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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007902
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109621
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 喬裕
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】車両共有サービスで用いられるサービス対象車両が間違った車室に返却される可能性を低減する。
【解決手段】本発明は、車両共有サービスにおけるサービス対象車両を管理する車両管理システムであって、サービス対象車両は、出発前に駐車場における複数の車室のいずれかに駐車しており、返却時に複数の前記車室のいずれかに返却される。車両管理システムは、サービス対象車両によって返却時に撮影された車室の撮影データである返却時撮影データを取得する取得部と、返却時撮影データ、および、返却予定の車室に対応する画像データである車室別正解画像データに基づいて、サービス対象車両が返却された車室が正しいか否かを判定する判定部と、判定部によって正しくないと判定された場合、サービス対象車両の利用者が使用する機器に対して警告メッセージ情報を送信する送信制御部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の人が利用タイミングをずらしてサービス対象車両を共同で利用することを可能にする車両共有サービスにおける前記サービス対象車両を管理する車両管理システムであって、
前記サービス対象車両は、出発前に駐車場における複数の車室のいずれかに駐車しており、返却時に複数の前記車室のいずれかに返却され、
前記車両管理システムは、
前記サービス対象車両によって返却時に撮影された車室の撮影データである返却時撮影データを取得する取得部と、
前記返却時撮影データ、および、前記サービス対象車両の返却予定の車室に対応する画像データである車室別正解画像データに基づいて、前記サービス対象車両が返却された車室が正しいか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって正しくないと判定された場合、前記サービス対象車両の利用者が使用する機器に対して警告メッセージ情報を送信する送信制御部と、を備える車両管理システム。
【請求項2】
前記サービス対象車両の出発時の車室と前記返却予定の車室が同じである場合、
前記取得部は、前記サービス対象車両によって出発時に撮影された車室の撮影データである出発時撮影データを取得し、
前記判定部は、前記返却時撮影データ、および、前記出発時撮影データに基づいて、前記サービス対象車両が返却された車室が正しいか否かを判定する、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記車室別正解画像データは、前記車室ごとに予め撮影された撮影データである事前撮影データであり、
前記判定部は、前記返却時撮影データ、および、前記返却予定の車室に対応する前記事前撮影データに基づいて、前記サービス対象車両が返却された車室が正しいか否かを判定する、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記事前撮影データは、複数の時間帯それぞれについて用意されており、
前記判定部は、前記返却時撮影データ、および、前記返却予定の車室に対応する複数の前記事前撮影データのうち前記返却時撮影データの撮影時刻に対応する時間帯の前記事前撮影データに基づいて、前記サービス対象車両が返却された車室が正しいか否かを判定する、請求項3に記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記取得部は、時間差のある複数の前記返却時撮影データを取得し、
前記判定部は、複数の前記返却時撮影データ、および、前記車室別正解画像データに基づいて、前記サービス対象車両が返却された車室が正しいか否かを判定する、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項6】
前記返却時撮影データは、前記サービス対象車両のドライブレコーダーによって返却時に撮影された車室の撮影データである、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項7】
前記送信制御部は、前記サービス対象車両の返却前の所定のタイミングにおいて、前記サービス対象車両の利用者が使用する機器に対して前記車室別正解画像データを含む返却関連情報を送信する、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項8】
