(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007919
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】表示制御装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109652
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】石丸 和寿
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA21
3D344AA26
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD13
(57)【要約】
【課題】表示機器に追従マークを表示できない場合に、ユーザに不安感を与えることを抑制する。
【解決手段】AR-HUDへの表示を制御する表示制御ECUは、先行車両90を検出する先行車両検出部によって検出された先行車両90に対応する追従マークの表示位置が、AR-HUDの表示領域74のうち予め設定された表示設定領域78内である場合に、追従マークの表示位置に追従マークを表示させる第1の表示を行い、追従マークの表示位置が表示設定領域78外である場合に、先行車両90が検出されていることを示す第2の表示として、表示設定領域78の外側に表示されるメータ表示部80のうちメータ表示部80の上縁を示すパーツ84を、追従マークと同色で点滅させる表示を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行車両を検出する先行車両検出部によって検出された前記先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、前記表示位置に前記追従マークを表示させる第1の表示を行い、前記表示位置が前記表示設定領域外である場合に、前記先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行う表示制御部を含む表示制御装置。
【請求項2】
前記追従マークの表示位置は、前記先行車両に重畳または隣接する位置である請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示設定領域は、少なくともメータ表示部が表示される、前記表示領域のうち車両上下方向の下側のメータ表示領域を、前記表示領域から除外した領域である請求項1記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側の表示を変化させる表示を行う請求項1記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部を強調表示させる表示を行う請求項1記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部のうちメータ表示部の上縁を示すパーツを強調表示させる表示を行う請求項1記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示領域の外縁を示す枠を強調表示させる表示を行う請求項1記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記先行車両が検出されていることを示す所定のアイコンを、前記表示設定領域の外側に表示させる表示を行う請求項1記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記第2の表示として表示させる対象を、前記追従マークと同じ色で表示させる請求項5~請求項8の何れか1項記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記第2の表示として表示させる対象を点滅表示させる請求項5~請求項8の何れか1項記載の表示制御装置。
【請求項11】
前記表示機器はヘッドアップディスプレイである請求項1記載の表示制御装置。
【請求項12】
先行車両を検出する先行車両検出部によって検出された前記先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、前記表示位置に前記追従マークを表示させる第1の表示を行い、前記表示位置が前記表示設定領域外である場合に、前記先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行うことを含む処理をコンピュータによって実行させる表示制御方法。
【請求項13】
コンピュータに、
