(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007972
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20250109BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20250109BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20250109BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M50/271 B
H01M50/209
H01M50/271 S
H01G11/78
H01G11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109743
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AA12
5E078AB01
5E078HA05
5E078JA02
5E078JA07
5H040AA07
5H040AT02
5H040AY08
5H040CC14
5H040JJ03
5H040NN03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性が向上した外装体を備える蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置は、蓄電素子100と、蓄電素子を収容する外装体と、を備え、外装体は、第一方向に開口を形成する開口部13を有する外装体本体11と、開口を塞ぐ蓋体50と、を備え、外装体本体は、開口部に配置され、かつ、第一方向に突出した突出部16を備え、蓋体は貫通孔52を備え、突出部は、貫通孔に挿入されており、かつ、蓋体と溶着された溶着部17を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、
前記蓄電素子を収容する外装体と、を備え、
前記外装体は、
第一方向に開口を形成する開口部を有する外装体本体と、
前記開口を塞ぐ蓋体と、を備え、
前記外装体本体は、前記開口部に配置され、かつ、前記第一方向に突出した突出部を備え、
前記蓋体は貫通孔を備え、
前記突出部は、前記貫通孔に挿入されており、かつ、前記蓋体と溶着された溶着部を備える、
蓄電装置。
【請求項2】
前記溶着部は、前記第一方向から見た場合、前記貫通孔を覆う、
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記開口部は、前記蓋体に対向する開口端面を備え、
前記開口端面は、前記蓋体と接合される接合部を備える、
請求項1または2記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記第一方向から見た場合、前記接合部と隣り合う、
請求項3記載の蓄電装置。
【請求項5】
複数の前記突出部は、前記第一方向と直交する第二方向に沿って配置されている、
請求項1または2記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記突出部は、前記開口部の内周面に接続されている、
請求項1または2記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電池パックが開示されている。この電池パックは、電池モジュールと、電池モジュールを収容する筐体と、を備える。筐体は、開口が設けられた本体部と、開口を塞ぐように本体部に固定された板状の蓋部材と、を有する。本体部は、底壁と、底壁と対向するとともに、開口が設けられた上壁と、を有する。蓋部材には複数の貫通孔が設けられている。複数の貫通孔のそれぞれは、上壁に設けられたネジ孔と重なる位置に設けられている。複数の貫通孔のそれぞれにはボルトが挿通され、ボルトはネジ孔に締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電池パックでは、蓋部材の本体部への固定は、複数のボルトのみによってなされる。そのため、例えば1つのボルトの緩みは、蓋部材の本体部に対する固定力の低下につながる。当該固定力の低下により、異物が筐体の内部へ侵入するおそれがある。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目してなされたものであり、信頼性が向上された外装体を備える蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する外装体と、を備え、前記外装体は、第一方向に開口を形成する開口部を有する外装体本体と、前記開口を塞ぐ蓋体と、を備え、前記外装体本体は、前記開口部に配置され、かつ、前記第一方向に突出した突出部を備え、前記蓋体は貫通孔を備え、前記突出部は、前記貫通孔に挿入されており、かつ、前記蓋体と溶着された溶着部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、信頼性が向上された外装体を備える蓄電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る突出部の拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る突出部及びその周辺の構成を示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る突出部及びその周辺の構