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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007888
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250109BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20250109BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01L21/304 651B
H01L21/306 R
H01L21/304 648G
H01L21/304 651M
H01L21/304 643A
B08B3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109600
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】金井 隆宏
【テーマコード(参考)】
3B201
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201BB22
3B201BB43
3B201BB82
3B201BB92
3B201BB96
5F043AA35
5F043BB23
5F043DD07
5F043DD13
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE10
5F043EE22
5F157AA03
5F157AA16
5F157AA43
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC26
5F157BH18
5F157CB15
5F157CB22
5F157CD33
5F157CF34
5F157DB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加熱部を所望の温度に制御して、所望の処理レートで基板を処理する基板処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、基板Wを回転させる回転体10、基板Wの被処理面waに処理液をノズル30aから供給する第1の供給部30、基板Wの被処理面waに供給された処理液を加熱する加熱部50、基板Wの被処理面waとは反対側の裏面Wbから、被処理面waに供給された処理液の温度を測定する温度測定部60、温度測定部60と基板Wとの間に設けられ、温度測定部60によって処理液の温度を透過的に測定可能な透過部Taを有するカバー70、温度測定部60が測定した温度に基づいて、加熱部50を制御する加熱制御部130、回転する基板Wの被処理面waとは反対側の裏面Wbにノズル40bから洗浄液を供給する第2の供給部40及び透過部Taにおける処理液又は洗浄液による液滴を気体の吹き出しにより除去する除去部90を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部により保持された基板を回転させる回転体と、
回転する前記基板の被処理面に処理液を供給する第1の供給部と、
前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液を加熱する加熱部と、
前記基板の前記被処理面とは反対側の面から、前記被処理面に供給された前記処理液の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部と前記基板との間に設けられ、前記温度測定部によって前記処理液の温度を透過的に測定可能な透過部を有するカバーと、
前記温度測定部が測定した温度に基づいて、前記加熱部を制御する加熱制御部と、
回転する前記基板の前記被処理面とは反対側の面に洗浄液を供給する第2の供給部と、
少なくとも前記透過部における前記処理液又は前記洗浄液による液滴を除去する除去部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記除去部は、前記保持部が前記基板を保持していない状態で、前記液滴を除去する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
少なくとも前記透過部における前記液滴を検出する検出部を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記検出部により検出された前記液滴に基づいて、前記透過部を介した前記温度測定部による温度測定が可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部が、温度測定ができないと判定した場合に、前記除去部により前記液滴を除去させる除去制御部と、
を有する請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記保持部が前記基板を保持していない状態で、前記液滴を検出する請求項3記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記温度測定部は、前記基板の径方向の複数箇所の温度を測定可能となるように、複数設けられている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記除去部は、気体の吹き出しにより前記液滴を除去する吹出部を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記除去部は、加熱により前記液滴を除去する加熱装置を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記保持部の周囲を非接触で覆うことにより、前記カバーから飛散する前記液滴を受ける回収部を有する請求項7記載の基板処理装置。
【請求項10】
回転体が、保持部が保持した基板を回転させ、
第1の供給部が、回転する前記基板の被処理面に処理液を供給し、
加熱部が、前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液を加熱し、
温度測定部が、前記処理液の温度を透過的に測定可能な透過部を有するカバーを介して、前記基板の前記被処理面とは反対側の面から、前記被処理面に供給された前記処理液の温度を測定し、
