(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007903
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】傘支持体
(51)【国際特許分類】
A47G 25/12 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A47G25/12 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109622
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】福西 健介
【テーマコード(参考)】
3K099
【Fターム(参考)】
3K099AA24
3K099BA16
3K099BA19
3K099CA32
3K099DA06
3K099DA13
3K099EA14
(57)【要約】
【課題】 濡れた傘の乾燥のための支持と、乾燥後の傘の支持を、スペースを有効利用して行い得る傘支持体の提供。
【解決手段】 上方に開口し、縦長方向が正面背面方向である角丸長方形状の穴状部B中の下方部における正面側に、上方開口の嵌合支持穴部C、穴状部B中の嵌合支持穴部Cの背面側に正面側上向支持部Dを設ける。背面側の永久磁石部A2において磁気吸着支持状態で使用する。嵌合支持穴部Cに、閉じた傘の先端部を内嵌して起立支持する。傘布L1及び傘骨が自由状態である閉じた傘の先端が、正面側上向支持部Dにより支持されると共に、基端寄りの所定位置が、正面側上縁部に傾斜状態で支持される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開口の穴状部を有し、
前記穴状部中の下方部に、傘の先端を上向き及び正面側向きに支持するための正面側上向支持部を有し、
傘布及び傘骨が自由状態であるか又は自由状態でない閉じた傘の先端が前記正面側上向支持部により上向き及び正面側向きに支持されると共に、当該傘における前記先端よりも基端寄りの所定位置が前記穴状部の正面側の上縁部に背面側向きに支持されることにより、当該傘は、正面側に傾斜し、前記所定位置よりも基端寄りの部分が前記穴状部よりも上方に露出する状態で支持され得るものである傘支持体。
【請求項2】
上記穴状部中の下方部に、閉じた傘の先端部が下向きに内嵌することにより当該傘を起立支持し得る上方開口の嵌合支持穴部を有し、
前記穴状部中の前記嵌合支持穴部以外の位置に、上記正面側上向支持部を有し、
閉じた傘の先端部が前記嵌合支持穴部に下向きに内嵌された場合、当該傘は、前記嵌合支持穴部により起立支持され得、
傘布及び傘骨が自由状態であるか又は自由状態でない閉じた傘の先端が前記正面側上向支持部により上向き及び正面側向きに支持されると共に、当該傘における前記先端よりも基端寄りの所定位置が前記穴状部の正面側の上縁部に背面側向きに支持された場合、当該傘は、正面側に傾斜し、前記所定位置よりも基端寄りの部分が前記穴状部よりも上方に露出する状態で支持され得るものである請求項1記載の傘支持体。
【請求項3】
上記嵌合支持穴部が、上記穴状部中の正面側に位置する請求項2記載の傘支持体。
【請求項4】
上記正面側上向支持部が、嵌合支持穴部の上縁部よりも上方に位置する請求項2又は3記載の傘支持体。
【請求項5】
上記穴状部の上端部は、正面側がそれ以外よりも低い請求項1乃至3の何れか1項に記載の傘支持体。
【請求項6】
上記穴状部のうち、上記正面側上向支持部よりも上方の部分の水平断面形状の正面背面方向の寸法が、左右方向寸法よりも長い請求項1乃至3の何れか1項に記載の傘支持体。
【請求項7】
折り畳んだ状態の折畳傘の先端側部分の少なくとも一部を上向きに支持するための折畳傘用支持部を、上記穴状部中の上記正面側上向支持部よりも上方に有する請求項1乃至3の何れか1項に記載の傘支持体。
【請求項8】
上方開口の穴状部を有し、
