(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007927
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65D77/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109676
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】519161193
【氏名又は名称】中山 昌生
(74)【代理人】
【識別番号】100154357
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】中山 昌生
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA22
3E067AB01
3E067AC01
3E067BA04B
3E067BA07C
3E067BB11B
3E067BB14C
3E067BB16C
3E067BC01C
3E067BC03B
3E067BC03C
3E067EA32
3E067EB27
3E067EC12
3E067EC26
3E067EC33
3E067EE45
3E067FA04
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】缶詰の販売現場である店舗等において開けた缶詰の内容物を容易に容器に移すことができ、よってより簡単に持ち運ぶことを可能にする構成を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る容器1は、開口部2Aを有する入物部2と、前記開口部2Aを閉じるように前記入物部2に着脱自在に取り付けられる蓋4と、入物部2の内側の缶詰保持補助部である突起2Cと、蓋4の内側の缶詰保持補助部である突起4Bとを備え、これらの缶詰保持補助部は、所定の缶詰形状に応じた形状を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する入物部と、
前記開口部を閉じるように前記入物部に着脱自在に取り付けられる蓋と
を備え、
前記入物部又は前記蓋の内側に、缶詰保持補助部を備え、
前記缶詰保持補助部は、所定の缶詰形状に応じた形状を有する、
容器。
【請求項2】
前記入物部及び前記蓋はそれぞれ、前記容器内の缶詰が当接するように構成された缶詰当接部を備え、
前記缶詰当接部に前記缶詰保持補助部が形成されている、
請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記缶詰保持補助部は、前記容器の軸線方向に延びるように形成されている、
請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記缶詰保持補助部は、前記所定の缶詰形状に応じた形状の溝又は突起を有する、
請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記溝又は前記突起は、前記容器の軸線の周りに無端形状を有して延在している、
請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記缶詰保持補助部は、前記入物部又は前記蓋の内側に露出するように設けられる弾性体に設けられている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶詰の内容物を移し替える容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水分の多い食品を金属製缶に詰めて、保存処理を施して密封した缶詰が販売されている。缶詰には、フルオープンエンド式のもの、スパイラル式のものなど種々の種類の缶詰がある。これらの缶詰を開けるための缶切り、オープナーなどが種々提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-94237号公報
【特許文献2】実用新案登録第3065146号
【特許文献3】実用新案登録第3096724号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、缶詰は、次のようなメリットを持つ、優れた食品流通形態である。
1つ目は、長期保存が可能であることである。
2つ目は、食品保存に添加物等が不要で健康意識の高まりに適合していることである。
3つ目は、缶詰加工は大規模な設備や高度な技術を要せず実現できるため、生産現場に近い場所で比較的容易に加工できることである。
4つ目は、それにより嵩張り重たい素材段階での輸送が少なくコスト安となり、かつ新鮮な状態で加工できることである。
5つ目は、冷蔵・冷凍が不要であり、梱包しやすく振動などに強いので、運搬が容易であり、良い品質の製品を安く消費者に届けることが可能であることである。
6つ目は、店舗でも長期保存が可能なため食品ロスの低減につながることである。
7つ目は、空き缶は資源としての再利用上有利であり、環境対策上も優位性が高い。
8つ目は、缶詰の消費が拡大すれば自ずと缶詰の流通在庫が増加し、結果的に災害に対する社会全体としてのレジリエンスが強化されることである。
【0005】
しかし、家庭で缶を開ける危険、手間や、空き缶の保管や処分が面倒なことにより、その優位性に比べれば普及又は利用範囲は十分とは言い難い。またコンビニエンスストアなどの店舗等で惣菜や弁当を購入して出先で食べる需要は大きいが、缶詰はそうした需要に十分に応えることができていない。
こうした状況への対応として缶詰の販売現場である店舗等において、缶詰を開けてその内容物を容器に移し替えて家に持ち帰ることが考えられる。しかし、開けた缶詰の内容物を、食料品等を保管する容器(例えば特許文献3参照)に移し替えるとき、その内容物はこぼれやすい。つまり、従来の容器は、缶詰の内容物を容易に移し替えることに向けられていない。
【0006】
本発明は、缶詰の販売現場である店舗等において開けた缶詰の内容物を容易に容器に移すことができ、よってより簡単に持ち運ぶことを可能にする構成を提供することを目的とする。ひいては、本発明は、店舗等で缶詰を開けることで、空き缶を店舗等が引き取ることを容易にし、缶詰による食料消費を拡大し、環境負荷の少ない食品流通を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、
開口部を有する入物部と、
