(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007880
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】自律走行型搬送ロボット、荷物搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 67/08 20060101AFI20250109BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20250109BHJP
B65G 47/57 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65G67/08
B65G1/00 501C
B65G47/57 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109582
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】藤原 崇
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 守
【テーマコード(参考)】
3F022
3F044
3F076
【Fターム(参考)】
3F022JJ15
3F022LL07
3F022LL19
3F022MM03
3F044AA01
3F044CD01
3F076AA01
3F076CA03
3F076DA27
3F076DB02
3F076EA08
3F076FA03
(57)【要約】
【課題】荷下ろし及び荷積みを自動で行うことが可能な自律走行型搬送ロボットを提供する。
【解決手段】ロボット本体1に搭載された荷役装置2が、荷物Nを荷室1S内と目的地との間で搬送可能な搬送コンベア部5,6と、荷室外のスペースにおいて搬送コンベア部6を昇降移動させる昇降部4と、搬送コンベア部5,6を任意の傾斜角度に調整可能な搬送コンベア角度調整部(扉開閉部)3とを備え、搬送コンベア部5,6によって荷室1S内の荷物Nを荷室1S外のスペースに搬送した状態で搬送コンベア部6の高さ位置を目的地の高さ位置に応じて調整し、搬送コンベア部上の荷物を目的地に送り出す処理を含む荷下ろし処理と、荷室1S外のスペースにおける搬送コンベア部6の高さ位置を目的地の高さ位置に応じて調整し、目的地から搬送される荷物Nを搬送コンベア部6上に受け取って荷室1S内に搬送する処理を含む荷積み処理とを実行可能に構成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能な走行手段と、内部空間の一部を荷室に設定したロボット本体と、前記ロボット本体に搭載された荷役装置と、荷下ろし処理及び荷積み処理を実行する制御部とを備えた自律走行型搬送ロボットであり、
前記荷役装置は、
荷物を前記荷室内と搬送先または集荷先等の目的地との間で搬送可能な搬送コンベア部と、
前記搬送コンベア部を昇降移動させる昇降部と、
前記搬送コンベア部を任意の傾斜角度に調整可能な搬送コンベア角度調整部とを備え、
前記制御部による前記荷役処理は、
前記搬送コンベア角度調整部または前記昇降部の少なくとも何れか一方を作動させて前記搬送コンベア部の高さ位置を前記目的地の高さ位置に応じて調整するコンベア高さ調整処理と、前記搬送コンベア部を作動させて当該搬送コンベア部上の前記荷物を前記目的地に送り出す荷物押し出し処理とを含む荷下ろし処理と、
搬送コンベア角度調整部または前記昇降部の少なくとも何れか一方を作動させて前記荷室外のスペースにおける前記搬送コンベア部の高さ位置を前記目的地の高さ位置に応じて調整するコンベア高さ調整処理と、前記搬送コンベア部を作動させて前記目的地から前記荷物を前記搬送コンベア部上に受け取る荷物受け取り処理とを含む荷積み処理であることを特徴とする自律走行型搬送ロボット。
【請求項2】
前記荷室を荷物の搬出入方向に開放する開口部を開閉可能な扉と、
前記扉を起立姿勢となる閉状態と前記扉の下端部近傍を支点に任意の開き角度で傾斜姿勢となる開状態との間で切替可能な扉開閉部とを備え、
前記搬送コンベア部のうち前記荷室外のスペースにおいて荷物を搬送可能な外部搬送コンベア部を前記扉の内側に設け、前記荷室に設けた内部搬送コンベア部と前記外部搬送コンベア部の間で荷物を受け渡し可能に構成している請求項1に記載の自律走行型搬送ロボット。
【請求項3】
前記昇降部は、前記開状態にある前記扉を昇降移動させるものである請求項2に記載の自律走行型搬送ロボット。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の自律走行型搬送ロボットと、搬送先または集荷先等の目的地に設置され且つ荷物を搬送可能な荷物台搬送コンベア部を有する荷物台とを備え、
前記自律走行型搬送ロボットの制御部によって、前記自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上の荷物を前記自律走行型搬送ロボットの荷室から前記目的地の前記荷物台に搬出する荷下ろし処理と、前記目的地の前記荷物台搬送コンベア部から搬送されて前記自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上に移送された荷物を前記荷室に収容する荷積み処理とを実行可能に構成していることを特徴とする荷物搬送システム。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載の自律走行型搬送ロボットと、搬送先または集荷先等の目的地に設置された荷物台とを備え、
前記自律走行型搬送ロボットの制御部によって、前記自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上の荷物を前記自律走行型搬送ロボットの荷室から前記目的地の前記荷物台に搬出する荷下ろし処理と、前記目的地の前記荷物台から前記自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上に移動された荷物を前記荷室に収容する荷積み処理とを実行可能に構成していることを特徴とする荷物搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行型ロボット(AMR;Autonomous Mobile Robot)に関し、特に荷物を自動で荷積みしたり、目的地に自動で荷下ろし可能な自律走行型搬送ロボット、及び荷物搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
EC(electronic commerce)の普及・拡大、また新型コロナウイルス禍によるEC特需等を背景に近年は荷物数が急増しており、宅配便市場は活況を呈している。一方で、宅配荷物の増加に伴い、宅配ドライバーの負荷は増大し、人手不足が物流業界で問題となっている。
【0003】
このような宅配荷物の増加と宅配ドライバーの負荷増大、人手不足への対応の1つとして、宅配ドライバーの仕事の一部を自律走行型ロボット(AMR)に任せて、自動配達することにより、業務負荷の増大を抑えようとする国内実証が進んでおり、海外では実用化が進んでいる(下記、非特許文献1参照)。
【0004】
また、宅配ドライバーの負荷増大、人手不足、さらには非接触配送需要への対応の1つとして、宅配ドライバーの仕事のうち置き配(配達員が受取人に荷物を直接手渡しするのではなく、指定された場所に荷物を置く配達方式)に関しては自律走行型ロボットに任せて、届け先において当該ロボットにより自動で置き配する実証実験が進められている(下記、非特許文献2参照)。置き配については、配達員が荷物を手渡しせず、在宅でも留守であっても指定された場所に荷物を置くことで配達が済むため、再配達の手間・時間を効果的に省くことで作業効率(配送効率)の向上に大きく貢献するという側面もある。
【0005】
本出願人においても、上述の問題を解消すべく、置き配処理を実行可能な自律走行型配達ロボットを案出し、既に特許出願している(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“配達ロボット・デリバリーロボット DeliRo(デリロ)” 、[online]、[令和5年6月15日検索]、インターネット、<URL:https://www.zmp.co.jp/products/lrb/deliro>
