(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007861
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】半導体発光素子及び発光装置
(51)【国際特許分類】
H10H 20/831 20250101AFI20250109BHJP
H10H 20/857 20250101ALI20250109BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109538
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田辺 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】神原 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】下田 陽一
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142AA56
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA13
5F142CB03
5F142CD02
5F142CD18
5F142CD44
5F142CD47
5F142CG03
5F142CG24
5F142DA02
5F142DA14
5F142DA73
5F142DB24
5F142EA02
5F142EA10
5F241AA43
5F241CA40
5F241CA92
5F241CA93
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薄型化を実現しつつも、信頼性の高く光出力が向上した半導体発光素子又は発光装置を提供することができる。
【解決手段】互いに対向する2つの主面11A、11Bを備えた平板状の透光性の素子基板11と、素子基板11の一方の主面11A上に形成され、n型半導体層13、発光層14及びp型半導体層15が積層された発光半導体層12と、n型半導体層13に至る少なくとも1つの孔部12Aを介してn型半導体層13に接続され、p型半導体層15上に絶縁膜18によってp型半導体層15とは電気的に分離されて設けられたn電極16と、n電極16に電気的に接続され、第1の方向に延在して設けられた第1素子電極19と、p型半導体層15に電気的に接続され、第1素子電極19と離間しつつ第1の方向に延在して設けられた第2素子電極20と、を備え、素子基板11の厚さは100μm以下である半導体発光素子10。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する2つの主面を備えた平板状の透光性の素子基板と、
前記素子基板の一方の主面上に形成され、n型半導体層、発光層及びp型半導体層が積層された発光半導体層と、
前記n型半導体層に至る少なくとも1つの孔部を介して前記n型半導体層に接続され、前記p型半導体層上に絶縁膜によって前記p型半導体層とは電気的に分離されて設けられたn電極と、
前記n電極に電気的に接続され、第1の方向に延在して設けられた第1素子電極と、
前記p型半導体層に電気的に接続され、前記第1素子電極と離間しつつ前記第1の方向に延在して設けられた第2素子電極と、を備え、
前記素子基板の厚さは100μm以下である半導体発光素子。
【請求項2】
前記素子基板の前記厚さが40μm以上である請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記発光半導体層の厚さが3~5μmである請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記発光半導体層は前記孔部を3つ以上有し、
複数の前記孔部は等間隔に一直線状に配されている請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体発光素子と、
互いに対向する2つの平面を備えた平板状に形成された基体と、一方の前記平面上に設けられた第1配線電極及び第2配線電極と、他方の前記平面上に設けられ前記基体を貫通する第1導通ビアによって第1配線電極に接続された第1実装電極及び他方の前記平面上に設けられ前記基体を貫通する第2導通ビアによって第2配線電極に接続された第2実装電極とを有し、前記第1配線電極及び前記第2配線電極上に前記半導体発光素子が接合部材を介して接合された装置基板と、を備え、
前記第1素子電極と前記第2素子電極は前記第1の方向と直交する第2の方向に離間して配されており、
前記第1実装電極と前記第2実装電極は前記第1の方向に離間して配されている発光装置。
【請求項6】
前記第1素子電極と前記第2素子電極は前記装置基板の中点から前記第2の方向に離間して配されており、
前記第1実装電極と前記第2実装電極は前記装置基板の中点から前記第1の方向に離間して配されている請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1配線電極は前記第1素子電極が載置された第1素子載置領域と前記第1導通ビアが配置された第1ランドを有し、
前記第2配線電極は前記第2素子電極が載置された第2素子載置領域と前記第2導通ビアが配置された第2ランドを有し、
前記第1ランドと前記第2ランドは前記第1素子載置領域と前記第2素子載置領域から各々前記第1の方向に離間して配されている請求項5に記載の発光装置。
【請求項8】
前記素子基板はサファイア単結晶により形成されており、