前記開口部を閉じるように前記入物部に着脱自在に取り付けられる蓋と
を備え、
前記入物部又は前記蓋の内側に、缶詰保持補助部を備え、
前記缶詰保持補助部は、所定の缶詰形状に応じた形状を有する、
容器
を提供する。
【0008】
本発明の一態様に係る上記構成の容器によれば、入物部又は蓋の内側に、缶詰保持補助部を備え、その缶詰保持補助部は、所定の缶詰形状に応じた形状を有するので、その缶詰保持補助部により容器内での缶詰の保持を補助することができる。よって、容器内に缶詰を保持した状態で、容器ごと上下を逆さにするなどして、缶詰の販売現場である店舗等において開けた缶詰の内容物を容易に容器に移すことができ、よってそれをより簡単に持ち運ぶことが可能になる。
【0009】
好ましくは、前記入物部及び前記蓋はそれぞれ、前記容器内の缶詰が当接するように構成された缶詰当接部を備え、前記缶詰当接部に前記缶詰保持補助部が形成されている。この構成によれば、入物部と蓋との間に缶詰を挟んで保持することができ、その缶詰の保持を缶詰保持補助部で補助することができる。よって、容器内に缶詰を保持した状態で、容器ごと上下を逆さにするとき、容器内での缶詰の位置を実質的に固定することができる。
【0010】
好ましくは、前記缶詰保持補助部は、前記容器の軸線方向に延びるように形成されている。この構成によれば、容器の軸線方向つまり、入物部又は蓋の軸線方向に缶詰を移動させることで、缶詰は缶詰保持補助部に接することが可能になる。
【0011】
好ましくは、前記缶詰保持補助部は、前記所定の缶詰形状に応じた形状の溝又は突起を有する。この構成によれば、缶詰保持補助部は、例えば缶詰の縁により好適に接することができる。
【0012】
好ましくは、前記溝又は前記突起は、前記容器の軸線の周りに無端形状を有して延在している。この構成によれば、缶詰保持補助部は、例えば所定の種類の缶詰の縁の全周に亘って接することができ、よって缶詰を好適に保持することに貢献することができる。
【0013】
好ましくは、前記缶詰保持補助部は、前記入物部又は前記蓋の内側に露出するように設けられる弾性体に設けられている。この構成によれば、缶詰保持補助部への缶詰の接触の際、缶詰を弾性体に押し付けて、缶詰を保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記一態様によれば、上記構成を備えるので、缶詰の販売現場である店舗等において開けた缶詰の内容物を容易に上記容器に移すことができ、よってそのまま簡単に持ち運ぶことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の基本的構成例を有する一実施形態としての容器の断面模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る容器の入物部を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIIB-IIB線に沿った断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る容器の蓋を示す図であり、(a)は(b)のIIIA-IIIA線に沿った断面図であり、(b)は底面図である。
【
図4】
図3の蓋を逆さにしてその上に缶詰を載置し、
図2の入物部を蓋に向けて進めるところを示す説明図である。
【
図5】
図3の蓋を逆さにしてその上に缶詰を載置し、
図2の入物部を蓋に螺合させた状態を示す説明図である。
【
図6】
図5の缶詰を内部に入れた容器をひっくり返したところを示す説明図である。
【
図7】第1実施形態に係る容器に別の缶詰を適用したところを示す説明図であり、
図6に対応する図である。
【
図8】第2実施形態に係る容器を示す図であり、(a)は蓋の断面図であり、(b)は入物部の断面図である。
【
図9】
図8の容器に、缶詰を適用したところを示す説明図である。
【
図10】第3実施形態に係る容器を示す断面図であり、そこに缶詰を適用したところを示す図である。
【
図11】第4実施形態に係る容器を示す図であり、(a)は蓋の断面図であり、(b)は入物部の断面図である。
【
図12】第5実施形態に係る容器を示す図であり、(a)は蓋の断面図であり、(b)は入物部の断面図である。
【
図14】
図12(b)の入物部の変形例を示す断面図であり、(a)から(e)はそれぞれ別の変形例である。
【
図15】第6実施形態に係る容器を示す図であり、(a)は蓋の断面図であり、(b)は入物部の断面図であり、(c)は(b)の入物部の変形例を示す図である。
【
図16】第7実施形態に係る容器を示す断面図であり、蓋を逆さにしてその上に缶詰を載置し、入物部を蓋に向けて進めるところを示す説明図である。
【
図17】
図16の容器を示す断面図であり、蓋を逆さにしてその上に缶詰を載置し、入物部を蓋に螺合させた状態を示す説明図である。
【
図18】
図16の容器を示す断面図であり、缶詰を内部に入れた容器をひっくり返したところを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の基本的構成例を有する一実施形態としての容器1について説明する。
図1に、容器1の断面模式図を示す。なお、
図1では、容器1内において、缶詰C1の開口部C0が下側に向くように配置するときの缶詰C1を破線で示す。
【0017】
容器1は、開口部2Aを有する入物部2と、その開口部2Aを閉じるように入物部2に着脱自在に取り付けられる蓋4とを備える。容器1内には、缶詰を位置付けることができ、その缶詰を内部に入れた状態の容器1は、入物部2を下にしてその上に蓋4を位置付けることもでき、蓋4を下にしてその上に入物部2を位置付けたりすることもできる。容器1では、缶詰をその内部に入れたとき、入物部2の底部2Bつまりその内面は、容器1内の缶詰が当接するように構成された缶詰当接部6Aとなる。また、容器1では、缶詰をその内部に入れたとき、蓋4の蓋本体部4Aつまりその内面は、入物部2の底部2Bの内面に対向し、容器1内の缶詰が当接するように構成された缶詰当接部6Bとなる。
【0018】
容器1の内側、特にこれらの缶詰当接部6A、6Bとなる入物部2の底部2B及び蓋4の蓋本体部4Aのそれぞれの内側に、缶詰保持補助部8A、8Bが形成されている。
【0019】
