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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007843
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】タイヤ接地特性評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20250109BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109498
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石神 直大
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131LA21
(57)【要約】
【課題】高精度かつ広い範囲にわたるタイヤ接地部分の画像を取得可能としてタイヤの接地特性を評価する。
【解決手段】実路面相当の凹凸を有する疑似路面12Aを持つ疑似路面板12にタイヤ1を接地させる。疑似路面板12を透過した電磁波を検出して光学的撮影を行う際に、タイヤ1の疑似路面12Aに対する接地部分5を複数に分割して撮影を行い複数の画像を取得する。該複数の画像を合成して接地部分5についての合成画像を取得する。合成画像を二値化して二値化画像を取得し、二値化画像に基づいて接地特性を評価する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実路面相当の凹凸を有する疑似路面を持つ疑似路面板の前記疑似路面にタイヤ又はゴム試験片を接地させる工程、
前記疑似路面板を透過した電磁波を検出して光学的撮影を行う撮影装置を用いて、前記タイヤ又はゴム試験片の前記疑似路面に対する接地部分を複数に分割して前記光学的撮影を行い複数の画像を取得する工程、
前記複数の画像を合成して前記接地部分についての合成画像を取得する工程、
前記合成画像を二値化して二値化画像を取得する工程、及び、
前記二値化画像に基づいて接地特性を評価する工程、
を含む、タイヤ接地特性評価方法。
【請求項2】
特徴量算出アルゴリズムを用いて前記複数の画像を合成する、請求項1に記載のタイヤ接地特性評価方法。
【請求項3】
局所適応的しきい値アルゴリズムを用いて前記合成画像を二値化する、請求項1又は2に記載のタイヤ接地特性評価方法。
【請求項4】
前記疑似路面と前記タイヤ又はゴム試験片との間に蛍光液を介在させて、前記疑似路面に前記タイヤ又はゴム試験片を接地させ、前記疑似路面板の前記疑似路面とは反対側から前記蛍光液に対して励起光を照射し、前記蛍光液から放出され前記疑似路面板を透過した蛍光を検出して前記光学的撮影を行う、請求項1に記載のタイヤ接地特性評価方法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの接地特性を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実路面を想定した凹凸路面に対するタイヤの接地特性を精度よく評価することが求められており、様々な提案がなされている。例えば、特許文献1には、湿潤路面におけるタイヤの接地状態を測定する方法として、実路面相当の凹凸面を有する透明板上に蛍光液を介在させてタイヤを接地させ、蛍光液に励起光を照射し、蛍光液から放出された蛍光の輝度分布を測定する方法が開示されている。特許文献2には、当該測定方法を用いてタイヤ接触面積を測定し、該接触面積と摩擦係数との相関関係からタイヤ接地状態を高精度で評価する方法が開示されている。
【0003】
特許文献3には、凹凸を有する平板に接地させたタイヤにテラヘルツ波を照射し、タイヤからのテラヘルツ波の反射波を検出することにより、タイヤの接地特性を評価することが開示されている。
【0004】
特許文献4には、半透明材料からなる路面体の下側から、タイヤ接地部分の影を画像読取手段により読み取るようにしてタイヤ踏面の接地形状を測定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-084428号公報
【特許文献2】特開2019-074335号公報
【特許文献3】特開2018-119928号公報
【特許文献4】特開2004-009880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなタイヤの接地特性評価方法において、疑似路面に対するタイヤの接地部分を広範囲にわたり一括して撮影する場合、例えば、カメラ精度の制約、簡易的な装置での接地部分までの距離の制約、疑似路面板の大きさの制約、電磁波の照射強度及び接地部分からの電磁波の強度の制約等により、満足な精度の接地部分の画像が得られないことがある。