前記装置基板の前記基体は窒化アルミニウム系セラミックにより形成されている請求項5に記載の発光装置。
【請求項9】
前記基体の厚さが30μm~120μmである請求項5に記載の発光装置。
【請求項10】
請求項5に記載の発光装置を複数個有し、
当該複数の発光装置は互いに隣接して配され、直列または並列に電気的に接続されている複数単位型の発光装置。
【請求項11】
複数の前記半導体発光素子上に接着部材を介して接着された蛍光体板を備え、
前記蛍光体板は一体として形成されている請求項10に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子及び発光装置に関し、特に発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子及び当該半導体発光素子が実装された発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子が実装された発光装置は、各種の照明または表示装置などに利用されている。特に近年、半導体発光素子が実装された発光装置は、更なる省スペース化を実現するために薄型化が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基材及び外部接続用の配線層を有する実装基板と、実装基板の上面上に設けられ第1導電型(負)及び第2導電型(正)の両電極を有する発光素子と、を備える発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基材及び外部接続用の配線層を有する実装基板と、実装基板の上面上に設けられ第1導電型(負)及び第2導電型(正)の両電極を有する発光素子と、を備える発光装置には、例えば、両電極間に応力が集中して半導体発光素子の破損または劣化を発生させるおそれがあるなど信頼性に問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、薄型化を実現しつつも、発光装置とした際に光束が向上する半導体発光素子又は信頼性の高く光束が向上した発光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1実施形態による半導体発光素子は、
互いに対向する2つの主面を備えた平板状の透光性の素子基板と、
前記素子基板の一方の主面上に形成され、n型半導体層、発光層及びp型半導体層が積層された発光半導体層と、
前記n型半導体層に至る少なくとも1つの孔部を介して前記n型半導体層に接続され、前記p型半導体層上に絶縁膜によって前記p型半導体層とは電気的に分離されて設けられたn電極と、
前記n電極に電気的に接続され、第1の方向に延在して設けられた第1素子電極と、
前記p型半導体層に電気的に接続され、前記第1素子電極と離間しつつ前記第1の方向に延在して設けられた第2素子電極と、を備え、
前記素子基板の厚さは100μm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の半導体発光素子の上面を示した平面図である。
【
図1B】
図1Aに示すA-A線に沿った半導体発光素子の断面図である。
【
図1C】
図1Aに示すB-B線に沿った半導体発光素子の断面図である。
【
図1D】
図1Aに示すC-C線に沿った半導体発光素子の断面図である。
【
図1E】本発明の半導体発光素子の下面を示した平面図である。
【
図2A】本発明の発光装置の上面を示した平面図である。
【
図2B】
図2Aに示すD-D線に沿った発光装置の断面図である。
【
図2C】本発明の発光装置の下面を示した平面図である。
【
図2D】本発明の発光装置の上面を示した平面図であり、被覆部材を透かした状態を示した図である。
【
図3】本発明の装置基板の上面を示した平面図である。
【
図4】本発明の発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図5A】本発明の発光装置の製造工程S1の上面を示す平面図である。
【
図5B】本発明の発光装置の製造工程S2の上面を示す平面図である。
【
図5C】本発明の発光装置の製造工程S3の上面を示す平面図である。
【
図5D】本発明の発光装置の製造工程S4の上面を示す平面図である。
【
図5E】本発明の発光装置の製造工程S5の上面を示す平面図である。
【
図6A】実施形態3による発光装置の上面を示した平面図であり、被覆部材を透かした状態を示した図である。
【
図6B】実施形態3による発光装置を実装する回路基板60の配線パターンを示した図である。
【
図6C】実施形態3による発光装置を実装する回路基板60の配線パターンの変形例を示した図である。
【
図7】実施形態3による発光装置の装置基板の上面を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、適宜改変し、組み合わせてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。なお、説明は先に半導体発光素子、次いで発光装置について行う。
[実施形態1]
【0010】
実施形態1は、
図2に示す発光装置30に用いられる半導体発光素子10である。
図1Aは、本発明の半導体発光素子10の上面を示した平面図である。
図1Bは、
図1Aに示すA-A線に沿った半導体発光素子10の断面図であり、
図1Cは、
図1Aに示すB-B線に沿った半導体発光素子10の断面図であり、
図1Dは、
図1Aに示すC-C線に沿った半導体発光素子10の断面図である。
図1Eは、本発明の半導体発光素子10の下面を示した平面図である。
