(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007955
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】可動間仕切り構造
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20250108BHJP
E05D 15/00 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
E04B2/74 561C
E05D15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105227
(22)【出願日】2023-06-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1. 2022年8月31日付で株式会社大林組が建築物を竣工したことにより公開。 2. https://selections.obayashi.co.jp/082/ https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20221201_1.html https://twitter.com/hashtag/%E3%83%AB%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B7%E3%82%A8%E3%83%AB?src=hashtag_click 2022年10月19日付及び2022年12月1日付で株式会社大林組が上記各ウェブページ上で公開。 3. https://foover.jp/lesson/13268/ 2022年10月12日付でGourmet Studio FOOVERが上記ウェブページ上で公開。 4. https://pont-de-ciel.co.jp/ https://hitosara.com/0006073181/ https://loco.yahoo.co.jp/place/g-tpuTRklO4EI/ https://r.gnavi.co.jp/kbd9100/ https://www.navitime.co.jp/poi?spot=01328-120569 https://www.hotpepper.jp/strJ000694938/ https://tabelog.com/osaka/A2701/A270102/27131101/ https://restaurant.ikyu.com/120569/ https://www.google.co.jp/maps/place/LE+PONT+DE+CIEL/@34.6920353,135.5001297,17z/data=!3m1!4b1!4m6!3m5!1s0x6000e6df2d5b904f:0x926f50e7e14a7345!8m2!3d34.6920353!4d135.5023184!16s%2Fg%2F1tl8klmb?entry=ttu 2022年11月7日付他でルポンドシエルが上記各ウェブページ上で公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 5. 2022年11月24日付及び2023年1月28日付で https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/26390 https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/26672 2022年11月24日付及び2023年1月28日付でカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が運営する上記ウェブページ上で公開。 6. https://apro1965.jp/news/48269/ 2022年12月1日付で株式会社ジュケンが上記ウェブページ上で公開。 7. https://4travel.jp/travelogue/11796094 2022年12月4日付で上記ウェブページ上で株式会社カカクコムがブロガーの投稿記事によって公開。 8. https://onbeat.co.jp/news/207/ 2023年1月28日付で上記ウェブページ上で株式会社 音美衣杜が公開。 9. https://www.tecture.jp/lists/14191?kind=2 2023年2月8日付で上記ウェブページ上でテクチャー株式会社がブロガーの投稿記事によって公開。 10. https://gourmand-wg9141.com/le-pont-de-ciel/ 2023年3月17日付で上記ウェブページ上でブロガーが公開。 11. https://www.amakaratecho.jp/eat/kadokami/1315866_13035.html 2023年5月2日付で株式会社クリエテ関西が上記ウェブページ上で公開。 12. https://blogtag.ameba.jp/news/%E3%83%AB%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B7%E3%82%A8%E3%83%AB 2023年6月14日付ほかで上記ウェブページ上でブロガーが公開。 13. https://www.picuki.com/tag/%E3%83%AB%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B7%E3%82%A8%E3%83%AB Instagram上で各ユーザーが公開。
