(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007894
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】燃焼式ヒータの排気管構造
(51)【国際特許分類】
B60H 1/03 20060101AFI20250109BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60H1/03 A
B60H1/22 631Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109607
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮里 佳明
(72)【発明者】
【氏名】太田 篤治
(72)【発明者】
【氏名】大橋 繁
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩之
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA60
3L211DA49
(57)【要約】
【課題】排気管の背圧が大きくなるのを抑制すると共に乗員室に影響をより小さくする。
【解決手段】燃焼式ヒータは、車両の前方の助手席下方の側部に配置され、助手席前方下側や運転席前方下側から温風を供給する。燃焼式ヒータの排気管構造としては、焼式ヒータの排気管を助手席下方の側面に沿って後方に延出し、前輪と後輪の間で助手席側面方向に向けて排気管出口を配置する。前輪と後輪の間に排気管出口を配置するから、車両後部に排気管出口を配置するものに比して、排気管の長さを短くすることができ、排気管の背圧が大きくなるのを抑制することができる。また、助手席側面方向に向けて排気管出口を配置するから、排気の乗員室への影響をより小さくすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方の助手席下方の側部に配置され、少なくとも助手席前方下側と運転席前方下側とから温風を供給する燃焼式ヒータの排気管構造であって、
前記燃焼式ヒータの排気管を助手席下方の側面に沿って後方に延出し、前輪と後輪の間で前記助手席側面方向に向けて排気管出口を配置する、
ことを特徴とする燃焼式ヒータの排気管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃焼式ヒータの排気管構造に関し、詳しくは、車両の助手席前方下側と運転席前方下側とから温風を供給する燃焼式ヒータの排気管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼式ヒータとしては、ヒータ本体の上部に吸気サイレンサを重ね合わせるように配置し、その周囲を、エアーが流通し得るように下面が開放したカバーで覆うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この燃焼式ヒータでは、上方や側方からの水をカバーで遮ることにより、水が吸気サイレンサから吸入するのを防止している。また、また、下方からの水もカバーの内面とヒータ本体との間に設けられた防水板によって遮ることにより、吸気サイレンサに達しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用の燃焼式ヒータでは、ヒータ本体や吸気口、温風の吹き出し口の配置や、排気管の配置をどのようにするかが課題となる。特に、燃焼式ヒータの排気管の配置としては、排気管の長さが長くなると背圧が大きくなり、短くすると背圧は小さくなるものの乗員室に影響を与える場合が生じる。
【0005】
本開示の燃焼式ヒータの排気管構造は、排気管の背圧が大きくなるのを抑制すると共に乗員室に影響をより小さくすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の燃焼式ヒータの排気管構造は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の燃焼式ヒータの排気管構造は、
車両の前方の助手席下方の側部に配置され、少なくとも助手席前方下側と運転席前方下側とから温風を供給する燃焼式ヒータの排気管構造であって、
前記燃焼式ヒータの排気管を助手席下方の側面に沿って後方に延出し、前輪と後輪の間で前記助手席側面方向に向けて排気管出口を配置する、
ことを特徴とする。
【0008】