【0007】
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、高精度かつ広い範囲にわたるタイヤ接地部分の画像を取得可能としてタイヤの接地特性を評価することができるタイヤ接地特性評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下に示される実施形態を含む。
[1] 実路面相当の凹凸を有する疑似路面を持つ疑似路面板の前記疑似路面にタイヤ又はゴム試験片を接地させる工程、
前記疑似路面板を透過した電磁波を検出して光学的撮影を行う撮影装置を用いて、前記タイヤ又はゴム試験片の前記疑似路面に対する接地部分を複数に分割して前記光学的撮影を行い複数の画像を取得する工程、
前記複数の画像を合成して前記接地部分についての合成画像を取得する工程、
前記合成画像を二値化して二値化画像を取得する工程、及び、
前記二値化画像に基づいて接地特性を評価する工程、
を含む、タイヤ接地特性評価方法。
[2] 特徴量算出アルゴリズムを用いて前記複数の画像を合成する、[1]に記載のタイヤ接地特性評価方法。
[3] 局所適応的しきい値アルゴリズムを用いて前記合成画像を二値化する、[1]又は[2]に記載のタイヤ接地特性評価方法。
[4] 前記疑似路面と前記タイヤ又はゴム試験片との間に蛍光液を介在させて、前記疑似路面に前記タイヤ又はゴム試験片を接地させ、前記疑似路面板の前記疑似路面とは反対側から前記蛍光液に対して励起光を照射し、前記蛍光液から放出され前記疑似路面板を透過した蛍光を検出して前記光学的撮影を行う、[1]~[3]のいずれか1項に記載のタイヤ接地特性評価方法。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態によれば、高精度かつ広い範囲にわたるタイヤ接地部分の画像を取得することができ、タイヤの接地特性を高精度に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るタイヤ接地特性評価方法に用いる測定装置の正面図
図2】同測定装置の構成を模式的に示す図
図3】タイヤの接地形状の一例を示す図
図4】タイヤの接地部分を複数に分割して撮影した画像G1~G3を示す図
図5】(A)図4の画像G1~G3を合成した合成画像を示す図、(B)該合成画像を二値化した二値化画像を示す図
図6】一実施形態に係るタイヤ接地特性評価方法のフローチャート
図7】タイヤの接触面積占有率と荷重との関係を示すグラフ
図8】二値化画像における着目する局所領域を示す図
図9】着目する局所領域について接触面積占有率と荷重との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係るタイヤ接地特性評価方法について図面を参照しながら説明する。
【0012】
実施形態に係るタイヤ接地特性評価方法は、タイヤ又はゴム試験片を疑似路面板に接地させ、該疑似路面板を透過した電磁波を検出して光学的撮影を行う際に、疑似路面板に対する接地部分を複数に分割して光学的撮影を行い、得られた複数の画像を合成し、合成した画像を二値化して接地特性を評価するものである。
【0013】
電磁波とは、電場と磁場の周期的な変化が空間を波動として伝播する現象をいう。電磁波としては、特に限定されず、例えば、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波(テラヘルツ波も含まれる。)などが挙げられる。
【0014】
一実施形態として、以下では、湿潤路面におけるタイヤの接地特性を評価する方法として、タイヤと疑似路面との間に蛍光液を介在させて、該疑似路面にタイヤを接地させ、疑似路面板の疑似路面とは反対側から蛍光液に対して励起光を照射し、該蛍光液から放出され疑似路面板を透過した蛍光を検出して光学的撮影を行う方法を例に挙げて説明する。蛍光特性を持つ物質には、各物質固有で特定の吸収波長域と蛍光波長域が存在する。イメージングに用いられる蛍光は一般的には可視光域であるが、紫外線や赤外線のように人の目に見えない電磁波でもよい。励起光は一般に、紫外線、可視光線が用いられるが、着目する物質の吸収波長域に合わせて選択される。
【0015】
図1は、一実施形態に係るタイヤ接地特性評価方法に用いる測定装置10を示す図である。但し、該評価方法に用いられる測定装置はこれに限定されるものではない。測定装置10は、疑似路面板12の疑似路面12Aに接地させたタイヤ1の接地状態を、当該疑似路面板12を透過した電磁波を検出することにより測定する装置である。
【0016】
図1に示されるように、測定装置10は、疑似路面板12と、当該疑似路面板12が設置されるテーブル14と、タイヤ1を支持する支持軸16と、当該支持軸16を支える一対の軸支え18,18と、ベース台20とを備える。テーブル14と一対の軸支え18,18はベース台20上に設けられている。