【非特許文献2】“Amoeba Energy、日本郵便/ロボットによる連続置き配に成功” 、[online]、[令和5年6月15日検索]、インターネット、<URL:https://www.lnews.jp/2020/01/m0130401.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1に記載の配達ロボットを利用すると、荷物の受取人は搬送ロボットのボックスから荷物を取り出すことで荷物を受け取ることができる一方、配達先において受取人が不在の場合には、ロボットが配達先で一定期間待機し続けるか、拠点へと引き返した後に再配達しなければならない。
【0009】
また、非特許文献2に記載の配達ロボットや特許文献1に記載の自律走行型配達ロボットであれば、ロボット単体で自動置き配することができるため、受取人が不在の場合であっても、配達先で一定期間待機し続けたり、拠点へと引返した後に再配達するという事態を回避することができる。しかしながら、これらの配達ロボットにおいても、荷物をロボットに載せる荷積み時には人手が必要であり、荷送人が取込中で対応できない場合にロボットの運用効率が低下する事態になる。
【0010】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、荷下ろしを自動で行うことができるとともに、荷積みも自動で行うことが可能な自律走行型搬送ロボット、荷物搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明に係る自律走行型搬送ロボットは、自律走行可能な走行手段と、内部空間の一部を荷室に設定したロボット本体と、ロボット本体に搭載された荷役装置と、荷役処理を実行する制御部とを備えたものであり、荷役装置として、荷物を荷室内と搬送先や集荷先等の目的地との間で搬送可能な搬送コンベア部と、搬送コンベア部を昇降移動させる昇降部と、搬送コンベア部を任意の傾斜角度に調整可能な搬送コンベア角度調整部とを備えたものを適用し、制御部による荷役処理の一つである荷下ろし処理が、扉開閉部または昇降部の少なくとも何れか一方を作動させて搬送コンベア部の高さ位置を搬送先や集荷先等の目的地の高さ位置に応じて調整するコンベア高さ調整処理と、搬送コンベア部を作動させて当該搬送コンベア部上の荷物を搬送先や集荷先等の目的地に送り出す荷物押し出し処理とを含むものであり、制御部による荷役処理の一つである荷積み処理が、扉開閉部または昇降部の少なくとも何れか一方を作動させて荷室外のスペースにおける搬送コンベア部の高さ位置を集荷先等の目的地の高さ位置に応じて調整するコンベア高さ調整処理と、搬送コンベア部を作動させて集荷先等の目的地から荷物を搬送コンベア部上に受け取る荷物受け取り処理とを含むものであることを特徴としている。
【0012】
このような本発明に係る自律走行型搬送ロボットであれば、搬送コンベア部によって荷物を荷室内と搬送先や集荷先等の目的地との間で搬送するコンベア搬送機能と、搬送コンベア角度調整部を作動させて搬送コンベア部の傾斜角度を調整することで搬送コンベア部の先端部の高さ位置を調整する高さ調整機能、または昇降部を作動させることにより搬送コンベア部を昇降移動させて搬送コンベア部の高さ位置を調整する高さ調整機能とを発揮することによって、荷下ろし処理のみならず、荷積み処理も実行することができる。つまり、搬送コンベア部の高さ位置を搬送先や集荷先等の目的地の高さ位置に応じて調整することで様々な高さの荷物台にも対応することができ、高さ位置を調整した搬送コンベア部によって荷物を搬送することで当該荷物を搬送先や集荷先等の目的地に送り出すことができ、荷室に収容されていた荷物(搬送対象荷物)を搬送先や集荷先等の目的地に移動させることができる。本発明における「搬送コンベア部」としては、ベルトコンベアやローラコンベアを用いて構成したものを挙げることができる。また、搬送コンベア角度調整部または昇降部の少なくとも何れか一方を作動させることにより荷室外のスペースにおける搬送コンベア部の高さ位置を集荷先等の目的地の高さ位置に応じて調整し、集荷先等の目的地から荷物を搬送コンベア部上に受け取ることができ、受け取った荷物を搬送コンベア部によって荷室内に搬送することで集荷対象の荷物を荷室内に移動させることができる。また、本発明に係る自律走行型搬送ロボットでは、荷室に収容可能なサイズの荷物であって、搬送コンベア部で搬送可能な荷物であれば取り扱うことができ、種々のサイズの荷物を搬送することが可能である。搬送先や集荷先等の目的地から搬送コンベア部への荷物の受け渡しは、搬送先や集荷先等の目的地に設けられる適宜の荷役装置(搬送装置)や、搬送先や集荷先等の目的地で荷物を取り扱う人手による態様が想定される。
【0013】
特に、本発明に係る自律走行型搬送ロボットが、荷室を荷物の搬出入方向に開放する開口部を開閉可能な扉と、扉を起立姿勢となる閉状態と扉の下端部近傍を支点に回動して任意の開き角度で傾斜姿勢となる開状態との間で切替可能な扉開閉部とを備え、搬送コンベア部のうち荷室外のスペースにおいて荷物を搬送可能な外部搬送コンベア部を扉の内側に設け、荷室に設けた内部搬送コンベア部と外部搬送コンベア部の間で荷物を受け渡し可能に構成したものであれば、扉開閉部を作動させて扉の開き角度(傾斜角度)を調整することで外部搬送コンベア部の先端部(回動時の支点から離間している端部)の高さ位置を調整する高さ調整機能を発揮し、扉を開状態にした状態で、扉の内側に設けた外部搬送コンベア部と荷室内に設けた内部搬送コンベア部との間で荷物を受け渡しすることで、荷室内の荷物を荷室外のスペースに搬送したり、荷室外のスペースから荷室内に荷物を搬送することができ、荷室外のスペースにおける外部搬送コンベア部による荷物搬送距離を最大で扉の高さ寸法に応じた分だけ確保することが可能であるとともに、扉を開状態から閉状態に切り替えることで外部搬送コンベア部をロボット本体内に収めることができ、ロボット本体内の限られたスペースにおいて外部搬送コンベア部専用の収納スペースを確保する必要がなく、スペースの有効利用を図りつつ構造の単純化及び処理手順の簡素化、並びに処理の迅速化を図ることができる。このような構成を採用すると、扉開閉部が搬送コンベア角度調整部として機能し、扉開閉部とは別に搬送コンベア角度調整部を設ける必要がなく、扉を設けることによって荷室へのアクセスを制限・許容する状態を切り替えることができるとともに、構造の簡素化を実現できる。
【0014】
扉の内側に外部搬送コンベア部を設ける構成を採用する場合、昇降部は、扉を昇降移動させることで荷室外のスペースにおいて外部搬送コンベア部を昇降移動させる機能を発揮するものであればよい。なお、本発明の自律走行型搬送ロボットは、扉の内側(閉状態において荷室に臨む面)に外部搬送コンベア部を設けた構成に限らず、扉の内側ではなく、扉以外の適宜の箇所に外部搬送コンベア部を設けた態様も含むものである。
【0015】
また、本発明に係る荷物搬送システムは、上述の構成を有する自律走行型搬送ロボットと、搬送先や集荷先等の目的地に設置され且つコンベアまたはローラコンベアによって荷物を搬送可能な荷物台搬送コンベア部を有する荷物台とを備え、自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上の荷物を自律走行型搬送ロボットの荷室から搬送先や集荷先等の目的地の荷物台に搬出する荷下ろし処理と、集荷先等の目的地の荷物台コンベアから搬送されて自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上に移送された荷物を荷室に収容する荷積み処理とを実行可能に構成していることを特徴としている。本発明における「荷物台」は、荷物台コンベアを有するものであればよく、具体例として、台または棚を挙げることができる。
【0016】
このような本発明に係る荷物搬送システムであれば、上述の自律走行型搬送ロボットが奏する作用効果と同様の作用効果を奏し、搬送コンベア部で搬送した荷物を搬送先や集荷先等の目的地に荷下ろしする処理や、自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部を作動させるタイミングで荷物台搬送コンベア部を適宜作動させることで集荷先等の目的地の荷物台から搬送コンベア部に荷物を移動させて荷積みする処理を実行することが可能である。