前記穴状部中の下方部に、閉じた傘の先端部が下向きに内嵌することにより当該傘を起立支持し得る上方開口の嵌合支持穴部を有し、
閉じた傘の先端部が前記嵌合支持穴部に下向きに内嵌された場合、当該傘は、前記嵌合支持穴部により起立支持され得、
折り畳んだ状態の折畳傘の先端側部分の少なくとも一部を上向きに支持するための折畳傘用支持部を、前記穴状部中の前記嵌合支持穴部の上縁部よりも上方に有する傘支持体。
【請求項9】
上記穴状部を1つ有するか又は2以上の上記穴状部を所要の間隔をおいて有する請求項1乃至3及び請求項8の何れか1項に記載の傘支持体。
【請求項10】
背面側に、磁気吸着により支持されるための永久磁石部を有する請求項1乃至3及び請求項8の何れか1項に記載の傘支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥や保管などのために傘を支持する傘支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-11019号公報には、傘軸にあるストッパー4を働らかせて閉じた傘の骨5が自由に開かない状態で、干そうとする傘の先を挿入して傘を垂直より外側へ傾斜させた状態に支持する傾斜支持部3と、干す必要のない傘の先を挿入する垂直支持部2を備えた傘干しできる傘立て器の発明が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、濡れた傘の乾燥のための支持と、乾燥後の傘の支持を、スペースを有効利用して行い得る傘支持体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば次のように表すことができる。
【0006】
(1) 上方開口の穴状部を有し、
前記穴状部中の下方部に、傘の先端を上向き及び正面側向きに支持するための正面側上向支持部を有し、
傘布及び傘骨が自由状態であるか又は自由状態でない閉じた傘の先端が前記正面側上向支持部により上向き及び正面側向きに支持されると共に、当該傘における前記先端よりも基端寄りの所定位置が前記穴状部の正面側の上縁部に背面側向きに支持されることにより、当該傘は、正面側に傾斜し、前記所定位置よりも基端寄りの部分が前記穴状部よりも上方に露出する状態で支持され得るものである傘支持体。
【0007】
(2) 上記穴状部中の下方部に、閉じた傘の先端部が下向きに内嵌することにより当該傘を起立支持し得る上方開口の嵌合支持穴部を有し、
前記穴状部中の前記嵌合支持穴部以外の位置に、上記正面側上向支持部を有し、
閉じた傘の先端部が前記嵌合支持穴部に下向きに内嵌された場合、当該傘は、前記嵌合支持穴部により起立支持され得、
傘布及び傘骨が自由状態であるか又は自由状態でない閉じた傘の先端が前記正面側上向支持部により上向き及び正面側向きに支持されると共に、当該傘における前記先端よりも基端寄りの所定位置が前記穴状部の正面側の上縁部に背面側向きに支持された場合、当該傘は、正面側に傾斜し、前記所定位置よりも基端寄りの部分が前記穴状部よりも上方に露出する状態で支持され得るものである上記(1)記載の傘支持体。
【0008】
(3) 上記嵌合支持穴部が、上記穴状部中の正面側に位置する上記(2)記載の傘支持体。
【0009】
(4) 上記正面側上向支持部が、嵌合支持穴部の上縁部よりも上方に位置する上記(2)又は(3)記載の傘支持体。
【0010】
(5) 上記穴状部の上端部は、正面側がそれ以外よりも低い上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の傘支持体。
【0011】
(6) 上記穴状部のうち、上記正面側上向支持部よりも上方の部分の水平断面形状の正面背面方向の寸法が、左右方向寸法よりも長い上記(1)乃至(5)の何れか1項に記載の傘支持体。
【0012】