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の変形例1に係る突出部及びその周辺の構成を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例2に係る突出部の拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例2に係る突出部及びその周辺の構成を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例3に係る突出部の拡大斜視図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例3に係る凸部及び突出部を示す側面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例3に係る突出部及びその周辺の構成を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、蓋体が備える貫通孔を貫通しない突出部及びその周辺の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する外装体と、を備え、前記外装体は、第一方向に開口を形成する開口部を有する外装体本体と、前記開口を塞ぐ蓋体と、を備え、前記外装体本体は、前記開口部に配置され、かつ、前記第一方向に突出した突出部を備え、前記蓋体は貫通孔を備え、前記突出部は、前記貫通孔に挿入されており、かつ、前記蓋体と溶着された溶着部を備える。
【0010】
上記(1)に記載の蓄電装置によれば、蓋体を外装体本体に配置する際に、外装体本体に設けられた突出部が蓋体の貫通孔に挿入されるため、蓋体を効率よくまたは精度よく位置決めできる。突出部はさらに、少なくとも溶着部において蓋体と溶着される。そのため、突出部は、蓋体を外装体本体に固定する役割も担うことができる。このように、本態様に係る蓄電装置は、信頼性の高い外装体を備える蓄電装置である。
【0011】
(2)上記(1)に記載の蓄電装置において、前記溶着部は、前記第一方向から見た場合、前記貫通孔を覆う、としてもよい。
【0012】
上記(2)に記載の蓄電装置によれば、突出部の溶着部は、蓋体に形成された貫通孔を、蓋体の外側から覆うことができる。これにより、貫通孔がより確実にシールされる。つまり、貫通孔における気体または液体に対する密閉性が向上する。
【0013】
(3)上記(1)または(2)に記載の蓄電装置において、前記開口部は、前記蓋体に対向する開口端面を備え、前記開口端面は、前記蓋体と接合される接合部を備える、としてもよい。
【0014】
上記(3)に記載の蓄電装置によれば、蓋体と外装体本体との接合面積は、少なくとも、開口端面と蓋体との接合面積、及び、突出部の溶着部と蓋体との接合面積を含む。そのため、蓋体と外装体とがより強固に接合される。
【0015】
(4)上記(3)に記載の蓄電装置において、前記突出部は、前記第一方向から見た場合、前記接合部と隣り合う、としてもよい。
【0016】
上記(4)に記載の蓄電装置によれば、第一方向から見た場合に、接合部と溶着部とを連続させること、または、接合部と溶着部とを重複させることが容易である。これにより、例えば外装体の突出部の近傍における気体または液体に対する密閉性が維持しやすくなる。
【0017】
(5)上記(1)~(4)のいずれかひとつに記載の蓄電装置において、複数の前記突出部は、前記第一方向と直交する第二方向に沿って配置されている、としてもよい。
【0018】
上記(5)に記載の蓄電装置によれば、例えば、突出部の数を増加させることで、蓋体と外装体本体との接合面積を増加させることができる。そのため、例えば外装体に要求される仕様に応じて、突出部の数及び配置レイアウトを適宜決定できる。
【0019】
(6)上記(1)~(5)のいずれかひとつに記載の蓄電装置において、前記突出部は、前記開口部の内周面に接続されている、としてもよい。
【0020】
上記(6)に記載の蓄電装置によれば、第一方向から見た場合において、外装体の開口(外装体本体の内部空間)と重なる位置に蓋体の貫通孔が設けられる。そのため、第一方向から見た場合において、開口の外側に蓋体の貫通孔が設けられる場合よりも蓋体を小型化できる。
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置(その変形例も含む)について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0022】
以下の説明及び図面中において、1つの蓄電素子における一対の端子の並び方向、または、1つの蓄電素子における一対の短側面の対向方向を、X軸方向と定義する。複数の蓄電素子の並び方向、1つの蓄電素子における一対の長側面の対向方向、または、蓄電素子の厚み方向を、Y軸方向と定義する。蓄電素子の容器における容器本体と蓋板との並び方向、外装体における外装体本体と蓋体との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0023】
以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。単にX軸方向という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の双方向またはいずれか一方の方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行であるとは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。さらに、以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。絶縁性を有する材料は、体積抵抗率1×1010Ωm以上の材料から形成されていることが好ましい。