【0017】
疑似路面板12は、図2に示されるように、表裏両面のうちの一方の面に実路面相当の凹凸を有する疑似路面12Aを持ち、疑似路面12Aとは反対側の面はこの例では平坦である。疑似路面板12は、電磁波が透過可能な平面視矩形状の平板であり、好ましくは透明板である。疑似路面12Aを備えた透明な疑似路面板12の作製方法は、特に限定されず、例えば、実際の路面に対応するアスファルトをシリコーンゴムで型取り、この型に透明樹脂を流し込み、真空脱気状態で硬化させることにより作製することができる。透明樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂を挙げることができる。
【0018】
疑似路面板12は、テーブル14上に取り替え可能に設置され、試験対象とする路面に応じて様々な凹凸形状を持たせたものを複数枚用意し、それらの中から選択して設置することができる。
【0019】
テーブル14は、疑似路面板12を水平に設置するための設置台22を備える。設置台22はテーブル14の天板に設けられている。疑似路面板12は、疑似路面12Aを上方に向けて設置台22の上面に設置される。
【0020】
設置台22には、下方から疑似路面板12を介してタイヤ1と疑似路面12Aとの接地部分5を観察できるように観察用窓24が設けられている。疑似路面板12は、観察用窓24を上方から覆うように設置台22に設置される。
【0021】
テーブル14には、その天板である設置台22の下方に、照射装置28を設置するための照射装置用スペース30と、撮影装置32を設置するための撮影装置用スペース34とが、棚板36により上下に区分けして設けられている。
【0022】
棚板36の上側の照射装置用スペース30には、疑似路面板12を介してタイヤ1と疑似路面12Aとの接地部分5に電磁波を照射するための照射装置28が設けられている。
【0023】
この例では、照射装置28は、図2に示されるように、光源38とフィルタ40とダイクロイックミラー42とを備える。光源38は、タイヤ1と疑似路面12Aとの間に介在する蛍光液2に対して励起光を照射する。フィルタ40は、光源38から照射される光から特定の波長の光のみを透過し分離する。ダイクロイックミラー42は、フィルタ40で分離された特定の波長の光のみを反射する。照射装置28は、接地部分5に対する励起光の照射位置を変更することができるように水平方向に移動可能に構成されている。
【0024】
棚板36の下側の撮影装置用スペース34には、疑似路面板12を透過した電磁波を検出して光学的撮影を行うための撮影装置32が設けられている。撮影装置32は、ベース台20上に設けられた撮影装置設置台44上に設置されている。
【0025】
撮影装置32は、タイヤ1と疑似路面12Aとの接地部分5から疑似路面板12を透過して下方に進む電磁波を検出するものである。例えば、撮影装置32は、照射装置28から照射された電磁波が接地部分5で反射してなる反射波を検出するものでもよく、照射装置28から照射された電磁波に起因して接地部分5で放出された電磁波を検出するものでもよい。
【0026】
この例では、撮影装置32は、接地部分5に存在する蛍光液2から放出されて疑似路面板12を透過した蛍光を検出するものである。撮影装置32は、疑似路面板12を透過した蛍光から特定の波長の光のみを透過させて分離するフィルタ46と、フィルタ46を透過した蛍光を撮影するカメラ48とを備える(図2参照)。カメラ48としては、例えば一眼レフカメラを用いてもよい。撮影装置32は、照射装置28の上記移動に合わせて水平方向に移動可能に構成されている。
【0027】
なお、光源38としては、蛍光液に含まれる蛍光色素の励起スペクトルに合わせて、適宜選択して使用することができ、当該励起スペクトルのピーク波長付近にピーク波長を有する光源(例えば水銀ランプや紫外線LED)が好ましく用いられる。
【0028】
ダイクロイックミラー42やフィルタ40,46は、使用する蛍光色素の励起スペクトルと蛍光スペクトルに合わせて、適宜選択して使用することができる。フィルタ40,46としては、例えば、蛍光検出を行う際にノイズを除去する波長選択型の蛍光フィルタ、規定波長よりも短波長側の光をカットして長波長側の光を透過させるハイパスフィルタ(ロングパスフィルタ)、規定波長よりも長波長側の光をカットして短波長側の光を透過させるローパスフィルタ(ショートパスフィルタ)、一定の波長域の光のみ透過させ、それ以外の短波長側及び長波長側の光をカットするバンドパスフィルタなどが挙げられる。
【0029】
図1に示されるように、支持軸16は、疑似路面板12の上方において疑似路面12Aにタイヤ1を接地可能に支持する軸部材(シャフト)であり、設置台22の上方に設けられている。タイヤ1はホイール3のリムに装着され、支持軸16は当該ホイール3の中心を貫通した状態に取り付けられる。ホイール3は、ホイール固定ディスク50を用いて、支持軸16に固定される。
