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特開2025-7982電気電子機器収納用箱の設計支援システム及び電気電子機器収納用箱の選定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007982
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱の設計支援システム及び電気電子機器収納用箱の選定方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20250109BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
G06F30/20
G06F30/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109775
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 悟
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕基
(72)【発明者】
【氏名】神山 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 徹哉
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA21
5B146CA01
5B146DC01
5B146DC05
5B146DE06
5B146DL08
(57)【要約】
【課題】電気電子機器収納用箱の設計支援システムの利用者が、電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示したグラフを利用できるようにすること。
【解決手段】電気電子機器収納用箱の仕様に関する情報を有する格納仕様情報と、電気電子機器収納用箱の特徴に関する情報を有する格納特徴情報と、電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、を備えたデータベースと、入力仕様情報とデータベースに備えられた情報とを照合し、入力仕様情報に対応する箱データを特定するように演算可能な演算手段と、演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示したグラフと、を出力可能な出力手段と、を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システムとする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報である入力仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、
電気電子機器収納用箱の仕様に関する情報を有する格納仕様情報と、電気電子機器収納用箱の特徴に関する情報を有する格納特徴情報と、電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、を備えたデータベースと、
入力仕様情報とデータベースに備えられた情報とを照合し、入力仕様情報に対応する箱データを特定するように演算可能な演算手段と、
演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示したグラフと、を出力可能な出力手段と、
を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項2】
演算手段が、入力仕様情報に対応する箱データを複数導出するように演算可能な構成であり、
演算手段により複数の箱データが導出された場合に、各々の箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示すグラフを個別に複数表示可能とする請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項3】
演算手段が、入力仕様情報に対応する箱データを複数導出するように演算可能な構成であり、
演算手段により複数の箱データが導出された場合に、複数の箱データに関する情報を示したグラフを表示可能とする請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項4】
出力手段を用いて、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報より算出された総合情報を出力可能である請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項5】
格納特徴情報に、
価格に関する項目、納期に関する項目、配線作業性に関する項目、保守作業性に関する項目、環境性能に関する項目、機能や性能に関する項目、履歴に関する項目のうちの2つ以上を含む請求項1から3の何れかに記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項6】
電気電子機器収納用箱の仕様に関する情報を有する格納仕様情報と、電気電子機器収納用箱の特徴に関する情報を有する格納特徴情報と、電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、を備えたデータベースと、
入力された仕様情報である入力仕様情報とデータベースを照合し、入力仕様情報に対応する箱データを特定するように演算可能な演算手段と、
演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を複数示したグラフと、を出力可能な出力手段と、