【0024】
(実施の形態)
[1.蓄電装置の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置1の構成概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電装置1の分解斜視図である。
図2では、突出部16は、溶着部17が形成される前の状態が図示されている。外装体10の内部には、
図2に示される部材に加え、バスバー等が収容され、さらに、蓄電素子100に沿って配置されるスペーサ、及び、複数の蓄電素子100を拘束する拘束部材等が配置され得る。しかし、これらの部材の図示及び説明は省略する。
【0025】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。ここでいう直方体とは、すべての面が長方形または正方形で構成された六面体である。蓄電装置1は、例えば、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及び化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。また、蓄電装置1は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、蓄電装置1は、外装体10と、1以上の蓄電素子100を有する蓄電素子ユニット101とを備えている。蓄電素子ユニット101は外装体10に収容されている。外装体10は、蓄電装置1の筐体を構成する箱形(略直方体形状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、蓄電素子ユニット101の外方に配置され、蓄電素子ユニット101を保護する。外装体10には、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材により形成されている。外装体10は、これにより、蓄電素子100等が外部の金属部材等に接触することを回避する。
【0027】
外装体10は、外装体本体11と蓋体50とを備える。外装体本体11は、開口13aを形成する開口部13を備える有底矩形筒状のハウジングである。開口部13は、外装体本体11のZ軸プラス方向の端部に設けられており、開口部13によって形成された開口13aはZ軸プラス方向に向けられている。Z軸プラス方向は第一方向の一例である。より具体的には、外装体本体11は、
図2に示すように、X軸方向で対向する一対の側壁部14と、Y軸方向で対向する一対の側壁部15とを備える。本実施の形態では、開口部13は、これら一対の側壁部14及び一対の側壁部15それぞれのZ軸プラス方向の端部(以下、単に「上端部」ともいう。)によって構成されている。X軸方向及びY軸方向のそれぞれは第二方向の一例である。
【0028】
蓋体50は、外装体本体11の開口13aを塞ぐ部材である。蓋体50には、正極及び負極の一対の外部端子90が配置されている。蓄電装置1は、この一対の外部端子90を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。外部端子90は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属製の導電部材で形成されている。
【0029】
外装体本体11に蓄電素子ユニット101等が収容された後に、蓋体50が外装体本体11に固定される。具体的には、外装体本体11が備える突出部16(
図2参照)に形成された溶着部17(
図1参照)が蓋体50に溶着される。本実施の形態ではさらに、外装体本体11の開口部13の端面である開口端面13b(
図2参照)と蓋体50とが接合される。本実施の形態では、熱溶着によって開口端面13bと蓋体50とが接合されている。これにより、蓋体50と外装体本体11との間における気体または液体に対する密閉性を高い状態に維持できる。外装体10における突出部16及びその周辺の構成については、
図3~
図5を用いて後述する。
【0030】
蓄電素子ユニット101は、1以上の蓄電素子100を備える。本実施の形態に係る蓄電素子ユニット101は8個の蓄電素子100を備える。8個の蓄電素子100は、それぞれが長側面110aをY軸方向に向けた状態でY軸方向に並べられている。蓄電素子ユニット101は、蓄電素子100に沿って配置されたスペーサまたはホルダ(図示せず)を備えてもよい。蓄電素子ユニット101は、蓄電素子100に接続されるバスバーを保持するバスバーホルダを備えてもよい。蓄電素子ユニット101は、複数の蓄電素子100をその並び方向で拘束する拘束部材(図示せず)を備えてもよい。蓄電素子ユニット101が備える8個の蓄電素子100は、複数の図示しないバスバーにより例えば直列に接続されるが、電気的な接続態様はこれに限らない。蓄電素子ユニット101が有する蓄電素子100の数についても特に限定はない。蓄電素子ユニット101が有する蓄電素子100の数は、1~7のいずれかでもよく、9以上でもよい。
【0031】
蓄電素子100は、二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、