容器1では、缶詰保持補助部8Aは、入物部2の底部2Bに形成された突起2Cである。突起2Cは、容器1の軸線1Aの方向(軸線方向)に延びるように形成されている。つまり、突起2Cは、閉じた容器1において入物部2の底部2Bに対向する蓋4の蓋本体部4Aに向けて延びるように形成されている。そして、突起2Cは、容器1の軸線1Aの周りに無端形状を有して延在している。具体的には、突起2Cは環状突起である。この突起2Cは、入物部2の深さに対してわずかな突出高さを有している。このような突起2Cは、対応する所定の缶詰形状に応じた形状を有する。
図1に示す場合、突起2Cは、対応する所定の缶詰形状の缶詰C1の外径とほぼ等しい内径を有するように形成されている。
【0020】
容器1では、缶詰保持補助部8Bは蓋4の蓋本体部4Aに形成された突起4Bである。突起4Bは、容器1の軸線1Aの方向(軸線方向)に延びるように形成されている。つまり、突起4Bは、閉じた容器1において蓋4の蓋本体部4Aに対向する入物部2の底部2Bに向けて延びるように形成されている。そして、突起4Bは、容器1の軸線1Aの周りに無端形状を有して延在している。具体的には、突起4Bは環状突起である。この突起4Bは、蓋4の深さに対してわずかな突出高さを有している。このような突起4Bは、対応する所定の缶詰形状に応じた形状を有する。
図1に示す場合、突起4Bは、対応する所定の缶詰形状の缶詰C1の底部の凹部CRの内側に大きな遊びなく嵌まることができる。なお、突起4Bは、缶詰C1の凹部CRの内径とほぼ等しい外径を有するように形成されているが、例えば缶詰C1の外径とほぼ等しい内径を有するように形成されてもよい。
【0021】
したがって、入物部2と蓋4との間に挟むようにして容器1内に缶詰C1を保持した状態で、容器1ごと上下を逆さにするなどして、缶詰C1の販売現場である店舗等において開けた缶詰C1の内容物を容易に容器1内に移すことができる。よって缶詰C1の内容物をより簡単に持ち運ぶことが可能になる。一方空き缶は店舗等に留まり、容易かつ効率的に回収することができる。
【0022】
なお、上記突起2C及び突起4Bの両方又はいずれか一方は、凹部つまり溝とされてもよい。この溝は、突起2C又は突起4Bと同様に、所定の缶詰形状に応じた形状を有するとよい。また、この溝は、容器の軸線方向に延びるように形成されるとよい。さらに、この溝は、容器の軸線の周りに無端形状を有して延在するとよい。
【0023】
なお、突起2C及び突起4Bといった缶詰保持補助部8A、8Bは、入物部2又は蓋4の内側に露出するように設けられる弾性体に設けられることもできる。また、入物部2に形成される突起2C及び/又は溝の数は、1つでも、複数でもよい。同様に、蓋4に形成される突起4B及び/又は溝の数は、1つでも、複数でもよい。また、容器1の入物部2及び蓋4は種々の材料で作製されてもよい。入物部2及び蓋4の両方又はいずれか一方は、例えば、シリコーンなどの弾性材料又はゴム材料、ポリプロピレンなどの合成樹脂及び紙のいずれか一つの材料から作製可能である。入物部2及び蓋4の両方又はいずれか一方は、紙製とされ、容器1は全体的に又は部分的に使い捨て容器とされてもよい。
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を添付図に基づいてより詳しく説明する。
【0025】
図2から
図7に、第1実施形態に係る容器10を開示する。容器10は、入物部12と、蓋14とを備える。
図2に示す入物部12は、開口部16を有する器であり、底部18と、底部18につながる側壁部20とを備える。
図3に示す蓋14は、開口部16を閉じるように入物部12に着脱自在に取り付けられる。入物部12はその側壁部20の外面に雄ねじ22を有する。これに対して、蓋14はその雄ねじ22に螺合することができる雌ねじ24を有する。入物部12の雄ねじ22に蓋14の雌ねじ24を螺合させることで、入物部12の開口部16は閉じられ、容器10内は実質的に密閉される。
【0026】
容器10は、軸線10Aを有する。入物部12に蓋14が取り付けられているとき、軸線10Aは、入物部12の底部18の略中心を通り側壁部20の内側を通るように延び、蓋14と交差する、ここでは略直交する。容器10では、底部18は円形であり、側壁部20は略筒状であり、入物部12は軸線10A周りに概ね回転対称に形成されている。以下では、説明を容易にするため、軸線10Aの方向(軸線方向)において、容器10、入物部12又は蓋14のそれぞれにおいて、入物部12に蓋14が取り付けられた容器10を蓋14を上側にしてテーブル等の上に載置したときの姿勢を基準にして、容器10の底部18側を「下」又は「下側」といい、容器10の蓋14側を「上」又は「上側」という。
【0027】
側壁部20は、底部18に向けて狭まる形状を有する基端部26と、基端部26につながり前述の開口部16を区画形成する先端部28とを備える。基端部26は、底部18にまで延び、逆切頭円錐形状を有する。先端部28は、略円筒形状であり、雄ねじ22が形成されている。
【0028】
蓋14は、入物部12に蓋14が取り付けられるとき、開口部16に面する蓋本体部30と、蓋本体部30と直交するように延びる蓋筒状部32とを有する。蓋筒状部32は雌ねじ24が形成されている。なお、蓋本体部30は円形である。
【0029】
入物部12は、合成樹脂製であり、ここではポリプロピレン(PP、polypropylene)製である。しかし、入物部12は、種々の材料で作製され得、例えばポリプロピレン以外の合成樹脂製であってもよく、あるいは、金属製であっても紙製であってもよい。蓋14も、合成樹脂製であり、ここではポリプロピレンで作製されている。しかし、蓋14も、種々の材料で作製され得、例えばポリプロピレン以外の合成樹脂製であってもよく、あるいは、金属製であっても紙製であってもよい。なお、入物部12と蓋14は異なる材料で作製されてもよい。入物部12及び蓋14の材料についてのこれらの説明は、以下の他の実施形態のそれらの材料においても同じである。
【0030】
入物部12の内側には、弾性体EBとして環状部材34が設けられている。環状部材34は、シリコーン製であり、入物部12及び蓋14の材料よりも柔らかい材料でできている。したがって、弾性体EBとしての環状部材34は入物部12の開口部16を区画形成する側壁部20よりも柔らかい。なお、本明細書において、弾性体EBはシリコーンからなるが、シリコーン以外の材料製であってもよく、例えば種々の樹脂材料又は天然ゴムなどで構成されていてもよい。これは以下の他の実施形態における弾性体EBにおいても同様である。
【0031】
