(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007891
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理システム、診療支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20250109BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20250109BHJP
【FI】
G16H80/00
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109603
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 康典
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】患者の要望を治療に反映させること。
【解決手段】医用情報処理装置は、第1取得部と、第2取得部と、推定部と、第3取得部と、第4取得部と、を備える。前記第1取得部は、患者に対して診断された診断内容を取得する。前記第2取得部は、前記診断内容に対する第1治療法に対する前記患者の反応に関する反応情報を取得する。前記推定部は、前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の感情を推定する。前記第3取得部は、前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の要望を取得する。前記第4取得部は、前記推定部により推定された前記感情に応じて、前記要望に適合する第2治療法を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して診断された診断内容を取得する第1取得部と、
前記診断内容に対する第1治療法に対する前記患者の反応に関する反応情報を取得する第2取得部と、
前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の感情を推定する推定部と、
前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の要望を取得する第3取得部と、
前記推定部により推定された前記感情に応じて、前記要望に適合する第2治療法を取得する第4取得部と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
前記第2取得部は、前記反応情報と、前記患者の画像とを取得し、
前記推定部は、前記反応情報と、前記画像とに基づいて、前記患者の感情を推定する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記患者のネガティブな前記感情の度合いを示すネガティブ度を推定し、
前記第4取得部は、前記ネガティブ度が閾値以上の場合に、前記第2治療法を取得する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記反応情報の時点ごとに、前記患者のポジティブな感情の度合いを示すポジティブ度を推定し、
前記第4取得部は、前記ポジティブ度が閾値以上の時点の発言内容により特定される前記第2治療法を取得する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記第4取得部は、前記発言内容により推定された前記患者の治療法の選好基準に基づいて、前記第2治療法を取得する、
請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記第2治療法及び前記要望を表示部に表示する表示制御部を更に備える、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記第2取得部は、前記反応情報として、前記第1治療法に関して前記患者が発言した音声データを取得する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
医師のスケジュールを管理するシステムに、前記第2治療法に関する面談を予約する予約部を更に備える、
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
患者に対して診断された診断内容を取得する第1取得部と、
前記診断内容に対する第1治療法に対する前記患者の反応に関する反応情報を取得する第2取得部と、
前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の感情を推定する推定部と、
前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の要望を取得する第3取得部と、
前記推定部により推定された前記感情に応じて、前記要望に適合する第2治療法を取得する第4取得部と、
を備える医用情報処理システム。
【請求項10】
患者に対して診断された診断内容を取得し、
前記診断内容に対する第1治療法に対する前記患者の反応に関する反応情報を取得し、
前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の感情を推定し、
前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の要望を取得し、