前記車両共有サービスは、登録を行った複数の会員が利用タイミングをずらして前記サービス対象車両を共同で利用することを可能にするカーシェアリングサービスである、請求項1に記載の車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両共有サービスが行われている。車両共有サービスとは、複数の人が利用タイミングをずらして特定の車両(以下、「シェア車両」や「サービス対象車両」とも称する。)を共同で利用することを可能にするサービスであり、例えば、カーシェアリングサービスやレンタカーサービスなどである。以下、カーシェアリングサービスを例にとる。
【0003】
カーシェアリングサービスとは、登録を行った複数の会員が利用タイミングをずらしてシェア車両を共同で利用することを可能にするサービスである。
【0004】
シェア車両は、出発前(貸し出し前)には、例えば、時間貸し駐車場(駐車時間に応じた額の課金が行われる駐車場)における複数の車室のうちの1つの車室に駐車している。その車室は、シェア車両用に確保されており、時間貸しの課金は行われない。その他の車室は、時間貸しの課金が行われる。
【0005】
カーシェアリングサービスの利用者は、会員登録後、スマートフォンやパソコンなどを用いて、シェア車両の利用について、希望の日時、貸し出し場所(駐車場)、車種などを入力して検索する。検索条件に合致するシェア車両があれば、利用者は、そのシェア車両を予約する。
【0006】
そして、利用者は、予約の日時に、該当の駐車場に赴いて、予約したシェア車両を借りる。具体的には、例えば、利用者は、スマートフォンなどを用いてシェア車両のドアのロックを解除し、車内に格納されるキーを取り出し、エンジンを始動してシェア車両の走行を開始する。その後、利用者は、予約時に指定した返却日時までに、返却場所として指定された車室に戻ってシェア車両を返却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-182656号公報
【特許文献2】特開2022-152086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、カーシェアリングサービスでは、シェア車両の貸し出し時や返却時に運営側の係員は立ち会わない。そのため、利用者の故意または過失により、シェア車両が間違った車室に返却されることがある。そうすると、例えば、間違った車室が時間貸し用の車室であった場合、シェア車両の次の利用者は、シェア車両を出発させるためにそれまでの駐車料金を支払わなければならない、といった問題がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、車両共有サービスで用いられるサービス対象車両が間違った車室に返却される可能性を低減することができる車両管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数の人が利用タイミングをずらしてサービス対象車両を共同で利用することを可能にする車両共有サービスにおける前記サービス対象車両を管理する車両管理システムであって、前記サービス対象車両は、出発前に駐車場における複数の車室のいずれかに駐車しており、返却時に複数の前記車室のいずれかに返却される。前記車両管理システムは、前記サービス対象車両によって返却時に撮影された車室の撮影データである返却時撮影データを取得する取得部と、前記返却時撮影データ、および、前記返却予定の車室に対応する画像データである車室別正解画像データに基づいて、前記サービス対象車両が返却された車室が正しいか否かを判定する判定部と、前記判定部によって正しくないと判定された場合、前記サービス対象車両の利用者が使用する機器に対して警告メッセージ情報を送信する送信制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両管理システムによれば、車両共有サービスで用いられるサービス対象車両が間違った車室に返却される可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態における駐車場の一部を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態の車両管理システムの概要を示すブロック構成図である。
図3図3は、実施形態における車室ごとの撮影データを模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態における返却案内画面の例を示す図である。
図5図5は、実施形態における警告メッセージ画面の例を示す図である。
図6図6は、実施形態のシェア車両とサーバ装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の車両管理システムの実施形態について説明する。以下の実施形態では、車両共有サービスとして、カーシェアリングサービスの場合を例にとる。カーシェアリングサービスの利用者は、会員登録を行うことで、サービス対象車両(シェア車両)を利用可能となる。
