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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007914
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】収容ラベルの積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20250109BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B32B27/00 M
G09F3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109641
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】臼田 倫太郎
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK07A
4F100AK25B
4F100AK42D
4F100AK52C
4F100AR00C
4F100AR00E
4F100AT00A
4F100AT00D
4F100BA05
4F100BA08
4F100CB00E
4F100CB03E
4F100CB05B
4F100DC00E
4F100JL11E
4F100JL14C
(57)【要約】
【課題】物品に貼着する際に剥がされ、ゴミとして廃棄される剥離シートの廃棄物の量を減らすことができ、簡易な方法で容易に製造することができる収容ラベルの積層体を提供すること。
【解決手段】収容ラベルの積層体であって、前記積層体は、基材シートと、粘着剤層と、剥離層及び支持シートからなる剥離シートとがこの順で積層された少なくとも2つ以上のタック紙を含み、隣接する2つのタック紙において、一方のタック紙の剥離シートと他方のタック紙の基材シートが接着層を介して部分的に接合され、これにより被収容物が収容可能な収容部が形成される、積層体。
【選択図】図1(C)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容ラベルの積層体であって、
前記積層体は、基材シートと、粘着剤層と、剥離層及び支持シートからなる剥離シートとがこの順で積層された少なくとも2つ以上のタック紙を含み、
隣接する2つのタック紙において、一方のタック紙の剥離シートと他方のタック紙の基材シートが接着層を介して部分的に接合され、これにより被収容物が収容可能な収容部が形成される、積層体。
【請求項2】
前記積層体の最外層にあるタック紙が、基材シート及び粘着剤層を含まず、剥離シートのみを含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記接着層は前記タック紙の周縁部に沿って、一部が開口する形状で設けられている、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は、矩形の少なくとも1辺が開口部となるように前記周縁部にコの字状に設けられている、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項5】
前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は、前記周縁部を囲むようにロの字状に設けられ、前記剥離シートには、被収容物が収容可能な切込みによる開口部が設けられている、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項6】
前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は前記周縁部にコの字状又はロの字状に設けられ、前記周縁部の少なくとも1辺が開口部となるように、前記タック紙の前記開口部側の周縁部には前記基材シートが部分的に欠けた領域が設けられている、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項7】
前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は前記周縁部にコの字状又はロの字状に設けられ、前記周縁部の少なくとも1辺が開口部となるように、前記剥離シートには当該剥離シートを部分的に取り除くための切込みが設けられている、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項8】
前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は前記周縁部にコの字状又はロの字状に設けられ、前記周縁部の少なくとも1辺が開口部となるように、前記剥離シートには当該剥離シートが部分的に欠けた領域が設けられている、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項9】
収容ラベルの積層体の製造方法であって、
基材シートと、粘着剤層と、剥離層及び支持シートからなる剥離シートとがこの順に積層されたタック紙を少なくとも2つ以上準備する第1工程と、前記タック紙の前記剥離シートの裏面又は前記基材シートの表面又はその両方の周縁部に接着層を設ける第2工程と、前記タック紙を少なくとも2つ以上重ねて貼り合せ、前記タック紙を積層する第3工程と、を含む、積層体の製造方法。
【請求項10】
