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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025078914
(43)【公開日】2025-05-21
(54)【発明の名称】マイクロエマルション
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20250514BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20250514BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20250514BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250514BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/04
A61K8/92
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191211
(22)【出願日】2023-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪狩 友希
(72)【発明者】
【氏名】藤山 一平
(72)【発明者】
【氏名】元平 千尋
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC081
4C083AC082
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD492
4C083BB12
4C083BB13
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】固形状又は半固形状の油剤を可溶化させた水中油型のマイクロエマルションを提供することを課題とする。
【解決手段】以下の(A)及び(B)を含有する、水中油型のマイクロエマルション。
(A)モノイソステアリン酸ポリグリセリル
(B)25℃において固形状又は半固形状の油剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)及び(B)を含有する、水中油型のマイクロエマルション。
(A)モノイソステアリン酸ポリグリセリル
(B)25℃において固形状又は半固形状の油剤
【請求項2】
前記(A)のHLB値が8~15である、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項3】
前記(A)のグリセリンの平均重合度が6~13である、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項4】
前記(A)がモノイソステアリン酸ポリグリセリル-10及びモノイソステアリン酸ポリグリセリル-6からなる群から選択される1以上である、請求項3に記載のマイクロエマルション。
【請求項5】
前記(B)の融点が23℃以上である、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項6】
前記(A)の含有量がマイクロエマルション全体に対して0.03質量%~20.00質量%である、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項7】
前記(B)の含有量がマイクロエマルション全体に対して0.01質量%~10.00質量%である、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項8】
前記(A)の含有量と、前記(B)の含有量との質量比が1:1~15:1である、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項9】
さらに(C)25℃において液状の高級アルコールを含有する、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項10】
前記(C)の炭素数が10~25である、請求項9に記載のマイクロエマルション。
【請求項11】
前記(C)がオレイルアルコール及びホホバアルコールからなる群から選択される一以上である、請求項9に記載のマイクロエマルション。
【請求項12】
(C)25℃において液状の高級アルコールを実質的に含有しない、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項13】
さらに(D)25℃において液状の油剤を含有する、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項14】
油滴の平均粒子径が50nm~250nmである、請求項1に記載のマイクロエマルション。
【請求項15】
皮膚外用剤である、請求項1~14のいずれか一項に記載のマイクロエマルション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型のマイクロエマルションに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエマルションは、微細なミセルの分散系であり、熱力学的に準安定であり、親水系・親油系のいずれの成分にも高い相溶性を示すなど特徴的な性質を有することが知られている。従来、その性質を生かして化粧品や医薬品などの分野で、マイクロエマルション製剤が用いられている。
【0003】
マイクロエマルションを製造する技術としては、例えば、複数の非イオン性界面活性剤を組み合わせて親水性と疎水性のバランスを調整することで、特別な装置を用いることなく容易にマイクロエマルションを製造する技術が知られている(特許文献1)。
【0004】
エマルションの製造には、従来、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの種々の界面活性剤が用いられている。例えば、N-ラウロイルサルコシンイソプロピル、油に難溶性の特定の有効成分、及び油相を含む水中油型のエマルション組成物において、イソステアリン酸ポリグリセリル等の界面活性剤を含有させてもよいことが開示されている(特許文献2)。このように、モノイソステアリン酸ポリグリセリルを用いて液状の油剤を可溶化させてエマルションを製造する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-193134号公報
