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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007947
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】商品陳列棚
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/06 20060101AFI20250109BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A47F3/06
A47F5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109720
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】横田 勝彦
【テーマコード(参考)】
3B110
3B118
【Fターム(参考)】
3B110FA02
3B110GA25
3B110GA28
3B110HA21
3B110JA09
3B110JA13
3B118FA35
(57)【要約】
【課題】移動棚板を前方に移動させた際に商品の補充スペースが自動的に形成され、商品の補充作業を効率よく行うことができるようにした商品陳列棚を提供する。
【解決手段】棚板支持体に前後方向に移動可能に支持された移動棚板51と、移動棚板51の上面に取り付けられる基板101に前後方向に移動可能に支持され、商品を前方に押し出し可能な商品押出し部材102と、商品押出し部材102を常時後方に付勢する後方付勢手段と、商品押出し部材102から前方に延び基板101の前部において後方に折り返され、棚板支持体に接続される前方引出し部材103とを備え、前方引出し部材103は、移動棚板51の前方への移動により所定以上の力が作用したとき棚板支持体との接続が解除される連結部11を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板支持体に前後方向に移動可能に支持された移動棚板と、前記移動棚板上を前方に移動し、商品を前方に押し出し可能な商品押出し部材と、前記商品押出し部材を常時後方に付勢する後方付勢手段と、前記商品押出し部材から前方に延び、前記移動棚板の前部において後方に折り返されて前記棚板支持体に接続される前記商品押出し部材の前方引出し部材とを備え、前記前方引出し部材は、前記移動棚板の前方への移動により所定以上の力が作用したとき前記棚板支持体との接続が解除される連結部を有することを特徴とする商品陳列棚。
【請求項2】
前記前方引出し部材は、前記移動棚板の前部の下方において後向きに折り返された柔軟性の紐状部材であることを特徴とする請求項1に記載の商品陳列棚。
【請求項3】
前記連結部は、前記前方引出し部材の折り返し部の遊端部に取り付けられた磁石と、前記移動棚板の下方において前記棚板支持体の左右のブラケット同士を連結する磁性材よりなる連結部材とにより構成され、前記磁石が前記連結部材に吸着することにより前記前方引出し部材が前記棚板支持体に接続され、前記磁石が前記連結部材から離れることにより前記前方引出し部材と前記棚板支持体との接続が解除されることを特徴とする請求項1に記載の商品陳列棚。
【請求項4】
前記後方付勢手段は、前記商品押出し部材に取り付けられた渦巻きばねと、該渦巻きばねの外径側の遊端から後方に延び、後端が前記移動棚板の後部に接続された接続部材とからなることを特徴とする請求項1に記載の商品陳列棚。
【請求項5】
前記商品押出し部材を前後方向に移動可能に支持する前記移動棚板の上面に取付可能な基板をさらに備え、前記基板と、前記商品押出し部材、前記後方付勢手段及び前記前方引出し部材とによりユニット化された商品押圧体が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の商品陳列棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば店舗等において商品の陳列に使用される商品陳列棚に関する。
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においては、複数段の棚板に商品を陳列する商品陳列棚が用いられている。棚板上の商品の残量が少なくなった際には補充する必要があるが、補充対象となる下段側の棚板に商品を補充する場合にはその上方の棚板が補充作業の妨げとなることがある。これを解消する陳列棚として、棚板が前方にスライド移動可能に支持されたスライド式棚装置があり(例えば特許文献1参照)、補充対象となる棚板を前方にスライドさせることにより、商品の補充作業を容易に行うことができる。
【0003】
しかしながら、このようなスライド式棚装置を用いた場合でも、陳列商品は棚板の手前から売れるため、奥側の商品を棚板の前方に移動させ、後方に形成される補充スペースに新しい商品を補充する作業が必要となる。また、食料品や飲料品等には消費(賞味)期限が存在するため、消費(賞味)期限の近い商品を棚板の前方に移動させ、棚板の後方に新しい商品を補充する作業も必要となる。
