(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007993
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電池ケースの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/103 20210101AFI20250109BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/15
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109791
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志村 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】大林 叔朗
(72)【発明者】
【氏名】山中 篤
(72)【発明者】
【氏名】千原 真志
(72)【発明者】
【氏名】杉江 和紀
(72)【発明者】
【氏名】米川 紘輔
(72)【発明者】
【氏名】平尾 康裕
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC06
5H011DD01
5H011DD07
(57)【要約】
【課題】ケース本体に形成された開口の、一方向における寸法の自由度を高める。
【解決手段】本開示に基づく電池ケースの製造方法は、第1方向D1における両側にそれぞれ第1開口端11および第2開口端12を有する筒状体10を準備すること(S1)と、第1開口端11を第1板状部材20で閉塞すること(S2)と、第2開口端12を第2板状部材30で閉塞すること(S3)と、第1板状部材20により第1開口端11が閉塞され、かつ、第2板状部材30により第2開口端12が閉塞された状態で、筒状体10と第1板状部材20と第2板状部材30とを第1方向D1に平行な面に沿って切断することで、筒状体10、第1板状部材20、および、第2板状部材30の切断縁10E,20E,30Eを開口OPとするケース本体210を得ること(S4)と、ケース本体210の開口OPを蓋部250で閉塞すること(S5)と、を備えている。
【選択図】
図6C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体を収容可能であり、底部および該底部の反対に位置する開口を有する有底筒状のケース本体と、前記開口を閉塞する蓋部とを備える電池ケースの製造方法であって、
一方向における両側にそれぞれ第1開口端および第2開口端を有する筒状体を準備することと、
前記第1開口端を第1板状部材で閉塞することと、
前記第2開口端を第2板状部材で閉塞することと、
前記第1板状部材により前記第1開口端が閉塞され、かつ、前記第2板状部材により前記第2開口端が閉塞された状態で、前記筒状体と前記第1板状部材と前記第2板状部材とを前記一方向に平行な面に沿って切断することで、前記筒状体、前記第1板状部材、および、前記第2板状部材の切断縁を前記開口とする前記ケース本体を得ることと、
前記ケース本体の前記開口を前記蓋部で封止することとを備える、電池ケースの製造方法。
【請求項2】
前記筒状体を、押し出し成形により成形することで準備する、請求項1に記載の電池ケースの製造方法。
【請求項3】
切断された前記筒状体、前記第1板状部材、および、前記第2板状部材の各々の一部によって構成された第1のケース本体と、切断された前記筒状体、前記第1板状部材、および、前記第2板状部材の各々の他の一部によって構成された第2のケース本体とを得ることで、複数の前記ケース本体を得る、請求項1または請求項2に記載の電池ケースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池ケースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-158014号公報(特許文献1)には、有底筒状をなすケース本体部の開口部に封口板を一体に取り付けて構成される電池ケースの製造方法が開示されている。当該製造方法においては、予め用意したブランクに絞り加工およびしごき加工を施して横断面形状が楕円形状若しくは長円形状をなす底部のある中間品を成形する。そして、上記中間品に更に絞り加工もしくはしごき加工を複数回施して、横断面形状が矩形状となるように四つのコーナー部の曲率半径を次第に小さくするとともに、上記コーナー部を形成する側壁部の肉厚を減じて上記ケース本体部とされる最終品に成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電セルをさらに低背化するため、ケース本体の開口方向に直交する一方向の寸法がさらに長くなるような、電池ケースが求められている。しかしながら、特許文献1に開示されるような絞り加工では、上記一方向にさらに長い寸法を有する開口を形成することが難しい。このため、従来の電池ケースの製造方法では、上記一方向における開口の寸法に制約が生じていた。
