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特開2025-7910真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置及び真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法、並びに、真空噴霧凍結乾燥装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007910
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置及び真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法、並びに、真空噴霧凍結乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 5/06 20060101AFI20250109BHJP
   B01J 2/04 20060101ALI20250109BHJP
   B01D 1/18 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F26B5/06
B01J2/04
B01D1/18
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109634
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000206439
【氏名又は名称】大川原化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217102
【弁理士】
【氏名又は名称】冨永 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 義人
(72)【発明者】
【氏名】根本 源太郎
(72)【発明者】
【氏名】小金井 稔元
(72)【発明者】
【氏名】大川原 正明
【テーマコード(参考)】
3L113
4D076
4G004
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AC21
3L113AC24
3L113BA02
3L113BA12
3L113CA16
3L113DA01
4D076AA02
4D076AA14
4D076AA24
4D076BA23
4D076CD22
4D076EA02Z
4D076EA08Z
4D076EA11Z
4D076EA14Z
4D076EA41
4D076FA22
4D076HA11
4D076JA03
4D076JA10
4G004EA05
(57)【要約】
【課題】真空噴霧凍結乾燥装置用に用いられる装置であって、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を少ない原料で簡便に取り出すことができる、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置を提供する。
【解決手段】
液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部に連なる乾燥部10と、この乾燥部10に連なる回収部20と、を備え、乾燥部10と回収部20が、凍結微粒子形成部40とともに一つの減圧空間を形成し、乾燥部10は、凍結微粒子形成部40で形成された凍結微粒子を受ける受け台11を有し、受け台11上に凍結微粒子を載置した状態で当該凍結微粒子を乾燥させて粉末体を形成するものであり、回収部20は、受け台11上の粉末体を容器30に回収し、容器30を封栓するものである、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置100。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部に連なる乾燥部と、
前記乾燥部に連なる回収部と、を備え、
前記乾燥部と前記回収部が、前記凍結微粒子形成部とともに一つの減圧空間を形成し、
前記乾燥部は、前記凍結微粒子形成部で形成された前記凍結微粒子を受ける受け台を有し、前記受け台上に前記凍結微粒子を載置した状態で当該凍結微粒子を乾燥させて粉末体を形成するものであり、
前記回収部は、前記受け台上の前記粉末体を容器に回収し、前記容器を封栓するものである、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項2】
前記液滴が、1~100ml/分で噴霧される、請求項1に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項3】
前記回収部は、当該回収部内で前記容器を移動させる移動部を有する、請求項1または2に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項4】
前記回収部は、その上部に前記容器を封栓する蓋体を保持する蓋体保持部を有し、前記容器を前記蓋体で封栓するために当該容器を上下移動させる昇降部を有する、請求項1または2に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項5】
前記減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給するガス供給部を更に有する、請求項1または2に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項6】
不活性ガスまたは脱湿空気は、滅菌されたガスであり、前記減圧空間内の圧力を10~80kPaとするように供給される、請求項5に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項7】
前記容器が、滅菌された容器である、請求項1または2に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置を用いた真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法であり、
前記凍結微粒子形成部によって形成された前記凍結微粒子を前記乾燥部の前記受け台上で乾燥させ、その後、乾燥された粉末体を前記受け台から前記回収部に配置された前記容器に投入し、前記粉末体が投入された前記容器を封栓する、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項9】
