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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025079072
(43)【公開日】2025-05-21
(54)【発明の名称】内装部品及びその組付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20250514BHJP
   B60Q 3/217 20170101ALI20250514BHJP
   B60Q 3/62 20170101ALI20250514BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20250514BHJP
   F21W 106/00 20180101ALN20250514BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60Q3/217
B60Q3/62
F21V8/00 282
F21V8/00 241
F21V8/00 100
F21W106:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191498
(22)【出願日】2023-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛
【テーマコード(参考)】
3D023
3K040
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB08
3D023BC01
3D023BD03
3D023BE03
3D023BE25
3K040AA02
3K040GB08
3K040GC14
(57)【要約】
【課題】薄めのクッション層又はクッション層のない光ファイバー表皮材を採用する場合であっても、光ファイバー表皮材と相手部品との部品合わせ部からの光漏れを抑制することができる内装部品及びその組付構造を提供する。
【解決手段】本内装部品(オーナメント1A~1F)は、基材2と、該基材の表面を被覆する光ファイバー表皮材3と、を備える。基材の一端部には、所定半径の曲面12を備えた巻込処理部11が設けられている。曲面は、一端縁12aが基材の表面の一端縁と連続しており、他端縁12bが基材の裏面から離れた裏側に位置している。そして、巻込処理部には、曲面に沿うように光ファイバー表皮材の端末部3aが巻き込まれている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の表面を被覆する光ファイバー表皮材と、を備える内装部品であって、
前記基材の一端部には、所定半径の曲面を備えた巻込処理部が設けられており、
前記曲面は、一端縁が前記基材の表面の一端縁と連続しており、他端縁が前記基材の裏面から離れた裏側に位置しており、
前記巻込処理部には、前記曲面に沿うように前記光ファイバー表皮材の端末部が巻き込まれていることを特徴とする内装部品。
【請求項2】
前記巻込処理部は、前記基材に取り付けられた巻込処理部材により構成される請求項1に記載の内装部品。
【請求項3】
前記巻込処理部には、前記光ファイバー表皮材の端末部の先端側が差し込まれる溝が設けられている請求項1に記載の内装部品。
【請求項4】
前記曲面は、前記基材の一端縁に沿って長尺状に延設されている請求項1に記載の内装部品。
【請求項5】
前記基材は、面部と、前記面部の一端縁から立ち上がる立壁部と、を備え、
前記曲面は、一端縁が前記立壁部の表面の一端縁と連続しており、他端縁が前記立壁部の裏面から離れた裏側に位置している請求項1に記載の内装部品。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の内装部品の組付構造であって、
前記光ファイバー表皮材の前記曲面に沿う部分と相手部品とが突き合わされていることを特徴とする内装部品の組付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装部品及びその組付構造に関し、さらに詳しくは、光ファイバー表皮材を備える内装部品及びその組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内装部品として、基材と、基材の表面を被覆する光ファイバー表皮材と、を備えるものが一般に知られている(例えば、特許文献1等を参照)。この種の内装部品の組付構造としては、内装部品の意匠面側から相手部品(周辺部品)が乗せられるのっけ合わせ構造(特許文献1の図5参照)、もしくは相手部品の裏面側から内装部品が組み付けられる背切り合わせ構造(特許文献1の図7参照)が推奨される。
【0003】