加熱制御部が、前記温度測定部が測定した温度に基づいて、前記加熱部を制御し、
第2の供給部が、回転する前記基板の前記被処理面とは反対側の面に洗浄液を供給し、
除去部が、少なくとも前記透過部における前記処理液又は前記洗浄液による液滴を除去する基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハなどの基板に積層された膜を、処理液によりエッチングするウェットエッチングの装置として、複数枚の基板を一括して処理液に浸漬させるバッチ式の基板処理装置が存在する。このようなバッチ式の基板処理装置は、複数枚の基板を一括して処理できるので、生産性が高い。
【0003】
但し、バッチ式の基板処理装置は、複数枚の基板を共通の条件の処理液中に浸漬させるので、各基板に形成された膜厚等の相違に応じて、基板ごとにエッチングの深さ等を細かく調整することが難しい。そこで、基板を回転させながら、基板の回転中心付近にエッチング用の処理液を供給して、基板の被処理面に処理液を行き渡らせることにより、基板を一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が使用されている。
【0004】
エッチング用の処理液としては、フッ酸やリン酸、硫酸などの酸系の液体が用いられる。例えば、酸化膜と窒化膜が積層された基板において、窒化膜をエッチングする場合、処理液としてリン酸の水溶液(リン酸溶液)を利用する基板処理装置がある。リン酸溶液は、温度が高いほどエッチングレートが高く、リン酸溶液の温度が下がるとエッチングレートが低下してしまう。このため、所望のエッチングレートを得るには、リン酸溶液を高温に維持しなければならない。例えば、リン酸溶液を150℃~160℃に加熱して基板に供給することにより、窒化膜をエッチングしている。
【0005】
しかしながら、シリコンウェーハ等の基板は、熱伝導率が高い。すると、基板の被処理面に供給されたリン酸溶液は、その熱が基板を介して逃げてしまい、温度が低下しやすい。つまり、回転中心付近に供給されたリン酸溶液は高温が維持されているが、基板の外周に向かって移動するに従って、放熱によりリン酸溶液の温度が低下していくことになる。
【0006】
このように基板の被処理面上の位置によって、リン酸溶液の温度が相違すると、基板の位置によってエッチングレートに差が生じるため、基板の全体を均一に処理することが難しくなる。これに対処するため、基板の被処理面上のリン酸溶液の温度を維持しながら、エッチング処理する基板処理装置がある。
【0007】
このような基板処理装置においては、基板に対向して加熱部が設けられており、基板の中心付近に供給されたリン酸溶液は、加熱部により加熱されながら基板の被処理面上を流れる。これにより、リン酸溶液のエッチングレートを維持できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-209600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、加熱部を用いた基板処理装置においては、所望のエッチングレートを得るために、処理中の処理液の温度を、所望の温度に維持する必要がある。そこで、処理液の温度を測定して、測定温度に応じて加熱部の温度を制御して、処理液の温度を維持することが考えられる。
【0010】
処理液の温度を測定するための温度計としては、例えば、赤外線を用いて非接触で温度を測定する放射温度計がある。但し、処理中の基板の被処理面側から測定する場合、処理液が加熱されることにより、基板の上方に発生する蒸気の影響を受けて、温度計の測定精度が低下する恐れがある。つまり、蒸気が外乱となって、所望の温度制御ができなくなる。これに対処するため、蒸気の影響を受けにくい基板の裏面側から、基板の温度を測定する温度計を設けた基板処理装置が提案されている。
【0011】
ここで、処理液による処理後、基板の被処理面、及び被処理面とは反対側の裏面に残存した処理液と被エッチング物を洗い流す必要がある。このため、処理液による処理後は、基板の被処理面及び裏面に洗浄液を供給し、基板を洗浄する。すると、洗浄液による洗浄後には、基板の裏面側に設けられた温度計の近傍に、液滴が残存することになる。温度計近傍に液滴が残存すると、温度計の測定精度が低下するため、次に搬入された基板の処理の際に、測定される温度が不正確になったり、温度測定ができなくなる。つまり、この場合、液滴となって温度計に残存する処理液又は洗浄液が外乱となり、加熱部を所望の温度に制御できない場合や、所望の処理レートで基板を処理できない場合が生じる。
【0012】
本発明の実施形態は、上述のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、加熱部を所望の温度に制御して、所望の処理レートで基板を処理できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態の基板処理装置は、保持部により保持された基板を回転させる回転体と、回転する前記基板の被処理面に処理液を供給する第1の供給部と、前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液を加熱する加熱部と、前記基板の前記被処理面とは反対側の面から、前記被処理面に供給された前記処理液の温度を測定する温度測定部と、前記温度測定部によって前記処理液の温度を透過的に測定可能な透過部を有し、前記温度測定部と前記基板との間に設けられたカバーと、前記温度測定部が測定した温度に基づいて、前記加熱部を制御する加熱制御部と、回転する前記基板の前記被処理面とは反対側の面に洗浄液を供給する第2の供給部と、少なくとも前記透過部における前記処理液又は前記洗浄液による液滴を除去する除去部と、を有する。
【0014】