を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システムに仕様情報を入力することにより電気電子機器収納用箱を選定する電気電子機器収納用箱の選定方法であって、
入力手段を用いて仕様情報を入力するステップと、
入力された仕様情報とデータベースに備えられた情報を照合し、入力された仕様情報に対応する箱データを特定するように演算するステップと、
演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の複数の特徴を評価する情報を示したグラフと、を出力するステップと、
を含む電気電子機器収納用箱の選定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱の設計支援システム及び電気電子機器収納用箱の選定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、分電盤、配電盤、システムラック、高圧受電設備などの電気電子機器収納用箱の設計を支援する設計支援システムが知られている。特許文献1に開示された設計支援システムは、入力された仕様情報とデータベースに格納された電気電子機器収納用箱の仕様に関するデータとを比較して、一致した電気電子機器収納用箱を選定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-326219号公報
【0004】
ところで、特許文献1に開示された設計支援システムは、価格や納期などを出力することで、選定された電気電子機器収納用箱の良し悪しを判断することは可能となっているが、価格や納期などを単に出力するのみである。このため、価格は安いが納期は長い場合や、価格は高いが納期は短い場合のような複数の特徴を総合的に判断しにくかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、電気電子機器収納用箱の設計支援システムの利用者が、電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示したグラフを利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報である入力仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、電気電子機器収納用箱の仕様に関する情報を有する格納仕様情報と、電気電子機器収納用箱の特徴に関する情報を有する格納特徴情報と、電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、を備えたデータベースと、入力仕様情報とデータベースに備えられた情報とを照合し、入力仕様情報に対応する箱データを特定するように演算可能な演算手段と、演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示したグラフと、を出力可能な出力手段と、を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システムとする。
【0007】
また、演算手段が、入力仕様情報に対応する箱データを複数導出するように演算可能な構成であり、演算手段により複数の箱データが導出された場合に、各々の箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示すグラフを個別に複数表示可能とするのが好ましい。
【0008】
また、演算手段が、入力仕様情報に対応する箱データを複数導出するように演算可能な構成であり、演算手段により複数の箱データが導出された場合に、複数の箱データに関する情報を示したグラフを表示可能とするのが好ましい。
【0009】
また、出力手段を用いて、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報より算出された総合情報を出力可能である構成とすることが好ましい。
【0010】
また、格納特徴情報に、価格に関する項目、納期に関する項目、配線作業性に関する項目、保守作業性に関する項目、環境性能に関する項目、機能や性能に関する項目、履歴に関する項目のうちの2つ以上を含む構成とすることが好ましい。
【0011】
また、電気電子機器収納用箱の仕様に関する情報を有する格納仕様情報と、電気電子機器収納用箱の特徴に関する情報を有する格納特徴情報と、電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、を備えたデータベースと、入力された仕様情報である入力仕様情報とデータベースを照合し、入力仕様情報に対応する箱データを特定するように演算可能な演算手段と、演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を複数示したグラフと、を出力可能な出力手段と、を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システムに仕様情報を入力することにより電気電子機器収納用箱を選定する電気電子機器収納用箱の選定方法であって、入力手段を用いて仕様情報を入力するステップと、入力された仕様情報とデータベースに備えられた情報を照合し、入力された仕様情報に対応する箱データを特定するように演算するステップと、演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の複数の特徴を評価する情報を示したグラフと、を出力するステップと、を含む電気電子機器収納用箱の選定方法とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、電気電子機器収納用箱の設計支援システムの利用者が、電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示したグラフを利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】管理番号に対して格納仕様情報と格納特徴情報と箱データが紐づいている例を示した図である。
