対向部と第2対向部との間の距離の最大値と最小値との算術平均値を意味し、第1導線3210(又は第2導線3310)の断面の幅は、上述のL-T断面写真で、当該断面の第1曲線部と第2曲線部との間の距離の最大値と最小値との算術平均値を意味する。
【0191】
また他の例として、第1導線3210(又は第2導線3310)の断面の厚さは、上述のL-T断面写真で、当該断面の第1対向部(又は第2対向部)から同じ間隔で離れた3つの地点における当該断面の厚さの算術平均値である。上述の3つの地点は第1対向部(又は第2対向部)の両端部を含まない。第1導線3210(又は第2導線3310)の断面の幅は、上述のL-T断面写真で、第1曲線部の極大点を通る第1直線と第2曲線部の極大点を通り第1直線に平行な第2直線との間の距離である。
【0192】
また、本体3100の断面積に対する第1コイル3200の断面積と第2コイル3300の断面積との和の比は、0.0208以上0.0245以下である。ここで、第1コイル3200のターン数は1.8以上11.9以下であり、第2コイル3300のターン数は1.8以上11.9以下である。また、w2及びt2並びにw2’及びt2’はそれぞれ下記範囲を満足する。
【0193】
0.0175≦w2/L4≦0.150、t2/T4=0.030
0.0175≦w2’/L4≦0.150、t2’/T4=0.030
ここで、L4:本体の長さ、T4:本体の厚さ
【0194】
例えば、本体の長さが2.000mm、厚さが1.000mmである場合、w2及びt2並びにw2’及びt2’はそれぞれ下記範囲を満足する。
【0195】
0.035mm≦w2≦0.300mm、t2=0.030mm
0.035mm≦w2’≦0.300mm、t2’=0.030mm
【0196】
一方、第1コイル3200及び第2コイル3300のターン数はそれぞれ4.5であってもよい。この場合、第1コイル3200の第1コア3113の幅d7は0.2mm以上0.86mm以下であり、第2コイル3300の第2コア3123の幅d8は0.2mm以上0.86mm以下である。また、第1コイル3200の第1コア3113の幅d7を本体3100の長さL4で割った値(d7/L4)は0.1以上0.43以下であり、第2コイル3300の第2コア3123の幅d8を本体3100の長さL4で割った値(d8/L4)は0.1以上0.43以下である。この場合、本体3100の断面積に対する第1コイル3200の断面積と第2コイル3300の断面積との和の比は、0.0072以上0.0503以下である。また、w2及びt2並びにw2’及びt2’はそれぞれ下記範囲を満足する。
【0197】
0.0175≦w2/L4≦0.100、t2/T4=0.030
0.0175≦w2’/L4≦0.100、t2’/T4=0.030
ここで、L4:本体の長さ、T4:本体の厚さ
【0198】
例えば、本体の長さが2.000mm、厚さが1.000mmである場合、w2及びt2並びにw2’及びt2’はそれぞれ下記範囲を満足する。
【0199】
0.035mm≦w2≦0.200mm、t2=0.030mm
0.035mm≦w2’≦0.200mm、t2’=0.030mm
【0200】
第1コイル3200の断面積、第2コイル3300の断面積、及び本体3100の断面積は、コイル電子部品1000の幅方向(W軸方向)中央部における幅方向(W軸方向)に垂直に長さ方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「L-T断面」という)に対する光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を基準にして測定する。
【0201】
例えば、第1コイル3200の断面積、第2コイル3300の断面積、及び本体3100の断面積は、上述のL-T断面写真をSEM-EDXで測定して得られる。
【0202】
他の例として、第1コイル3200の断面積は、公知のイメージ分析ソフトウェアを用いて、上述のL-T断面写真に示された第1導線3210の各断面の面積を正確に測定した後、この値を全て足して求められる。第2コイル3300の断面積もこれと同様に求められる。