本実施形態の基板処理方法は、回転体が、保持部が保持した基板を回転させ、第1の供給部が、回転する前記基板の被処理面に処理液を供給し、加熱部が、前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液を加熱し、温度測定部が、前記処理液の温度を透過的に測定可能な透過部を有するカバーを介して、前記基板の前記被処理面とは反対側の面から、前記被処理面に供給された前記処理液の温度を測定し、加熱制御部が、前記温度測定部が測定した温度に基づいて、前記加熱部を制御し、第2の供給部が、回転する前記基板の前記被処理面とは反対側の面に洗浄液を供給し、除去部が、少なくとも前記透過部における前記処理液又は前記洗浄液による液滴を除去する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態は、加熱部を所望の温度に制御して、所望の処理レートで基板を処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の基板処理装置のプレートが待機位置にある状態を示す全体構成図である。
図2図1の基板処理装置の基板処理状態を示す全体構成図である。
図3図1の基板処理装置の基板洗浄状態を示す全体構成図である。
図4図1の基板処理装置の液滴の検出状態を示す全体構成図である。
図5図1の基板処理装置の液滴の除去状態を示す全体構成図である。
図6】検出部により検出される遮蔽面上の液滴の例を示す平面図である。
図7】実施形態の基板処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図8】複数のノズルを有する除去部とした変形例を示す説明図である。
図9】除去部を加熱装置とした変形例を示す説明図である。
図10】除去部を拭取部とした変形例を示す説明図である。
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
[概要]
本実施形態の基板処理装置1は、図1及び図2に示すように、基板Wを回転体10とともに回転させながら、第1の供給部30において加熱された処理液Leを、基板Wの一方の面(以下、被処理面waとする)に供給することにより、被処理面waを処理する。このとき、図2に示すように、加熱部50を基板Wの被処理面waに接近させて、加熱部50と基板Wとの間の空間を狭めることにより、熱を逃げ難くするとともに加熱して、処理液Leの温度低下を抑制する。加熱部50は、進退機構53cによって、基板Wに非接触で、且つ基板Wに対して進退可能である。
【0018】
さらに、基板処理装置1は、図3に示すように、第2の供給部40によって、回転する基板Wの被処理面waと、被処理面waとは反対側の面(以下、裏面wbとする)に洗浄液Lwを供給することにより基板Wの両面を洗浄する。
【0019】
なお、本実施形態により処理される基板Wは、例えば、窒化膜が形成されたシリコンウェーハであり、基板Wを処理する処理液Leとしては、例えば、窒化膜をエッチングするためのリン酸(HPO)を含む水溶液(以下、リン酸溶液とする)を用いる。また、基板Wを洗浄する洗浄液Lwとしては、純水(DIW)を用いる。洗浄液Lwとして、あらかじめ加熱された温純水を用いてもよい。なお、洗浄液Lwは、純水には限定されない。例えば、フッ酸(フッ化水素の水溶液)を用いることもできる。
【0020】
[構成]
基板処理装置1は、図1図4に示すように、回転体10、保持部20、第1の供給部30、第2の供給部40、加熱部50、温度測定部60、カバー70、検出部80、除去部90、制御部100を有する。
【0021】
(回転体)
回転体10は、後述する保持部20に保持された基板Wを回転させる。回転体10は、基板Wよりも大きな径の円柱形状であり、中央に円形の貫通孔10aが鉛直方向に形成されている。貫通孔10a内には、鉛直方向の固定筒11が非接触で挿通され、固定筒11内には鉛直方向の排液管12が挿通されている。排液管12の上部には、漏斗状(逆円錐形、すり鉢形)の傾斜面が形成され、その上端が開口している。
【0022】
回転体10の上部にはテーブル13が設けられている。テーブル13は、ドーナツ形の筒であり、その下部は開放されて回転体10に取り付けられている。テーブル13の上部は基板Wの径よりも大きな外径の環状の面であり、保持部20に保持された基板Wに間隔を空けて対向する。
【0023】
テーブル13の中央には、後述する温度測定部60、カバー70が収容される空間が設けられている。この空間における回転体10の上面には、処理液Leの侵入を防ぐための、防護壁10bが設けられている。防護壁10bは、回転体10と同心であって、回転体10の上面から立ち上げられた円筒形の壁である。
【0024】
回転体10及びテーブル13は、処理液Leに対して耐性を有する材料で形成されている。例えば、回転体10及びテーブル13を、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PCTFE(Polychlorotrifluoroethylene)などのフッ素系の樹脂により構成することが好ましい。なお、回転体10は、図示はしないが、設置面又は設置面に設置された架台に固定された固定ベース上に、後述する回転機構15によって回転可能に設けられている。
【0025】
回転機構15は駆動源15aを有する。駆動源15aは、固定ベースに固定され、中空の回転子とこれを回転させる固定子を有する中空モータである。駆動源15aは、固定子のコイルに通電することにより、回転子とともに回転体10を回転させる。但し、回転体10の貫通孔10aに非接触で配設された固定筒11は、駆動源15a内に挿通され、固定ベースに固定されていて回転しない。また、固定筒11に挿通された排液管12も回転しない。
【0026】
回転体10の周囲には、回転体10の周囲を非接触で覆う回収部16が設けられている。回収部16は、上部の径が窄まるように屈曲された筒状体である。回収部16の底面には、処理液Le、洗浄液Lwを排液するための排液口16aが設けられている。回収部16は、固定ベースに固定されたシリンダ等の駆動機構16bによって、保持部20の周囲を覆う遮蔽位置と、保持部20の周囲から退避する退避位置との間で移動可能に設けられている。
【0027】
遮蔽位置にある回収部16は、回転する基板Wから飛散する処理液Le、洗浄液Lwを、基板Wの周囲から受けて回収する。また、回収部16は、後述する除去部90により後述するカバー部70から除去される処理液Le、洗浄液Lwを受けて回収する。回収部16が受けた処理液Le、洗浄液Lwは、排液口16aを介して図示しない回収経路に排出される。
【0028】
(保持部)
保持部20は、図2に示すように、テーブル13と平行に且つ間隔を空けて、基板Wを保持する。保持部20は、保持ピン21を有する。保持ピン21は、回転体10に内蔵された図示しない駆動機構によって、回転体10の回転の軸と平行な軸を中心に、偏心回転することにより、基板Wの縁部に接して基板Wを保持する保持位置と、基板Wの縁部から離れることにより基板Wを解放する解放位置との間を移動する。