【0011】
なお、
図1Aでは、後述する発光半導体層12が有する孔部12Aの配置関係の明確化のために、孔部12Aを破線で示している。
【0012】
半導体発光素子10の説明においては、素子基板11に対して発光半導体層12が設けられている方向を上方といい、その反対方向を下方という。
【0013】
半導体発光素子10は、
図1A乃至
図1Eに示すように、2つの平行な主面を有する矩形平板状の素子基板11を有し、その上面に半導体結晶が積層された発光半導体層12が設けられている。また、発光半導体層12上面には絶縁膜18によって一部が絶縁されたn電極16及びp電極17の2つの電極が配置され、当該2つの電極の上面に一の方向(
図1Aの左右方向)に延在して設けられた略同等な大きさの矩形状の第1素子電極19及び第2素子電極20が半導体発光素子10の上面を略覆うように並列に設けられている。つまり、本実施形態の半導体発光素子10の主な出光面は素子基板11の下面11B側となる。
【0014】
(素子基板)
素子基板11は、
図1Bに示すように、平行に互いに対向する第1の主面である上面11Aと第2の主面である下面(裏面)11Bを有した矩形状の平板である。また、素子基板11は発光半導体層12から出射された出射光を透光する透光性を有する。また、素子基板11は半導体発光素子10の躯体(支持体)としての機能を有している。
【0015】
素子基板11としては、サファイア(Al2O3)単結晶が用いられている。サファイア単結晶の曲げ強度は690MPaであり、素子基板11を薄型化した場合であっても高い強度を有している。本実施形態では、素子基板11の厚さTsubを100μmにまで薄くして半導体発光素子10全体の厚さの低減を図っている。ただし、過度に薄くすると躯体としての機能が損なわれるので40μm~100μmの範囲が好ましい。例えば、40μm未満では半導体発光素子10及び発光装置30の製造中又は使用中における不灯等の不良発生が増加する。また、100μm超では躯体強度を向上できるが発光装置30を薄型化できない。なお、素子基板11としては、窒化アルミニウム(AlN)単結晶または窒化ケイ素(SiC)単結晶、窒化ガリウム(GaN)単結晶などを用いることもできる。
【0016】
素子基板11の下面11Bには、光取り出し効率を向上する粗面層、また反射防止膜(AR膜:Anti-Reflection coating)を設けることができる。
【0017】
(発光半導体層)
発光半導体層12は、
図1Bに示すように、主伝導型がn型半導体層であるn型半導体層13、量子井戸層構造を含む発光層14、主伝導型がp型半導体層であるp型半導体層15がこの順番で積層された総厚Tepiが3μm~5μmの半導体結晶の積層構造体である。また、発光半導体層12は、素子基板11を成長基板として成長させた結晶成長層であり、素子基板11と一体化して支持されている。
【0018】
発光半導体層12のn型半導体層13は、上面視において、素子基板11と同等な大きさである。また、発光層14及びp型半導体層15はn型半導体層13の外形より一回り小さい。つまり、n型半導体層13の露出部は発光層14及びp型半導体層15を全周において額縁状に囲っている。
【0019】
また、発光半導体層12には、
図1Aに示すように、p型半導体層15の上面からn型半導体層13に至る3つの孔部12Aを有する。3つの孔部12Aは等間隔に一直線状に並び、中央の孔部が発光半導体層12の中心X1に配置されている。また、3つの孔部12Aは素子基板11の平行な1組の辺に平行に配置されている。
【0020】
本実施形態では、孔部12Aの数量を3つとしたが、1つまたは2つでもよく、4つ以上であってもよい。また、2列に並列配置されていてもよい。
【0021】
発光半導体層12は、窒化ガリウム(GaN)系化合物の半導体からなり、青色光を放射する。なお、p型半導体層15又はn型半導体層13には、主伝導型を示す不純物がドープされた層に加え、アンドープ層、SLS(Strained-Layer Superlattice)層、EBL(electron blocking layer)、コンタクト層などの層が含まれていても良い。
【0022】
(n電極)
n電極16は、
図1Bに示すように、直線状に配列された孔部12Aで仕切られた左側の第1p電極17Aの上面に第1絶縁膜18Aを介して設けられている。また、n電極16の一部は壁面が第1絶縁膜18Aで絶縁された孔部12Aを通りn型半導体層13に電気的に接続されている。
【0023】
n電極16は、チタン(Ti)及び金(Au)がこの順で積層して形成されている。以後、順に積層されている層についてはTi/Auと記載する。n電極16としては、Ti/アルミ(Al)、Ti/Al/プラチナ(Pt)/Au、Ti/Pt/Au、Ti/ロジウム(Rh)/Auなどを用いることもできる。
【0024】
(p電極)
p電極17は、
図1Bに示すように、第1p電極17Aと第2p電極17Bとからなる。第1p電極17Aは、p型半導体層15の略全面に設けられている。また、第2p電極17Bは、直線状に配列された孔部12Aで仕切られた右側の第1p電極17Aの上面に設けられている。
【0025】
第1p電極17Aとしては、ニッケル(Ni)/Auが積層して形成されている。第1p電極17Aとしては、ITO(Indium Tin Oxide)、Ni/Pt/Au、Ni/パラジウム(Pd)/Au、Ni/銀(Ag)/Pt/Au、Ni/Pt/Al/Pt/Auなどを用いることもできる。
【0026】