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】辰井 悠記
(72)【発明者】
【氏名】黒川 宗範
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 一秀
(72)【発明者】
【氏名】飯田 久
(57)【要約】
【課題】天井がアーチ形状の居室を適切かつ遮音性を高めて間仕切りすることが可能な可動間仕切りを提供することである。
【解決手段】天井3がアーチ形状の居室2を有する建築物1に設けられる可動間仕切り10であって、天井3よりも上方に設けられて居室2と収納室7とに跨って延びるガイドレール20と、それぞれガイドレール20に支持され、収納室7に収納された状態と、天井3に設けられたスリット部3bに沿って互いに連ねて配置されて居室2を間仕切りする状態とに移動自在の複数の壁体11と、ガイドレール20に支持され、複数の壁体11が間仕切り状態となったときに、収納室7において壁体11に連ねて配置される補助壁体12と、補助壁体12に設けられ、補助壁体12から突出して収納室7の内壁7aに当接することで補助壁体12を複数の壁体11の側に向けて押圧する押圧体13と、を有することを特徴とする可動間仕切り10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井がアーチ形状の居室を有する建築物に設けられる可動間仕切りであって、
前記天井よりも上方に設けられて前記居室と前記居室に隣接する収納室とに跨って延びるガイドレールと、
それぞれ前記ガイドレールに支持され、前記収納室に収納された状態と、前記天井に設けられたスリット部に沿って互いに連ねて配置されて前記居室を間仕切りする状態とに移動自在の複数の壁体と、
前記ガイドレールに支持され、複数の前記壁体が間仕切りする状態となったときに、前記収納室において最も前記収納室の側の前記壁体に連ねて配置される補助壁体と、
前記補助壁体に設けられ、前記補助壁体が前記収納室において最も前記収納室の側の前記壁体に連ねて配置された状態となったときに、前記補助壁体から突出して前記収納室の内壁に当接することで前記補助壁体を複数の前記壁体の側に向けて押圧する押圧体と、を有することを特徴とする可動間仕切り。
【請求項2】
前記押圧体を前記収納室の内壁に弾性的に当接させるバネ部材を有する、請求項1に記載の可動間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に設けられる可動間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に設けられる可動間仕切りとして、居室の天井に設けられるガイドレールと、それぞれガイドレールに移動自在に支持される複数の壁体とを有し、不使用時には複数の壁体を収納室などの収納場所に収納しておき、必要に応じて複数の壁体を収納場所から居室内に引き出して互いに連ねて配置することで居室を間仕切りするように構成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばレストラン等の飲食店として用いられる建築物において、居室の美観を高めるために、当該居室の天井をアーチ形状としたものが知られており、このような居室に対しても可動間仕切りの適用が求められている。
【0005】
しかし、上記従来の可動間仕切りは、それぞれ矩形形状に形成された複数の壁体を連ねて配置することで居室を間仕切りする構成であるため、アーチ形状の天井を有する居室を適切に間仕切りすることが困難であり、また、間仕切りによる遮音性も十分ではないという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、天井がアーチ形状の居室を適切かつ遮音性を高めて間仕切りすることが可能な可動間仕切りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の可動間仕切りは、天井がアーチ形状の居室を有する建築物に設けられる可動間仕切りであって、前記天井よりも上方に設けられて前記居室と前記居室に隣接する収納室とに跨って延びるガイドレールと、それぞれ前記ガイドレールに支持され、前記収納室に収納された状態と、前記天井に設けられたスリット部に沿って互いに連ねて配置されて前記居室を間仕切りする状態とに移動自在の複数の壁体と、前記ガイドレールに支持され、複数の前記壁体が間仕切りする状態となったときに、前記収納室において最も前記収納室の側の前記壁体に連ねて配置される補助壁体と、前記補助壁体に設けられ、前記補助壁体が前記収納室において最も前記収納室の側の前記壁体に連ねて配置された状態となったときに、前記補助壁体から突出して前記収納室の内壁に当接することで前記補助壁体を複数の前記壁体の側に向けて押圧する押圧体と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の可動間仕切りは、上記構成において、前記押圧体を前記収納室の内壁に弾性的に当接させるバネ部材を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、天井がアーチ形状の居室を適切かつ遮音性を高めて間仕切りすることが可能な可動間仕切りを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る可動間仕切りを備えた建築物の一部の、可動間仕切りにより居室が間仕切りされた状態の間取り図である。