【0005】
本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ケース本体に形成された開口の、一方向における寸法の自由度を高めることができる、電池ケースの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく電池ケースの製造方法は、電極体を収容可能であり、底部および当該底部の反対に位置する開口を有する有底筒状のケース本体と、開口を閉塞する蓋部とを備える電池ケースの製造方法である。当該製造方法は、一方向における両側にそれぞれ第1開口端および第2開口端を有する筒状体を準備することと、第1開口端を第1板状部材で閉塞することと、第2開口端を第2板状部材で閉塞することと、第1板状部材により第1開口端が閉塞され、かつ、第2板状部材により第2開口端が閉塞された状態で、筒状体と第1板状部材と第2板状部材とを一方向に平行な面に沿って切断することで、筒状体、第1板状部材、および、第2板状部材の切断縁を開口とするケース本体を得ることと、ケース本体の開口を蓋部で閉塞することと、を備えている。
【0007】
上記の構成によれば、両側にそれぞれ第1開口端と第2開口端とを有する筒状体については、絞り加工に依らずに準備することができる。このとき、上記一方向に比較的長い筒状体を準備することも可能である。そして、筒状体と第1板状部材と第2板状部材とを上記一方向に平行な面に沿って切断することで、上記一方向に比較的長い開口を有するケース本体を容易に得ることができる。すなわち、本開示に基づく電池ケースの製造方法によれば、ケース本体に形成された開口の、上記一方向における寸法の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ケース本体の開口の一方向における寸法の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る蓄電セルを示す斜視図である。
【
図2】
図1の蓄電セルをII-II線矢印方向に見た断面図である。
【
図3】
図2の電極体をIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【
図4】本開示の変形例に係る蓄電セルを示す斜視図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る電池ケースの製造方法を示すフロー図である。
【
図6】
図6A~
図6Dは、筒状体準備工程から切断工程までの様子を時系列で示す模式的な図である。
【
図7】第3閉塞工程の様子を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材に、同じ番号が付されている。
【0011】
[蓄電セル]
まず、本開示の一実施形態に係る蓄電セルについて説明する。この蓄電セルは、本開示の一実施形態に係る電池ケースの製造方法によって製造される電池ケースを備える。
図1は、本開示の一実施形態に係る蓄電セルを示す斜視図である。
図2は、
図1の蓄電セルをII-II線矢印方向に見た断面図である。
【0012】
図1および
図2に示すように、蓄電セル1は、電極体100と、電池ケース200と、一対の外部端子300と、一対の連結部材400と、絶縁部材500と、を備えている。
【0013】
図3は、
図2の電極体をIII-III線矢印方向から見た断面図である。
図3に示すように、電極体100は、複数の電極110,120と、セパレータ130とを備えている。
【0014】
図3に示すように、複数の電極110,120は、厚さ方向Tに並ぶように配置されている。本実施系形態において、厚さ方向Tは、高さ方向Hに直交する。複数の電極110,120は、複数の正極電極110と、複数の負極電極120と、を有している。
【0015】
各正極電極110は、幅方向Wに長い長方形形状に形成されている。幅方向Wは、厚さ方向Tおよび高さ方向Hの両方に直交する方向である。各正極電極110は、正極集電箔112と、正極集電箔112の両面に設けられた正極活物質層114と、を有している。正極集電箔112は、正極活物質層114が設けられていない正極タブ112p(
図2参照)を有している。正極タブ112pは、幅方向Wにおける一方側に向かって突出している。
【0016】
各負極電極120は、幅方向に長い長方形形状に形成されている。各負極電極120は、負極集電箔122と、負極集電箔122の両面に設けられた負極活物質層124と、を有している。
図2に示すように、負極集電箔122は、負極活物質層124が設けられていない負極タブ122n(
図2参照)を有している。負極タブ122nは、幅方向における他方側に向かって突出している。
【0017】
セパレータ130は、正極電極110および負極電極120間を絶縁している。セパレータ130は、絶縁材料からなり、イオンの透過を許容する微小な空隙を有している。
図3に示すように、セパレータ130は、つづら折り状に形成されている。
【0018】