第2p電極17Bとしては、Ti/Auが積層して形成されている。第2p電極17Bとしては、n電極16と同様にTi/Al、Ti/Al/Pt/Au、Ti/Pt/Au、Ti/Rh/Auなどを用いることもできる。
【0027】
(絶縁膜)
絶縁膜18は、
図1Bに示すように、第1絶縁膜18Aと第2絶縁膜18Bからなる。
【0028】
第1絶縁膜18Aは、n型半導体層13、発光層14及びp型半導体層15を覆い保護及び絶縁している。また、第1絶縁膜18Aはp型半導体層15と接する第1p電極17Aの一部の側面及び下面を覆い保護及び絶縁している。
【0029】
第2絶縁膜18Bは、第1絶縁膜18Aと一部を除くn電極16及び第2p電極17Bを覆い保護及び絶縁している。
【0030】
絶縁膜18としては、二酸化ケイ素(SiO2)が用いられている。なお、絶縁膜18としては、二酸化チタン(TiO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、アルミナ(Al2O3)などの絶縁性の金属酸化物を用いることもできる。
【0031】
(素子電極)
第1素子電極19及び第2素子電極20(以後、双方を区別しない場合には素子電極と記載する)は、
図1A及び
図1Bに示すように、半導体発光素子10の上面に設けられている。素子電極19,20は、一対の平行な長辺と他の一対の平行な短辺を有する略同サイズの矩形状をなし、直線状に並んだ3つの孔部12Aに隔てられて並列に設けられている。また、素子電極は半導体発光素子10の外周縁から離間して内側に設けている。2つの素子電極19、20は外部の配線と半導体発光素子10を電気的に接合する接合用電極である。このような半導体発光素子10はワイヤ接続を必要としないフリップチップ接続型の発光素子である。
【0032】
第1素子電極19(カソード)はn電極16を介してn型半導体層13と接続され、第2素子電極20(アノード)はp電極17を介してp型半導体層15と接続されている。よって、第1素子電極19と第2素子電極20に電圧を印加することで発光半導体層12に通電することができ、半導体発光素子10を発光させることができる。
【0033】
素子電極としては、Ni/Auが用いられている。素子電極としては、Ti/Au、Ti/Ni/Au等の良導性の金属を用いることもできる。
【0034】
[比較形態1]
次に、比較形態1について説明する。比較形態1は、実施形態1の素子基板11の厚さTsubを100μmから200μmに厚くした半導体発光素子である。なお、素子基板の厚さ以外は実施形態1の半導体発光素子10と同じである。
【0035】
(光出力の比較)
実施形態1の半導体発光素子10と比較形態1の半導体発光素子を回路基板に金錫接合部材を介して接合し、各半導体発光素子に通電して光出力を比較した。その結果、比較形態1の光出力を100%とした場合、実施形態1の光出力は98%であった。つまり、実施形態1の半導体発光素子10の光出力は、比較形態1の半導体発光素子の光出力より2%低くなる。
【0036】
光出力の低下は、素子基板11を薄くすることによる出光面の面積減少によるものである。よって、素子基板11を70μm、40μmと薄くするに従い光出力は更に低下する。また、同時に半導体発光素子10の機械強度も低下する。
【0037】
以上、実施形態1の半導体発光素子10は、単体の段階において光出力及び機械強度の低下を伴いつつも薄型化を可能としている。
【0038】
(半導体発光素子の製造方法)
次に、実施形態1の半導体発光素子10の製造方法について説明する。
【0039】
まず、素子基板11として、サファイア単結晶基板の片面に窒化ガリウム系のn型半導体層13、発光層14及びp型半導体層15がエピタキシャル成長で積層された発光半導体層12付き素子基板を用意する(SD1)。
【0040】
発光半導体層12付き素子基板11の発光領域となる部分にレジストマスクを形成し、RIE(Reactive Ion Etching)でレジストマスク以外の部分にn型半導体層13が露出するまでエッチングする。その後、レジストマスクを除去して孔部12Aを有する発光領域を形成する(SD2)。
【0041】
発光領域のp型半導体層15の上面に、第1p電極17Aとなる部分が露出されているレジストマスクを形成し、EB(electron beam)蒸着装置で第1p電極17AとしてNi、Auをこの順で蒸着する。その後、レジストマスクを除去して第1p電極17Aを形成する(SD3)。
【0042】
スパッタ装置にて、第1p電極17Aが形成された素子基板の全面に絶縁膜としてSiO2膜を形成する。次いで、孔部12Aの底面部と第2p電極17Bを形成する以外の部分にレジストマスクを形成し、フッ酸緩衝液で孔部12Aの底面部と第2p電極17B形成部の絶縁膜をエッチング除去して、第1絶縁膜18Aを形成する(SD4)。
【0043】
n電極16と第2p電極17Bとなる部分以外にレジストマスクを形成し、EB蒸着装置でn電極16と第2p電極17BとしてTi、Auをこの順で蒸着する。その後、レジストマスクを除去してn電極16と第2p電極17Bを形成する(SD5)。
【0044】
スパッタ装置にて、n電極16と第2p電極17Bが形成された素子基板の全面に絶縁膜としてSiO2膜を形成する。次いで、第1素子電極19と第2素子電極20を形成する以外の部分にレジストマスクを形成し、フッ酸緩衝液でn電極16と第2p電極17B形成部の絶縁膜をエッチング除去して第2絶縁膜18Bを形成する(SD6)。
【0045】
第1素子電極19と第2素子電極20となる部分以外にレジストマスクを形成し、EB蒸着装置で素子電極としてTi、Auをこの順で蒸着する。その後、レジストマスクを除去して第1素子電極19と第2素子電極20を形成する(SD7)。