推定された前記感情に応じて、前記要望に適合する第2治療法を取得する、
ことを含む診療支援方法。
【請求項11】
コンピュータに、
患者に対して診断された診断内容を取得し、
前記診断内容に対する第1治療法に対する前記患者の反応に関する反応情報を取得し、
前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の感情を推定し、
前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の要望を取得し、
推定された前記感情に応じて、前記要望に適合する第2治療法を取得する、
ことを実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理システム、診療支援方法、及びプログラムに関する。
【0002】
従来、医師は、病気や怪我の理解を助けるために、病気や怪我の状態や治療法に関して患者に説明する。
【0003】
しかしながら、患者は、理解が不十分であったり、医師に対して萎縮してしまったりすることで、自身の要望を医師に伝えることができないことがある。このような場合、患者は、通院をやめたり、別の病院に変更したりすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、患者の要望を治療に反映させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用情報処理装置は、第1取得部と、第2取得部と、推定部と、第3取得部と、第4取得部と、を備える。前記第1取得部は、患者に対して診断された診断内容を取得する。前記第2取得部は、前記診断内容に対する第1治療法に対する前記患者の反応に関する反応情報を取得する。前記推定部は、前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の感情を推定する。前記第3取得部は、前記反応情報に基づいて、前記第1治療法に関する前記患者の要望を取得する。前記第4取得部は、前記推定部により推定された前記感情に応じて、前記要望に適合する第2治療法を取得する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る診療支援システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置が実行する予約処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に関する医用情報処理装置、医用情報処理システム、診療支援方法、及びプログラムについて説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る診療支援システム1の一例を示す図である。診療支援システム1は、撮像装置10、マイク20、操作端末30、及び医用情報処理装置40を備える。撮像装置10、マイク20、操作端末30、及び医用情報処理装置40は、院内LAN(Local Area Network)などのネットワーク50を通信可能に接続される。また、
図1に示す診療支援システム1は、撮像装置10、マイク20、操作端末30、及び医用情報処理装置40を一台ずつ有しているが、複数台ずつ有していてもよい。
【0010】
撮像装置10、マイク20、及び操作端末30は、医師から病気などに対する治療法について説明を受けた患者に対して、医療従事者が面談を行う場所に設置される。医療従事者は、看護師や、薬剤師や、理学療法士などである。例えば、看護師は、医師の説明について不明な点が無いか患者に確認する。例えば、薬剤師は、患者に処方された薬剤に関して患者に説明する。例えば、理学療法士は、理学療法に関して患者に説明する。なお、医療従事者は、看護師と、薬剤師と、理学療法士とに限らず、他の職種であってもよい。
【0011】
撮像装置10は、患者を撮像するカメラである。例えば、撮像装置10は、医療従事者と患者との面談時の患者の画像である患者画像を撮像する。そして、撮像装置10は、撮像した患者画像を医用情報処理装置40に送信する。
【0012】
マイク20は、患者の音声を電気信号に変換し、電気信号から音声データを生成する装置である。例えば、マイク20は、医療従事者と患者との面談時の患者の音声データを取得する。そして、マイク20は、患者の音声データを医用情報処理装置40に送信する。
【0013】
操作端末30は、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータなどのコンピュータ機器である。また、操作端末30は、医療従事者により操作される端末である。そして、操作端末30は、医用情報処理装置40から提供された画像を表示する。
【0014】
医用情報処理装置40は、サーバ装置などのコンピュータ機器である。医用情報処理装置40は、医療従事者と面談する患者の音声データと画像とを取得する。また、医用情報処理装置40は、医療従事者と面談する患者の音声データと画像とに基づいて、医師からの治療法の説明に対して、患者が不安、不満、要望などを有しているか否かを判定する。
【0015】
医用情報処理装置40は、患者が治療法について要望を有している場合に、要望を反映した治療法が有るか否かを判定する。そして、医用情報処理装置40は、判定結果を操作端末30に表示する。これにより、医療従事者は、患者の要望に適合する治療法にするために、医師との面談を再度行うことを促すことができる。