前記受け台は、前記凍結微粒子の載置面が傾斜するように回転する、請求項8に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項10】
前記粉末体が前記容器に投入された後、前記ガス供給部によって前記減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給し、その後、前記容器を封栓する、請求項8または9に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項11】
不活性ガスまたは脱湿空気として、滅菌されたガスを用い、前記減圧空間内の圧力を10~80kPaとするように当該ガスを供給する、請求項10に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項12】
前記容器として、滅菌された容器を用いる、請求項8または9に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項13】
液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部と、
請求項1または2に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置と、を備える、真空噴霧凍結乾燥装置。
【請求項14】
前記液滴が、1~100ml/分で噴霧される、請求項13に記載の真空噴霧凍結乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置及び真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法、並びに、真空噴霧凍結乾燥装置に関する。更に詳しくは、真空噴霧凍結乾燥装置用に用いられる装置であって、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く簡便に取り出すことができる、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置及び真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法、並びに、真空噴霧凍結乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品、食品、化粧品等の製造工程においては、真空噴霧凍結乾燥装置を用いて、医薬品、食品、化粧品等の原料液を真空中に噴霧して粉末状の医薬品、食品、化粧品等を得ることが行われている。上記原料液は、医薬品、食品、化粧品等の原料が溶媒または分散媒によって溶解または分散されたものであり、この原料液が真空噴霧凍結乾燥装置内の真空空間内に噴射され、凍結微粒子となる。その後、この凍結微粒子が昇華乾燥されて粉末体が得られる。
【0003】
このような真空噴霧凍結乾燥装置としては、様々報告されており、例えば、原料液が噴射される真空室と、凍結した原料を受ける棚と、を備え、この棚で凍結粒子を受けた後、棚上で凍結粒子を乾燥させる装置(例えば、特許文献1参照)や、医薬品を製造する際に用いられ、短時間で真空凍結乾燥を連続的に行うことができるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。なお、特許文献2の真空乾燥装置は、バッチ式の装置とは異なり、原料を供給しながらも医薬品等の粉末体が連続して順次製造される連続式の真空乾燥装置である。
【0004】
そして、作製された粉末状の医薬品などは、バイアル瓶などの容器に充填され、封栓することが行われ(例えば、特許文献3参照)、必要なときに再度溶解させたり、または粉末状のそのままの状態で使用されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/005021号公報
【特許文献2】特許第6777350号
【特許文献3】実用新案登録第3117063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、新たな製品など試験や開発段階では、市場で流通させる前に、保存性や効果の発現性などの評価試験を行う必要がある。つまり、凍結乾燥処理を行った後の効果の発現性、一定期間保存した後の性状や再溶解性などを確認し評価する必要がある。
【0007】
このとき、評価試験には少量のサンプルがあればよい。しかし、例えば、特許文献2に記載するような真空凍結乾燥を連続的に行うことができる真空凍結乾燥装置(真空噴霧凍結乾燥装置)は、上記のように短時間で真空凍結乾燥処理を行うことができ、実際の製品の製造時(量産時)には有用であるが、乾燥処理を筒状部で行うなどの理由により、粉末体を得るには比較的多量の原料を用意する必要がある。つまり、評価試験には少量のサンプルで十分であるが、このサンプルを得るためには、特許文献2に記載の真空凍結乾燥装置を用いた場合、上記の通り比較的多量の原料が必要となり、原料の無駄が多い。
【0008】
そこで、量産時には、特許文献2の連続式の真空凍結乾燥装置を用いることを想定しつつも、評価試験のサンプル作製時には、評価試験に必要な量だけを適切に製造することが重要であり、原料の無駄を省くことも重要となる。特に、医薬品の場合は、その原料が貴重であり高価であることが多く、このような要望は強く、できるだけ原料を無駄にすることなく(即ち、作製効率良く)必要量の評価試験用の粉末体を作製できることが望まれている。
【0009】
このようなことから、連続式の真空凍結乾燥装置で作製される製品(特に、医薬品などのように原料が貴重で高価なもの)の性能や性状等を評価するための評価試験用として少量の粉末体を製造することができる真空噴霧凍結乾燥装置、この真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置、及び真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法の開発が必要であった。
【0010】
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く簡便に製造することができる真空噴霧凍結乾燥装置、この真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置、及び真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により、以下の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置及び真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法、並びに、真空噴霧凍結乾燥装置が提供される。