【0046】
次に、研削・研磨装置を用いて第1素子電極19と第2素子電極20を形成した素子基板のサファイア単結基板を100μmまで薄くして素子基板11を形成する(SD8)。なお、素子基板11を70μm又は40μm等に薄くするには、本工程でサファイア単結晶基板の研削・研磨量を増加すればよい。また、サファイア基板11が200μmの比較形態1の半導体発光素子を形成するには研削・研磨量を減少すればよい。
【0047】
素子基板11の面側(裏面側)から個々の半導体発光素子10の外郭線に沿ってレーザースクライブを行い、1単位に個片化して、半導体発光素子10を形成する(SD9)。
【0048】
[実施形態2]
次に、実施形態2の発光装置30について説明する。
図2Aは、本発明の発光装置30の上面を示した平面図である。
図2Bは、
図2Aに示すD-D線に沿った発光装置30の断面図であり、
図2Cは本発明の発光装置30の下面を示した平面図である。
図2Dは、本発明の発光装置30の上面を示した平面図であり、被覆部材44を透かした状態(除去した状態)を示した図である。
【0049】
図3は、装置基板31の上面を示した平面図である。なお、
図2Cでは、後述する第1素子電極19及び第2素子電極20と第1導通ビア35及び第2導通ビア36と第1実装電極37及び第2実装電極38との配置関係の明確化のために、第1導通ビア35及び第2導通ビア36と第1素子電極19及び第2素子電極20を破線で示している。
【0050】
さらに、第1素子電極19及び第2素子電極20と第1実装電極37及び第2実装電極38との配置関係の明確化のために、
図2Dでは、第1実装電極37及び第2実装電極38を破線で示し、
図3では、第1素子電極19及び第2素子電極20と第1実装電極37及び第2実装電極38を破線で示している。
【0051】
発光装置30の説明においては、装置基板31に対して半導体発光素子10が設けられている方向を上方といい、その反対方向を下方という。なお、各図にはXYZ座標を付記した。
【0052】
発光装置30は、
図2A及び
図2Bに示すように、矩形の平板状の装置基板31の上面(+Z方向)に接合部材41を介して前述の半導体発光素子10及び保護素子39が接合されている。また、半導体発光素子10の上面には透光性の接着部材42を介して蛍光体板43が接着されている。また、装置基板31の上面32Aと半導体発光素子10及び蛍光体板43の側面を遮光性の被覆部材44で覆っている。よって、露出されている蛍光体板43の上面が発光装置30の出光面となっている。
【0053】
(装置基板)
装置基板31は、
図2B~
図2D及び
図3に示すように、上面視において平行に対向した1対の長辺(X軸方向の辺)と、当該1対の長辺に直交した平行に対向した他の1対の短辺(Y軸方向の辺)を有する矩形状の平板である。装置基板31は、互いに対向する第1の主面である上面32Aと第2の主面である下面32Bを有する基体32を有し、基体32の上面32Aに第1配線電極33と第2配線電極34が設けられ、下面32Bに第1実装電極37と第2実装電極38が設けられている。また、基体32を上下に貫通する第1導通ビア35と第2導通ビア36が設けられている。以後において、第1配線電極33と第2配線電極34を区別しない場合には配線電極、第1実装電極37と第2実装電極38を区別しない場合には実装電極、第1導通ビア35と第2導通ビア36を区別しない場合には導通ビアを記載する。
【0054】
基体32としては、厚さTbase70μmの窒化アルミニウム(AlN)系セラミック基板が用いられている。窒化アルミニウム(AlN)系セラミックは熱伝導率180~220W/mK、曲げ強度300~350MPaと熱伝導性及び曲げ強度に優れた絶縁性のセラミックである。基体32の厚みは発光装置30を薄型化する観点から薄いことが好ましく、基体としての強度を加味すると、厚さは30μm~120μmが好ましい。なお、基体32としては、窒化ケイ素(Si3N4)系セラミックなどを用いることもできる。
【0055】
第1配線電極33(カソード)は、
図3に示すように、装置基板31の中点X2を通る装置基板31の長辺と平行な線分LX2で区切られた一方の面(
図3の+Y方向の面)に設けられている。また、第1配線電極33は第1ランド33A及び第1素子載置領域33Bを有している。第1素子載置領域33Bは、半導体発光素子10の素子電極19(カソード)を包含する矩形状であり、長辺が線分LX2に沿うように且つ装置基板31の中央に設けられている。また、第1ランド33Aは、第1素子載置領域33Bから離間した一方の面の端に設けられている。なお、第1素子載置領域33B及び第1ランド33Aは、線分LX2に平行な第1帯部33Cによって繋がっている。
【0056】
第2配線電極34(アノード)は、装置基板31の中点X2を通る装置基板31の長辺と平行な線分LX2で区切られた他方の面(
図3の-Y方向の面)に設けられている。また、第2配線電極34は第2ランド34Aと第2素子載置領域34B及び保護素子載置領域34Cを有している。第2素子載置領域34Bは、半導体発光素子10の素子電極20(アノード)を包含する矩形状であり、長辺が線分LX2に沿うように且つ装置基板31の中央に設けられている。また、第2ランド34Aは、第1ランド33Aと対向しない他方の面の端に設けられている。また、保護素子載置領域34Cは、第1ランド33Aと対向する他方の面の端に設けられている。なお、第2素子載置領域34B、第2ランド34A及び保護素子載置領域34Cは、線分LX2に平行な第2帯部34Dによって繋がっている。