一方、内装部品の裏面側から相手部品が乗せられるのっけ合わせ構造、もしくは相手部品の表面側から内装部品が組み付けられる背切り合わせ構造も一般に知られている。これらの構造では、例えば、図16(a)に示すように、光ファイバー表皮材103として、光ファイバーが織り込まれた織物106の裏面にクッション層107を積層してなるものを用い、内装部品101として、その光ファイバー表皮材103の端末部103aを基材102(具体的に立壁部102b)の一端側で巻き込んでなるものを用いることが多い。この場合、厚めのクッション層107(例えば、厚さ5mm等)を用いることで、光ファイバー表皮材103の意匠R113(即ち、相手部品133との部品合わせ部の意匠R113)として十分な大きさ(例えば、半径6mm等)を確保することができる。その結果、光ファイバー表皮材103と相手部品133との部品合わせ部からの光漏れが抑制され、部分的に明るい箇所が発生してしまうことが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-197083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、硬質な質感を実現する等のために、薄めのクッション層又はクッション層のない光ファイバー表皮材を採用することが要求される場合がある。しかしながら、このような光ファイバー表皮材を採用した場合、例えば、図16(b)に示すように、光ファイバー表皮材103’の意匠R113として十分な大きさを確保することが困難となる。その結果、光ファイバー表皮材103’と相手部品133との部品合わせ部からの光漏れが生じ、部分的に明るい箇所が発生してしまう恐れがある。
【0006】
なお、上記の問題は、基材102の立壁部102bの先端側で巻き込まれる光ファイバー表皮材103’と相手部品133との部品合わせ部において顕著なものとなる。ただし、立壁部102bのない基材102の先端側で巻き込まれる光ファイバー表皮材103’と相手部品133との部品合わせ部においても同様に生じる場合がある。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、薄めのクッション層又はクッション層のない光ファイバー表皮材を採用する場合であっても、光ファイバー表皮材と相手部品との部品合わせ部からの光漏れを抑制することができる内装部品及びその組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の通りである。
1.基材と、該基材の表面を被覆する光ファイバー表皮材と、を備える内装部品であって、
前記基材の一端部には、所定半径の曲面を備えた巻込処理部が設けられており、
前記曲面は、一端縁が前記基材の表面の一端縁と連続しており、他端縁が前記基材の裏面から離れた裏側に位置しており、
前記巻込処理部には、前記曲面に沿うように前記光ファイバー表皮材の端末部が巻き込まれていることを特徴とする内装部品。
2.前記巻込処理部は、前記基材に取り付けられた巻込処理部材により構成される上記1.に記載の内装部品。
3.前記巻込処理部には、前記光ファイバー表皮材の端末部の先端側が差し込まれる溝が設けられている上記1.に記載の内装部品。
4.前記曲面は、前記基材の一端縁に沿って長尺状に延設されている上記1.に記載の内装部品。
5.前記基材は、面部と、前記面部の一端縁から立ち上がる立壁部と、を備え、
前記曲面は、一端縁が前記立壁部の表面の一端縁と連続しており、他端縁が前記立壁部の裏面から離れた裏側に位置している上記1.に記載の内装部品。
6.上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の内装部品の組付構造であって、
前記光ファイバー表皮材の前記曲面に沿う部分と相手部品とが突き合わされていることを特徴とする内装部品の組付構造。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、薄めのクッション層又はクッション層のない光ファイバー表皮材を採用する場合であっても、相手部品との部品合わせ部における光ファイバー表皮材の意匠Rとして十分な大きさを確保することができる。その結果、光ファイバー表皮材と相手部品との部品合わせ部からの光漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施形態1に係るオーナメントを備える車両用ドアトリムの正面図である。
図2図1のII-II線断面拡大図である。
図3図2の要部拡大図である。
図4】オーナメントの要部斜視図であり、(a)は基材と光ファイバー表皮材の組付状態を示し、(b)は基材と光ファイバー表皮材の分離状態を示す。
図5】実施形態1に係る基材の平面図である。
図6】実施形態1に係る巻込処理部材の斜視図であり、(a)は表側からみた状態を示し、(b)は裏側からみた状態を示す。
図7】実施形態1に係る光ファイバー表皮材の模式図である。
図8】実施形態1の変形例1に係るオーナメントの組付構造の縦断面図である。
図9】実施形態1の変形例2に係るオーナメントの組付構造の縦断面図である。
図10】実施形態1の変形例3に係るオーナメントの組付構造の縦断面図である。
図11】実施形態2に係るオーナメントの組付構造の縦断面図である。
図12図11の要部拡大図である。
図13】実施形態2に係る基材の要部斜視図である。
図14】実施形態2に係るリブの斜視図である。
図15】他の形態に係るオーナメントの組付構造の縦断面図であり、(a)(b)は相手部品の表面側からオーナメントが組み付けられる構造を示す。