(7) 折り畳んだ状態の折畳傘の先端側部分の少なくとも一部を上向きに支持するための折畳傘用支持部を、上記穴状部中の上記正面側上向支持部よりも上方に有する上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の傘支持体。
【0013】
(8) 上方開口の穴状部を有し、
前記穴状部中の下方部に、閉じた傘の先端部が下向きに内嵌することにより当該傘を起立支持し得る上方開口の嵌合支持穴部を有し、
閉じた傘の先端部が前記嵌合支持穴部に下向きに内嵌された場合、当該傘は、前記嵌合支持穴部により起立支持され得、
折り畳んだ状態の折畳傘の先端側部分の少なくとも一部を上向きに支持するための折畳傘用支持部を、前記穴状部中の前記嵌合支持穴部の上縁部よりも上方に有する傘支持体。
【0014】
(9) 上記穴状部を1つ有するか又は2以上の上記穴状部を所要の間隔をおいて有する上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載の傘支持体。
【0015】
(10) 背面側に、磁気吸着により支持されるための永久磁石部を有する上記(1)乃至(9)の何れか1項に記載の傘支持体。
【発明の効果】
【0016】
本発明の傘支持体によれば、傘の支持を、スペースを有効利用して行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】傘骨の周囲に傘布が巻き付けられた閉じた傘が嵌合支持穴部に支持された傘支持体の縦断面図である。
【
図4】傘布及び傘骨が自由状態の閉じた傘が正面側上向支持部及び穴状部の正面側の上縁部に支持された傘支持体の縦断面図である。
【
図5】傘布及び傘骨が自由状態の閉じた傘が支持された傘支持体の正面側斜視図である。
【
図8】傘骨の周囲に傘布が巻き付けられた閉じた傘が嵌合支持穴部に支持された傘支持体の縦断面図である。
【
図9】傘布及び傘骨が自由状態の閉じた傘が正面側上向支持部及び穴状部の正面側の上縁部に支持された傘支持体の縦断面図である。
【
図10】折り畳んだ状態の折畳傘の先端部の外周部が折畳傘用支持部に支持された傘支持体の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(1)
図1乃至5は、何れも本発明の実施の形態の第1の例としての傘支持体Aに関するものである。
【0020】
(2) この傘支持体Aは、上方開口のほぼ上下方向の穴状部B中の下方部における正面側に、上方開口の嵌合支持穴部Cを有し、穴状部B中の嵌合支持穴部Cの背面側に正面側上向支持部Dを有する。
【0021】
(3) 傘支持体Aの穴状部Bのうち、嵌合支持穴部C及び正面側上向支持部Dよりも上方の部分は、水平断面形状が、縦長方向が正面背面方向である角丸長方形状をなす。
【0022】
傘支持体Aの外形は、背面が垂直平面、底面は水平状、正面及び両側面は、水平断面形状において、正面側から略U字状に両側面を経て背面まで緩やかに両側に拡がる。
【0023】
上方開口の穴状部Bの上端部B1は、正面側に向かって一定角度(この例の場合約15度)で下降傾斜している。穴状部Bの上方開口縁B2は、全周にわたり上方に向かって外方へ湾曲している。
【0024】
傘支持体Aの背面側には、シート状の永久磁石体からなり、垂直面を形成する、永久磁石部A2が設けられている。傘支持体Aは、背面側の永久磁石部A2において、玄関ドアGの内側の垂直状面若しくはその他の垂直状面であって鉄系材料などの磁気吸着可能な材料からなる背面側支持対象に磁気吸着支持された状態で使用される。
【0025】
(4) この例の傘支持体Aが支持している傘Lは、傘布L1が取り付けられた傘骨が開閉する傘L(長傘である洋傘)である。
【0026】
傘支持体Aが支持する傘Lは、閉じた傘、すなわち、
傘骨が傘Lの中棒(シャフト)に近接又は接し、傘布L1も傘骨の周囲に巻き付けられた状態の閉じた傘であるか、
傘骨が傘Lの中棒(シャフト)から自然に離隔し、傘布L1が自然に傘骨から外方に広がった自由状態の閉じた傘
である。
【0027】