【0014】
なお、以下において、「車室」とは、本来の車室のみを指す狭義の意味である場合のほかに、本来の車室およびその周囲を含む広義の意味である場合がある。例えば、撮影対象としての「車室」は、広義の意味である。
【0015】
図1は、実施形態における駐車場Pの一部を模式的に示す図である。図1では、駐車場Pの一部として、4つの車室PS1~PS4が示されている。車室PS1は、シェア車両用に確保された車室である。車室PS2~PS4は、時間貸し用の車室である。車室PS1には、予約されたシェア車両4(サービス対象車両)が駐車している。具体的には、カーシェアリングサービスの運営側(以下、単に「運営側」という。)の係員は、シェア車両4を、運転することで車室PS1まで移動させ、利用者が利用開始できる状態にしておく。
【0016】
また、図1に示すように、車室PS1~PS4のそれぞれに対して、壁Wにおいて、〇、×、△、□の模様が付されている。なお、これらの単純な模様は図示や説明を簡潔にするためのものであり、実際には、例えば、壁Wに複雑な模様等があってもよいし、あるいは、壁Wの代わりに、木や柵や各種施設などが存在していてもよい。
【0017】
利用者は、予約の日時に、該当の駐車場Pに赴いて、予約したシェア車両4を借りる。具体的には、例えば、利用者は、スマートフォンなどを用いてシェア車両4のドアのロックを解除し、車内に格納されるキーを取り出し、エンジンを始動してシェア車両4の走行を開始する。その後、利用者は、予約時に指定した返却日時までに、返却場所として指定された車室に戻ってシェア車両4を返却する。
【0018】
一般に、カーシェアリングサービスでは、シェア車両4が返却された場合に、運営側の係員が、そのシェア車両4を所定のカープール(車両基地)や別の車室や別の駐車場に移動させる場合がある。しかし、運営側の係員は、原則、シェア車両4の貸し出し時や返却時に立ち会わない。
【0019】
また、利用者は、シェア車両4の返却に先立ち、どの駐車場のどの車室にシェア車両4を返却すべきか、あらかじめ指示されている。しかしながら、利用者の故意または過失(指示の失念)により、シェア車両4が間違った車室に返却されることがある。
【0020】
例えば、シェア車両4が間違って時間貸し用の車室PS2~PS4のいずれに返却された場合、シェア車両4の次の利用者は、シェア車両4を出発させるためにそれまでの駐車料金を支払わなければならない、といった問題がある。その場合、後で運営側がその利用者にその駐車料金を補償することになるので、その利用者に金銭的な損失は発生しないが、その利用者の手間や運営側の手間および金銭的損失という点で好ましくなく、改善が望まれている。
【0021】
そこで、以下では、シェア車両4が間違った車室に返却される可能性を低減することができる技術について説明する。
【0022】
図2は、実施形態の車両管理システムSの概要を示すブロック構成図である。車両管理システムSは、サーバ装置1と、駐車場管理システム2と、利用者端末3と、シェア車両4と、を備える。
【0023】
駐車場管理システム2は、駐車場Pにおける空き状況や料金精算などを管理するコンピュータシステムである。駐車場Pは、車両(カーシェアリングサービスに用いられるシェア車両4を含む。)を駐車させるための領域である。
【0024】
シェア車両4は、車載システム41と、撮影部42と、を備える。車載システム41は、メイン制御を行うCPU(Central Processing Unit)や、シェア車両4を制御するための制御回路や、無線通信を行うための無線通信部などを備える。車載システム41は、通信ネットワークNを介してサーバ装置1等と通信を行う。また、車載システム41は、表示部を含むカーナビシステム等を備えている。
【0025】
撮影部42は、シェア車両4の周囲を撮影するための装置であって、例えば、ドライブレコーダーにおけるカメラやその他の車載カメラである。
【0026】
利用者端末3は、利用者によって使用されるコンピュータ装置であって、例えば、スマートフォンである。利用者は、例えば、利用者端末3を用いて、シェア車両4の利用予約情報(例えば、利用者の氏名、利用日時、車種、駐車場、車室などの情報)をサーバ装置1に送信したり、サーバ装置1から各種情報を受信したりする。なお、利用者端末3は、スマートフォンに限定されず、タブレット装置などであってもよい。
【0027】
サーバ装置1は、コンピュータ装置であって、記憶部11と、UI(User Interface)部12と、通信部13と、処理部14と、の各構成を備える。各構成は、バス15等を介して互いに通信可能に接続されている。
【0028】
記憶部11は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等から構成され、各種情報を記憶する。記憶部11は、例えば、車室別正解画像データ111と、返却時撮影データ112と、を記憶する。