前記収容ラベルのn倍(nは2以上の整数)の大きさのタック紙を少なくとも2つ以上準備する第1工程と、前記タック紙の前記剥離シートの裏面又は前記基材シートの表面又はその両方に前記収容ラベルの周縁部の形に沿った接着層をn個設ける第2工程と、前記タック紙を少なくとも2つ以上重ねて貼り合せ、前記タック紙の積層体とする第3工程と、前記タック紙の積層体を前記収容ラベルの大きさに切断する第4工程と、を含む請求項9に記載の積層体の製造方法。
【請求項11】
さらに、前記基材シート又は前記剥離シートのどちらか一方に被収容物を収容するための切込みを設ける工程を含む、請求項9又は10に記載の積層体の製造方法。
【請求項12】
さらに、前記基材シート又は前記剥離シートのどちらか一方に被収容物を収容するための切込みを設ける工程と、前記切込みに沿って前記基材シート又は前記剥離シートを部分的に取り除く工程を含む、請求項9又は10に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容ラベルの積層体及びその製造方法に関する。とりわけ、本発明は、被収容物が収容可能な開口部と収容部を有し、物品に貼り付けて使用される収容ラベルの積層体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、内容物の明細票や納品書、領収書などを収納した状態で物品に貼着できるデリバリーパックに代表されるような、各種書類、小冊子、カード類などの薄手の収容物を収容できる袋状の収容部を有する収容ラベルが知られている。このような収容ラベルは、基材シートと、基材シートの表面に重ね合わされたカバーフィルムとの間に収容部が形成され、物品に貼着する粘着剤層が基材シートの裏面(カバーフィルムとは反対側)に形成された構成となっている。物品に貼着する前の収容ラベルは、粘着剤層を剥離シートで覆っているのが一般的である。
【0003】
ところで、剥離シートは、収容ラベルを物品に貼着する際に剥がされ、ゴミとして廃棄される。そのため剥離シートをなくすことができれば、廃棄物の量を減らすことができ、省資源化やコストダウンに効果がある。
【0004】
特許文献1(特開2008-197261号公報)には、重ね合わせた上下2層のフィルムの周縁部の全部又は一部を接着層を介して接着することにより、2層のフィルム間に収納部が形成された本体と、前記本体を被貼付体に貼着するために下層フィルムの裏面に設けられた貼着層と、前記本体の収納部内に収納された収納物と、を備え、前記接着層及び貼着層が、それぞれ感熱性接着剤で構成されていることを特徴とする収納ラベルが開示されている。
【0005】
特許文献2(実用新案登録第3111630号公報)には、2枚のプラスチックフィルムを重合し、3辺周縁を熱溶着し、一方を開放端とした袋状の伝票類カバーであって、該伝票類カバーの下面シートの背面に複数列の帯状の粘着剤層を形成すると共に、上面シートの表面に剥離コート層を形成した剥離紙のない伝票類カバー用粘着袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-197261号公報
【特許文献2】実用新案登録第3111630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、被貼付体に貼着するために下層フィルムの裏面に設けられる粘着層として、感熱性接着剤を使用している。感熱性接着剤は、室温で接着性を示さないので、離型紙上に仮貼付する必要がなく、上記問題点を解消できる。しかしながら、感熱性接着剤は、加熱によって接着性を示すため、被貼付体に貼着するための加熱装置を必要とする。
【0008】
特許文献2では、上面シートとなる透明プラスチックフィルムの表面に剥離コート層を形成するため、ロール状に巻き取る必要がある。そのため、幅方向に連続して形成したものを各1枚毎に切離するミシン目などの分離線の形成や、複数列の帯状の粘着剤層の塗布などが必要であり、製造工程が複雑になる。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、一実施形態において、物品に貼着する際に剥がされ、ゴミとして廃棄される剥離シートの廃棄物の量を減らすことができ、簡易な方法で容易に製造することができる収容ラベルの積層体を提供することを目的とする。本発明は別の実施形態において、そのような収容ラベルの積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が鋭意検討した結果、後述の2つ以上のタック紙を順に積層した構造により、ゴミとして廃棄される剥離シートの廃棄物の量を減らすことができ、かつ簡易な方法で容易に製造でき、上記課題を解決できることを見出した。本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下に例示される。
【0011】
本発明は1つの側面において、収容ラベルの積層体であって、前記積層体は、基材シートと、粘着剤層と、剥離層及び支持シートからなる剥離シートとがこの順で積層された少なくとも2つ以上のタック紙を含み、隣接する2つのタック紙において、一方のタック紙の剥離シートと他方のタック紙の基材シートが接着層を介して部分的に接合され、これにより被収容物が収容可能な収容部が形成される、積層体である。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記積層体の最外層にあるタック紙が、基材シート及び粘着剤層を含まず、剥離シートのみを含む構成であり得る。