【0017】
また、本発明に係る荷物搬送システムは、上述の構成を有する自律走行型搬送ロボットと、搬送先や集荷先等の目的地に設置された荷物台とを備え、自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上の荷物を自律走行型搬送ロボットの荷室から搬送先や集荷先等の目的地の荷物台に搬出する荷下ろし処理と、荷物台から自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上に移動された荷物を荷室に収容する荷積み処理とを実行可能に構成していることを特徴としている。本発明における「荷物台」は、荷物台コンベアを備えていないものであってもよく、具体例として、台または棚を挙げることができる。
【0018】
このような本発明に係る荷物搬送システムであれば、上述の自律走行型搬送ロボットが奏する作用効果と同様の作用効果を奏し、搬送コンベア部で搬送した荷物を搬送先や集荷先等の目的地に荷下ろしする処理や、自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部を作動させる前の時点で荷物台から搬送コンベア部上に荷物を適宜の手段で移動させておく(人手による移動も含む)ことで、荷物を荷室に収容する荷積み処理を実行することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、搬送コンベア部及び昇降部を用いて構成した荷役装置をロボット本体に搭載するという斬新な技術的思想に基づき、荷物(搬送対象荷物)を目的地の搬送先に配達(搬送)することができ、受取人が不在等による再配送の手間を省くことができるとともに、荷物(搬送対象荷物)を荷物台から搬送コンベア部に受け取り、その荷物をロボット本体の荷室に収容することもでき、荷下ろし処理及び荷積み処理の自動化を実現可能な自律走行型搬送ロボット及び荷物搬送システムを提供することが可能となる。なお、本発明に係る自律走行型搬送ロボットは、宅配分野に限定されず、工場、倉庫、物流拠点、小売り(店舗)や病院、ホテル等の分野でも利用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自律走行型搬送ロボットの全体概略図。
【
図2】同実施形態において扉を開状態にした自律走行型搬送ロボットを
図1に対応して示す図。
【
図3】同実施形態において扉を
図2とは異なる開き角度の開状態にした自律走行型搬送ロボットを
図1に対応して示す図。
【
図4】同実施形態において扉を
図2、
図3とは異なる開き角度の開状態にした自律走行型搬送ロボットを
図1に対応して示す図。
【
図5】同実施形態においてコンベア高さ調整処理完了時点の自律走行型搬送ロボットを
図3に対応して示す図。
【
図6】同実施形態においてコンベア高さ調整処理完了時点の自律走行型搬送ロボットを
図4に対応して示す図。
【
図7】同実施形態における荷下ろし処理に関するフローチャート。
【
図8】
図2に示す自律走行型搬送ロボットの側面図。
【
図9】
図3に示す自律走行型搬送ロボットの側面図。
【
図10】
図4に示す自律走行型搬送ロボットの側面図。
【
図11】
図5に示す自律走行型搬送ロボットの側面図。
【
図12】
図6に示す自律走行型搬送ロボットの側面図。
【
図13】同実施形態における荷積み処理に関するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRは、
図1及び
図2に示すように、自律走行可能な走行手段Tと、内部空間の一部を荷室1Sに設定したロボット本体1と、ロボット本体1に搭載された荷役装置2と、当該自律走行型搬送ロボットRの作動を制御する制御部Cとを備えたものである。なお、
図1には、搬送先(配送先、配達先、集荷先、搬出先、置き配先等)または集荷先、集配先等の目的地に到着した時点において荷役処理を実行していない状態(ノーマル状態)の自律走行型搬送ロボットRの全体外観図を示し、
図2には、扉Dが開状態(DB)にある自律走行型搬送ロボットRの全体外観図を示している。
【0023】
本実施形態では、走行手段Tとして、駆動輪T1と、補助輪(キャスタ等、図示省略)とを備え、駆動輪T1の回転方向によって走行方向を決定し、補助輪が従動して転動するものを適用している。自律走行型搬送ロボットRのうち、このような走行手段Tが設けられ且つロボット本体1を支持する部分を台車Bとして捉えることができる。本実施形態の台車Bは、ロボット本体1の平面サイズと略同一サイズに設定され、前後方向d1中央部に2本の駆動輪T1をロボット本体1の幅方向d2に所定ピッチ離間させて配置し、台車Bの四隅近傍にそれぞれ垂直軸周りに自在に旋回可能な補助輪を配置している。なお、台車Bとロボット本体1の平面サイズが同一または略同一サイズではない構成や、駆動輪T1・補助輪の位置や数を適宜変更した構成を採用することもできる。駆動輪T1及び補助輪を有する走行手段Tは、ロボット本体1の前後方向d1に進退移動が可能であり、駆動輪T1の向きや回転速度、旋回角度を変える(首振りする)ことで左折・右折したり、幅方向d2に進退移動することもできる。
【0024】
ロボット本体1は、走行手段Tによって自律的に目的地に移動可能なものであり、周辺状況を認識する機能を有する自律走行型ロボット(AMR;Autonomous Mobile Robot)である。本実施形態のロボット本体1は、箱状をなし、内部空間を開閉可能な扉Dを備えている。ロボット本体1の内部空間の一部を荷室1Sに設定し、荷室1Sに荷物N(荷物Nの一例については
図8参照)を収容可能に構成している。本実施形態では、所定の高さ寸法を有する略直方体状のロボット本体1を適用し、ロボット本体1のうち正面(前面)に形成した開口部Kを扉Dによって開閉可能に構成している。
【0025】
本実施形態では、
図1乃至
図4に示すように、閉状態(DA)にある扉Dを扉開閉部3によって扉Dの下端部近傍を支点にロボット本体1を水平軸周りに前方へ回転させることで開状態(DB)に切り替えることができ、任意の開き角度で停止可能に設定している。ここで、
図2には、扉Dを閉状態(DA)から90度以上回動させて、前方に向かって下方に傾斜した傾斜姿勢となる開状態(DB)を示し、
図3には、扉Dを起立姿勢の閉状態(DA)から約90度回動させて略水平な傾斜姿勢となる開状態(DB)を示し、
図4には、扉Dを閉状態(DA)から90度よりも小さい角度分だけ回動させて、前方に向かって上方に傾斜した傾斜姿勢となる開状態(DB)を示す。これらの図に示すように、扉開閉部3によって扉Dの前方への回転角度を変更することで、任意の開き角度を選択することができ、その開き角度を維持することができる。本実施形態の扉開閉部3は、ロボット本体1の内側面に形成したロボット本体1の前後方向d1に沿って略水平に延伸するガイド孔31と、先端部を扉Dの所定高さ位置に回動自在に取り付け、且つ基端部をガイド孔31に沿って移動可能に設定した被ガイドステー32とを備えた扉保持機構33を備え、図示しないモータの駆動力に基づいて、被ガイドステー32がガイド孔31に沿って移動すると、その移動距離に応じて扉Dの開き角度を変更可能に設定されている。このような扉Dが閉状態(DA)と任意の開き角度姿勢の開状態(DB)との間で切り替わる動作を扉保持機構33によってスムーズ且つ適切に行うことができるように構成している。また、本実施形態では図示しない昇降用モータや昇降用ボールねじによって扉保持機構33全体を昇降移動させるように構成している。
【0026】
また、本実施形態の扉Dは昇降部4によって高さ方向d3に昇降移動可能に設定されている。昇降部4は、扉Dの開き角度を維持したまま扉D及び扉開閉部3全体を同時に高さ方向d3に昇降移動させることができる。昇降部4は、ロボット本体1の左右の内側面においてロボット本体1と扉開閉部3との間に設けたリニアガイド機構41(
図2参照)を用いて構成したものであり、モータの駆動力に基づいてリニアガイド機構全41体の高さ寸法が変化(拡縮)する構成を有し、リニアガイド機構41全体の高さ寸法の変化に応じて扉開閉部3及び扉Dを同時に高さ方向d3に昇降移動させるものである。
【0027】
ロボット本体1の上端部における正面(前面)には、例えば、画像や色、距離等を検出可能なセンサS1を設け、当該センサS1の検出情報に基づいて荷積み対象の荷物の判断や荷下ろし場所の判断を実行可能に構成することができる。
