特開 2025-7835 自動走行装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2025007835

(43)【公開日】2025-01-17

(54)【発明の名称】自動走行装置

(51)【国際特許分類】

   B60W 50/029 20120101AFI20250109BHJP

   B60W 50/04 20060101ALI20250109BHJP

   B60L 3/00 20190101ALI20250109BHJP

   B60L 15/20 20060101ALI20250109BHJP

   B60L 50/60 20190101ALI20250109BHJP

   B60L 58/18 20190101ALI20250109BHJP

【ＦＩ】

B60W50/029

B60W50/04

B60L3/00 S

B60L15/20 J

B60L50/60

B60L58/18

【審査請求】未請求

【請求項の数】1

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023109488

(22)【出願日】2023-07-03

(71)【出願人】

【識別番号】000003207

【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000028

【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】越川 友彰

(72)【発明者】

【氏名】安藤 裕也

(72)【発明者】

【氏名】増本 美樹

【テーマコード（参考）】

3D241

5H125

【Ｆターム（参考）】

3D241BA64

3D241BA65

3D241BB71

3D241CC19

3D241CD22

3D241DA67Z

5H125AA01

5H125AC12

5H125BA00

5H125BC05

5H125BC28

5H125CA08

5H125CA11

5H125EE26

(57)【要約】

【課題】電源に異常がある状態で長時間動作することを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】自動走行装置は、負荷装置と、負荷装置に電力を供給する複数の電源と、複数の電源の異常を検出する異常検出部と、複数の電源のそれぞれについて負荷装置に供給する電力を制御する制御部と、を備える。制御部は、複数の電源の全てに異常が検出されない場合に、複数の電源から負荷装置に電力を供給させる通常モードで動作し、複数の電源のうちの一つ以上に異常が検出される場合に、異常が検出された電源から負荷装置への電力の供給を停止し、異常が検出されない電源から負荷装置に供給する電力を通常モードの場合よりも大きくさせる異常モードで動作する。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

自動走行装置であって、
負荷装置と、
前記負荷装置に電力を供給する複数の電源と、
前記複数の電源の異常を検出する異常検出部と、
前記複数の電源のそれぞれについて前記負荷装置に供給する電力を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の電源の全てに異常が検出されない場合に、前記複数の電源から前記負荷装置に電力を供給させる通常モードで動作し、
前記複数の電源のうちの一つ以上に異常が検出される場合に、異常が検出された前記電源から前記負荷装置への電力の供給を停止し、異常が検出されない前記電源から前記負荷装置に供給する電力を前記通常モードの場合よりも大きくさせる異常モードで動作する、自動走行装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、自動走行装置に関する。

【背景技術】

【0002】

複数の電源を備える装置において、例えば、特許文献１に記載されているような、複数の電源のうち少なくとも一つ以上の電源に異常がある場合に、全ての電源に異常が無い場合よりも消費電力の小さい省エネモードで動作するよう制御する技術が知られている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１４－１９３７２０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかし、電源に異常が発生した場合に省エネモードで動作させると、電力の消費量が小さいため、電源に残存する電力量の減少が遅い。そのため、望ましくない場合であっても、電源に異常がある状態で長時間動作してしまう。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。

【0006】

本開示の一形態によれば、自動走行装置が提供される。この自動走行装置は、負荷装置と、前記負荷装置に電力を供給する複数の電源と、前記複数の電源の異常を検出する異常検出部と、複数の電源のそれぞれについて前記負荷装置に供給する電力を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記複数の電源の全てに異常が検出されない場合に、前記複数の電源から前記負荷装置に電力を供給させる通常モードで動作し、前記複数の電源のうちの一つ以上に異常が検出される場合に、異常が検出された前記電源から前記負荷装置への電力の供給を停止し、異常が検出されない前記電源から前記負荷装置に供給する電力を前記通常モードの場合よりも大きくさせる異常モードで動作する。
この形態の自動走行装置によれば、電源に異常がある場合に、電力消費が大きい異常モードで動作するため、電源に異常がある状態で長時間動作することを抑制できる。

【0007】

なお、本開示は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、自動走行装置の電源の制御方法等の態様で実現することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】自動走行装置の概要を示す模式図である。