【0016】
ここで、診療支援システム1が用いられる状況について説明する。
【0017】
患者は、病気や怪我が有る場合に、医師から治療法について説明を受ける。例えば、医師は、「ステージ2の腫瘍が見つかりました。この腫瘍は手術で切除することにより、5年後の生存率は80%です。但し、この手術により左足に麻痺が残ることになります。」と説明する。
【0018】
また、患者は、医師との面談の後に、看護師などの医療従事者との面談を行う場合がある。例えば、看護師は、「治療内容を理解できましたか?」「例えば麻痺が残った後の生活についてなど何か不明な点はありますか?」などの治療法について補足説明が必要か質問する。
【0019】
この時、患者は、医師との面談では思い至らなかった不安や不満を伴った要望について話すことがある。例えば、患者は、「左足に麻痺が残るとのことですが、車の運転は可能ですか?車に乗れないと地域的に生活していくのが大変です。福祉車両への買い替えは経済的に難しいです。治療にどのくらいのお金がかかりますか?妻とも死別しており趣味の登山ができなくなるのであれば、お金は孫たちに残しておきたいです。」と要望を話すことがある。
【0020】
また、薬剤師は、患者に処方する薬剤を説明するために面談を行う場合がある。例えば、薬剤師は、「この薬を1日3回、食後に飲む必要があります。この薬により倦怠感が生じるなどの副作用が30%程度の人に発生します。」などの薬剤の説明を行う。
【0021】
この時、患者は、医師との面談では思い至らなかった不安や不満を伴ったについて話すことがある。例えば、患者は、「薬を飲むと運転ができなくなりますか?薬の影響で孫たちに冷たくあたる可能性がありますか?」と要望を話すことがある。
【0022】
このように、患者は、医師との面談後に行われる、医療従事者との面談時に要望を話すことがある。この場合、医師は、患者の要望に適合した治療法に変更する事が好ましい。そこで、診療支援システム1は、不安や不満を伴った要望を話した場合に、患者の要望に適した治療法があるか否かを判定する。そして、診療支援システム1は、患者の要望に適した治療法がある場合に、医師との再度の面談を促す。これにより、医師は、患者の要望に適合した治療法に変更する事ができる。
【0023】
次に、医用情報処理装置40について詳細に説明する。
【0024】
医用情報処理装置40は、NW(network)インターフェース41と、入力インターフェース42と、ディスプレイ43と、記憶回路44と、処理回路45とを有する。
【0025】
NWインターフェース41は、処理回路45に接続され、ネットワーク50を介して接続された各装置との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、NWインターフェース41は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0026】
入力インターフェース42は、処理回路45に接続され、操作者(医療従事者)から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路45に出力する。具体的には、入力インターフェース42は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路45に出力する。例えば、入力インターフェース42は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース42は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース42の例に含まれる。
【0027】
ディスプレイ43は、処理回路45に接続され、処理回路45から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ43は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0028】
記憶回路44は、処理回路45に接続され、各種データを記憶する。また、記憶回路44は、処理回路45が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。例えば、記憶回路44は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0029】
処理回路45は、医用情報処理装置40全体の動作を制御する。処理回路45は、例えば、診断内容取得機能451、データ取得機能452、語句解析機能453、感情推定機能454、検索機能455、表示制御機能456、及び予約機能457を有する。実施形態では、構成要素である診断内容取得機能451、データ取得機能452、語句解析機能453、感情推定機能454、検索機能455、表示制御機能456、及び予約機能457にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路44へ記憶されている。処理回路45は、プログラムを記憶回路44から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路45は、
図1の処理回路45内に示された各機能を有することになる。
【0030】
なお、