【0029】
車室別正解画像データ111は、シェア車両4の返却予定の車室に対応する画像データである(詳細は後述)。
【0030】
返却時撮影データ112は、シェア車両4によって返却時に撮影された車室の撮影データである。例えば、返却時撮影データ112は、シェア車両4のドライブレコーダーによって返却時に撮影された車室の撮影データである。
【0031】
UI部12は、各種情報を表示する表示機能、および、利用者による操作入力を受付けるための入力機能を備える。表示機能は、例えば、ディスプレイである。入力機能は、例えば、キーボード、マウス、ペンタブレット等のポインティングデバイス等である。UI部12は、表示機能および入力機能を一体的に構成したタッチパネルであってよい。
【0032】
通信部13は、通信ネットワークNを介して他の装置と通信するための通信インタフェースである。
【0033】
処理部14は、各種情報処理を実行する。処理部14は、例えば、CPU等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、あるいは、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。処理部14は、機能構成として、取得部141と、判定部142と、制御部143と、を備える。
【0034】
取得部141は、各種情報を取得する。取得部141は、例えば、利用者端末3から、駐車場P内のシェア車両4の予約に関する情報を示す利用予約情報を取得する。
【0035】
また、取得部141は、シェア車両4から、出発時に撮影された車室の撮影データである出発時撮影データや、返却時に撮影された車室の撮影データである返却時撮影データを取得する。出発時撮影データは、車室別正解画像データ111として保存される。返却時撮影データは、返却時撮影データ112として保存される。
【0036】
判定部142は、各種判定処理を実行する。例えば、判定部142は、返却時撮影データ112、および、車室別正解画像データ111に基づいて、シェア車両4が返却された車室が正しいか否かを判定する。具体的には、判定部142は、画像パターンマッチングや機械学習などの手法によって、上述の車室の正否判定を行う。
【0037】
ここで、図3は、実施形態における車室ごとの撮影データを模式的に示す図である。(a)~(d)は、車室PS1~PS4(図1)に対応した撮影データである。このように、車室PS1~PS4のそれぞれを後方駐車の車両から後方に撮影した場合に、それらの撮影データが互いに識別可能になっていればよい。
【0038】
したがって、車室ごとの撮影データが互いに識別可能になっていれば、例えば、このような模様付きの壁Wの代わりに、木や柵や各種施設などが存在していてもよい。また、例えば、壁Wが真っ白で車室ごとの撮影データが互いに識別可能になっていない場合には、車室ごとの撮影データが互いに識別可能になるように、各種細工(例えば、壁Wへの模様付きシールの貼付やペインティングなど)を施せばよい。
【0039】
図1図3の例では、シェア車両用に確保された車室が車室(PS1)であるので、シェア車両4は車室(PS1)に返却される。ここで、例えば、返却時撮影データ112が図3の(a)で、車室別正解画像データ111も図3の(a)である場合、判定部142は、シェア車両4が返却された車室(PS1)が正しいと判定する。もちろん、シェア車両4は車室(PS1)にのみ返却されるわけではなく、システムから指示された車室に返却されればよい。
【0040】
一方、返却時撮影データ112が図3の(b)~(d)のいずれかで、車室別正解画像データ111が図3の(a)である場合、判定部142は、シェア車両4が返却された車室が正しくない(間違っている)と判定する。
【0041】
制御部143は、各種制御を実行する。例えば、判定部142によってシェア車両4が返却された車室が正しくないと判定された場合、制御部143(送信制御部)は、シェア車両4の利用者が使用する機器(車載システム41、利用者端末3など)に対して警告メッセージ情報を送信する。
【0042】
ここで、図5は、実施形態における警告メッセージ画面の例を示す図である。この警告メッセージ画面は、例えば、サーバ装置1から警告メッセージ情報を受信したシェア車両4の車載システム41(カーナビシステム)において表示される。警告メッセージ画面において、上側には、シェア車両4が正しい車室に返却できているかの確認の指示文が表示される。また、下側には、その車室1番(図1の車室PS1)に対応する車室別正解画像データ111(図3の(a))が表示される。利用者は、この返却案内画面を見ることで、シェア車両4の返却時に返却予定の車室PS1を容易に認識することができる。
【0043】
