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2025-79642L-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025079642
(43)【公開日】2025-05-22
(54)【発明の名称】L-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/04 20060101AFI20250515BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20250515BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20250515BHJP
【FI】
C12N9/04 Z
C12N1/20 A
C12P21/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023192451
(22)【出願日】2023-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】303046299
【氏名又は名称】旭化成ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 毅
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA02
4B064DA20
4B065AA01X
4B065AC14
4B065AC20
4B065CA28
(57)【要約】
【課題】充分なL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ活性を有し、臨床診断・産業利用における使用に、より適したL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを提供する。
【解決手段】GPO-1株(NITE P-03956)によって生産されたL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPO-1株(NITE P-03956)によって生産されたL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ(L-α-Glycerophosphate Oxidase)に関する。
【背景技術】
【0002】
L-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ(EC.1.1.3.21)は、様々な技術分野において、in vitroでの利用が検討され、一部が実用化されている。
【0003】
例えば、臨床診断の技術分野では、L-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼは血清中の中性脂肪や羊水中のフォスファチジルグリセロールなどを測定する際に、種々の体外診断用試薬に使用されている。
【0004】
中性脂肪測定用試薬の例を以下に挙げる。まず、検体中の遊離グリセロールを消去したのち、検体中の中性脂肪をリポプロテインリパーゼによって加水分解し、グリセロールキナーゼおよびL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを作用させ、過酸化水素を生成させる。生成した過酸化水素にペルオキシダーゼ(POD)の存在下で、トリンダー試薬と4-アミノアンチピリンを酸化縮合させて色素を生成させ、該色素の吸光度を測定して定量することにより中性脂肪を測定する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2000/43537号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、充分なL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ活性を有し、臨床診断・産業利用における使用に、より適したL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意努力した結果、GPO-1株(NITE P-03956)によって生産されたL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼにより課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、下記のL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを提供する。
[1]GPO-1株(NITE P-03956)によって生産されたL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充分なL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ活性を有し、臨床診断・産業利用における使用に、より適したL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
本実施形態に係るL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼは、GPO-1株(NITE P-03956)によって生産された酵素である。
【0012】
本菌株を、公知のものと区別するためGPO-1株と命名し、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託した(受託番号:NITE P-03956)。
【0013】
本実施形態に係るL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを製造するに当たっては、微生物を栄養培地で培養し、菌体中又は培養液中にL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを産生させる。培養終了後、生産物が菌体中にある場合には、得られた培養物を濾過又は遠心分離などの手段により菌体を採集し、次いでこの菌体を機械的方法又はリゾチームなどの酵素的方法で破壊して菌体抽出液を得る。また、生産物が菌体外に放出され、培養液中にある場合には、遠心分離又は濾過により培養液中の菌体及び不溶成分を除去すればよい。また、必要に応じてEDTA、プロテアーゼ阻害剤であるPMSF及び/又は適当な界面活性剤などを添加してL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼの水溶液を濃縮するか、又は濃縮する事なく硫安分画、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー等の吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーにより処理して、純度のよいL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを得ることができる。生成したL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼの配列を決定する場合には、エドマン分解法や質量分析法などの既知の方法を採用することができる。
【0014】
微生物の培養条件はその栄養生理的性質を考慮して選択すれば良く、通常多くの場合は、液体培養で行うが、工業的には深部通気撹拌培養を行うのが有利である。培地の栄養源としては、微生物の培養に通常用いられるものが広く使用されうる。