【0004】
例えば特許文献2には、移動棚板の上面に押出し部材を前後方向に移動可能に設け、押出し部材を前方に移動させて棚板の奥にある商品を棚板の前方に移動させ、棚板の後方に形成される補充スペースに新しい商品を補充することができるようにした商品押出し陳列棚が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-33885号公報(第5頁、第1図)
【特許文献2】特開2021-108801号公報(第7頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されている陳列棚においては、棚板の後方に補充スペースを形成するためには移動棚板を前方に2回移動させなければならない。すなわち、1回目の移動棚板の前方移動により、奥の商品を押出し部材により移動棚板の前部側に一旦押し出した後、移動棚板と共に押出し部材を後方に戻し、2回目の移動棚板の前方移動により前部側に移動させた商品の後方に補充スペースが形成されるようになっている。そのため、商品の補充作業を完了させるためには移動棚板を2往復させる必要がり、補充作業を効率よく行うことができないという問題がある。また、特許文献2には、レバーの操作により押出し部材と共に商品を前方に移動させる構成のものも開示されているが、その都度レバーを手動で操作しなければならない煩わしさがある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、移動棚板を前方に移動させた際に商品の補充スペースが自動的に形成され、商品の補充作業を効率よく行うことができるようにした商品陳列棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の商品陳列棚は、
棚板支持体に前後方向に移動可能に支持された移動棚板と、前記移動棚板上を前方に移動し、商品を前方に押し出し可能な商品押出し部材と、前記商品押出し部材を常時後方に付勢する後方付勢手段と、前記商品押出し部材から前方に延び、前記移動棚板の前部において後方に折り返されて前記棚板支持体に接続される前記商品押出し部材の前方引出し部材とを備え、前記前方引出し部材は、前記移動棚板の前方への移動により所定以上の力が作用したとき前記棚板支持体との接続が解除される連結部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、移動棚板を前方に移動させると、商品押出し部材が前方引出し部材により前方に引き出され、移動棚板の後部側に残存している商品が自動的に前方に押し出される。また、移動棚板及び商品押出し部材が前方に移動したことにより前方引出し部材に作用する力により連結部が解除されて商品押出し部材が後方付勢手段により後方に移動させられ、商品押出し部材の前方に商品の補充スペースが自動的に形成される。これにより、補充スペースへの商品の補充作業を効率よく行うことができる。
【0009】
前記前方引出し部材は、前記移動棚板の前部の下方において後向きに折り返された柔軟性の紐状部材であることを特徴としている。
この特徴によれば、前方引出し部材が移動棚板の前部において後向きに折り返されていても、柔軟性の紐状部材が移動棚板の前部をスムーズに通過するので、商品押出し部材を前後方向に確実に移動させることができる。また、紐状部材は移動棚板の下方において後向きに折り返されているので、商品の取り出しや補充時のじゃまになることがない。
【0010】
前記連結部は、前記前方引出し部材の折り返し部の遊端部に取り付けられた磁石と、前記移動棚板の下方において前記棚板支持体の左右のブラケット同士を連結する磁性材よりなる連結部材とにより構成され、前記磁石が前記連結部材に吸着することにより前記前方引出し部材が前記棚板支持体に接続され、前記磁石が前記連結部材から離れることにより前記前方引出し部材と前記棚板支持体との接続が解除されることを特徴としている。
この特徴によれば、連結部の構成が簡単であるのでコスト低減が図れる。
【0011】
前記後方付勢手段は、前記商品押出し部材に取り付けられた渦巻きばねと、該渦巻きばねの外径側の遊端から後方に延び、後端が前記移動棚板の後部に接続された接続部材とからなることを特徴としている。
この特徴によれば、後方付勢手段を移動棚板上に大きく露出させることなくコンパクトに収めることができ、省スペース化が図れる。
【0012】
前記商品押出し部材を前後方向に移動可能に支持する前記移動棚板の上面に取付可能な基板をさらに備え、前記基板と、前記商品押出し部材、前記後方付勢手段及び前記前方引出し部材とによりユニット化された商品押圧体が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、基板を移動棚板に取り付けるだけでユニット化された商品押圧体を商品陳列棚に装着することができるので、既存の商品陳列棚にも殆ど加工を施すことなく商品押圧体を簡単に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る商品陳列棚の斜視図である。