(5) 嵌合支持穴部Cは、穴状部B中の下方部における正面側に設けられ、下方に向かって漸次内径が縮小する垂直状軸線を有する略円錐台状をなす。
【0028】
図3に示されるように、上方開口の嵌合支持穴部Cに、傘布L1が傘骨の周囲に巻き付けられた状態の閉じた傘の先端部が、下向きに内嵌されることにより、嵌合支持穴部Cによって、その傘Lが起立支持される。
【0029】
正面側上向支持部Dには傘Lは支持されていない。嵌合支持穴部Cは、水が漏れる孔等を有しない。
【0030】
(6) 穴状部B中の嵌合支持穴部Cの背面側に設けられた正面側上向支持部Dは、嵌合支持穴部Cの背面側上縁から背面側に向かって上向きに傾斜し、穴状部B内の背面側に至る傾斜面である。
【0031】
図4及び
図5に示されるように傘布L1及び傘骨が自由状態である閉じた傘の先端が、正面側上向支持部Dにより、上向き及び正面側向きに支持されると共に、その傘Lにおける先端よりも基端寄りの所定位置(手元又は持ち手寄りの上方である、傘布L1の基部側の約7分の6の位置)が、穴状部Bの正面側の上縁部に背面側向きに支持されることにより、傘Lは正面側に傾斜した状態となる。この状態で、傘Lは、前記所定位置よりも基端寄りの部分(傘布L1については、基部側の約7分の6の部分)が穴状部Bよりも上方に露出する状態で支持される。嵌合支持穴部Cには、傘Lは支持されていない。
【0032】
傘布L1及び傘骨が自由状態であり、傘布L1が傘骨の周囲に巻き付けられることなく自然に傘骨から外方に広がる閉じた傘が、正面側に傾斜して所定位置よりも基端寄りの部分が穴状部Bよりも上方に露出する状態で支持されるので、濡れた傘布L1の乾燥に効果的である。
【0033】
(7)
図6乃至10は、何れも本発明の実施の形態の第2の例としての傘支持体Mに関するものである。
【0034】
この傘支持体Mは、上方開口のほぼ上下方向の穴状部N中の下方部における下部の正面側に、上方開口の嵌合支持穴部Pを有する。穴状部N中の下方部のうち嵌合支持穴部Pよりも上方の部分は、水平断面形状が、縦長方向が正面背面方向である角丸長方形状をなし、当該部分における嵌合支持穴部Pの上の背面側に正面側上向支持部Qを有する。この例における正面側上向支持部Qは、嵌合支持穴部Pの背面側上縁から背面側に向かって上向きに傾斜する傾斜面である。
【0035】
穴状部N中の上方部分は、前記角丸長方形状水平断面の下方部との境界部付近に、外方に向かって上方傾斜しつつ拡径した折畳傘用支持部Rを有する円形水平断面状をなす。
【0036】
上方開口の穴状部Nの上端部N1は、正面側に向かって一定角度で下降傾斜している。穴状部Nの上方開口縁N2は、全周にわたり上方に向かって外方へ湾曲している。傘支持体Mの背面側には永久磁石部M1が設けられている。
【0037】
傘Lは、
図8に示されるように(
図3に示され、
図3について上記されるのと同様に)嵌合支持穴部Pにより起立支持されるか、
図9に示されるように(
図4及び
図5に示され、
図4及び
図5について上記されるのと同様に)正面側上向支持部Q及び穴状部Nの正面側の上縁部により傾斜支持され得る。傘Lが嵌合支持穴部P又は正面側上向支持部Qにより支持されていない場合に、
図10に示されるように、折り畳んだ状態の折畳傘Sを穴状部Nに対し上方開口から下向きに挿入することにより、その折り畳んだ状態の折畳傘Sの先端部の外周部等が、折畳傘用支持部Rにより上向きに支持され、折畳傘Sが穴状部Nにより起立状態で支持され得る。
【0038】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0039】
本発明の傘支持体は、傘を起立状に支持するためのものであり、上方開口の穴状部を有し、その穴状部中の下方部に、上方開口の嵌合支持穴部を有し、前記穴状部中の前記嵌合支持穴部以外の位置に正面側上向支持部を有する。
【0040】
