(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007869
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】加飾シート
(51)【国際特許分類】
D06N 7/00 20060101AFI20250109BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
D06N7/00
B32B5/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109564
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】廣川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】紅林 聖
【テーマコード(参考)】
4F055
4F100
【Fターム(参考)】
4F055AA21
4F055AA30
4F055BA12
4F055BA13
4F055CA05
4F055CA07
4F055EA23
4F055FA08
4F055GA11
4F055GA26
4F055GA32
4F055HA10
4F100AK15A
4F100AK51A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CA13A
4F100DC11
4F100DG11B
4F100JL10A
4F100JN02
4F100JN02A
(57)【要約】
【課題】表示装置の発光時には表示装置上の情報が視認可能であり、表示装置の非発光時には表示装置を確実に隠蔽できる加飾シートであって、高いデザイン性が求められる車両の内装材用として好適な加飾シートを提供することを課題とする。
【解決手段】不透明着色層を有する加飾シートであって、加飾シートの厚み方向に、開口面積が0.007~0.13mm
2の孔が複数形成されてなる加飾シートである。不透明着色層の裏面には繊維布帛基材が設けられること、加飾シートの全光線透過率が20%以下であることが好ましい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明着色層を有する加飾シートであって、
加飾シートの厚み方向に、開口面積が0.007~0.13mm2の孔が複数形成されてなることを特徴とする加飾シート。
【請求項2】
不透明着色層の裏面に繊維布帛基材を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
全光線透過率が20%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の加飾シート。
【請求項4】
表示装置を覆う表皮材として用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の加飾シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾シートに関するものであり、特に表示装置の表面を覆うように配置される加飾シートに関するものである。
【0002】
自動車の車室等において、高級感を出すために加飾シートを表皮材に用いた装飾パネルが用いられている。
一方で、運転席のインストルメントパネルには、さまざまな機能部品や表示装置が設けられている。例えば、スピードメーターやタコメーター等の計器類、エアコンや窓の開閉、ドアロック等のスイッチ類、カーナビゲーションシステム、外部モニター、照明等、多種多様の機能部品や表示装置が搭載されている。
そのため、加飾シートを表皮材に用いた装飾パネルを採用しても、運転席の周囲は大部分が機能部品や表示装置によって占められており、高級感が得られにくかった。
【0003】
可視光透過率を調整した加飾シートを表示装置に貼付し、表示装置の発光時には表示部が視認可能であり、非発光時には表示部全面を隠蔽し、加飾シートの加飾の外観を呈するようにした発明が知られている。
しかしながら、非発光時の隠蔽性を担保するため、加飾シートの色調が黒系統に限られることや、車室内が明るい時には加飾シートが表示装置を隠蔽しきれず、透けて見えてしまうなどの不具合があった(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、表示装置を覆った際、表示装置の発光時には表示装置上の情報が視認可能であり、表示装置の非発光時には確実に表示装置を隠蔽できる加飾シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し、目視できないまたは目視が困難である微細孔を複数形成することで、表示装置の発光時には表示装置上の情報が視認可能であり、表示装置の非発光時には表示装置を確実に隠蔽できる加飾シートを発明した。