図2】ユニット化された商品押圧体の拡大斜視図である。
図3】商品押圧体の後部側を背面から見た拡大斜視図である。
図4】移動棚板を引き出す前において商品押出し部材が後限に位置している状態を示す側面図である。
図5】移動棚板が前方に移動し、商品押出し部材が中間部付近まで移動した状態を示す側面図である。
図6】移動棚板及び商品押出し部材が前限付近まで移動し、商品引出し部材と連結部材との接続が解除された状態を示す側面図である。
図7図6の状態において商品押出し部材が後方付勢手段により後限位置まで移動させられ、商品押出し部材の前方に補充スペースが形成された状態を示す側面図である。
図8】前方引出し部材の連結部の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る商品陳列棚を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
実施例に係る商品陳列棚につき、図1から図7を参照して説明する。商品陳列棚1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において商品を陳列するのに用いられるもので、図1に示すように、左右に離間する一対の支柱2、2と、両支柱2の上端部と下端部との対向面同士を連結している横連結杆3、3と、支柱2、2と上下の横連結杆3、3とにより囲まれた内部空間に嵌め込まれた背面パネル4と、上下複数段の棚体5とを備えている。左右の支柱2、2は、下端に前方を向く脚杆6、6を固定することにより自立可能となっている。棚体5は、移動棚板51とそれを支持するための棚受けフレーム52とから構成されている。
【0016】
支柱2、2の前面には、多数の係止孔7が上下方向に所定間隔おきに列設されており、左右等高をなす複数の係止孔7には、棚体5を支持するための金属製の左右一対のブラケット8、8が着脱可能に取り付けられている。ブラケット8、8の前端部同士は後述する左右方向を向く連結部材13(図4参照)により連結されている。なお、支柱2、2、横連結杆3、3、背面パネル4,脚杆6、6、ブラケット8、8及び連結部材13により本実施例における棚板支持体が構成されている。このように棚板支持体は、移動棚板51を直接・間接的に支持するものであり、移動しないものである。
【0017】
棚受けフレーム52は、左右のブラケット8の上端部に前後方向に移動可能に外嵌された前後方向を向く左右一対の側部可動フレーム52a、52aと、左右の側部可動フレーム52aの前部同士を連結している左右方向を向く連結フレーム(図示略)とからなり、移動棚板51は、棚受けフレーム52に支持された状態で該棚受けフレーム52と一体的に前後方向に移動することができる。なお、このような棚受けフレーム52を用いる代わりに、例えば2段引きの可動レールからなるスライドレールを左右のブラケット8に取り付け、左右のスライドレールにより移動棚板51を前後方向に移動可能に支持するようにしてもよい。
【0018】
移動棚板51の上面には、複数の構成部材を予め組み付けてユニット化された商品押圧体10が着脱可能に装着されている。なお、実施例では、便宜上、中段の移動棚板51に一つの商品押圧体10のみを装着した例を示しているが、店舗において実施する際には各段の移動棚板51に左右方向に複数並べて装着される。
【0019】
図2及び図3に示すように、商品押圧体10は、移動棚板51の前後寸法とほぼ同じ前後寸法の商品載置用の基板101と、基板101により前後方向に移動可能に支持された商品押出し部材102と、商品押出し部材102から前方に延びる前方引出し部材103と、商品押出し部材102に取り付けられ、商品押出し部材102を常時後方に付勢する後方付勢手段としての渦巻きばね(ゼンマイばね)104とを備えている。
【0020】
基板101は、例えば摩擦抵抗の小さなポリアセタール樹脂等により形成され、前端部の上面には商品の落下を防止するフェンス105が立設されている。なお、移動棚板51の前端部にフェンスを立設してもよい。基板101の左右の両側面には、前後方向に連続する凹溝状のガイド部101a、101aが形成されている。基板101の前端部の左右方向の中央部には、前方引出し部材103の通し孔101bが形成されている。また、基板101の前端部と後端部の左右の側端部には、基板101を移動棚板51の上面に取り付けるねじを挿入するための2個ずつのねじ挿入孔101c、101cが形成されている。
【0021】
商品押出し部材102は、上下方向を向く前板102aと、前板102aの左右両側縁から後方に延出し、下半端を除いた後縁が図3の側面視において斜め前上方に傾斜する側板102b、102bと、底板102c(図3参照)と、左右の側板102b、102bの下端より外側方に延出し、基板101のガイド部101a、101aに摺動可能に嵌合する内向き嵌合部102d、102dを下端に有する被ガイド部102e、102eとからなり、例えば全体が合成樹脂により一体成形されている。
