(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025079941
(43)【公開日】2025-05-23
(54)【発明の名称】給油監視システム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/32 20100101AFI20250516BHJP
【FI】
B67D7/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023192832
(22)【出願日】2023-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社国際電気
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一浩
(72)【発明者】
【氏名】富樫 純一
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】門脇 正天
(72)【発明者】
【氏名】王 ホウ
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 栄三
(72)【発明者】
【氏名】野澤 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA02
3E083AB15
3E083AB20
3E083AD01
3E083AD30
(57)【要約】
【課題】給油者毎に望ましい給油行動をしていたかどうかを定量化できる給油監視システムを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る給油監視システム100は、給油所に設置された監視カメラ140の映像に基づいて給油可否判定を行う画像分析装置111と、監視カメラ140の映像に基づいて、給油者の行動に関する評価値を算出する評価部201と、評価部201により算出された評価値を給油者に対応付けて記憶する記憶部202とを備える。評価部201は、給油可否判定の判断材料として所定の対象物をカメラ映像から検出する処理を行い、対象物の検出結果に応じて評価値を計算する。評価部201は更に、センシング結果またはカメラ映像に基づいて、正しい給油行動または正しくない給油行動を検出する処理を行い、それらの行動の検出結果に応じて評価値を計算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油所に設置されたカメラの映像に基づいて給油可否判定を行う給油監視システムにおいて、
前記カメラの映像に基づいて、給油者の行動に関する評価値を算出する評価部と、
前記評価部により算出された評価値を前記給油者に対応付けて記憶する記憶部とを備え、
前記評価部は、前記給油可否判定の判断材料として所定の対象物を前記カメラの映像から検出する処理を行い、前記対象物の検出結果に応じて前記評価値を算出することを特徴とする給油監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給油監視システムにおいて、
前記評価部により算出された評価値を表示する表示部を更に備えたことを特徴とする給油監視システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の給油監視システムにおいて、
前記評価部は、前記カメラの映像から前記対象物を検出できた場合に評価値を加算し、前記カメラの映像から前記対象物を検出できない場合に評価値を減算することを特徴とする給油監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所に設置されたカメラの映像に基づいて給油可否を判定する給油監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給油所では、その建屋内にて給油所の作業員(監視員)がセルフ給油を行う利用者(給油者)の行動を目視、あるいは監視モニターで監視し、ハンディ端末などの給油管理装置を操作して計量機に給油許可を出していた。近年では、監視カメラの映像をAI(Artificial Intelligence)により分析するシステムの開発が進んでおり、セルフ給油の監視にも適用されつつある。
【0003】
ここで、本発明に係る技術分野の従来技術としては、以下のようなものがある。例えば、特許文献1には、給油者を撮像した映像をAIにより分析して給油者の行動を判定する発明が開示されている。また、特許文献2には、セルフ給油の監視に使用される学習モデルを再学習するための学習データを効率的に収集する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-091460号公報