【0007】
本発明は以下を要旨とする。
(1)不透明着色層を有する加飾シートであって、加飾シートの厚み方向に、開口面積が0.007~0.13mm2の孔が複数形成されてなることを特徴とする加飾シート。
(2)不透明着色層の裏面に繊維布帛基材を設けてなることを特徴とする(1)に記載の加飾シート。
(3)全光線透過率が20%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の加飾シート
(4)表示装置を覆う表皮材として用いられることを特徴とする(1)または(2)に記載の加飾シート
【発明の効果】
【0008】
本発明は、目視できないまたは目視が困難である微細孔を複数形成することで、表示装置の発光時には表示装置上の情報が視認可能であり、表示装置の非発光時には表示装置を確実に隠蔽できる加飾シートを提供することができる。
そのため、高いデザイン性が求められる車両の内装材用として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】本発明の加飾シートの断面模式図の部分拡大図である。
【
図4】実施例において加飾シートに孔でデザインしたロゴの輪郭を表すイメージ図である。
【
図5】実施例1の〔鮮明さ〕試験の結果を表す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の加飾シートについて、
図1~5を用いて説明する。
図2、3は、いずれも加飾シートの厚み方向に切断した際の断面図を示す。
図3は
図2の部分拡大図である。
本明細書中において、「加飾」とは、皮革調、木目調、幾何学調、布帛調等の装飾性を有する外観を呈するものである。
なお、本明細書中において、「表示装置」は、発光部材を備えるもの示す総称するものであり、ライト等の発光部材自体も包含する。
【0011】
本発明の加飾シートは不透明着色層を有し、加飾シートの厚み方向に、開口面積が0.007~0.13mm2の孔が複数形成されてなる。
開口面積が0.007mm2以上の孔であれば、表示装置から発光した光が透過し、表示装置上の情報を視認することが可能である。開口面積が0.13mm2以下の孔であれば、近距離において目視しにくいものであり、孔から50cm離れた距離においては孔と孔以外の部分との識別は、人目には極めて困難である。
そのため、例えば、車両のインストルメントパネルに設置された表示装置を本発明の加飾シートで覆った場合、表示装置の非発光時においては、乗員は加飾シートの背面に備えられた表示装置はもちろんのこと、加飾シートに形成された孔も視認できない。それゆえ、車室は意匠性に優れた高級感のある空間となる。
一方で、表示装置が発光した際には、光は加飾シートに形成された孔を通過するため、表示装置上の情報を乗員が確認することができ、表示装置本来の機能を阻害することはない。
孔の視認性と、表示装置の非発光時の隠蔽性および表示装置の発光時における表示装置上の情報の鮮明さを考慮すると、孔の開口面積は0.017~0.05mm2であることが好適である。
【0012】
孔は、ドリリング、放電、レーザー照射など、従来公知の手段により形成することができる。
孔の形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形等、任意の形状が選択されるが、加飾シートの耐摩耗性の観点から、円形や楕円形等、角のない形状であることが好ましい。孔が円形の場合、孔径φは0.1~0.4mm、好ましくは0.15~0.25mmとなる。
【0013】
孔は規則性をもって配置されてもよいし、ランダムに配置されてもよい。また、加飾シートの全面に設けられていてもよいし、部分的に設けられていてもよい。
【0014】
孔の開口面積は厚み方向に一定である必要はなく、開口面積の最大値が0.007~0.13mm2の範囲であればよい。例えば、断面が台形状や円錐形状の孔であってもよい。
当該構成により、表示装置の発光時には表示装置上の情報が視認可能であり、表示装置の非発光時には表示装置が確実に隠蔽できる加飾シートを提供することができる。
【0015】
孔は、必ずしも貫通孔に限定されない。例えば、加飾シートの表面側の透明性を高くして裏面側から非貫通の孔を形成する、あるいは、加飾シートの裏面側の透明性を高くして表面側から非貫通の孔を形成する等の態様であっても本発明の効果は得られる。
表示装置の発光時の鮮明さを考慮すると、貫通孔が好適である。
【0016】
一の孔と隣り合う孔の間隔は限定されないが、0.1mm以上であることが好ましい。間隔が0.1mm未満であると、摩耗強度、引張強度等、加飾シートの機械的強度の低下が懸念される。