【
図2】
図1に示す建築物の、間仕切りされた状態の居室の断面図である。
【
図3】
図1に示す建築物の、可動間仕切りにより居室が間仕切りされてない状態の間取り図である。
【
図4】
図1に示す建築物の、間仕切りされていない状態の居室の断面図である。
【
図5】
図2におけるA-A線に沿う断面図(一部を省略)である。
【
図6】
図5に示す可動間仕切りの、接床部材を床面から離間させた状態の断面図である。
【
図7】
図2におけるB-B線に沿う断面図(一部を省略)である。
【
図8】
図7に示す可動間仕切りの、押圧体を収納室の内壁から離間させた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る可動間仕切りについて詳細に例示説明する。
【0012】
図1、
図2に示す建築物1は、本発明の一実施形態に係る可動間仕切り10を備えた建築物である。本実施形態では、建築物1はレストランとして用いられるものであり、食事の際に個室として用いられる居室2を備えている。
【0013】
図2に示すように、居室2の天井3はアーチ形状となっている。より具体的には、天井3は、居室2の一方の側壁4aと当該側壁4aに対向する他方の側壁4bとの間において、側壁4aと側壁4bとの中央位置において最も天井高さが高くなり、側壁4aないし側壁4bとの連接部分において最も天井高さが低くなるよう滑らかに湾曲する形状となっている。
図2に示す天井3のアーチ形状は、居室2の
図1中の右側端の側壁4cと左側端の側壁4dとの間で略一様である。
【0014】
なお、天井3は、アーチ形状であれば、
図2に示す形状に限らず、例えば、側壁4aと側壁4bとの中央位置を含む所定の範囲に天井高さが一定の平らな部分を有し、当該平らな部分の両側に、それぞれ側壁4aとの連接部分ないし側壁4bとの連接部分に向けて徐々に天井高さが低くなるよう湾曲する部分を有する形状としてもよい。
【0015】
天井3は、所謂吊下げ天井であり、所定の厚みの湾曲した板材で形成され、建築物1の躯体(不図示)に支持された支持体5に複数のロッド等の吊下げ体6を用いて吊り下げ支持されている。天井3の上面に、グラスウールなどの断熱材3aを重ねて配置した構成としてもよい。
【0016】
可動間仕切り10は、複数の壁体11と、複数の壁体11を移動自在に案内するためのガイドレール20とを有している。本実施形態では、可動間仕切り10は4つの壁体11を備えている。
【0017】
可動間仕切り10は、必要に応じて、アーチ形状の天井3を有する居室2を間仕切りすることができる。すなわち、可動間仕切り10は、
図1、
図2に示すように、複数の壁体11により形成される間仕切り壁30により居室2を間仕切りして、居室2をより小さな第1小居室2aと第2小居室2bとに分割することができる。また、可動間仕切り10は、
図3、
図4に示すように、複数の壁体11を居室2に隣接する収納室7に収納することで、居室2を間仕切りせずに1つの大きな空間とすることができる。
【0018】
居室2は、複数の壁体11により形成される間仕切り壁30により間仕切りされたときに、第1小居室2aの側に位置する第1出入口8aと第2小居室2bの側に位置する第2出入口8bとを有している。また、居室2は、可動間仕切り10により間仕切りされたときに、第1小居室2aの側に位置する第1クローク9aと第2小居室2bの側に位置する第2クローク9bとを有する構成とすることもできる。
【0019】
図1~
図4に示すように、ガイドレール20は、支持体5に支持されて天井3よりも上方に設けられており、居室2と居室2に隣接する収納室7とに跨って延びている。より具体的には、ガイドレール20は、収納室7の内壁7aから居室2の側壁4bにまで側壁4a、4bに垂直な方向に真っ直ぐに延びる引出し部20aと、それぞれ収納室7の内部において引出し部20aから当該引出し部20aに垂直な方向に分岐する2本の分岐部20bとを有している。2本の分岐部20bは互いに平行であり、所定の間隔を空けて並べて配置されている。なお、収納室7の内壁7aは、側壁4a、4bに平行な壁である。
【0020】
複数の壁体11は、それぞれ下端から上端までの高さが天井3の最も高さが高い部分よりも高い矩形板状となっている。複数の壁体11は、それぞれ上端に2つのスライダ21を備えており、これらのスライダ21がガイドレール20に係合することで、ガイドレール20に移動自在に支持されている。居室2と収納室7との間には、上下方向に延びる細長い開口22が設けられており、複数の壁体11は、開口22を通ることで引出し部20aに沿って居室2と収納室7との間を移動することができる。
【0021】
図5に示すように、本実施形態では、ガイドレール20は下方に向けて開口する断面コの字形状であり、スライダ21は、案内用及び走行用の複数の車輪を有し、車輪が回転することでガイドレール20に沿って移動するものとなっている。なお、ガイドレール20及びスライダ21の構成は、スライダ21がガイドレール20に沿って移動自在であれば、上記構成に限らず種々変更可能である。
【0022】
図5に示すように、それぞれの壁体11は、その内部に、断熱ないし遮音のためのグラスウールなどの充填部材11aが充填された構成とすることもできる。