図2】データベースに備えられた情報の中から、入力された仕様情報に合致する情報が抽出された例を示す図である。
図3】入力された仕様情報に対して合致する箱データと、その箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報がグラフを用いて表示された例を示す図である。
図4図3に示す例とは異なるように入力された仕様情報に対して合致する箱データの一つと、その箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報がグラフを用いて表示された例を示す図である。
図5図4に示す例と同じように入力された仕様情報に対して合致する箱データのうち図4に示す例とは異なる箱データと、その箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報がグラフを用いて表示された例を示す図である。
図6図4及び図5に示す例で表示した内容をまとめて表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。実施形態の電気電子機器収納用箱の設計支援システムは、利用者が入力手段を用いて入力した仕様情報である入力仕様情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能である。この電気電子機器収納用箱の設計支援システムは、「電気電子機器収納用箱の仕様に関する情報を有する格納仕様情報と、電気電子機器収納用箱の特徴に関する情報を有する格納特徴情報と、電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、を備えたデータベース」と、「入力仕様情報とデータベースに備えられた情報とを照合し、入力仕様情報に対応する箱データを特定するように演算可能な演算手段」と、「演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示したグラフと、を出力可能な出力手段」と、を備えている。このため、電気電子機器収納用箱の設計支援システムの利用者が、電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示したグラフを利用することが可能となる。
【0015】
また、実施形態における電気電子機器収納用箱の選定方法は、「電気電子機器収納用箱の仕様に関する情報を有する格納仕様情報と、電気電子機器収納用箱の特徴に関する情報を有する格納特徴情報と、電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである箱データと、を備えたデータベース」と、「入力された仕様情報である入力仕様情報とデータベースを照合し、入力仕様情報に対応する箱データを特定するように演算可能な演算手段」と、「演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を複数示したグラフと、を出力可能な出力手段」と、を備える電気電子機器収納用箱の設計支援システムに仕様情報を入力することにより電気電子機器収納用箱を選定する。また、この電気電子機器収納用箱の選定方法は、入力手段を用いて仕様情報を入力するステップと、入力された仕様情報とデータベースに備えられた情報を照合し、入力された仕様情報に対応する箱データを特定するように演算するステップと、演算手段による演算により導かれた箱データと、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の複数の特徴を評価する情報を示したグラフと、を出力するステップと、を含む。このため、電気電子機器収納用箱の設計支援システムの利用者が、電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示したグラフを利用することが可能となる。
【0016】
以下では、分電盤、配電盤、制御盤、高圧受電設備などの配電を目的とした電気電子機器収納用箱に基づいて説明を行うが、もちろんサーバや通信装置、演算装置などを備えたシステムラックや、通信装置や照明機器、机、椅子などを備え、内部で人が作業するための作業用ボックスなどの設計支援システムに適用するようにしてもよい。
【0017】
実施形態の電気電子機器収納用箱は、筐体と、筐体に収納される電気電子機器を備えている。電気電子機器は、ブレーカ、開閉器、端子台、タイムスイッチ、避雷器、コンセント、変圧器、継電器、通信装置、計測装置、制御装置、センサ機器、空調機器など、電気や電子に関連する機器や、非常回路や自動点滅回路などの電子機器で構成された回路などを例示できるが、この例に限ることはない。
【0018】
電気電子機器収納用箱の設計支援システムや電気電子機器収納用箱の選定方法では、仕様情報を用いて電気電子機器収納用箱の特定を行うことができる。「仕様情報」は、電気電子機器収納用箱を特定するための仕様に関する情報である。「仕様情報」のなかでも、入力手段を用いて利用者により入力される仕様情報は「入力仕様情報」といい、設計支援システムの提供側(メーカーなど)によりデータベースに格納される仕様情報は「格納仕様情報」ということにする。
【0019】
実施形態の「格納仕様情報」は、データベースに備えられているが、実施形態のデータベースには、電気電子機器収納用箱の特徴に関する情報を有する「格納特徴情報」や、設計支援システムを用いて特定可能な電気電子機器収納用箱の構成に関する情報に紐づけられたデータである「箱データ」も備えられている。