【特許文献2】特許第7273109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給油者が、望ましい給油行動をとるとは限らない。例えば、給油者がAI給油判定を阻害するような行動をとった場合には、判定精度の低下や判定エラーなどが発生して適切な判定結果が得られないため、監視員が給油者の様子を目視等で確認しなければならなくなる。また、給油者が正しい給油行動をとらなかった場合には、セルフ給油を中断させて監視員が対処する必要がある。ところが、従来のシステムには、給油者が望ましい給油行動をとっているかどうかを定量化する仕組みが存在していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様に係る給油監視システムは、以下のように構成される。すなわち、給油所に設置されたカメラの映像に基づいて給油可否判定を行う給油監視システムにおいて、前記カメラの映像に基づいて、給油者の行動に関する評価値を算出する評価部と、前記評価部により算出された評価値を前記給油者に対応付けて記憶する記憶部とを備え、前記評価部は、前記給油可否判定の判断材料として所定の対象物を前記カメラの映像から検出する処理を行い、前記対象物の検出結果に応じて前記評価値を算出することを特徴とする。
【0007】
ここで、上記の給油監視システムにおいて、前記評価部により算出された評価値を表示する表示部を更に備えるように構成され得る。
【0008】
また、上記の給油監視システムにおいて、前記評価部は、前記カメラの映像から前記対象物を検出できた場合に評価値を加算し、前記カメラの映像から前記対象物を検出できない場合に評価値を減算するように構成され得る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、給油者毎に望ましい給油行動をとれているかどうかを定量化できる給油監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給油監視システムの構成例を示す図である。
【
図2】給油行為毎に評価値を管理する給油履歴データベースの例を示す図である。
【
図3】顧客毎に評価値を管理する顧客データベースの例を示す図である。
【
図4】給油者の行動の評価に関する処理フローの例を示す図である。
【
図5】給油可否判定に適した給油行動か否かの評価に関する処理フローの例を示す図である。
【
図6】正しい給油行動か否かの評価に関する処理フローの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る給油監視システム100の構成例を示してある。本例の給油監視システム100は、給油所に設置されたカメラの映像に基づいてAI給油判定を行う機能を有している。給油監視システム100は、監視装置110と、端末装置120と、給油管理装置130と、計量機135と、監視カメラ140と、センサー150とを備える。
【0012】
監視カメラ140は、給油所内の任意の位置に設置されており、セルフ給油の様子を撮影し、得られた撮影データ(カメラ映像)を監視装置110に出力する。監視カメラ140は、計量機135に隣接する給油レーン(車両の停車エリア)の車両及び給油者(利用者)を撮影できるように、給油レーン毎に設置される。監視カメラ140は、例えば、計量機135と車両の間の領域を含むエリアを上方から見下ろすような配置及び姿勢で設置される。
【0013】
センサー150は、給油者の行動などに起因して発生する音声、熱、臭い、光、又は油漏洩などのセンシングを行い、その結果を監視装置110に出力する。センサー150としては、計量機135からの給油ノズルの取り外しを検知するものなども含まれる。センサー150は、例えば、計量機135又はその近辺(給油レーンの周囲など)に設置される。
【0014】
監視装置110は、計量機135から離間した場所(例えば、給油所の建屋内)に設置される。監視装置110は、画像分析装置111と、制御装置112と、無線装置113と、学習モデル記憶部114とを有する。学習モデル記憶部114は、カメラ映像のAI分析のために予め用意された学習モデルを記憶している。画像分析装置111は、学習モデル記憶部114内の学習モデルに基づく給油可否判定処理を実行する。すなわち、画像分析装置111は、カメラ映像をAIにより分析して、カメラ映像内の車両に対する給油の可否(つまり、給油を許可できる状態か否か)を判定する処理を行う。給油可否判定処理では、センサー150によるセンシング結果も考慮される。無線装置113は、端末装置120との間で無線通信を行う。制御装置112は、監視カメラ140、センサー150、給油管理装置130、画像分析装置111、及び無線装置113の間に介在し、これら装置/機器の動作を統括的に制御する。監視装置110は、例えば、プロセッサやメモリなどのハードウェア資源を備えたコンピュータであり、本発明に係る各機能を実現するためのプログラムをプロセッサが実行するように構成される。なお、前述の監視装置110は、画像分析装置111と、制御装置112と、無線装置113と、学習モデル記憶部114とで構成されているが、これに限らず、例えば、画像分析装置111(学習モデル記憶部114も含む)と制御装置112と無線装置113とがそれぞれ別体の装置として設けられてもよい。
【0015】
給油可否判定処理では、監視カメラ140により撮影されたカメラ映像やセンサー150によるセンシング結果などに基づいて、給油を行う際の複数の確認事項について問題がないかが確認される。例えば、車両の給油口に計量機135の給油ノズルが適切に挿入(全挿入)されていること、タバコ等の熱源が存在しないこと、携行缶が存在しないこと、複数人での給油でないこと等が確認される。そして、これら確認事項の全て問題がないことを確認できた場合に、給油を許可できる給油許可可能状態であると判定され、そうでない場合に、給油を許可できない給油許可禁止状態であると判定される。