【0029】
(第1の供給部)
第1の供給部30は、図2に示すように、基板Wの被処理面wa、つまり保持部20に保持された基板Wのテーブル13と対向する面とは反対側の面に、処理液Leを供給する。第1の供給部30は、処理液Leとしてリン酸溶液を供給する。第1の供給部30は、処理液Leを貯留する液槽31を有している。
【0030】
液槽31は供給管32に接続されている。供給管32は、その先端部が保持部20に保持された基板Wに対向したノズル30aとなっている。これにより、液槽31からの処理液Leは、供給管32を介して、ノズル30aから基板Wの被処理面waに供給される。
【0031】
供給管32には、バルブ33、流量計34が設けられている。バルブ33は、流量の調節機能とОN/OFF機能を有している。バルブ33が、液槽31から供給管32に流れ込む処理液Leの流量を調整する。供給管32を流れる処理液Leの流量は流量計34により検出される。なお、液槽31に貯留される処理液Leの生成設備及び生成方法は特定のものには限定されない。
【0032】
(第2の供給部)
第2の供給部40は、図3に示すように、基板Wの被処理面waとは反対側である裏面wbに、洗浄液Lwを供給する。また、第2の供給部40は、基板Wの被処理面waにも洗浄液Lwを供給する。第2の供給部40は、洗浄液Lwとして純水を供給する。第2の供給部40は、洗浄液Lwを貯留する液槽41を有している。
【0033】
液槽41は供給管42に接続されている。供給管42は、その先端部が保持部20に保持された基板Wに対向したノズル40aとなっている。これにより、液槽41からの洗浄液Lwは、供給管42を介して、基板Wの被処理面waに供給される。また、供給管42からは、供給管43が分岐している。供給管43は、固定筒11の下方から挿通されて、排液管12の上部の傾斜面にまで延びていて、供給管43の先端は、傾斜面に形成された孔を貫通して基板Wの裏面wbの中心付近に向かうノズル40bとなっている。なお、供給管43の傾斜面の周方向に沿ってノズル40bを複数設け、複数箇所から裏面wbの中心付近に向かって洗浄液Lwを供給してもよい。
【0034】
供給管42には、バルブ44、流量計45が設けられている。バルブ44は、流量の調節機能とОN/OFF機能を有している。バルブ44が液槽41から供給管42を介して基板Wの被処理面waに供給する洗浄液Lwの流量を調整する。また、供給管42から分岐した供給管43にはバルブ46、流量計47が設けられている。バルブ46は、流量の調節機能とON/OFF機能を有している。バルブ46は、基板Wの裏面wbに供給する洗浄液Lwの吐出流量を調整する。供給管42、43を流れる洗浄液Lwの流量は、対応する流量計45、47により検出される。なお、液槽41に貯留される洗浄液Lwの生成設備及び生成方法は特定のものには限定されない。
【0035】
(加熱部)
加熱部50は、図2に示すように、基板Wの被処理面waに供給された処理液Leを加熱する。加熱部50は、プレート51、加熱源52、駆動部53を有する。プレート51は、基板Wの被処理面waに対向する位置に設けられ、基板Wに接離する方向に移動可能な部材である。プレート51は基板Wの回転中心と同心であり、基板Wよりも大きな径の円板形状である。つまり、プレート51は、基板Wの被処理面waの全体を非接触で覆うサイズである。プレート51は、石英により形成されている。プレート51の上部の周縁には、外方に拡径したフランジ51aが形成されている。
【0036】
なお、プレート51は、耐熱性と耐液性を両立させるため、二重構造となっていてもよい。つまり、耐熱性を有する材料によって基体が形成され、その周囲が処理液Leに対して耐性のある材料で覆われていてもよい。例えば、石英を基体として、その周囲にPTFE、PCTFEなどのフッ素系の樹脂のカバーを形成することにより、プレート51が構成されていてもよい。
【0037】
プレート51には、2つの供給管32、42の先端のノズル30a、40aが挿通されて、それぞれの吐出口が基板W側に露出している。2つのノズル30a、40aは、回転体10の回転の軸からずれている。これは、基板Wの回転に伴って、基板Wにおけるノズル30a、40aの吐出口との対向部分が逐次変化することにより、処理液Leの温度の均一化に寄与するためである。
【0038】
加熱源52は、通電により発光、発熱するLEDである。加熱源52は、プレート51の水平方向の異なる位置に、同心円状に複数設けられている。例えば、複数のLEDの組が、径の異なる4つの円環状に分かれるように、同心で配置されている。このような加熱源52によれば、同心で配置された4つの円環状の組毎に、発熱量(光量)を制御することで、同心円状の部分毎に温度を変え、処理液Leの温度分布を変えることができる。なお、加熱源52の最外周の外径は、基板Wの外周側の温度低下を抑制するために、基板Wを覆うサイズ、つまり基板Wの径以上(同等かより大きな径)であることが好ましい。なお、基板Wの被処理面waに供給された処理液Leを加熱する、とは、基板Wを加熱し、基板Wを介して処理液Leを間接的に加熱する態様も含むものとする。
【0039】
駆動部53は、プレート51を、基板Wに対して進退させる機構である。駆動部53は、支持部53a、アーム53b、進退機構53cを有する。支持部53aは、リング状の部材であり、その内側にプレート51が挿通され、上部にフランジ51aが当接することにより、プレート51を水平に支持する。アーム53bは、一端が支持部53aに固定された水平方向に延びた部材である。
【0040】
進退機構53cは、架台に立設され、アーム53bを介してプレート51を、基板Wに接近及び離隔する方向に移動させる機構である。本実施形態の進退機構53cは、回転体10の回転の軸に平行な方向に移動する可動部を有し、可動部にアーム53bの他端が取り付けられている。進退機構53cは、例えば、シリンダ、ボールねじ機構など、可動部を移動させる種々の機構を適用可能であるが、詳細は省略する。
【0041】