【0023】
図1、
図3、
図5、
図6に示すように、天井3にはスリット部3bが設けられている。スリット部3bは、ガイドレール20の引出し部20aの下方に引出し部20aに沿って設けられており、側壁4bから側壁4aにまで延びて開口22に連なっている。スリット部3bの長手方向に垂直な方向の幅寸法は、壁体11の厚み寸法よりも大きくなっている。
【0024】
図1、
図2に示すように、可動間仕切り10は、複数の壁体11を、ガイドレール20の引出し部20aに支持させるとともに、天井3に設けられたスリット部3bに沿って互いに連ねて配置することで複数の壁体11により形成される間仕切り壁30を構成し、当該間仕切り壁30により居室2を第1小居室2aと第2小居室2bとに間仕切りすることができる。
【0025】
このとき、複数の壁体11は、それぞれ2つのスライダ21を有することにより引出し部20aに平行な姿勢に維持されている。そして、
図1、
図2、
図7に示すように、隣り合う壁体11は側端において互いに当接し、最も側壁4bの側にある壁体11はその側端おいて側壁4bに当接し、最も側壁4aの側にある壁体11はその一部が側壁4aに設けられた開口22から収納室7に入り込んでいる。複数の壁体11は、それぞれ天井3よりも高さが高い矩形形状となっているので、ガイドレール20の引出し部20aに支持された複数の壁体11すなわち間仕切り壁30の上端側の一部は、天井3よりも上に突出してスリット部3bの内部に配置されている。このように、本実施形態の可動間仕切り10によれば、それぞれ矩形板状である複数の壁体11により形成される間仕切り壁30により、アーチ形状の天井3を有する居室2を、当該アーチ形状部分に隙間を生じさせることなく、適切に間仕切りすることができる。
【0026】
図5に示すように、それぞれの壁体11は、その下端部に接床部材11bを備えた構成とすることもできる。この場合、居室2を間仕切りした状態において、接床部材11bを壁体11の下端から壁体11下方に向けて突出させて居室2の床面2cに当接させることで、それぞれの壁体11と床面2cとの間の隙間を減少させて居室2をより確実に間仕切りすることができる。
【0027】
さらに、それぞれの壁体11は、その上端部に接頂部材11cを備えた構成とすることもできる。この場合、居室2を間仕切りした状態において、接頂部材11cを壁体11の上端から上方に向けて突出させて居室2の天井3の折上げ部分の頂面2dに当接させることで、それぞれの壁体11と頂面2dとの間の隙間を減少させて居室2をより確実に間仕切りすることができる。
【0028】
壁体11をガイドレール20に沿って移動させる際には、
図6に示すように、接床部材11bを上方に移動させて壁体11に収納するとともに接頂部材11cを下方に移動させて壁体11に収納する。これにより、接床部材11b、接頂部材11cが床面2c、頂面2dに接触しないようにして、それぞれの壁体11をガイドレール20に沿って滑らかに移動させることができる。詳細は図示しないが、接床部材11b及び接頂部材11cは、壁体11に設けた操作部が手動操作されることで作動するように構成されていればよい。
【0029】
また、
図7に示すように、互いに当接する壁体11の側端ないし側壁4bの何れか一方に上下方向に延びる凹部23を設けるとともに何れか他方に凹部23に対応した形状で上下方向に延びる凸部24を設け、凹部23に凸部24を係合させた状態で隣り合う壁体11ないし壁体11と側壁4bとを当接させる構成とすることもできる。これにより、隣り合う壁体11ないし壁体11と側壁4bとの間に、第1小居室2aから第2小居室2bないし第2小居室2bから第1小居室2aに向けて真っ直ぐに延びる隙間が生じることを防止することができる。
【0030】
一方、可動間仕切り10は、
図3、
図4に示すように、複数の壁体11を収納室7に収納することで、居室2を間仕切りされない大きな空間とすることができる。
【0031】
すなわち、居室2を間仕切りしている複数の壁体11を、ガイドレール20の引出し部20aに沿って開口22を通して順次収納室7の内部に移動させ、
図3に示すように、複数の壁体11の一方のスライダ21を一方の分岐部20bで案内し、他方のスライダ21を他方の分岐部20bで案内することで、複数の壁体11を互いに厚み方向に重ねられた状態で収納室7に収納することができる。なお、側壁4aと収納室7の内壁7aとの間隔は壁体11の幅よりも広くなっており、壁体11を引出し部20aに平行な姿勢のまま収納室7の内部に移動させることができる。それぞれの壁体11に設けられる2つのスライダ21の間隔は、2本の分岐部20bの間隔と同一である。
【0032】
複数の壁体11を収納室7に収納して居室2を間仕切りしない状態としたときには、天井3のスリット部3b及び開口22に、これらを閉塞するカバー(不図示)を装着するようにしてもよい。
【0033】
このように、可動間仕切り10は、複数の壁体11をガイドレール20に沿って移動させることで、複数の壁体11を収納室7に収納して居室2を間仕切りしない状態と、複数の壁体11を天井3に設けられたスリット部3bに沿って互いに連ねて配置することで居室2を間仕切りする状態とに切り替えることができる。
【0034】
ここで、本実施形態の可動間仕切り10では、ガイドレール20には複数の壁体11に加えて1つの補助壁体12が支持されている。補助壁体12は、壁体11と同様の形状を有する矩形板状であり、壁体11と同様に、ガイドレール20に2つのスライダ21によって移動自在に支持されている。