本開示の燃焼式ヒータは、車両の前方の助手席下方の側部に配置され、少なくとも助手席前方下側と運転席前方下側とから温風を供給する。本開示の燃焼式ヒータの排気管構造では、燃焼式ヒータの排気管を助手席下方の側面に沿って後方に延出し、前輪と後輪の間で助手席側面方向に向けて排気管出口を配置する。前輪と後輪の間に排気管出口を配置するから、車両後部に排気管出口を配置するものに比して、排気管の長さを短くすることができ、排気管の背圧が大きくなるのを抑制することができる。また、助手席側面方向に向けて排気管出口を配置するから、排気の乗員室への影響をより小さくすることができる。この結果、排気管の背圧が大きくなるのを抑制すると共に乗員室に影響をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態としての燃焼式ヒータ20の車両への平面的な配置の一例を模式的に示す平面配置模式図である。
【
図2】実施形態の燃焼式ヒータ20の車両への側面から見た配置の一例を模式的に示す側面配置模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1は、本開示の実施形態としての燃焼式ヒータ20の車両への平面的な配置の一例を模式的に示す平面配置模式図である。
図2は、実施形態の燃焼式ヒータ20の車両への側面から見た配置の一例を模式的に示す側面配置模式図である。
【0011】
実施形態の燃焼式ヒータ20は、図示しないが、内部が下側の燃焼室と上側の加熱室とに分離されている。燃焼室には、燃料と空気とを混合して燃焼する燃焼装置が組み込まれている。燃焼式ヒータ20は、燃焼室の燃焼エネルギにより加熱室の空気を加熱することによりヒータとして機能する。燃焼式ヒータ20は、車両の助手席下方の側部(ドア側)に配置されている。
【0012】
燃焼式ヒータ20の燃焼室の燃焼装置には、燃焼室の下部の車両前方部に吸気管22が取り付けられており、燃焼室の下部の車両後方部に排気管24が取り付けられている。排気管24は、助手席の下方でドアに沿って車両後方に延出し、助手席側の前輪と後輪との間で助手席側の斜め後方に向かって排気を排出する排気管出口26が配置されている。燃焼式ヒータ20の燃焼室の燃焼装置には、後部座席の下近傍に配置された燃料タンク40に接続された燃料供給管42が取り付けられている。したがって、燃料タンク40から燃料供給管42を介して燃焼室の燃焼装置に供給された燃料は、吸気管22から供給された空気と混合されて燃焼し、排気管24に導かれて助手席側の前輪と後輪との間で助手席側の斜め後方に配置された排気管出口26から斜め後方であって外側方向に排出される。
【0013】
燃焼式ヒータ20の加熱室には、その上部の車両後方部に吸気口30が取り付けられており、車両前方にダクト32が取り付けられている。ダクト32は、助手席の足下の前方に34が取り付けられており、更に運転席側まで延出して運転席の足下の前方に運転席側吹き出し口36が取り付けられている。したがって、吸気口30から供給された空気は、加熱室で加熱されてダクト32を介して助手席側吹き出し口34や運転席側吹き出し口36から吹き出され、乗員室を加温する。
【0014】
以上説明した実施形態の燃焼式ヒータ20では、燃焼室の下部の車両後方部に排気管24を取り付け、排気管24を助手席の下方でドアに沿って車両後方に延出し、助手席側の前輪と後輪との間で助手席側の斜め後方に向かって排気する排気管出口26を配置する。このように前輪と後輪の間に排気管出口26を配置するから、車両後部に排気管出口26を配置するものに比して、排気管24の長さを短くすることができ、排気管24の背圧が大きくなるのを抑制することができる。また、助手席側の斜め後方に向かって排気する排気管出口26を配置するから、排気の乗員室への影響をより小さくすることができる。
【0015】
実施形態の燃焼式ヒータ20は、右ハンドルの車両において運転席の左側に配置した助手席側に取り付けるものとしたが、左ハンドルの車両では、運転席の右側に配置した助手席側に取り付けれるものとしてもよい。
【0016】
実施形態の燃焼式ヒータ20の加温効果を高めるために、運転席および助手席と後部座席との間に遮熱効果を有するカーテンなどを取り付けるものとしてもよい。このカーテンで運転席および助手席と後部座席との間を遮熱すれば、運転席のみの一人乗車のときや運転席と助手席の二人乗車のときのヒータの効果をより高くすることができる。
【0017】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、燃焼式ヒータ20が「燃焼式ヒータ」に相当し、排気管24が「排気管」に相当し、排気管出口26が「排気管出口」に相当する。
【0018】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0019】
以上、本開示を実施形態を用いて説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本開示は、燃焼式ヒータの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0021】
20 燃焼式ヒータ、22 吸気管、24 排気管、26 排気管出口、30 吸気口
、32ダクト、34 助手席側吹き出し口、36 運転席側吹き出し口、40 燃料タンク、42 燃料供給管。