先行車両を検出する先行車両検出部によって検出された前記先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、前記表示位置に前記追従マークを表示させる第1の表示を行い、前記表示位置が前記表示設定領域外である場合に、前記先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行うことを含む処理を実行させるための表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は表示制御装置、表示制御方法および表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転者から見た表示対象物の位置が、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の表示領域内の予め設定された表示設定領域外に移動する場合に、表示対象物に重畳表示する案内画像(追従マーク)の輝度を徐々に低下させるか、案内画像をより小さい簡易画像に変更する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、自車両と先行車両との距離が近すぎるなど、先行車両が追従マーク(案内画像)を表示できない領域に位置している場合、表示機器に何も表示しないと、先行車両を検出する先行車両検出部が先行車両を検出できていたとしても、先行車両を検出できているか否かをユーザが把握できず、ユーザに不安感を与える可能性がある。
【0005】
本開示は上記事実を考慮して成されたもので、表示機器に追従マークを表示できない場合に、ユーザに不安感を与えることを抑制できる表示制御装置、表示制御方法および表示制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る表示制御装置は、先行車両を検出する先行車両検出部によって検出された前記先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、前記表示位置に前記追従マークを表示させる第1の表示を行い、前記表示位置が前記表示設定領域外である場合に、前記先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行う表示制御部を含んでいる。
【0007】
第1の態様では、先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、追従マークの表示位置に追従マークを表示させる第1の表示を行う。一方、追従マークの表示位置が表示設定領域外である場合は、先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行う。これにより、先行車両が検出されていることを第2の表示からユーザに認識させることができるので、表示機器に追従マークを表示できない場合に、ユーザに不安感を与えることを抑制することができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記追従マークの表示位置は、前記先行車両に重畳または隣接する位置である。
【0009】
第2の態様によれば、先行車両に対して間隔を空けた位置に追従マークを表示させる場合と比較して、追従マークが先行車両に対応するマークであることを、ユーザに直感的に認識させることができる。
【0010】
第3の態様は、第1の態様において、前記表示設定領域は、少なくともメータ表示部が表示される、前記表示領域のうち車両上下方向の下側のメータ表示領域を、前記表示領域から除外した領域である。
【0011】
第3の態様によれば、表示領域のうち車両上下方向の下側のメータ表示領域には追従マークが表示されないので、メータ表示領域に表示されるメータ表示部などの視認性が追従マークによって阻害されることを防止することができる。
【0012】
第4の態様は、第1の態様において、前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側の表示を変化させる表示を行う。
【0013】
第4の態様によれば、第2の表示を行うことに伴って、表示設定領域内の表示が煩雑になることを抑制することができる。
【0014】
第5の態様は、第1の態様において、前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部を強調表示させる表示を行う。
【0015】
第5の態様によれば、既存のメータ表示部を強調表示させることで、表示設定領域の外側の範囲の表示が煩雑になることを回避しつつ、先行車両が検出されていることをユーザに認識させることができる。
【0016】
第6の態様は、第1の態様において、前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部のうちメータ表示部の上縁を示すパーツを強調表示させる表示を行う。
【0017】
第6の態様によれば、既存のメータ表示部の上縁を示すパーツを強調表示させることで、表示設定領域の外側の範囲の表示が煩雑になることを回避しつつ、先行車両が検出されていることをユーザに認識させることができる。
【0018】
第7の態様は、第1の態様において、前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示領域の外縁を示す枠を強調表示させる表示を行う。
【0019】
第7の態様によれば、表示領域内の表示が煩雑になることを回避しつつ、先行車両が検出されていることをユーザに認識させることができる。
【0020】
第8の態様は、第1の態様において、前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記先行車両が検出されていることを示す所定のアイコンを、前記表示設定領域の外側に表示させる表示を行う。