【0017】
[不透明着色層]
本発明の加飾シートは、不透明着色層を有してなる。不透明着色層は加飾シートを不透明に着色させるため、顔料が添加されてなる。顔料の添加量は特に限定されないが、不透明着色層を形成する合成樹脂100質量部に対して、0.5~30質量部であることが好ましい。
【0018】
不透明着色層を構成する合成樹脂は、通常、加飾シートに用いられ得る樹脂であればいずれのものでも使用できるが、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適である。
【0019】
上記ポリウレタン系樹脂としては、具体的には、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ポリウレタン樹脂、ポリエステル/ポリエーテル共重合系ポリウレタン樹脂、ポリアミノ酸/ポリウレタン共重合樹脂、ポリカーボネートジオール成分と無黄変型ジイソシアネート成分及び低分子鎖伸長剤等を反応させて得られる無黄変型ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などが挙げられる。また、加飾シートとしての諸物性を損なわない範囲であれば、上記のポリウレタン樹脂にポリ塩化ビニル樹脂や合成ゴムなどを混合しても差し支えない。
【0020】
上記塩化ビニル系樹脂としては、具体的には、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、またはこれら樹脂のブレンド等が使用できる。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン酸、フマル酸アクリロニトリル等が挙げられる。
【0021】
不透明着色層をポリ塩化ビニル系樹脂で構成する場合、天然皮革に似た柔軟性をより効果的に発揮させるために、ポリ塩化ビニル系樹脂と併せて可塑剤が配合される。可塑剤としては、フタル酸ジオクチルエステル(DOP)、フタル酸ジイソノニルエステル(DINP)、フタル酸ブチルベンジルエステル(BBP)、フタル酸ジイソデシルエステル(DIDP)、フタル酸ジウンデシルエステル(DUP)などに代表される一般のフタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸ジオクチル(DOA)、セバシン酸ジオクチルエステル(DOS)、アゼライン酸ジオクチルエステル(DOZ)に代表される一般の脂肪酸エステル系可塑剤、トリメリット酸トリオクチルエステル系可塑剤、ポリプロピレンアジペート等に代表されるアジピン酸ポリエステル系可塑剤などの高分子系可塑剤、セバシン酸系可塑剤、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
【0022】
上記の他に、不透明着色層には、フィラー、分散剤、消泡剤、艶消し剤、滑剤などの各種添加剤を含有してもよい。
【0023】
不透明着色層の裏面には、繊維布帛基材が設けられることが好ましい。本発明の加飾シートは、表示装置を覆うように用いられることによって、表示装置の非発光時における隠蔽性と、表示装置の発光時の視認性が発現する。表示装置を加飾シートで被覆する際、表示装置の曲面や凹凸に追従させる必要があるが、その際に、加飾シートが引き延ばされるため、孔の開口面積が拡張されたり、孔の形状がいびつになったりする懸念がある。これによって、孔が視認しやすくなり意匠性が損なわれる。
不透明着色層の裏面に繊維布帛基材を設けることで、加飾シートの伸びが抑制され、孔の開口面積が拡張されたり、孔の形状がいびつになったりする不具合を解消することができる。
また、機械的強度を担保するためにも、不透明着色層の裏面には繊維布帛基材が設けられることが好適である。
【0024】
[繊維布帛基材]
繊維布帛基材を構成する布帛は特に限定されず、編布、織布、不織布など、繊維を利用した布帛であればいずれのものであってもよい。繊維布帛基材を形成する繊維は、特に限定されず、合成繊維、天然繊維などをあげることができる。合成繊維の材質としては、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ナイロンなどを例示することができるがこれに限定されない。天然繊維の材質としては、綿、麻、レーヨンなどを例示することができるがこれに限定されない。
繊維布帛基材の厚みは特に限定されないが、加飾シートの機械的強度や風合い等を考慮すれば、当該厚みは、100μm以上2000μm以下であることが好ましく、500μm以上1200μm以下であることがより好ましい。繊維布帛基材の目付けについても特に限定されないが、上記厚みと同様に、加飾シートの機械的強度や風合い等を考慮すれば、10g/m2以上500g/m2以下であることが好ましく、100g/m2以上400g/m2以下であることがより好ましい。