【特許文献2】国際公開第2014/112194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、モノイソステアリン酸ポリグリセリルを用いて固形状又は半固形状の油剤を可溶化させたマイクロエマルションは、知られていない。
本発明は、固形状又は半固形状の油剤を可溶化させた水中油型のマイクロエマルションを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、モノイソステアリン酸ポリグリセリルを用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]以下の(A)及び(B)を含有する、水中油型のマイクロエマルション。
(A)モノイソステアリン酸ポリグリセリル
(B)25℃において固形状又は半固形状の油剤
[2]前記(A)のHLB値が8~15である、[1]に記載のマイクロエマルション。[3]前記(A)のグリセリンの平均重合度が6~13である、[1]又は[2]に記載のマイクロエマルション。
[4]前記(A)がモノイソステアリン酸ポリグリセリル-10及びモノイソステアリン酸ポリグリセリル-6からなる群から選択される1以上である、[3]に記載のマイクロエマルション。
[5]前記(B)の融点が23℃以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のマイクロエマルション。
[6]前記(A)の含有量がマイクロエマルション全体に対して0.03質量%~20.00質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載のマイクロエマルション。
[7]前記(B)の含有量がマイクロエマルション全体に対して0.01質量%~10.00質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載のマイクロエマルション。
[8]前記(A)の含有量と、前記(B)の含有量との質量比が1:1~15:1である、[1]~[7]のいずれかに記載のマイクロエマルション。
[9]さらに(C)25℃において液状の高級アルコールを含有する、[1]~[8]のいずれかに記載のマイクロエマルション。
[10]前記(C)の炭素数が10~25である、[9]に記載のマイクロエマルション。
[11]前記(C)がオレイルアルコール及びホホバアルコールからなる群から選択される一以上である、[9]又は[10]に記載のマイクロエマルション。
[12](C)25℃において液状の高級アルコールを実質的に含有しない、[1]~[8]のいずれかに記載のマイクロエマルション。
[13]さらに(D)25℃において液状の油剤を含有する、[1]~[12]のいずれかに記載のマイクロエマルション。
[14]油滴の平均粒子径が50nm~250nmである、[1]~[13]のいずれかに記載のマイクロエマルション。
[15]皮膚外用剤である、[1]~[14]のいずれか一項に記載のマイクロエマルション。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、固形状又は半固形状の油剤を可溶化させた微細なマイクロエマルションが提供される。また、本発明により、保存安定性に優れ、かつ塗布中の肌へのべたつきが少なく使用感に優れるマイクロエマルションが提供される。さらに本発明は、特別な乳化装置を用いることなく容易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のマイクロエマルションは、成分(A)及び(B)を必須に含む。以下に各成分について説明する。
【0011】
成分(A)は、モノイソステアリン酸ポリグリセリルである。成分(A)はポリグリセリン系の非イオン性界面活性剤の一種であり、イソステアリン酸とポリグリセリンのモノエステルである。
成分(A)は、他のポリグリセリン系界面活性剤と比較して、液状の油剤のみならず、固形状や半固形状の油剤などの幅広い性状の油剤を可溶化することができる。このメカニズムは定かではないが、次のように考えられる。
水中油型のマイクロエマルションにおいては、通常、界面活性剤が水中で親水基を外側に、疎水基を内側に向けて集合した、おもに球状の微細なミセルが分散している。そして、ミセル内部に集合した界面活性剤の疎水基近辺で油剤を可溶化させることができる。ここで、界面活性剤の疎水基が短鎖や直鎖の場合(例えばラウリン酸ポリグリセリルやステアリン酸ポリグリセリルなどの場合)は、油剤を可溶化させるために必要な収容体積が小さいため、油剤を可溶化させることができない。反対に、界面活性剤の疎水基が末端分岐した2鎖以上を有する場合(例えばジイソステアリン酸ポリグリセリルなどの場合)は、収容体積は大きいものの、疎水基部分の構造により嵩高くなるため、ミセルの粒径が大きくなり、マイクロエマルションとならない。一方、モノイソステアリン酸ポリグリセリルであれば、疎水基が末端分岐した1鎖を有する構造のため嵩高くならず、収容体積の大きさも程よい。そのため、液状の油剤のみならず、固形状や半固形状の油剤などの幅広い性
状の油剤を可溶化させたマイクロエマルションを得ることができると考えられる。
【0012】
また、モノイソステアリン酸ポリグリセリルであれば、油剤を可溶化させるために必要な収容体積の大きさが程よく、嵩高くならないため、熱力学的に安定なマイクロエマルションを形成することができる。そのため、乳化の際、高圧乳化装置のような特別な装置を用いることなく、混合、攪拌するだけで容易に製造することができる。
さらに、一般的に、エマルションにおいて界面活性剤が油剤に対して多量に含有されている場合は肌へのべたつきが生じやすい傾向にあるところ、モノイソステアリン酸ポリグリセリルを用いれば界面活性剤の配合量を低減できるため、肌へのべたつきを抑制することができる。
さらにまた、モノイソステアリン酸ポリグリセリルのようなポリグリセリン系の界面活性剤は曇点を有しないため、高温で保存する場合であっても温度の影響を受けることなく、保存安定性に優れる。
【0013】