図2に示すように、扁平な直方体形状(角形)の容器110を備える。容器110の内部には、図示しない電極体、集電体、及び電解液等が収容されている。当該電極体としては、例えば、極板とセパレータとが巻回されて形成された巻回型、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体が採用される。容器110に収容される電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択できる。蓄電素子100は、非水電解質二次電池以外の二次電池でもよいし、キャパシタでもよい。蓄電素子100は、一次電池でもよい。蓄電素子100は、パウチタイプの蓄電素子でもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池でもよい。蓄電素子100の形状は、上記角形には限定されず、それ以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等でもよい。
【0032】
容器110は、
図2に示すように、一対の長側面110aと、一対の短側面110bと、底面110dと、端子配置面110cとを有する直方体形状のケースである。端子配置面110cには、一対の端子120と、ガス排出弁105とが設けられている。容器110は、容器110の本体(容器本体)の内部に電極体等を収容後、容器本体と、端子配置面110cを形成する蓋板とが溶接等されることにより、内部が密封される。容器110の材質は特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0033】
端子120は、容器110に収容された電極体に電気的に接続される端子であり、端子配置面110cから突出して設けられている。一対の端子120のうちの一方は、電極体の正極と電気的に接続され、他方は電極体の負極と電気的に接続される。端子120は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金等の導電部材で形成されている。
【0034】
[2.突出部16及びその周辺の構成]
次に、上述の
図1及び
図2に加え、
図3~
図5を参照しながら、実施の形態に係る突出部16及びその周辺の構成について説明する。
図3は、実施の形態に係る突出部16の拡大斜視図である。
図3では、溶着部17が形成される前の状態の突出部16が図示されている。
図4は、実施の形態に係る突出部16及びその周辺の構成を示す平面図(Z軸プラス方向から見た図)である。
図5は、実施の形態に係る突出部16及びその周辺の構成を示す断面図である。
図3~
図5では、
図2において符号IIIが付された矩形領域内の突出部16が図示されている。
図5では、外装体10の一部の断面であって、
図1のV-V線を通るXZ平面に平行な断面が図示されている。
図5では、1以上の蓄電素子100を含む蓄電素子ユニット101のおおよその配置範囲が点線で表されている。
図5に関するこれらの補足事項は、後述する
図6にも適用される。
【0035】
図2及び
図3に示すように、外装体本体11は、開口部13に配置された突出部16を備える。本実施の形態では、
図2に示すように、Z軸プラス方向から見た場合(以下、「平面視」ともいう。)において矩形状の開口部13に、8個の突出部16が配置されている。8個の突出部16のそれぞれはZ軸プラス方向に突出している。以下の突出部16に関する説明は、これら8個の突出部16に共通して適用される。
【0036】
本実施の形態では、突出部16は、外装体本体11に一体に設けられている。つまり、突出部16は、PC、PP、PE、PS、またはPPS等の樹脂で形成されている。本実施の形態では、突出部16は、
図3に示すように、開口部13の内周面13cに接続されている。具体的には、突出部16は、内周面13cから、内周面13cに直交する方向(
図3ではX軸プラス方向)に突出する接続部16bと、接続部16bからZ軸プラス方向に突出する突出本体部16aとを備える。つまり、本実施の形態では、突出部16は、開口部13の内周面13cに直接的に接続されている。
【0037】
図3では、Z軸方向において、接続部16bの上端面(Z軸プラス方向の端面)の位置と、開口端面13bの位置とは一致しているが、これらの位置は一致していなくてもよい。例えば、Z軸方向において、接続部16bの上端面は、開口端面13bよりもZ軸マイナス方向に位置してもよい。接続部16bは、外装体本体11の側壁部(
図3では側壁部14)の一部である、と説明することもできる。この場合、接続部16bは、外装体本体11における開口部13の一部であり、接続部16bからZ軸プラス方向に突出する突出本体部16aは、開口部13に配置された「突出部」であると説明される。接続部16bからZ軸プラス方向に突出する突出部は、接続部16bを介して開口部13の内周面13cに接続されている、と説明される。
【0038】
開口部13は、開口13a(
図2参照)を形成する部分であり、上述のように一対の側壁部14及び一対の側壁部15それぞれの上端部によって構成されている。側壁部14の上端部は、側壁部14のZ軸プラス方向の端縁を含む部分であって、側壁部14のZ軸方向の長さの1/3の範囲の部分である。より好ましくは、側壁部14の上端部は、Z軸方向において、蓄電素子100よりもZ軸プラス方向の部分である。側壁部15の上端部も同様であり、側壁部15のZ軸プラス方向の端縁を含む部分であって、側壁部15のZ軸方向の長さの1/3の範囲の部分である。より好ましくは、側壁部15の上端部は、Z軸方向において、蓄電素子100よりもZ軸プラス方向の部分である。内周面13cは、側壁部14及び側壁部15それぞれの内面における開口部13に含まれる部分である。つまり、内周面13cは、側壁部14及び側壁部15それぞれの内面の上端部である。