【0016】
端末装置120は、給油所の作業員(監視員)に使用される装置である。端末装置120は、制御部121と、通信部122と、表示部123と、操作部124とを有する。制御部121は、端末装置120が有する各部の動作を統括的に制御する。通信部122は、監視装置110との間で無線通信を行う。表示部123は、監視装置110による給油可否判定処理の結果を含む各種の情報を表示する。操作部124は、セルフ給油の許可や停止等を含む各種のユーザ操作を受け付ける。表示部123及び操作部124は、タッチパネルとして一体的に構成されてもよい。端末装置120は、例えば、プロセッサやメモリなどのハードウェア資源を備えたコンピュータであり、本発明に係る各機能を実現するためのプログラムをプロセッサが実行するように構成される。
【0017】
端末装置120は、監視装置110から給油可否判定処理の結果を受信して表示する。端末装置120には、給油可否判定処理の結果と共に、カメラ映像を表示することもできる。作業員は、端末装置120に表示された情報を参考にした上で、給油を許可するか禁止(不許可)するかを検討し、給油を許可してもよいと判断した場合に、それに応じた操作を端末装置120に対して行う。また、作業員は、給油を許可した後の給油中に、給油を停止(中断)させるべきと判断した場合には、それに応じた操作を端末装置120に対して行う。
【0018】
端末装置120は、上記のような操作を受け付けると、その旨を示す制御信号(例えば、給油許可信号や給油停止信号)を給油管理装置130に対して送信する。制御信号には、その対象となる給油レーンを識別する情報(例えば、レーン番号)も付随される。端末装置120の操作に応じた制御信号は、監視装置110を介して給油管理装置130に送信されてもよく、監視装置110を介さずに給油管理装置130に直接送信されてもよい。ここでは、端末装置120として、作業員が持ち運び可能なタブレット等の携帯型端末(つまり、ハンディ端末)を用いる場合を例にして説明するが、所定の位置に設置(固定)された据置型端末であってもよい。
【0019】
給油管理装置130は、セルフサービスコントローラ(SSC)とも称され、例えば、計量機135から離間した場所(例えば、給油所の建屋内)に設置される。給油管理装置130は、端末装置120の操作に応じて送信される制御信号に基づいて、計量機135の動作を制御する。例えば、端末装置120が給油を許可する操作を受け付けた場合には、端末装置120から給油管理装置130へ給油許可信号が送信される。給油許可信号を受信した給油管理装置130は、給油許可信号に対応する計量機135内部のポンプを駆動させ、これにより計量機135は給油を行える状態となる。また、例えば、端末装置120が給油を停止する操作を受け付けた場合には、端末装置120から計量機135へ給油停止信号が送信される。給油停止信号を受信した給油管理装置130は、給油停止信号に対応する計量機135内部のポンプを停止させ、これにより計量機135は給油を行えない状態となる。
【0020】
本システムの主たる特徴は、給油者毎に望ましい給油行動をとれているかどうかを定量化できる仕組みを備えていることである。以下、その仕組みについて具体的に説明する。
【0021】
本システムにおいて、監視装置110内の制御装置112は、
図1に示すように、評価部201と、記憶部202とを有している。評価部201は、監視カメラ140の映像に基づいて、給油者の行動に関する評価値を算出する。記憶部202は、評価部201により算出された評価値を給油者に対応付けて記憶する。評価値は、給油者がとった行動を、望ましい給油行動であるか否かの観点で評価した結果を数値表現したものである。
【0022】
ここで、望ましい給油行動としては、給油の際の行動として正しい行動(適切な行動)だけでなく、AIにより給油の可否を判定し易い行動も含まれる。つまり、給油の際の行動として正しくない行動(不適切な行動)であったとしても、給油を許可できないことをAIにより正確に判定できるような行動であれば、システム全体から見れば望ましい給油行動であったと言える。そこで、本例の給油監視システム100における評価部201は、(1)AIにより給油の可否を判定し易い給油行動であるか、(2)正しい給油行動であるかの2つの観点から、給油者の行動に関する評価値を算出する。
【0023】
(1)AIにより給油の可否を判定し易い給油行動について
AIによる給油可否の判定では、給油者や給油ノズルなどの対象物の様子をカメラ映像により分析することで、正しい給油行動が行われているか否かが判定される。このため、精度の良い給油可否の判定を実現するには、給油行動の判断材料として検出される対象物を適切に捉えたカメラ映像を取得する必要がある。一方、対象物の様子を把握できないようなカメラ映像(例えば、対象物が映っていないカメラ映像)は、AIによる給油可否の判定に適さないと言える。
【0024】
(2)正しい給油行動について