【0028】
また、本実施形態では、ロボット本体1の上端部における適宜箇所にタッチパネルWを設け、オペレータがタッチパネルWに対して行う操作に基づいて、例えばロボットRに配送指示等を与えることができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、ロボット本体1と台車Bとの間に、前方及び両側方に連続して開放されたフリースペースFSを形成し、当該フリースペースFSに、対象物(例えば、走行ルート上の障害物や走路の壁等)までの距離、位置、形状等を検知可能なセンサ(具体例として、光による検知と測距が可能なLiDAR;Light Detection and Ranging、図示省略)を配置している。
【0030】
ロボット本体1に搭載された荷役装置2は、
図2乃至
図4に示すように、荷室1Sにおいて荷物Nを前後方向d1に搬送可能な内部搬送コンベア部5と、内部搬送コンベア部5との間で荷物Nを受け渡し可能であって且つ内部搬送コンベア部5から搬送されてきた荷物Nを荷室1S外へ搬送可能な外部搬送コンベア部6とを備えている。本実施形態では、これら内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6によって荷室1S内の荷物Nを荷室1S外の配達先へ搬送可能な搬送コンベア部を構成している。そして、本実施形態では、この搬送コンベア部(内部搬送コンベア部5、外部搬送コンベア部6)によって集荷先の荷物Nを荷室1S内へ搬送可能に構成している。
【0031】
内部搬送コンベア部5は、例えば荷室1Sにおいて略水平な内部搬送面5Fを形成するように配置されたベルトコンベアであり、図示しないモータの駆動力に基づいて搬送ローラの回転方向を正方向または逆方向に切り替えることで、内部搬送面5F上における荷物Nの搬送方向を内部搬送面5F上の荷物Nを荷室1S外に向かって搬送可能な内部搬送コンベア搬出方向(荷物搬出方向)と、内部搬送面5F上の荷物Nを荷室1Sの奥方に向かって搬送可能な内部搬送コンベア搬入方向(荷物搬入方向)とに搬送方向を切替可能に構成されている。
【0032】
外部搬送コンベア部6は、扉Dの内側に設けられ、開状態(DB)にある扉Dの長手方向に沿って荷物Nを搬送可能な外部搬送面6Fを形成するように設定されたベルトコンベアであり、図示しないモータの駆動力に基づいて搬送ローラの回転方向を正方向または逆方向に切り替えることで、外部搬送面6F上における荷物Nの搬送方向を切替可能に構成されている。外部搬送コンベア部6は、閉状態(DA)の扉Dが回転軸を中心に前方に回動して開状態(DB)になると、その開き角度に応じた角度の外部搬送面6Fを形成し、内部搬送コンベア部5に近い方の端部である基端部61から内部搬送コンベア部5から遠い方の端部である先端部62に向かって荷物Nを搬送可能な外部搬送コンベア搬出方向(荷物搬出方向)と、先端部62から基端部61に向かって荷物Nを搬送可能な外部搬送コンベア搬入方向(荷物搬入方向)とに搬送方向を切替可能に構成されている。起立姿勢の扉D(閉状態(DA)の扉D)を任意の開き角度に位置付けた開状態(DB)にすると、
図2乃至
図4に示すように、内部搬送コンベア部5の内部搬送面5Fと外部搬送コンベア部6の外部搬送面6Fが相互に連続する状態になり、これら内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6を内部搬送コンベア搬出方向及び外部搬送コンベア搬出方向に回転させることで、内部搬送コンベア部5の内部搬送面5Fから外部搬送コンベア部6の外部搬送面6Fに荷物Nを受け渡し、さらに外部搬送コンベア部6の先端部62まで搬送することができる。また、内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6を内部搬送コンベア搬入方向及び外部搬送コンベア搬入方向に回転させると、外部搬送コンベア部6の外部搬送面6Fから内部搬送コンベア部5の内部搬送面5Fに荷物Nを受け渡し、さらに内部搬送コンベア部5の奥方に向かって搬送することができる。
【0033】
本実施形態では、制御部Cによって台車Bの走行(走行手段Tの作動)及び各部(扉開閉部3、昇降部4、内部搬送コンベア部5、外部搬送コンベア部6)の作動を制御可能に構成したものである。なお、制御部Cは、自律走行型搬送ロボットRにおける適宜の位置に搭載されるものであり、
図1等に模式的に示している。
【0034】
本実施形態の自律走行型搬送ロボットRは、台車Bよりも上方の領域に配置されるロボット本体1に、上述の各機能を持つアセンブリ(扉開閉部3、昇降部4、内部搬送コンベア部5、外部搬送コンベア部6)を備えた荷役装置2とその制御部Cを実装している。このような荷役装置2は、荷物Nを荷室1Sと搬送先または集荷先等の目的地との間で受け渡したり、移送する移載装置としての機能を発揮する。
【0035】
このような自律走行型搬送ロボットRを用いて荷物Nの搬送を行う荷物搬送システムXを運用することができる。なお、本発明(本実施形態)における「荷物搬送」は、「荷物の搬送、集配、運搬、集荷」を含む概念である。したがって、本実施形態に係る荷物搬送システムXは、上述の構成を有する自律走行型搬送ロボットRを用いて荷物Nの自動搬送、自動集配、自動運搬、自動集荷を行うシステムであるといえる。以下に、荷物搬送システムXにおいて自律走行型搬送ロボットRが行う荷物搬出入処理(荷下ろし処理、荷積み処理)について説明する。先ず、荷物Nを搬送先である目的地に搬送する荷下ろし処理について
図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRによって荷物Nの搬送処理を実行するには、例えば
図8に示すように、搬送先または集荷先等の目的地に設置されている荷物台Yにコンベア(荷物台搬送コンベア部Y1)が設けられていることが望ましい。特に、荷積み処理を全自動化で実行する本実施形態の荷物搬送システムXでは、搬送先または集荷先等の目的地の荷物台Yに搬送コンベア部Y(荷物台搬送コンベア部Y1)が設けられている。荷物台搬送コンベア部Y1は、例えば水平な搬送面を形成するように配置されたベルトコンベアであり、内部搬送コンベア搬出方向及び外部搬送コンベア搬出方向と同一方向である荷物台コンベア搬出方向と、内部搬送コンベア搬入方向及び外部搬送コンベア搬入方向と同一方向である荷物台コンベア搬入方向とに搬送方向を正逆切替可能に構成されている。なお、
図8等に示す荷物Nは本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットR及び荷物台Yによって取り扱い可能(集配可能)な荷物の一例である。
【0037】
本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRを用いた荷物搬送システムXを運用して荷下ろし処理を実行する場合には、荷室1Sにおいて内部搬送コンベア部5上に搬送対象の荷物Nが搭載されている必要がある。なお、以下では、荷物Nが配達物である場合を想定し、搬送対象の荷物Nを置き配対象荷物Nと称す。
【0038】
そして、荷物Nが荷室1Sに収容された(搭載された)時点以降であって、搬送先である目的地に到着した時点で、
図1に示すノーマル状態にある自律走行型搬送ロボットRは、荷役装置2を起動させる信号(置き配対象荷物Nの指定情報を含む)に基づき、制御部Cが扉開閉部3を作動させて扉Dを閉状態(DA)から開状態(DB)に切り替える処理(開扉処理S1)を実行する。なお、荷物台Yに対する自律走行型搬送ロボットRの前後左右の位置調整は、自律走行型搬送ロボットRに搭載されている適宜のセンサ部で荷物台Yまでの距離を検出し、走行手段Tによって所定の位置まで移動することで達成される。開扉処理S1では、次の処理であるコンベア間荷物受け渡し処理S2をスムーズに行えるように、例えば
図2または
図3に示す開き角度まで扉Dを回動させることが好ましい。扉Dの開き角度を検出するセンサを適宜の箇所に設けることもできる。
【0039】