(1) 上方開口の穴状部を有する傘支持体は、例えば、上方開口の穴状部のうち、嵌合支持穴部及び正面側上向支持部並びにその他に有し得る上向支持部よりも上方の部分が、垂直軸線を有するものとすることができる。また傘支持体は、背面側が垂直状(垂直平面、凹部を有する垂直平面)であることが好ましいが、これに限るものではない。
【0041】
上方開口の穴状部を有する傘支持体は、例えば、
背面側が、玄関ドアの内側の垂直状面若しくはその他の垂直状面又はその他の箇所に接する状態で玄関ドア等の背面側支持対象に支持された状態で使用するものとすることや、
玄関等の水平状面等の上に下部が支持された状態で載置されて使用するものとすることができる。
【0042】
背面側支持対象が鉄系材料などの磁気吸着可能な材料からなるものである場合は、傘支持体の背面側に永久磁石部を設けて傘支持体の背面側が背面側支持対象に磁気吸着により支持された状態として使用され得るものとすることができる。永久磁石部は、例えば、板状又はシート状の永久磁石体からなるものとすることができるが、これに限るものではない。
【0043】
また、傘支持体の背面側に、背面側支持対象に対し吸着し得る吸盤部(例えばゴム状材料や合成樹脂などからなるもの)を設けて傘支持体の背面側が背面側支持対象に吸着された状態として使用され得るものとすること、傘支持体の背面側に、背面側支持対象に対し粘着又は接着し得る部分を設けて傘支持体の背面側が背面側支持対象に粘着又は接着した状態として使用され得るものとすること、玄関ドア又はその他の支持対象に傘支持体の背面側が接する状態で支持対象に設けられたフック等に吊り下げられた状態で使用され得るものとするも可能である。
【0044】
傘支持体は、上方開口の穴状部を1つ有するものとすることが好ましいが、2以上の穴状部を、所要の間隔をおいて有するものとすることもできる。
【0045】
(2) 傘支持体が支持対象とする傘は、主として、傘布が取り付けられた傘骨が開閉する傘であり、長傘、特に洋傘である。
【0046】
また、傘支持体が支持する傘の状態は、傘骨が開かれて傘布が張り広げられて使用される状態の開いた傘ではなく、閉じた傘である。
【0047】
閉じた傘としては、
傘の軸線方向の一部において傘布の外周部に紐状体又は帯状体等が巻き付けられる或いは傘袋に挿入される等することにより傘骨が傘の中棒(シャフト)に近接又は接し、傘布も傘骨の周囲に巻き付けられた状態の閉じた傘と、
傘布の外周部に紐状体又は帯状体等が巻き付けられる等されることがなく、傘骨が傘の中棒(シャフト)から自然に離隔し、傘布が傘骨の周囲に巻き付けられることなく自然に傘骨から外方に広がった自由状態の閉じた傘がある。
【0048】
(3) 上方開口の穴状部のうち、嵌合支持穴部及び正面側上向支持部並びにその他に有し得る上向支持部よりも上方の部分の水平断面形状は、好ましくは正面背面方向の寸法が左右方向寸法よりも長い形状であり、例えば、楕円形状(好ましくは長径が正面背面方向である楕円形状)若しくは角丸長方形状(好ましくは、縦長方向が正面背面方向である角丸長方形状)、円形状、多角形状(好ましくは正面背面方向の寸法が左右方向寸法よりも長い多角形状)などとすることができ、
上記水平断面形状は垂直軸線を中心として一定であるもの(垂直楕円柱状、垂直円柱状、垂直多角形柱状等)とすることができるが、これらに限るものではない。
【0049】
上方開口の穴状部の上端部は、正面側がそれ以外よりも低いもの、正面側に向かって下降傾斜するものが好ましいが、これらに限るものではない。
【0050】
穴状部の上方開口縁は、(好ましくは全周にわたり)上方に向かって外方へ湾曲するものとすることが、穴状部に対する傘の挿脱により傘布等を傷めることを防ぐ上で好ましい。
【0051】
(4) 嵌合支持穴部は、穴状部中の下方部に有し、上方開口するものである。嵌合支持穴部は、穴状部中の正面側に位置することが好ましいが、必ずしも正面側に位置することを要するものではない。
【0052】