図16】従来の内装部品の組付構造の縦断面図であり、(a)は厚めのクッション層を有する光ファイバー表皮材を用いる形態を示し、(b)はクッション層のない光ファイバー表皮材を用いる形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0012】
以下、図面を用いて実施形態により本発明を具体的に説明する。なお、本実施形態では、本発明に係る「内装部品」として、車両用ドアトリム30を構成するオーナメント1Aを例示する。
【0013】
車両用ドアトリム30は、図1及び図2に示すように、金属製パネル32を車室内側から覆うトリム本体31を備えている。金属製パネル32には、オーナメント1Aと突き合わされる相手部品33が設けられている。トリム本体31は、車室内側の意匠面を形成するオーナメント1A、アッパーボード34及びロアボード35を備えている。オーナメント1Aは、アッパーボード34とロアボード35との間に配置されている。
【0014】
<実施形態1>
本実施形態に係るオーナメント1Aは、図2及び図3に示すように、基材2と、該基材2の表面の全面(又は一部)を被覆する光ファイバー表皮材3(以下、単に「表皮材3」とも記載する。)と、を備えている。なお、表皮材3は、通常、接着剤等により基材2の表面に貼り込まれる。
【0015】
基材2は、合成樹脂製で板状に形成されている(図5参照)。基材2は、面部2aと、面部2aの一端縁から立ち上がる立壁部2bと、を備えている。面部2aは平面略矩形に形成されている。また、基材2は所定の板厚(例えば2mm)を有している。また、基材2の裏面(具体的に面部2aの裏面)には、ベース部材(図示省略)に対して基材2を締結するための複数の締結ボス4が設けられている。
【0016】
なお、基材2は熱可塑性樹脂を含んでいることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(特にポリプロピレン)、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール及びABS等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。さらに、基材2は、上記の熱可塑性樹脂と補強繊維とを含んでいることができる。補強繊維としては、無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)や有機繊維(植物繊維、動物繊維等の天然繊維、またはポリエステル、ポリアミド、アラミド等の樹脂繊維)を利用できる。これらは1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。また、植物性繊維には、靭皮系植物繊維(例えば、ケナフ、フラックス、ジュート、ヘンプ、ラミー等)、葉脈系植物繊維(例えば、アバカ、サイザル、アガベ等)、木質系植物繊維(例えば、広葉樹及び針葉樹等から採取された植物繊維等)、その他の植物繊維(ココヤシ殻繊維、オイルパーム空果房繊維、稲わら繊維、麦わら繊維、タケ繊維、綿等)が含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0017】
表皮材3は、光ファイバー5が構成糸として織り込まれた織物6を備えている(図7参照)。織物6は所定の厚さ(例えば1mm)を有している。織物6の裏面にはクッション層7が積層されていない。ただし、表皮材3として、織物6と、織物6の裏面に積層される薄めのクッション層7と、を備えるものを採用してもよい。薄めのクッション層7としては、例えば厚さが5mm未満、特に3mm未満のものが挙げられる。また、クッション層7の材質は特に問わないが、軟質ポリウレタンフォームからなるシート材が用いられることが多い。十分なクッション性を有する限り、他の軟質樹脂フォームを用いることもできる。
【0018】
光ファイバー5は、一端側から入射された光が周面の一部又は全てから出射される側面発光型である。表皮材3には、織物6の一端縁から延出する光ファイバー5をスリーブ等で結束してなる収束部8が設けられている。収束部8の先端部に光源9からの光が入射されて、光ファイバー5によりその光が織物6の表面から出射されることで、意匠性や演出効果が高められる。光源9は、基材2の裏面に設けられた保持部(図示省略)に保持される。
【0019】
なお、光ファイバー5は、織物6を構成するタテ糸及びヨコ糸の少なくとも一方に用いられている。光ファイバー5がタテ糸として用いられている場合、タテ糸としての光ファイバーの割合は、全てのタテ糸の本数を100%とした場合に、10%以上90%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以上80%以下、更に好ましくは30%以上70%以下である。また、光ファイバー5がヨコ糸として用いられている場合、ヨコ糸としての光ファイバー5の割合は、全てのヨコ糸の本数を100%とした場合に、10%以上90%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以上80%以下、更に好ましくは30%以上70%以下である。なお、光ファイバー5の直径は特に限定されないが、製織性や汎用性の観点から、0.25~3mmであることが好ましく、より好ましくは0.1~1mmである。