進退機構53cは、プレート51を待機位置、処理位置、洗浄位置に移動させる。待機位置は、図1に示すように、プレート51と回転体10との間隔を、基板Wの搬入、搬出を可能とする位置である。処理位置は、図2に示すように、プレート51と被処理面waとの間に処理液Leを流通させて、加熱源52により加熱させながら被処理面waを処理する位置である。本実施形態では、プレート51は、基板Wの被処理面との間に間隔が形成される位置まで下降する。この間隔は、例えば、4mm以下であるが、処理液Leとの間に2mm程度の隙間が空くように維持されることが好ましい。
【0042】
なお、処理液Leは、第1の供給部30における図示しない加熱装置によって予め設定された温度まで加熱されており、基板Wに供給されて加熱部50により加熱される。これにより、基板Wに供給された処理液Leを、予め設定された温度を維持したまま基板Wの全面に行き渡らせることができる。特に、外周側の加熱源52を高温とすることにより、温度低下しやすい基板Wの外周側の温度を上げ、基板Wの被処理面Wa上の処理液Leの温度の均一性が得られる。
【0043】
洗浄位置は、図3に示すように、プレート51と被処理面waとの間に洗浄液Lwを流通させて、被処理面waを洗浄する位置である。
【0044】
なお、洗浄位置、処理位置、待機位置は必ずしも全て相違している必要はない。例えば、洗浄位置と待機位置は、必ずしも相違している必要はない。洗浄液Lwが基板Wに供給されるときに、プレート51の位置が待機位置にあっても良く、基板Wが搬出入されるときに、プレート51の位置が洗浄位置にあってもよい。つまり、両位置は明確に区別されていなくても良く、基板Wの搬出入、洗浄液Lw供給を同じ位置で行っても良い。また、例えば、洗浄位置と処理位置は、必ずしも相違している必要はない。洗浄液Leが基板Wに供給されるときに、プレート51の位置が処理位置にあっても良い。この場合、洗浄液Lwがプレート51に付着できる位置となることで、基板Wの被処理面wa上の処理液Leを洗い流すとともに、処理中にプレート51に付着した処理液Leを、洗浄液Lwにより洗い流すことができる。
【0045】
(温度測定部)
温度測定部60は、図2に示すように、基板Wの被処理面waに供給された処理液Leから放射される赤外線のうち、基板Wを透過し、基板Wの被処理面waとは反対側の裏面wbから放射される赤外線を測定することで、被処理面waに供給された処理液Leの温度を測定する。温度測定部60としては、測定対象から放射される赤外線の量から温度を測定する放射温度計を用いる。温度測定部60は、テーブル13の中央の空間に、測定箇所に向かう方向を示す軸が基板Wの裏面wbに向かうように収容されている。温度測定部60は、基板Wの径方向の複数箇所の温度を測定可能となるように、複数設けられている。本実施形態の温度測定部60は、加熱源52の4つの円環状の組に対応して、4か所設けられている。
【0046】
なお、温度測定部60は、測定箇所の直下に配置する必要はなく、測定箇所に向かって傾斜して設けられていてもよい。処理液Leが供給される基板Wの中心から離れるほど、処理液Leの温度が低下し易いため、温度を測定して監視する必要性が高い。しかし、保持部20を配置する必要から、温度測定部60の配置可能な空間の径は、基板Wの径よりも小さくなる。このため、複数の温度測定部60は、測定箇所に向かう方向を示す軸が傾斜しているものを含んでいてもよい。
【0047】
(カバー)
カバー70は、図2に示すように、温度測定部60と基板Wとの間に設けられ、温度測定部60によって処理液Leの温度を透過的に測定可能な透過部Taを有する。なお、透過的に測定可能とは、測定対象から放射され、透過部Taを透過した赤外線を温度測定部60が温度に換算することで、処理液Leの温度を測定可能であることを指す。カバー70は、上端が水平な遮蔽面71で覆われ、下端が開放された円筒形状の部材である(図6参照)。カバー70は、処理液Leに対して耐性を有する材料で形成されている。例えば、PTFE、PCTFEなどのフッ素系の樹脂により、カバー70を構成することが好ましい。カバー70によって、処理液Leが温度測定部60に付着することが防止される。
【0048】
カバー70は、回転体10及びテーブル13と非接触であり、固定筒11に支持固定されることにより、回転体10が回転しても、カバー70は回転しない。カバー70は、防護壁10bの外周を覆うように設けられているため、カバー70の側面と、防護壁10bとの間に、屈曲した経路であるラビリンス構造が形成され、カバー70の外壁に沿って流れ落ちる処理液Le、洗浄液Lwが、カバー70の内部に流入し難い構成となっている。
【0049】
透過部Taは、遮蔽面71に設けられている。透過部Taは、カバー70内に収容された複数の温度測定部60に対応して、複数設けられている。例えば、赤外線を透過可能な石英を、遮蔽面71に形成された貫通孔に嵌め込んだ窓を、透過部Taとすることができる。本実施形態においては、4つの透過部Taが設けられている。透過部Taの形成位置は、複数の温度測定部60のそれぞれが、測定箇所に向かう方向を示す軸の延長線が交差する位置に設けられている。このため、透過部Taの配置位置は、測定箇所の直下、温度測定部60の直上には限定されない。
【0050】
また、カバー70の遮蔽面71の中央には、排液管12の上端が接続された貫通孔である排液口72が形成されている。基板Wから滴下した処理液La、洗浄液Lwの一部は、排液口72を介して排液管12に流入して、排液管12に接続された排液流路に排出される。
【0051】
(検出部)
検出部80は、図4に示すように、透過部Taにおける処理液Le又は洗浄液Lwによる液滴Drを検出する。つまり、基板Wの処理及び洗浄後、カバー70の遮蔽面71に残留している液滴Drを検出する。検出部80は、撮像部81、移動機構82を有する。撮像部81は、図6に示すように、カバー70の遮蔽面71の全体を撮像する。撮像部81としては、例えば、IRカメラ、CCDカメラを用いることができる。撮像した画像は、例えば、2値化することにより、液滴Drの領域が白くなるため、液滴Drの有無を検出できる。なお、検出部80は、保持部20が基板Wを保持していない状態で、液滴Drを検出する。つまり、撮像部81は、保持部20が基板Wを保持していない状態で、カバー70の遮蔽面71を撮像する。なお、検出部80は、透過部Taにおいて、少なくとも温度測定部60による測定範囲の液滴Drを検出すればよい。
【0052】