図1においては単一のプロセッサにて、診断内容取得機能451、データ取得機能452、語句解析機能453、感情推定機能454、検索機能455、表示制御機能456、及び予約機能457を実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路45を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図1においては、記憶回路44等の単一のメモリが各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数のメモリを分散して配置して、処理回路45は、個別のメモリから対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0031】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路44に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路44にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0032】
診断内容取得機能451は、患者に対して診断された診断内容を取得する。診断内容取得機能451は、第1取得部の一例である。診断内容とは、病気や怪我などの患者に対して診断された診断結果である。
【0033】
さらに詳しくは、診断内容取得機能451は、操作端末30から患者を識別するための患者識別情報が送信された場合に、患者識別情報により特定される患者の診断内容を取得する。診断内容取得機能451は、記憶回路44から診断内容を取得してもよいし、HIS(Hospital Information System)が記憶する電子カルテから診断内容を取得してもよいし、NWインターフェース41を介して他の装置から診断内容を取得してもよいし、入力インターフェース42を介して診断内容を取得してもよい。
【0034】
データ取得機能452は、診断内容に対する治療法に対する患者の反応に関する反応情報を取得する。例えば、反応情報は、患者が発言した音声データや、患者を撮影した患者画像である。すなわち、データ取得機能452は、医療従事者と患者との面談時の音声データ及び患者画像を取得する。具体的には、データ取得機能452は、反応情報として、診断内容に対する治療法に関して患者が発言した音声データを取得する。また、データ取得機能452は、反応情報として、診断内容に対する治療法に関する面談中の患者画像を取得する。データ取得機能452は、第2取得部の一例である。
【0035】
さらに詳しくは、データ取得機能452は、NWインターフェース41を介して、撮像装置10から患者画像を取得する。また、データ取得機能452は、NWインターフェース41を介して、マイク20から音声データを取得する。なお、データ取得機能452は、撮像装置10とマイク20とからに限らず、他の装置から患者画像及び音声データを取得してもよい。
【0036】
語句解析機能453は、音声データに対して語句解析を実行する。これにより、語句解析機能453は、医療従事者と患者との面談において患者の発言内容を取得する。例えば、語句解析機能453は、音声データを学習済みモデルに入力することにより、患者の発言内容を取得する。
【0037】
感情推定機能454は、医療従事者と患者との面談において患者の感情を推定する。例えば、感情推定機能454は、音声データに基づいて、医師から説明された治療法に関する患者の感情を推定する。感情推定機能454は、推定部の一例である。また、感情推定機能454は、患者画像に基づいて、患者の感情を推定する。すなわち、感情推定機能454は、音声データと、患者画像とに基づいて、患者の感情を推定する。なお、感情推定機能454は、音声データと、患者画像との両方に限らず、何れか一方により患者の感情を推定してもよい。
【0038】
さらに詳しくは、感情推定機能454は、医療従事者と患者との面談において医療従事者による治療法の説明の時点ごとに、患者のネガティブ度及びポジティブ度を取得する。ネガティブ度とは、患者のネガティブな感情の度合いである。例えば、ネガティブ度は、不安や不満の度合いである。ポジティブ度とは、患者のポジティブな感情の度合いである。例えば、ポジティブ度は、喜びの度合いである。
【0039】
感情推定機能454は、医療従事者と患者との面談において、患者のネガティブな感情の度合いを示すネガティブ度を推定する。例えば、感情推定機能454は、面談の時点ごとに患者のネガティブ度を推定する。なお、感情推定機能454は、面談の時点ごとに限らず、面談全体の患者のネガティブ度を推定してもよい。
【0040】
例えば、感情推定機能454は、音声データが示す患者の声の口調に基づいて、患者のネガティブ度を推定する。具体的には、感情推定機能454は、音階ごとにネガティブ度が設定された音階別ネガティブ度情報に基づいて、患者の声に適合する音階に対応付けられたネガティブ度を取得する。これにより、感情推定機能454は、患者のネガティブ度を推定する。
【0041】
または、感情推定機能454は、口調とネガティブ度との相関を学習した学習済みモデルに音声データを入力する。そして、感情推定機能454は、学習済みモデルから出力されたネガティブ度を取得することで、患者のネガティブ度を推定する。
【0042】