環状部材34は、入物部12の底部18と側壁部20とにおいて入物部12の内側に露出するように設けられている。特にここでは、環状部材34は底部18と側壁部20との連続部から側壁部20の途中にまで至るようにそれらの内面に沿って取り付けられ、よって、入物部12の開口部16から離れて配置され、かつ、底部18及び側壁部20の内側に延在している。そして、環状部材34は、略一定の厚さを有し、側壁部20の内面20iに沿う形状に形作られていて、底部18側に向けて先細る形状を有している。このように、環状部材34は、底部18及び側壁部20の内側において、入物部12の軸線つまり容器10の軸線10Aの周りに無端形状を有して延在している。また、環状部材34は、底部18側に向けて先細る形状を有しているので、入物部12の軸線つまり容器10の軸線10Aに対して傾いている内面34iを有する。
【0032】
更に、入物部12の雄ねじ22は、開口部16を区画形成する先端部28の全体に亘って形成されている。入物部12の軸線つまり容器10の軸線10Aの方向(軸線方向)において、先端部28は、入物部12の1/4から1/3の長さを有している。したがって、雄ねじ22は、容器10の軸線10Aの方向において、側壁部20の開口部16側から側壁部20の1/4の箇所までの範囲には少なくとも形成されている。そして、蓋14の蓋筒状部32は、軸線10Aの方向(軸線方向)において入物部12の雄ねじ22と概ね同じ長さつまり、側壁部20の全長の1/4の長さ以上の長さを有し、その概ね全体に亘って雌ねじ24が形成されている。なお、軸線10Aの方向において、雄ねじ22の長さと、雌ねじ24の長さは、概ね同じであることに限定されず、大きく異なってもよい。例えば、入物部12の雄ねじ22の長さは上記長さの半分以下にされてもよい。この場合であっても、雌ねじ24が相対的に長いことで、雄ねじ22に対する雌ねじ24の螺合位置を柔軟に調整することができ、よって後述するように種々のサイズの缶詰に容器10は対応することが可能になる。
【0033】
また、蓋14の蓋本体部30の内側には、突起36、38が設けられている。突起36、38は、それぞれ環状の突起であり、直径が異なり、蓋14の軸線つまり容器10の軸線10Aを中心として同心円状に配置されている。突起36、38は、それぞれ、蓋14の軸線つまり容器10の軸線10Aの方向(軸線方向)に延びるように形成されている。つまり、突起36、38は、閉じた容器1において蓋14の蓋本体部30に対向する入物部12の底部18に向けて延びるように形成されている。そして、突起36、38は、一定の高さを有するように形成されている。ここでは突起36、38は、5mm程度の高さを有するが、その高さはこれに限定されない。しかし、その高さは、容器10が用いられる缶詰の底部の凹部の深さを超えないとよい。突起36、38の幅は3mm程度であるが、その幅はこれに限定されない。なお、突起36、38の数は2つ以外であってもよく、1つ又は3つ以上であってもよい。ただし、ここでの突起36、38はそれぞれ対応する大きさの缶詰の底の凹部のサイズに応じた位置に形成されている。つまり、突起36は、第1の所定の缶詰形状に応じた形状を有し、突起38は、第2の所定の缶詰形状に応じた形状を有する。これらの突起36、38はそれぞれ、缶詰保持補助部に相当する。
【0034】
上記構成を有する容器10の使用方法について
図4から
図6に基づいて説明する。
【0035】
図4に示すように、まず、店舗等での店員等である作業者は、蓋14を、略水平に置かれたテーブル40の上に上下逆さにしてつまり蓋本体部30がテーブル40に直接接するように置く。この状態で、必要に応じて缶切り等を用いて開けた缶詰C1を、その開口部COを上側にしたまま、蓋14の蓋本体部30の上に置く。このとき、缶詰保持補助部の一例である突起38は、ある規格サイズの缶詰C1の所定の缶詰形状に応じた形状(寸法を含む。)を有するので、この缶詰C1の底部の凹部CRの内側に大きな遊びなく嵌まることができる。したがって、缶詰C1を蓋14の略中央に配置することができる。このように蓋14の上に缶詰C1を載置した状態で、入物部12を逆さにして、入物部12を蓋14に対して進める(
図4の矢印参照)。
【0036】
缶詰C1のサイズに対して、容器10は、缶詰C1が環状部材34の内側を通過できないサイズを有するように、かつ、蓋14の上に缶詰C1を配置して入物部12と蓋14とを螺合させるように入物部12を蓋14に向けて進めたときに缶詰C1を入物部12と蓋14との間にしっかりと挟むことができるように、形成されている。したがって、
図4に示すように入物部12を蓋14に対して進めることで、
図5に示すように、蓋14の雌ねじ24に入物部12の雄ねじ22の一部は螺合することになり、缶詰C1の開口部COは、環状部材34に接し、環状部材34が弾性変形することで入物部12の環状部材34でしっかりと密閉されるような状態になる。ここでは、環状部材34は、底部18及び側壁部20において、特にそれらの内側において、入物部12の軸線つまり容器10の軸線10Aの周りに無端形状を有して延在している。したがって、
図5に示すように、缶詰C1の開口部COは、その全周に亘って、環状部材34にしっかりと接し、環状部材34が弾性変形することで入物部12の環状部材34でしっかりと密閉されるような状態になることができる。また、環状部材34は、入物部12の軸線つまり容器10の軸線10Aに対して傾いている内面34iを有する。したがって、
図5に示すように、缶詰C1の開口部COは、その全周に亘って、環状部材34によりしっかりと接し、環状部材34が弾性変形することで入物部12の環状部材34でよりしっかりと密閉されるような状態になることができる。これにより、缶詰C1は、蓋14と入物部12との間に挟まれてそれらにより保持される。このとき、上述のように缶詰C1の底部の凹部CRの内側に所定の缶詰形状の突起38が嵌まり接することにより、容器10内での缶詰C1の保持を補助することができる。
【0037】
そして、
図5に矢印で示すように、容器10をひっくり返すことで、
図6に示すように、入物部12の底部18がテーブル40に接する状態になる。
図6の状態で、蓋14を外して、缶詰C1を取り除くことで、容器10の入物部12内に缶詰C1の内容物を作業者は手を汚さずに移すことができる。
【0038】
なお、缶詰C1とは異なるサイズの缶詰C2を容器10内に配置した状態を
図7に示す。
図7では、缶詰保持補助部の一例である突起36は、ある規格サイズの缶詰C2の所定の缶詰形状(寸法を含む。)に応じた形状を有するので、缶詰C2の凹部CRの内側には、内側の突起36が嵌まって接していて、缶詰C2の開口部COは、