移動機構82は、図示しない駆動源によって揺動するアームを有し、アームの先端に設けられた撮像部81を、カバー70の上方に位置する撮像位置と、カバー70の上方から退避する退避位置との間で移動させる。
【0053】
(除去部)
除去部90は、図5に示すように、遮蔽面71における処理液Le又は洗浄液Lwによる液滴Drを除去する。除去部90は、吹出部91、移動機構92を有する。吹出部91は、気体の吹き出しにより液滴Drを除去する。吹出部91は、図示しない給気装置に接続された配管91aを有し、配管91aの先端が、カバー70の遮蔽面71に向かうノズル91bとなっている。吹出部91が吹き出す気体は、Nガス、清浄空気などを用いる。除去部90は、少なくとも透過部Taにおける液滴Drを除去できればよい。
【0054】
なお、除去部90は、保持部20が基板Wを保持していない状態で、液滴Drを除去する。つまり、吹出部91は、保持部20が基板Wを保持していない状態で、遮蔽面71に気体を吹き付ける。
【0055】
移動機構92は、図示しない駆動源によって揺動するアームを有し、アームの先端に設けられたノズル91bを、カバー70の上方から下方に気体を吹き付ける吹出位置と、カバー70の上方から退避する退避位置との間で移動させる。また、移動機構92が、気体を吹き出しているノズル91bを揺動させることにより、吹き付け位置を変えて液滴Drを吹き飛ばすことができる。
【0056】
(制御部)
制御部100は、基板処理装置1の各部を制御する。制御部100は、基板処理装置1の各種の機能を実現するべく、プログラムを実行するプロセッサと、プログラムや動作条件などの各種情報を記憶するメモリ、各要素を駆動する駆動回路を有する。つまり、制御部100は、回転機構15、回収部16、保持部20などの駆動を制御する機構制御部110を有する。
【0057】
また、本実施形態の制御部100は、供給制御部120、加熱制御部130、検出制御部140、判定部150、除去制御部160を有する。供給制御部120は、第1の供給部30、第2の供給部40のバルブ33、44、46等を制御することにより、処理液Le、洗浄液Lwの供給を制御する。つまり、供給制御部120は、流量計34、45、47が検出した流量が所定値を超えた、或いは減少した場合、所定値となるようにバルブ33、44、46を制御する。
【0058】
加熱制御部130は、温度測定部60により測定された処理液Leの温度に基づいて、加熱部50の温度を制御する。つまり、加熱制御部130は、測定された処理液Leの温度に応じて、加熱源52の出力を制御するフィードバック制御を行う。例えば、複数の温度測定部60により測定された処理液Leの温度の平均値が、所定の温度よりも低い場合に、加熱源52の温度を上昇させる。また、各温度測定部60により測定された処理液Leの温度が、所定の温度よりも低い場合に、当該温度測定部60に対応する加熱源52の温度を上昇させる。この場合、例えば、各温度測定部60による温度の検出箇所に対向して配設された加熱源52の組が、それぞれの温度測定部60に対応している。なお、加熱制御部130は、駆動部53を制御することにより、プレート51を基板Wに接離する方向に移動させる。
【0059】
検出制御部140は、検出部80の駆動を制御する。つまり、検出制御部140は、撮像部81の撮像、移動機構82の駆動を制御する。判定部150は、検出部80により検出された液滴Drによって、透過部Taを介した温度測定部60による温度測定が可能か否かを判定する。例えば、撮像部81により撮像された画像において、透過部Taの面積に対して、透過部Taを覆う液滴Drの面積の割合が、しきい値を超える場合、透過部Taに覆われていない面積の割合がしきい値以下の場合などに、温度測定ができないと判定する。透過部Taの面積に対して、透過部Taを覆う液滴Drの面積の割合が、しきい値以下の場合、透過部Taに覆われていない面積の割合がしきい値を超える場合などに、温度測定ができると判定する。
【0060】
除去制御部160は、除去部90の駆動を制御する。つまり、除去制御部160は、移動機構92によるノズル91bの移動、ノズル91bの揺動、給気装置によるノズル91bからの気体の吹き出しを制御する。本実施形態の除去制御部160は、判定部150により温度測定ができないと判定された場合に、除去部90により液滴Drを除去させる。
【0061】
[動作]
以上のような本実施形態の基板処理装置1の動作を、上記の図1図6に加えて、図7のフローチャートを参照して説明する。なお、以下のような手順により基板Wを処理する基板処理方法、基板製造方法も、本実施形態の一態様である。
【0062】
まず、図1に示すように、プレート51は上方の待機位置にある。この状態で、前の工程で被処理面に純水が液盛りされ、搬送ロボットのハンドに搭載された基板Wが、回転体10の上方に搬入され、その周縁が複数の保持ピン21に支持されることにより、回転体10のテーブル13上に保持される(ステップS01)。このとき、基板Wの中心と回転体10の回転の軸とが合致するように位置決めされる。
【0063】
回転体10が、比較的低速な所定速度(例えば、50rpm程度)にて回転する。これにより、基板Wが保持部20とともに前記所定速度にて回転する(ステップS02)。これとともに、回収部16が上昇して遮蔽位置に移動する。そして、図2に示すように、プレート51が、基板Wの被処理面waとの間に所定の間隔(例えば、4mm以下)が形成される処理位置まで下降する(ステップS03)
【0064】
第1の供給部30が処理液Leを基板Wの被処理面waに供給するとともに、温度測定部60による処理液Leの温度測定、加熱源52への通電による加熱が開始する(ステップS04)。加熱源52により、プレート51の基板Wに対向する面が加熱され、所定温度(例えば、温度範囲180℃~225℃内の温度)に維持される。なお、例えば、基板Wの外周領域は放熱により最も温度が低下するため、外周領域の加熱源52が、他の領域よりも高温となるように加熱してもよい。処理液Leを供給している間は、常時温度測定が行われる。上記のように、処理液Leは、予め第1の供給部30の加熱装置において加熱されている。処理液Leは、回転する基板Wの外周に向けて順次移動することにより、基板Wの被処理面waの純水が処理液Leのリン酸溶液によって置換されつつ、エッチングにより窒化膜が除去される。
【0065】
