(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007871
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】縁塊
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20250109BHJP
E03F 5/10 20060101ALI20250109BHJP
E01C 11/22 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E03F5/04 D
E03F5/10 Z
E01C11/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109567
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】500156704
【氏名又は名称】北村コンクリート工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595123623
【氏名又は名称】株式会社カワグレ
(71)【出願人】
【識別番号】504119527
【氏名又は名称】高橋土建株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594074872
【氏名又は名称】日本ステップ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 盛治
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 史季
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英明
【テーマコード(参考)】
2D051
2D063
【Fターム(参考)】
2D051AA03
2D051AC06
2D051AF03
2D051AF12
2D051DA01
2D063CA02
2D063CB06
2D063CB13
2D063DA01
2D063DA11
(57)【要約】
【課題】落ち葉やごみ等の影響を受けずに、雨水、雪水などを排水することができる縁塊を提供することを目的とする。
【解決手段】 縁塊1は、道路3の進行方向に所定の間隔を置いて、L字ブロックとの間に配置され、基板部11と、縁石13と、基板側蓋体15と、縁石側蓋体17と、を備える。基板部11は、その上面が道路3の路幅方向に向かって斜め下方に緩やかに傾斜されており、中央部に平面視矩形の排水開口が形成され、道路3側の上面に、U字側溝5に連通する排水路25が設けられている。ごみ、落ち葉等によって、基板側蓋体15の通水孔が塞がれた場合、雨水、雪水などは、基板側蓋体15上に溜まったごみ、落ち葉を回り込んで、排水路25に流れるため、U字側溝5に導くことができ、縁塊1の排水機能の低下を防ぐことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の路肩又は路側帯に設けられる縁塊であって、
排水開口を有する基板部と、該基板部の、道路の反対側に上面に設けられた縁石とを有するブロック体と、
前記基板部に取り付けられ、前記排水開口を覆う、通水孔を有する基板側蓋体とを備え、
前記基板部は、道路側の上面に、前記排水開口につながる排水路が設けられていることを特徴とする縁塊。
【請求項2】
前記基板側蓋体は、前記排水路の一部を覆う蓋片を有することを特徴とする請求項1に記載の縁塊。
【請求項3】
前記縁石は、その前面に形成された第1排水口と、基板部側の上面に形成された第2排水口とを有する排水部と、前記第1排水口及び前記第2排水口を覆う、複数の通水孔を有する縁石側蓋体とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の縁塊。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の路肩又は路側帯に設けられる縁塊に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の路肩又は路側帯には、側溝又集水桝に設けられた、雨水、雪水などを排水するための縁塊が設置されている。このような縁塊として、例えば、特許文献1には、縁石と、この縁石の道路側に設けられた基板部と、この基板部に設けられた排水開口と、縁石の前面に設けられた縁石側排水口と、基板部の排水開口を覆う基板側蓋体と、縁石側排水口を覆う縁石側蓋体とを備えた縁塊が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された縁塊では、落ち葉やごみ等が基板部の基板側蓋体及び縁石の縁石側蓋体の通水孔を塞ぐと、雨水、雪水などが基板部の排水開口及び縁石の縁石側排水口に流れることができず、排水することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、落ち葉やごみ等の影響を受けずに、雨水、雪水などを排水することができる縁塊を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る縁塊は、道路の路肩又は路側帯に設けられる縁塊であって、排水開口を有する基板部と、該基板部の、道路の反対側に上面に設けられた縁石とを有するブロック体と、前記基板部に取り付けられ、前記排水開口を覆う、通水孔を有する基板側蓋体とを備え、前記基板部は、道路側の上面に、前記排水開口につながる排水路が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の縁塊によれば、落ち葉やごみ等の影響を受けずに、雨水、雪水などを排水することができる縁塊を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る道路の路肩又は路側帯に設置される縁塊の概略斜視図である。