【0035】
図1、
図2、
図7に示すように、補助壁体12は、複数の壁体11が居室2を間仕切りした状態となったときに、収納室7において最も収納室7の側にある壁体11すなわち間仕切り壁30に連ねて配置される。これにより、間仕切り壁30は、開口22が設けられる側において、開口22に対してさらに収納室7の内部に向けて補助壁体12が連結された構成となって第1小居室2aと第2小居室2bとをさらに適切に間仕切りすることができる。すなわち、補助壁体12が設けられない構成では、側壁4aに開口22が設けられていることから、間仕切り壁30は収納室7の側の側壁4aには当接せず、第1小居室2aと第2小居室2bとの間で開口22ないし収納室7を通して音が漏れるおそれがあるが、上記の通り、間仕切り壁30に連ねて補助壁体12を設けることで開口22ないし収納室7を通した音漏れを抑制して、可動間仕切り10ないし間仕切り壁30による第1小居室2aと第2小居室2bとの間の遮音性を高めることができる。
【0036】
補助壁体12は、壁体11と同様に、その内部に、断熱ないし遮音のためのグラスウールなどの充填部材12aが充填された構成とすることもできる。また、補助壁体12は、壁体11と同様に、互いに当接する壁体11の側端ないし補助壁体12の側端の何れか一方に上下方向に延びる凹部23を設けるとともに何れか他方に凹部23に対応した形状で上下方向に延びる凸部24を設け、凹部23に凸部24を係合させた状態で互いを当接させる構成とすることもできる。
【0037】
また、
図7に示すように、補助壁体12には、押圧体13が設けられている。本実施形態では、押圧体13は、補助壁体12の収納室7の内壁7aに対向する側の側端の下端側部分に設けられている。押圧体13はロッド14を介して補助壁体12に進退移動自在に支持されており、補助壁体12が収納室7において最も収納室7の側の壁体11に連ねて配置された状態となったときに、
図8に示すように補助壁体12に格納された状態から、
図7に示すように補助壁体12から内壁7aの側に向けて突出して、収納室7の内壁7aに当接するように構成されている。
【0038】
補助壁体12が収納室7において最も収納室7の側の壁体11に連ねて配置された状態において、補助壁体12から内壁7aの側に向けて突出した押圧体13が内壁7aに当接すると、押圧体13により内壁7aが押され、その反力により補助壁体12は複数の壁体11すなわち間仕切り壁30の側に向けて押圧される。これにより、隣り合う一対の壁体11及び補助壁体12と壁体11は互いに押し付けられた状態となり、互いの間に隙間を生じさせることなく確実に連結される。したがって、隣り合う一対の壁体11の間ないし補助壁体12と壁体11との間からの音漏れをさらに効果的に抑制して、可動間仕切り10ないし間仕切り壁30による第1小居室2aと第2小居室2bとの間の遮音性をより高めることができる。
【0039】
押圧体13は、バネ部材15により収納室7の内壁7aに向けて付勢された状態で内壁7aに弾性的に当接する構成とすることもできる。これにより、隣り合う一対の壁体11及び補助壁体12と壁体11が互いに弾性的に押し付けられるようにして、これらの間に隙間が生じることをより効果的に防止することができる。したがって、隣り合う一対の壁体11の間ないし補助壁体12と壁体11との間からの音漏れをさらに効果的に抑制して、可動間仕切り10ないし間仕切り壁30による第1小居室2aと第2小居室2bとの間の遮音性をさらに高めることができる。
【0040】
なお、押圧体13は、補助壁体12に設けられて、補助壁体12が収納室7において最も収納室7の側の壁体11に連ねて配置された状態となったときに、補助壁体12から突出して収納室7の内壁7aに当接して補助壁体12を複数の壁体11の側に向けて押圧することができるものであれば、補助壁体12に配置される位置、形状、構造、バネ部材15の有無等は、上記に限らず種々変更可能である。
【0041】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0042】
例えば、前記実施形態では、建築物1はレストランとして用いられるものとされているが、これに限らず、天井3がアーチ形状の居室2を有していれば、例えばオフィス、住宅などの他の用途に用いられる建築物であってもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、4つの壁体11によって間仕切り壁30が構成されるようにしているが、間仕切り壁30を構成する壁体11の数は複数であれば種々変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 建築物
2 居室
2a 第1小居室
2b 第2小居室
2c 床面
2d 頂面
3 天井
3a 断熱材
3b スリット部
4a 側壁
4b 側壁
4c 側壁
4d 側壁
5 支持体
6 吊下げ体
7 収納室
7a 内壁
8a 第1出入口
8b 第2出入口
9a 第1クローク
9b 第2クローク
10 可動間仕切り
11 壁体
11a 充填部材
11b 接床部材
11c 接頂部材
12 補助壁体
12a 充填部材
13 押圧体
14 ロッド
15 バネ部材
20 ガイドレール
20a 引出し部
20b 分岐部
21 スライダ
22 開口
23 凹部
24 凸部
30 間仕切り壁