【0020】
なお、格納仕様情報は、データベースの構築時や更新時に、データベースに格納されればよい。また、格納仕様情報は箱データなどと紐づけるため、管理コードが付与されるのが好ましい。図1に示す例では管理番号が管理コードとして採用されており、特定の管理番号を利用して格納仕様情報と箱データが紐づけられている。なお、図1に示す例では、この管理番号を利用して格納仕様情報と箱データと格納特徴情報が紐づけられている。
【0021】
上記した例では、設計支援システムのデータベースに格納された箱データなどを選定するようにしているが、設計支援システムは、データベースに格納されていない箱データなどを選定できるようにしてもよい。設計支援システムにデータベースに格納されていない箱データを選定可能とする機能を持たせた場合などには、設計支援システムを利用した際に入力した仕様情報と選定された箱データを、新たにデータベースに格納するように制御する構成を備える設計支援システムとしてもよい。なお、入力手段を用いて利用者により入力された仕様情報(入力仕様情報)がデータベースに格納される場合、入力された仕様情報のうち格納された仕様情報は格納仕様情報となる。
【0022】
ところで、仕様情報は、複数の観点で整理されるようにするのが好ましい。例えば、以下に示す項目別にグループ分けをするようにしてもよい。大きなまとまりであれば、「電気電子機器収納用箱に収納される電気電子機器に関する項目」や「電気電子機器収納用箱に関する項目」、「電気電子機器収納用箱に配線に関する項目」、「電気電子機器収納用箱に輸送に関する項目」、「客先に関する項目」、などが例示できるが、更に細分化された項目別に仕様情報をグループ分けするようにしてもよい。以下にいくつか仕様情報の分けかたを記すが、仕様情報の分けかたは、この限りではない。
【0023】
例えば電気電子機器収納用箱に収納される電気電子機器に着目して、仕様情報を「電気電子機器の種類に関する項目」、「電気電子機器の個数に関する項目」、「筐体内における電気電子機器の配置や位置に関する項目」、「筐体内における電気電子機器の役割に関する項目」といった観点からわけてもよい。
【0024】
「電気電子機器の種類に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、協約形ブレーカ、漏電ブレーカ、サーキットブレーカ、プラグイン式ブレーカ、端子台、リレー、電流計、電力計、通信機器、タイムスイッチ、SPD、制御回路など、の名称に該当する種類ごとに仕様情報をわけるようにしてもよい。また定格電流や定格遮断容量などの電気的性能や、強度などの物理的性能などの性能毎に仕様情報をグループ分けしてもよい。
【0025】
「筐体内における電気電子機器の配置や位置に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、この情報を筐体のサイズや形状の特定に利用することができる。例えば、筐体内に複数の電気電子機器を収納する場合、それらの配置や位置が筐体サイズや形状に大きな影響を与えることがあるからである。「筐体内における電気電子機器の配置や位置に関する項目」は、主幹ブレーカの位置(筐体の上側又は下側など)、主幹ブレーカに対する分岐ブレーカの位置(主幹ブレーカの下又は横など)、分岐ブレーカの配置(一列に配置又は複数列で配置など)などが例示できる。
【0026】
「筐体内における電気電子機器の役割に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、この情報を筐体のサイズや形状の特定に利用することができる。例えば、筐体内に複数の電気電子機器を収納する場合、それらの役割が筐体サイズや形状に大きな影響を与えることがあるからである。「筐体内における電気電子機器の役割に関する項目」は、「協約形ブレーカが2つ入力された場合に、一方を主幹ブレーカ、もう一方を該主幹ブレーカの二次側に接続されて二次送り用として使用する」、「協約形ブレーカが2つ入力された場合に、両方とも主幹ブレーカとして仕様し、筐体内に2系統を形成する」といった内容を属性とする分け方をすることが例示できる。
【0027】
また、電気電子機器収納用箱に着目して、仕様情報を「電気電子機器収納用箱の筐体に関する項目」、「電気電子機器収納用箱の性能や種類に関する項目」、「電気電子機器収納用箱の設置に関する項目」といった観点からわけてもよい。
【0028】
「電気電子機器収納用箱の筐体に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、扉若しくは筐体に収納されない部材をこの項目で扱うようにしてもよい。「電気電子機器収納用箱の筐体に関する項目」は、例えば、筐体サイズ(W×H×D)、筐体の材質(鉄製、ステンレス製、樹脂製など)、筐体の色などであってもよいし、筐体に対する加工内容(筐体に収納されない機器と取り付けるための孔加工や溶接加工など)や、筐体内に電気電子機器とは異なる部材を別途収納するために設定するスペースなどを基準に仕様情報を分けてもよい。
【0029】
また、「電気電子機器収納用箱の筐体に関する項目」は、扉のサイズ、扉の材質、扉の色、扉の数(1枚扉、2枚扉など)、扉の開く方向(右開き、左開きなど)に関するデータや、筐体に収納されない部材の種類や個数、配置などであってもよい。なお、筐体に収納されない部材は、扉を回動するためのヒンジ、扉を鎖錠するための鎖錠装置(ハンドルなど)、筐体に取り付けられる熱対策機器(ファン、ルーバなど)、配線用部材、水抜き用部材、防水対策用に取り付けられるパッキン、筐体を壁に取り付けるための取付部材、屋外設置用の屋根部材などが例示できる。