【0039】
突出部16の突出本体部16aは、開口部13の端面である開口端面13bよりもZ軸プラス方向に突出している。突出本体部16aは、蓋体50が、外装体本体11に固定される場合、蓋体50に形成された貫通孔52(
図2及び
図5参照)に挿入される。これにより、蓋体50の外装体本体11に対するXY平面における位置が決定され、かつ、突出部16の先端部が貫通孔52からZ軸プラス方向に突出する。貫通孔52から突出した当該先端部は熱かしめされ、その結果、
図5に示すように、溶着部17が形成される。つまり、突出部16の先端部が加熱及び加圧されることで溶融して略円盤状に広げられ、その後に冷え固まることで溶着部17が形成される。この溶着部17の形成の過程で溶着部17と蓋体50との互いに対向する部分が溶着される。つまり、溶着部17は、突出部16の一部分であって、溶着によって蓋体50と接合された部分である。
図5では、溶着部17における蓋体50に溶着された部分(溶着面部17a)が、溶着部17と蓋体50との間の太線の点線によって模式的に表されている。このように、外装体本体11が備える突出部16は、蓋体50を貫通した状態で蓋体50に溶着され、これにより、蓋体50を外装体本体11に固定する部位として機能する。
【0040】
溶着部17の形成の手法としては、突出部16を金属体等で直接的に加熱しながら加圧する熱かしめ、または、ホーンを用いて突出部16に超音波振動を与えながら加圧する超音波かしめ等が採用され得る。
【0041】
上記のように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、蓄電素子100と、蓄電素子100を収容する外装体10と、を備える。外装体10は、Z軸プラス方向に開口13aを形成する開口部13を有する外装体本体11と、開口13aを塞ぐ蓋体50と、を備える。外装体本体11は、開口部13に配置され、かつ、Z軸プラス方向に突出した突出部16を備える。蓋体50は貫通孔52を備える。突出部16は、貫通孔52に挿入されている。突出部16は、蓋体50と溶着された溶着部17を備える。
【0042】
この構成によれば、蓄電装置1の製造(組み立て)の工程において、蓋体50を外装体本体11に配置する際に、外装体本体11に設けられた突出部16が蓋体50の貫通孔52に挿入される。そのため、蓋体50を外装体本体11に対して効率よくまたは精度よく位置決めできる。突出部16はさらに、少なくとも溶着部17において蓋体50と溶着される。そのため、突出部16は、蓋体50を外装体本体11に固定する役割も担うことができ、かつ、突出部16の、外装体本体11に対する変位または姿勢の変化等が生じ難い。例えば、ボルトを用いて蓋体50を外装体本体11に固定する場合に生じ得る「ボルトの緩み」のような不具合が生じ難い。従って、本実施の形態に係る蓄電装置1は、信頼性が向上された外装体10を備えている。
【0043】
本実施の形態では、突出部16は、外装体本体11に一体に設けられている。従って、蓋体50を外装体本体11に固定するために、ボルト等の別部材を用いる必要がない。突出部16は樹脂で形成されているため、例えば金属製のボルトを用いる場合よりも蓄電装置1を軽量化できる。
【0044】
本実施の形態では、
図1、
図2、及び
図5に示すように、溶着部17は、Z軸プラス方向から見た場合、貫通孔52を覆う。具体的には、溶着部17は、蓋外面51aにおける貫通孔52の周縁部に溶着されている。その結果、貫通孔52は、外部から(Z軸プラス方向から)溶着部17によって塞がれている。
【0045】
このように、蓋体50に溶着される溶着部17は、蓋体50に形成された貫通孔52を、蓋体50の外側から覆うことができる。これにより、貫通孔52がより確実にシールされる。つまり、貫通孔52における気体または液体に対する密閉性が向上する。溶着部17が、平面視において貫通孔52を覆う大きさに形成されることで、溶着部17は、蓋体50のZ軸プラス方向の移動をより確実に制限できる。これにより、蓋体50の外装体本体11に対するZ軸プラス方向の移動をより確実に抑制できる。
【0046】
本実施の形態では、蓋体50と外装体本体11とは、さらに、外装体本体11の開口部13に設けられた接合部18によって蓋体50との接合されている。具体的には、
図3~
図5に示すように、開口部13は、蓋体50に対向する開口端面13bを備える。開口端面13bは、蓋体50と接合される接合部18を備える。
図3及び
図4では、接合部18は模様が付された領域で模式的に表されており、
図5では、符号“18”が付された太線の点線で模式的に表されている。本実施の形態では、接合部18は、熱溶着によって形成されている。当該熱溶着の手法として、例えばヒートシールが採用されてもよい。ヒートシールとは、熱によって少なくとも2つの部材を溶着する手法である。
【0047】
このように、外装体本体11の開口端面13bが接合部18を備えることで、蓋体50と外装体本体11との接合面積は、少なくとも、開口端面13bと蓋体50との接合面積、及び、突出部16の溶着部17と蓋体50との接合面積を含む。その結果、蓋体50と外装体10とがより強固に接合される。
【0048】
図3~
図5では、接合部18は、開口端面13bの幅方向(
図3~
図5ではX軸方向)のほぼ全域に設けられているが、このことは必須ではない。接合部18は、開口端面13bの幅方向の少なくとも一部に設けられていればよい。接合部18が当該幅方向の一部のみに設けられた場合でも、接合部18が、開口端面13bの延びる方向(