図6に示す缶詰C1の開口部COとは異なる箇所で弾性体EBである環状部材34に接する。このように、容器10では、環状部材34は入物部12の軸線つまり容器10の軸線10Aに対して傾いている内面34iを有するので、容器10は、複数のサイズのつまり複数の規格の缶詰の内容物の移し替えに用いられることができる。
【0039】
以上述べた容器10に関して、一部の特徴的な構成と、それによる作用効果を以下で説明する。
【0040】
容器10は、開口部16を有する入物部12と、開口部16を閉じるように入物部12に着脱自在に取り付けられる蓋14とを備える。そして、蓋14の内側に、缶詰保持補助部である突起36、38を備える。これら突起36、38はそれぞれ、対応する所定の缶詰形状に応じた形状を有する。したがって、これら突起36、38により、容器10内での缶詰の保持、例えばそのうちの位置決めを補助することができる。
【0041】
入物部12は、容器10内の缶詰C1、C2が当接するように構成された缶詰当接部になる、底部18及び側壁部20の内側に延在している環状部材34を備える。蓋14は、容器10内の缶詰C1、C2が当接するように構成された缶詰当接部になる、蓋本体部30を備える。この缶詰当接部に相当する蓋本体部30に、缶詰保持補助部に相当する突起36、38が形成されている。この構成によれば、入物部12と蓋14との間に缶詰C1、C2を挟んで保持することができ、その缶詰C1、C2の保持を突起36、38で補助することができる。よって、容器10内に缶詰C1、C2を保持した状態で、容器10ごと上下を逆さにするとき、容器10内での缶詰36、38の位置を実質的に固定することができる。
【0042】
缶詰保持補助部である突起36、38はそれぞれ、容器10の軸線方向に延びるように形成されている。この構成によれば、容器10の軸線方向つまり、入物部12又は蓋14の軸線方向に缶詰C1、C2を移動させることで、缶詰C1、C2は缶詰保持補助部である突起36、38に接することが可能になる。
【0043】
そして、缶詰保持補助部である突起36、38はそれぞれ、対応する所定の缶詰形状に応じた形状を有する。この構成によれば、突起36、38は対応する缶詰C1、C2の縁により好適に接することができる。よって、缶詰C1、C2の保持をより好適に補助することができる。
【0044】
そして、突起36、38は、容器10の軸線10Aつまり蓋14の軸線の周りに無端形状を有して延在している。この構成によれば、突起36、38は、対応する所定の種類の缶詰C1、C2の縁の全周に亘って接することができ、よって缶詰C1、C2を好適に保持することに貢献することができる。
【0045】
以上述べたように、店舗等で、作業者又はその缶詰C1の購入者は、缶詰C1の内容物を容器10に容易に移すことができ、よってその購入者は缶詰C1の内容物を入れた容器10を容易に持ち運ぶ又は持ち帰ることができ、一方で作業者は販売した缶詰C1の空き缶を回収することができる。なお、近年では、缶詰の缶の巻き締めた部分の外側を切るタイプの缶切りが開発されたことにより、その缶詰の開口部がより綺麗な切り口を有する。したがって、そのように開けられた缶詰にこの容器10はより適合し易い。
【0046】
なお、雄ねじ22は、容器10の軸線10Aの方向において、側壁部20の開口部16側から側壁部20の1/4の箇所までの範囲には少なくとも形成されていて、軸線10Aの方向の長さが容器10のサイズに対して長い。また、雌ねじ24は、軸線10Aの方向において雄ねじ22と概ね同じ長さを有する。よって、
図6及び
図7に示すように、容器10は、異なるサイズの缶詰C1、C2に柔軟に対応することができる。
【0047】
また、環状部材34は入物部12の内側に着脱自在に取り付けられるので、容器10を洗浄するとき、環状部材34は入物部12から取り外されて、洗われる。したがって、容器10は、より清潔に使用され得る。なお、環状部材34は、入物部12の開口部16から離して入物部12に設けられる。したがって、入物部12と蓋14との間の密閉性を考慮することなしに、環状部材34を入物部12に容易に設けることが可能になる。
【0048】
なお、缶詰保持補助部は、突起36、38に限定されず、溝であってもよい。この場合、溝は、所定の缶詰形状の形状(寸法を含む)を有するとよく、また容器10の軸線10Aの周りに無端形状を有して延在するとよい。これは上記と同様の理由により、同様の作用効果を奏することができる。なお、缶詰保持補助部は、蓋14に設けられる代わりに又は蓋14に設けられることに加えて、入物部12に設けられてもよい。そして、突起36、38のような缶詰保持補助部は、入物部又は蓋14の内側に露出するように設けられる弾性体、例えば上記環状部材34に設けられてもよい。この場合、缶詰保持補助部も弾性体でできているとよいが、これに限定されない。
【0049】
次に、第2実施形態に係る容器110を
図8及び
図9に基づいて説明する。
図8に示すように、容器110は、容器10と比べて、蓋14の内側に更なる突起102を有すること、及び、入物部12の環状部材34の内側において底部18に接するように底敷き部材104が設けられていること、という特徴を有する。つまり、容器110は、容器10の全構成を実質的に備え、その上で、更に突起102及び底敷き部材104を備える。以下では、第2実施形態に係る容器110における、容器10とのこれらの相違点について主として説明し、既に説明した構成要素に相当する構成には同じ符号を用いてそれらの重複する説明を省略する。ただし、容器110は容器10とサイズについて種々の違いを有するが、これは、種々の缶詰により柔軟に対応するためである。
【0050】
突起102は、缶詰保持補助部の一例であり、ある規格サイズの缶詰の所定の缶詰形状に応じた形状(寸法を含む。)を有する。突起102は、蓋本体部30の内側の面において、上記突起36、38の径方向内側に設けられていて、環状であり、蓋14の軸線つまり容器110の軸線10Aを中心として延びるように構成されている。突起102は、突起36、38と、同心円状に設けられている。
【0051】
底敷き部材104は、円形の部材であり、入物部12の軸線つまり容器110の軸線10Aと交差するように底部18の内面18iに沿って延在するように設けられる。したがって、底敷き部材104は、入物部12の底部18において入物部12の内側に露出するように設けられている。また、底敷き部材104は、入物部12の軸線つまり軸線10Aの周りに無端形状を有して延在している。底敷き部材104は、厚さ一定ではなく、中心側つまり軸線10A側程厚くなるように、そして、その外側つまり側壁部20側程薄くなるように構成されている。したがって、底敷き部材104は、入物部12の軸線つまり軸線10Aに対して傾いている内面104iを有する。そして、底敷き部材104の外縁部で環状部材34と実質的に隙間なく接する。底敷き部材104も、環状部材34と同じく弾性体EBであり、環状部材34と同じ材料でできている。なお、入物部12内に底敷き部材104のみが設けられて、環状部材34は省略されてもよい。