【0203】
また、公知のイメージ分析ソフトウェアを用いて、上述のL-T写真に示された本体3100の断面積を正確に測定することができる。
【0204】
以上を除いた残りの構成要素は
図1に示したコイル電子部品の構成要素と同一なため、それに関する重複する説明は省略する。
【0205】
以下では、本発明の具体的な実施例を提示する。但し、下記に記載した実施例は本発明を具体的に例示するか又は説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が制限されてはならない。
【実施例0206】
≪製造例1:コイル電子部品の製造≫
【0207】
断面形状が長方形である導線で二層の下部コイル及び二層の上部コイルを形成して実施例1~18及び比較例1~8によるコイル電子部品を製造した。
【0208】
製造されたコイル電子部品の導線の断面、コイル、本体に関する具体的な数値は表1に示した通りである。一方、本体の長さ、厚さ、及び幅は、それぞれ2.000mm、1.000mm、及び1.200mmであり、中間層の厚さは0.200mmであり、長さ方向(L軸方向)のマージンは0.100mmであり、幅方向(W軸方向)のマージンは0.500mmである。
【0209】
【0210】
コイルのターン幅は、コアと本体の第1面(又は第2面)との間に配置されるコイルの断面の幅を意味する。
【0211】
本体の断面積は、コイルを除いた磁性体が占める断面積を意味する。
【0212】
≪製造例2:コイル電子部品の製造≫
【0213】
断面形状が円形である導線で二層の下部コイル及び二層の上部コイルを形成して実施例19~34及び比較例9~16によるコイル電子部品を製造した。
【0214】
製造されたコイル電子部品の導線の断面、コイル、本体に関する具体的な数値は表2に示した通りである。一方、本体の長さ、厚さ、及び幅は、それぞれ2.000mm、1.000mm、及び1.200mmであり、中間層の厚さは0.200mmであり、長さ方向(L軸方向)のマージンは0.100mmであり、幅方向(W軸方向)のマージンは0.500mmである。
【0215】
【0216】
コイルのターン幅は、コアと本体の第1面(又は第2面)との間に配置されるコイルの断面の幅を意味する。
【0217】
本体の断面積は、コイルを除いた磁性体が占める断面積を意味する。
【0218】
≪製造例3:コイル電子部品の製造≫
【0219】
断面形状が楕円形又は円形である導線で二層の下部コイル及び二層の上部コイルを形成して実施例35~47及び比較例17~26によるコイル電子部品を製造した。
【0220】
製造されたコイル電子部品の導線の断面、コイル、本体に関する具体的な数値は表3に示した通りである。一方、本体の長さ、厚さ、及び幅は、それぞれ2.000mm、1.000mm、及び1.200mmであり、中間層の厚さは0.200mmであり、長さ方向(L軸方向)のマージンは0.100mmであり、幅方向(W軸方向)のマージンは0.500mmである。
【0221】
【0222】
コイルのターン幅は、コアと本体の第1面(又は第2面)との間に配置されるコイルの断面の幅を意味する。
【0223】
本体の断面積は、コイルを除いた磁性体が占める断面積を意味する。
【0224】
≪製造例4:コイル電子部品の製造≫
【0225】
断面形状が対向部及び曲線部を有する導線で二層の下部コイル及び二層の上部コイルを形成して実施例48~61及び比較例27~35によるコイル電子部品を製造した。
【0226】
製造されたコイル電子部品の導線の断面、コイル、本体に関する具体的な数値は表4に示した通りである。一方、本体の長さ、厚さ、及び幅は、それぞれ2.000mm、1.000mm、及び1.200mmであり、中間層の厚さは0.200mmであり、長さ方向(L軸方向)のマージンは0.100mmであり、幅方向(W軸方向)のマージンは0.500mmである。
【0227】
【0228】
コイルのターン幅は、コアと本体の第1面(又は第2面)との間に配置されるコイルの断面の幅を意味する。
【0229】
本体の断面積は、コイルを除いた磁性体が占める断面積を意味する。