【0030】
軸支え18,18は、タイヤ1を支持した支持軸16を、タイヤ1の軸方向両側で水平に支えることができるように左右一対で設けられている。一対の軸支え18,18は、ベース台20上に直立して設けられて支持軸16を支持する柱である。軸支え18の上端には軸チャック51が設けられ、該軸チャック51を用いて、軸支え18の上端に支持軸16が取り付けられている。一対の軸支え18,18は、テーブル14を挟んだ両側に設けられて支持軸16の両端を支持する。従って、左右一対の軸支え18,18の間にテーブル14が設けられている。
【0031】
測定装置10には、一対の軸支え18,18に支持軸16を下方に引き寄せる引張り力を作用させてタイヤ1に荷重をかけるための荷重付与手段が設けられている。この例では、荷重付与手段は、一対の軸支え18,18の長さを伸縮可能な一対の伸縮機構部52,52と、一対の伸縮機構部52,52を上下方向に伸縮させることで荷重を調整する荷重調整部54とを備える。一対の軸支え18,18の長さを縮めることにより、支持軸16が下方に引き寄せられて、タイヤ1にかかる荷重を高めることができる。また、一対の軸支え18,18の長さを伸ばすことにより、支持軸16が上方に移動して、タイヤ1にかかる荷重を低くすることができる。
【0032】
詳細には、各軸支え18は、外周にネジが切ってある雄ネジ部56Aを少なくとも上端に有する回転可能な下側柱部材56と、雄ネジ部56Aと螺合する雌ネジ部58Aを下端に有する上側柱部材58とを、上下に連結することで構成されている。下側柱部材56を回転させることにより、雄ネジ部56Aと雌ネジ部58Aとの螺合位置が変わって各軸支え18が伸縮する。従って、各伸縮機構部52は、回転可能な雄ネジ部56Aとこれに螺合する雌ネジ部58Aとにより構成されている。
【0033】
荷重調整部54は、下側柱部材56の回転を制御することにより一対の伸縮機構部52,52を伸縮させるものであり、この例では手動のハンドル54Aにより構成されている。一対の軸支え18,18の伸縮機構部52,52は同期して伸縮するように構成されている。そのため、ハンドル54Aを回転させると、一対の軸支え18,18で同期して下側柱部材56が回転し、これにより一対の軸支え18,18は同期して伸縮し、軸支え18,18にかかる力が左右均等になる。
【0034】
測定装置10には、一対の軸支え18,18に作用する引張り力を検出する力検出装置として一対のロードセル60,60が設けられている。ロードセル60は、各軸支え18にそれぞれ組み込まれており、詳細には上側柱部材58に組み込まれている。ロードセル60は、軸支え18に作用する上下方向の力を検出する。
【0035】
図1に示されるように、ロードセル60の両側には左右一対の支え棒61,61が設けられている。支え棒61は、ロードセル60での引張り力の検出を可能にするために、その両端が上下の部材に固定されておらず、すなわち上下フリーに構成されている。
【0036】
測定装置10には、一対のロードセル60,60により検出された引張り力に基づいてタイヤ1にかかる荷重を算出する荷重算出部62が設けられている。荷重算出部62は、一対の軸支え18,18の長さを縮めることで発生する引張り力を左右で合計し、当該引張り力によってタイヤ1にかかる荷重を計算するものであり、例えば簡易マイクロプロセッサなどのコンピュータにより構成することができる。
【0037】
測定装置10には、荷重算出部62により求められたタイヤ1への荷重を表示する荷重表示部64が設けられている。荷重表示部64は一般的なディスプレイで構成することができる。
【0038】
測定装置10は、当該測定装置10を移動可能に支持する車輪66を備える。車輪66は、ベース台20の下面に取り付けられており、例えば矩形状をなすベース台20の四隅にそれぞれ設けられる。
【0039】
上記の測定装置10では、左右一対の軸支え18,18でタイヤ1を支持する構成としたが、片持ち梁によりタイヤの荷重を支えてもよい。その場合、梁の根元にロードセルを組み込んで荷重を検出してもよい。
【0040】
また、上記の測定装置10では、タイヤ1にかかる荷重を計測するロードセル60を左右の軸支え18,18の内部に組み込んだが、ロードセルは、例えば疑似路面板12の底面や装置本体の底面に組み込んでもよい。その場合、ロードセルは圧縮の力を検出し、これによりタイヤにかかる荷重を計測することができる。
【0041】
一実施形態に係るタイヤ接地特性評価方法では、設置台22に疑似路面板12を固定し、疑似路面12A上に蛍光液2を注ぐ。蛍光液2としては、例えば、励起スペクトルと蛍光スペクトルとのピーク波長の差が100nm以上である親水性蛍光色素(例えばピラニン)を含有する水溶液が用いられる。
【0042】