【0021】
第8の態様によれば、先行車両が検出されていることをユーザに直感的に認識させることができる。
【0022】
第9の態様は、第5の態様~第8の態様の何れかにおいて、前記表示制御部は、前記第2の表示として表示させる対象を、前記追従マークと同じ色で表示させる。
【0023】
第9の態様によれば、第2の表示として表示されている対象が、先行車両が検出されていることを示していることを、ユーザに直感的に認識させることができる。また、先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示設定領域外から表示設定領域内へ戻った場合には、第2の表示として表示されている対象と同じ色の追従マークが表示されることになるので、シームレスな表現となり、ユーザに違和感を与えることが抑制される。
【0024】
第10の態様は、第5の態様~第8の態様において、前記表示制御部は、前記第2の表示として表示させる対象を点滅表示させる。
【0025】
第10の態様によれば、第2の表示として表示させる対象をより目立たせることができ、第2の表示として表示させる対象の視認性を向上させることができる。
【0026】
第11の態様は、第1の態様において、前記表示機器はヘッドアップディスプレイである。
【0027】
第11の態様によれば、ヘッドアップディスプレイに追従マークを表示できない場合に、ユーザに不安感を与えることを抑制することができる。
【0028】
第12の態様に係る表示制御方法は、先行車両を検出する先行車両検出部によって検出された前記先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、前記表示位置に前記追従マークを表示させる第1の表示を行い、前記表示位置が前記表示設定領域外である場合に、前記先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行うことを含む処理をコンピュータによって実行させる。
【0029】
第12の態様によれば、第1の態様と同様に、表示機器に追従マークを表示できない場合に、ユーザに不安感を与えることを抑制することができる。
【0030】
第13の態様に係る表示制御プログラムは、コンピュータに、先行車両を検出する先行車両検出部によって検出された前記先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、前記表示位置に前記追従マークを表示させる第1の表示を行い、前記表示位置が前記表示設定領域外である場合に、前記先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行うことを含む処理を実行させる。
【0031】
第13の態様によれば、第1の態様と同様に、表示機器に追従マークを表示できない場合に、ユーザに不安感を与えることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
本開示は、表示機器に追従マークを表示できない場合に、ユーザに不安感を与えることを抑制することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施形態に係る車載システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】カメラユニットおよび表示制御ECUの機能ブロック図である。
【
図3】AR-HUDの概略構成などを示す説明図である。
【
図4】表示制御ECUによって実行される表示制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】AR-HUDへの表示の一例を示すイメージ図である。
【
図6】AR-HUDへの表示の一例を示すイメージ図である。
【
図7】AR-HUDへの表示の一例を示すイメージ図である。
【
図8】AR-HUDへの表示の一例を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る車載システム10は通信バス12を備えており、通信バス12には、周辺状況取得デバイス群14、車両走行状態検出センサ群26、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)-ECU(Electronic Control Unit)34および表示制御ECU42が各々接続されている。なお、
図1は車載システム10の一部のみ示している。また、以下では車載システム10が搭載された車両を自車両と称する。
【0035】
周辺状況取得デバイス群14は、自車両の周囲環境がどのような状況かを表す情報を取得するデバイスとして、GNSS(Global Navigation Satellite System)装置16、車載通信機18、ナビゲーションシステム20、レーダ装置22およびカメラユニット24などを含んでいる。
【0036】
GNSS装置16は、複数のGNSS衛星からGNSS信号を受信して自車両の位置を測位する。車載通信機18は、他の車両との間の車車間通信および路側機との間の路車間通信の少なくとも一方を行う。ナビゲーションシステム20は、地図情報を記憶する地図情報記憶部20Aを含み、GNSS装置16から得られる位置情報と地図情報記憶部20Aに記憶された地図情報とに基づいて、自車両の位置を地図上で表示したり、目的地迄の経路を決定して案内する処理を行う。