【0015】
炭素源としては、資化可能な炭素化合物であればよく、例えばグルコース、サッカロース、ラクトース、マルトース、フラクトース、グリセロール、糖蜜などが使用される。窒素源としては、利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、大豆タンパク、カゼイン加水分解物などが使用される。
【0016】
培養時の各成分の量(濃度)は非特許文献(Journal of Industrial Microbiology & Biotechnology(1999)23、456-475)等に倣ってL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを生産する範囲で適宜選択し得る。
【0017】
その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用される。
【0018】
培養温度は微生物が発育し、L-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを生産する範囲で適宜変更し得る。
【0019】
培養物中のL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼは、菌体を含む培養液そのままを採取し、利用することもできるが、一般には常法に従って、L-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼが培養液中に存在する場合には、濾過、遠心分離などによりL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ含有溶液と微生物菌体とを分離した後に利用される。菌体及び不溶成分の除去は、濾過が困難な場合はパーライトなど濾過助剤の使用検討、遠心分離が困難な場合はイオン交換基をもつ可溶性ポリマーなどの凝集剤の使用検討を行い、適当な経済的な工程を加えることは常法である。L-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼが菌体内に存在する場合には、得られた培養物を濾過又は遠心分離などの手段により、菌体を採取し、次いでこの菌体を機械的方法又はリゾチーム、ザイモリアーゼなどの酵素的方法で破壊し、又、必要に応じてEDTA等のキレート剤、PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤及び/又は界面活性剤を添加してL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを可溶化し水溶液として分離採取する。
【0020】
この様にして得られたL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ含有溶液を、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、更に、硫安、硫酸ナトリウムなどの塩析処理などによる分別沈澱法により沈澱させればよい。
【0021】
次いでこの沈澱物を、水に溶解し、半透膜にて透析して、より低分子量の不純物を除去することができる。また、吸着剤あるいはゲル濾過剤などによるゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー等の吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等により精製し、これらの手段を用いて得られるL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ含有溶液から、減圧濃縮凍結乾燥等の処理により精製されたL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼが得られる。
【0022】
本実施形態に係るL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼが充分なL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ活性を有し、実用的であることが確認された。したがって、本実施形態に係るL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼは、産業上、特に体外診断用酵素として有用である。
【0023】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例0024】
<L-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ(GPO)活性測定方法>
〔反応試薬混合液〕
ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES) 6.05gとグリセロりん酸2Na 9.45gを精製水70mlに溶解した後、4N NaOHでpH6.5(25℃)に調整し、その液に下記各試薬溶液を下記各量加えて混和し、pH6.5(25℃)であることを確認した後、精製水で全容100mlとする。
100U/ml POD溶液 5.0ml
15mM 4-アミノアンチピリン溶液 10.0ml
100mM DAOS溶液 1.0ml
5%(W/V) トリトン X-100溶液 1.0ml
DAOS:N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリンナトリウム
〔反応停止液〕
0.5%(W/V) SDS溶液
〔酵素溶解希釈用液〕
0.1%(W/V) トリトン X-100を含む10mM PIPES-NaOH緩衝液(pH6.5)
【0025】
小試験管に上記反応試薬混合液1.0mlを分注し、37℃で5分間予備加温した後、上記酵素溶解希釈用液でB倍に希釈した酵素試料液20μlを加えて混和して、37℃で酵素反応を開始する。5分経過後、上記反応停止液2.0mlを加えて混和し、反応を停止させ、600nmにおける吸光度を測定する(As)。盲検として酵素試料液の代わりに上記酵素溶解希釈用液を用いて同一の操作を行って吸光度を測定する(Ab)。この酵素試料液使用の吸光度(As)と盲検の吸光度(Ab)の吸光度差(As-Ab)をΔAとし、酵素の希釈倍率Bは、0.1Abs≦ΔA≦0.2Absとなるように設定する。以下の式より酵素活性を算出する。
【0026】
酵素活性(U/mL)={(ΔA/5)/(16.8×1/2)}×(3.02/0.02)×B
16.8:キノンイミン色素の600nmにおけるミリモル分子吸光係数(cm2/μmol)
1/2:H222モルからキノン色素1モルが生成することによる係数
5:反応時間(分)
3.02:反応総液量(ml)
0.02:反応に供した酵素試料液量(ml)
【0027】
<L-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼ(GPO)の生産及び活性測定>
GPO-1株(NITE P-03956)をLB培地中で前培養し、前培養液をグリセロール、酵母エキス、ペプトン等を含有する培地中に懸濁し、2L培養装置を用いて30℃で48時間培養した。培養後の培養液を遠心分離して、菌体を採取した。次いでこの菌体を機械的方法で破壊しL-α-グリセロフォスフェートオキシダーゼを可溶化後、遠心分離した上清の活性を前記GPO活性測定方法により測定し、酵素活性を算出したところ、GPO活性が10U/mLであった。