次いで、ホイール3に装着したタイヤ1を支持軸16に固定し、該支持軸16を一対の軸支え18,18間に架け渡すように取り付けて、疑似路面12Aにタイヤ1を接地させる。これにより、タイヤ1と疑似路面12Aとの間に蛍光液2が介在した状態で、タイヤ1は疑似路面12Aに接地する。なお、タイヤ1には内圧が充填されている。内圧としては、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧でもよく、例えばトラックバス用タイヤ、ライトトラック用タイヤの場合は、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば"INFLATIONPRESSURE"があげられ、乗用車用タイヤの場合は通常180kPa、220kPaなどがあげられ、実車両に設定されている空気圧も用いられる。
【0043】
次いで、荷重調整部54のハンドル54Aを回すことにより、一対の軸支え18,18の下側柱部材56,56が回転して上側柱部材58,58が左右で同期しつつ下方に移動し、一対の軸支え18,18が縮む。これにより、一対の軸支え18,18には、支持軸16を下方に引き寄せる力(引張り力)が作用し、タイヤ1に荷重がかかる。その際、各軸支え18に組み込まれたロードセル60により軸支え18に作用する引張り力を検出し、それに基づき荷重算出部62がタイヤ1にかかる荷重を算出し、算出した荷重が荷重表示部64に表示される。このように荷重表示部64に表示される荷重を確認しながら、タイヤ1に指定の荷重をかけることができる。
【0044】
タイヤ1にかける荷重としては、正規荷重でもよく、実車相当荷重でもよく、また、これらの0.2~1.5倍の値など、接地特性評価の目的に応じて任意に設定することができる。また、荷重を複数段階に設定して、それぞれの荷重で接地状態を測定して、荷重と接地特性との関係を評価してもよい。ここで、正規荷重は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、例えばJATMA規格における最大負荷能力、TRA規格における上記の表に記載の最大値、ETRTO規格における「LOAD CAPACITY」でもよく、タイヤが乗用車用である場合にこれらの荷重の88%に相当する荷重でもよい。
【0045】
タイヤ1に所定の荷重をかけてから、図2に示されるように、照射装置28の光源38から励起光を照射する。光源38から照射された励起光は、フィルタ40によって所定波長(例えば400nm)以下の光が分離される。分離された励起光は、ダイクロイックミラー42で反射されて、疑似路面板12の下面から、タイヤ1と疑似路面12Aとの間に介在する蛍光液2に対して照射される。これにより、蛍光液2に含まれる蛍光色素を基底状態から励起状態へと遷移させる。その後、励起状態の蛍光色素は基底状態へと戻り、その際、蛍光が放出される。
【0046】
放出された蛍光は、疑似路面板12を透過し、ダイクロイックミラー42を透過した後、フィルタ46によって、所定以上の波長(例えば480nm以上)の蛍光が分離され、分離された蛍光が撮影装置32のカメラ48で撮影される。
【0047】
このような撮影装置32による撮影に際し、この実施形態では、タイヤ1の疑似路面12Aに対する接地部分5を複数に分割して撮影を行うことで複数の画像を取得する。すなわち、該接地部分5を分割して局所的に拡大して撮影する。これにより、タイヤ1と疑似路面12Aとの接地部分5の画像をより高精度で取得することができる。接地部分5とは、タイヤ1が疑似路面板12に外観上接地しているとみなされる領域であり、タイヤ接地面とも称される。
【0048】
かかる分割した撮影は、照射装置28と撮影装置32を、上記のように水平方向に移動させて、接地部分5に対する励起光の照射位置を変更するとともに、それに同期させて撮影装置32による撮影箇所を変更することで実現することができる。なお、照射装置28は移動させることなく、撮影装置32のみを水平方向に移動させることにより、上記の分割した撮影を実現してもよい。
【0049】
接地部分5の分割方法は特に限定されず、例えば、タイヤトレッドの全幅にわたって後述する合成画像を得るために接地部分5をタイヤ軸方向に複数に分割してもよい。また、接地部分5の全体の合成画像を得るために接地部分5をタイヤ軸方向及びタイヤ周方向にそれぞれ複数に分割してもよい。例えば、タイヤ軸方向に3分割及びタイヤ周方向に3分割し、合計9分割としてもよい。なお、接地部分5を分割して撮影する場合、必ずしも接地部分5の全体を分割しなくてもよい。
【0050】
このように接地部分5を複数に分割する際、分割して撮影された各画像が隣接する画像間で重なりを持つことが好ましい。これにより、複数の画像を隙間なく合成することができ、精度の高い合成画像を得ることができる。
【0051】