例えば、感情推定機能454は、語句解析機能453により解析された発言内容に基づいて、患者のネガティブ度を推定する。具体的には、感情推定機能454は、語句ごとにネガティブ度が設定された語句別ネガティブ度情報に基づいて、発言内容に適合する語句に対応付けられたネガティブ度を取得する。または、感情推定機能454は、語句とネガティブ度との相関を学習した学習済みモデルに音声データを入力する。そして、感情推定機能454は、学習済みモデルから出力されたネガティブ度を取得することで、患者のネガティブ度を推定する。
【0043】
例えば、感情推定機能454は、患者画像に基づいて、患者のネガティブ度を推定する。具体的には、感情推定機能454は、表情とネガティブ度との相関を学習した学習済みモデルに患者画像を入力する。そして、感情推定機能454は、学習済みモデルから出力されたネガティブ度を取得することで、患者のネガティブ度を推定する。
【0044】
また、感情推定機能454は、音声データと、語句解析機能453により解析された発言内容と、患者画像との3つの要素に限らず、何れか1つ又は2つの要素により、患者のネガティブ度を推定してもよい。
【0045】
また、感情推定機能454は、音声データと、語句解析機能453により解析された発言内容と、患者画像との3つの要素を統合してネガティブ度を推定してもよいし、加算することによりネガティブ度を推定してもよい。さらに、感情推定機能454は、音声データと、語句解析機能453により解析された発言内容と、患者画像との3つ以外の要素により、患者のネガティブ度を推定してもよい。
【0046】
また、感情推定機能454は、医療従事者と患者との面談において、各時点での患者のポジティブ度を推定する。すなわち、感情推定機能454は、音声データの時点ごとに、患者のポジティブな感情の度合いを示すポジティブ度を推定する。例えば、感情推定機能454は、ネガティブ度と同様の方法により患者のポジティブ度を推定する。
【0047】
例えば、感情推定機能454は、音声データが示す患者の声の口調に基づいて、患者のポジティブ度を推定する。具体的には、感情推定機能454は、音階ごとにポジティブ度が設定された音階ポジティブ度情報に基づいて、患者の声に適合する音階に対応付けられたポジティブ度を取得する。これにより、感情推定機能454は、患者のポジティブ度を推定する。または、感情推定機能454は、口調とポジティブ度との相関を学習した学習済みモデルに音声データを入力する。そして、感情推定機能454は、学習済みモデルから出力されたポジティブ度を取得することで、患者のポジティブ度を推定する。
【0048】
例えば、感情推定機能454は、語句解析機能453により解析された発言内容に基づいて、患者のポジティブ度を推定する。具体的には、感情推定機能454は、語句ごとにポジティブ度が設定された語句別ポジティブ度情報に基づいて、発言内容に適合する語句に対応付けられたポジティブ度を取得する。または、感情推定機能454は、語句とポジティブ度との相関を学習した学習済みモデルに音声データを入力する。そして、感情推定機能454は、学習済みモデルから出力されたポジティブ度を取得することで、患者のポジティブ度を推定する。
【0049】
例えば、感情推定機能454は、患者画像に基づいて、患者のポジティブ度を推定する。具体的には、感情推定機能454は、表情とポジティブ度との相関を学習した学習済みモデルに患者画像を入力する。そして、感情推定機能454は、学習済みモデルから出力されたポジティブ度を取得することで、患者のポジティブ度を推定する。
【0050】
また、感情推定機能454は、音声データと、語句解析機能453により解析された発言内容と、患者画像との3つの要素に限らず、何れか1つ又は2つの要素により、患者のポジティブ度を推定してもよい。
【0051】
また、感情推定機能454は、音声データと、語句解析機能453により解析された発言内容と、患者画像との3つの要素を統合してポジティブ度を推定してもよいし、3つの要素のポジティブを加算することによりポジティブ度を推定してもよい。さらに、感情推定機能454は、音声データと、語句解析機能453により解析された発言内容と、患者画像との3つ以外の要素により、患者のポジティブ度を推定してもよい。
【0052】
検索機能455は、感情推定機能454により推定された患者の感情に応じて、患者の要望に適合する治療法を検索する。さらに詳しくは、検索機能455は、感情推定機能454により推定された患者のネガティブ度に基づいて、患者の要望に適合する治療法を検索するか否かを判定する。例えば、検索機能455は、感情推定機能454により推定された患者のネガティブ度が閾値以上の場合に、患者の要望に適合する治療法を検索すると判定する。
【0053】
一方、検索機能455は、感情推定機能454により推定された患者のネガティブ度が閾値未満の場合に、患者の要望に適合する治療法を検索しないと判定する。なお、ネガティブ度は、感情推定機能454により推定された時点ごとのネガティブ度の累積値であってもよいし、時点のそれぞれのネガティブ度であってもよい。
【0054】
検索機能455は、音声データに基づいて、医師から説明された治療法に関する患者の要望を取得する。検索機能455は、第3取得部の一例である。さらに詳しくは、検索機能455は、語句解析機能453により解析された患者の発言内容から患者の要望を抽出する。例えば、検索機能455は、患者の要望とキーワードとが対応付けられた要望一覧情報に基づいて、語句解析機能453により解析された患者の発言内容からキーワードを抽出する。そして、検索機能455は、要望一覧情報において、抽出したキーワードに対応付けられた要望を、患者の要望として抽出する。