【0020】
織物6を構成する光ファイバー5以外の構成糸(以下、「他の構成糸」ともいう)の種類は特に限定されないが、植物系及び動物系の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、合成樹脂からなる合成繊維等を材料とするものを採用することができる。合成繊維を構成する樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0021】
織物6を構成する他の構成糸において、タテ糸及びヨコ糸には、同一の糸が用いられていてもよいし、異なる糸が用いられていてもよい。また、タテ糸に用いられる他の構成糸は、1種のみであってもよいし、2種以上が併用されていてもよい。同様に、ヨコ糸に用いられる他の構成糸は、1種のみであってもよいし、2種以上が併用されていてもよい。また、他の構成糸の繊度は特に限定されないが、例えば、100dtex以上1000dtex以下であることが好ましく、より好ましくは200dtex以上700dtex以下、更に好ましくは300dtex以上500dtex以下である。
【0022】
基材2の一端部には、図3及び図4に示すように、所定半径(例えば5mm)の曲面12を備えた巻込処理部11が設けられている。曲面12の一端縁12aは、基材2(具体的に立壁部2b)の表面の一端縁と連続している。また、曲面12の他端縁12bは、基材2(具体的に立壁部2b)の裏面よりも裏側に位置している。また、曲面12は、基材2の一端縁に沿って長尺状に延設されている。曲面12の延設方向の長さは、曲面12の半径よりも長い値(例えば、曲面12の半径の5倍以上、特に10倍以上の値)に設定されている。
【0023】
なお、曲面12の所定半径としては、例えば3~20mm(特に4~10mm)が挙げられる。さらに、曲面12は、1つの所定半径の曲面であってもよいし、複数の異なる所定半径の曲面を連続させた連続曲面であってもよい。
【0024】
巻込処理部11には、曲面12に沿うように表皮材3の端末部3aが巻き込まれている。その表皮材3の端末部3aは、曲面12に沿う部分において所定半径(例えば6mm)の意匠R13を有している。意匠R13は、通常、曲面12の半径より大きな値である。意匠R13の所定半径としては、例えば3~20mm(特に4~10mm)が挙げられる。
【0025】
なお、本実施形態では、表皮材3において光ファイバー5が延出しない端末部3b(具体的に、表皮材3において光源9と接続される側の端末部3b(図7参照)と反対側の端末部3a)を巻込処理部11に巻き込む形態を例示するが、これに限定されず、例えば、表皮材3の端末部3bを巻込処理部11に巻き込む形態を採用してもよい。
【0026】
巻込処理部11は、基材2に取り付けられた巻込処理部材15(図6参照)により構成されている。巻込処理部材15は、基材2(具体的に立壁部2b)の一端縁に接続するように取り付けられている。具体的に、巻込処理部材15は、一端側が立壁部2bの先端と連なる円弧状部16と、一端側が円弧状部16の他端側と連なり立壁部2bと対向する第1面部17と、一端側が第1面部17の他端側と連なり面部2aと対向する第2面部18と、を有している。円弧状部16は、その表面が曲面12をなしている。また、第2面部18は面部2aに設けられた台座14上に載せられている。
【0027】
円弧状部16の一端側には、立壁部2bの先端側に形成された基材側段差部21と係合する段差部22が形成されている。第2面部18には、リベット、ビス等の締結部品23の軸23aが挿通する挿通孔24が形成されている。挿通孔24は、第2面部18の延設方向において軸23aの径より大きな幅に形成されている。そして、段差部21、22同士を係合させ且つ台座14上に第2面部18を載せて基材2に巻込処理部材15をセットし、その状態より、挿通孔24に締結部品23の軸23aを挿通して、段差部21、22同士を適度な反発力をもって係合させることで、基材2に巻込処理部材15が取り付けられる。
【0028】
巻込処理部材15には、表皮材3の端末部3aの先端側が差し込まれる溝26が設けられている。溝26は、表皮材3の端末部3aの先端側を折り曲げずに差し込み得るように配置されている。具体的に、溝26は、溝26の側面が第1面部17の表面に連なるように配置されている。
【0029】
なお、溝26の大きさ(深さ、幅等)は特に問わないが、表皮材3の先端側の差込性や保持性などを考慮した値に設定されることが好ましい。例えば、溝26は、溝26の底面に表皮材3の端末部3aを構成する光ファイバー5の端面が当接するように設定できる。
【0030】
本実施形態に係るオーナメント1Aの組付構造Sは、図2及び図3に示すように、表皮材3の曲面12に沿う部分と相手部品33とが突き合わされている。本組付構造Sは、相手部品33の表面側からオーナメント1Aが組み付けられる背切り合わせ構造である。相手部品33は、表皮材3の立壁部2bに沿う部分の表面と略面一となる立壁部22aを有している。
【0031】