【
図3】
図2に示す縁塊のA-A線に沿った断面図である。
【
図4】
図2に示す縁塊のB-B線に沿った断面図である。
【
図5】
図2に示す縁塊のブロック体の斜視図である。
【
図6】
図1に示す基板側蓋体及び縁石側蓋体の斜視図であり、(a)は基板側蓋体の蓋本体の斜視図であり、(b)は基板側蓋体の道路側蓋片の斜視図であり、(c)は縁石側蓋体の斜視図である。
【
図7】
図1に示す基板側蓋体の道路側蓋片の他の形状を示す斜視図である。
【
図8】
図5に示す縁塊のブロック体の他の形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る縁塊を
図1~
図6に基づいて詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る縁塊1は、
図1に示すように、道路3の側端、すなわち、路肩又は路側帯に流れる雨水、雪水などをU字側溝又は集水桝に排水するものであり、U字側溝上又は集水桝上に設置されている(図示では、縁塊1は、U字側溝5に配置されている)。縁塊1は、道路3の進行方向に所定の間隔を置いて、L字ブロック7,7の間に配置され、基板部11と、縁石13と、基板側蓋体15と、縁石側蓋体17と、を備える。基板部11と縁石13とは、
図5に示すように、一体に形成されたブロック体19であり、ブロック体19は、側面視L型を呈し、コンクリートから形成されている。
【0010】
基板部11は、
図2~
図5に示すように、平面視略矩形状を呈し、その上面が道路3の路幅方向、すなわち、道路3側から縁石13側への方向に向かって斜め下方に緩やかに傾斜されており(
図3参照)、中央部に平面視矩形の排水開口21が形成されている。また、基板部11は、基板側蓋体15の枠材61(後述参照)を嵌め込むために、排水開口21の開口縁に基板側段部23が形成されている。基板側段部23の深さは、基板側蓋体15の高さと略同等である。さらに、基板部11は、道路3側の上面に、U字側溝5又は集水桝に連通する排水路25が設けられている。排水路25は、
図3に示すように、道路3側からの雨水などや、基板側蓋体15がごみ、落ち葉等によって塞がれた際に雨水などをU字側溝5又は集水桝に導くためのものであり、道路3側から順に、道路3から縁石13に向かって斜め下方に延びる急勾配の第1斜路27と、第1斜路27とつながる、道路3から縁石13に向かって斜め下方に延びる緩やかな勾配の第2斜路29と、第2斜路29とつながる、道路3から縁石13に向かって斜め下方に延びる急勾配の第3斜路31と、第3斜路31、排水開口21及びU字側溝5又は集水桝につながる、縁塊1の鉛直方向に延びる流路33とを備える。
【0011】
縁石13は、
図2及び
図5に示すように、道路3の進行方向に沿って長い直方体を呈し、基板部11の道路3の反対側の上面に一体に形成される。縁石13は、その前面(道路3側の面)に形成された第1排水口37と、上面の前側(基板部11側の上面)に形成された第2排水口39とを有する排水部35と、左壁部41と、右壁部43と、後壁部45と、底部47とを備える。排水部35の第1排水口37及び第2排水口39は、雨水、雪水などをU字側溝5又は集水桝に導くためのものであり、それぞれの開口幅(道路3の進行方向側の幅)が基板部11の排水開口21の開口幅より広く形成されている。左壁部41及び右壁部43の内側縁部には、縁石側蓋体17を嵌め込むための段部49L,49Rが形成され、後壁部45の前側縁部には、縁石側蓋体17を嵌め込むための段部51が形成されている。後壁部45の前面には、縁石側蓋体17を縁石13に固定するための締結具53を挿通する挿通孔55,55が複数形成されている。底部47は、後壁部45の前面下部の左右に位置し、左壁部41及び右壁部43の内壁面から延びるように形成されている。底部47と底部47との間には、第1排水口37及び第2排水口39と連通する、縁塊1の鉛直方向に延びる排水流路57が形成されている。
【0012】
基板側蓋体15は、
図1、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、平面視略矩形状を呈し、蓋本体59と、枠材61と、道路側蓋片63とを備える。蓋本体59は、枠材61内に嵌る外枠65と、道路3の進行方向に延びる、所定の間隔を置いて設けられた複数の横桟片67と、外枠65の長片(道路3の進路方向の片)と横桟片67と間及び横桟片67と横桟片67との間に、蛇腹状に設けられた複数の斜め桟片69とを備える。外枠65、複数の横桟片67及び複数の斜め桟片69の間に形成された空間は、雨水、雪水などを排水開口21に導く通水孔71である。道路側蓋片63は、