【0022】
前方引出し部材103は、例えばリーシュコードのような柔軟性を有する紐状部材と後述する磁石11を具えており、後端は前板102aの下端部前面の左右方向の中央部に突設された突部102fに接続されている。前方引出し部材103の前端部は、前述した通し孔101bを介して下方に引き出され、その遊端部には磁石11が接続されている。なお、基板101の上面の左右方向の中央部に、通し孔101bに連続する前後方向に長い上方に開口する凹溝を形成し、この凹溝に前方引出し部材103を収容するようにしてもよい。このようにすると、基板101上に載置される商品が前方引出し部材103に接触するのを防止することができる。
【0023】
磁石11は、商品押圧体10を移動棚板51に装着する際に、移動棚板51の前部に形成された開口(図示略)から前方引出し部材103と共に下方に引き出すことができるようになっている。基板101及び移動棚板51の前部から下方に引き出された前方引出し部材103は後向きに折り返され、その遊端部(後端部)に接続された磁石11は、図4に示すように左右のブラケット8の前端部同士を連結している磁性材(例えばスチール材)よりなる連結部材13に吸着可能となっており、吸着時には前方引出し部材103が連結部材13に接続されるようになる。また、磁石11が連結部材13より離れた際には、前方引出し部材103と連結部材13との接続が解除される。なお、磁石11と連結部材13とにより本実施例における連結部が構成されている。
【0024】
図3に示すように、渦巻きばね104は、商品押出し部材102の背面側の空間部内に収容され、左右の側板102b、102bに両端部が圧嵌された支持軸14に中心部の遊端が固定されている。渦巻きばね104の外径側の遊端部には、後方に延びる帯状薄肉鋼板等よりなる接続部材15の前端部が固定され、この接続部材15の後端部は基板101の後端部の上面にねじ止めされている。なお、渦巻きばね104は、図3の側面視において中心部から外径側に向けて時計方向に渦巻き状に巻かれたもので、商品押出し部材102を常時後方に付勢することにより基板101の後端部に位置するようになっている。
【0025】
次に、図4図7を参照して本実施例の商品押圧体10を用いての商品の押し出し及び補充スペースの形成要領について説明する。図4は、移動棚板51が後限に位置している使用状態において、基板101の前部側に載置された商品が売れて減っている状態を示している。この場合には、渦巻きばね104の付勢力により商品押出し部材102は基板101の後端部に位置しているので、基板101の後部側に残存している商品Sが商品押出し部材102により前方に押し出されることはない。また、図4の状態においては、基板101及び移動棚板51の前部より下方に引き出された前方引出し部材103は、移動棚板51の前部である開口を支点として後向き折り返され、遊端部に取り付けられた磁石11がブラケット8の連結部材13に吸着されている。これにより前方引出し部材103は、棚板支持体の構成部材の一部である連結部材13に接続されている。
【0026】
図5に示すように、移動棚板51と共に基板101を前方に移動させると、連結部材13に接続されている前方引出し部材103により商品押出し部材102が渦巻きばね104の付勢力に抗して前方に引き出され、基板101の後部側に残存している商品Sが前方に押し出される。
【0027】
図6に示すように、最前部の商品Sがフェンス105に当接した状態で移動棚板51と共に基板101をさらに前限付近まで移動させると、前方引出し部材103が前方に引っ張られて磁石11の磁力に抗して前方引出し部材103に掛かる張力が上回ると、磁石11が連結部材13から離れ、前方引出し部材103と連結部材13との接続が解除される。その結果、図7に示すように、商品押出し部材102が渦巻きばね104の付勢力により後限付近の原位置まで戻されることにより、商品押出し部材102の前方には商品Sの補充スペースHが自動的に形成される。これにより、移動棚板51及び基板101を前方に移動させた状態で補充スペースHに商品Sを容易に補充することができる。商品Sを補充した後、移動棚板51と共に基板101を後限位置まで移動させて、再度磁石11を連結部材13に吸着させればよい。
【0028】
以上説明したように、実施例に係る商品陳列棚1においては、移動棚板51と共に基板101を前方に移動させるだけで、基板101の後部側に残存している商品Sを自動的に前方に押し出すことできる。また、基板101及び商品押出し部材102を前方に移動させると、渦巻きばね104により商品押出し部材102が後方に移動させられ、その前方に商品Sの補充スペースHが自動的に形成されるので、補充スペースHへの商品Sの補充作業を効率よく行うことができる。なお、補充作業は移動棚板51を前方に移動させた状態で行われるので、上段の移動棚板51が補充作業の妨げになることはない。
【0029】