図3~
図5ではY軸方向)の全域に配置されていれば、開口端面13bと蓋体50との間における、気体または液体に対する密閉性を確保できる。つまり、平面視において、接合部18が開口13aを囲むことで当該密閉性を確保できる。ただし、当該密閉性の向上、または/及び、蓋体50の外装体本体11に対する固定力の向上の観点からは、接合部18は、開口端面13bの幅方向のほぼ全域に設けられることが好ましい。蓋体50と外装体本体11との間が気体または液体に対して完全に密閉されなくてもよい場合、接合部18は、開口端面13bの延びる方向の一部のみに配置されてもよい。
【0049】
外装体本体11の開口端面13bに接合部18が備えられることは必須ではない。開口端面13bに接合部18が備えられていない場合でも、少なくとも1つの突出部16の溶着部17が蓋体50と溶着されていればよい。これにより、当該少なくとも1つの突出部16によって蓋体50を外装体本体11に固定できる。
【0050】
本実施の形態では、
図4に示すように、突出部16は、Z軸プラス方向から見た場合、接合部18と隣り合う。
【0051】
この構成によれば、平面視において、接合部18と溶着部17とを連続させること、または、接合部18と溶着部17とを重複させることが容易である。本実施の形態では、平面視において、接合部18の一部と、突出部16が備える溶着部17の一部とが重複する(例えば
図5参照)。これにより、例えば、外装体10の突出部16の近傍における気体または液体に対する密閉性が維持されやすくなる。平面視において、突出部16の、開口13aの内部への突出量(
図4ではX軸プラス方向の突出量)が小さいことにより、例えば、外装体本体11の内部に蓄電素子100等の部材を収容する作業を行う際に、突出部16が当該作業の邪魔になり難い。
【0052】
より詳細には、本実施の形態では、
図4に示すように、平面視において、溶着部17を備える軸部(棒状部)を形成する突出本体部16aと、開口端面13bとがX軸方向で連続する。従って、外装体10の突出部16の近傍における密閉性が維持しやすくなるとともに、開口端面13bの幅方向のほぼ全域に接合部18を形成できる。このことは、蓋体50と外装体本体11との接合面積の増加に有利である。
【0053】
平面視において突出本体部16aと接合部18とが連続することは必須ではない。つまり、平面視において突出本体部16aと接合部18とが離間してもよい。突出本体部16aと接合部18とが離間する場合、平面視において突出本体部16aと開口端面13bとが離間してもよい。平面視において突出本体部16aと接合部18とが連続しているか否かにかかわらず、平面視において突出本体部16aの少なくとも一部と開口端面13bとが重複してもよい。平面視において突出部の全体が開口端面13bと重複する態様については変形例2として後述する。
【0054】
本実施の形態では、外装体本体11は、複数(具体的には8個)の突出部16を備えている。複数の突出部16は、突出部16の突出方向(Z軸プラス方向)と直交する方向に沿って配置されている。具体的には、開口部13を構成する、側壁部の上端部(側壁部14及び側壁部15それぞれのZ軸プラス方向の端部)に複数の突出部16が配置されている。より詳細には、側壁部14の上端部に、Y軸方向に沿って2つの突出部16が配置され、側壁部15の上端部に、X軸方向に沿って2つの突出部16が配置されている。
【0055】
この構成によれば、例えば、突出部16の数を増加させることで、蓋体50と外装体本体11との接合面積を増加させることができる。そのため、例えば外装体10に要求される仕様に応じて、突出部16の数及び配置レイアウトを適宜決定できる。
【0056】
本実施の形態では、
図3~
図5に示すように、突出部16は、開口部13の内周面13cに接続されている。より具体的には、突出部16は内周面13cに直接的に接続されている。
【0057】
この構成によれば、平面視において、外装体10の開口13a(外装体本体11の内部空間)と重なる位置に蓋体50の貫通孔52が設けられる。そのため、平面視において、開口13aの外側に蓋体50の貫通孔52が設けられる場合よりも蓋体50が小型化される。より詳細には、
図5に示すように、突出部16は、蓄電素子100のZ軸プラス方向に配置される。言い換えると、平面視において、突出部16の少なくとも一部は、蓄電素子100の一部と重複する。すなわち、本実施の形態では、
図5に示すように、突出部16の直下(Z軸マイナス方向)の空間が、蓄電素子100(または蓄電素子ユニット101)の一部を配置するための空間として利用されている。これにより、例えば外装体10が小型化される、または/及び、蓄電装置1のエネルギー密度が向上する。
【0058】
以上、実施の形態に係る蓄電装置1について、突出部16及びその周辺の構成を中心に説明した。しかし、蓄電装置1における突出部16及びその周辺の構成は、
図1~
図5に示される構成とは異なってもよい。そこで、以下に、突出部16及びその周辺の構成についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0059】
[3-1.変形例1]
図6は、実施の形態の変形例1に係る突出部16及びその周辺の構成を示す断面図である。本変形例に係る蓄電装置1aにおいて、外装体本体11は、開口部13に配置された突出部16であって、Z軸プラス方向に突出した突出部16を備える。蓋体50は貫通孔52を備える。突出部16は、貫通孔52を貫通した状態で蓋体50と溶着された溶着部17を備える。これらの構成は、実施の形態に係る蓄電装置1と共通する。