【0230】
≪実験例≫
【0231】
<実験例1>
【0232】
実施例1~18及び比較例1~8で製造されたコイル電子部品の本体断面積に対するコイル断面積の比を測定し、本体の厚さ方向にコイルが露出するかを確認し、導線の断面の厚さが幅と同一又はそれよりも大きい条件を満足するかを確認し、その結果を表5に示す。
【0233】
【0234】
表5を参照すると、実施例1~18で製造されたコイル電子部品では、厚さ方向にコイルが露出する不良が発生せず、導線の断面の厚さが幅と同一又はそれよりも大きくて導線の断面形状に関する条件を満足した。比較例1、2、及び比較例5、6で製造されたコイル電子部品ではコイルが厚さ方向に露出しなかったが、導線の断面の幅が厚さよりも大きくて導線の断面形状に関する条件を満足しなかった。
【0235】
一方、比較例3、4、及び比較例7、8で製造されたコイル電子部品ではコイルが本体の厚さ方向の外面に突出して不良が発生した。
【0236】
<実験例2>
【0237】
実施例19~34及び比較例9~16で製造されたコイル電子部品の本体断面積に対するコイル断面積の比を測定し、直流電流印加時、温度変化量が定格電流(温度上昇許容電流、Itemp)を満足するかを確認し、本体の厚さ方向にコイルが露出するかを確認し、その結果を表6に示す。
【0238】
【0239】
表6を参照すると、実施例19~34で製造されたコイル電子部品では、厚さ方向にコイルが露出せず、温度上昇が40℃を超過せずに定格電流を満足した。比較例9、10、及び比較例13、14で製造されたコイル電子部品でコイルが厚さ方向に露出しなかったが、温度上昇が40℃を超過して定格電流を満足しなかった。
【0240】
一方、比較例11、12、及び比較例15、16で製造されたコイル電子部品では温度上昇が40℃を超過しなかったが、コイルが本体の厚さ方向の外面に突出して不良が発生した。
【0241】
<実験例3>
【0242】
実施例35~47及び比較例17~26で製造されたコイル電子部品の本体断面積に対するコイル断面積の比、コア幅、及びコイルのターン数を測定し、導線の断面の長さ方向(L軸方向)の最大長さが厚さ方向(T軸方向)の最大長さより大きい条件を満足するかを確認し、その結果を表7に示す。
【0243】
【0244】
表7を参照すると、実施例35~47で製造されたコイル電子部品のコアの幅は0mmよりも大きく、導線の断面の長さ方向(L軸方向)の最大長さは厚さ方向(T軸方向)の最大長さよりも大きくて導線の断面形状に関する条件を満足し、コイルのターン数は1よりも大きかった。
【0245】
反面、比較例17、18、及び比較例23、24で製造されたコイル電子部品の導線の断面の長さ方向(L軸方向)の最大長さは厚さ方向(T軸方向)の最大長さと同一又はそれよりも小さくて導線の断面形状に関する条件を満足しなかった。比較例20、21、22で製造されたコイル電子部品のコイルのターン数は1以下であった。比較例25、26で製造されたコイル電子部品のコアの幅は0mm以下であった。
【0246】
<実験例4>
【0247】
実施例48~61及び比較例27~35で製造されたコイル電子部品の本体断面積に対するコイル断面積の比、コア幅、及びコイルのターン数を測定し、導線の断面の幅が厚さよりも大きい条件を満足するかを確認し、その結果を表8に示す。
【0248】
【0249】
表8を参照すると、実施例48~61で製造されたコイル電子部品のコアの幅は0mmよりも大きく、導線の断面の幅は厚さよりも大きくて導線の断面形状に関する条件を満足し、コイルのターン数は1よりも大きかった。
【0250】
反面、比較例27、28、及び比較例32、33で製造されたコイル電子部品の幅は厚さと同一又はそれよりも小さくて導線の断面形状に関する条件を満足しなかった。比較例29、30、31で製造されたコイル電子部品のコイルのターン数は1以下であった。比較例34、35で製造されたコイル電子部品のコアの幅は0mm以下であった。
【0251】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。