図2に戻って、シェア車両4の出発時に、出発時の車室と、このシェア車両4を返却すべきとして利用者に指示する車室とが同じである場合、取得部141は、シェア車両4によって出発時に撮影された車室の撮影データである出発時撮影データを取得する。出発時撮影データは、車室別正解画像データ111として保存される。その場合、判定部142は、返却時撮影データ112、および、車室別正解画像データ111(出発時撮影データ)に基づいて、シェア車両4が返却された車室が正しいか否かを判定する。
【0044】
また、車室別正解画像データ111は、例えば、車室ごとに予め撮影された撮影データである事前撮影データであってもよい。その場合、判定部142は、返却時撮影データ112、および、シェア車両4の返却予定の車室に対応する車室別正解画像データ111(事前撮影データ)に基づいて、シェア車両4が返却された車室が正しいか否かを判定する。
【0045】
また、正解画像データとして事前撮影データを用いる場合、事前撮影データは、例えば、複数の時間帯(例えば、朝、昼、夜など。)それぞれについて用意されている。その場合、判定部142は、返却時撮影データ112、および、シェア車両4の返却予定の車室に対応する複数の事前撮影データ(車室別正解画像データ111)のうち返却時撮影データ112の撮影時刻に対応する時間帯の事前撮影データに基づいて、シェア車両4が返却された車室が正しいか否かを判定する。
【0046】
また、取得部141は、シェア車両4から、時間差のある複数(例えば、5秒おきで4枚)の返却時撮影データを取得する。複数の返却時撮影データは、返却時撮影データ112として保存される。その場合、判定部142は、複数の返却時撮影データ(返却時撮影データ112)、および、車室別正解画像データ111に基づいて、シェア車両4が返却された車室が正しいか否かを判定する。
【0047】
また、制御部143(送信制御部)は、シェア車両4の返却前の所定のタイミングにおいて、シェア車両4の利用者が使用する機器(車載システム41、利用者端末3など)に対して車室別正解画像データ111を含む返却関連情報を送信する。
【0048】
ここで、図4は、実施形態における返却案内画面の例を示す図である。前述したように、例えば、シェア車両4は出発した際と同じ車室に返却されるように利用者に指示される。あるいは、出発した際の車室とは異なる車室に返却されるように指示されてもよい。返却される車室を利用者に指示するために、この返却案内画面が表示される。
【0049】
この返却案内画面は、例えば、サーバ装置1から返却関連情報を受信したシェア車両4の車載システム41において表示される。返却案内画面において、上側には、車両返却時に車室1番(図1の車室PS1)に返却する旨の指示文が表示される。また、下側には、その車室1番(図1の車室PS1)に対応する車室別正解画像データ111(図3の(a))が表示される。利用者は、この返却案内画面を見ることで、シェア車両4の返却時に返却予定の車室PS1を容易に認識することができる。
【0050】
次に、図6は、実施形態のシェア車両4とサーバ装置1の処理の流れを示すシーケンス図である。この処理が始まる時点で、シェア車両4は、駐車場Pの車室PS1(図1)に駐車している。利用者は、予約の日時に、駐車場Pに赴いて、スマートフォンなどを用いてシェア車両4のドアのロックを解除し、車内に格納されるキーを取り出し、エンジンを始動してシェア車両4の走行を開始する。また、シェア車両4は、GPS(Global Positioning System)機能を搭載していて、電源オン状態のときは、自身の位置情報を定期的にサーバ装置1に送信する。
【0051】
まず、ステップS1において、シェア車両4は、出発したか否かを判定し、Yesの場合はステップS2に進み、Noの場合はステップS1に戻る。例えば、利用者がシェア車両4の電源をオンにしたときに、ステップS1でYesとなる。もちろん、車両の電源オンに加えて実際に車両が走行を開始したことを車速センサなどで検知し、これをもって出発と判定してもよい。
【0052】
ステップS2において、シェア車両4は、撮影部42によって車室を撮影する。次に、ステップS3において、シェア車両4は、撮影データ(図3(a))をサーバ装置1に送信する。これを受けて、サーバ装置1の取得部141は、撮影データを取得し、記憶部11に車室別正解画像データ111として保存する。
【0053】
次に、ステップS4において、サーバ装置1の制御部143は、シェア車両4に関して、返却予定日時、返却予定の駐車場Pおよび車室PS1(以下、「返却場所」ともいう。)、その車室PS1に対応する車室別正解画像データ111を含む返却関連情報を作成する。
【0054】
次に、ステップS5において、サーバ装置1の制御部143は、シェア車両4から定期的に送られてくる位置情報に基づいて、シェア車両4が返却場所に近づいたか否かを判定し、Yesの場合はステップS6に進み、Noの場合はステップS5に戻る。例えば、シェア車両4から返却場所までの距離が一旦、所定距離閾値(例えば1km)以上になった後に、シェア車両4から返却場所までの距離が所定距離閾値以下になると、ステップS5でYesとなる。
【0055】