図3及び
図6(b)に示すように、側面視L字状の板材であり、自動二輪車等のタイヤが基板部11の排水路25に嵌らないように、排水路25の一部を覆うようためのものであって、枠材61の道路3側の外周面に溶接によって固定されている。
【0013】
縁石側蓋体17は、
図1及び
図6(c)に示すように、縁石13の左壁部41及び右壁部43の段部49L,49R及び後壁部45の段部51に嵌め込んで、縁石13に固定されている。縁石側蓋体17は、縁石13の第1排水口37を覆う縦蓋73と、縦蓋73の上部に一体に形成され、縁石13の第2排水口39を覆う上蓋75と、固定板77,77とを有する。縦蓋73と上蓋75との接続部分が湾曲部79となっている。縦蓋73には、道路3の進行方向に沿って所定の間隔を置いて設けられ、かつ、上下2段に並んで配置された、長方形状の通水孔81,81が形成されている。湾曲部79には、道路3の進行方向に沿って所定の間隔を置いて複数設けられた長方形状の通水孔83が形成されている。湾曲部79に形成された通水孔83には、その対向する角部(対角)を結ぶように斜片85が設けられている。通水孔83の斜片85は、結ぶ対角が交互に異なるように設けられている。固定板77,77は、
図3及び
図6(c)に示すように、側面視L字状を呈し、締結具53を挿通する挿通孔87が形成されている。
【0014】
次に、本実施形態に係る縁塊1による雨水、雪水などの排水について、
図1を参照して説明する。
ごみ、落ち葉等によって、基板側蓋体15の通水孔71及び縁石側蓋体17の通水孔81,83が塞がれていない状態では、L字ブロック7,7から流れてくる雨水、雪水などは、基板側蓋体15の通水孔71及び縁石側蓋体17の通水孔81,83を通って、基板側蓋体15の排水開口21及び縁石13の排水流路57に流れて、U字側溝5又は集水桝に排水される。また、道路3側から縁塊1に直接流れる雨水、雪水などは、基板部11の排水路25を通って、U字側溝5又は集水桝に排水される。このとき、雨水、雪水と共に流れてきた落ち葉は、排水路25を介して、U字側溝5又は集水桝に排出することができる。
【0015】
一方、ごみ、落ち葉等によって、基板側蓋体15の通水孔71及び縁石側蓋体17の通水孔81,83が塞がれている場合、雨水、雪水などは、基板側蓋体15の通水孔71及び縁石側蓋体17の通水孔81,83を介して、基板側蓋体15の排水開口21及び縁石13の排水流路57に流れにくくなるが、各通水孔71,81,83から排水されなかった雨水、雪水などが基板側蓋体15の上面及び縁石側蓋体17の下部に溜まったごみ、落ち葉等を回り込んで、基板部11の排水路25に流れる。その結果、雨水、雪水などが排水路25を通って、U字側溝5又は集水桝に排水される。これにより、雨水、雪水などが道路3の路肩又は路側帯に溜まるのを防ぐことができる。
【0016】
以上、上記構成を有する一実施形態の縁塊1によれば、次のような作用効果を得ることができる。
縁塊1の基板部11の道路3側の上面に、U字側溝又は集水桝に連通する排水路25を設けることで、ごみ、落ち葉等によって、基板側蓋体15の通水孔71及び縁石側蓋体17の通水孔81,83が塞がれていても、雨水、雪水などが基板側蓋体15に溜まったごみ、落ち葉を回り込んで、排水路25に流れる。これにより、雨水、雪水などU字側溝5又は集水桝に導くことができ、縁塊1の排水機能の低下を防ぐことができる。
【0017】
基板側蓋体15に、排水路25の一部を覆う道路側蓋片63を設けることで、自動二輪車等が縁塊1上を通過しても、自動二輪車等のタイヤが排水路25に嵌ることを防ぐことができる。
【0018】
なお、一実施形態に係る縁塊1では、基板部11の排水路25の一部を覆う基板側蓋体15の道路側蓋片63は、長方形状の板材(
図2参照)であるが、
図7に示すように、道路側蓋片63の道路3側の先端が鋸歯状であってもよい。この場合、自動二輪車等のタイヤを傷つけないように、先端がR面取りされている。このような構成にすることで、落ち葉もU字側溝5又は集水桝内に排出しやすくなる。
【0019】
一実施形態に係る縁塊1では、
図8に示すように、排水路25に、道路3側から縁石側に向かって延びる複数の溝88を設けるようにしてもよい。このように構成することで、落ち葉が排水路25上にあったとしても、雨水、雪水等が複数の溝88を通って、U字側溝5又は集水桝内に排水でき、排水機能を高めることができる。
【0020】
一実施形態に係る縁塊1では、基板部11と縁石13とは、一体に形成されたブロック体19であるが、基板部11と縁石13とを別体として、基板部11と縁石13と組み合わせてブロック体としてもよい。
【0021】
一実施形態に係る縁塊1では、縁石側蓋体17は、締結具53によって、縁石13に固定されているが、縁石側蓋体17を縁石13に埋め込んで固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1…縁塊、3…道路、11…基板部、13…縁石、15…基板側蓋体、19…ブロック体、21…排水開口、25…排水路