【0012】
[1] 液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部に連なる乾燥部と、
前記乾燥部に連なる回収部と、を備え、
前記乾燥部と前記回収部が、前記凍結微粒子形成部とともに一つの減圧空間を形成し、
前記乾燥部は、前記凍結微粒子形成部で形成された前記凍結微粒子を受ける受け台を有し、前記受け台上に前記凍結微粒子を載置した状態で当該凍結微粒子を乾燥させて粉末体を形成するものであり、
前記回収部は、前記受け台上の前記粉末体を容器に回収し、前記容器を封栓するものである、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【0013】
[2] 前記液滴が、1~100ml/分で噴霧される、前記[1]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【0014】
[3] 前記回収部は、当該回収部内で前記容器を移動させる移動部を有する、前記[1]または[2]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【0015】
[4] 前記回収部は、その上部に前記容器を封栓する蓋体を保持する蓋体保持部を有し、前記容器を前記蓋体で封栓するために当該容器を上下移動させる昇降部を有する、前記[1]または[2]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【0016】
[5] 前記減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給するガス供給部を更に有する、前記[1]または[2]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【0017】
[6] 不活性ガスまたは脱湿空気は、滅菌されたガスであり、前記減圧空間内の圧力を10~80kPaとするように供給される、前記[5]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【0018】
[7] 前記容器が、滅菌された容器である、前記[1]または[2]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【0019】
[8] 前記[1]または[2]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置を用いた真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法であり、
前記凍結微粒子形成部によって形成された前記凍結微粒子を前記乾燥部の前記受け台上で乾燥させ、その後、乾燥された粉末体を前記受け台から前記回収部に配置された前記容器に投入し、前記粉末体が投入された前記容器を封栓する、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【0020】
[9] 前記受け台は、前記凍結微粒子の載置面が傾斜するように回転する、前記[8]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【0021】
[10] 前記粉末体が前記容器に投入された後、前記ガス供給部によって前記減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給し、その後、前記容器を封栓する、前記[8]または[9]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【0022】
[11] 不活性ガスまたは脱湿空気として、滅菌されたガスを用い、前記減圧空間内の圧力を10~80kPaとするように当該ガスを供給する、前記[10]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【0023】
[12] 前記容器として、滅菌された容器を用いる、前記[8]または[9]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【0024】
[13] 液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部と、
前記[1]または[2]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置と、を備える、真空噴霧凍結乾燥装置。
【0025】
[14] 前記液滴が、1~100ml/分で噴霧される、前記[13]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置は、医薬品等の試験用粉末体を製造する真空噴霧凍結乾燥装置の一部として用いられる装置であり、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く簡便に取り出すことができるという効果を奏するものである。
【0027】
本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法によれば、本発明の取出装置を備える真空噴霧凍結乾燥装置を用いて、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く簡便に取り出すことができるという効果を奏するものである。
【0028】
本発明の真空噴霧凍結乾燥装置は、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く簡便に製造することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の真空噴霧凍結乾燥装置の一の実施形態の一部を透視して模式的に示す側面図である。
図2】本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法の一の実施形態を模式的に示す説明図である。
図3】本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法の一の実施形態を模式的に示す説明図である。
図4】本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法の一の実施形態を模式的に示す説明図である。
図5】本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法の一の実施形態を模式的に示す説明図である。