【0037】
レーダ装置22は、自車両の周囲に存在する歩行者や他車両等の物体を点群情報として検出し、検出した物体と自車両の相対位置および相対速度を取得する。また、レーダ装置22は、個々の物体との相対位置や相対速度の変化等に基づき、ノイズやガードレール等の路側物等を監視対象から除外し、歩行者や他車両等の監視対象物体との相対位置や相対速度等の情報を出力する。
【0038】
カメラユニット24は、自車両の周囲を複数のカメラで撮影し、撮影した画像を出力する。また、図示は省略するが、カメラユニット24は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ、および、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部を内蔵している。記憶部には、カメラユニット24のCPUを先行車両検出部70(
図2参照)として機能させるための所定のプログラムが記憶されている。先行車両検出部70は、複数のカメラによって撮影された自車両の前方の画像から、当該画像に映っている自車両の先行車両を認識し、自車両と先行車両との距離を検出・出力する。または、レーダ装置22で先行車両までの奥行と、カメラで検出した先行車両の方位を組み合わせて算出した距離を検出・出力する。
【0039】
また、車両走行状態検出センサ群26は、車両の走行状態を取得する複数のセンサとして、自車両の操舵角を検出する舵角センサ28、自車両の走行速度を検出する車速センサ30および自車両に加わる加速度を検出する加速度センサ32を含んでいる。
【0040】
ADAS-ECU34は、自車両のスロットル開度を変更するスロットルACT36、自車両の制動装置が発生する制動力を変更するブレーキACT38、および、自車両の操舵装置による操舵量を変更する操舵ACT40が各々接続されている。
【0041】
ADAS-ECU34は、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、HDDやSSDなどの不揮発性の記憶部および通信I/F(Inter Face)を含んでいる。記憶部にはADASソフトウェアが記憶されている。ADAS-ECU34は、CPUが自動運転ソフトウェアを実行することで、自動運転モードが選択されている場合に、自車両の乗員による運転操作を伴わずに、自車両を自動的に走行させる自動運転処理を行う。
【0042】
自動運転処理は、周辺状況取得デバイス群14および車両走行状態検出センサ群26から得られる情報に基づいて自車両およびその周辺の状況を判断し、スロットルACT36、ブレーキACT38および操舵ACT40を制御する処理である。自動運転処理の一例は、カメラユニット24によって認識された先行車両に追従するように自車両を走行させるACC(Adaptive cruise control)である。
【0043】
表示制御ECU42は、CPU44、ROMやRAMなどのメモリ46、HDDやSSDなどの不揮発性の記憶部48および通信I/F50を含んでいる。CPU44、メモリ46、記憶部48および通信I/F50は内部バス52を介して相互に通信可能に接続されている。記憶部48には表示制御プログラム54が記憶されている。表示制御ECU42は、表示制御プログラム54が記憶部48から読み出されてメモリ46に展開され、メモリ46に展開された表示制御プログラム54がCPU44によって実行されることで、
図2に示す表示制御部72として機能し、後述する表示制御処理を行う。
【0044】
表示制御ECU42は、AR(Augmented Reality)-ヘッドアップディスプレイ(以下、AR-HUDという)56およびメータディスプレイ68が接続されている。本実施形態に係るAR-HUD56は、
図5に符号74を付して表示領域を示すように、ウインドシールドガラスへの反射などにより自車両の乗員であるユーザの前方視野の一部を表示領域とする(前景内下方に像を結ぶ)小型のHUDである。また、メータディスプレイ68は自車両のインストルメントパネルに設けられたディスプレイである。表示制御ECU42は、AR-HUD56およびメータディスプレイ68への情報表示を制御する。
【0045】
図3に示すように、AR-HUD56は、LED(Light Emitting Diode)などから成る光源部58を備えており、光源部58の光射出側には、LCD(Liquid Crystal Display)などから成る透過型の表示部60が配置されている。表示部60の光射出側には、凸面鏡62、凹面鏡64が順に配置されており、表示部60を透過した光は、凸面鏡62、凹面鏡64で順に反射されて車両のウインドシールドに照射される。AR-HUD56は、表示部60に表示された画像(後述する追従マークなど)が、ユーザから距離L1~L2だけ隔てて空中に浮いた、車両上下方向に対して傾斜した虚像面66に結像するように光学系が設計されている。これにより、ユーザに、虚像面66に結像された画像が路面に重畳されているかのように錯覚させることができる。
【0046】