次に、上記構成のオーナメント1Aの作用効果について説明する。オーナメント1Aとして、板厚2mmの基材2と、厚さ1mmの織物6からなる表皮材3(即ち、クッション層のない表皮材3)と、を備えるものを採用した。また、巻込処理部材15として、半径5mmの曲面12を備えるものを採用した。この場合、表皮材3の曲面12に沿う部分に半径6mmの十分に大きな意匠R13が確保された。そして、光源9の作動により表皮材3の表面から光を出射させた際に、表皮材3と相手部品33との部品合わせ部において光漏れの発生(即ち、部分的に明るい箇所の発生)がみられなかった。
【0032】
以上より、本実施形態のオーナメント1Aによると、基材2の一端部には、所定半径の曲面12を備えた巻込処理部11が設けられており、曲面12は、一端縁12aが基材2の表面の一端縁と連続しており、他端縁12bが基材2の裏面から離れた裏側に位置しており、巻込処理部11には、曲面12に沿うように光ファイバー表皮材3の端末部3aが巻き込まれている。これにより、薄めのクッション層又はクッション層のない光ファイバー表皮材3を採用する場合であっても、相手部品33との部品合わせ部における光ファイバー表皮材3の意匠R13として十分な大きさを確保することができる。その結果、光ファイバー表皮材3と相手部品33との部品合わせ部からの光漏れを抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、巻込処理部11は、基材2に取り付けられた巻込処理部材15により構成される。これにより、部品合わせ部での光漏れの抑制性及び/又は表皮材3の貼込性に適した曲面12を持つ巻込処理部11を提供することができる。
【0034】
また、本実施形態では、巻込処理部11には、光ファイバー表皮材3の端末部3aの先端側が差し込まれる溝26が設けられている。これにより、溝26により表皮材3の端末部3aを構成する光ファーバー5の端面からの光漏れが抑制(吸収)され、部品合わせ部からの光漏れをより効果的に抑制できる。
【0035】
また、本実施形態では、曲面12は、基材2の一端縁に沿って長尺状に延設されている。これにより、長尺状の曲面12により表皮材2の貼付け代を大きく確保できるので、巻込処理部11に対して表皮材2を強固に貼り込むことができる。
【0036】
また、本実施形態では、基材2は、面部2aと立壁部2bとを備え、曲面12は、一端縁12aが立壁部2bの表面の一端縁と連続しており、他端縁12bが立壁部2bの裏面から離れた裏側に位置している。これにより、基材2の立壁部2bの先端側で巻き込まれる光ファイバー表皮材3と相手部品33との部品合わせ部からの光漏れを効果的に抑制できる。
【0037】
さらに、本実施形態のオーナメントの組付構造Sによると、光ファイバー表皮材3の曲面12に沿う部分と相手部品33とが突き合わされている。これにより、薄めのクッション層又はクッション層のない光ファイバー表皮材3を採用する場合であっても、相手部品33との部品合わせ部における光ファイバー表皮材3の意匠R13として十分な大きさを確保することができる。その結果、光ファイバー表皮材3と相手部品33との部品合わせ部からの光漏れを抑制することができる。
【0038】
<実施形態1の変形例1>
次に、実施形態1の変形例1に係るオーナメント1Bについて説明するが、実施形態1のオーナメント1Aと略同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略する。
【0039】
本変形例に係るオーナメント1Bは、図8に示すように、基材2と光ファイバー表皮材3とを備えている。基材2の一端部には巻込処理部11が設けられている。巻込処理部11は、基材2に取り付けられた巻込処理部材15により構成されている。
【0040】
巻込処理部材15は、円弧状部16、第1面部17及び第2面部18を有している。巻込処理部材15には、表皮材3の端末部3aの先端側が差し込まれる溝26が設けられている。溝26は、第2面部18上に配置されている。
【0041】
<実施形態1の変形例2>
次に、実施形態1の変形例2に係るオーナメント1Cについて説明するが、実施形態1のオーナメント1Aと略同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略する。
【0042】
本変形例に係るオーナメント1Cは、図9に示すように、基材2と光ファイバー表皮材3とを備えている。基材2の一端部には巻込処理部11が設けられている。巻込処理部11は、基材2に取り付けられた巻込処理部材15により構成されている。
【0043】
巻込処理部材15は、一端側が立壁部2bの先端と連なり立壁部2bの延長部をなす延長壁部19を有している。さらに、巻込処理部材15は、一端側が延長壁部19の他端側と連なる円弧状部16と、一端側が円弧状部16の他端側と連なり延長壁部19及び立壁部2bと対向する第1面部17と、一端側が第1面部17の他端側と連なり基材2の面部2aと対向する第2面部18と、を有している。
【0044】
曲面12の一端縁12aは、延長壁部19の表面(即ち、立壁部2bの表面の延長面)の一端縁と連続している。言い替えると、曲面12の一端縁12aは、立壁部2bの表面の一端縁と間接的に連続している。これに対して、実施形態1のオーナメント1Aでは、曲面12の一端縁12aは立壁部2bの表面の一端縁と直接的に連続している(図3参照)。ここで、本発明に係る「前記曲面は、一端縁が前記基材の表面の一端縁と連続しており」とは、曲面12の一端縁12aが基材2の表面の一端縁と直接的又は間接的に連続していることを意図する。