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記接着層は前記タック紙の周縁部に沿って、一部が開口する形状で設けることができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は、矩形の少なくとも1辺が開口部となるように前記周縁部にコの字状に設けることができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は、前記周縁部を囲むようにロの字状に設けられ、前記剥離シートには、被収容物が収容可能な切込みによる開口部を設けることができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は前記周縁部にコの字状又はロの字状に設けられ、前記周縁部の少なくとも1辺が開口部となるように、前記タック紙の前記開口部側の周縁部には前記基材シートが部分的に欠けた領域を設けることができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は前記周縁部にコの字状又はロの字状に設けられ、前記周縁部の少なくとも1辺が開口部となるように、前記剥離シートには当該剥離シートを部分的に取り除くための切込みを設けることができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記タック紙は矩形の周縁部を有し、前記接着層は前記周縁部にコの字状又はロの字状に設けられ、前記周縁部の少なくとも1辺が開口部となるように、前記剥離シートには当該剥離シートが部分的に欠けた領域を設けることができる。
【0019】
本発明はもう1つの側面において、収容ラベルの積層体の製造方法であって、基材シートと、粘着剤層と、剥離層及び支持シートからなる剥離シートとがこの順に積層されたタック紙を少なくとも2つ以上準備する第1工程と、前記タック紙の前記剥離シートの裏面又は前記基材シートの表面又はその両方の周縁部に接着層を設ける第2工程と、前記タック紙を少なくとも2つ以上重ねて貼り合せ、前記タック紙を積層する第3工程と、を含む、積層体の製造方法である。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記収容ラベルのn倍(nは2以上の整数)の大きさのタック紙を少なくとも2つ以上準備する第1工程と、前記タック紙の前記剥離シートの裏面又は前記基材シートの表面又はその両方に前記収容ラベルの周縁部の形に沿った接着層をn個設ける第2工程と、前記タック紙を少なくとも2つ以上重ねて貼り合せ、前記タック紙の積層体とする第3工程と、前記タック紙の積層体を前記収容ラベルの大きさに切断する第4工程と、を含むことができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、さらに、前記基材シート又は前記剥離シートのどちらか一方に被収容物を収容するための切込みを設ける工程を含むことができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、さらに、前記基材シート又は前記剥離シートのどちらか一方に被収容物を収容するための切込みを設ける工程と、前記切込みに沿って前記基材シート又は前記剥離シートを部分的に取り除く工程を含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態の収容ラベルの積層体によれば、タック紙に使用されている剥離シートを上層フィルムとして用いることで、物品に貼着する際に剥がされ、ゴミとして廃棄される剥離シートの廃棄物の量を減らすことができる。また、タック紙をそのまま積層するという簡易な方法で、容易に収容ラベルの積層体を製造することがでる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1(A)】本発明の収容ラベルの積層体を説明するための模式図である。
図1(B)】本発明の収容ラベルの積層体を説明するための模式図である。
図1(C)】本発明の収容ラベルの積層体を説明するための模式図である。
図2】本発明の収容ラベルの積層体の別の一例を説明するための模式図である。
図3(A)】本発明の収容ラベルの構成の一例を説明するための模式図である。
図3(B)】本発明の収容ラベルの構成の一例を説明するための模式図である。
図4(A)】本発明の収容ラベルの構成の別の一例を説明するための模式図である。
図4(B)】本発明の収容ラベルの構成の別の一例を説明するための模式図である。
図4(C)】本発明の収容ラベルの構成の別の一例を説明するための模式図である。
図5(A)】本発明の収容ラベルの積層体の一例を説明するための模式図である。
図5(B)】本発明の収容ラベルの積層体の一例を説明するための模式図である。
図5(C)】本発明の収容ラベルの積層体の一例を説明するための模式図である。
図6(A)】図5(A)~図5(C)に示した収容ラベルの積層体における収容ラベルの一例を説明するための模式図である。
図6(B)】図5(A)~図5(C)に示した収容ラベルの積層体における収容ラベルの一例を説明するための模式図である。
図6(C)】図5(A)~図5(C)に示した収容ラベルの積層体における収容ラベルの一例を説明するための模式図である。
図7(A)】本発明の収容ラベルの積層体のさらに別の一例を説明するためのタック紙の模式図である。
図7(B)】本発明の収容ラベルの積層体のさらに別の一例を説明するためのタック紙の模式図である。
図8(A)】図7(A)及び図7(B)のタック紙を用いた本発明の収容ラベルの積層体の一例を説明するための模式図である。
図8(B)】図7(A)及び図7(B)のタック紙を用いた本発明の収容ラベルの積層体の一例を説明するための模式図である。
図8(C)】図7(A)及び図7(B)のタック紙を用いた本発明の収容ラベルの積層体の一例を説明するための模式図である。
図9(A)】図8(A)~図8(C)の本発明の収容ラベルの積層体における収容ラベルを説明するための模式図である。