但し、AR-HUD56では、自車両の先行車両が、自車両からの距離が0m~L1+αの範囲に存在していた場合、当該先行車両に対応する追従マークの表示位置が後述する表示設定領域78から外れることで、表示設定領域78内に追従マークを表示させることができない。なお、αはメータ表示領域76に追従マークを表示させないことに伴う表示制限距離の増加分である。
【0047】
なお、表示制御ECU42は本開示に係る表示制御装置の一例であり、表示制御プログラム54は本開示に係る表示制御プログラムの一例である。また、AR-HUD56は表示機器の一例である。
【0048】
次に本実施形態の作用として、自車両のイグニッションスイッチがオンされている間、表示制御ECU42(表示制御部72)によって実行される表示制御処理について、
図4を参照して説明する。
【0049】
表示制御処理のステップ150において、表示制御部72は、例として
図5に示すように、AR-HUD56の表示領域74のうち車両上下方向の下側に位置しているメータ表示領域76にメータ表示部80などが表示されるように、AR-HUD56を制御する。
図5に示すように、メータ表示部80は、自車両の車速などを文字で表示する文字表示部82と、メータ表示部80の上縁を示すパーツ84と、を含んでいる。パーツ84は通常、白色で表示される。
【0050】
なお、メータ表示領域76に表示される情報はメータ表示部80に限られるものではなく、AR-HUD56の表示モードを切り替えることで、例えば、追越し禁止を示すマークや、制限車速を示す文字などの情報も表示させることが可能である。また、AR-HUD56の表示領域74からメータ表示領域76を除いた領域(
図5に符号78を付して示す領域)は、本開示における表示設定領域の一例であり、以下、表示設定領域78と称する。
【0051】
ステップ152において、表示制御部72は、AR表示条件が成立しているか否か判定する。本実施形態において、表示制御部72は、ADAS-ECU34がACCを実行している場合に、AR表示条件が成立していると判断する。ADAS-ECU34がACCを実行していない場合には、ステップ152の判定が否定されてステップ150へ戻る。また、ADAS-ECU34がACCを実行している場合は、ステップ152の判定が肯定されてステップ154へ移行する。
【0052】
ステップ154において、表示制御部72は、ADAS-ECU34によるACCで自車両が追従対象としている先行車両との距離Lを先行車両検出部70(カメラユニット24)から取得する。そして、ステップ156において、表示制御部72は、取得した先行車両との距離Lに基づいて、
図5に示すように、ウインドシールドを通じてユーザに視認される先行車両の像90に隣接するように表示させる追従マーク92を、表示設定領域78内に表示可能か否か判定する。
【0053】
なお、表示制御部72は、先行車両との距離Lをカメラユニット24から取得し、取得した先行車両との距離LをAR-HUD56における俯角φに換算し、換算した俯角φからAR-HUD56における追従マーク92の表示位置を認識する。このため、表示制御部72によるステップ156の判定は、先行車両との距離Lを閾値Lthと比較し、L>Lthか否かを判定することで行ってもよいし、俯角φを閾値φthと比較し、φ<φthか否かを判定することで行ってもよい。
【0054】
追従マーク92が表示設定領域78内に表示可能である場合は、ステップ156の判定が肯定されてステップ158へ移行する。そしてステップ158において、表示制御部72は、
図5に示すように、表示設定領域78内の先行車両の像90に対応する位置(隣接する位置)に追従マーク92を表示させ、ステップ150に戻る。なお、追従マーク92の表示色の一例は水色または緑色である。先行車両の像90に対応する位置に追従マーク92が表示されることで、ユーザに、先行車両が正常に検出されていることを認識させることができる。
【0055】
なお、ステップ158における表示(
図5に示す表示)は、本開示における第1の表示の一例である。また、
図5の例では、先行車両の像90に隣接する位置に追従マーク92を表示させる態様を示しているが、追従マーク92は、先行車両の像90と一部重なる位置(重畳する位置)に表示させてもよいし、先行車両の像90から間隔を空けた位置に表示させてもよい。
【0056】
また、先行車両との距離が狭くなり、先行車両との距離L≦Lth(或いは俯角φ≧φth)になることで、追従マーク92の表示位置が表示設定領域78外になった場合は、ステップ156の判定が否定されてステップ160へ移行する。なお、自車両が走行する車線に隣接する車線を走行している車両が、自車両の前方へ急に割り込んできた場合にも、ステップ156の判定が否定されてステップ160へ移行する。そしてステップ160において、表示制御部72は、
図6に示すように、追従マーク92を表示させる代わりに、メータ表示部80の上縁を示すパーツ84を、追従マーク92と同色で点滅表示させ、ステップ150に戻る。なお、ここでいう追従マーク92と同色には、追従マーク92の表示色と色相、明度および彩度の少なくとも1つの相違が所定値以内の色も含まれる。
【0057】
このように、メータ表示部80のパーツ84を追従マーク92と同色で点滅表示させることで、追従マーク92を表示させない場合にも先行車両が検出されていることをユーザに認識させることができ、ユーザに不安感を与えることが抑制される。なお、ステップ160における表示(