【0025】
加飾シートと繊維布帛基材とは、接着層を介して接合される。
接着層は、接着層を構成する組成物の一部が後述の繊維布帛基材に浸み込んでなることが好ましい。本発明の加飾シートは、加飾シートの厚み方向に接着層を構成する組成物の一部が繊維布帛基材に浸み込むことで、孔からの繊維布帛基材の毛羽立ち防ぐことができるため、表示装置が発光した際にぼやけることなく鮮明に光を視認できる。
【0026】
本発明の加飾シートは、表示装置の非発光時の隠蔽性を備える必要があるため、不透明着色樹脂層の厚みは大きいほうが好ましい。一方で、不透明着色層の厚みが大きくなると、加飾シートの重量増になってしまう。重量の増加を抑えかつ厚みを大きくするために、接着層を発泡させた発泡接着層としたり、不透明着色層と接着層の間に発泡層を設けたりすることが好ましい。発泡させた層を形成する手段としては、機械攪拌による物理的発泡、発泡剤の添加による化学的発泡、中空微粒子の添加による擬似発泡などが挙げられる。
発泡接着層および発泡層の発泡倍率は1.3~2.0倍であることが好ましい。1.3~2.0倍であると、加飾シートの機械的強度を担保しつつ、厚みを大きくする効果および軽量化する効果が得られる。
【0027】
[表面処理層]
本発明の加飾シートは、不透明着色層上に表面処理層を設けてもよい。
表面処理層は、加飾シートの艶出し/艶消し、耐摩耗性の付与、触感の付与、防汚性の付与等の目的で設けられる。表面処理層は、例えばポリウレタン樹脂を主剤とし、有機溶媒や水に分散させた塗工液を表皮層の表面にコーティングすることにより設けることができる。
【0028】
表面処理層と合成樹脂層との間に、両者の密着性を向上させるためにプライマー層を設けてもよい。
表面処理層およびプライマー層には、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、触媒、シリカなどの無機微粒子、有機フィラーなど公知の添加剤を添加してもよい。
【0029】
本発明の加飾シートの全光線透過率が20%以下であることが好ましい。ここで、全光線透過率は、加飾シートの孔が形成されていない部分の全光線透過率のことであり、JISK7375に準じて測定される。
全光線透過率が20%以下であると、表示装置が発光した際に、孔が形成されていない部分は光が透過しにくいため、孔部分のみが鮮明となり見栄えがよいものとなる。
例えば、加飾シートに孔でロゴやマークの全体または輪郭を形成した場合、裏面から発光させた際、孔部分のみが光を透過し、孔部分以外は光の透過が抑制されるため、鮮明にロゴやマークを浮かび上がられることができ、意匠性に富んだ表皮材となる(
図5参照)。
全光線透過率が0%に近いほど上記効果は良好に発揮されるため、全光線透過率は、2%以下であることがより好ましい。
【0030】
以上、本発明の加飾シートについて説明した。本発明は加飾シートとして種々の用途に用いることができるが、意匠性が求められる車両の内装材用、特にインストルメントパネル用の表皮材として好適である。
【実施例0031】
以下に本発明を実施例に基づいて、詳細に説明する。本発明は、これら実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
【0032】
実施例1
離型紙上に黒色顔料(塩化ビニルペースト100質量部に対して、5質量部)および可塑剤を含有した表皮層用の塩化ビニルペースト((株)カネカ製の塩化ビニル 商品名:PSH24)を、乾燥厚みが200μmとなるように塗布し、温度180℃で2分間加熱してゲル化(樹脂化)を行い、不透明着色層を形成した。
次に、発泡剤、黒色顔料(塩化ビニルペースト100質量部に対して、0.5質量部)および可塑剤を含有した塩化ビニルペースト(新第一塩ビ(株)製の塩化ビニル 商品名:PQHPN)を、乾燥厚みが200μmとなるように塗布し、温度200℃で2分間加熱してゲル化(樹脂化)と発泡を行い、発泡層を形成した。
次に、内層上に可塑剤を含有した接着層用の塩化ビニルペースト(新第一塩ビ(株)製の塩化ビニル 商品名:PQHPN)を、100g/m
2塗布し、直後にメリヤス生地を貼り合せ、温度180℃で2分間加熱してゲル化(樹脂化)を行った後、離型紙を剥離し、加飾シートを得た。
得られた加飾シートに対し、表面側からドリリング加工を施し、
図4に示すロゴの輪郭を複数の貫通孔を形成した。貫通孔は開口面積が、0.017mm
2の円形、一の孔と隣り合う孔の間隔は、1.0mmとした。
ドリリング加工前の加飾シートの全光線透過率は0.01%であった。なお、全光線透過率は、JISL7375に準じ、へーズメーター(スガ試験機株式会社製、商品名「HZ-V3」)を用いて測定した。