図9(B)】図8(A)~図8(C)の本発明の収容ラベルの積層体における収容ラベルを説明するための模式図である。
図9(C)】図8(A)~図8(C)の本発明の収容ラベルの積層体における収容ラベルを説明するための模式図である。
図10(A)】図9(A)~図9(C)の本発明の収容ラベルを説明するための模式図である。
図10(B)】図9(A)~図9(C)の本発明の収容ラベルを説明するための模式図である。
図11(A)】本発明の収容ラベルの積層体のさらに別の一例を説明するためのタック紙の模式図である。
図11(B)】本発明の収容ラベルの積層体のさらに別の一例を説明するためのタック紙の模式図である。
図11(C)】本発明の収容ラベルの積層体のさらに別の一例を説明するためのタック紙の模式図である。
図12(A)】図11(A)~図11(C)のタック紙を用いた本発明の収容ラベルの積層体を説明するための模式図である。
図12(B)】図11(A)~図11(C)のタック紙を用いた本発明の収容ラベルの積層体を説明するための模式図である。
図12(C)】図11(A)~図11(C)のタック紙を用いた本発明の収容ラベルの積層体を説明するための模式図である。
図13図12(C)の収容ラベルの積層体における収容ラベルを説明するための模式図である。
図14(A)】本発明の収容ラベルの積層体の製造方法の一例を説明するための模式図である。
図14(B)】本発明の収容ラベルの積層体の製造方法の一例を説明するための模式図である。
図14(C)】本発明の収容ラベルの積層体の製造方法の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。なお、本発明の各実施形態を説明する図面における寸法、縮尺、角度などは、理解に資するために便宜上示すものであり、実際の寸法、縮尺、角度などを示すとは限らない。
【0026】
(1.収容ラベルの積層体)
図1(A)~図1(C)は、本発明の収容ラベルの積層体100を説明するための模式図である。図1(A)~図1(C)によると、本発明の一実施形態の収容ラベルの積層体100は、基材シート1と、粘着剤層2と、剥離層31及び支持シート32からなる剥離シート3とがこの順で積層された少なくとも2つ以上のタック紙10(図1(A)、(B))を含み、隣接する2つのタック紙10において、一方のタック紙(図1(A))の剥離シート3と他方のタック紙(図1(B))の基材シート1が接着層4を介して部分的に接合され、これにより被収容物が収容可能な収容部が形成される積層体100(図1(C))である。当該収容部を含む剥離シート3及び基材シート1は、積層体100から剥離したときに、被収容物が収容可能な収容ラベル5を形成する。接着層4はタック紙10の周縁部に沿って、一部が開口する形状で設けることができる。図1の例では、タック紙10は2対の対向する2辺からなる矩形の周縁部を有し、図1(B)では、周縁部の少なくとも1辺が開口部となるように、基材シート1の剥離シート3とは反対側の面に接着層4がコの字状に設けられている。
【0027】
本実施形態に用いるタック紙10は、図1(A)に示すように、基材シート1と、粘着剤層2と、剥離層31及び支持シート32からなる剥離シート3とがこの順で積層されたものを用いることができる。タック紙10の枚数は特に限定されないが、例えば3枚以上とすることができ、500枚以下とすることができる。
【0028】
タック紙10に用いられる基材シート1は特に限定されず、例えば、紙基材や樹脂フィルム基材を目的や使用状況によって使い分けることができる。具体的には、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、セルロース等の合成樹脂フィルム、これら合成樹脂を主原料とした合成紙等を用いることができる。必要により基材シートと粘着剤層との密着性を向上させるために、易接着処理を施すこともできる。
【0029】
基材シート1の厚さは10~300μm、好ましくは10~100μmが適切であり、基材シート1の形状や大きさ等は特に限定されないが、通常、2対の対向する2辺からなる矩形の周縁部を有した矩形形状が被収容物を収容するのに適している。
【0030】
粘着剤層2は特に限定されず、一般粘着剤、強粘着剤、弱粘着剤、再剥離型粘着剤等を目的や使用状況によって使い分けることができる。具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ゴム系、ポリエステル系、セルロース系、エマルジョン等の粘着剤が使用可能である。 また必要により粘着剤の特性向上のための添加剤として、フィラーや粘着付与剤、硬化剤なども適宜使用できる。
【0031】
粘着剤層2の厚みは被着体への貼付けが可能な厚みであれば特に限定されず、通常は20μm~200μm、好ましくは25μm~75μmが適切である。基材シート1に粘着剤層2を形成する場合、粘着剤をグラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、コンマコーティング、ナイフコーティング、ダイコーティング等の塗布方式を用いて形成できる。
【0032】
剥離シート3の材料は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。剥離シート3としては、上質紙、クラフト紙、グラシン紙、クレーコート紙等の紙や合成紙、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、セルロース等の合成樹脂フィルム、クラフト紙又は上質紙等にポリエチレン等の合成樹脂をラミネートしたポリラミ紙等の支持シート32に、シリコーン樹脂やフッ素樹脂、アルキド樹脂、ワックスなどの剥離剤を用いた剥離層31を形成したものが適宜使用される。