【0030】
「電気電子機器収納用箱の性能や種類に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、防水性能、耐震性能、耐熱性能などが性能に関する項目として例示できる。また、電灯・動力混合分電盤、耐熱分電盤、仮設コンセント用分電盤などが種類に関する項目として例示できる。
【0031】
「電気電子機器収納用箱の設置に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、設置方法や設置場所や設置環境などに関してグループ分けすることが考えられるが、設置方法に関する項目としては、「基台を用いた自立設置」や「壁や支柱への設置」や「壁への埋め込み設置」などが例示できる。また、設置場所や設置環境に関する項目としては、「屋内設置」、「屋外設置」、「塩害地域への設置」、「豪雪地域への設置」、「標高の高い場所への設置」などが例示できる。
【0032】
「電気電子機器収納用箱に配線に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、「筐体への入出線に関する項目」や「電気電子機器同士の配線に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用することが考えられる。
【0033】
「筐体への入出線に関する項目」としては、筐体の上面から入線して上面へ出線する「上入線上出線」や、筐体の下面から入線して下面から出線する「下入線下出線」などを仕様情報のグループ分けに利用する属性として扱ってもよい。もちろん筐体の側面や背面から入線若しくは出線することを仕様情報のグループ分けに利用する属性として扱ってもよい。
【0034】
「電気電子機器同士の配線に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、電気電子機器同士を電線による配線するか、銅バーによる配線とするか、ということを仕様情報のグループ分けに利用する属性として扱ってもよい。また、「配線のために必要な配線空間に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する属性として扱ってもよい。例えば、標準で設定された配線空間よりも大きな空間を設定するといった属性などである。
【0035】
「電気電子機器収納用箱に輸送に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、「梱包方法に関する項目」や「輸送方法に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する属性として扱ってもよい。後者であれば、トラックや鉄道や船舶などを単独で又は複数組み合わせて利用するといったことを属性として扱うものであってもよい。
【0036】
「客先に関する項目」を仕様情報のグループ分けに利用する場合、「客先の氏名」、「会社名」、「住所」など、客先を特定するために必要な情報を用いて仕様情報を分けることが例示できる。
【0037】
次に、特徴情報について説明をする。特徴情報は電気電子機器収納用箱の特徴に関する情報である。なお、仕様情報は、電気電子機器収納用箱を決定するために必要な情報であるのに対して、特徴情報は、電気電子機器収納用箱の良し悪しを判断する際に基準となる情報、つまり、電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報である。このため、電気電子機器収納用箱の機能や性能(防水機能、耐震機能など)を表す情報については、特徴情報と仕様情報の両方に含められる場合もあり得る。
【0038】
実施形態の特徴情報は、各項目の良し悪しのレベルや、各項目の性能や機能の有無により電気電子機器収納用箱の特徴を評価している。図2図3に示す例では、評価の値は5段階評価しているが、それに限定されるものではない。また、図2図3に示す例では、悪い場合は評価の値が小さく、良い場合は評価の値が大きいようにしているが、このような例に限る必要はない。
【0039】
特徴情報に含まれる各項目として、「電気電子機器収納用箱の価格に関する項目」、「電気電子機器収納用箱の納期に関する項目」、「設置した電気電子機器収納用箱に対する配線作業性(配線の容易性)に関する項目」、「設置した電気電子機器収納用箱に対する保守作業性(保守の容易性)に関する項目」、「電気電子機器収納用箱の環境性能に関する項目」、「電気電子機器収納用箱の機能や性能に関する項目」などが例示できる。
【0040】
特徴情報の項目として「電気電子機器収納用箱の価格に関する項目」、「電気電子機器収納用箱の納期に関する項目」を採用する場合、価格や納期の良し悪しのレベルの判断は、基準値と比較し、基準値よりも価格が高値若しくは納期が長い場合には評価の値が小さくなり、基準値よりも価格が低値若しくは納期が短い場合には評価の値が大きくなるようにすることが例示できる。また、基準値は、利用者の過去の選定結果から算出されるようにしてもよいし、他者(利用者以外)の選定結果を含め、同様の電気電子機器収納用箱が選定された選定結果から算出されるようにしてもよい。また、入力仕様情報から得られた他の選定結果を利用して基準値が算出されるようにしてもよい。また、他の選定結果を利用して比較することで評価の値が算出されるものであってもよい。
【0041】
特徴情報の項目として「設置した電気電子機器収納用箱に対する配線作業性(配線の容易性)に関する項目」を採用する場合、配線作業性の判断は、例えば、電気電子機器の配置や位置に関する項目や配線に関する項目などにより導かれるようにしてもよい。具体的には、主幹ブレーカや分岐ブレーカの位置と、配線の入線方向や出線方向と、の関係により、評価の値が変化するようにしてもよい。