図6に示す表示)は、本開示における第2の表示の一例である。
【0058】
また、先行車両との距離が広がり、先行車両との距離L>Lth(或いは俯角φ<φth)になることで、先行車両の像90に対応する追従マーク92の表示位置が、表示設定領域78外から表示設定領域78内へ戻った場合には、ステップ156の判定が肯定されてステップ158へ移行する。従って、メータ表示部80のパーツ84と同じ色の追従マーク92が表示設定領域78内に表示されることになるので、シームレスな表現となり、ユーザに違和感を与えることが抑制される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る表示制御ECU42は、先行車両を検出する先行車両検出部70によって検出された先行車両の像90に対応する追従マーク92の表示位置が、AR-HUD56の表示領域74のうち予め設定された表示設定領域78内である場合に、追従マーク92の表示位置に追従マーク92を表示させる第1の表示を行い、追従マーク92の表示位置が表示設定領域78外である場合に、先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行う表示制御部72を含んでいる。これにより、先行車両が検出されていることを第2の表示からユーザに認識させることができ、AR-HUD56に追従マーク92を表示できない場合に、ユーザに不安感を与えることを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態において、追従マーク92の表示位置は、先行車両の像90に重畳または隣接する位置である。これにより、先行車両の像90に対して間隔を空けた位置に追従マーク92を表示させる場合と比較して、追従マーク92が先行車両の像90に対応するマークであることを、ユーザに直感的に認識させることができる。
【0061】
また、本実施形態において、表示設定領域78は、少なくともメータ表示部80が表示される、表示領域74のうち車両上下方向の下側のメータ表示領域76を、表示領域74から除外した領域である。これにより、表示領域74のうち車両上下方向の下側のメータ表示領域76には追従マーク92が表示されないので、メータ表示領域76に表示されるメータ表示部80などの視認性が追従マーク92によって阻害されることを防止することができる。
【0062】
また、本実施形態において、表示制御部72は、第2の表示として、表示設定領域78の外側の表示を変化させる表示を行う。これにより、第2の表示を行うことに伴って、表示設定領域78内の表示が煩雑になることを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態において、表示制御部72は、第2の表示として、表示設定領域78の外側に表示されるメータ表示部80のうちメータ表示部80の上縁を示すパーツ84を強調表示させる表示を行う。これにより、表示設定領域78の外側の範囲の表示が煩雑になることを回避しつつ、先行車両が検出されていることをユーザに認識させることができる。
【0064】
また、本実施形態において、表示制御部72は、第2の表示として表示させる対象(本実施形態ではパーツ84)を、追従マーク92と同じ色で表示させる。これにより、第2の表示として表示されている対象(パーツ84)が、先行車両が検出されていることを示していることを、ユーザに直感的に認識させることができる。また、先行車両の像90に対応する追従マーク92の表示位置が、表示設定領域78外から表示設定領域78内へ戻った場合には、第2の表示として表示されている対象(パーツ84)と同じ色の追従マーク92が表示されることになるので、シームレスな表現となり、ユーザに違和感を与えることが抑制される。
【0065】
また、本実施形態において、表示制御部72は、第2の表示として表示させる対象(パーツ84)を点滅表示させる。これにより、第2の表示として表示させる対象(パーツ84)をより目立たせることができ、第2の表示として表示させる対象(パーツ84)の視認性を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態において、表示機器はAR-HUD56である。これにより、AR-HUD56に追従マークを表示できない場合に、ユーザに不安感を与えることを抑制することができる。
【0067】
なお、上記の実施形態では、追従マーク92の表示位置が表示設定領域78外である場合に、メータ表示部80の上縁を示すパーツ84を追従マーク92と同色で点滅表示させることで、パーツ84の強調表示を行う態様を説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、パーツ84の強調表示として、パーツ84を追従マーク92と同色かつ一定輝度で表示させるようにしてもよいし、パーツ84を追従マーク92と異なる色で点滅表示させるようにしてもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、追従マーク92の表示位置が表示設定領域78外である場合に、メータ表示部80の上縁を示すパーツ84の強調表示を行う態様を説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、メータ表示部80全体を対象として強調表示(例えば、同色表示および点滅表示の少なくとも一方)を行うようにしてもよい。この場合も、表示設定領域78の外側の範囲の表示が煩雑になることを回避しつつ、先行車両が検出されていることをユーザに認識させることができる。また、例えば、表示領域74の外縁を示す枠94(