【0033】
支持シート32に剥離層31を形成する場合、剥離剤をグラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、コンマコーティング、ナイフコーティング、ダイコーティング等の塗布方式を用いて形成できる。
【0034】
剥離シート3は通常、粘着剤層2を保護する目的で使用され、被着体に貼り付ける際に剥がして廃棄されてしまうが、本発明では、剥離シート3は収容ラベル5の上層フィルムとして用いられるので廃棄しなくてよい。上層フィルム(剥離シート3)は、収容部52に収容された被収容物を透視できるようにするために、透明又は半透明のフィルムを用いるのが好ましい。逆に、被収容物を透視できないようにするために、不透明であってもよい。
【0035】
剥離シート3の厚さは10~300μm、好ましくは10~100μmが適切であり、剥離シート3の形状、大きさ等は基材シート1と同じであってよい。
【0036】
接着層4の材料は剥離シート3と基材シート1とを貼り合せることができれば、特に制限されないが、室温では接着性を示さず加熱によって活性化して接着性を発現する感熱型接着層が、タック紙10を重ね合わせて積層体100を形成する上で好ましい。
【0037】
感熱型接着層は、主に酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル-エチレン-スチレン共重合体、酢酸ビニル-エチレン-塩化ビニル共重合体、ビニル-エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体等の熱可塑性樹脂に固体可塑剤や粘着付与剤等を配合したものからなり、ホットメルト型粘着剤、ヒートシール型粘着剤、ディレードタック型粘着剤等の感熱型粘着剤を用いて形成することができる。特に、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等の印刷方式により容易にパターン形成でき、加熱よって活性化した接着性が冷却後も長時間に亘って持続する点から、ヒートシール型粘着剤、ディレードタック型粘着剤を用いるのが好ましい。また、接着層4に感熱型粘着剤を用いた場合、接着層4が活性化して接着性を発現する温度としては、60℃~180℃、好ましくは、80℃~150℃が適切である。
【0038】
接着層4は、重ね合わされた基材シート1と支持シート32の周縁部の少なくとも一部が開口部51となるように周縁部に亘って所定幅で形成され、収容部52は、この周縁部で囲われる領域の内側に形成される。接着層4の厚みは3μm~30μmが適切であり、周縁部に形成される接着層4の幅は収容ラベル5の大きさによって適宜設計されるが、例えば、縦×横が80mm~100mm×100mm~150mmの収容ラベル5の場合、接着層4の幅は2mm~10mm程度が好ましい。ここで、接着層4の幅とは、接着層4の外周と内周を結ぶ最短距離を意味する。
【0039】
図2は、本実施形態の収容ラベルの積層体100の別の一例を説明するための模式図である。図1(C)のタック紙10、20を重ね合わせただけの収容ラベルの積層体100では、最外層(すなわち、図面では最上部。最初に積層されるタック紙10を意味する。)の基材シート1と粘着剤層2は収容ラベル5として用いられることがないので、必ずしも必要なものではない。図2では、図1(C)の収容ラベルの積層体100から最上部のタック紙10の基材シート1が粘着剤層2とともに取り除かれた構成となっている。あるいは、最上部の基材シート1は、収容ラベル5として用いる必要がないので、商品パッケージとして製品(収容ラベル)の保護や商品情報を伝達するための絵柄や文字等の表示を施すなど、自由に用いることができる。
【0040】
図3(A)及び図3(B)は、本実施形態の収容ラベル5の構成の一例を説明するための模式図である。本実施形態では、被着体へ貼付けることができる収容ラベル5は、図3(A)に示すように、上部が剥離層31と支持シート32からなる剥離シート3となり、下部が基材シート1と粘着剤層2となり、剥離シート3と基材シート1とが接着層4を介して重ね合わされている。収容ラベル5は図3(B)に示すように、剥離シート3が上層フィルムとして用いられ、基材シート1が下層フィルムとして用いられ、剥離シート3と基材シート1の間に被収容物6が収容される。
【0041】
図4(A)~図4(C)は、本実施形態の収容ラベル5の構成の別の一例を説明するための模式図である。図4(A)では、収容ラベル5は2対の対向する2辺からなる矩形の周縁部を有し、剥離シート3からなる上層フィルムと、基材シート1と粘着剤層2とからなる下層フィルムとが、周縁部の全周を囲むようにロの字状に設けられた接着層4を介して重ね合わされている(図4(B))。図4の収容ラベル5では、図4(B)に示すように、剥離シート3には被収容物6を収容するための切込み71が設けられ、図4(c)に示すように、剥離シート3に切込み71によって形成された開口部から被収容物6が収容される。切込み71の代わりに、容易に開口できるミシン目を設けることも可能である。
【0042】
図5(A)~図5(C)は、本実施形態の収容ラベルの積層体100の一例を説明するための模式図である。図5(A)では、タック紙10は2対の対向する2辺からなる矩形の周縁部を有し、基材シート1の周縁部の一辺側に切込み72が設けられている。図5(B)に示すように、下層フィルムとなるタック紙10の基材シート1は切込み72に沿って一辺側が粘着剤層2とともに部分的(53)に欠けた状態で重ね合わされ、図5(C)に示すような収容ラベル5の積層体100となっている。
【0043】