【0042】
配線作業性の判断は、電気電子機器の配置や位置に関する項目や配線に関する項目以外から導かれるようにしてもよい。例えば、配線作業性の判断は、電気電子機器収納用箱内の配線空間の大きさや、電気電子機器に接続される電線の種類や太さなどにより導かれるようにしてもよい。電気電子機器の種別から配線作業性の判断ができるようにしてもよい。例えば、電気電子機器が、二次側の配線がネジ式であるブレーカの場合と、二次側の配線が速結端子式であるブレーカの場合を比較した場合、二次側の配線が速結端子式であるブレーカの方が、配線作業性がよいと判断できる。
【0043】
特徴情報の項目として「設置した電気電子機器収納用箱に対する保守作業性(保守の容易性)に関する項目」を採用する場合、配線作業性の判断は、例えば、電気電子機器の種類や、電気電子機器の配置や位置に関する項目などにより導かれるようにすればよい。具体的には、電気電子機器収納用箱の状態を容易に把握するための電気電子機器(状態監視装置や、状態を外部に出力する装置など)が収納されている場合には、評価の値が大きくなるようにすることなどが例示できる。また、例えば、保守対象の電気電子機器が、筐体の内部に位置しており点検作業が困難である場合には評価の値が小さくなるようにしてもよいし、筐体に設けられた点検窓付近に位置していて点検がしやすい場合は、評価の値が大きくなるようにしてもよい。
【0044】
特徴情報の項目として「電気電子機器収納用箱の環境性能に関する項目」を採用する場合、環境性能の判断は、例えば、電気電子機器の種類や、筐体や電気電子機器の製造方法、製造する際に必要な材料などにより導かれるようにすればよい。つまり、環境に与える影響の小さい電気電子機器や、製造方法、材料などが使用される場合には、評価の値が大きくなるようにすることなどが例示できる。また、樹脂製の筐体の場合、バイオプラスチックを使用した筐体の方が評価の値が大きくなるようにしてもよい。
【0045】
特徴情報の項目として「電気電子機器収納用箱の機能や性能に関する項目」を採用する場合、機能や性能は、電気電子機器収納用箱の防水性能、防塵性能、防錆性能、耐震性能、耐風雨性能などについて評価することが例示できる。防水性能や防塵性能など、機能や性能のレベルを所定の等級により表すことが可能な場合には、それらの等級を表示する構成とするのが好ましい。一方、機能や性能のレベルを所定の等級などで表すことが難しい場合には、機能や性能の有無により表示するようにしてもよい。例えば、漏電機能付きブレーカや、感震機能付きブレーカなどは、それらの機能が付いていないブレーカに対して評価の値が大きくすることなどである。
【0046】
特徴情報の項目として「電気電子機器収納用箱の履歴に関する項目」を採用する場合、入力仕様情報と、過去の設計履歴や選定履歴と比較し、仕様の類似度などを評価することが例示できる。例えば、データベースに利用者の履歴情報を格納しておき、仕様情報とともに入力する利用者のID情報などと照合することで、利用者の過去の設計履歴や選定履歴を呼び出し、入力仕様情報と比較する。このとき、利用者本人の過去の設計履歴や選定履歴に限らず、システム利用者全体の過去の設計履歴や選定履歴と比較するようにしてもよい。仕様の類似度などを評価し、グラフに表示することにより、利用者が過去の設計履歴や選定履歴を用意に把握することができ、設計作業や選定作業が容易に行えるようになる。
【0047】
格納特徴情報にこれらの項目を1つだけ備える構成であっても構わないが、2つ以上備える構成とするのが好ましい。特に、格納特徴情報に、価格に関する項目、納期に関する項目、配線作業性に関する項目、保守作業性に関する項目、環境性能に関する項目、機能や性能に関する項目、履歴に関する項目のうちの2つ以上を含む構成とするのが好ましい。
【0048】
また、グラフに表される情報に、価格に関する項目、納期に関する項目、配線作業性に関する項目、保守作業性に関する項目、環境性能に関する項目、機能や性能に関する項目、履歴に関する項目のうちの2つ以上を含む構成とするのが好ましい。
【0049】
ところで、仕様情報は、入力手段を用いて入力されるが、この入力は、パソコンやスマートフォンなどへ入力する際に一般的に使用される手段(キーボードやマウスを使用した入力、ディスプレイへの入力など)を用いて行えるようにすればよい。また、仕様情報が記載された書類を光学文字認識により取り込むようにして仕様情報を入力可能なようにしてもよい。また、音声を利用した入力や視線を利用した入力により仕様情報を入力できるようにしてもよい。なお、仕様情報の入力は、各種情報に付与された品名番号などを用いてなされるものであってもよい。
【0050】
入力された仕様情報はデータベースに格納された情報と比較される。この比較作業の実施と結果の導出のため、データベースには、電気電子機器収納用箱に関する仕様情報を有する格納仕様情報と、格納仕様情報により特定される電気電子機器収納用箱に関する箱データが少なくとも格納されているようにする。
【0051】
ここで、より具体的な情報の格納例を説明する。図1に示す例においては、データベースに格納される情報は、少なくとも格納仕様情報と箱データとが紐づくように、管理番号「1001」が付与されている。管理番号「1001」における格納仕様情報では、「筐体に関する項目」として、サイズが500×600×120であること、「電気電子機器に関する項目」として、主幹ブレーカ(60A)×1、分岐ブレーカ(20A)×14であること、「配線に関する項目」として、上入線、上出線であることなどが導き出せる情報が格納されている。これらの情報は項目ごとに格納されている。
【0052】