セパレータ130は、つづら折り状に形成される前の状態では長方形形状を呈している。セパレータ130は、各電極110,120間につづら折り状に形成されながら配置される。セパレータ130は、複数の介在部132aと、複数の上折返し部132bと、複数の下折返し部132cと、最外被覆部132dと、を有している。
【0019】
各介在部132aは、一方向に互いに隣接する一対の電極110,120間に介在している。つまり、各介在部132aは、正極電極110および負極電極120間を絶縁する機能を有している。各介在部132aは、矩形状の領域で構成されている。
【0020】
各上折返し部132bは、複数の介在部132aのうちの一の介在部132aの上端部と、複数の介在部132aのうち一方向における一方側に上記一の介在部132aに隣接する介在部132aの上端部と、を互いに連結している。本実施形態では、上折返し部132bは、正極電極110の上方に配置されている。
【0021】
各下折返し部132cは、複数の介在部132aのうちの上記一の介在部の下端部と、複数の介在部132aのうち一方向における他方側に上記一の介在部に隣接する介在部132aの下端部と、を互いに連結している。本実施形態では、下折返し部132cは、負極電極120の下方に配置されている。換言すれば、負極電極120は、下折返し部132c上に配置されている。
【0022】
最外被覆部132dは、各上折返し部132bおよび各下折返し部132cをまとめて被覆している。より詳細には、最外被覆部132dは、全ての電極110,120、全ての介在部132a、全ての上折返し部132bおよび全ての下折返し部132cを、幅方向と平行な中心軸まわりに巻回しながらまとめて被覆している。最外被覆部132dの終端132eは、一方向に正極活物質層114および負極活物質層124と重ならない範囲に設定されている。本実施形態では、最外被覆部132dの終端132eは、各電極110,120の下方に設けられている。なお、複数の電極110,120およびセパレータ130の周面と底面には、絶縁フィルム150(後述の
図7参照、
図2および
図3において不図示)が被覆されている。
【0023】
図1および
図2に示すように、電池ケース200は、電極体100を収容している。電池ケース200には、図示略の電解液が収容されている。電池ケース200は、密封されている。電池ケース200は、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属で構成されている。
【0024】
電池ケース200は、有底筒状の外形を有している。電池ケース200は、ケース本体210と、蓋部250とを有している。ケース本体は、底部220と、第1側面部231と、第2側面部232と、第1端面部241と、第2端面部242とを有している。
【0025】
底部220は、平板状の外形を有している。底部220は、高さ方向Hに直交する平面方向に拡がっている。高さ方向Hから見て、底部220は略矩形状の外形を有している。
【0026】
底部220は、一対の長辺部221と、一対の短辺部222とを有している。長辺部221は、幅方向Wに沿って延びている。短辺部222は、厚さ方向Tに沿って延びている。一対の長辺部221の各々の長さは、一対の短辺部222の各々の長さより長い。
【0027】
第1側面部231は、底部220から起立している。第1側面部231が起立する方向は、高さ方向Hである。具体的には、第1側面部231は、一対の長辺部221の一方から起立している。本実施形態において、第1側面部231と底部220とは、溶接されることなく一体的に成形されている。
【0028】
第2側面部232は、第1側面部231と対向しつつ底部220から起立している。このため、第2側面部232が起立する方向も、高さ方向Hである。具体的には、第2側面部232は、一対の長辺部221の他方から起立している。本実施形態において、第2側面部232と底部220とは、溶接されることなく一体的に成形されている。
【0029】
第1端面部241は、底部220における一対の短辺部222の一方と、溶接により接合されている。第1端面部241は、一対の短辺部222の一方から高さ方向Hに延びている。第1端面部241は、第1側面部231および第2側面部232の両方に、溶接により接合されている。
【0030】
第2端面部242は、底部220における一対の短辺部222の他方と、溶接により接合されている。第1端面部241は、一対の短辺部222の他方から高さ方向Hに延びている。第1端面部241は、第1側面部231および第2側面部232の両方に、溶接により接合されている。
【0031】
また、ケース本体210は、開口OPを有している。開口OPは、底部220の反対に位置している。開口OPは、第1側面部231、第2側面部232、第1端面部241および第2端面部242の各々の、底部220側とは反対側に位置する端縁で構成されている。
【0032】
蓋部250は、開口OPを閉塞する。蓋部250は、溶接等によって開口OPに接続されている。蓋部250は、平板状に形成されている。
【0033】