【0052】
なお、底敷き部材104は環状部材34とは別体で作製されて、入物部12の内側に環状部材34とともに取り外し可能に取り付けられる、具体的には嵌め込まれるが、底敷き部材104と環状部材34とは当初から一体の部材として作製されるとなおよい。底敷き部材104と環状部材34は一体成形の方が、強度的に、すなわち側面に延びる環状部材34に上から圧力がかかるときにその環状部材34が変形することへの強度をより良好に高めることができる。また、本開示の技術においては、底敷き部材104が厚さ一定で作製されることもできる。
【0053】
上記構成を有する容器110は、
図4から
図7に基づいて説明したように容器10と同様に使用可能である。そして、更に、
図9に示すように、容器110は使用され得る。
【0054】
図9では、上記缶詰C1、C2よりも相対的に小さな直径を有する、ある規格サイズの缶詰C3に容器110が用いられている。缶詰C3の底部の凹部CRには突起102が嵌まって接し、缶詰C3の開口部C3は環状部材34の内側で底敷き部材104に接している。このように、突起102及び底敷き部材104を有するので、容器110は、よりサイズの異なる様々な缶詰に用いられることができる。
【0055】
次に、第3実施形態に係る容器210を
図10に基づいて説明する。容器210における上記容器110との相違点についてのみ以下説明し、既に説明した構成要素に相当する構成には同じ符号を用いてそれらの重複する説明を省略する。
【0056】
図10に示すように、容器210は、容器110と比べて、弾性体EBである環状部材34及び底敷き部材104のそれぞれその内面34i、104iに環状の凹部又は溝34r、104rを有している。これらの溝34r、104rはそれぞれ、缶詰保持補助部の一例であり、ある規格サイズの缶詰の所定の缶詰形状に応じた形状(寸法を含む。)を有するように形成されている。環状部材34には複数の環状の溝34rがそれぞれ軸線10Aを実質的に中心として形成されている。底敷き部材104には、複数の環状の溝104rがそれぞれ軸線10Aを実質的に中心として形成されている。
図10では、これらのうちの1つの溝34raが対応するある規格サイズの缶詰C4の所定の缶詰形状に応じた形状(寸法を含む。)を有するので、その溝34raに、缶詰C4の開口部COの縁が位置し、環状部材34に缶詰C4は安定して支持されている。このとき、溝34raは軸線10Aを実質的に中心として形成されているの円状の溝であるので、略円柱状の缶詰C4を軸線10Aを実質的に中心として容器210に配置することが可能になる。これは、缶詰C4の容器210内での保持補助、具体的には好適な位置付けを可能にし、缶詰C4の内容物の容器210内への移し替えにより液漏れ等がする可能性をより確実に低減することができる。
【0057】
なお、容器210は、入物部12の形状又は寸法、蓋14の形状又は寸法、環状部材34及び底敷き部材104の各形状又は寸法の点で、容器110と異なる点があるが、それらはそれぞれ同じであってもよい。
【0058】
次に、第4実施形態に係る容器310を
図11に基づいて説明する。容器310における上記容器110との相違点についてのみ以下説明し、既に説明した構成要素に相当する構成には同じ符号を用いてそれらの重複する説明を省略する。
【0059】
容器310では、弾性体EBとして弾性部材312が、入物部12の底部18から側壁部20に亘ってその内側に延在するように設けられている。したがって、弾性部材312は、入物部12の底部18と側壁部20とにおいて入物部12の内側に露出するように設けられている。また、弾性部材312は、前述の環状部材34に対応する環状部314と、底部18にまで延びる略円状に延びる底敷き部316を有している。したがって、弾性部材312は、容器310の入物部12の底部18及び側壁部20の内側において、入物部12の軸線10Aの周りに無端形状を有して延在している。なお、弾性部材312は、環状部314に相当する部材と、底敷き部316に相当する部材とが個別に作られて、それらが容器310内に設けられることで一体的に統合されてもよい。または、環状部314に相当する部材と、底敷き部316に相当する部材とのいずれか一方のみが入物部12内に取り付けられることを、本開示は許容する。
【0060】
また、底敷き部316は、上記底敷き部材104と同じく中心側ほど厚みを増すように構成されてもよいが、ここでは、中心側つまり軸線10A側程厚みが薄くなるように構成されている。弾性部材312は、その環状部314が側壁部20の内側に延在して、よって軸線10Aに対して傾いている面314iを有するだけでなく、弾性部材312の底敷き部316が底部18の内側に延在して、よって軸線10Aに対して傾いている面316iをも有する。面314iは、面316iの径方向外側において面316iに滑らかに連続する。
【0061】
弾性部材312が面314i及び面316iを有することで、より多くのサイズの缶詰の開口部COを密閉するように弾性部材312は用いられることが可能になる。よって、容器310は、より多くのサイズの缶詰に用いられることが可能である。
【0062】
なお、容器310は、前述の突起102を備えるが、この突起102についての更なる説明は省略する。
【0063】
次に、第5実施形態に係る容器410及びその変形例を
図12から
図14に基づいて説明する。容器410における特徴的構成のみを説明し、上記容器10、110との相違点についてのみ以下説明し、既に説明した構成要素に相当する構成には同じ符号を用いてそれらの重複する説明を省略する。
【0064】
容器410において、入物部12は、側壁部20が開口部16から底部18まで先細りになるように形成されている。側壁部20から軸線10Aを中心として径方向外側に延出するように雄ねじ22が形成されている。このような側壁部20の形状は、前述の実施形態の容器1、10、110、210、310においても採用され得る。
【0065】