図7参照)を対象として強調表示を行うようにしてもよい。この場合も、表示領域74内の表示が煩雑になることを回避しつつ、先行車両が検出されていることをユーザに認識させることができる。
【0069】
また、上記の実施形態では、追従マーク92の表示位置が表示設定領域78外である場合に、第2の表示として、既表示の対象(例えばパーツ84)の強調表示を行う態様を説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、追従マーク92の表示位置が表示設定領域78外である場合に、先行車両が検出されていることを示す所定のアイコン(一例を
図8にアイコン96として示す)を、表示設定領域78の外側に表示させるようにしてもよい。この場合、先行車両が検出されていることをユーザに直感的に認識させることができる。
【0070】
さらに、上記の実施形態では、本開示における表示機器としてAR-HUD56を適用した態様を説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、本開示における表示機器は、例えば、メータディスプレイ68、或いは、インストルメントパネルの中央部に配置されるディスプレイなどであってもよい。AR-HUD56では、先行車両の像90がウインドシールドを通じてユーザに視認されるが、メータディスプレイ68などの表示機器では、先行車両を模した画像も表示機器に表示される。本開示はこのような態様も権利範囲に含んでいる。
【0071】
また、上記では本開示に係る表示制御プログラム54が記憶部48に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本開示に係る表示制御プログラムは、HDD、SSD、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【0072】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0073】
(付記1)
先行車両を検出する先行車両検出部によって検出された前記先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、前記表示位置に前記追従マークを表示させる第1の表示を行い、前記表示位置が前記表示設定領域外である場合に、前記先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行う表示制御部を含む表示制御装置。
【0074】
(付記2)
前記追従マークの表示位置は、前記先行車両に重畳または隣接する位置である付記1記載の表示制御装置。
【0075】
(付記3)
前記表示設定領域は、少なくともメータ表示部が表示される、前記表示領域のうち車両上下方向の下側のメータ表示領域を、前記表示領域から除外した領域である付記1または付記2記載の表示制御装置。
【0076】
(付記4)
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側の表示を変化させる表示を行う付記1~付記3の何れか1項記載の表示制御装置。
【0077】
(付記5)
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部を強調表示させる表示を行う付記1~付記3の何れか1項記載の表示制御装置。
【0078】
(付記6)
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部のうちメータ表示部の上縁を示すパーツを強調表示させる表示を行う付記1~付記3の何れか1項記載の表示制御装置。
【0079】
(付記7)
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記表示領域の外縁を示す枠を強調表示させる表示を行う付記1~付記3の何れか1項記載の表示制御装置。
【0080】
(付記8)
前記表示制御部は、前記第2の表示として、前記先行車両が検出されていることを示す所定のアイコンを、前記表示設定領域の外側に表示させる表示を行う付記1~付記3の何れか1項記載の表示制御装置。
【0081】
(付記9)
前記表示制御部は、前記第2の表示として表示させる対象を、前記追従マークと同じ色で表示させる付記5~付記8の何れか1項記載の表示制御装置。
【0082】
(付記10)
前記表示制御部は、前記第2の表示として表示させる対象を点滅表示させる付記5~付記8の何れか1項記載の表示制御装置。
【0083】
(付記11)
前記表示機器はヘッドアップディスプレイである付記1~付記10の何れか1項記載の表示制御装置。
【0084】
(付記12)