蓋部250は、圧力解放弁272と、封止部材274とを有している。圧力解放弁272は、蓋部250の中央部に形成されている。圧力解放弁272は、電池ケース200の内圧が所定圧以上となると破断するように形成されている。圧力解放弁272が破断することで、電池ケース200内のガスが当該圧力解放弁272を通じて電池ケース200外に放出されるため、電池ケース200の内圧が低下する。
【0034】
封止部材274は、蓋部250に形成された注液口hを封止している。注液口hは、蓄電セル1の製造過程において、電池ケース200内に電解液を注入するための貫通孔である。注液口hは、当該注液口hを通じて、電池ケース200に電解液が注入された後、封止部材274によって封止される。
【0035】
なお、圧力解放弁272および封止部材274は、蓋部250とは異なる箇所に配置されてもよい。
図4は、本開示の変形例に係る蓄電セルを示す斜視図である。
図4に示すように、第1端面部241aが、圧力解放弁272aと、封止部材274aとを有していてもよい。第2端面部242aが、圧力解放弁272aと、封止部材274aとを有していてもよい。
【0036】
図1および
図2に示すように、一対の外部端子300は、電池ケース200に固定されている。一対の外部端子300の一方は、正極の外部端子であり、他方は、負極の外部端子である。各外部端子300は、後述の上絶縁部510を介して蓋部250の上面に固定されている。各外部端子300は、アルミニウム等の金属からなる。
【0037】
一対の連結部材400は、複数の電極タブ112p,122nと外部端子300とを連結している。一方の連結部材400は、複数の正極タブ112pと正極の外部端子300とを連結しており、他方の連結部材400は、複数の負極タブ122nと負極の外部端子300とを連結している。一対の連結部材400の各々は、実質的に互いに同じ構造を有しているため、以下では一方の連結部材400について説明する。
【0038】
連結部材400は、集電タブ410と、サブタブ420と、連結ピン430と、を有している。
【0039】
集電タブ410は、側方部412と、上方部414と、を有している。側方部412は、幅方向における電極体100の側方に位置している。上方部414は、電極体100の上方に位置している。上方部414は、側方部412の上端から幅方向における内側に向かって延びている。
【0040】
サブタブ420は、複数の正極タブ112pを集電タブ410に接続している。サブタブ420の一端部422は、溶接等によって複数の正極タブ112pに接続されており、サブタブ420の他端部424は、溶接等によって集電タブ410の側方部412に接続されている。
【0041】
連結ピン430は、集電タブ410と外部端子300とを連結している。連結ピン430は、上方部414と外部端子300とを連結している。具体的に、連結ピン430の下端部は、上方部414設けられた貫通孔に挿入された状態で上方部414に溶接等によって接続されており、連結ピン430の上端部は、外部端子300に設けられた貫通孔に挿入された状態で溶接やカシメ等によって外部端子300に接続されている。
【0042】
絶縁部材500は、電池ケース200と連結部材400との間を絶縁している。絶縁部材500は、上絶縁部510と、下絶縁部520と、絶縁筒530と、絶縁板540と、を有している。
【0043】
上絶縁部510は、蓋部250の上面に固定されている。上絶縁部510は、蓋部250と外部端子300との間に配置されている。上絶縁部510には、連結ピン430を挿通させる挿通孔が設けられている。
【0044】
下絶縁部520は、蓋部250の下面に固定されている。下絶縁部520は、蓋部250と、上方部414および連結ピン430の下部と、の間に配置されている。下絶縁部520には、連結ピン430を挿通させる挿通孔が設けられている。
【0045】
絶縁筒530は、連結ピン430と蓋部250との間に配置されている。絶縁筒530は、筒状に形成されており、連結ピン430を包囲している。
【0046】
絶縁板540は、上方部414の下面に固定されている。絶縁板540は、電極体100の上方に配置されている。絶縁板540のうち圧力解放弁272の下方に位置する部位、および、注液口hの下方に位置する部位には、貫通孔が設けられている。
【0047】
なお、一対の連結部材400のうちの一方の連結部材400(たとえば、正極タブ112pと電気的に接続されている連結部材400)と、電池ケース200との間を絶縁している絶縁部材500は、上絶縁部510を有していなくてもよい。この場合、外部端子300が、電池ケース200と直接接していてもよいし、外部端子300と電池ケース200との間に、上絶縁部510に代えて他の導電部材が配置されてもよい。
【0048】
[電池ケースの製造方法]
次に、本開示の一実施形態に係る電池ケースの製造方法について説明する。
図5は、本開示の一実施形態に係る電池ケースの製造方法を示すフロー図である。