図3は、タイヤ1の接地形状の一例を示す図であり、接地部分5の輪郭形状を示している。タイヤトレッドの表面には、タイヤ周方向に延びる複数(この例では4本)の主溝6が設けられている。該主溝6により、タイヤトレッドには、複数のトレッド陸7が区画形成されている。詳細には、中央に位置するセンター陸7Aと、その両側に位置する左右一対のクォーター陸7B,7Bと、クォーター陸7Bの外側に位置する左右一対のショルダー陸7C,7Cとが設けられている。これらのトレッド陸7は、この例ではタイヤ周方向の全周にわたって連続するリブとして設けられているが、当該リブを横断する横溝が設けられることでブロック列として設けられてもよい。
【0052】
図3に示されるように、この例では、タイヤトレッドの全幅にわたる接地部分5がタイヤ軸方向に3つに分割して撮影される。すなわち、一点鎖線の枠で囲んだ左側部分70Lと、点線の枠で囲んだ中央部分70Cと、二点鎖線の枠で囲んだ右側部分70Rとに分けて撮影され、それぞれ、図4に示す「画像G1」、「画像G2」及び「画像G3」が得られる。左側部分70Lと中央部分70Cとはタイヤ軸方向において重なりを持ち、中央部分70Cと右側部分70Rとはタイヤ軸方向において重なりを持つ。そのため、得られる画像も、画像G1と画像G2の間、及び、画像G2と画像G3の間に、それぞれ重複する部分を有することになる。
【0053】
次いで、上記の複数の画像を合成して接地部分5についての合成画像を取得する。画像の合成は、所定のアルゴリズムを用いてコンピュータプログラムにより行うことができる。好ましくは、特徴量算出アルゴリズムを用いて複数の画像を合成することである。一般に分割して撮影された画像間には、測定装置の制約等から背景輝度にバラツキが生じる。これを解消するためのロバスト性を満足させる撮影システムの開発にはコストアップなどのデメリットが生じる。これに対し、特徴量算出アルゴリズムを用いて合成することにより、コストアップを抑えながらロバスト性を向上することができ、分割画像間の位置合わせ精度に優れ、多少の位置ずれであればコンピュータプログラムにより自動的に補正することができる。
【0054】
特徴量算出アルゴリズムとしては、公知のアルゴリズムを用いることができ、例えば、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)、SURF(Speeded-Up Robust Features)、FAST(Features fromAccelerated Segment Test)、HOG(Histograms of Oriented Gradients)などが挙げられる。これらの中でもSIFT又はSURFが好ましい。
【0055】
SIFTは、画像の特徴点の検出と、特徴量の記述を行うアルゴリズムであり、128次元の特徴量が複数点付与される。SIFTには、回転、スケール変化に不変であり、照明変化に頑健という特徴がある。そのため、照明強度に差が生じるようなタイヤ接地部分の画像の合成に向いており、カメラの位置に対するロバスト性も高い。
【0056】
SURFは、SIFTの特徴量処理の部分を高速化し、SIFTレベルの精度を実現したアルゴリズムであり(但し、一般的には特徴認識はSIFTの方がより精度が高い)、64次元の特徴量が複数点付与される。タイヤ接地部分の画像の合成のようにサイズの大きい画像を扱う場合、計算時間の観点からSURFがより好ましい。
【0057】
図5(A)は、上記の画像G1~G3を、SURFを用いて合成した合成画像G4を示すものである。合成画像G4は、タイヤトレッドの全幅にわたる接地部分5の画像である。合成画像G4において、画像G1と画像G2との重なり部分、及び、画像G2と画像G3との重なり部分では、各ピクセルにおいて輝度等の画像情報が平均されている。
【0058】
次いで、上記で得られた合成画像を、蛍光の輝度分布を表す輝度画像(蛍光強度画像)に変換する。輝度画像への変換は、例えばMATLAB(登録商標)などの市販の数値解析ソフトウェアを用いて行うことができる。なお、輝度画像への変換は、分割して撮影した画像を合成する前に実施してもよい。すなわち、分割して撮影した複数の画像をそれぞれ輝度画像に変換し、次いで、当該変換した複数の画像を上記のように所定のアルゴリズムを用いて合成してもよい。
【0059】
次いで、輝度画像に変換された合成画像を二値化して二値化画像を取得する。合成画像の二値化は、二値化アルゴリズムを用いてコンピュータプログラムにより行うことができる。好ましくは、局所適応的しきい値アルゴリズムを用いて合成画像を二値化することである。一般に合成画像においては撮影画像間で背景輝度にバラツキが生じており、局所適応的しきい値アルゴリズムを用いない場合、輝度ヒストグラムを逐一確認して手作業でのしきい値の再設定作業が必要となり、工数増となる。これに対し、局所適応的しきい値アルゴリズムを用いることにより、手作業での工数を削減して一貫した処理が可能になる。