【0033】
実施例2
貫通孔を開口面積が0.05mm2の円形に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて加飾シートを得た。
【0034】
実施例3
貫通孔を開口面積が0.007mm2の円形に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて加飾シートを得た。
【0035】
実施例4
貫通孔を開口面積が0.13mm2の円形に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて加飾シートを得た。
【0036】
実施例5
黒色顔料の添加量を5質量部から0.2質量部に減量した以外は、実施例1と同様の方法にて加飾シートを得た。
ドリリング加工前の加飾シートの全光線透過率は20.7%であった。なお、全光線透過率は、JISL7375に準じ、へーズメーター(スガ試験機株式会社製、商品名「HZ-V3」)を用いて測定した。
【0037】
比較例1
貫通孔を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法にて加飾シートを得た。
【0038】
比較例2
顔料を添加せず、不透明着色層を不透明に着色された層ではなく無色透明な層にした以外は、実施例1と同様の方法にて加飾シートを得た。
【0039】
比較例3
貫通孔を開口面積が0.004mm2の円形に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて加飾シートを得た。
【0040】
比較例4
貫通孔を開口面積が0.5mm2の円形に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて加飾シートを得た。
【0041】
実施例1~5、比較例1~4で得られた加飾シートについて、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0042】
〔孔の視認性〕
得られた加飾シートの外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
〇:10cm離れた距離から観察して、孔が視認できない
△:10cm離れた距離から観察すると孔が視認できるが、50cm離れた距離から観察すると孔が視認できない
×:50cm離れた距離から孔が視認できる
【0043】
タテ300mm、ヨコ300mmの樹脂板の中央部に発光面外径:φ190mm(発光部:φ105mm)、1700ルーメンのLEDライトを埋め込んだ試験板を作成した。樹脂板と埋め込んだLEDライトは面一になるように作成した。
上記試験板を各加飾シートで覆い、「隠蔽性」、「透過性」を、「鮮明さ」について、以下の基準で評価した。なお、「鮮明さ」については、実施例1と実施例5のみ試験をした。
【0044】
〔隠蔽性〕
LEDライト消灯させた状態で、10cm離れた距離および50cm離れた距離から試験板を目視にて観察した。なお、試験は、晴れた日の13時に直接外光が当たらない状態でおこなった。
〇:10cm離れた距離および50cm離れた距離いずれもLEDライト部分とそれ以外の部分とで、外観が変わらない
△:50cm離れた距離においては、LEDライト部分とそれ以外の部分とで、外観が変わらないが、10cm離れた距離においては、LEDライト部分がそれ以外の部分よりも若干明るく見える
×:10cm離れた距離および50cm離れた距離いずれもLEDライト部分がそれ以外の部分よりも若干明るく見える
【0045】
〔透過性〕
LEDライトを点灯させた状態で、10cm離れた距離および50cm離れた距離から試験板を目視にて観察した。
〇:10cm離れた距離および50cm離れた距離いずれもLEDライト部分の光が感じられた
△:10cm離れた距離においては、LEDライト部分の光が感じられたが、50cm離れた距離においては、LEDライト部分の光が感じられなかった。
×:10cm離れた距離および50cm離れた距離いずれもLEDライト部分の光が感じられなかった
【0046】
〔鮮明さ〕
実施例1および実施例5の加飾シートを用いた試験板において、LEDライトを点灯させた状態で、30cm離れた距離から試験板を目視にて観察した。
〇:ロゴの外形が鮮明に確認できる
△:ロゴの外形が確認されるが、孔と孔以外の部分の境界がぼやけた印象である。
なお、実施例1の加飾シートを用いた試験板における、LEDライト消灯時およびLEDライト発光時の画像を
図5に示す。
【0047】
【0048】
実施例、比較例の結果から、本発明の加飾シートは、表示装置の発光時には表示装置上の情報が視認可能であり、表示装置の非発光時には表示装置を確実に隠蔽できることがわかる。