また、図1に示す例では、管理番号「1001」における格納特徴情報においては、「価格に関する項目」として、〇〇円であり評価としては「4」であること、「納期に関する項目」として、△△日であり評価としては「2」であること、「配線容易性」としては評価が「4」であること、「環境性能」としては評価が「5」であることなどが導き出せる情報が格納されている。これらの情報は項目ごとに格納されている。
【0053】
なお、管理番号などの管理コードは、データベースに格納された順に付与されるものであってもよいし、特定の格納仕様情報を含むデータや、特定の箱データを含むデータに対して、関連する管理番号などを付与するようにしてもよい。
【0054】
例えば、電気電子機器の種類に関する項目として、格納仕様情報:定格電流が60Aの主幹ブレーカを1個と、定格電流が20Aの分岐ブレーカを8個、を含むデータに対して、一桁の管理番号(0001~0004)を付与するものとしてルールを規定してもよい。また、例えば、箱データ:AAA10―20を含むデータに対して、関連する管理番号を付与するものとしてもよい。このような付与もあり得るため、管理コードは、図1に示すような4桁の数字で構成される例に限らず、英字や記号を含んで構成されるようにしてもよい。
【0055】
いずれにせよ、データベースに格納されるデータを管理コードで管理することにより、各種データの管理が容易となり、一致率の演算などを効率的に行うことができる。なお、格納仕様情報と箱データの他に、電気電子機器収納用箱を構成する筐体や電気電子機器の図面に関する図面データや、筐体や電気電子機器の種類や個数に関する部品図データ、筐体や電気電子機器の価格に関する価格データなど、電気電子機器収納用箱を選定した後の設計作業、製作作業、販売作業のために必要なデータも、同様に、管理番号などにより管理されるように構成してもよい。
【0056】
ところで、各情報を比較する演算などを行うため、設計支援システムは、演算手段を備える。演算手段を用いて、入力された仕様情報とデータベースを照合し、入力された仕様情報に対応する箱データを導出するように演算する。実施形態では、導出される箱データに対応する格納特徴情報を抽出するような演算を行うことができる。
【0057】
演算手段により演算された結果は、出力手段を用いて出力される。出力は、パソコンやスマートフォンなどに対して若しくはそれらを介して出力される際に一般的に使用される手段(ディスプレイへの出力、印刷機などによる紙への出力など)によりなされればよい。また、音声を出力するように構成してもよい。
【0058】
出力されるものは、少なくとも箱データと、箱データに基づく電気電子機器収納用箱の複数の特徴に関する情報を示したグラフである。出力されるグラフは、例えば、箱データに基づく電気電子機器収納用箱の複数の特徴に関する情報を項目として、各項目の評価の値若しくは有無を正多角形上に表現したレーダーチャートである。レーダーチャートは、複数の特徴に関する情報を比較しながら確認しやすいため、利用者にとっては総合的な判断を行いやすい。
【0059】
出力されるグラフはレーダーチャートに限る必要はない。特徴に関する情報を表現できるグラフであるなら如何なるものであってもよく、棒グラフや折れ線グラフ、円グラフなどを例示することができる。また、グラフは箱データの格納特徴情報毎に比較したり、箱データの総合情報を比較したりすることなど、複数の情報の比較ができるものであることが好ましい。また、特徴に関する情報の程度を段階的に表示できるグラフや、複数の特徴に関する情報を同時に認識できるように表現できるグラフとするのが好ましい。
【0060】
設計支援システムは、グラフの出力だけではなく、グラフの出力に関連する箱データも出力も行える。出力される箱データは、各電気電子機器収納用箱に付与された品名番号や、電気電子機器収納用箱の概要を表示した箱イメージなどが例示できる。箱イメージは、実際の電気電子機器収納用箱の図を縮小したものであってもよいし、電気電子機器収納用箱の大まかな構成が分かるようなものであってもよい。後者の場合、筐体に収納される電気電子機器の配置の概略が理解できるものであるのが好ましい。
【0061】
箱データは箱データの存在とグラフの存在が同時に確認できるように表示可能とすることが好ましいが、そのような例に限るものではない。また、箱データやグラフに加えて、電気電子機器収納用箱を構成する筐体や電気電子機器の価格や、輸送費用、納期などについても視認できるように出力可能な構成としてもよい。
【0062】
ここで、格納されている情報と入力と出力の例について、より具体的に説明をする。図2に示すような情報がデータベースに格納されているとする。つまり、格納仕様情報として「電気電子機器に関する項目」に、主幹ブレーカ(60A)×1、分岐ブレーカ(20A)×8を含む情報に管理番号0001~0005が付与されているものが存在するとする。
【0063】
図2に示す管理番号0001においては、配置や位置に関する項目として、主幹ブレーカが上方、分岐ブレーカが下方に配置されるとともに、分岐ブレーカは2列で配置される旨が特定されている。また、設置場所に関する項目として、屋内設置である旨が特定されている。また、配線に関する項目として、上から入線、上から出線である旨が特定されている。箱データとして、AAA6―08が格納されている。
【0064】
また、図2に示す管理番号0001においては、格納特徴情報として、価格については評価の値「4」、納期については評価の値「4」、配線容易性については評価の値「5」が格納されている。管理番号0002~0005についても各々格納仕様情報と、格納特徴情報と、箱データと、が格納されているが、具体的な記載は省略する。
【0065】