【0057】
第1配線電極33の第1素子載置領域33Bと第2配線電極34の第2素子載置領域34Bの各々の短辺は、上面視(XY平面)において揃っている。言い換えれば、第1素子載置領域33Bと第2素子載置領域34Bとを合わせた外縁が矩形状をなし、且つ半導体発光素子10を包含する大きさとなっている。
【0058】
第1実装電極37(カソード)は、装置基板31の中点X2を通る装置基板31の短辺と平行な線分LY2で区切られた一方の面(
図2Cの+X方向の面)に設けられている。また、第1実装電極37は、基体32の下面32Bの一方の面を略覆う矩形状であり、1つの角部にカソードマーク(角欠け部)が設けられている。
【0059】
第2実装電極38(アノード)は、装置基板31の中点X2を通る装置基板31の短辺と平行な線分LY2で区切られた他方の面(
図2Cの-X方向の面)に設けられている。また、第2実装電極38は、基体32の下面32Bの他方の面を略覆う矩形状である。
【0060】
上述のように、第1配線電極33の第1素子載置領域33Bと第2配線電極34の第2素子載置領域34Bは線分LX2に沿う配線電極離間帯48で隔てられている。つまり、素子電極19,20は、線分LX2と直交する線分LY2の延在方向(Y軸方向)において互いに離間して設けられている。また、第1実装電極37と第2実装電極38は配線電極離間帯48と直交する線分LY2に沿う実装電極離間帯47で隔てられている。つまり、第1実装電極37と第2実装電極38は、線分LX2の延在方向(X軸方向)において互いに離間して設けられている。このように、素子載置領域33B、34Bの配線電極離間帯48と実装電極37、38の実装電極離間帯47を直交させることで、半導体発光素子10の接合及び発光装置30を回路基板へ実装する際において装置基板31が薄くしても撓むことを防止できる。
【0061】
第1導通ビア35(カソード)は、第1配線電極33の第1ランド33Aと第1実装電極37の間の基体32を上下に貫通し、双方を電気的に接続している。
【0062】
第2導通ビア36(アノード)は、第2配線電極34の第2ランド34Aと第2実装電極38の間の基体32を上下に貫通し、双方を電気的に接続している。
【0063】
導通ビア35、36が接続されている配線電極33、34及び実装電極37、38の表面には凹凸ができて電極面の平滑性を損なうので、導通ビア35、36は、第1配線電極33の第1素子載置領域33Bと第2配線電極34の第2素子載置領域34B以外の部分に設けている。
【0064】
第1配線電極33、第2配線電極34、第1実装電極37、第2実装電極38、第1導通ビア35及び第2導通ビア36は、銅(Cu)を主体とした金属である。また、配線電極及び実装電極は、その表面にNi/Au層がメッキされている。なお、配線電極、実装電極及び導通ビアの主体金属としては、タングステン(W)などを用いることもできる。
【0065】
(発光素子)
半導体発光素子10は、出光面である素子基板11と対向する面に、略同等な大きさ及び矩形状の第1素子電極19と第2素子電極20を備えたフリップチップである。また、半導体発光素子10は、第1素子電極19及び第2素子電極20の各々と第1素子載置領域33B及び第2素子載置領域34Bの各々が接合部材41を介して接続されている。このような素子電極19、20を有する半導体発光素子10は、装置基板31の素子載置領域33B、34Bへのセルフアライメント性に優れており接合の残留応力も低い。つまり、素子基板11または装置基板31が薄くても歩留まりよく接合できる。本実施形態に用いた半導体発光素子10のサイズは、1辺約1000μmの四角形状で厚さ約100μm(半導体発光素子10の厚さ≒素子基板11の厚さ)である。なお、厚さの薄い半導体発光素子10の製造工程での取り扱いの容易さを考慮すると1辺(線分LX、線分LY)は600μm~1600μmであることが好ましい。
【0066】
(保護素子)
保護素子39は、
図2B及び
図2Dに示すように、装置基板31の保護素子載置領域34Cに接合部材41を介して接合される。また、保護素子39の上部の電極は、導電性のワイヤ40により、第1ランド33Aに電気的に接続されている。保護素子39は半導体発光素子10と並列かつ逆極性で接続されており、静電気等による半導体発光素子10の破損を防止する。なお、保護素子39のワイヤ40頂部は、半導体発光素子10と蛍光体板43の合算高さ(厚み)より低くしている。
【0067】
なお、本実施形態の保護素子39としてはツェナーダイオードを用いたが、保護素子39としては、ツェナーダイオードの他にコンデンサ、バリスタなどを用いることもできる。
【0068】
(接合部材)
接合部材41としては、金錫(Au-20wt%Sn)合金が用いられている。金錫合金の形成には金錫クリームはんだを用いる。金錫クリームはんだに含まれるフラックスは、半導体発光素子10及び保護素子39を装置基板31に接合する際に蒸発する。半導体発光素子10が接合されている素子載置領域33B、34Bの表面は平滑であり、半導体発光素子10の素子電極19、20と素子載置領域33B、34Bが重なる領域において接合部材41は均一な厚みで形成される。これにより、薄型化した半導体発光素子10へ働く接合時の応力を小さくでき、半導体発光素子10の破損を防止できる。
【0069】
(蛍光体板)
波長変換部材としての蛍光体板43は、上面視において、半導体発光素子10の出光面と実質的に同じ大きさの平板状をしている。また、蛍光体板43はアルミナ母材にセリウム賦活イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:Ce)蛍光体粒子が含有されたセラミック蛍光体である。蛍光体板43は、