図5の例では、接着層4は基材シート1に設けられている。接着層4は基材シート1の周縁部にコの字状に設けてもよく、周縁部の全周を囲むようにロの字状に設けてもよい。接着層4はタック紙10の基材シート1に設ければ、重ね合わせる前の下層フィルムとなるタック紙10の基材シート1と粘着剤層2が一緒に、剥離シート3上から切込み72に沿って部分的(53)に取り除くことができる。
【0044】
図6(A)~図6(C)は、図5(A)~図5(C)に示した収容ラベルの積層体100における収容ラベル5を説明するための模式図である。図6(A)に示すように、収容ラベル5は、剥離シート3からなる上層フィルムと、基材シート1と粘着剤層2からなる下層フィルムとが、接着層4を介して重ね合わされている。基材シート1は切込み72に沿って一辺側(開口部側)が部分的に欠けた領域53を有し、上層フィルムが突出した構成となっている。図6(B)に示すように、被収容物6は突出した上層フィルムに沿って収容ラベル5に容易に収容することができる。また、図6(C)に示すように、被収容物6を収容した収容ラベル5は、突出した上層フィルムを折り曲げることにより、粘着剤層2を介して下層フィルムと貼り合わされるので、意図せずに被収容物6が抜け落ちることを防止できる。
【0045】
図7(A)及び図7(B)は、本発明の収容ラベルの積層体100のさらなる別の一例を説明するためのタック紙10の模式図である。図7(A)では、タック紙10は2対の対向する2辺からなる矩形の周縁部を有し、図7(B)に示すように剥離シート3の周縁部の一辺側に切込み73が設けられている。
【0046】
図8(A)~図8(C)は、図7(A)及び図7(B)のタック紙を用いた収容ラベルの積層体100の一例を説明するための模式図である。図8(A)では、タック紙10の剥離シート3の周縁部の一辺側に切込み73が設けられている。図8(B)に示すように、下層フィルムとなるタック紙10の基材シート1には接着層4が設けられ、図8(C)に示すように、上側のタック紙10と下側のタック紙10が接着層4を介して重ね合わされて収容ラベル5の積層体100となっている。
【0047】
図8の例では、接着層4は基材シート1の周縁部に開口部側の領域53を除いて基材シート1上にコの字状に設けられている。開口部側の領域53は収容ラベル5として用いられるときに剥離シート3から切込み73に沿って部分的に欠けた領域である。接着層4は基材シート1の開口部側の端部までコの字状に設けてもよく、周縁部の全周を囲むようにロの字状に設けてもよい。この場合、下層フィルムとなる基材シート1又は接着層4の開口部側の領域53に後述する糊殺し層を設けることで、重ね合わせた後の上層フィルムとなる剥離シート3から切込み73に沿って部分的(53)に取り除くことができる。
【0048】
図9(A)~図9(C)は、図8(A)~図8(C)の収容ラベルの積層体100における収容ラベル5を説明するための模式図である。図9(A)は、図8(C)の収容ラベルの積層体100から取り除かれた、最上部の基材シート1を含む構造である。基材シート1は、粘着剤層2と剥離シート3の開口部側の領域53と一緒に取り除かれる。図9(B)は、図8(C)の収容ラベルの積層体100からなる収容ラベル5である。収容ラベル5は、開口部側の領域53が取り除かれた剥離シート3からなる上層フィルムと、基材シート1と粘着剤層2からなる下層フィルムとが、接着層4を介して重ね合わされ、下層フィルムが突出した構成となっている。図9(C)は、1つの収容ラベル5が取り除かれた後の収容ラベルの積層体100である。剥離シート3の開口部側の領域53は、図9(B)の収容ラベル5の粘着剤層2に付着したまま取り除かれている。
【0049】
図10(A)及び図10(B)は、図9(A)~図9(C)の収容ラベル5を説明するための模式図である。図10(A)は、図9(B)と異なり、収容ラベル5の粘着剤層2に付着した剥離シート3の開口部側の領域53が取り除かれている。開口部側の領域53の剥離シート3は、被着体に貼り付ける前に取り除いてもよく、被着体に貼り付けた後に取り除いてもよい。剥離シート3からなる開口部側の領域53は薄いフィルム状なので粘着剤層2に付着したままでも、被着体への貼付けに支障はない。また剥離シート3が開口部側の領域53において粘着剤層2を覆っているため、被着体に貼り付ける際のつまみとして機能し、位置合わせや貼り付け位置の修正などの作業性が向上する。
【0050】
図10(B)に示すように、被収容物6は突出した下層フィルムに沿って収容ラベル5に容易に収容することができる。また、下層フィルムが上層フィルムより突出しているため、被着体に収容ラベル5を貼り付けた後でも、被収容物6を容易に収容ラベル5に収容することができる。
【0051】
図11(A)~図11(C)は、本実施形態の収容ラベルの積層体100のさらなる一例を説明するためのタック紙10の模式図である。図11(A)では、タック紙10は2対の対向する2辺からなる矩形の周縁部を有し、図11(B)に示すように剥離シート3の周縁部の一辺側に切込み73が設けられている。また、図11(C)に示すように、粘着剤層2には、剥離シート3が切込み73に沿って取り除かれる開口部側の領域53に糊殺し層8が設けられている。
【0052】
糊殺し層8は、部分的に粘着剤層2の粘着力を封じる層であり、シリコーンやニス等によって糊殺し処理を施すことにより形成できる。これにより、粘着剤層2の開口部側の領域53の粘着性を封じ、切込み73に沿って剥離シート3を容易に取り除くことができる。糊殺し処理としては、例えば、タック紙10から一旦剥離シート3を剥離し、粘着剤層2の粘着力を封じたい部分にシリコーン又はニス等を印刷したのち、剥離シート3を再度貼り合わせることによって行うことができる。糊殺し層8の厚さとしては、例えば、1μm~10μm、好ましくは、2μm~7μmが適切である。糊殺し層8は、無色のニス等の他に有色のインクで形成してもよく、また、部分的にフィルムを貼り付ける方法や粘着剤層を部分的に設けない方法で形成されてもよい。