この場合に、入力手段を用いて入力される仕様情報が、「電気電子機器に関する項目」については、「主幹ブレーカ(60A) ×1、分岐ブレーカ(20A)×8」であり、「配置や位置に関する項目」については、「主幹ブレーカが上方、分岐ブレーカが下方、分岐ブレーカが2列配置」であり、「設置場所に関する項目」については、「屋内設置」であり、「配線に関する項目」については、「上から入線、上から出線」であるとする(図3参照)。
【0066】
入力された仕様情報とデータベースに備えられた情報とを比較すると、入力された仕様情報に対応する箱データは「AAA6―08」であると演算手段により導かれ、かつ、この箱データ「AAA6―08」に紐づく格納特徴情報が抽出される。抽出された格納特徴情報は、グラフとして出力される。このとき、電気電子機器収納用箱の完成形を想像しやすくするため、箱イメージを同時に出力することが好ましい。図3に示す例では、箱データは、コード「AAA6―08」と箱イメージの双方である。
【0067】
次に、演算手段により電気電子機器収納用箱の候補が複数個導出された例について説明をする。例えば、入力手段により入力される仕様情報が、「電気電子機器に関する項目」については、「主幹ブレーカ(60A)×1、分岐ブレーカ(20A)×8」であり、「配置や位置に関する項目」については、「主幹ブレーカが上方、分岐ブレーカが下方」であり、「設置場所に関する項目」については、「屋内設置」であるとする(図4参照)。
【0068】
この場合、管理番号「0001」と「0004」が条件を満たす(図2参照)。つまり、条件を満たす箱データは二つ導出されたことになる(コード「AAA6―08」と「AAA6―08S」)。図4に示す例では、それらの箱データに関する情報の一つであるコード「AAA6―08」を出力するとともに、格納特徴情報のグラフと箱イメージを出力している。一方、他方の箱データ(コード「AAA6―08S」に関するもの)に関するグラフなどについて利用者が確認できる状態ではない。
【0069】
この例では、演算された他の箱データに関する情報については、出力内容を変更する操作(例えば「次の候補」のボタンを押すなど)をすることで、確認することができる(図5参照)。演算により導かれた結果が三つ以上存在した場合でも、出力内容を変更する操作を繰り返すことで、演算された複数の箱データなどを確認することができるようにすればよい。
【0070】
図4及び図5に示す例では、入力された仕様情報に対応する箱データが複数導出された場合には、それらを1つずつ出力する例を示したが、それらの複数の箱データが同時に出力されるものであってもよい(図6参照)。図6に示す例では二つの電気電子機器収納用箱に関する箱データを同時に確認できるとともに、二つの電気電子機器収納用箱の評価結果を一つのグラフで表現している。
【0071】
もちろん、演算により導かれた結果が三つ以上存在した場合、それらの全て若しくは一部に該当する複数の電気電子機器収納用箱に関する箱データを同時に確認できるように出力してもよい。また、演算により導かれた結果が三つ以上存在した場合、それらの全て若しくは一部に該当する複数の電気電子機器収納用箱に関する評価結果を一つのグラフで表現するように出力してもよい。
【0072】
これらの記載から理解されるように、演算手段が、入力仕様情報に対応する箱データを複数導出するように演算可能な構成であり、演算手段により複数の箱データが導出された場合に、複数の箱データに関する情報を示したグラフを表示可能とするのが好ましい。
【0073】
また、演算手段が、入力仕様情報に対応する箱データを複数導出するように演算可能な構成であり、演算手段により複数の箱データが導出された場合に、各々の箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示すグラフを個別に複数表示可能とするようにしてもよい。
【0074】
さらに、過去に設計若しくは選定した電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報を示すグラフを表示可能とするようにしてもよい。例えば、利用者が過去に設計若しくは選定した電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報のうち、直近のものを表示してもよいし、評価の値を演算して導いた値(合計値、平均値、中央値など)を用いて表示するものであってもよい。
【0075】
ところで、上記した例では、複数の特徴情報を出力し、各特徴情報を比較することで演算される箱データの良し悪しを判断することが可能となるが、複数の特徴情報を組み合わせて演算した総合情報を出力するようにしてもよい。利用者が利用できる指標が増え、選択の容易性を高めることが可能となる。
【0076】
総合情報は、各特徴情報の評価の値を演算して導いた値(合計値、平均値、中央値など)とすることが例示できる。この場合、特定の特徴情報に優先度を設け、優先度に応じて評価の値に重みを付加して演算して値(合計値、平均値など)を導くようにしてもよい。特徴情報が性能や機能の有無により表されるものの場合においては、それらを加味して総合情報が演算されるようにしてもよい。また、総合情報は数値化して表現することに限らず、文字、図、色、大きさなどを用いて、優劣を判断しやすいようにしてもよい。
【0077】
これらの記載から理解されるように、出力手段を用いて、演算手段による演算により導かれた箱データに対応する電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報より算出された総合情報を出力可能である構成とするのが好ましい。なお、データベースに格納されている格納特徴情報に、電気電子機器収納用箱の特徴を評価する情報より算出された総合情報を含むように構成してもよい。
【0078】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6