入物部12の底部18には、環状の突起412と、突起412の外周側に環状の段部414が形成され、それら突起412と段部414との間に環状部材416が嵌め込まれている。したがって、環状部材416は、入物部12の底部18において入物部12の内側に露出するように設けられている。弾性体EBである環状部材416はシリコーン製であり、入物部12の側壁部20及び底部18よりも柔らかい。
【0066】
また、容器410の蓋14には、軸線10Aを中心として環状の突起418が設けられている。突起418は、缶詰保持補助部の一例であり、容器410の軸線方向に延び、容器の軸線の周りに無端形状を有して延在していて、所定の缶詰形状に応じた形状を有する。蓋14が入物部12に取り付けられたとき、環状の突起418は、段部414の真上に位置するように形成されている。特にここでは、突起418の内側縁部が段部414の内側縁部と軸線10Aからの距離が略一致するように、突起418及び段部414は設けられている。この突起418はその内側の直径(内径)D1が所定サイズの缶詰の外径とほぼ同じであるように形成されている。したがって、突起418の内側に、所定サイズの缶詰は嵌まることができる。同様に、段部414は、所定の缶詰形状に応じた形状を有する突起でもあり、その内側の直径(内径)が所定サイズの缶詰の外径とほぼ同じであるように形成されている。したがって、段部414の内側に、所定サイズの缶詰は嵌まることができる。
【0067】
前述のように、蓋14が逆さまにされてテーブルに置かれているとき、缶詰はその底部が突起418内に嵌まるように蓋14に載置される。そして、入物部12が蓋に対して進められる。ここでは、容器410内に缶詰があるとき、入物部12の雄ねじ22と蓋14の雌ねじ24とが相互干渉しない範囲で、蓋14が閉まらないように蓋14及び入物部12は設計されている。したがって、缶詰の開口部が環状部材416に当接して更に環状部材416が変形するまで、作業者は入物部12を缶詰に押し付けることができる。この状態で、缶詰の開口部COは実質的に密閉されているので、この状態で容器410をひっくり返すことで、容器410の入物部12内において、缶詰の開口部COが下になるように缶詰が位置付けられる。そして、缶詰を取り除いて、蓋14を閉めることで、容器410内に缶詰の内容物を移し替えることができる。
【0068】
なお、
図13に示すように、容器410の蓋14の環状の突起418内に弾性部材420つまり押し付けられる缶詰のクッションとして機能する部材を配置してもよい。
【0069】
また、容器410の入物部12の変形例を
図14に示す。
図14(a)に示すように、上記環状の突起412は省略され、環状の段部414の内側に平板状の弾性部材422が設けられてもよい。弾性部材422は、弾性体EBである。また、
図14(b)に示すように、更に段部414も弾性部材423の一部として構成してもよい。弾性部材423は弾性部材422の周囲に段部414を一体的に設けた弾性体EBである。更に、
図14(c)に示すように、
図14(b)の入物部における入物部12の全体つまり側壁部20及び底部18の全体も弾性部材とされて、入物部12の全体が弾性部材424として構成されてもよい。また、
図14(d)に示すように、
図14(a)の入物部12における段部414が省略されて、入物部12の底部18にその全体に亘って略円形の平板状の弾性部材426が嵌め込まれてもよい。また、
図14(e)に示すように、
図14(d)の入物部12の全体も弾性部材とされて、入物部12の全体が弾性部材428として構成されてもよい。
【0070】
次に、第6実施形態に係る容器510を
図15に基づいて説明する。容器510における特徴的構成のみを説明し、上記容器410との相違点についてのみ以下説明し、既に説明した構成要素に相当する構成には同じ符号を用いてそれらの重複する説明を省略する。
【0071】
図15(a)に示すように、容器510の蓋14は、環状の突起512を有する。突起512は、その内側の直径(内径)D2が第1の缶詰の外径に相当し、突起512の外形を超えた直径D3が第1の缶詰よりも径が大きい第2の缶詰の外径に相当するように形成されている。つまり、突起512は、所定の缶詰形状に応じた形状を有する。そして、この突起512は、容器510の軸線の周りに無端形状を有して延在している。
【0072】
図15(b)に示すように、容器510の入物部12は、その底部18に入物部12の軸線つまり軸線10Aを中心とする環状の突起514を有し、突起514の外側と側壁部20との間に環状の弾性部材516を嵌め込むように形成されている。弾性部材516は、弾性体EBであり、側壁部20の底部18との接続部から側壁部20の半分を超えた位置まで延びている。したがって、弾性部材516は、入物部12の底部18と側壁部20とにおいて入物部12の内側に露出するように設けられている。弾性部材516には2つの凹部518、520が設けられている。凹部518は第1の缶詰の開口部が嵌まるように、対応する所定の缶詰形状に応じた形状を有するように形成されている。もう1つの凹部520は、第2の缶詰の開口部が嵌まるように、対応する所定の缶詰形状に応じた形状を有するように形成されている。なお、容器510では、蓋14と入物部12との間に第1の缶詰又は第2の缶詰が挟まれたとき、蓋14が閉まらないように寸法付けされている。
【0073】
なお、
図15(c)に示すように、容器510の入物部12及び弾性部材516の全体が弾性部材522で構成されてもよい。この場合でも、弾性部材522の一部は、入物部12の底部18と側壁部20とにおいて入物部12の内側に露出する弾性体EBとして機能する。
【0074】
次に、第7実施形態に係る容器610を
図16から
図18に基づいて説明する。容器610における特徴的構成のみを説明し、主に第1実施形態の上記容器10との相違点についてのみ以下説明し、既に説明した構成要素に相当する構成には同じ符号を用いてそれらの重複する説明を省略する。
【0075】
容器610において、蓋14が着脱自在に取り付けられる開口部16から底部18にまで延びる入物部12の側壁部20は底部18に対して直角であり、筒状である。蓋14の蓋本体部30の内面には、つまり、缶詰当接部には、弾性体EBである弾性部材611が一定の厚さで設けられている。そして、その弾性部材611の露出する内側の面に突起612、614が設けられている。突起612、614はそれぞれ、缶詰保持補助部の一例であり、前述の突起36、38と同様の構成を備える。例えば、突起612、614はそれぞれ、容器610の軸線方向に延びている。つまり、突起612、614は、閉じた容器610において蓋14の蓋本体部30に対向する入物部12の底部18に向けて延びるように形成されている。また、突起612、614はそれぞれ、対応するある規格サイズの缶詰の所定の缶詰形状に応じた形状(寸法を含む。)を有する。ここでは、突起612、614はそれぞれ、その外側の直径(外径)が所定サイズの缶詰の凹部の内径とほぼ同じであるように形成されている。これらの突起612、614は、それぞれ、更に弾性部材611と同様に弾性体EBとして構成されている。