また、前方引出し部材103に柔軟性の紐状部材を用いているので、前方引出し部材103が基板101の通し孔101b及び移動棚板51の開口を支点として後向きに折り返されていても、通し孔101b及び開口を紐状部材がスムーズに通過することができ、商品押出し部材102を前後方向に確実に移動させることができる。しかも、前方引出し部材103は移動棚板51の下方において後向きに折り返されているので、商品Sの取り出しや補充時の邪魔になることがない。
【0030】
さらに、前方引出し部材103と棚板支持体との接続を解除する連結部が、前方引出し部材103の遊端部に接続された磁石11と、左右のブラケット8の前端部同士を連結する磁性材よりなる連結部材13とにより構成されているので、連結部の構成が簡単となり、コスト低減が図れる。
【0031】
さらに、商品押出し部材102を常時後方に付勢する後方付勢手段に渦巻きばね104を用い、この渦巻きばね104を商品押出し部材102の空間部内に収容しているので、後方付勢手段を基板101上に大きく露出させることなくコンパクトに収めることができ、省スペース化が図れる。
【0032】
さらに、商品押出し部材102は移動棚板51の上面に取付可能な基板101により前後方向に移動可能に支持され、基板101と、商品押出し部材102、渦巻きばね104及び前方引出し部材103とによりユニット化された商品押圧体10が形成されているので、基板101を移動棚板51に取り付けるだけでユニット化された商品押圧体10を商品陳列棚に装着することができる。従って既存の商品陳列棚にも殆ど加工を施すことなく商品押圧体10を簡単に装着することができる。
【0033】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0034】
例えば、前記実施例では、商品押出し部材102を基板101により前後方向に移動可能に支持し、ユニット化した状態の商品押圧体10を移動棚板51に装着するようにしているが、基板101を省略し、商品押出し部材102を移動棚板51の上面に直接装着するようにしてもよい。この際には、移動棚板51に、商品押出し部材102を前後方向に移動させるガイド部を設ければよい。
【0035】
また、前記実施例では、商品押出し部材102を常時後方に付勢する後方付勢手段に渦巻きばね104を用いているが、引っ張りコイルばねやゴム等の後方付勢手段を用いることもできる。
【0036】
さらに、前記実施例では、前方引出し部材103と棚板支持体との接続を解除する連結部を、前方引出し部材103の遊端部に設けた磁石11と、左右のブラケット8の前端部同士を連結する磁性材よりなる連結部材13とにより構成しているが、前方引出し部材103の遊端部に設けた磁性材と、左右のブラケット8の前端部同士を連結する磁石よりなる連結部材とにより構成としてもよい。
【0037】
さらに、前記実施例では、前方引出し部材103と棚板支持体との接続を解除する連結部を、前方引出し部材103の遊端部に設けた磁石11と、左右のブラケット8の前端部同士を連結する磁性材よりなる連結部材13とにより構成しているが、例えば図8に示すように、連結部を、連結部材13に固定された可撓性のばね板(樹脂板でもよい)よりなるフック16と、前方引出し部材103の遊端部に形成されたフック16に係止されるループ部17とからなるものとし、前方引出し部材103が前方に引っ張られた際にフック16が前方に弾性変形してループ部17が外れる構成としてもよい。
【0038】
また、前方引出し部材103を通し孔101b、開口を通過させて後方に折り返す構成としているが、開口を設けることなく、移動棚板51の前端にて下方に折り返す構成としてもよく、さらに通し孔101bを設けることなく、前方引出し部材103の前端で折り返す構成としてもよい。
【0039】
また、商品陳列棚の構成は、前記実施例のものに限らず、例えば冷凍・冷蔵ショーケースや、壁面などに固定可能な棚柱、棚柱に係止可能なブラケット及び棚板から構成されるものであってもよい。
【0040】
また、前記実施例では、商品押圧体10の基板101は、移動棚板51に対してねじ固定により取り付けられる構成で説明したが、これに限らず、例えばマグネットや移動棚板51の前部に係止させるなどの取り付け手段を採用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 商品陳列棚
2 支柱
3 横連結杆
4 背面パネル
5 棚体
6 脚杆
7 係止孔
8 ブラケット
10 商品押圧体
11 磁石(連結部)
13 連結部材(連結部)
14 回転軸
15 接続部材
16 フック
17 ループ部
51 棚板
52 棚受けフレーム
52a 側部可動フレーム
101 基板
101a ガイド部
101b 通し孔
101c ねじ挿入孔
102 商品押出し部材
102a 前板
102b 側板
102c 底板
102d 内向き嵌合部
102e 被ガイド部
102f 突部
103 前方引出し部材
104 渦巻きばね(後方付勢手段)
105 フェンス
H 補充スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8