【0060】
適応的しきい値アルゴリズムは、画像中の小領域ごとにしきい値を計算する手法である。画像の輝度が領域ごとに変化している画像に対して、それぞれの領域ごとにしきい値を計算し、当該しきい値で二値化することにより、疑似路面12Aに対する接触領域と非接触領域を明確に分離することができる。例えば、しきい値以下である領域は、輝度が低く蛍光液2の膜厚が小さいことから「接触領域」とし、しきい値よりも大きい領域は、輝度が高く蛍光液2の膜厚が大きいことから「非接触領域」として、二値化する。なお、適応的しきい値アルゴリズムについては、例えば、Bradley, D., G. Roth, ”Adapting Thresholding Using the IntegralImage,” Journal of Graphics Tools. Vol. 12, No. 2, 2007, pp.13-21に記載されており、公知のアルゴリズムを用いることができる。
【0061】
図5(B)は、上記の合成画像G4を、適応的しきい値アルゴリズムを用いて二値化した二値化画像G5を示すものである。二値化画像G5において、黒い部分が疑似路面12Aに接地している領域(接触領域)であり、白い部分が疑似路面12Aに接地していない領域(非接触領域)である。
【0062】
このようにして二値化画像を得た後、該二値化画像に基づいて接地特性を評価する。例えば、二値化画像内の黒ピクセル数を数え、二値化画像内の全ピクセル数に対する黒ピクセル数の比を計算して下記接触面積占有率を求めることにより、実路面を想定した凹凸を持つ疑似路面12Aに対するタイヤ1の真実接触面積を評価することができる。
接触面積占有率=[黒ピクセル数]/[画像の全ピクセル数]
【0063】
図6は、一実施形態に係るタイヤ接地特性評価方法の流れを示すフローチャートである。該評価方法では、まず、ステップS1において、タイヤ1と疑似路面12Aとの間に蛍光液2を介在させた状態で、タイヤ1を疑似路面12Aに接地させる。
【0064】
次いで、ステップS2において、荷重調整部54を用いてタイヤ1に所定の荷重をかける。この例では、荷重は複数段階に設定されており、例えば小さな荷重から順番にかけていく。そのため、まずは一番小さな荷重をかける。
【0065】
次いで、ステップS3において、照射装置28による励起光の照射と、撮影装置32による蛍光の撮影を行う(図2参照)。その際、上記のように接地部分5を複数に分割して撮影を行うことにより(図3参照)、例えば図4に示されるような複数の画像を取得する。
【0066】
次いで、ステップS4において、予め設定された複数段階の荷重について、その全ての荷重での撮影が完了したか否かを判断し、未完了であればステップS2に戻り、ステップS2で次の荷重をかけて、ステップS3で当該荷重での撮影を実施する。そして、ステップS4において、全ての荷重での撮影が完了したと判断されるまで、ステップS2~S4を繰り返す。そして、全ての荷重での撮影が完了すれば、ステップS5に進む。
【0067】
ステップS5において、荷重毎に、撮影した複数の画像を合成して、例えば図5(A)に示されるような合成画像を取得する。画像の合成は、上記のように、例えば特徴量算出アルゴリズムを用いて、コンピュータプログラムにより自動で行う。これにより、各荷重について接地部分5の合成画像が得られる。
【0068】
次いで、ステップS6において、得られた合成画像を輝度画像に変換してから、変換後の合成画像を二値化して、例えば図5(B)に示されるような二値化画像を取得する。二値化は、上記のように、例えば局所適応的しきい値アルゴリズムを用いて、コンピュータプログラムにより自動で行う。これにより、各荷重について接地部分5の二値化画像が得られる。
【0069】
次いで、ステップS7において、得られた二値化画像から、荷重毎に接触面積占有率を算出する。
【0070】
図7は、このようにして得られた接触面積占有率と、タイヤ1に負荷した荷重[N]との関係の一例を示したグラフである。これにより、タイヤ接地特性として、荷重の違いによる路面に対するタイヤの接触面積の変化、すなわち荷重に対する接触面積の感度を評価することができる。
【0071】
図7では、また、複数種のタイヤ(すなわち、タイヤA、タイヤB、タイヤC)について、接触面積占有率とタイヤ荷重との関係が求められている。そのため、別種のタイヤ間での接地特性の評価が可能である。
【0072】
なお、図7の例では、接触面積占有率により接触面積を相対評価しているが、次のようにして、例えばmmなどの物理量で接触面積を絶対評価することもできる。すなわち、例えば、長さが既知のスケールを置いて撮影した画像を取得し、ピクセルあたりの長さをキャリブレーションすることにより、物理量での接触面積を算出することができる。
【0073】