成分(A)のHLB値は、好ましくは8~15であり、より好ましくは10~13である。また、成分(A)のグリセリンの平均重合度は、好ましくは6~13であり、より好ましくは6~10である。具体的には、成分(A)としては、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-6、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-7、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-8、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-9、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-11、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-12、及びモノイソステアリン酸ポリグリセリル-13からなる群から選択される1以上が好ましく、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-6、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-7、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-8、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-9及びモノイソステアリン酸ポリグリセリル-10からなる群から選択される1以上がより好ましく、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10及びモノイソステアリン酸ポリグリセリル-6からなる群から選択される1以上がさらに好ましい。
成分(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0014】
本発明のマイクロエマルションにおける成分(A)の含有量は、マイクロエマルション全体に対して好ましくは0.03質量%~20.00質量%、より好ましくは0.50質量%~15.00質量%、さらに好ましくは1.00質量%~12.00質量%、さらにより好ましくは2.00質量%~5.00質量%である。
【0015】
成分(B)は25℃において固形状又は半固形状の油剤である。具体的には、成分(B)は常温(25℃)、常圧(1気圧)で固形状又は半固形状の油剤である。ただし、本発明において、成分(B)は、後述する成分(C)には該当しない。成分(B)は、成分(A)により可溶化されて、マイクロエマルションの油相を形成し得る。
なお、固形状とは25℃で流動性がないものをいい、半固形状とは1気圧、20℃で応力の存在しない環境では殆ど変形しないが、若干の応力(10~100g/cm程度)がかかると変形するものをいう。
成分(B)は、融点が23℃以上であるものが好ましく、25℃以上であるものがより好ましく、35℃以上であるものがさらに好ましい。また、100℃以下であるものが好ましく、80℃以下であるものがより好ましく、70℃以下であるものがさらに好ましい。
また、本発明において、油剤とは、具体的には25~65℃の水に懸濁して1時間静置した後に水と相分離する成分を指す。
【0016】
25℃において固形状の油剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、炭化水素系固形状の油剤、エステル系固形状の油剤、高級アルコール系固形状の油剤、シリコ
ーン系固形状の油剤等が使用できる。例えばパラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系固形状の油剤;水添ホホバ油、水添アブラナ種子油、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、テオブロマグランジフロルム種子脂、(エイコセン/ビニルピロリドン)コポリマー、α-オレフィン・ビニルピロリドン共重合体、トリベヘン酸グリセリル、パルミチン酸セチル等のエステル系固形状の油剤;ステアリルアルコール、セタノール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール系固形状の油剤;トリメチルシロキシケイ酸、ポリシルセスキオキサン、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、アルキル(C30-45)メチコン、ステアリルジメチコン、ステアロキシトリメチルシラン、アルキル(C30-45)ジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン等のシリコーン系固形状の油剤等が挙げられる。
【0017】
25℃において半固形状の油剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、炭化水素系半固形状の油剤、エステル系半固形状の油剤、エーテル系半固形状の油剤、シリコーン系半固形状の油剤等があり、例えばワセリン等の炭化水素系半固形状の油剤;ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、ステアリン酸硬化ヒマシ油、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、水添パーム油、水添ヤシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ペンタヒドロキシステアリン酸スクロース、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、シア脂等のエステル系半固形状の油剤;ヒドロキシアルキルダイマーシリノレイルエーテル等のエーテル系半固形状の油剤;ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等のシリコーン系半固形状の油剤が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、成分(B)は、エステル系固形状の油剤、炭化水素系半固形状の油剤、及びエステル系半固形状の油剤からなる群から選択される1以上が好ましく、水添アブラナ種子油、テオブロマグランジフロルム種子脂、パルミチン酸セチル、ワセリン、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、及びシア脂から選択される1以上がより好ましい。