【0053】
図12(A)~図12(C)は、図11(A)~図11(C)のタック紙10を用いた収容ラベルの積層体100の一例を説明するための模式図である。図12(A)では、タック紙10の剥離シート3の周縁部の一辺側に切込み73が設けられ、粘着剤層2には剥離シート3が切込み73に沿って取り除かれる開口部側の領域53に糊殺し層8が設けられている。図12(B)に示すように、下層フィルムとなるタック紙10の基材シート1には接着層4が設けられ、図12(C)に示すように、剥離シート3の開口部側の領域53が切込み73に沿って取り除かれた後、上側のタック紙10と下側のタック紙10が接着層4を介して重ね合わされて収容ラベルの積層体100となっている。
【0054】
図12の例では、接着層4は基材シート1の周縁部に開口部側の領域53を除いて基材シート1上にコの字状に設けられているが、図8の例と同様に、接着層4は基材シート1の開口部側の端部までコの字状に設けてもよく、周縁部の全周を囲むようにロの字状に設けてもよい。
【0055】
図13は、図12(C)の収容ラベルの積層体100における収容ラベル5である。収容ラベル5は、開口部側の領域53が取り除かれた剥離シート3からなる上層フィルムと、基材シート1と粘着剤層2からなる下層フィルムとが、接着層4を介して重ね合わされ、下層フィルムが突出した構成となっている。図13では、糊殺し層8が開口部側の領域53において粘着剤層2を覆っているため、図9(B)と異なり、剥離シート3からなる開口部側の領域53を粘着剤層2に付着させなくとも、糊殺し層8で覆われた開口部側の領域53が被着体に貼り付ける際のつまみとして機能し、作業性が向上する。また、図10(B)と同様に、被収容物6は突出した下層フィルムに沿って収容ラベル5に容易に収容することができる。
【0056】
(2.収容ラベルの積層体の製造方法)
次に、本発明の収容ラベルの積層体の製造方法について説明する。図1を参照すると、まず図1(A)、(B)に示すように、基材シート1と、粘着剤層2と、剥離層31及び支持シート32からなる剥離シート3とがこの順に積層されたタック紙10、20を準備する(第1工程)。ここでは仮に、2つのタック紙の一方(図1(A))を上部のタック紙10、他方(図1(B))を下部のタック紙20とする。次に、下部のタック紙20の基材シート1に接着層4を設ける(第2工程)。図1では、タック紙10、20は2対の対向する2辺からなる矩形の周縁部を有し、接着層4は1辺が開口部となるように下部のタック紙20周縁部にコの字状に設けられている。続いて、上部のタック紙10と下部のタック紙20とを接着層4を介して重ね合わせる(第3工程)。同様に、下部のタック紙20を任意の数だけ重ね合わせて積層することにより、図1(C)に示すように収容ラベルの積層体100を製造する。
【0057】
図1(B)では、接着層4は基材シート1の周縁部にコの字状に設けられているが、図4(A)のように、基材シート1の周縁部に全周を囲むようにロの字状に設けてもよい。また、接着層4は、2つのタック紙を重ねて貼り合せることができれば、剥離シート3又は基材シート1又はその両方の周縁部に設けてもよい。また、接着層4に感熱型接着層を用いる場合は、任意の数だけ重ね合わせた後、熱プレス等で温度と圧力をかけて貼り合せてもよい。貼り合せに必要な温度と圧力は、重ね合わせ枚数や粘着剤層、接着層のバランスで適宜設定すればよく、例えば、重ね合わせ枚数が10枚程度と少なければ、加熱温度80℃~160℃、プレス圧力0.1MPa~5MPa、プレス時間1秒~30秒程度で貼り合わせてよい。また、重ね合わせ枚数が50枚程度と多ければ、同じ加熱温度でも、プレス圧力0.001MPa~0.005MPa、プレス時間5分~30分程度で貼り合わせてよい。低温、低圧で長時間必要な場合は、荷重を加えた状態でオーブンや恒温槽に入れて貼り合わせを行ってもよい。
【0058】
本実施形態では、剥離シート3や基材シート1に切込み71、72、73を設ける工程を含むことができる。タック紙10に切込み71、72、73を形成する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ビク刃、ピナクル(登録商標)刃、金型を使用することが可能であり、また、レーザー光やマシニングセンターといった機械を使用することができる。切込み71、72、73は剥離シート3や基材シート1の厚さにしたがって任意の深さにハーフカットを行えばよい。図4に示す収容ラベル5の場合、タック紙10、20の剥離シート3に予めハーフカットを行い、下部のタック紙20の基材シート1に接着層4を設けて任意の数だけ重ね合わせて積層することにより、収容ラベルの積層体100を製造することができる。また図6に示す収容ラベル5の場合、タック紙10、20の基材シート1に予めハーフカットを行い、下部のタック紙20の基材シート1に接着層4を設けた後、切込み72に沿って基材シート1を部分的に取り除いた後、任意の数だけ重ね合わせて積層することにより、収容ラベルの積層体100を製造することができる。切込み71、72、73を設ける工程は、例えば第1工程と第2工程の間に行うことができる。
【0059】
本実施形態では、タック紙の積層体から最上部のタック紙10の基材シート1を粘着剤層2とともに取り除く工程を含むことができる。当該工程は、第3工程の後で行ってもよく、第1工程でタック紙10を準備する際に最上部のタック紙10について行ってもよい。あるいは、最上部の基材シート1に商品情報を伝達するための絵柄や文字等の表示を施す印刷工程を含むこともできる。また、先に説明したように粘着剤層2に糊殺し層8を設ける工程を含むこともできる。