開扉処理S1に続いて、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRでは、制御部Cが内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6を駆動させて、内部搬送コンベア部5から外部搬送コンベア部6に荷物Nを受け渡す処理(コンベア間荷物受け渡し処理S2)を実行する。コンベア間荷物受け渡し処理S2は、内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6の駆動用モータ(図示省略)を駆動させて内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6をそれぞれ荷物搬出方向である内部搬送コンベア搬出方向、外部搬送コンベア搬出方向に回転させることで、内部搬送コンベア部5の内部搬送面5F上の荷物Nを外部搬送コンベア部6の外部搬送面6F上に受け渡す処理である。なお、荷物の重量やサイズによっては、外部搬送コンベア部6の外部搬送面6Fが略水平面となる状態(
図3に示す状態)や、あるいは外部搬送面6Fが多少登り勾配となる状態でコンベア間荷物受け渡し処理S2を実行することができる。また、適宜の検出センサ(図示省略)によって内部搬送コンベア部5上の荷物N全体が外部搬送コンベア部6上に移動したことを検出するように構成することもできる。コンベア間荷物受け渡し処理S2を実行することで、荷室1Sに収容されていた荷物Nを荷室1Sよりも前方のスペース(荷室1S外のスペース)へ持ち出すことができる。したがって、コンベア間荷物受け渡し処理S2は荷物持ち出し処理とも言える。
【0040】
コンベア間荷物受け渡し処理S2に続いて、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRでは、制御部Cが昇降部4または扉開閉部3の少なくとも一方あるいは両方を作動させて、外部搬送コンベア部6の先端部62の高さ位置を配達先の荷物台Yの高さに合わせて調整する処理(外部搬送コンベア高さ調整処理S3)を実行する。この外部搬送コンベア高さ調整処理S3は本発明における「コンベア高さ調整処理」に相当する。また、扉開閉部3が、本発明における「搬送コンベア部を任意の傾斜角度に調整可能な搬送コンベア角度調整部」として機能する。コンベア高さ調整処理(外部搬送コンベア高さ調整処理S3)は、扉開閉部3を先ず作動させて、その後必要に応じて昇降部4を作動させることで実行することが望ましい。なお、コンベア間荷物受け渡し処理S2完了後に内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6の駆動を停止することで、荷物Nは外部搬送コンベア部6上に載置された状態にある。外部搬送コンベア部6に電磁ブレーキ等を接続しておくことで外部搬送コンベア部6の傾斜等により荷物Nが外部搬送面6F上で不意に移動する事態を防止・抑制することができる。
【0041】
外部搬送コンベア高さ調整処理S3は、扉開閉部3の駆動用モータ(図示省略)を駆動させることで、扉Dの開き角度を変更して外部搬送コンベア部6の先端部62の高さ位置を調整したり、昇降部4の駆動用モータ(図示省略)を駆動させることで、扉D及び扉開閉部3を昇降移動させて、外部搬送コンベア部6の高さ位置を調整する処理である。ここで、
図4は、
図2または
図3に示す状態から外部搬送コンベア部6が荷物搬出方向(ロボット本体1の前方)に向かって登り勾配となる開き角度となるように扉開閉部3を作動させた状態を示す図であり、
図5は、
図3に示す状態から扉Dの開き角度は変えずに昇降部4だけを作動させて扉D及び扉開閉部3を上昇させた状態を示す図である。また、
図6は、
図4に示す状態から扉Dの開き角度は変えずに昇降部4を作動させて扉D及び扉開閉部3を上昇させた状態を示す図である。なお、コンベア間荷物受け渡し処理S2完了時点における外部搬送コンベア部6の先端部62の高さ位置が荷物台Yの高さと同じまたは略同じである場合には、昇降部4または扉開閉部3を作動させることなく外部搬送コンベア高さ調整処理S3を完了することになる(
図8、
図9参照)。荷物台Yの高さ位置を検出するセンサや、外部搬送コンベア部6の先端部62の高さ位置を検出するセンサを適宜設けることができ、これらのセンサの検出値に基づいて制御部Cが、例えば
図8乃至
図12に示す状態となるように外部搬送コンベア高さ調整処理S3における具体的な内容を決定し、実行する。ここで、
図8乃至
図12は、それぞれ
図2乃至
図6に示す搬送ロボットRの側面図であり、荷物台Yとの相対位置関係を模式的に示す図である。
【0042】
外部搬送コンベア高さ調整処理S3に続いて、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRでは、制御部Cが外部搬送コンベア部6を駆動させて、荷物Nを外部搬送コンベア部6から荷物台Yに送り出す処理(荷物送り出し処理S4)を実行する。荷物送り出し処理S4は、外部搬送コンベア部6の駆動用モータ(図示省略)を駆動させて外部搬送コンベア部6を荷物搬出方向(外部搬送コンベア搬出方向)に回転させることで、外部搬送コンベア部6上の荷物Nを荷物台Y上に送り出す処理である。なお、荷物送り出し処理S4を実行する際に、制御部Cからの適宜の信号に基づき荷物台Yの荷物台搬送コンベア部Y1を駆動させて、外部搬送コンベア搬出方向と同一方向(荷物台コンベア搬出方向)に回転させることによって、外部搬送コンベア部6上の荷物Nを荷物台コンベアY上に送り出す処理をスムーズ且つ適切に行うことができる。荷物N全体が外部搬送コンベア部6を通過したことを適宜のセンサで検出した時点や、タイマー機能等により外部搬送コンベア部6を回転させて一定時間経過した時点などで、外部搬送コンベア部6及び荷物台搬送コンベア部Y1の駆動を停止する。荷物台Yの荷物台搬送コンベア部Y1を駆動させていない場合であっても、外部搬送コンベア部6を駆動させて外部搬送コンベア部6上の荷物Nを荷物台Y上に送り出す処理を実行することが可能である。
【0043】
荷物送り出し処理S4に続いて、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRでは、制御部Cが少なくとも扉開閉部3を作動させて扉Dを
図1に示す閉状態(DA)に切り替える処理(閉扉処理S5)を実行する。なお、荷物送り出し処理S4完了時点の扉Dの高さ位置で閉扉処理S5を行うと扉Dがロボット本体1に干渉して閉状態(DA)に切り替えることができない場合(例えば
図5、
図6に示す状態にある場合)には、制御部Cが、昇降部4を作動させて扉D及び扉開閉部3を昇降移動させる処理、具体的には、外部搬送コンベア部6の基端部61の高さ位置が内部搬送コンベア部5の高さ位置と略同じ位置になるように(
図2乃至
図4、
図8乃至
図10に示す状態となるように)扉D及び扉開閉部3を昇降移動させる処理を実行してから、扉開閉部3を作動させて扉Dを閉状態(DA)に切り替える必要がある。また、扉閉状態検出センサ(図示省略)によって扉Dが閉状態(DA)にあることを検出するように構成してもよい。閉扉処理S5完了時点で、内部搬送コンベア部5、外部搬送コンベア部6、扉開閉部3及び昇降部4は、ロボット本体1の内部空間(荷室1S)に収容されている。
【0044】
以上の処理を経て、制御部Cが荷下ろし処理を完了した旨の信号(置き配完了信号)を出力し、荷下ろし処理を完了する。本実施形態の自律走行型搬送ロボットRは、置き配完了信号に基づいて拠点等の復帰地点に向かって自律走行を開始する。
【0045】
このように、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRによれば、扉開閉部3で扉Dを開放して内部搬送コンベア部5と外部搬送コンベア部6の搬送面5F,6Fが相互に連続する搬送面を形成するように昇降部4で調整し、内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6をそれぞれ荷物搬出方向(内部搬送コンベア搬出方向、外部搬送コンベア搬出方向)に回転させると、内部搬送コンベア部5から外部搬送コンベア部6に荷物Nを受け渡して、さらに外部搬送コンベア部6の先端部62まで搬送した荷物Nを配達先の荷物台Yに移載することができ、荷物Nを目的地の荷物置き場(荷物台Y)に置き配する荷下ろし処理の全自動化を実現することができる。このような荷下ろし処理は、ロボット本体1の荷室1Sに収容している荷物Nを荷室1Sから所定の目的地に運び出す処理であるため荷物搬出処理として捉えることができる。なお、本実施形態では、上述したように荷役装置2の適宜箇所に設けた適宜のセンサによって、荷物置き場(荷物台Y)の位置や荷物置き場(荷物台Y)までの距離を検出可能に構成することができる。荷下ろし処理を実行する際、荷物Nの搬送に支障を来すことがなければ、外部搬送コンベア高さ調整処理S3をコンベア間荷物受け渡し処理S2よりも先に実施し、外部搬送コンベア高さ調整処理S3に続いてコンベア間荷物受け渡し処理S2及び荷物送り出し処理S4を実施することもできる。