基板Wの中心付近に供給された処理液Leは、基板Wの外周へ移動するに従って熱が逃げ易くなるが、本実施形態においては、プレート51が基板Wに対して接近しているため、加熱源52により処理液Leが加熱され、温度低下による処理レートの低下が抑制される。例えば、処理液Leであるリン酸溶液の温度は、150~160℃程度に維持されることが好ましい。
【0066】
処理中の処理液Leの温度は、上記のように温度測定部60によって測定される。測定された処理液Leの温度に応じて、加熱制御部130が、加熱源52の温度を制御する。つまり、温度測定部60によって測定される処理液Leの温度の平均値が所定の温度よりも低下している場合には、全加熱源52の温度を上げる。または、各温度測定部60により測定される処理液Leの温度が所定の温度よりも低下している場合には、当該温度測定部60に対応する加熱源52の温度を上げる。
【0067】
所定の処理時間が経過すると(ステップS05のYES)、第1の供給部30が処理液Leの供給を停止し、温度測定部60が温度測定を停止する(ステップS06)。次に、図3に示すように、プレート51が処理位置よりも上方の洗浄位置に上昇する(ステップS07)。
【0068】
そして、第2の供給部40は、洗浄液Lwを基板Wの被処理面wa及び裏面wbに供給する(ステップS08)。回転する基板Wの被処理面waに洗浄液Lwが供給されると、その洗浄液Lwが基板Wの外周に向けて順次移動することにより、基板Wの被処理面waの処理液Leが洗い流される。また、回転する基板Wの裏面wbに洗浄液Lwが供給されると、その洗浄液Lwが基板Wの外周に向けて順次移動することにより、基板Wの被処理面waに供給された処理液Leが裏面wbに回り込むことを抑制する。所定の洗浄時間が経過すると(ステップS09のYES)、第2の供給部40は、洗浄液Lwの供給を停止する(ステップS10)。
【0069】
プレート51が待機位置に移動して(ステップS11)、回転体10が停止し、基板Wが回転を停止するとともに、回収部16が退避位置に下降する(ステップS12)。搬送ロボットのハンドが基板Wの下に挿入され、保持部20による基板Wの保持が解放され、搬送ロボットのハンドによって基板Wが搬出される(ステップS13)。
【0070】
次に、検出部80による液滴Drの検出、除去部90による液滴Drの除去を行う。つまり、図4に示すように、移動機構82が撮像部81を撮像位置に移動させて(ステップS14)、撮像部81がカバー70の遮蔽面71を撮像した後(ステップS15)、移動機構82が撮像部81を退避位置に移動させる(ステップS16)。
【0071】
判定部150は、撮像部81により撮像された画像に基づいて、液滴Drによって、透過部Taを介した温度測定部60による温度測定が可能か否かを判定する(ステップS17)。判定部150が、温度測定が可能であると判定した場合(ステップS18のYES)、次の処理対象となる基板Wがある場合には(ステップS24のYES)、基板Wの搬入に移行する(ステップS01)。次の処理対象となる基板Wが無い場合には(ステップS24のNO)、処理を終了する。
【0072】
判定部150が、温度測定ができないと判定した場合(ステップS18のNO)、回収部16が遮蔽位置に上昇する(ステップS19)。除去部90の移動機構92が、ノズル91bを吹出位置に移動させる(ステップS20)。図5に示すように、ノズル91bは揺動しながら、気体をカバー70の遮蔽面71に向かって吹き付けることにより、液滴Drを除去する(ステップS21)。移動機構92は、ノズル91bを退避位置に移動させる(ステップS22)。回収部16は、退避位置に下降する(ステップS23)。
【0073】
さらに、次の処理対象となる基板Wがある場合には(ステップS24のYES)、基板Wの搬入に移行する(ステップS01)。次の処理対象となる基板Wが無い場合には(ステップS24のNO)、処理を終了する。
【0074】
[効果]
(1)以上のような本実施形態の基板処理装置1は、保持部20により保持された基板Wを回転させる回転体10と、回転する基板Wの被処理面waに処理液Leを供給する第1の供給部30と、基板Wの被処理面waに供給された処理液Leを加熱する加熱部50と、基板Wの被処理面waとは反対側の面から、被処理面waに供給された処理液Leの温度を測定する温度測定部60と、温度測定部60と基板Wとの間に設けられ、温度測定部60によって処理液Leの温度を透過的に測定可能な透過部Taを有するカバー70と、温度測定部60が測定した温度に基づいて、加熱部50を制御する加熱制御部130と、回転する基板Wの被処理面waとは反対側の面に洗浄液Lwを供給する第2の供給部40と、少なくとも透過部Taにおける処理液Le又は洗浄液Lwによる液滴Drを除去する除去部90と、を有する。
【0075】
本実施形態の基板処理方法は、回転体10が、保持部20が保持した基板Wを回転させ、第1の供給部30が、回転する基板Wの被処理面waに処理液Leを供給し、加熱部50が、基板Wの被処理面waに供給された処理液Leを加熱し、温度測定部60が、処理液Leの温度を透過的に測定可能な透過部Taを有するカバー70を介して、基板Wの被処理面waとは反対側の面から、被処理面waに供給された処理液Leの温度を測定し、加熱制御部130が、温度測定部60が測定した温度に基づいて、加熱部50を制御し、第2の供給部40が、回転する基板Wの被処理面waとは反対側の面に洗浄液Lwを供給し、除去部90が、少なくとも透過部Taにおける処理液Le又は洗浄液Lwによる液滴Drを除去する。
【0076】
このように、基板Wの洗浄後にカバー70が有する透過部Taに付着した液滴Drを除去するため、残存する液滴Drによって温度測定部60による温度の測定精度が低下したり、測定できなくなることが防止される。このため、次の基板Wを処理する場合に、加熱部50を所望の温度に制御して、所望の処理レートで処理できる。
【0077】
(2)除去部90は、保持部20が基板Wを保持していない状態で、液滴Drを除去する。このように、処理済みの基板Wを搬出した後、次に処理する基板Wを搬入する前に、液滴Drを除去することにより、次に処理する基板Wへの液滴Drの付着を防止できる。
【0078】
(3)少なくとも透過部Taにおける液滴Drを検出する検出部80を有する。このため、温度測定に影響を与える液滴Drの有無を判断できる。
【0079】