【0060】
本変形例では、蓋体50が凹部53を備えており、この点で、実施の形態に係る蓄電装置1と異なる。具体的には、蓋体50は、蓋外面51aから蓋内面51bに向けて凹状に形成された凹部53を備えており、平面視において、貫通孔52は凹部53の内部に位置している。さらに、貫通孔52の貫通方向(Z軸方向)における溶着部17の少なくとも一部が凹部53に収容される。より具体的には、溶着部17の溶着面部17aは、凹部53の底面(凹部底面53a)に溶着される。
【0061】
このように、溶着部17の少なくとも一部が凹部53に収容されることで、溶着部17の蓋外面51aからの突出量が低減される。これにより、例えば、蓋体50の上方(Z軸プラス方向)の空間がより有効に活用される。
図6では、Z軸方向における溶着部17の一部が蓋外面51aから突出しているが、Z軸方向における溶着部17の全体が凹部53に収容されてもよい。
【0062】
[3-2.変形例2]
図7は、実施の形態の変形例2に係る突出部26の拡大斜視図である。
図7では、溶着部27が形成される前の状態の突出部26が図示されている。
図8は、実施の形態の変形例2に係る突出部26及びその周辺の構成を示す断面図である。
図8における断面の位置は、
図5における断面の位置に準ずる。
【0063】
本変形例に係る蓄電装置1bにおいて、外装体本体11は、開口部13に配置された突出部26であって、Z軸プラス方向に突出した突出部26を備える。蓋体50は貫通孔52を備える。突出部26は、貫通孔52を貫通した状態で蓋体50と溶着された溶着部27を備える。具体的には、溶着部27は、蓋体50と溶着された部分(溶着面部27a)を備える。これらの構成は、実施の形態に係る蓄電装置1と共通する。
【0064】
本変形例では、突出部26は、外装体本体11の開口端面13bからZ軸プラス方向に突出しており、この点で、実施の形態に係る蓄電装置1と異なる。つまり、平面視において突出部26の全体が開口端面13bと重複する。このように、開口端面13bに突出部26を配置することで、外装体本体11の内部に蓄電素子100等の部材を収容する作業を行う際に、突出部26が当該作業の邪魔になり難い。
【0065】
より具体的には、本変形例では、開口端面13bの幅方向(
図7及び
図8ではX軸方向)において、突出部26と接合部18とが並んで配置される。従って、上記実施の形態と同じく、接合部18を、平面視において開口13a(
図2参照)を囲むように配置できる。その結果、接合部18により、開口端面13bと蓋体50との間における、気体または液体に対する密閉性が確保される。
図8では、開口端面13bの幅方向(X軸方向)の中央に突出部26が配置されるが、突出部26は、当該幅方向の一方に寄せて配置されてもよい。つまり、突出部26のX軸プラス方向及びX軸マイナス方向の一方のみに接合部18が配置されてもよい。この場合でも、接合部18を、平面視において開口13aを囲むように配置できる。
【0066】
[3-3.変形例3]
図9は、実施の形態の変形例3に係る突出部36の拡大斜視図である。
図9では、溶着部37が形成される前の状態の突出部36が図示されている。
図10は、実施の形態の変形例3に係る凸部19及び突出部36を示す側面図である。
図10では、外装体本体11を
図9のX-X線を通るXZ平面で切断した状態の外装体本体11の一部が側面図(Y軸マイナス方向から見た図)で表されている。
図11は、実施の形態の変形例3に係る突出部36及びその周辺の構成を示す斜視図である。
【0067】
本変形例に係る蓄電装置1cにおいて、外装体本体11は、開口部13に配置された突出部36であって、Z軸プラス方向に突出した突出部36を備える。蓋体50は貫通孔52を備える。突出部36は、貫通孔52を貫通した状態で蓋体50と溶着された溶着部37を備える。具体的には、溶着部37は、蓋体50と溶着された部分(溶着面部37a)を備える。さらに、突出部36は、開口部13の内周面13cに接続されている。これらの構成は、実施の形態に係る蓄電装置1と共通する。
【0068】
本変形例では、突出部36は、凸部19を介して内周面13cに接続されており、この点で、実施の形態に係る蓄電装置1と異なる。凸部19は、内周面13cから外装体本体11の内部に向けて(
図9~
図11ではX軸プラス方向に向けて)突出する。具体的には、凸部19は、外装体本体11の側壁部14の内面に設けられており、かつ、底壁部12の上面(内底面12a)に接続されている。より詳細には、凸部19は、側壁部14の内面の上端部(すなわち、開口部13の内周面13c)から当該内面に沿って内底面12aまで延びている。つまり、本変形例において、凸部19の上端部は開口部13の一部である。凸部19は、外装体本体11の側壁部14及び底壁部12の両方に接続されていることで、例えば、外装体本体11の剛性を向上させることができる。本変形例では、突出部36は、外装体本体11の剛性の向上に寄与する凸部19の上方の空間を利用して配置できる。つまり、外装体10の内部空間の有効利用が図られる。
【0069】
図9~
図11では、凸部端面19aは、開口端面13bよりもZ軸マイナス方向に位置している。しかし、Z軸方向において凸部端面19aと開口端面13bとは同じ位置でもよい。
図9~
図11では、突出部36は、開口端面13bと離間して配置されているが、突出部36は、開口端面13bと連続してもよい。
【0070】
[4.他の変形例]
以上、実施の形態に係る蓄電装置1及びその変形例について説明したが、本発明は、実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0071】