図2Bに示すように、透光性シリコーン樹脂の接着部材42を介して半導体発光素子10の素子基板11の上面(+Z方向)に接着されている。蛍光体板43は、半導体発光素子10から出射された青色光(一次光)の一部または全部を吸収し、一次光より長波長化された緑黄色光(二次光)を出射する。これにより、発光装置30の蛍光体板43の上面から、青色光(一次光)と緑黄色(二次光)が混色された白色光または緑黄色光が出光される。
【0070】
蛍光体板43は、半導体発光素子10の出光面より小さくても大きくても良い。また、蛍光体板43の入光面(下面)または出光面(上面)の表面に、反射率を低減する凹凸構造、表面を保護する透光性の保護膜、指向特性を制御する誘電体多層膜等が設けられていてもよい。また、側面に反射性の誘電体多層膜または白色セラミック膜が設けられていても良い。
【0071】
蛍光体板43の母材としては、透光性のセラミック又はガラス類の無機材、透光性の樹脂材などを用いることができる。また、光変換粒子としては、セリウム賦活イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:Ce)蛍光体に限定されず、セリウム賦活ルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LuAG:Ce)蛍光体、ユーロピウム又は/及びセリウム賦活オルトシリケート((Ba,Sr,Ca)SiO4:Eu,Ce)蛍光体、セリウム賦活テルビウム・アルミニウム・ガーネット(TAG:Ce)、ユーロピウム賦活αサイアロン蛍光体(α-SiAlON:Eu)、ユーロピウム賦活βサイアロン蛍光体(β-SiAlON:Eu)、マンガン賦活カリウム・フルオロ珪酸カリウム(KFS:Mn)などを用いることができ、励起光の波長や所望の色調などによって異なる種類の光変換粒子を適宜選択して用いることができる。
【0072】
(被覆部材)
被覆部材44は、
図2A及び
図2Bに示すように、蛍光体板43の上面の外周縁を起点として、蛍光体板43の上面を露出しつつ蛍光体板43の外方に延在している。また、被覆部材44は、装置基板31の上面、また、接合部材41、半導体発光素子10、接着部材42及び蛍光体板43の側面を被覆している。つまり、半導体発光素子10及び保護素子39は、被覆部材44によって封止されている。また、蛍光体板43の上面が発光装置30の出光面となっている。本実施形態においては半導体発光素子10の素子基板11を薄くしているので、発光装置30の装置基板31を薄くしても、被覆部材44の厚さも薄くなるので被覆部材44の膨張・収縮による発光装置30の反り等の発生も抑制できる。
【0073】
被覆部材44としては、透光性のシリコーン樹脂の媒質に反射性の酸化チタン(TiO2)微粒子を分散した白色樹脂を用いている。透光性の媒質としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂などを用いることもできる。また、反射性の微粒子としては、アルミナ(Al2O3)とジルコニア(ZrO2)の混合セラミック粒子を用いることもできる。
【0074】
(回路基板への実装)
実施形態2の発光装置30は、第1実装電極37と第2実装電極38の各々がはんだを介して回路基板上に実装される。発光装置30の第1素子載置領域33Bと第2素子載置領域34Bの配線電極離間帯48と、第1実装電極37と第2実装電極38の実装電極離間帯47とは直交している。よって、発光装置30の回路基板への実装において、半導体発光素子10の3つの孔部12Aが並んだ直線部を曲げる応力が抑制される。これにより、素子基板11及び装置基板31が薄くても、発光装置30が短絡する等の不具合を防止でき、発光装置30の信頼性を向上できる。
【0075】
[比較形態2]
次に、比較形態2の発光装置について説明する。比較形態2の発光装置は、実施形態2の発光装置30の半導体発光素子10の素子基板11の厚さを100μmから200μmとした発光装置であり、それ以外は実施形態2と同じである。
【0076】
(発光装置の光出力の比較)
実施形態2の発光装置30と比較形態2の発光装置を回路基板にはんだで接合し、各発光装置に通電して光出力を比較した。その結果、比較形態2の光出力を100%とした場合、実施形態2の光出力は108%であった。つまり、実施形態2の発光装置30の光出力が8%増加した。これは、半導体発光素子10の素子基板11と被覆部材44の接触面積が減少したためと思われる。同様に、素子基板11を70μm、40μmと薄くすると光出力は増加する。このように、実施形態2の発光装置30に用いる実施形態1の半導体発光素子10は、単体においては光出力の低下傾向を有するが、実施形態2の発光装置30とすることで、発光装置30として高い光出力(光束)特性を与える。また、発光装置30を薄型化することで、発光装置30の側面の漏れ光を抑制でき、発光装置30の出光面(蛍光体板43の上面)からの光出力を大きくできる。
【0077】
以上、本発明によれば、薄型化を実現しつつも、発光装置30とした際に光束が向上する半導体発光素子10又は信頼性の高く光束が向上した発光装置30を提供することができる。
【0078】
(発光装置の製造方法)
以下に実施形態2の発光装置30の製造方法についてフローチャート及び図面を参照して詳細に説明する。
図4は、発光装置30の製造方法を示すフローチャートである。また、
図5A~5Eは、各工程を示す上面図である。
【0079】
(S1)装置基板準備