【0046】
また、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRは、集荷場所において荷物Nを自動で荷室1S内に積み込む(載せ込む)処理である荷物搬入処理(荷積み処理)を荷物台Yと協働して全自動で実行することができる。以下に、荷物搬送システムXにおける自律走行型搬送ロボットRが行う荷物搬入処理(荷積み処理)について
図13に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、荷物搬入処理(荷積み処理)は荷役処理の一例である。
【0047】
本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRによる自動荷積み処理を実施する場合には、集荷先の荷物台Yに集荷対象の荷物Nが置かれている必要がある。以下では、集荷対象の荷物Nを集荷対象荷物Nと称す。
【0048】
そして、集荷先の荷物台Yに荷物Nが置かれた時点以降であって、制御部Cが台車Bの走行手段T(駆動輪T1)を駆動させて、荷物Nが置かれた集荷先(目的地)に到着した時点で、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRは、荷役装置2を起動させる信号(集荷対象荷物Nの指定情報を含む)に基づき、荷下ろし処理時と同様に、制御部Cが扉開閉部3を作動させて開扉処理S11を実行する。なお、荷物搬入処理を開始する時点では、荷室1S内の内部搬送コンベア部5上に荷物Nは搭載されていない。
【0049】
そして、開扉処理S11に続いて、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRでは、制御部Cが昇降部4または扉開閉部3の少なくとも一方あるいは両方を作動させて、外部搬送コンベア部6の先端部62の高さ位置を集荷先の荷物台Yの高さに合わせて調整する処理(外部搬送コンベア高さ調整処理S12)を実行する。荷物搬入処理における外部搬送コンベア高さ調整処理S12は、荷物搬出処理における外部搬送コンベア高さ調整処理S3と同様の処理であり、本発明における「コンベア高さ調整処理」に相当する。
【0050】
外部搬送コンベア高さ調整処理S12に続いて、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRでは、制御部Cが外部搬送コンベア部6を駆動させて、荷物Nを荷物台Yから外部搬送コンベア部6上に移送して搭載する処理(荷物受け取り処理S13)を実行する。荷物受け取り処理S13は、外部搬送コンベア部6の駆動用モータ(図示省略)を駆動させて外部搬送コンベア部6を荷物搬入方向(外部搬送コンベア搬入方向)に回転させるとともに、制御部Cからの適宜の信号に基づき荷物台Yの荷物台搬送コンベア部Y1を駆動させて、外部搬送コンベア搬入方向と同一方向(荷物台コンベア搬入方向)に回転させることによって、荷物台搬送コンベア部Y1上から搬送される荷物Nを外部搬送コンベア部6上に受け取る処理である。荷物N全体が外部搬送コンベア部6上に移動したことを適宜のセンサで検出した時点で、外部搬送コンベア部6及び荷物台搬送コンベア部Y1の駆動を停止する。荷物受け取り処理S13完了時点の自律走行型搬送ロボットRの状態は荷物台搬送コンベア部Y1の高さ位置に応じて例えば
図8乃至
図12に示す状態になる。
【0051】
荷物受け取り処理S13に続いて、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRでは、制御部Cが外部搬送コンベア部6及び内部搬送コンベア部5を駆動させて、外部搬送コンベア部6から内部搬送コンベア部5に荷物を受け渡す処理(コンベア間荷物受け渡し処理S14)を実行する。コンベア間荷物受け渡し処理S14は、外部搬送コンベア部6及び内部搬送コンベア部5の駆動用モータ(図示省略)を駆動させて外部搬送コンベア部6及び内部搬送コンベア部5をそれぞれ荷物搬入方向(外部搬送コンベア搬入方向、内部搬送コンベア搬入方向)に回転させることで、外部搬送コンベア部6上の荷物Nを内部搬送コンベア部5上に受け渡す処理である。荷物受け取り処理S13完了時点において、外部搬送コンベア部6の基端部61の高さ位置が内部搬送コンベア部5の高さ位置と合っていない場合には、制御部Cが昇降部4を作動させて外部搬送コンベア部6の基端部61の高さ位置が内部搬送コンベア部5の高さ位置と略同じ位置になるように扉D及び扉開閉機構3を昇降移動させる。コンベア間荷物受け渡し処理S14における外部搬送コンベア部6から内部搬送コンベア部5への荷物Nの受け渡しをスムーズに行うためには、外部搬送コンベア部6の外部搬送面6Fが略水平となる状態(
図3、
図9に示す状態)で当該コンベア間荷物受け渡し処理S14を行うことが望ましい。また、適宜の検出センサ(図示省略)によって外部搬送コンベア部6上の荷物N全体が内部搬送コンベア部5上に移動したことを検出するように構成することもできる。コンベア間荷物受け渡し処理S14を実行することで、荷室1Sに荷物Nを収容することができる。したがって、コンベア間荷物受け渡し処理S14は荷物収容処理とも言える。
【0052】
コンベア間荷物受け渡し処理S14に続いて、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRでは、制御部Cが扉開閉部3を作動させて扉Dを
図1に示す閉状態(DA)に切り替える処理(閉扉処理S15)を実行する。荷物搬入処理における閉扉処理S15は、荷物搬出処理における閉扉処理S5と同様の処理である。閉扉処理S15完了時点で、内部搬送コンベア部5、外部搬送コンベア部6、扉開閉部3、昇降部4がロボット本体1の内部空間(荷室1S)に収容され、集荷対象荷物Nも荷室1Sに収容される。
【0053】
以上の処理を経て、制御部Cが荷物搬入処理(荷積み処理)を完了した旨の信号(集荷完了信号)を出力し、荷物搬入処理(荷積み処理)を完了する。
【0054】
このように、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRと荷物台Yを用いた荷物搬送システムXによれば、荷物搬入処理(荷積み処理)の全自動化を実現することができる。なお、荷物台Yがコンベア等の搬送部を備えていないものである場合には、適宜の手段(オペレータによる手作業であってもよい)によって荷物台Yから外部搬送コンベア部6に荷物Nを移載することで、その荷物Nに関して上述のコンベア間荷物受け渡し処理S14、閉扉処理S15を自律走行型搬送ロボットR単体で実行することによって荷積み処理を完了することができる。
【0055】
そして、本実施形態の自律走行型搬送ロボットRは、集荷完了信号に基づいて荷物搬出先(荷下ろし先)の荷物置き場に向かって自律走行を開始し、荷室1Sに収容した荷物Nを上述の荷物搬出処理(荷下ろし処理)によって目的地の荷物台Yに搬送(置き配)することができる。
【0056】