ステップS6において、サーバ装置1の制御部143は、返却関連情報をシェア車両4に送信する。なお、この返却関連情報の送信は、もっと早期の段階で実行されてもよい。
【0056】
これを受けて、ステップS7において、シェア車両4は、カーナビシステムの表示部に、返却関連情報に基づく返却案内画面(図4)を表示する。利用者は、返却すべき車室1番(図1の車室PS1)に対応する車室別正解画像データ111を含む返却案内画面を見ることで、返却すべき車室PS1を容易に認識することができる。
【0057】
次に、ステップS8において、シェア車両4は、車室に返却されたか否かを判定し、Yesの場合はステップS9に進み、Noの場合はステップS8に戻る。例えば、シェア車両4が返却すべき車室に近い位置で後方駐車動作の後に停止したときに、ステップS8でYesとなる。
【0058】
ステップS9において、シェア車両4は、撮影部42によって車室を撮影する。次に、ステップS10において、シェア車両4は、撮影データをサーバ装置1に送信する。これを受けて、サーバ装置1の取得部141は、撮影データを取得し、記憶部11に返却時撮影データ112として保存する。
【0059】
次に、ステップS11において、サーバ装置1の判定部142は、返却時撮影データ112、および、車室別正解画像データ111に基づいて、シェア車両4が返却された車室が正しいか否かを判定し、Yesの場合は処理を終了し、Noの場合はステップS12に進む。
【0060】
例えば、返却時撮影データ112が図3の(a)で、車室別正解画像データ111も図3の(a)である場合、判定部142は、シェア車両4が返却された車室が正しいと判定する。
【0061】
一方、返却時撮影データ112が図3の(b)~(d)のいずれかで、車室別正解画像データ111が図3の(a)である場合、判定部142は、シェア車両4が返却された車室が正しくない(間違っている)と判定する。
【0062】
ステップS12において、制御部143は、シェア車両4に対して警告メッセージ情報を送信する。
【0063】
次に、ステップS13において、シェア車両4は、警告メッセージ情報を受信したか否かを判定し、Yesの場合はステップS14に進み、Noの場合は処理を終了する。
【0064】
ステップS14において、シェア車両4は、カーナビシステムの表示部に、警告メッセージ情報に基づく警告メッセージ画面(図5)を表示する。利用者は、この警告メッセージ画面を見ることで、シェア車両4を返却した車室が間違っている可能性があることを知ることができる。その後、例えば、利用者は、シェア車両4を返却した車室が正しいか否かを確認し、間違っていた場合は、正しい車室に返却し直す。
【0065】
このように、実施形態の車両管理システムSによれば、シェア車両4が車室に返却されたときに、サーバ装置1で車室別正解画像データ111と返却時撮影データ112に基づいてその車室が正しいか否かを判定し、正しくないと判定した場合、シェア車両4に対して警告メッセージ情報を送信して警告メッセージ画面(図5)を表示させる。これにより、利用者に対して車室が間違っている可能性について注意喚起することができ、その後に利用者がシェア車両4を正しい車室に返却し直すことを期待できるので、シェア車両4が間違った車室に返却される可能性を低減することができる。
【0066】
また、シェア車両4の出発時の車室と返却予定の車室が同じである場合、車室別正解画像データ111として、出発時に撮影された車室の撮影データである出発時撮影データを用いることができる。これにより、シェア車両4の返却時の車室の正否判定をより正確に行うことができる。また、図4に示す返却案内画面において、現実の(数時間前の)返却予定の車室の画像を表示させることができるので、利用者は、戸惑うことなく返却すべき車室を把握することができ、間違った車室にシェア車両4を返却する可能性をより低減できる。
【0067】
また、シェア車両4の出発時の車室と返却予定の車室が異なる場合には、車室別正解画像データ111として、事前撮影データを用いることができる。これにより、シェア車両4の出発時の車室と返却予定の車室が異なる場合であっても、シェア車両4の返却時の車室の正否判定を行うことができる。
【0068】
また、図4に示す返却案内画面において、返却予定の車室の画像を表示させることができるので、利用者が間違った車室にシェア車両4を返却する可能性をより低減できる。その場合、事前撮影データを用いると、利用者にとっては、自分が数時間前に見た景色とは印象が異なる景色を見せられることになる可能性がある。しかし、車室別正解画像データ111として、出発時撮影データが使えない場合、撮影データとして何も使わない場合に比べて事前撮影データを使ったほうがよい。つまり、どんな場合でも確実に、返却案内画面に返却予定の車室の画像を含めることができるという利点がある。
【0069】
また、シェア車両4の出発時の車室と返却予定の車室が同じである場合であっても、出発時撮影データが品質不良(不鮮明や、手前の移動物体の写り込みありなど)のときは、車室別正解画像データ111として事前撮影データを用いてもよい。