【0055】
なお、検索機能455は、学習済みモデルにより患者の要望を抽出してもよい。例えば、検索機能455は、要望とキーワードとの相関を学習した学習済みモデルに音声データを入力する。そして、感情推定機能454は、学習済みモデルから出力された要望を取得してもよい。さらに、検索機能455は、他の方法により要望を抽出してもよい。
【0056】
検索機能455は、感情推定機能454により推定された患者の感情に応じて、患者の要望に適合する治療法を検索する。検索機能455は、第4取得部の一例である。さらに詳しくは、検索機能455は、患者のネガティブ度が閾値以上の場合に、患者の要望に適合する治療法を検索する。
【0057】
例えば、検索機能455は、患者の要望に適合する治療法の検索条件を生成する。検索条件は、「障害が残らない」「治療費が安い」などの治療法の属性である。検索機能455は、要望が何れの属性を有しているかを識別することで治療法の検索条件を生成する。
【0058】
例えば、検索機能455は、要望と、治療法の属性との相関を学習した学習済みモデルに対して要望を入力することで、要望が属する治療法の属性を取得する。言い換えると、検索機能455は、要望に適合する検索条件を取得する。これにより、検索機能455は、一又は複数の検索条件を生成する。なお、検索機能455は、要望に含まれるキーワードと、検索条件とが対応付けられた情報に基づいて、要望に適合する検索条件を取得してもよい。
【0059】
検索機能455は、一又は複数の検索条件に基づいて、診断内容について患者の要望に適合する治療法を検索する。例えば、検索機能455は、治療法データベースから、診断内容及び検索条件に適合する患者の治療法を取得する。
【0060】
治療法データベースは、診断内容情報と、診断内容に対する一又は複数の治療法情報と、治療法による治療結果情報とが対応付けられた情報である。診断内容情報は、病名や怪我名や識別番号などの診断内容を特定するための情報である。治療法情報は、名称や識別番号などの治療法を特定するための情報である。治療結果情報は、診断内容に対して治療法の治療を行ったことによる結果を示す情報である。例えば、治療結果情報は、障害が残った程度や、治療費の程度やなどの情報も含まれる。
【0061】
なお、検索機能455は、治療法データベースに限らず、学習済みモデルにより検索条件に適合する治療法を取得してもよい。すなわち、検索機能455は、患者の要望に適合する一又は複数の治療法を取得してもよい。例えば、検索機能455は、要望又は検索条件と、治療法との相関を学習した学習済みモデルに対して要望又は検索条件を入力することで、要望又は検索条件に適合する一又は複数の治療法を取得してもよい。
【0062】
検索機能455は、ポジティブ度が閾値以上の時点の発言内容により特定される治療法を取得する。すなわち、検索機能455は、ポジティブ度が閾値以上の時点の患者の発言内容により推定された、患者の治療法の選好基準に基づいて、治療法を取得する。例えば、検索機能455は、ポジティブ度が閾値以上の時点の患者の発言内容に基づいて、治療法に対して優先順位を設定する。これにより、検索機能455は、患者の治療法の選好基準に基づいて、治療法を取得する。
【0063】
さらに詳しくは、検索機能455は、医療従事者と患者との面談において、語句解析機能453より解析された発言内容のうち、患者のポジティブ度が閾値以上になった時の患者の発言内容を取得する。また、検索機能455は、治療法データベースの治療結果情報に基づいて、取得した発言内容に対応する治療法の属性を特定する。また、検索機能455は、特定した属性を有する治療法の優先度を上げる。そして、検索機能455は、取得した治療法に対して、優先度に応じた優先順位を設定する。
【0064】
表示制御機能456は、検索機能455により取得された取得結果を操作端末30に表示する。例えば、表示制御機能456は、検索機能455により取得された治療法及び患者の要望を操作端末30に表示する。表示制御機能456は、表示制御部の一例である。また、操作端末30は、表示部の一例である。そして、医療従事者は、操作端末30に表示された内容に基づいて、医師と再度面談することを提案する。
【0065】
例えば、表示制御機能456は、検索機能455により治療法が取得された場合に、患者の要望に適合する治療法が有ることを操作端末30に表示する。さらに、表示制御機能456は、検索機能455により取得された治療法を操作端末30に表示してもよい。
【0066】
また、表示制御機能456は、検索機能455により複数の治療法が取得された場合に、優先順位に従って治療法を操作端末30に表示してもよい。例えば、表示制御機能456は、優先順位と治療法とを対応付けて操作端末30に表示してもよいし、優先順位の順番で操作端末30に治療法を表示してもよい。さらに、表示制御機能456は、治療法に限らず、患者の要望を表示してもよいし、検索条件を表示してもよいし、患者のポジティブ度が閾値以上になった時の患者の発言内容を表示してもよい。
【0067】
予約機能457は、師のスケジュールを管理するスケジュールシステムに、検索機能455により取得された治療法に関する面談を予約する。予約機能457は、予約部の一例である。医療従事者は、患者の要望に適合する治療法が取得された場合に、医師との再度の面談を提案する。この提案に患者が応じた場合に、予約機能457は、医師との面談を予約する。