以上に詳述した本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットR及び荷物搬送システムXによれば、荷下ろし処理及び荷積み処理を自動で行うことができる。特に、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRによれば、内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6によって荷物Nを荷室1Sと荷物台Yの間で搬送する荷物搬送機能と、扉開閉部3(搬送コンベア角度調整部)及び昇降部4によって外部搬送コンベア部6の高さ位置を調整する外部搬送コンベア高さ調整機能を発揮することによって、荷下ろし処理のみならず、荷積み処理も実行することができる。つまり、内部搬送コンベア部5及び外部搬送コンベア部6をロボット本体1の前方に向かう搬送方向(内部搬送コンベア搬出方向及び外部搬送コンベア搬出方向)に回転させることで内部搬送コンベア部5上の荷物Nを外部搬送コンベア部6に移送して荷室1Sの外へ持ち出すことができ、この状態で外部搬送コンベア部6の高さ位置を搬送先や集荷先等の目的地の荷物台Yの高さ位置に応じて調整することで様々な高さの荷物台Yにも対応することができ、外部搬送コンベア搬出方向に回転する外部搬送コンベア部6によって荷物Nを外部搬送コンベア部6から荷物台Yへ移送することで、荷室1Sに収容されていた荷物Nを搬送先に移動させることができる。また、外部搬送コンベア部6の高さ位置を集荷先の荷物台Yの高さ位置に応じて調整し、荷物台Yの荷物台搬送コンベア部Y1上の荷物Nを外部搬送コンベア部6に受け取ることができ、さらに外部搬送コンベア部6及び内部搬送コンベア部5をロボット本体1の後方に向かう搬送方向(外部搬送コンベア搬入方向及び内部搬送コンベア搬入方向)に回転させることによって外部搬送コンベア部6上の荷物Nを内部搬送コンベア部5に移送して荷室1Sに収容することができる。このような荷下ろし処理の自動化に加えて荷積み処理の自動化も実現可能な自律走行型搬送ロボットRを利用することで、作業員が荷積み処理を行うことができない場合にも荷積み処理を実行することで、荷積み処理を作業員に依存する態様と比較して、自律走行型搬送ロボットR自体の運用効率、ひいては自律走行型搬送ロボットRによる荷物搬送効率が飛躍的に向上する。
【0057】
加えて、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRによれば、内部搬送コンベア部5、外部搬送コンベア部6、荷物台搬送コンベア部Y1で搬送可能な荷物Nであれば取り扱うことができ、種々のサイズの荷物を集配(搬送)することが可能である。
【0058】
本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRは、荷室1Sを荷物Nの搬出入方向に開放する開口部Kを開閉可能な扉Dと、扉Dを起立姿勢となる閉状態(DA)と扉Dの下端部近傍を支点に水平軸周りに回動して任意の開き角度で傾斜姿勢となる開状態(DB)との間で切替可能な扉開閉部3とを備えた構成であり、荷室1S外のスペースにおいて荷物Nを搬送可能な外部搬送コンベア部6を扉Dの内側に設け、荷室1Sに設けた内部搬送コンベア部5と外部搬送コンベア部6の間で荷物Nを受け渡し可能に構成している。このような構成を有する本実施形態の自律走行型搬送ロボットRによれば、扉Dを開状態(DB)にした状態で、扉Dの内側に設けた外部搬送コンベア部6と荷室1S内に設けた内部搬送コンベア部5との間で荷物を受け渡しすることで、荷室1S内の荷物Nを荷室1S外のスペースに搬送したり、荷室1S外のスペースから荷室1S内に荷物Nを搬送することができ、荷室1S外のスペースにおける外部搬送コンベア部6による荷物搬送距離を最大で扉Dの高さ寸法に応じた分だけ確保することが可能であるとともに、扉Dを開状態(DB)から閉状態(DA)に切り替えることで外部搬送コンベア部6をロボット本体1内に収めることができ、ロボット本体1内の限られたスペースにおいて外部搬送コンベア部専用の収納スペースを確保する必要がなく、限られた狭いスペースに適した外部搬送コンベア部6の収納状態を実現し、構造の単純化も図ることができる。
【0059】
特に、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRでは、扉Dの内側に外部搬送コンベア部6を設ける構成を採用しているため、昇降部4が扉Dを昇降移動させることで荷室1S外のスペースにおいて外部搬送コンベア部6を昇降移動させることができ、例えば扉Dとは別に外部搬送コンベア部のみを昇降移動させる態様と比較して、外部搬送コンベア高さ位置調整処理を迅速且つスムーズに行うことが期待できる。
【0060】
また、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRによれば、荷室1Sの開口部Kを開閉可能な扉Dを備えているため、扉Dによって開口部Kを閉じた閉状態(DA)にすることで荷室1Sを外部からアクセス不能にすることができ、扉Dによって開口部Kを開放する開状態(DB)にすることで荷室1Sに対する荷物Nの搬出入を許容することができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRによれば、扉開閉部3を扉Dとロボット本体1の内側面との間に左右対にして設けることで、扉開閉部3がロボット本体1の内部空間において占有するスペースの狭小化を図りつつ、扉Dの安定した開閉動作や昇降動作を実現している。また、本実施形態では、昇降部4によって扉開閉部3全体を昇降移動させることによって扉Dを同時に昇降移動させる構成であるため、扉開閉部3によって任意の開き角度に設定した開状態(DB)にある扉Dをその開き角度を維持したまま昇降移動させることができ、外部搬送コンベア高さ調整処理をスムーズ且つ迅速に行うことができる。
【0062】
本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットRによれば、台車Bやロボット本体1に搭載されているセンサや走行手段Tとともに荷役装置2を実装しているため、荷役装置2単独で同様の機能(センシング機能、自律走行機能)を発揮させる構成と比較して、低コストで部品点数の削減及び省スペース化を実現することができる。
【0063】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、ベルトコンベアを用いて搬送コンベア部を構成する場合、ベルトは平ベルトに限らず、丸ベルトやVベルト、あるいは歯付きベルトであってもよい。また、ローラコンベアを用いて搬送コンベア部を構成する態様も本発明に含まれる。これらに変形例については荷物台の荷物台搬送コンベアに関しても同様である。なお、荷物台は、
図8等に示すものに限定されず、棚や机、キャビネット等であってもよい。
【0064】
搬送コンベア部として、荷物搬送方向に直交する幅方向に所定ピッチで複数列の搬送面が並ぶ態様を採用することもできる。また、上述の実施形態で例示した内部搬送コンベア部による荷物搬送エリア(内部荷物搬送エリア)と外部搬送コンベア部による荷物搬送エリア(外部荷物搬送エリア)を、さらに複数の荷物搬送エリアに分断し、各荷物搬送エリアにそれぞれ別々の搬送コンベア部を配置する構成を適用してもよい。すなわち、3以上の搬送コンベア部を荷物搬送方向に並ぶように構成した態様も本発明に含まれる。また、折り曲げまたは折り畳み可能、あるいは伸縮可能なコンベア搬送面を有する場合には、単一の搬送コンベア部のみで荷室内と荷物配達先または集荷先との間で荷物を搬送可能に構成することもできる。
【0065】
本発明における昇降部は、搬送コンベア部を昇降移動させるものであればよく、扉の内側に外部搬送コンベア部を設けずに、別途専用の機構によってロボット本体内に収容される状態と、荷室外のスペースに配置される状態とに切替可能に構成された搬送コンベア部を適用することができる。この場合、荷室外のスペースに配置された状態にある搬送コンベア部を昇降部によって昇降移動可能に構成すればよい。
【0066】
また、扉を備えていない自律走行型搬送ロボットも本発明に含まれる。この場合、上述の外部搬送コンベア部に準じた構成を有し且つ扉に設けられていることを必須としない外部搬送コンベア部単体を、ステー等のパーツによってロボット本体に接続した状態で任意の傾斜角度に調整可能に構成することで、搬送コンベア部を任意の傾斜角度に調整可能な搬送コンベア角度調整部を備えた自律走行型搬送ロボットになる。そして、搬送コンベア角度調整部または昇降部の少なくとも何れか一方または両方を作動させて荷室外のスペースにおける搬送コンベア部の高さ位置を集荷先等の目的地の高さ位置に応じて調整することで、荷下ろし処理や荷積み処理を実行することができる。この場合、任意の傾斜角度に調整可能な搬送コンベア部を、荷室内の荷物が荷室外へ飛び出す事態を防止可能なストッパ位置(直立または略直立姿勢)と、荷室内へのアクセスを許容するストッパ解除位置(任意の開き角度姿勢)との間で切替可能に保持するコンベア保持機構を備えた構成にすることで、外部搬送コンベア自体を扉として機能させることが可能である。
【0067】