【0070】
また、車室別正解画像データ111として用いる事前撮影データは、複数の時間帯(例えば、朝、昼、夜など。)それぞれについて用意しておいてもよい。そして、シェア車両4の返却時には、シェア車両4の返却予定の車室に対応する複数の事前撮影データのうち返却時撮影データの撮影時刻に対応する時間帯の事前撮影データに基づいて、シェア車両4が返却された車室が正しいか否かを判定するようにすればよい。そうすることで、時間帯による環境の明るさの違いによる誤判定の可能性を低減できる。また、その場合、同じ時刻でも、日付によって環境の明るさは異なる(例えば、6月の18時と12月の18時では環境の明るさは異なる)ので、日付も考慮して判定するようにしてもよい。
【0071】
また、図4に示す返却案内画面において、返却時と同じ時間帯の返却予定の車室の画像を表示させることができるので、利用者が間違った車室にシェア車両4を返却する可能性をより低減できる。
【0072】
また、返却時撮影データ112として、時間差のある複数(例えば、5秒おきで4枚)の返却時撮影データを用いてもよい。例えば、1つの返却時撮影データの場合、歩行者や動物(犬、猫など)などの移動物体が映っていると、シェア車両4の返却時の車室の正否判定に悪影響を与えることがある。一方、時間差のある複数の返却時撮影データを用いることで、少なくとも1つの返却時撮影データには移動物体が映っていない可能性があるので、シェア車両4の返却時の車室の正否判定に与える悪影響を低減できる。
【0073】
また、シェア車両4に元から搭載されているドライブレコーダーによって出発時や返却時に車室の撮影を行うことで、新たな撮影手段を設ける必要がないので、低コストで済む。
【0074】
また、シェア車両4の返却前の所定のタイミングにおいて、シェア車両4で図4に示す返却案内画面を表示させることで、利用者がシェア車両4を間違った車室に返却する可能性をより低減できる。
【0075】
これらの実施形態のサーバ装置1や利用者端末3やシェア車両4などで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができる。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0076】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0077】
例えば、本発明を適用する車両共有サービスは、カーシェアリングサービスに限定されない。シェア車両の貸し出し時や返却時に運営側の係員が立ち会わないものであれば、他のサービスであってもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、シェア車両4が車室に後方駐車することを前提として、シェア車両4から後方に向かって車室を撮影することにしているが、これに限定されない。ドライブレコーダーは、一般に、車両の前方および後方の両方を撮影するので、その両方の画像のうち、必要な画像を使用すればよい。
【0079】
また、実施形態では、サーバ装置1が各種の記憶や処理を行うことにしたが、サーバ装置1を用いずに、その各種の記憶や処理をすべてシェア車両4の側で行うようにしてもよい。
【0080】
また、図4に示す返却案内画面や、図5に示す警告メッセージ画面は、シェア車両4のカーナビシステムの表示部ではなく、利用者端末3に表示させるようにしてもよい。その場合、例えば、図4に示す返却案内画面で用いられる情報のうち、上側の指示文の情報はサーバ装置1から利用者端末3に送信し、下側の車室別正解画像データはシェア車両4から利用者端末3に送信し、利用者端末3内のアプリケーションプログラムによって図4に示す返却案内画面を作成するようにしてもよい。
【0081】
また、返却予定の車室が複数ある場合(例えば、図1の車室PS1、PS2のどちらに返却してもよい場合)は、車室別正解画像データ111としてその複数の車室に対応する画像データを用いればよい。
【0082】
また、駐車場Pは屋内駐車場と屋外駐車場のいずれでもよい。
【0083】
また、ドライブレコーダーとして、常時撮影型でないものを使用する場合は、撮影する可能性が発生した時点(例えば、シェア車両4の返却時であれば、シェア車両4が後方駐車動作を開始したときなど)で撮影を開始すればよい。
【0084】
また、本発明は、手動運転車だけでなく、自動運転車にも適用できる。
【符号の説明】
【0085】
1…サーバ装置、2…駐車場管理システム、3…利用者端末、4…シェア車両、11…記憶部、12…UI部、13…通信部、14…処理部、41…車載システム、42…撮影部、111…車室別正解画像データ、112…返却時撮影データ、141…取得部、142…判定部、143…制御部、P…駐車場、PS1~RS4…車室、S…車両管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6