図6】本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法の一の実施形態を模式的に示す説明図である。
図7】本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法の一の実施形態を模式的に示す説明図である。
図8】本発明の真空噴霧凍結乾燥装置の他の実施形態を模式的に示す図2に対応する側面図である。
図9】本発明の真空噴霧凍結乾燥装置の更に他の実施形態を模式的に示す図2に対応する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0031】
(1)真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置:
本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置の一の実施形態は、図1に示す真空噴霧凍結乾燥装置200における粉末体の取出装置100である。この取出装置100は、液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部40に連なる乾燥部10と、この乾燥部10に連なる回収部20と、を備えている。そして、粉末体を製造する際には、乾燥部10と回収部20が、凍結微粒子形成部40とともに一つの減圧空間を形成する。乾燥部10は、凍結微粒子形成部40で形成された凍結微粒子を受ける受け台11を有し、この受け台11上に凍結微粒子を載置した状態で凍結微粒子を乾燥させて粉末体を形成するものである。回収部20は、受け台11上の粉末体を容器30に回収し、その後、容器30を封栓するものである。
【0032】
なお、「減圧空間」とは、大気圧よりも低い圧力となっている空間を意味し、真空状態の空間もこの減圧空間に含まれる。真空とは、従来公知の真空凍結乾燥装置における真空と同様である。具体的には、0.7kPa以下程度の圧力状況下ということができる。
【0033】
この取出装置100は、例えば原料が貴重または高価な医薬品等の試験用粉末体を製造する真空噴霧凍結乾燥装置の一部として用いられる装置であり、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く(つまり、原料の無駄が少なく)簡便に取り出すことができる。この試験用粉末体は、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有しているので、製品を市場に流通させる前に粉末体の性状等(効果発現性、保存性など)を評価することができる。
【0034】
乾燥部10と回収部20は、凍結微粒子形成部40とともに一つの減圧空間を形成している。つまり、凍結微粒子形成部40に噴霧された液滴は、真空雰囲気下で凍結微粒子となり、真空雰囲気下で乾燥部10において乾燥されて粉末体となり且つこの粉末体が回収部20に配置された容器30に回収されて容器30が封栓される。なお、このように容器30を封栓した後、真空雰囲気を解除し、常圧に戻して容器30を回収することができる。
【0035】
試験用粉末体は、その原料が貴重であったり、高価であったりするので、原料液の噴霧量(噴霧された液滴の量)は少量である。具体的には、液滴は、1~100ml/分で噴霧することができ、1~30ml/分で噴霧することがよく、2~10ml/分で噴霧することが更によい。
【0036】
なお、試験用粉末体は、医薬品に限らず化粧品や食品などもその対象とすることができるが、医薬品は、原料が貴重で且つ高価であることが多いので、本発明の装置を用いることによる効果が大きい。
【0037】
また、凍結微粒子は、その粒子径について特に制限はないが、例えば、医薬品の場合、30~300μm程度とすることができる。
【0038】
(1-1)乾燥部:
乾燥部10は、図1に示すように、凍結微粒子形成部40で形成された凍結微粒子を受ける受け台11を有し、この受け台11上に凍結微粒子を載置した状態で凍結微粒子を乾燥させて粉末体を形成する。
【0039】
受け台11上で凍結微粒子を乾燥させる時間は、試験対象物である粉末体の製造条件によって設定することができる。なお、原料の噴霧を終了し、凍結微粒子の乾燥を開始すると、乾燥部10内の圧力がより減圧するようになる。そして、乾燥部10内の圧力が下がりきった状態になると、凍結微粒子の乾燥が完了したことになる。
【0040】
つまり、例えば特許文献2に記載の真空凍結乾燥装置では、凍結微粒子を横長の乾燥装置(筒状部)に供給して乾燥を行うが、この乾燥装置に凍結微粒を供給するには一定量以上の凍結微粒子が必要になる。一方で、粉末体の性状等を評価試験することを目的とする場合、大量の粉末体は不要であり、特に、医薬品等の原料のように貴重であったり高価であったりする場合には、そのような大量の粉末体を作製することは原料調達や費用面で無駄となる。そこで、本発明のように乾燥部10を設けて乾燥させることによって、少量の試験用粉末体を作製効率良く簡便に製造することができる。
【0041】
なお、乾燥部10は、その下方部分が狭められており、乾燥部10の出口部分の開口が容器30の口と同程度の大きさであることがよい。このようにすることで、乾燥部10から容器30に簡単に粉末体を回収することができる。
【0042】
(1-1a)受け台:
受け台11は、凍結微粒子形成部40から落下してくる凍結微粒子を受けることができ、受けた凍結微粒子を所定時間載置することができるものであれば、形状や大きさなどに特に制限はない。
【0043】
受け台11としては、例えば、一枚の平板などを用いることができる。なお、この平板の受け台11は、中央で分割できるものであってもよい。このように中央で分割可能な平板であると、粉末体を回収部20に移動させる際に、平板を分割させて粉末体を移動させることができる。
【0044】
受け台11は、凍結微粒子の載置面が傾斜するように回転するものとすることができる。このように受け台11を傾斜させることによって、この受け台11から粉末体を回収部20に簡便に移動させることができる。
【0045】
この受け台11は、その材質について特に制限はないが、凍結微粒子が載置される面がステンレス製、テフロン(登録商標)製であると、凍結微粒子の乾燥処理が良好に行なわれる。
【0046】
また、受け台11の凍結微粒子が載置される面には、乾燥された凍結微粒子(粉末体)が回収部20に移動し易いように皮膜が形成されていてもよい。
【0047】