本発明における「搬送コンベア部の高さ位置を荷物配達先または集荷先の高さ位置に応じて調整するコンベア高さ調整処理」は、搬送コンベア角度調整部による搬送コンベアの傾斜角度を変更する処理(扉開閉部による扉の開き角度を変更する処理)や、昇降部で搬送コンベア部を昇降移動させることによって荷室外のスペースにおける搬送コンベア部の高さ位置を調整する処理で実現することができる。
【0068】
本発明では、昇降部の駆動方式として、ボールネジ方式、リニアモータ、リンク機構、あるいは空圧、油圧等の直動システムを適用してもよい。また、昇降部が搬送コンベア部または開状態にある扉の一方あるいは両方を高さ方向に移動させるスライド移動機構を備えたものである場合、スライド移動機構として、リニアガイド、スライドレール、リニアブッシュ、無給油ブッシュ等の直動機構を適用することもできる。
【0069】
本発明におけるロボット本体の内部空間や荷室の大きさは仕様等に応じて適宜変更することができる。また、荷物の搬出入方向に開放する荷室の開口部の大きさも適宜変更することができる。特に、上述の実施形態では、ロボット本体の正面を全開放する開口部を設定し、当該開口部を扉によって開閉する態様を例示したが、ロボット本体の内部空間や荷室の大きさ等に応じてロボット本体の両方の側面にそれぞれ開口部を設定し、それぞれの開口部を扉または搬送コンベア部(外部搬送コンベア部)によって開閉する態様を採用してもよい。この場合、各開口部を通じて荷物の搬出入処理を実行可能に構成すれば、荷物の搬出入方向の選択肢が増え、荷下ろし作業及び荷積み作業の効率化に貢献することが期待できる。すなわち、荷物の搬出入方向は、ロボット本体の前後方向に限定されず、左右幅方向、後ろ方向であってもよい。また、ロボット本体の背面に開口部を設定し、扉または搬送コンベア部(外部搬送コンベア部)によって開口部を開閉する態様を採用することもできる。
【0070】
また、本実施形態に係る自律走行型搬送ロボットは、左右一対の扉を観音開き方式で開閉可能に構成し、扉の施錠・解錠を例えばソレノイドを利用して行うように設定し、内部搬送コンベア部の荷室内から荷室の前方のスペースへ移動する際(前進する際)に扉が押し出される形態で開き、荷室の前方のスペースから荷室内へ移動する際(後退する際)に扉が図示しないバネの復帰力で閉じるように構成することもできる。
【0071】
また、荷室の開口部を開閉可能な扉として、折り畳み動作可能な扉、或いは閉状態にある扉の上端部に水平姿勢で設けた作動回転軸を中心に回転させることによって開状態に切替可能な扉(アッパータイプの扉)を適用することもできる。さらに、ロボット本体が、箱状ではなく、四隅に柱を立設し、これらの柱に囲まれる空間(ロボット本体の内部空間)を外部に開放した構成や、ロボット本体が箱状である場合にロボット本体の内部空間の前後方向のみを開放した構成を有するものであってもよい。
【0072】
さらに、上述の実施形態では、ロボット本体1に、制御部C、センサS1、タッチパネルW等を搭載した態様を例示したが、これらの全部または一部を台車Bに搭載する構成を採用してもよい。
【0073】
ロボット本体または荷役装置にカメラを実装し、荷下ろし処理または荷積み処理を完了した証拠写真を撮影する構成にしてもよい。また撮影した写真を荷物受取人または集荷依頼人に配信するように構成すれば、荷物受取人または集荷依頼人も置き配(荷下ろし)完了の状態または集荷(荷積み)完了の状態を把握することができ、本発明に係る自律走行型搬送ロボットによる荷物搬送システムを安心して利用することができる。また、搬送先や集荷先等の目的地に識別番号コードを設置し、そのコードをカメラなどで読み取ることで、位置決め精度の高い荷下ろしや荷積みを実行することができる。
【0074】
ロボット本体または荷役装置にカメラを実装し、自律走行中や荷物搬送時、荷物積載時に、荷室及びその周辺部を撮影・記録するように構成すれば、配達事業者側において遠隔地からの荷物の状態監視や盗難監視を行うことが可能になる。
【0075】
また、上記実施形態における各種センサの具体的な仕様(構成)や配置箇所は適宜選択・変更することができ、センサの一部を省略することもできる。
【0076】
本発明に係る自律走行型搬送ロボットには、ロボット本体に複数の荷役装置を搭載した構成や、複数のロボット本体にそれぞれ荷役装置を搭載した構成も含まれる。このような構成により、荷役装置の数を増大させることで、搬送先や集荷先の対応数の増加(配達対象荷物・集荷対象荷物の増大)にも対応することができる。また、本発明において荷下ろし処理を実行する際の目的地(荷下ろし先)は、搬送先であってもよいし、集荷先または集配先であってもよい。また、本発明において荷積み処理を実行する際に荷物を積み始める地点は、集荷先であってもよいし、集荷先以外の地点であってもよい。
【0077】
また、本発明に係る荷物搬送システムは、荷物台コンベアを備えていない荷物台と、上述の構成を有する自律走行型搬送ロボットとを備え、自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上の荷物を自律走行型搬送ロボットの荷室から搬送先または集荷先等の目的地の荷物台に搬出する荷下ろし処理と、荷物台から自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部上に移動された荷物を荷室に収容する荷積み処理とを実行可能に構成したものであってもよい。このような荷物搬送システムであれば、上述の自律走行型搬送ロボットが奏する作用効果と同様の作用効果を奏し、搬送コンベア部で搬送した荷物を目的地に搬送したり、自律走行型搬送ロボットの搬送コンベア部を作動させる前の時点で荷物台から搬送コンベア部上に荷物を適宜の手段で移動させておく(人手による移動も含む)ことで、荷物を荷室に収容する荷積み処理を実行することが可能である。
【0078】
また、本発明における「搬送コンベア部」は、ベルトコンベアまたはローラコンベアによって荷物を荷室内と目的地との間で搬送可能なものであればよく、上述の実施形態で述べた内部搬送コンベア部と外部搬送コンベア部とを用いて構成したものに限定されない。一例として、荷室内において内部搬送面を形成する搬送コンベア部を、荷室内に収容される収容位置と、荷室外のスペースに配置される持ち出し位置との間で進退移動可能に構成し、持ち出し位置に位置付けた状態で高さ方向に昇降移動可能に設定した構成を挙げることができる。このような搬送コンベア部を備えた構成であれば、収容位置から持ち出し位置へ移動させることで搬送コンベア部上の荷物を荷室外のスペースへ持ち出すことができ、さらに昇降部によって搬送コンベア部を昇降移動させることで搬送コンベア部の高さ位置を荷物台と同じ高さ位置に調整し、搬送コンベア部を荷物搬出方向に回転させることよって荷物を搬送先等の目的地の荷物台に送り出すことができる。また、荷積み処理を実行する際には、収容位置から持ち出し位置へ移動させた搬送コンベア部を昇降部によって集荷先等の目的地の荷物台の高さに合わせて昇降移動させ、その状態で搬送コンベア部を荷物搬入方向に回転させることで、集荷先等の目的地の荷物台から搬送される荷物を搬送コンベア部上に受け取ることができ、持ち出し位置から収容位置に移動させることで荷物を荷室に収容することができる。なお、荷積み処理を自動で実行する場合には、荷物台に荷物台搬送コンベア部を設け、荷物台搬送コンベア部から搬送される搬送コンベア部に荷物を受け取る構成にするとよい。このような構成を採用する場合、上述の実施形態と異なり、扉の内側に外部搬送コンベア部を設ける必要がなく、扉を例えば観音開き方式やシャッター式のものにすることが可能である。
【0079】
また、本発明における「荷物台」には、元々コンベアが設置されていないラック、棚、机等に専用のコンベア(荷物台搬送コンベア部)を設置した荷物台が含まれる。さらには、工場等で見られる既製品のコンベアのように既にコンベアが設置されている架台や架構等を本発明における荷物台として適用することも可能である。
【0080】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…ロボット本体
1S…荷室
2…荷役装置
3…扉開閉部(搬送コンベア角度調整部)
4…昇降部
5…内部搬送コンベア部
6…外部搬送コンベア部
D…扉
R…自律走行型搬送ロボット
T…走行手段
X…荷物搬送システム
Y…荷物台
Y1…荷物台搬送コンベア部