閉じた傘の先端部が嵌合支持穴部に下向きに内嵌された場合、当該傘は、前記嵌合支持穴部により起立支持(例えば直立支持)され得る。嵌合支持穴部に下向きに内嵌される閉じた傘の先端部というのは、例えば、中棒の先端部、中棒の先端部及び傘布の先端部で覆われた部分、又は中棒が傘布の先端部より突起していない状態の傘布の先端部で覆われた部分である。
【0053】
上方開口の嵌合支持穴部は、例えば、下方に向かって漸次内径が縮小する垂直状軸線を有する略円錐台状をなすものとすることができるが、これに限るものではなく、例えば円柱形状、楕円柱形状、多角形柱状などとすることもできる。
【0054】
嵌合支持穴部は、水が漏れる孔等を有しないものとすることができるが、傘の支持に影響しない水抜き孔などの孔部を有するものとすることもできる。
【0055】
(5) 正面側上向支持部は、穴状部中の嵌合支持穴部以外の位置に、傘の先端を上向き及び正面側向きに支持するためのものである。
【0056】
正面側上向支持部は、例えば、嵌合支持穴部の上縁部よりも上方位置に設けることができるが、必ずしもこれらに限るものではない。例えば、上縁部よりも下方に窪んだ凹部や、その他の、嵌合支持穴部と区画された部分に位置するものとすることも妨げない。
【0057】
傘布及び傘骨が自由状態であるか又は自由状態でない閉じた傘の先端が正面側上向支持部により上向き及び正面側向きに支持されると共に、当該傘における前記先端よりも基端寄り(手元又は持ち手寄りの上方、例えば、傘布の基部側の5分の3の位置又はそれよりも先端側)の所定位置が、穴状部の正面側の上縁部に背面側向きに支持された場合、当該傘は、正面側に傾斜し、前記所定位置よりも基端寄りの部分(傘布については、例えば基部側の5分の3又はそれ以上の比率の部分)が前記穴状部よりも上方に露出する状態で支持され得るものである。なお、嵌合支持穴部により起立支持された状態の傘における穴状部の正面側の上縁部の位置は、一般に、前記所定位置よりも基端寄りである。
【0058】
傘布及び傘骨が自由状態である閉じた傘の場合、傘布が傘骨の周囲に巻き付けられることなく自然に傘骨から外方に広がった状態となり得、正面側に傾斜して前記所定位置よりも基端寄りの部分が穴状部よりも上方に露出する状態で支持されるので、濡れた傘布の乾燥に効果的である。玄関ドアの内側面等の背面側支持対象を可及的に濡らさずに傘布を乾燥させることも可能である。
【0059】
傘を正面側に傾斜した状態で支持する上で、正面側上向支持部は、嵌合支持穴部よりも背面側に位置することが好ましい。
【0060】
傘支持体が、2以上の穴状部を所要の間隔をおいて有するものである場合、各穴状部において、傘布及び傘骨が自由状態である閉じた傘を正面側に傾斜した状態で、それぞれの傘の傘布の乾燥に支障がないように前記所要の間隔を設けることが望ましい。
【0061】
(6) 本発明の傘支持体は、折り畳んだ状態の折畳傘の先端側部分の少なくとも一部を上向きに支持するための折畳傘用支持部を、穴状部中の上記嵌合支持穴部の上縁部及び上記正面側上向支持部よりも上方に有するものとすることもできる。
【0062】
傘が嵌合支持穴部により起立支持されていない場合であって、傘が正面側上向支持部により支持されていない場合に、折り畳んだ状態の折畳傘(従って、一般の傘である長傘が前記のように嵌合支持穴部により起立支持されたり正面側上向支持部により支持された状態で穴状部内に位置する部分よりも外周が大きいもの)を穴状部に対し上方開口から下向きに挿入することにより、当該折り畳んだ状態の折畳傘の先端側部分の少なくとも一部が、折畳傘用支持部により上向きに支持され、当該折畳傘が穴状部により起立状態で支持され得る。
【符号の説明】
【0063】
A 傘支持体
A1 永久磁石部
B 穴状部
B1 上端部
B2 上方開口縁
C 嵌合支持穴部
D 正面側上向支持部
G 玄関ドア
L 傘
L1 傘布
M 傘支持体
M1 永久磁石部
N 穴状部
N1 上端部
N2 上方開口縁
P 嵌合支持穴部
Q 正面側上向支持部
R 折畳傘用支持部
S 折畳傘