受け台11は、振動させることできるものであってもよい。この場合、手動で受け台11を振動させることできる態様であってもよいし、受け台11を振動させるための振動部を設けても良い。この振動部は、超音波振動器のような従来公知の振動手段を用いることができる。このように受け台11を振動させることができると、仮に、受け台11に乾燥された凍結微粒子(粉末体)が付着して移動し難くなっていたとしても、回収部20に移動させ易くなる。
【0048】
(1-2)回収部:
回収部20は、受け台11上の粉末体を容器30に回収し、その後、容器30を封栓する。この回収部20によって、真空雰囲気などの減圧空間を維持したまま粉末体を容器30に回収することができる。医薬品などの中には、酸素共存下で保存すると、酸化によって劣化することがあるため、例えば真空条件で封栓することは保存性を向上させる。なお、医薬品の種類によっては、脱湿酸素の共存を許容するものもあるので、適宜、保存ガスを選択することでもよい。
【0049】
容器30は、特に制限はなく封栓が可能なものである限り適宜採用することができ、従来公知の容器を採用できるが、例えば、バイアル瓶(図1参照)などを挙げることができる。
【0050】
容器30は、特に、評価試験対象が医薬品のように高い滅菌性が求められる場合には、滅菌された容器とすることがよい。この滅菌条件は、従来公知の条件を採用することができる。
【0051】
また、容器30の数や大きさは特に制限はなく、1~5個配置することができ、1または2個とすることがよい。図8図9は、それぞれ、一列の2つの容器30と,背高広口の容器(バイアル瓶)130を配置した例である。また、図9は、130を採用した例を示している。図9に示すように、第2の昇降部29を有しない態様であると、広口(例えば、13mm程度)の容器とすることがよい。このとき、乾燥部10の出口(広口の容器への注ぎ口)は内径10mm程度とすることができる。
【0052】
容器30は、蓋体31によって封栓することができる。この蓋体31は、従来公知のものを適宜採用することができ、例えば、ゴム製のものなどを挙げることができる。なお、滅菌された容器を用いる場合、蓋体31も滅菌したものを用いることがよい。
【0053】
(1-2a)移動部:
回収部20は、この回収部20内で容器30を移動させる移動部21を有するものとすることができる。この移動部21は、回収部20内に配置した容器30を回収部20の外から移動させることができるものであれば特に制限はない。例えば、図1に示すように、容器30を固定する固定部23と、この固定部23に連結して左右に延びる棒状部材25と、を備えるものとすることができる。この棒状部材25を左右に押し引きすることによって容器30を所望の位置に移動させることができる。
【0054】
(1-2b)蓋体保持部:
回収部20は、その上部の内面側に容器30を封栓する蓋体31を保持する蓋体保持部を有することができる。蓋体保持部を有することによって、容器30の口を蓋体31に押し付け、その後、容器30を引き下げることで蓋体保持部から蓋体31が離れて容器30が簡単に封栓される。
【0055】
(1-2c)昇降部:
回収部20は、容器30を蓋体31で封栓するために容器30を上下移動させる昇降部27を有することができる。この昇降部27を設けることによって、容器30の口に蓋体31を押し付けることで、容器30の口に蓋体31を嵌め合わせることができる。
【0056】
昇降部27には、容器30を下方から支持する支持体27aと、この支持体27aの移動を止める移動規制部27bと、を有するものとすることができる。この移動規制部27bとしては、例えば、ストッパ、バネなどを挙げることができる。回収部20内は真空状態であるため、支持体27aの移動を止める部材である移動規制部27bを設けないと、支持体27aが容器30を上方に押し上げてしまう。そのため、移動規制部27bによって支持体27aの意図しない移動を規制する。
【0057】
ここで、図8図9に示すように一列の2つの容器30,130を配置する場合、昇降部27についても一列に2つ配置することができる。
【0058】
なお、回収部20は、図1図8に示すように、乾燥部10から容器30に粉末体を投入する投入口の下方に更に配置する第2の昇降部29を有していても良い。なお、図9に示すように、この第2の昇降部29を有しない態様とすることもできる。この場合、装置を簡素化することができる。
【0059】
この第2の昇降部29は、容器30に粉末体を投入する投入口の下方に位置し、容器30をこの投入口に近づけるように容器30を上昇させることができる。このような第2の昇降部29を設けることによって、高さの異なる容器30を用いることができるようになる。つまり、必要に応じて高さの異なる容器を用いる場合がある。その場合、投入口と容器30との距離が異なることがあるが、このように投入口と容器30との距離が異なるとしても、第2の昇降部29を設けることによって、容器の高さ位置を適切に調節することができる。なお、第2の昇降部29を設ける場合には、この第2の昇降部29は、容器30を下方から支持する支持体29aと、この支持体29aの移動を止める移動規制部29bと、を有するものとすることができる。
【0060】
(1-2d)その他の構造:
回収部20には、その側面側から容器30の位置などが見えるように、覗き窓が形成されていることがよい。
【0061】
(1-3)ガス供給部:
本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置は、減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給するガス供給部を更に有することができる。このガス供給部を設けることによって、容器30に粉末体を回収した後、この容器30内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給することができる。
【0062】
つまり、容器30に粉末体を回収した後、真空雰囲気を維持した状態で蓋体31によって容器30を封栓すると、容器30内が真空状態であるため、減圧(真空)状態から大気圧(常圧)下に移行させた際に、蓋体31が容器30内に入り込んでしまうおそれがあり、容器30の密封性が確保できなくなるおそれがある。そこで、ガス供給部によって不活性ガスまたは脱湿空気を適量供給することで、容器30の密封性を適切に維持することができる。また、不活性ガスを供給することで、粉末体の種類によってはその保存性を向上させることができる。
【0063】
なお、減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給すると、不活性ガスまたは脱湿空気は、減圧空間内の全体に行きわたることになる。
【0064】