【図2】電力消費制御処理の一例を示すフローチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0009】

Ａ．第１実施形態：
図１は、本実施形態における自動走行装置１００の概要を示す模式図である。自動走行装置１００は、例えば、陸上や水上、空中のいずれかで、物品を輸送するよう構成されている無人の移動機械であり、例えば、二輪車、四輪車などの種々の自動車や電車、船、ボート、ホバークラフト、空中ドローンなどである。本実施形態において、自動走行装置１００は、四輪車両である。自動走行装置１００は、第１システム１０と第２システム２０と異常検出部３０と制御部４０と、を備える。

【0010】

本実施形態において、第１システム１０は、自動走行装置１００の右側の駆動輪を駆動するシステムであり、第２システム２０は、自動走行装置１００の左側の駆動輪を駆動するシステムである。第１システム１０と第２システム２０とは互いに独立している。

【0011】

第１システム１０の構成と第２システム２０の構成とは互いに同一である。従って、以下においては、第１システム１０の構成について主に説明し、第２システム２０の構成については適宜説明を省略する。図１に示すように、第１システム１０の構成要素と第２システム２０の構成要素には各構成要素の符号の上一桁の「１」を「２」に置き換えた符号を付している。なお、第１システム１０と第２システム２０の各構成要素を区別する際には、例えば、「第１電源１１」、「第２電源２１」のように、接頭語として「第１」、「第２」を付す場合もある。

【0012】

第１システム１０は、電源１１とドライバ１２とモータ１３とを有する。電源１１は、例えば、バッテリとインバータ装置とを含む。電源１１は、ドライバ１２を介して、負荷装置であるモータ１３に電力を供給する。本実施形態において、モータ１３は、自動走行装置１００の車輪を駆動する。ドライバ１２とモータ１３とを合せて駆動部ともいう。駆動部は、自動走行を行うために動作する。

【0013】

異常検出部３０は、電源１１、２１の異常を検出する。異常検出部３０は、例えば、電源１１、２１の出力電圧を監視し、出力電圧が予め定められた正常範囲外の値である場合に、異常であると判断し、異常がある電源１１、２１を示す信号を制御部４０に出力する。

【0014】

制御部４０は、中央処理装置（ＣＰＵ）や、ＲＡＭ、ＲＯＭ等により構成されたコンピュータからなり、制御部４０の記憶領域に予めインストールされたプログラムを実行することによって、第１電源１１が負荷装置である第１モータ１３に供給する電力および第２電源２１が負荷装置である第２モータ２３に供給する電力の制御を実現する。ただし、これらの制御の一部又は全部はハードウエア回路で実現されてもよい。

【0015】

制御部４０は、複数の電源１１、２１の全てに異常が検出されない場合、すなわち、第１電源１１および第２電源２１に異常が検出されない場合、「通常モード」で動作し、複数の電源１１、２１のうちの一つ以上に異常が検出される場合、すなわち、第１電源１１または第２電源２１に異常が検出される場合に、「異常モード」で動作する。通常モードは、複数の電源１１、２１全てから負荷装置に電力を供給させる動作態様である。異常モードは、異常が検出された電源１１、２１から負荷装置への電力の供給を停止し、異常が検出されない電源１１、２１から負荷装置に供給する電力を通常モードの場合よりも大きくさせる動作態様である。

【0016】

図２は、電力消費制御処理の一例を示すフローチャートである。電力消費制御処理は、制御部４０が、第１電源１１または第２電源２１の異常が検出されたか否かに応じて、電力の消費を制御する処理である。本実施形態において、この処理は、自動走行装置１００の駆動中に繰り返し行われる処理である。

【0017】

ステップＳ１００において、制御部４０は、異常検出部３０が第１電源１１または第２電源２１の異常が検出されたか否かを判定する。異常が検出された場合、ステップＳ１１０の処理に進む。一方、異常が検出されない場合、ステップＳ１３７の処理に進み、通常モードで動作し、電力消費制御処理を終了する。

【0018】

ステップＳ１１０において、制御部４０は、異常が検出された電源が第１電源１１であるか否かを判定する。第１電源１１に異常がある場合、ステップＳ１２０の処理に進む。一方、第１電源１１に異常がない場合、ステップＳ１２５の処理に進む。