図5に示すように、本開示の一実施形態に係る電池ケースの製造方法は、筒状体準備工程S1と、第1閉塞工程S2と、第2閉塞工程S3と、切断工程S4と、第3閉塞工程S5とをこの順に備えている。ただし、第1閉塞工程S2および第2閉塞工程S3の順番は、上記に限定されない。第2閉塞工程S3は、第1閉塞工程S2より前に実施されてもよいし、第1閉塞工程S2と同時に実施されてもよい。
【0049】
図6A~
図6Dは、筒状体準備工程から切断工程までの様子を時系列で示す模式的な図である。
【0050】
図6Aに示すように、筒状体準備工程S1においては、筒状体10を準備する。筒状体10は、第1方向D1における両側にそれぞれ第1開口端11および第2開口端12を有している。筒状体10は、具体的には略矩形筒状の外形を有している。すなわち、第1開口端11および第2開口端12は、第1方向D1から見て略矩形環状の外形を有している。
【0051】
筒状体10は、一対の第1周壁部13と、一対の第2周壁部14とを有している。一対の第1周壁部13は、第2方向D2において互いに対向している。第2方向D2は、第1方向D1に直交する方向である。第1周壁部13は、第2方向D2から見たときに、第1方向D1が長手方向となる矩形状の外形を有している。
【0052】
一対の第2周壁部14は、第3方向D3において互いに対向している。第3方向D3は、第1方向D1および第2方向D2の両方に直交する方向である。第2周壁部14は、第3方向から見たときに、第1方向D1が長手方向となる矩形状の外形を有している。なお、第2周壁部14の第2方向D2における寸法は、第1周壁部13の第3方向D3における寸法より短い。第1周壁部13の第3方向D3における寸法は、筒状体10の第1方向D1における寸法(第1周壁部13および第2周壁部14の第1方向D1における寸法)より短い。
【0053】
筒状体10は、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属で構成されている。本実施形態においては、筒状体10を、押し出し成形により成形することで準備する。押し出し成形の具体的な方法としては、従来公知の方法を採用可能である。
【0054】
図6Aおよび
図6Bに示すように、第1閉塞工程S2においては、第1開口端11を第1板状部材20で閉塞する。具体的には、第1板状部材20は、レーザ溶接などの溶接により、第1開口端11に接合される。第1板状部材20は、第1方向D1から見て略矩形状の外形を有している。
【0055】
第2閉塞工程S3においては、第2開口端12を第2板状部材30で閉塞する。具体的には、第2板状部材30は、レーザ溶接などの溶接により、第2開口端12に接合される。第2板状部材30は、第1方向D1から見て略矩形状の外形を有している。
【0056】
第1板状部材20および第2板状部材30は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属で構成されている。第1板状部材20および第2板状部材30は、筒状体10を形成する材料と同種の材料で形成されていることが好ましい。
【0057】
図6B~
図6Dに示すように、切断工程S4においては、第1板状部材20により第1開口端11が閉塞され、かつ、第2板状部材30により第2開口端12が閉塞された状態で、筒状体10と第1板状部材20と第2板状部材30とを第1方向D1に平行な面に沿って切断する。具体的には、当該面は、第1方向D1および第2方向D2の両方に平行な面である。
【0058】
上記の切断により、筒状体10は、第3方向D3において2つに分離する。具体的には、一対の第1周壁部13の各々が、第3方向D3において2つに分離する。2つに分離した筒状体10の各々には、一対の切断縁10Eが形成される。一対の切断縁10Eは、第1方向D1に延びている。
【0059】
上記の切断により、第1板状部材20は、第3方向D3において2つに分離する。具体的には、2つに分離した第1板状部材20の各々には、切断縁20Eが形成される。切断縁20Eは、第2方向D2に延びている。
【0060】
上記の切断により、第2板状部材30は、第3方向D3において2つに分離する。具体的には、2つに分離した第2板状部材30の各々には、切断縁30Eが形成される。切断縁30Eは、第2方向D2に延びている。
【0061】
したがって、切断工程S4においては、筒状体10、第1板状部材20、および、第2板状部材30の切断縁10E,20E,30Eを開口OPとするケース本体210が得られる。具体的には、上記の切断により、一対の第2周壁部14の一方が、底部220となる。一対の第1周壁部13のそれぞれの一部が、第1側面部231および第2側面部232となる。第1板状部材20の一部が、第1端面部241となる。第2板状部材30の一部が、第2端面部242となる。
【0062】
さらに、本実施形態においては、
図6Cおよび
図6Dに示すように、切断された筒状体10、第1板状部材20、および、第2板状部材30の各々の一部によって構成された第1のケース本体210Aと、切断された筒状体10、第1板状部材20、および、第2板状部材30の各々の他の一部によって構成された第2のケース本体210Bとを得ることで、複数のケース本体210を得ることができる。