不活性ガスまたは脱湿空気は、評価試験対象が医薬品のように高い滅菌性が求められる場合には、滅菌されたガスを用いることがよい。そして、このガスは、減圧空間内の圧力を10~80kPaとするように供給されることが好ましく、20~50kPaとするように供給されることが更に好ましい。このような圧力となるようにガスを供給すると、蓋体31が誤って容器30内に入り込んでしまうことを防止しつつ、容器30の密封性を良好に維持することができる。
【0065】
(2)真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法:
本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法は、本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置を用いた真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法であり、凍結微粒子形成部40によって形成された凍結微粒子を乾燥部10の受け台11上で乾燥させ(以下、「乾燥ステップ」と記すことがある)、その後、乾燥された粉末体を受け台11から回収部20に配置された容器30に投入し(以下、「回収ステップ」と記すことがある)、粉末体が投入された容器30を封栓する(以下、「封栓ステップ」と記すことがある)方法である。
【0066】
この真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法によれば、本発明の取出装置を備える真空噴霧凍結乾燥装置を用いて、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く簡便に取り出すことができる。
【0067】
本発明の取出方法では、容器30を蓋体31によって封栓した後、真空噴霧凍結乾燥装置内を常圧(101kPa)に戻し、容器30に充填された粉末体を回収することできる。
【0068】
(2-1)乾燥ステップ:
乾燥ステップでは、凍結微粒子形成部40によって形成された凍結微粒子を乾燥部10の受け台11上で乾燥させる。この乾燥の所定時間は、本発明の取出装置を備える真空噴霧凍結乾燥装置を用いることで短くすることができ、例えば、1時間以下とすることができる。
【0069】
(2-2)回収ステップ:
回収ステップでは、乾燥ステップで乾燥された粉末体を受け台11から回収部20に配置された容器30に投入する。なお、容器30として、滅菌された容器を用いることができ、特に、評価試験対象が医薬品のように高い滅菌性が求められる場合には、滅菌された容器とすることがよい。
【0070】
受け台11は、上述した本発明の取出装置で説明したように、凍結微粒子の載置面が傾斜するように回転することできる。このようにすると、粉末体を受け台11から回収部20に簡便に移動させることができる。
【0071】
図4は、第2の昇降部29を有する回収部20を示し、粉末体を受け台11から回収部20に移動させている状態を示している。第2の昇降部29によって容器30を上昇させ、粉末体を容器30内に回収している。その後、図5に示すように、第2の昇降部29によって容器30を下降させる。そして、図6に示すように、移動部21によって容器30を昇降部27の位置まで移動させ、その後、図7に示すように、昇降部27によって容器30を上昇させて容器30の口を蓋体31に押し付けて封栓する。
【0072】
(2-3)封栓ステップ:
封栓ステップでは、粉末体が投入された容器30を封栓する。容器30は、上述した本発明の取出装置で説明したように、蓋体31によって封栓することができる。そして、この蓋体31は、上述したように、蓋体保持部に保持されていることができる。蓋体保持部を有することによって、容器30の口を蓋体31に押し付け、その後、容器30を引き下げることで蓋体保持部から蓋体31が離れて容器30が簡単に封栓される。
【0073】
(2-4)ガス供給ステップ:
本発明の取出方法では、粉末体が容器30に投入された後、ガス供給部によって減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給し、その後、容器30を封栓することもできる。
【0074】
この減圧空間内に供給する不活性ガスまたは脱湿空気は、その供給量について特に制限はないが、例えば、大気圧の半分程度以下、具体的には、10~50kPa程度とすることができる。
【0075】
不活性ガスとしては、例えば、窒素などを挙げることができ、この不活性ガスは、無菌状態である。不活性ガスを供給することで、粉末体の種類によってはその保存性を向上させることができる。なお、不活性ガスまたは脱湿空気として、滅菌されたガスを用いることができ、更に、上記のように減圧空間内の圧力を20~50kPaとするように当該ガスを供給することがよく、20~40kPaとするように供給されることが更に好ましい。このような圧力となるようにガスを供給すると、蓋体31が誤って容器30内に入り込んでしまうことを防止しつつ、容器30の密封性を良好に維持することができる。
【0076】
(3)真空噴霧凍結乾燥装置:
本発明の真空噴霧凍結乾燥装置の一の実施形態は、図1に示す真空噴霧凍結乾燥装置200である。この真空噴霧凍結乾燥装置200は、液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部40と、上述した本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置100と、を備えている。
【0077】
この真空噴霧凍結乾燥装置200は、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く簡便に製造することができる。
【0078】
(3-1)凍結微粒子形成部:
凍結微粒子形成部40は、液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成するものである。このような凍結微粒子形成部40は、従来公知の真空凍結乾燥装置に用いられるものを適宜採用することができ、例えば2流体型超微粒化ノズルを有するものを用いることができる。
【0079】
試験用粉末体は、その原料が貴重であったり、高価であったりするので、液滴の噴霧量(噴霧された液滴の量)は少量である。具体的には、液滴は、1~100ml/分で噴霧することができ、1~30ml/分で噴霧することがよく、2~10ml/分で噴霧することが更によい。
【0080】
なお、真空とは、従来公知の真空凍結乾燥装置における真空と同様である。具体的には、0.7kPa以下程度の圧力状況下ということができる。