成分(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0019】
本発明のマイクロエマルションにおける成分(B)の含有量は、マイクロエマルション全体に対して好ましくは0.01質量%~10.00質量%、より好ましくは0.02質量%~5.00質量%、さらに好ましくは0.10質量%~1.00質量%である。
【0020】
本発明のマイクロエマルションにおける、成分(A)の含有量と、成分(B)の含有量との質量比は、好ましくは1:1~15:1、より好ましくは2:1~14:1、さらに好ましくは3:1~13:1、さらにより好ましくは5:1~11:1、特に好ましくは
6:1~10:1である。
【0021】
本発明のマイクロエマルションは、成分(C)25℃において液状の高級アルコールを含有していてもよい。
本発明において高級アルコールとは炭素数6以上のものを指し、成分(C)の炭素数は、好ましくは10~25であり、より好ましくは12~24であり、さらに好ましくは14~23であり、さらにより好ましくは16~22である。成分(C)は、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和のいずれでもよい。
【0022】
成分(C)としては、特に制限されないが、例えば、オレイルアルコール、ホホバアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデシルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-デシルテトラデカノールなどが挙げられる。
これらの中でも、オレイルアルコール及びホホバアルコールからなる群から選択される一以上が好ましい。ホホバアルコールは、ホホバの乾燥種子より得られたホホバ油を還元することにより得られる不飽和高級アルコールであり、炭素数が20のエイコセノールや炭素数が22のドコセノールを約90%含有するものであり、化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば市販品としてホホバアルコール(香栄興業社製)、NIKKOL ホホバアルコール(日光ケミカルズ社製)などを使用することができる。
また、成分(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0023】
本発明のマイクロエマルションにおける成分(C)の含有量は、マイクロエマルション全体に対して好ましくは0.03質量%~5.00質量%、より好ましくは0.10質量%~3.00質量%、さらに好ましくは0.20質量%~1.50質量%である。
【0024】
本発明のマイクロエマルションにおける、成分(A)の含有量と、成分(C)の含有量との質量比は、好ましくは1:5~50:1、より好ましくは1:3~40:1、さらに好ましくは1:1~25:1、さらにより好ましくは4:1~18:1、特に好ましくは9:1~13:1である。
【0025】
本発明のマイクロエマルションにおける、成分(B)の含有量と、成分(C)の含有量との質量比は、好ましくは1:13~10:1、より好ましくは1:5~8:1、さらに好ましくは1:1~6:1、さらにより好ましくは1:1~2:1である。
【0026】
本発明のマイクロエマルションは、成分(C)25℃において液状の高級アルコールを実質的に含有していなくてもよい。成分(C)は一般的に、マイクロエマルションの分野において油剤の可溶化を補助する補助界面活性剤として用いられ得るが、本発明によれば、実質的に成分(C)を含有していなくとも、油剤を安定的に可溶化したマイクロエマルションを形成することができる。
【0027】
本発明において、「成分(C)を実質的に含有しない」とは、本発明のマイクロエマルションに意図的に成分(C)を添加しないことをいい、本発明のマイクロエマルションの製造において不可避的にわずかに混入する微量の成分(C)を含んでいてもよい。例えば、配合されている成分に付随する成分(C)であって本発明のマイクロエマルション中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないような成分(C)(いわゆるキャリーオーバー成分)は含有していてもよい。例えば、本発明のマイクロエマルション中の成分(C)の含有量は、0.01質量%以下であり、好ましくは0.001質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。
【0028】
本発明のマイクロエマルションは、成分(D)25℃において液状の油剤を含有してい
てもよい。ただし、本発明において、成分(D)は、成分(C)には該当しない。成分(D)は、成分(A)により可溶化されて、マイクロエマルションの油相を形成し得る。
【0029】
成分(D)としては、特に制限されないが、例えば、炭化水素油、エステル油、脂肪酸類、シリコーン油、フッ素系油等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、ポリイソブチレン、α-オレフィンオリゴマー、イソドデカン、軽質イソパラフィン等の炭化水素油;アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、エトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、デカ2-エチルヘキサン酸ポリグリセリル-10、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチリル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、デカイソステリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、クエン酸トリエチル、コハク酸ジ-2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリメリト酸トリトリデシル、ヤシ油、オリーブ油、パーム油、マカデミアンナッツ油、メドウフォーム油、ホホバ油、菜種油、コメヌカ油、ヒマシ油、ミンク油、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ジ水添ロジンダーマジリノレイル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)等のエステル油;イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;ジメチルポリシロキサン(動粘度1~1000CS)、シクロメチコン、カプリリルメチコン、ジメチコノール、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のシリコーン油;パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油;精油や油性香料等が挙げられる。