突出部16は、突出本体部16aの径方向に突出した形状の溶着部17(
図1及び
図5参照)を備えなくてもよい。例えば、突出部16の突出本体部16a(
図3参照)の外周面と、蓋体50の貫通孔52(
図2及び
図5参照)の内周面とが溶着されてもよい。この場合でも、突出本体部16aの外周面と貫通孔52の内周面との隙間を、溶融した後に冷え固まった樹脂(突出部16及び蓋体50の少なくとも一方の一部)によって塞ぐことは可能である。つまり、突出本体部16aが貫通孔52から突出しなくてもよい。
図12は、蓋体50の貫通孔52から突出しない突出部16の一例を示す断面図である。
図12では、突出本体部16aの外周面と貫通孔52の内周面との隙間を塞ぐ樹脂によって溶着部17が形成されている。
図12に示すように、突出本体部16aの端部は蓋外面51aよりも下部に配置されてもよく、蓋外面51aと同じ位置に配置されてもよい。これにより、蓋外面51aより外部に溶着部17が突出することがより容易に防止でき、また、蓋外面51aから外部に突出する溶着部17の突出量をより容易に低減できる。
図12の溶着部17は、超音波溶着等によって形成されてもよい。
【0072】
突出部16は、外装体本体11と一体でなくてもよい。例えば、外装体本体11とは別体の部品として作製された突出部が、外装体本体11に固定されてもよい。当該固定の手法として、溶着、接着、嵌め合い、またはボルトを用いた結合等の各種の手法が採用されてもよい。突出部が外装体本体11とは別体の部品である場合、外装体本体11の内部に蓄電素子100等の部材を収容した後に、突出部が外装体本体11の開口部13に固定されてもよい。これにより、外装体本体11の内部に蓄電素子100等の部材を収容し易くなる。
【0073】
開口端面13bと蓋体50とを接合する手法として、ヒートシール以外の手法が採用されてもよい。ヒートシール以外の手法としては、超音波溶着及びレーザ溶着が例示される。超音波溶着では、例えば開口端面13bを超音波振動による摩擦熱によって溶融させて冷え固まらせることで、蓋体50と接合される接合部18が形成される。レーザ溶着では、例えば開口端面13bをレーザ光の照射によって溶融させて冷え固まらせることで、蓋体50と接合される接合部18が形成される。開口端面13bと蓋体50とを接合する手法として、接着剤による接着が採用されてもよい。開口端面13bと蓋体50とを接合する手法として、溶剤を用いた化学的な手法が採用されてもよい。例えば開口端面13bをジクロロメタンなどの溶剤を用いて溶融させた後に固化させることで、開口端面13bの一部または全部に、蓋体50と接合される接合部18が形成されてもよい。
【0074】
金属または樹脂等で形成されたボルトを用いて開口端面13bと蓋体50とを接合してもよい。この場合、開口端面13bと蓋体50との間にガスケットを配置することで、開口端面13bと蓋体50との間における気体または液体に対する密閉性を確保してもよい。ボルトを用いて開口端面13bと蓋体50とを接合する場合、開口端面13bにおける、蓋体50またはガスケットと接触する部分が、開口端面13bが備える接合部18である、と説明される。開口端面13bと蓋体50との間にガスケットを配置する場合、突出部16は、ガスケットの、開口13aの内部に近づく向きの移動を制限できる。従って、突出部16は、ガスケットの、開口13aの内部への落下を抑制できる。
【0075】
開口端面13bと蓋体50との間にガスケットを配置する場合、ボルトではなく、突出部16が備える溶着部17が、ガスケットを、開口端面13bと蓋体50との間で圧縮された状態に維持する部位として機能してもよい。例えば、開口端面13bと蓋体50との間にガスケットを配置した状態で、治具等を用いて蓋体50を開口端面13bに向けて押さえる。この状態で、突出部16の先端部を溶融し、溶融した先端部を冷え固まらせる。つまり、突出部16の先端部を熱かしめすることで溶着部17を形成する。この場合、溶着部17は、外装体本体11に対する蓋体50のZ軸プラス方向の移動を制限できるため、ガスケットを開口端面13bと蓋体50との間で圧縮された状態に維持できる。この効果を、開口端面13bの延びる方向(X軸方向及びY軸方向)で均等に得るためには、当該延びる方向に沿って複数の突出部16が配置されることが好ましい。
【0076】
突出部16における、貫通孔52に挿入される部分は、
図3に示すような円柱形状である必要はない。貫通孔52に挿入される部分は、例えば、四角柱などの多角柱形状でもよい。貫通孔52に挿入される部分の断面(突出部16の突出方向に直交する断面)の外形が、直線と曲線とで形成された形状でもよい。
【0077】
外装体10の形状は、
図1及び
図2に示すような直方体形状である必要はない。例えば、円柱形状などの他の形状の外装体が、蓄電素子ユニット101を収容する外装体として採用されてもよい。
【0078】
図7~
図11に示される実施の形態の変形例2及び3に係る溶着部27及び37のそれぞれの少なくとも一部が、蓋体50に設けられた凹部53(
図6参照)に収容されてもよい。また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0080】
1、1a、1b、1c 蓄電装置
10 外装体
11 外装体本体
13 開口部
13a 開口
13b 開口端面
13c 内周面
16、26、36 突出部
17、27、37 溶着部
18 接合部
50 蓋体
52 貫通孔
100 蓄電素子
101 蓄電素子ユニット