図7の例では、二値化画像から接地部分5の全幅での接触面積占有率を求めて、当該全幅での接地特性を評価した。これに代えて、タイヤトレッド内の局所領域についての接触面積占有率を求めて、当該局所領域での接地特性を評価してもよい。
【0074】
詳細には、二値化画像における特定のトレッド陸に相当する領域(以下、陸相当領域という。)について、当該陸相当領域における接触面積占有率を算出してもよく、更に当該陸相当領域での接触面積占有率の荷重に対する感度を求めてもよい。これにより、同一タイヤ内において部位の違いによる接地特性を比較評価することができる。あるいはまた、別種のタイヤ間で特定部位における接地特性を比較評価することができる。
【0075】
図8は、二値化画像において着目する局所領域を示したものであり、センター陸7Aにおいて矩形の枠で囲んだセンター陸相当領域Ceと、クォーター陸7Bにおいて矩形の枠で囲んだクォーター陸相当領域Quに着目している。センター陸相当領域Ceについて、その領域内の全ピクセル数に対する黒ピクセル数の比を求めることにより、疑似路面12Aに対するセンター陸7Aの接触面積占有率を求めることができる。また、クォーター陸相当領域Quについて、その領域内の全ピクセル数に対する黒ピクセル数の比を求めることにより、疑似路面12Aに対するクォーター陸7Bの接触面積占有率を求めることができる。
【0076】
図9は、このようにして得られた接触面積占有率と、タイヤ1に負荷した荷重との関係の一例を示したグラフであり、センター陸7Aとクォーター陸7Bについて、これらの部位の違いによる接地特性を評価することができる。図9に示されるように、この例では、荷重1000~5000Nの全範囲において、センター陸7Aよりもクォーター陸7Bの方が高い接触面積占有率を持つことが分かる。
【0077】
上記のような特定の陸相当領域での接触面積占有率を算出する場合、当該陸相当領域内の全ピクセル数を求めるためには、二値化画像における陸相当領域の範囲を検出する必要がある。そのための検出方法としては、下記(1)~(3)が挙げられる。
【0078】
(1)二値化画像をタイヤ周方向に積算し、タイヤ軸方向に関する輝度積算グラフを得る。主溝6に相当する部分は輝度分布ほぼゼロであり、トレッド陸7に相当する部分はある輝度の分布を持つことから、タイヤ周方向に積算した輝度分布グラフに基づき、しきい値で判別することで、二値化画像を陸相当領域と溝相当領域とに分割することができる。
【0079】
(2)上記疑似路面板12の代わりに上面が平坦な路面板を用いて、当該平坦面にタイヤ1を接地させ、その他は上記実施形態と同様にして二値化画像を得る。このようにして得られた平坦面での二値化画像と、実施形態の疑似路面12Aでの二値化画像とで位置合わせを行い、疑似路面12Aでの二値化画像の各部位が、平坦面での二値化画像のどこに該当するかを特定する。平坦面での二値化画像であれば、陸相当領域と溝相当領域とを明確に判別することができるため、上記の特定から、疑似路面12Aでの二値化画像において陸相当領域と溝相当領域とを区別する。
【0080】
(3)二値化画像とタイヤの設計パターン図面との位置合わせを行うことにより、二値化画像において陸相当領域と溝相当領域とを区別する。
【0081】
このようにタイヤトレッド内の局所領域での接地特性を評価することにより、例えば、トレッドプロファイル、トレッドパターン、トレッドゴム配合、補強繊維、ベルトといった設計の違いによる実路面への接地特性の違いを精度良く評価することが可能となり、設計に有用な知見が得られる。
【0082】
以上説明した実施形態であると、タイヤ1を疑似路面板12に接地させ、該疑似路面板12を透過した電磁波を検出して光学的撮影を行う際に、疑似路面板12に対する接地部分5を複数に分割して光学的撮影を行い、得られた複数の画像を合成し、合成した画像を二値化して接地特性を評価する。そのため、高精度かつ広い範囲にわたる接地部分5の画像を取得することができ、タイヤの接地特性を高精度に評価することができる。また、コストアップを抑えながら、かかる高精度の画像を取得することができる。
【0083】
なお、上記実施形態では、疑似路面12Aにタイヤ1を接地させて評価を行ったが、これに代えて、ゴム試験片を疑似路面に接地させて評価を行ってもよい。かかるゴム試験片としては、タイヤから切り出したトレッド試験片でもよく、また、トレッドに相当するゴムサンプルを加硫成型して作製したトレッド試験片でもよい。また、これらのトレッド試験片を接着剤により試験治具に貼り付けたものをゴム試験片としてもよい。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1…タイヤ、2…蛍光液、5…接地部分、10…測定装置、12…疑似路面板、12A…疑似路面、28…照射装置、32…撮影装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9