【0045】
<実施形態1の変形例3>
次に、実施形態1の変形例3に係るオーナメント1Dについて説明するが、実施形態1のオーナメント1Aと略同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略する。
【0046】
本変形例に係るオーナメント1Dは、図10に示すように、基材2と光ファイバー表皮材3とを備えている。基材2の一端部には巻込処理部11が設けられている。巻込処理部11は、基材2に取り付けられた巻込処理部材15により構成されている。巻込処理部材15は、円弧状部16と第1面部17とを有している。円弧状部16の一端側は、立壁部2bの先端縁に溶着、接着、係合等により固定されている。
【0047】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係るオーナメント1Eについて説明するが、実施形態1のオーナメント1Aと略同じ構成部位については同符号を付けて詳説を省略する。
【0048】
本実施形態に係るオーナメント1Eは、図11及び図12に示すように、基材2と光ファイバー表皮材3とを備えている。基材2の一端部には、所定半径(例えば5mm)の曲面12を備えた巻込処理部11が設けられている。
【0049】
立壁部2bの表面の先端側には、立壁部2bの裏面に連なるR面29(例えば半径5mmのR面29)が形成されている。R面29により立壁部2bの先端側は先細り状をなしている。曲面12の一端縁12aはR面29の一端縁と連続している。
【0050】
巻込処理部11は、基材2と一体成形(例えば、射出成型等による一体成型)されたリブ28により構成されている(図13及び図14参照)。リブ28は、基材2の一端縁に沿って所定間隔で複数配置されている。複数のリブ28の間隔は、等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。リブ28は板状に形成されている。また、リブ28の上面には曲面12が形成されている。また、リブ28は、その背面が立壁部2bと連なり、その底面が面部2aと連なっている。
【0051】
以上より、本実施形態2のオーナメント1Eによると、実施形態1のオーナメント1Aと略同様の作用効果を奏するとともに、巻込処理部11は、基材2と一体成形されたリブ28により構成されているので、実施形態1のオーナメント1Aに比べて、部品点数の低減化及び軽量化を図ることができる。
【0052】
尚、本発明においては、上記実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。すなわち、上記実施形態では、立壁部2bを有する基材2を備えるオーナメント1A~1Eを例示したが、これに限定されず、例えば、図15に示すように、立壁部2bのない基材2を備えるオーナメント1Fを採用してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、オーナメントの組付構造Sとして、相手部品33の表面側からオーナメント1A~1Eが組み付けられる構造を例示したが、これに限定されず、例えば、オーナメント1A~1Eの裏面側から相手部品33が乗せられる構造などを採用してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、溝26を有する巻込処理部材15を例示したが、これに限定されず、例えば、溝26のない巻込処理部材15を採用してもよい。
【0055】
さらに、上記実施形態では、内装部品として、車両用ドアトリム30を構成するオーナメント1A~1Eを例示したが、これに限定されず、例えば、インストルメントパネル、ルーフトリム、フロアトリム、ラゲージトリム、リヤサイドトリム、リヤパーシェル、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレスト、センターコンソール、オーバヘッドコンソール、サンバイザー、シートなどの車両、航空機及び船舶など乗物用製品を構成する内装部品としてもよい。さらに、ソファや椅子などの家具を構成する内装部品であってもよい。
【0056】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、光ファイバー表皮材を備える内装部品に関する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0058】
1A~1F;オーナメント(内装部品) 2;基材
2a;面部 2b;立壁部
3;光ファイバー表皮材 3a;端末部
11;巻込処理部 12;曲面
12a;一端縁 12b;他端縁
15;巻込処理部材(巻込処理部) 26;溝
28;リブ(巻込処理部) 33;相手部品
S;オーナメントの組付構造。
図1
図2
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図5
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