【0060】
以上、本発明の収容ラベルの製造方法の1つの実施形態について説明したが、本発明の収容ラベルの製造方法において、タック紙の大きさは必ずしも収容ラベル5の大きさと同じである必要はなく、図14(A)~図14(C)に示すように、収容ラベルのn倍(nは2以上の整数)の大きさのタック紙を用いてもよい。図14(A)~図14(C)は、本発明の収容ラベルの積層体100の製造方法の別の一例を説明するための模式図である。まず、図14(A)に示すように、基材シート1と、粘着剤層2と、剥離層31と支持シート32からなる剥離シート3と、がこの順に積層された収容ラベル5のn倍の大きさ上部のタック紙10と下部のタック紙20を準備する(第1工程)。次に下部のタック紙20の基材シート1に収容ラベル5の周縁部の形に沿った接着層4をn個設ける(第2工程)。図14(A)では、接着層4は2対の対向する2辺からなる矩形の周縁部を有する収容ラベルの1辺が開口部となるようにコの字状に20個設けられている。続いて、上部のタック紙10と下部のタック紙20とを接着層4を介して重ね合わせる(第3工程)。同様に、下部のタック紙20を任意の数だけ重ね合わせて積層しタック紙の積層体200とした後、断裁機等の公知の方法を用いてタック紙の積層体200を収容ラベル5の大きさに切断し、収容ラベル5の積層体100を製造するようにしてよい(第4工程)。図14では、下部のタック紙20の基材シート1に予めハーフカットを行い、下部のタック紙20の基材シート1に接着層4を設けた後、ハーフカットに沿って基材シート1が部分的に取り除かれている。
【実施例0061】
以下、図14(A)~図14(C)を参照し、本発明の収容ラベルの積層体の実施例について説明する。なお、図14(A)~図14(C)は本発明の収容ラベルの積層体の製造手順を参照するためのもので、以下の実施例の記載と全てにおいて一致するものではない。
【0062】
(実施例1)
基材シート1(PP52μm)と、アクリル系の粘着剤層2と、剥離層31(シリコーン)と支持シート32(PET30μm)からなる剥離シート3と、がこの順に積層されたタック紙10、20(サイズ:545mm×394mm、エイブリィ・デニソン社製BM0301)を準備した。次に下部のタック紙20の基材シート1に接着層4(東洋モートン社製ヒートシール剤EH-A700)を用いて、図14(A)に示すように、収容ラベル5(外寸105mm×77mm)の1辺が開口部となるようにコの字状の接着層(幅5mm、厚さ6μm)を縦横5×5個形成した。続いて上部のタック紙10と下部のタック紙20とを接着層4を介して重ね合わせた。同様に図14(B)に示すように下部のタック紙20を5枚重ね合わせて熱プレス(温度150℃、圧力2MPa、プレス時間5秒)で貼り合わせ、タック紙の積層体200を作製した。最後に図14(C)に示すように断裁機を用いてタック紙の積層体200を収容ラベル5の大きさに切断し、図1に示す収容ラベル5の積層体100を作製した。なお、実施例1は下部のタック紙20の基材シート1にハーフカットや部分的除去を行っていない点で、図14の実施形態とは異なっている。
【0063】
(実施例2)
実施例1と同様に収容ラベル5の積層体100を作製した。ただし、タック紙10、20の剥離シート3に予めハーフカットを行い、接着層4は収容ラベル5の周縁部の全周を囲むようにし、図4に示す収容ラベル5の積層体を作製した。
【0064】
(実施例3)
実施例1と同様に収容ラベル5の積層体100を作製した。ただし、タック紙20の基材シート1に予めハーフカットを行ってから接着層4を形成し、ハーフカットに沿って基材シート1を部分的にカス上げして取り除いた後、タック紙20と重ね合わせ、図5に示す収容ラベル5の積層体100を作製した。
【0065】
(実施例4)
実施例1と同様に収容ラベル5の積層体100を作製した。ただし、タック紙10、20の剥離シート3に予めハーフカットを行い、接着層4は収容ラベル5の開口部側の領域53を除いたコの字状にし、図8に示す収容ラベル5の積層体100を作製した。
【0066】
(実施例5)
実施例4と同様に収容ラベル5の積層体100を作製した。ただし、剥離シート3と粘着剤層2上の間に予め糊殺し層8を形成した後、剥離シート3にハーフカットを行い、ハーフカットに沿って剥離シート3を部分的にカス上げして取り除いた後、タック紙10、20と重ね合わせ、図12に示す収容ラベル5の積層体100を作製した。
【0067】
上記実施例1~5は、いずれも収容ラベル5を1つずつ取り除くことができ、廃棄される剥離シート3は最後のタック紙10の剥離シート3の1枚のみであった。
【符号の説明】
【0068】
1 基材シート
2 粘着剤層
3 剥離シート
31 剥離層
32 支持シート
4 接着層
5 収容ラベル
51 開口部
52 収容部
6 被収容物
71、72 73 切込み
8 糊殺し層
10、20 タック紙
100 収容ラベルの積層体
200 タック紙の積層体
図1(A)】
図1(B)】
図1(C)】
図2
図3(A)】
図3(B)】
図4(A)】
図4(B)】
図4(C)】
図5(A)】
図5(B)】
図5(C)】
図6(A)】
図6(B)】
図6(C)】
図7(A)】
図7(B)】
図8(A)】
図8(B)】
図8(C)】
図9(A)】
図9(B)】
図9(C)】
図10(A)】
図10(B)】
図11(A)】
図11(B)】
図11(C)】
図12(A)】
図12(B)】
図12(C)】
図13
図14(A)】
図14(B)】
図14(C)】