これらの中でも炭化水素油が好ましく、スクワランがより好ましい。
また、成分(D)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0030】
本発明のマイクロエマルションにおける成分(D)の含有量は、マイクロエマルション全体に対して好ましくは0.03質量%~20.00質量%、より好ましくは0.50質量%~15.00質量%、さらに好ましくは1.00質量%~7.00質量%、さらにより好ましくは2.00質量%~4.00質量%である。
【0031】
本発明のマイクロエマルションにおける、成分(A)の含有量と、成分(D)の含有量との質量比は、好ましくは1:5~5:1、より好ましくは1:4~3:1、さらに好ましくは1:3~2:1、さらにより好ましくは1:2~3:2である。
【0032】
本発明のマイクロエマルションにおける、成分(B)の含有量と、成分(D)の含有量との質量比は、好ましくは1:1~1:20、より好ましくは1:2~1:15、さらに好ましくは1:3~1:12、さらにより好ましくは1:5~1:9である。
【0033】
本発明のマイクロエマルションにおける、成分(C)の含有量と、成分(D)の含有量との質量比は、好ましくは2:1~1:60、より好ましくは1:1~1:30、さらに好ましくは1:2~1:20、さらにより好ましくは1:8~1:13、さらにより好ましくは1:9~1:11である。
【0034】
また、本発明のマイクロエマルションにおける油性成分の含有量は、単独又は組み合わせた合計量として、マイクロエマルション全体に対して好ましくは0.01質量%~30.00質量%、より好ましくは0.10質量%~20.00質量%、さらに好ましくは0.50質量%~10.00質量%、さらにより好ましくは1.00質量%~5.00質量%、特に好ましくは2.00質量%~4.00質量%である。なお、本発明において、油性成分とは、具体的には25~65℃の水に懸濁して1時間静置した後に水と相分離する成分(通常、界面活性剤は含めない)を指す。前記油性成分には、成分(B)、成分(C)、及び成分(D)も含まれるものとする。
【0035】
本発明のマイクロエマルションにおける、成分(A)の含有量と、油性成分の含有量の合計量との質量比は、好ましくは3:1~1:4、より好ましくは2:1~1:3、さらに好ましくは2:3~3:2である。
【0036】
本発明のマイクロエマルションにおける、界面活性剤の総含有量と、油性成分の総含有量との質量比は、好ましくは3:1~1:4、より好ましくは2:1~1:3、さらに好ましくは2:3~3:2である。上記範囲であれば、肌へのべたつきがより生じにくくなる。なお、前記界面活性剤には、成分(A)及び後述する他の界面活性剤が含まれる。
【0037】
本発明のマイクロエマルションにおける極性油の総含有量は、0.01質量%~10.00質量%であってもよく、例えば、0.03質量%~7.00質量%であってもよく、0.05質量%~5.00質量%であってもよい。一般的に、エマルションに含有される油性成分として極性油が多量に含有されている場合は、肌へのべたつきが生じるところ、成分(A)によれば極性油を可溶化しやすいため、油性成分に極性油が多量に含有される場合であっても、肌へのべたつきを抑制することができる。
【0038】
本発明において、極性油とは、成分(B)、成分(C)、又は成分(D)に該当する成分のうち、IOB値が0.10以上の極性油であり、例えば、IOB値が0.15以上、0.20以上、0.30以上とすることができ、また、0.70以下、0.60以下、0.50以下の極性油である。
【0039】
ここで、IOB値とは、Inorganic/Organic Balance(無機
性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、IOB値=無機性値/有機性値として表される。「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、p.11~17、三共出版、1984年発行参照)。
【0040】
極性油としては、例えば、オレイン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、テトラエチルヘキサ
ン酸ペンタエリスリチル、コハク酸ジエチルヘキシル、ジステアリン酸グリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、オクチルメトキシシンナメート(「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」と称する場合がある。)、パルミチン酸2-エチルヘキシル、エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、トリイソステアリン、ジピバリン酸トリプロピレングリコール(「ジピバリン酸PPG-3」と称する場合がある。)、サリチル酸オクチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のエステル油;オリーブ油、ヒマシ油(IOB値=0.43)等の植物油;デシルテトラデカノール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール;等が挙げられる。
【0041】
本発明のマイクロエマルションにおける水性成分の含有量は、マイクロエマルション全体に対して好ましくは60.00質量%~99.99質量%、より好ましくは70.00質量%~99.80質量%、さらに好ましくは80.00質量%~97.00質量%、さらにより好ましくは90.00質量%~95.00質量%である。
なお、本発明において、水性成分とは、具体的には25~65℃の水に懸濁して1時間静置した後に水と相分離しない成分(通常、界面活性剤は含めない)を指す。