【0019】

ステップＳ１２０において、制御部４０は、第１システム１０を停止する。より具体的には、第１電源１１から第１モータ１３への電力の供給を停止する。

【0020】

ステップＳ１３０において、制御部４０は、異常が検出されない第２電源２１から第２モータ２３に供給する電力を通常モードでの動作の場合よりも大きくさせ、電力消費制御処理を終了する。すなわち、自動走行装置１００の左側の駆動輪のみが通常モードでの動作の場合よりも大きな出力で駆動され、自動走行装置１００は、例えば、その場で時計回りに回転する。

【0021】

ステップＳ１２５において、制御部４０は、第２システム２０を停止する。より具体的には、第２電源２１から第２モータ２３への電力の供給を停止する。

【0022】

ステップＳ１３５において、制御部４０は、異常が検出されない第１電源１１から第１モータ１３に供給する電力を通常モードでの動作の場合よりも大きくさせ、電力消費制御処理を終了する。すなわち、自動走行装置１００の右側の駆動輪のみが通常モードでの動作の場合よりも大きな出力で駆動され、自動走行装置１００は、例えば、その場で反時計回りに回転する。

【0023】

以上で説明した本実施形態の自動走行装置１００によれば、電源１１、２１に異常がある場合に、電力消費が大きい異常モードで動作するため、電源１１、２１に異常がある状態で長時間動作することを抑制できる。また、異常が検出された電源１１、２１からの電力の供給を停止するため、異常が検出された電源１１、２１からの電力供給を継続することで異常が検出されない電源１１、２１も連鎖して発熱量が増加することを抑制できる。

【0024】

また、片側の駆動輪のみが電源１１、２１に異常がない場合よりも大きな出力で駆動される。そのため、電源１１、２１に異常がある場合、自動走行装置１００は、その場で回転するため、自動走行装置１００の周囲の人に異常があることを知らせつつ、電源１１、２１の電力を積極的に消費できる。また、異常が検出された電源１１、２１からガスが漏れた場合であっても、自動走行装置１００の回転によって、ガスが局所的に高濃度となることを回避できる。

【0025】

Ｂ．他の実施形態：
（Ｂ１）上述した実施形態において、自動走行装置１００は、システムを２つ備えている。これに限らず、自動走行装置１００は、３つ以上システムを備えていてもよい。また、自動走行装置１００は複数の電源を備えていればよく、システムを１つだけ備えていてもよい。

【0026】

（Ｂ２）上述した実施形態において、第１システム１０は、自動走行装置１００の右側の駆動輪を駆動するシステムであり、第２システム２０は、自動走行装置１００の左側の駆動輪を駆動するシステムである。これに限らず、第１システム１０は、自動走行装置１００の前輪を駆動するシステムでもよく、第２システム２０は、自動走行装置１００の後輪を駆動するシステムでもよい。

【0027】

（Ｂ３）上述した実施形態において、第１システム１０および第２システム２０は、異常モードにおいてのみ電力が供給される異常時負荷装置を有してもよい。異常時負荷装置は、例えば、空冷ファンである。この場合、異常が検出された電源１１、２１からガスが漏れた場合であっても、ガスを撹拌できる。また、自動走行装置１００の上部に排出口が設けられている場合、ガスの上空への拡散効率を向上できる。また、異常時負荷装置として、電源１１、２１に異常があることを通知する警告表示モニタや照明装置、警報器等が採用できる。この場合、制御部４０は、異常モードにおいて、それぞれの電源１１、２１について、モータ１３、２３へは通常モードと同程度の電力を供給させてもよい。

【0028】

（Ｂ４）上述した実施形態において、第１システム１０および第２システム２０は、モータ１３、２３以外の、電源１１、２１から電力が供給される負荷装置を有していてもよい。この場合、制御部４０は、異常モードにおいて、それぞれの電源１１、２１について、モータ１３、２３以外の負荷装置に供給する電力を通常モードの場合よりも大きくさせ、モータ１３、２３へは通常モードと同程度の電力を供給させてもよい。

【0029】

本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述した課題を解決するために、あるいは上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。

【符号の説明】

【0030】

１０…第１システム、１１、２１…電源、１２、２２…ドライバ、１３、２３…モータ、２０…第２システム、３０…異常検出部、４０…制御部、１００…自動走行装置

【図1】

【図2】