【0068】
さらに詳しくは、予約機能457は、スケジュールシステムから、再度面談を行う医師のスケジュールを取得する。また、予約機能457は、医師のスケジュールを操作端末30に送信する。操作端末30は、医師のスケジュールを表示する。また、操作端末30は、再度の面談を行う日時の入力を受け付ける。また、予約機能457は、操作端末30から再度の面談を行う日時を取得する。そして、操作端末30は、スケジュールシステムに対して、操作端末30から取得した面談日時を登録する。このようにして、予約機能457は、医師との面談を予約する。
【0069】
また、予約機能457は、スケジュールシステムに対して、患者の要望、検索した一又は複数の治療法、及び各治療法の優先度を送信してもよい。これにより、医師が使用する端末は、患者の要望、検索した一又は複数の治療法、及び各治療法の優先度を表示する。これにより、医師は、患者の要望、検索した一又は複数の治療法、及び各治療法の優先度などに基づいて、治療法を患者に提案することができる。
【0070】
次に、医用情報処理装置40が実行する処理について説明する。
【0071】
図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置40が実行する予約処理の一例を示すフローチャートである。患者は、病気や怪我などの治療法に関して医師から説明を受ける。医師からの説明の後に、患者は、看護師や薬剤師などの医療従事者と面談を行う。この面談において、治療法に関して患者に要望が有る場合に、予約処理は、医師との再度の面談を予約する処理である。
【0072】
診断内容取得機能451は、患者の診断内容を取得する(ステップS1)。
【0073】
データ取得機能452は、患者と医療従事者との面談において、撮像装置10により撮像された患者画像及びマイク20により取得された音声データを取得する(ステップS2)。
【0074】
語句解析機能453は、音声データに含まれる会話内容を解析する(ステップS3)。
【0075】
感情推定機能454は、患者画像及び音声データに基づいて、患者と医療従事者との面談における患者の各時点での感情を推定する(ステップS4)。すなわち、感情推定機能454は、面談の各時点での患者のネガティブ度及びポジティブ度を推定する。
【0076】
検索機能455は、ネガティブ度に基づいて、治療法の再度の検索の要否を判定する(ステップS5)。ネガティブ度が閾値未満の場合に(ステップS5;No)、検索機能455は、治療法の検索は不要であると判定する。すなわち、医用情報処理装置40は、予約処理を終了する。
【0077】
ネガティブ度が閾値以上の場合に(ステップS5;Yes)、検索機能455は、会話内容から取得した治療法に関する患者の要望から、治療法の検索に用いる検索条件を生成する(ステップS6)。
【0078】
検索機能455は、生成した検索条件を用いて治療法を検索する(ステップS7)。
【0079】
表示制御機能456は、治療法の検索結果を操作端末30に表示する(ステップS8)。医療従事者は、操作端末30に表示された検索結果に基づいて、医師との再度の面談を患者に提案する。
【0080】
予約機能457は、再度の面談を予約する(ステップS9)。
【0081】
以上により、医用情報処理装置40は、予約処理を終了する。
【0082】
以上のように、第1の実施形態に係る医用情報処理装置40は、患者に対して診断された診断内容を取得する。また、医用情報処理装置40は、診断内容に対する治療法に関して患者が発言した音声データを取得する。また、医用情報処理装置40は、音声データに基づいて、治療法に関する患者の感情を推定する。また、医用情報処理装置40は、音声データに基づいて、治療法に関する患者の要望を取得する。そして、医用情報処理装置40は、推定された前記感情に応じて、要望に適合する治療法を取得する。これにより、医療従事者は、患者の要望に適合する治療法に関して医師と再度面談を行うことを促すことができる。したがって、医用情報処理装置40は、患者の要望を治療に反映させることができる。
【0083】
(変形例1)
第1の実施形態に係る医用情報処理装置40は、診断内容取得機能451、データ取得機能452、語句解析機能453、感情推定機能454、検索機能455、表示制御機能456、及び予約機能457を有すると説明した。しかしながら、これら機能の全部又は一部は、医用情報処理装置40に限らず、操作端末30が有していてもよいし、他の装置が有していてもよい。
【0084】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、患者の要望を治療に反映させることができる。
【0085】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0086】
1 診療支援システム
10 撮像装置
20 マイク
30 操作端末
40 医用情報処理装置
41 NW(network)インターフェース
42 入力インターフェース
43 ディスプレイ
44 記憶回路
45 処理回路
50 ネットワーク
451 診断内容取得機能
452 データ取得機能
453 語句解析機能
454 感情推定機能
455 検索機能
456 表示制御機能
457 予約機能