先行車両を検出する先行車両検出部によって検出された前記先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、前記表示位置に前記追従マークを表示させる第1の表示を行い、前記表示位置が前記表示設定領域外である場合に、前記先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行うことを含む処理をコンピュータによって実行させる表示制御方法。
【0085】
(付記13)
前記追従マークの表示位置は、前記先行車両に重畳または隣接する位置である付記12記載の表示制御方法。
【0086】
(付記14)
前記表示設定領域は、少なくともメータ表示部が表示される、前記表示領域のうち車両上下方向の下側のメータ表示領域を、前記表示領域から除外した領域である付記12または付記13記載の表示制御方法。
【0087】
(付記15)
前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側の表示を変化させる表示を行う付記12~付記14の何れか1項記載の表示制御方法。
【0088】
(付記16)
前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部を強調表示させる表示を行う付記12~付記14の何れか1項記載の表示制御方法。
【0089】
(付記17)
前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部のうちメータ表示部の上縁を示すパーツを強調表示させる表示を行う付記12~付記14の何れか1項記載の表示制御方法。
【0090】
(付記18)
前記第2の表示として、前記表示領域の外縁を示す枠を強調表示させる表示を行う付記12~付記14の何れか1項記載の表示制御方法。
【0091】
(付記19)
前記第2の表示として、前記先行車両が検出されていることを示す所定のアイコンを、前記表示設定領域の外側に表示させる表示を行う付記12~付記14の何れか1項記載の表示制御方法。
【0092】
(付記20)
前記第2の表示として表示させる対象を、前記追従マークと同じ色で表示させる付記16~付記19の何れか1項記載の表示制御方法。
【0093】
(付記21)
前記第2の表示として表示させる対象を点滅表示させる付記16~付記19の何れか1項記載の表示制御方法。
【0094】
(付記22)
前記表示機器はヘッドアップディスプレイである付記12~付記21の何れか1項記載の表示制御装置。
【0095】
(付記23)
コンピュータに、
先行車両を検出する先行車両検出部によって検出された前記先行車両に対応する追従マークの表示位置が、表示機器の表示領域のうち予め設定された表示設定領域内である場合に、前記表示位置に前記追従マークを表示させる第1の表示を行い、前記表示位置が前記表示設定領域外である場合に、前記先行車両が検出されていることを示す第2の表示を行うことを含む処理を実行させるための表示制御プログラム。
【0096】
(付記24)
前記追従マークの表示位置は、前記先行車両に重畳または隣接する位置である付記23記載の表示制御プログラム。
【0097】
(付記25)
前記表示設定領域は、少なくともメータ表示部が表示される、前記表示領域のうち車両上下方向の下側のメータ表示領域を、前記表示領域から除外した領域である付記23または付記24記載の表示制御プログラム。
【0098】
(付記26)
前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側の表示を変化させる表示を行う付記23~付記25の何れか1項記載の表示制御プログラム。
【0099】
(付記27)
前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部を強調表示させる表示を行う付記23~付記25の何れか1項記載の表示制御プログラム。
【0100】
(付記28)
前記第2の表示として、前記表示設定領域の外側に表示されるメータ表示部のうちメータ表示部の上縁を示すパーツを強調表示させる表示を行う付記23~付記25の何れか1項記載の表示制御プログラム。
【0101】
(付記29)
前記第2の表示として、前記表示領域の外縁を示す枠を強調表示させる表示を行う付記23~付記25の何れか1項記載の表示制御プログラム。
【0102】
(付記30)
前記第2の表示として、前記先行車両が検出されていることを示す所定のアイコンを、前記表示設定領域の外側に表示させる表示を行う付記23~付記25の何れか1項記載の表示制御プログラム。
【0103】
(付記31)
前記第2の表示として表示させる対象を、前記追従マークと同じ色で表示させる付記27~付記30の何れか1項記載の表示制御プログラム。
【0104】
(付記32)
前記第2の表示として表示させる対象を点滅表示させる付記27~付記30の何れか1項記載の表示制御プログラム。
【0105】
(付記33)
前記表示機器はヘッドアップディスプレイである付記23~付記32の何れか1項記載の表示制御プログラム。
【符号の説明】
【0106】
10 車載システム
24 カメラユニット
42 表示制御ECU
54 表示制御プログラム
56 AR-HUD
70 先行車両検出部
72 表示制御部
74 表示領域
76 メータ表示領域
78 表示設定領域
80 メータ表示部
84 パーツ
90 先行車両の像
92 追従マーク
94 枠
96 アイコン