【0042】
本発明のマイクロエマルションは水中油型である。成分(B)、成分(C)、及び成分(D)は、マイクロエマルションの油相を構成し得る。
【0043】
マイクロエマルションの油滴の粒子径は、一般にミセルよりはやや大きく、エマルションよりは小さいことが知られており、数nmから約250nm以下の大きさを有する。本発明のマイクロエマルションは、油滴の平均粒子径が250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、180nm以下であることがさらに好ましい。250nm以下であれば、水相と油相の比重の違いの影響を受けにくくなり、油滴の沈降や浮上が生じにくいため、保存安定性が向上しやすい。また、油滴の平均粒子径が50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。
ここで、平均粒子径は、動的光散乱装置、例えば動的光散乱式粒度分布測定装置(ELSZ-2000Z、大塚電子株式会社製)を用いて20℃にて、PP製ディスポセル、積算75回で測定し、キュムラント解析を用いて算出した平均粒子径であり、調製直後の本発明のマイクロエマルションにおける平均粒子径である。
【0044】
本発明のマイクロエマルションは、常法により製造することができる。すなわち、混合順序は特に限定されず、含有成分を任意の順番、方法で混合し、可溶化して得ることができる。また、攪拌は機械による高いせん断力を加えてもよいし、手攪拌によっても容易に微細なマイクロエマルションを形成させることができる。
【0045】
本発明のマイクロエマルションは、保存安定性に優れる。また、本発明のマイクロエマルションは、塗布中の肌へのべたつきが少ないため、使用感に優れる。
そのため、本発明のマイクロエマルションは、皮膚外用剤の態様とすることが好適であり、具体的には化粧料、医薬部外品、医薬品の態様に好適である。
【0046】
本発明のマイクロエマルションは、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の成分を任意に配合することができる。
かかる任意成分としては、化粧料等の皮膚外用剤に通常用いられるものであればよく、
例えば、他のアルコール、粉体、保湿剤、他の界面活性剤、金属イオン封鎖剤、パール剤、アミノ酸、有機アミン、pH調整剤、ビタミン類、酸化防止剤、防腐剤、水溶性高分子、各種有効成分等が挙げられる。
【0047】
他のアルコールとしては、成分(C)以外のものとして、例えば、エタノールなどの一価の低級アルコール;エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール等の2価のアルコール等が挙げられる。
【0048】
粉体としては、球状、針状、板状等その形状は特に限定されず、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、アルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリ(メタ)アクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等);金属石鹸(例えば、ミ
リスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム);無機白色顔料
(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッド雲母、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0049】
保湿剤としては、例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0050】
他の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び成分(A)以外の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0051】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、
POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POEアルキルエーテルカルボン酸;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0052】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-
3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベ
ンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0053】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0054】
成分(A)以外の非イオン性界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーン類(例えば、ポリエチレングリコール-10ジメチコン、ポリエチレングリコール-12ジメチコン等);ポリグリセリン変性シリコーン類(例えば、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等);ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリル、(モノステアリン酸/リンゴ酸)グリセリル等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);POE・POPアルキルエーテル;グリセリンアルキルエーテル等の非親水性非イオン性界面活性剤が挙げられる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグ
リセリル等);POEソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);POEアルキルフェニルエーテル類(例えば、POEノニルフェニルエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック(登録商標)等);テトラ POE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロ
ニック等);POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルグルコシド;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等の親水性非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0055】
本発明のマイクロエマルションは、成分(A)以外の界面活性剤を実質的に含有しないものとすることができる。
なお、「成分(A)以外の界面活性剤を実質的に含有しない」とは、本発明のマイクロエマルションに意図的に成分(A)以外の界面活性剤を添加しないことをいい、本発明のマイクロエマルションの製造において不可避的にわずかに混入する微量の前記界面活性剤を含んでいてもよい。例えば、配合されている成分に付随する前記界面活性剤であって本発明のマイクロエマルション中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないような前記界面活性剤(いわゆるキャリーオーバー成分)は含有していてもよい。例えば、本発明のマイクロエマルション中の成分(A)以外の界面活性剤の含有量は、0.1質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下であり、さらに好ましくは0.001質量%以下であり、特に好ましくは0質量%である。
【0056】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0057】
パール剤としては、例えば、ジステアリン酸グリコール、チタンマイカ等が挙げられる。
【0058】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0059】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0060】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0061】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体
、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0062】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、ピロ亜硫酸塩、没食子酸エステル、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0063】
防腐剤としては、例えば、パラベン類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0064】
水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、カラギーナン、デンプン(コ
メ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例え
ば、デキストラン、プルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等の天然の水溶性高分子、
デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);
ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等の合成の水溶性高分子が挙げられる。
【0065】
各種有効成分としては、例えば、消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【実施例0066】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない
限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
表1に基づき水中油型のマイクロエマルション組成物を調製した。具体的には、表1中の水以外の各成分を混合し、60℃に加温し溶解した後、60℃に加温した水を徐々に添加しながら、60℃、120rmpの条件で撹拌・混合した。その後、25℃まで冷却した。
得られた各マイクロエマルション組成物について、以下の項目について評価した。結果を表1に合わせて示す。
【0068】
【表1】
【0069】
<粒子径及び保存安定性>
組成物を40℃にて1ヶ月保存した後の外観について、目視で確認した。
また、保存前後の組成物について動的光散乱法により平均粒子径を算出した。測定にはELSZ-2000Z(大塚電子社製)を用い、20℃にて、PP製ディスポセル、積算75回で行い、キュムラント解析を行った。各組成物について、保存後の平均粒子径から、保存前の平均粒子径を差し引いた値(以下、保存前後の平均粒子径の差とも称する)を算出し、以下の基準で保存安定性を評価した。
◎:保存前後の平均粒子径の差が0nm以上50nm未満である
〇:保存前後の平均粒子径の差が50nm以上100nm未満である
△:保存前後の平均粒子径の差が100nm以上175nm未満である
×:保存前後の平均粒子径の差が175nm以上であるか、明らかな分離又はクリーミング
が生じている。
【0070】
<べたつきのなさ>
10名の専門評価パネリストが、組成物を直接前腕内側部に塗布する際のべたつきを評価し、べたつきがあると評価したパネリストの人数に基づき以下の基準で評価した。
◎:塗布中の肌にべたつきがない(べたつきがあると評価したパネリストの人数が2名以下である)
〇:塗布中の肌にべたつきがほとんどない(べたつきがあると評価したパネリストの人数が3~5名である)
△:塗布中の肌にべたつきがある(べたつきがあると評価したパネリストの人数が6~8名である)
×:塗布中の肌にべたつきがかなりある(べたつきがあると評価したパネリストの人数が9名以上である)
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明により、保存安定性に優れ、かつ使用感に優れる微細なマイクロエマルションが提供される。本発明のマイクロエマルションは、使い心地の良い皮膚外用剤への適用が期待されるため、産業上非常に有用である。