【0081】
また、凍結微粒子は、その粒子径について特に制限はないが、例えば、医薬品の場合、30~300μm程度とすることができる。
【実施例0082】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
【0083】
(実施例1)
図1に示すような真空噴霧凍結乾燥装置を作製した。そして、この真空噴霧凍結乾燥装置を用いて粉末体を作製し、その際に粉末体の取出装置によって粉末体を取り出した。
【0084】
具体的には、図2図7に示すようにして、少量の容器入り試験用粉末体を製造した。まず、図2は、未乾燥品の混入を防止するために容器30を待機位置に配置している状態である。その後、粉末体を容器30に回収するタイミングとなった場合には、図3に示すように移動部21によって容器30を粉末体の回収位置に移動させる。その後、図4に示すように、第2の昇降部29によって容器30を上昇させ、粉末体を容器30内に回収する。その後、図5に示すように、第2の昇降部29によって容器30を下降させる。そして、図6に示すように、移動部21によって容器30を昇降部27の位置まで移動させ、その後、図7に示すように、昇降部27によって容器30を上昇させて容器30の口を蓋体31に押し付けて封栓する。
【0085】
このようにして得られた試験用粉末体は、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有するものであり、粉末体の性状等の評価用として採用することができる。
【0086】
以上のように実施例1の真空噴霧凍結乾燥装置によれば、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く簡便に製造することができる。そして、この実施例1の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置、及び、この実施例1の真空噴霧凍結乾燥装置を用いた粉末体の取出方法によれば、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を作製効率良く簡便に製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の真空噴霧凍結乾燥装置は、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を製造する装置として利用することができる。また、本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置は、連続式の真空凍結乾燥装置で量産される製品と同等の性能や性状等を有する少量の容器入り試験用粉末体を製造する真空噴霧凍結乾燥装置における部材(取出装置)として利用することができる。本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法は、真空噴霧凍結乾燥装置によって製造した少量の容器入り試験用粉末体を取り出す方法として採用することができる。
【符号の説明】
【0088】
10:乾燥部、11:受け台、20,120,220:回収部、21:移動部、23,123:固定部、25:棒状部材、27:昇降部、27a:支持体、27b:移動規制部、29:第2の昇降部、30,130:容器、31:蓋体、40:凍結微粒子形成部、100,101,102:真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置、200:真空噴霧凍結乾燥装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴が真空中に1~100ml/分で噴霧されて粒子径30~300μmの凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部に連なる乾燥部と、
前記乾燥部に連なる回収部と、を備え、
前記乾燥部と前記回収部が、前記凍結微粒子形成部とともに一つの減圧空間を形成し、
前記乾燥部は、前記凍結微粒子形成部で形成された前記凍結微粒子を受ける受け台を有し、前記受け台上に前記凍結微粒子を載置した状態で当該凍結微粒子を乾燥させて粉末体を形成するものであり、
前記回収部は、内部に容器が配置され、前記受け台上の前記粉末体を当該容器に回収し、前記容器を封栓するものである、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項2】
前記回収部は、当該回収部内で前記容器を移動させる移動部を有し、
前記回収部は、その上部に前記容器を封栓する蓋体を保持する蓋体保持部を有し、前記容器を前記蓋体で封栓するために当該容器を上下移動させる昇降部を有する、請求項1に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項3】
前記移動部が、前記容器を固定する固定部を備える、請求項2に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項4】
医薬品の試験用粉末体を製造する連続式の真空噴霧凍結乾燥装置の一部である、請求項1~3のいずれか一項に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項5】
前記減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給するガス供給部を更に有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項6】
不活性ガスまたは脱湿空気は、滅菌されたガスであり、前記減圧空間内の圧力を10~80kPaとするように供給される、請求項5に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項7】
前記容器が、滅菌された容器である、請求項1~3のいずれか一項に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置を用いた真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法であり、
前記凍結微粒子形成部によって形成された前記凍結微粒子を前記乾燥部の前記受け台上で乾燥させ、その後、乾燥された粉末体を前記受け台から前記回収部に配置された前記容器に投入し、前記粉末体が投入された前記容器を封栓する、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項9】