【0063】
図7は、第3閉塞工程の様子を示す模式的な図である。
図7示すように、第3閉塞工程S5においては、ケース本体210の開口OPを蓋部250で閉塞する。具体的には、蓋部250は、レーザ溶接などの溶接により、開口OPに接合される。
【0064】
なお、蓋部250には、予め、電極体100、外部端子300、連結部材400および絶縁部材500が組み付けられている。蓋部250が開口OPを閉塞するとともに、電極体100などがケース本体210の内部に収容される。なお、このとき、注液口hに封止部材274は設けられていない。
【0065】
開口OPが蓋部250で閉塞された後、注液口hから電解液が注入される。電解液が注入された後、注液口hが封止部材274によって封止される(
図1参照)。このようにして、本実施形態に係る電池ケース200が製造される。また、電池ケース200が製造されるとともに蓄電セル1が製造される。
【0066】
上述の通り、本開示の一実施形態に係る電池ケースの製造方法は、電極体100を収容可能であり、底部220および当該底部220の反対に位置する開口OPを有する有底筒状のケース本体210と、開口OPを閉塞する蓋部250とを備える電池ケース200の製造方法である。当該製造方法は、第1方向D1における両側にそれぞれ第1開口端11および第2開口端12を有する筒状体10を準備すること(S1)と、第1開口端11を第1板状部材20で閉塞すること(S2)と、第2開口端12を第2板状部材30で閉塞すること(S3)と、第1板状部材20により第1開口端11が閉塞され、かつ、第2板状部材30により第2開口端12が閉塞された状態で、筒状体10と第1板状部材20と第2板状部材30とを第1方向D1に平行な面に沿って切断することで、筒状体10、第1板状部材20、および、第2板状部材30の切断縁10E,20E,30Eを開口OPとするケース本体210を得ること(S4)と、ケース本体210の開口OPを蓋部250で閉塞すること(S5)と、を備えている。
【0067】
上記の構成によれば、両側にそれぞれ第1開口端11と第2開口端12とを有する筒状体10については、絞り加工に依らずに準備することができる。このとき、第1方向D1に比較的長い筒状体10を準備することも可能である。そして、筒状体10と第1板状部材20と第2板状部材30とを第1方向D1に平行な面に沿って切断することで、第1方向D1(幅方向W)に比較的長い開口OPを有するケース本体210を容易に得ることができる。すなわち、本実施形態に係る電池ケースの製造方法によれば、ケース本体210に形成された開口OPの、第1方向D1(幅方向W)における寸法の自由度を高めることができる。
【0068】
また、本開示の一実施形態に係る電池ケースの製造方法においては、筒状体10を、押し出し成形により成形することで準備する。
【0069】
上記の構成によれば、筒状体10を押し出し成形により成形することで、比較的第1方向D1に長い筒状体10を準備することがより容易となる。
【0070】
また、本開示の一実施形態に係る電池ケースの製造方法においては、切断された筒状体10、第1板状部材20、および、第2板状部材30の各々の一部によって構成された第1のケース本体210Aと、切断された筒状体10、第1板状部材20、および、第2板状部材30の各々の他の一部によって構成された第2のケース本体210Bとを得ることで、複数のケース本体210を得る。
【0071】
上記の工程によれば、切断工程S4において部材が余ることを抑制し、筒状体10、第1板状部材20、および第2板状部材30に対する、ケース本体210の歩留まりを向上できる。
【0072】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 蓄電セル、10 筒状体、10E 切断縁、11 第1開口端、12 第2開口端、13 第1周壁部、14 第2周壁部、20 第1板状部材、20E 切断縁、30 第2板状部材、30E 切断縁、100 電極体、110 正極電極、112 正極集電箔、112p 正極タブ、114 正極活物質層、120 負極電極、122 負極集電箔、122n 負極タブ、124 負極活物質層、130 セパレータ、132a 介在部、132b 上折返し部、132c 下折返し部、132d 最外被覆部、132e 終端、150 絶縁フィルム、200 電池ケース、210 ケース本体、210A 第1のケース本体、210B 第2のケース本体、220 底部、221 長辺部、222 短辺部、231 第1側面部、232 第2側面部、241,241a 第1端面部、242,242a 第2端面部、250 蓋部、272,272a 圧力解放弁、274,274a 封止部材、300 外部端子、400 連結部材、410 集電タブ、412 側方部、414 上方部、420 サブタブ、422 一端部、424 他端部、430 連結ピン、500 絶縁部材、510 上絶縁部、520 絶縁部、530 絶縁筒、540 絶縁板、OP 開口、h 注液口。