【0076】
入物部12の缶詰当接部になる底部18の内面にも、弾性体EBである弾性部材616が一定の厚さで設けられ、その露出する内側の面に突起618、620が設けられている。突起618、620はそれぞれ、対応するある規格サイズの缶詰の所定の缶詰形状に応じた形状(寸法を含む。)を有する。ここでは、突起618、620はそれぞれ、その内側の直径(内径)が所定サイズの缶詰の外径とほぼ同じであるように形成されている。したがって、突起618、620の内側に、所定サイズの缶詰は嵌まることができる。これは、上記突起418と同様である。なお、突起618、620はそれぞれ、容器610の軸線方向に延びている。つまり、突起618、620は、閉じた容器610において入物部12の底部18に対向する蓋14の蓋本体部30に向けて延びるように形成されている。そして、突起618、620は、容器610の軸線10A周りに環状に延びている。突起618、620は、缶詰保持補助部の一例であり、弾性部材616と同様に弾性体EBとして構成されている。
【0077】
この構成の容器610内に、一例として上記缶詰C1の内容物を移し替えることについて
図16から
図18に基づいて簡単に説明する。
【0078】
容器610の蓋14が逆さまにされてテーブル40に置かれているとき、缶詰C1はその底部に対応する突起614が嵌まるように蓋14に載置される。このように蓋14の上に缶詰C1を載置した状態で、入物部12を逆さにして、入物部12を蓋14に対して進める(
図16の矢印参照)。
【0079】
容器610において、入物部12を蓋14に対して進めることで、
図17に示すように、蓋14の雌ねじ24に入物部12の雄ねじ22は螺合することになり、缶詰C1の開口部COは、弾性部材616に接し、弾性部材616が弾性変形することで入物部12の弾性部材616でしっかりと密閉されるような状態になる。このとき、缶詰C1の開口部COの縁の外側に、対応する突起620が接し、缶詰C1の保持補助、例えば位置決めが行われる。そして容器610をひっくり返すことで、
図18に示すように、入物部12の底部18がテーブル40に接する状態になる。
図18の状態で、蓋14を外して、缶詰C1を取り除くことで、容器610の入物部12内に缶詰C1の内容物を作業者は手を汚さずに移すことができる。
【0080】
このように、容器610では、入物部12及び蓋14の内側に露出するように設けられる弾性体である弾性部材611、616のそれぞれに缶詰保持補助部である突起612、614、618、620が設けられる。したがって、缶詰保持補助部である突起612、614、618、620への缶詰C1の接触の際、缶詰C1を弾性体である弾性部材611、618に押し付けて、缶詰C1をよりしっかりと保持することができる。なお、弾性部材611、616は設けられず、
図1に基づいて説明した容器1のように、入物部12の底部及び蓋14の蓋本体部に突起612、614、618、620が直接設けられてもよい。この場合、突起612、614、618、620は弾性体として構成されても、それが設けられた入物部12又は蓋14と同じ材料から作製されてもよい。
【0081】
以上、本発明に係る実施形態及びその変形例について説明したが、本発明はそれらに限定されない。本願の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。本開示において説明した上記構成要素は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0082】
例えば、環状の上記凹部又は溝34r、104r、518、520は、それぞれ環状の突起とされてもよく、例えばそれぞれ複数の突起等の組み合わせによりかえられてもよい。
【0083】
なお、上記実施形態の容器1、10、110、210、310、410、510、610では、入物部12及び蓋14は、ポリプロピレン製であり、環状部材34などの弾性体EBは、シリコーン製であった。しかし、それらの材料はそれらに限定されず、例えば、弾性体EB及び入物部12は、弾性体EBが入物部12の開口部16を区画形成する側壁部20の材料よりも柔らかい材料で作られるように、種々の材料から作られ得る。なお、容器1、10、110、210、310、410、510、610はそれぞれ紙製の使い捨て容器とされてもよい。
【0084】
また、
図2~
図18に示す実施形態の容器10、110、210、310、410、510、610は、入物部12の雄ねじ22に蓋14の雌ねじ24を螺合させて容器10、110、210、310、410、510、610を閉じる構成を有した。しかし、入物部に雌ねじを設け、それに対応する雄ねじを蓋に設け、それらを螺合させることで容器を閉じてもよい。また、容器10、110、210、310、410、510、610においては、容器1のように、雄ねじ及び雌ねじを備えない構成も可能である。更に、蓋は、閉じた容器において容器の底部と対向する蓋の蓋本体部のみで構成されてもよい。
【0085】
なお、上記実施形態で説明したように、本開示の技術は、開口部を有する入物部と、前記開口部を閉じるように前記入物部に着脱自在に取り付けられる蓋とを備えた容器に、缶詰の内容物を移し替える方法であって、上下逆さにした前記蓋の上に、開けた前記缶詰の開口部を上側にしたまま、前記缶詰を置く第1工程と、前記蓋の上に前記缶詰を載置した状態で、前記入物部を逆さにして、前記入物部を前記蓋に対して相対的に進める第2工程と、前記第2工程を経た前記容器をひっくり返す第3工程とを含む方法にも存する。
【符号の説明】
【0086】
1、10、110、210、310、410、510、610 容器
2、12 入物部
4、14 蓋
2A、16 開口部
2B、18 底部
2C、4B 突起
20 側壁部
34 環状部材
104 底敷き部材
34r、104r 溝(凹部)
312 弾性部材
422 弾性部材
516 弾性部材
611 弾性部材
612、614 突起
616 弾性部材
618、620 突起
EP 弾性体