(4)検出部80により検出された液滴Drに基づいて、透過部Taを介した温度測定部60による温度測定が可能か否かを判定する判定部150と、判定部150が、温度測定ができないと判定した場合に、除去部90により液滴Drを除去させる除去制御部160と、を有する。このため、液滴Drの除去が必要な場合にのみ、除去作業を行うことができるので、処理効率を高めることができる。
【0080】
(5)検出部80は、保持部20が基板Wを保持していない状態で、液滴Drを検出する。このため、基板Wが邪魔になることなく、液滴Drを正確に検出できる。
【0081】
(6)温度測定部60は、基板Wの径方向の複数箇所の温度を測定可能となるように、複数設けられている。このため、基板Wの被処理面wa上の処理液Leの径方向の温度分布の相違に応じて、加熱部50を制御することができ、より正確に所望の処理レートで基板Wを処理できる。これにより、温度の測定箇所が複数となり、透過部Taも広範囲となるために液滴Drに遮られる可能性が高まるが、除去部90により液滴Drを除去することにより、正確な温度測定を維持できる。
【0082】
(7)除去部90は、気体の吹き出しにより液滴Drを除去する吹出部91を有する。このため、短時間で液滴Drを吹き飛ばすことができる。さらに、液滴Drに限らず、パーティクル等を除去することができる。
【0083】
(8)保持部20の周囲を非接触で覆うことにより、カバー70から飛散する液滴Drを受ける回収部16を有する。このため、除去部90により除去された液滴Drが回収部16の外部の部材に付着することを防止できる。
【0084】
[変形例]
本実施形態は、上記の態様には限定されない。
(1)除去部90による液滴Drの除去を行った後、再度、検出部80による液滴Drの検出、判定部150による判定を行って、温度測定できないと判定された場合には、再度、除去部90による液滴Drの除去を行ってもよい。検出部80による液滴Drの検出をせずに、洗浄後、必ず除去部90による液滴Drの除去を行ってもよい。なお、その後、検出部80による液滴Drの検出、判定部150による判定を行って、温度測定できないと判定された場合には、再度、除去部90による液滴Drの除去を行ってもよい。さらに、判定部150による判定をせずに、検出部80により検出された液滴Drを、制御部100に接続された表示装置に表示させて、オペレータが目視で確認して、除去部90による除去を行うか否かを判定してもよい。
【0085】
(2)除去部90の吹出部91は、複数のノズル91bを有していてもよい。例えば、図8に示すように、遮蔽面71に対向して複数のノズル91bを設け、遮蔽面71の全体に気体を吹き付けることにより、液滴Drをより確実に除去することができる。
【0086】
(3)除去部90は液滴Drを除去できる機構であればよい。このため、除去部90は、気体の吹き付けによるものには限定されない。除去部90は、加熱により液滴Drを蒸発させて除去してもよい。例えば、図9に示すように、移動機構92により遮蔽面71に対向する位置に移動する加熱装置93によって、液滴Drを加熱することにより蒸発させる除去部90としてもよい。加熱時に、加熱装置93を揺動させてもよい。加熱装置93の加熱源としては、例えば、LED、ハロゲンランプ、ヒータ等を用いることができる。また、加熱部50を加熱装置である除去部90として用いることもできる。つまり、基板Wに接近させたプレート51の加熱源52によって液滴Drを蒸発させてもよい。これにより、除去部90を別途設ける必要がなく、構成の簡素化、省スペース化が可能となる。
【0087】
また、除去部90は、拭き取りにより液滴Drを除去してもよい。例えば、図10に示すように、基板Wの径より短い長さの拭取部94が、移動機構により水平移動可能に設けられ、この拭取部94が、保持ピン21と干渉しないように遮蔽面71に接触しながら往復動することによって、液滴Drを拭き取る除去部90としてもよい。拭取部94が遮蔽面71に接触する部分は、弾性、柔軟性のある部材とすることが好ましい。
【0088】
(4)カバー70に設ける透過部Taは、全ての温度測定部60が温度測定可能となるように設けられていればよく、温度測定部60の数に対応している必要はない。つまり、複数又は全ての温度測定部60が温度測定可能となる大きさの透過部Taを含んでいてもよい。
【0089】
(5)加熱部50は、ヒータ、ハロゲンランプ等によって処理液Leを加熱するものを用いてもよい。この場合、加熱源52は、基板Wが搬入される前に、予め通電しておくことが好ましい。加熱部50の加熱源52の組数、温度測定部60の数は、上記の態様には限定されず、1つ、2つ又は4つ以上であってもよい。上記の態様では、複数組の加熱源52に対応して、それぞれ温度測定部60を設けることにより、温度を測定した領域と、加熱する領域とを一致させていたが、加熱源52の数と、温度測定部60の数は必ずしも対応していなくてもよい。
【0090】
(6)基板処理装置1の処理は、処理液Le及び基板Wの温度が処理レートに影響を与える処理であれば、処理の内容及び処理液Leは、上記で例示したものには限定されない。処理対象となる基板W及び膜についても、上記で例示したものには限定されない。
【0091】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1 基板処理装置
10 回転体
10a 貫通孔
10b 防護壁
11 固定筒
12 排液管
13 テーブル
15 回転機構
15a 駆動源
16 回収部
16a 排液口
16b 駆動機構
20 保持部
21 保持ピン
30 第1の供給部
30a ノズル
31 液槽
32 供給管
33 バルブ
34 流量計
40 第2の供給部
40a ノズル
40b ノズル
41 液槽
42 供給管
43 供給管
44 バルブ
45 流量計
46 バルブ
47 流量計
50 加熱部
51 プレート
51a フランジ
52 加熱源
53 駆動部
53a 支持部
53b アーム
53c 進退機構
60 温度測定部
70 カバー
71 遮蔽面
72 排液口
80 検出部
81 撮像部
82 移動機構
90 除去部
91 吹出部
91a 配管
91b ノズル
92 移動機構
94 拭取部
100 制御部
110 機構制御部
120 供給制御部
130 加熱制御部
140 検出制御部
150 判定部
160 除去制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10