装置基板31としては、基体32に第1配線電極33、第2配線電極34、第1導通ビア35、第2導通ビア36、第1実装電極37、第2実装電極38が設けられ、かつ複数の発光装置用の装置基板31が一体化した基板を準備した(
図5A)。以後、説明において(S2)~(S4)までの説明は一体化した基板での説明である。なお、一体化した基板の外周には外周枠が設けられている。また、図中太線で囲まれた部分が1単位の装置基板31である。
【0080】
(S2)素子実装工程
半導体発光素子10及び保護素子39が実装される第1配線電極33及び第2配線電極34上に接合部材41として金錫(Au-Sn)クリームはんだを塗布した。次に、半導体発光素子10及び保護素子39を金錫クリームはんだ上に載置した。
【0081】
次に、リフロー炉で300℃まで加熱して金錫クリームはんだを溶融・固化して半導体発光素子10を第1配線電極33及び第2配線電極34上に実装した。同時に、保護素子39も第2配線電極34上に実装した。その後、保護素子39の上部の電極と第1配線電極33をワイヤ40により電気的に接続した(
図5B)。
【0082】
(S3)蛍光体板接着工程
半導体発光素子10の上面に接着部材42として透光性の接着剤であるシリコーン樹脂を塗布した。次に蛍光体板43を半導体発光素子10上に載置した。170℃で10分間加熱して、シリコーン樹脂を仮硬化して蛍光体板43を半導体発光素子10上に接着した(
図5C)。
【0083】
(S4)被覆部材形成工程
複数の装置基板31の外周縁に枠体45を形成した。枠体45の内側に酸化チタン粒子を混合したシリコーン樹脂からなる被覆部材44を蛍光体板43の上面の外周縁に接する高さまで充填した。その後、100℃で30分間、150℃で1時間加熱してシリコーン樹脂を硬化させた。このとき、接着部材42も本硬化された(
図5D)。
【0084】
(S5)個片化工程
ダイシングブレード46で発光装置30の単位毎に切断し、個片化した。以上の工程により、発光装置30が製造された(
図5E)。
【0085】
[実施形態3]
次に、実施形態3の発光装置50について説明する。なお、本発明の実施形態2による発光装置30と同一の構成については適宜説明を省略する。
図6Aは、実施形態3の発光装置50の上面を示した平面図であり、被覆部材44を透かした(除去した)状態を示した図である。
図6Bは、発光装置50を実装する回路基板60の配線パターンを示した図であり、
図6Cは、発光装置50を実装する回路基板60の配線パターンの変形例を示した図である。
【0086】
図7は、実施形態3の発光装置50の装置基板31の上面を示した平面図である。なお、
図6Aでは、第1導通ビア35及び第2導通ビア36と第1実装電極37及び第2実装電極38との配置関係の明確化のために、第1導通ビア35及び第2導通ビア36と第1実装電極37及び第2実装電極38を破線で示している。さらに、
図7では、第1素子電極19及び第2素子電極20と、第1導通ビア35及び第2導通ビア36と、第1実装電極37及び第2実装電極38との配置関係の明確化のために、第1導通ビア35及び第2導通ビア36と第1実装電極37及び第2実装電極38を破線で示している。
【0087】
図6Aで示すように、実施形態3の発光装置50は、互いに隣接した2つの発光装置30を有する複数単位型(ここでは2単位)の発光装置である。発光装置50は、実施形態2の発光装置30が、装置基板31で2単位並列に結合した態様である。よって、回路基板60の配線パターンを
図6Bのように設ければ、発光装置50の各々の発光素子(発光領域)を個別に駆動できる。
【0088】
このように、2つの発光装置30を並列駆動とすることで、各々の発光装置30が有する半導体発光素子10を個別に点灯させることができる。そのため、例えば、発光装置30が有する蛍光体板43の波長変換特性を各々別の特性とすることで、1つの発光装置で複数色の光を出射することができる。
【0089】
[実施形態3の変形例]
次に実施形態3の発光装置50の変形例は、回路基板60の配線パターンを
図6Cに示すように1組のアノードとカソードが直列に接続されている。このように、2つの発光装置30を直列駆動とすることで、各々の発光装置30が有する半導体発光素子10を同時に点灯させることができる。そのため、発光装置の光束をより向上させることができる。
【0090】
なお、本実施形態では、複数単位型の発光装置50が有する発光装置30の数量を2つとしたが、3つ以上であってもよい。また、
図6Aに示すように、本実施形態では、2つの発光装置30は、半導体発光素子10毎に個別に蛍光体板43を有するが、複数の半導体発光素子10に対して、1つの蛍光体板43が設けられてもよい。
【0091】
以上、説明したように、本発明によれば、薄型化を実現しつつも、信頼性の高く光束が向上した半導体発光素子又は発光装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0092】
10 半導体発光素子
11 素子基板
12 発光半導体層
13 n型半導体層
14 発光層
15 p型半導体層
16 n電極
17 p電極
18 絶縁膜
19 第1素子電極
20 第2素子電極
30 発光装置
31 装置基板
32 基体
33 第1配線電極
34 第2配線電極
35 第1導通ビア
36 第2導通ビア
37 第1実装電極
38 第2実装電極
39 保護素子
40 ワイヤ
41 接合部材
42 接着部材
43 蛍光体板
44 被覆部材
45 枠体
46 ダイシングブレード
47 実装電極離間帯
48 配線電極離間帯
50 発光装置
60 回路基板