前記受け台は、前記凍結微粒子の載置面が傾斜するように回転する、請求項8に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項10】
前記粉末体が前記容器に投入された後、前記ガス供給部によって前記減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給し、その後、前記容器を封栓する、請求項8に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項11】
不活性ガスまたは脱湿空気として、滅菌されたガスを用い、前記減圧空間内の圧力を10~80kPaとするように当該ガスを供給する、請求項10に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項12】
前記容器として、滅菌された容器を用いる、請求項8に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【請求項13】
液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部と、
請求項1~3のいずれか一項に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置と、を備える、真空噴霧凍結乾燥装置。
【請求項14】
前記液滴が、1~30ml/分で噴霧される、請求項13に記載の真空噴霧凍結乾燥装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
[1] 液滴が真空中に1~100ml/分で噴霧されて粒子径30~300μmの凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部に連なる乾燥部と、
前記乾燥部に連なる回収部と、を備え、
前記乾燥部と前記回収部が、前記凍結微粒子形成部とともに一つの減圧空間を形成し、
前記乾燥部は、前記凍結微粒子形成部で形成された前記凍結微粒子を受ける受け台を有し、前記受け台上に前記凍結微粒子を載置した状態で当該凍結微粒子を乾燥させて粉末体を形成するものであり、
前記回収部は、内部に容器が配置され、前記受け台上の前記粉末体を当該容器に回収し、前記容器を封栓するものである、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
[2] 前記回収部は、当該回収部内で前記容器を移動させる移動部を有し、
前記回収部は、その上部に前記容器を封栓する蓋体を保持する蓋体保持部を有し、前記容器を前記蓋体で封栓するために当該容器を上下移動させる昇降部を有する、前記[1]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
[3] 前記移動部が、前記容器を固定する固定部を備える、前記[2]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
[4] 医薬品の試験用粉末体を製造する連続式の真空噴霧凍結乾燥装置の一部である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
[5] 前記減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給するガス供給部を更に有する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
[7] 前記容器が、滅菌された容器である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
[8] 前記[1]~[3]のいずれかに記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置を用いた真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法であり、
前記凍結微粒子形成部によって形成された前記凍結微粒子を前記乾燥部の前記受け台上で乾燥させ、その後、乾燥された粉末体を前記受け台から前記回収部に配置された前記容器に投入し、前記粉末体が投入された前記容器を封栓する、真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
[10] 前記粉末体が前記容器に投入された後、前記ガス供給部によって前記減圧空間内に不活性ガスまたは脱湿空気を供給し、その後、前記容器を封栓する、前記[8]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
[12] 前記容器として、滅菌された容器を用いる、前記[8]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出方法。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
[13] 液滴が真空中に噴霧されて凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部と、
前記[1]~[3]のいずれかに記載の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置と、を備える、真空噴霧凍結乾燥装置。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
[14] 前記液滴が、1~30ml/分で噴霧される、前記[13]に記載の真空噴霧凍結乾燥装置。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
(1)真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置:
本発明の真空噴霧凍結乾燥装置における粉末体の取出装置の一の実施形態は、図1に示す真空噴霧凍結乾燥装置200における粉末体の取出装置100である。この取出装置100は、液滴が真空中に1~100ml/分で噴霧されて粒子径30~300μmの凍結微粒子を形成する凍結微粒子形成部40に連なる乾燥部10と、この乾燥部10に連なる回収部20と、を備えている。そして、粉末体を製造する際には、乾燥部10と回収部20が、凍結微粒子形成部40とともに一つの減圧空間を形成する。乾燥部10は、凍結微粒子形成部40で形成された凍結微粒子を受ける受け台11を有し、この受け台11上に凍結微粒子を載置した状態で凍結微粒子を乾燥させて粉末体を形成するものである。回収部20は、内部に容器30が配置され、受け台11上の粉末体を容器30に回収し、その後、容器30を封栓するものである。