給油者が正しい給油行動をとった場合、これは望ましい給油行動であったと言える。逆に、給油者が正しくない給油行動をとった場合、これは望ましくない給油行動であったと言える。正しい給油行動については、例えば、静電気除去シートへの接触、正常なノズルの挿入をセンサー150で検出したか否かにより判定することができる。正しくない給油行動については、例えば、タバコ等の熱源をセンサー150で検出したか否かにより判定することができる。また、正しい給油行動または正しくない給油行動の実施状況は、AIによる給油可否の判定の結果から判断してもよいし、AIによる給油可否の判定とは別の手法でカメラ映像を解析した結果から判断してもよい。
【0025】
上記のような考察の下、本システムの評価部201は、上記(1)の観点で、給油可否の判断材料とする所定の対象物をカメラ映像から検出する処理を行い、対象物の検出結果に応じて給油者の行動を評価する。また、本システムの評価部201は更に、上記(2)の観点で、センシング結果またはカメラ映像に基づいて、正しい給油行動または正しくない給油行動を検出する処理を行い、それらの行動の検出結果に応じて給油者の行動を評価する。なお、これら処理の両方を行うことが望ましいが、これら処理の片方だけを行うようにしてもよい。
【0026】
評価部201による評価結果として算出された評価値は、その対象である給油者に対応付けて記憶部202に記憶される。
図2は、給油行為毎に評価値を管理する給油履歴データベースの例である。
図3は、顧客(給油者)毎に評価値を管理する顧客データベースの例である。
【0027】
図2に示すように、給油履歴データベースには、給油が行われた日時である「給油日時」、給油者を識別する「顧客番号」、給油可否判定の結果である「判定結果」、給油行動の評価結果である「評価値」などを含む給油履歴データが格納される。
図3に示すように、顧客データベースには、給油者を識別する「顧客番号」、給油行動の評価結果である「評価値」などを含む顧客データが格納される。顧客データベースにおける評価値は、対象給油者のこれまでの評価値を累計したものである。本例では、給油者を識別する顧客番号に対応付けて評価値を記憶するが、給油対象の車両を識別する車両番号などの他の情報に対応付けて評価値を記憶してもよい。
【0028】
また、評価部201により算出された評価値を、端末装置120に送信して表示させるようにしてもよい。これにより、端末装置120を使用する作業員は、端末装置120に表示された評価値を見ることで、給油者が望ましい給油行動をとっていたか否かを認識することができる。そして、望ましくない給油行動であった場合には、給油者に行動の改善を求めることで、望ましい給油行動を促すことが可能である。また、評価部201により算出された評価値を給油者が認識できるように、給油者が使用する計量機135などに取り付けられたモニター(不図示)に評価値を送信して表示させてもよい。
【0029】
さらに、給油者が給油行動を開始する前に、当該給油者の過去の評価値(例えば、評価値の履歴や累計値)を顧客データベースから読み出して、端末装置120に送信して表示させるようにしてもよい。これにより、端末装置120を使用する作業員は、評価値が低い給油者(つまり、これまで望ましくない給油行動をとってきた給油者)に対し、望ましい給油行動をとるように事前に促せるようになる。
【0030】
図4には、給油者の行動の評価処理に関する処理フローの例を示してある。
監視装置110内の制御装置112において、評価部201はまず、給油を行おうとする給油者の顧客番号を取得する(ステップS101)。顧客番号の取得は、任意の手法で行うことが可能である。例えば、会員カードや、スマートフォン等の携帯端末にインストールされた会員用アプリケーションを通じて、顧客番号を取得することができる。あるいは、カメラ映像における車両のナンバープレート部分に対する車番検出処理や、カメラ映像における給油者の顔部分に対する顔認証処理などの結果に基づいて、車両や給油者を特定し、給油者の顧客番号を取得してもよい。
【0031】
その後、給油に関する一連の手順の開始から終了までの給油期間(ステップS102~S103)において、評価部201は、監視カメラ140の映像から所定の対象物を検出する処理を行い、検出結果のデータを記録する。同期間において、評価部201は更に、センサー150のセンシング結果や監視カメラ140の映像に基づいて、正しい給油行動または正しくない給油行動を検出する処理を行い、検出結果のデータを記録する。例えば、検出目標の対象物や行動毎に予め用意されたフラグのオン/オフを適宜切り替えることで、それぞれの検出結果のデータを記録する。
【0032】
給油が終了した後、評価部201は、上記の期間(ステップS102~S103)で記録した検出結果のデータに基づいて、給油者の行動を評価した評価値を算出する(ステップS104)。評価値を算出する処理について、
図5および
図6を参照して説明する。
【0033】
図5には、AIによる給油可否の判定に適した給油行動か否かの評価に関する処理フローの例を示してある。評価部201は、カメラ映像から対象物を検出した結果のデータを参照して、カメラ映像からノズルが検知されたか否かを判定する(ステップS121)。その結果、カメラ映像から給油ノズルを検知できた場合には、評価値の加算を行う(ステップS122)。一方、カメラ映像から給油ノズルを検知できなかった場合には、評価値の減算を行う(ステップS123)。
【0034】
評価部201は更に、カメラ映像から給油者が検知されたか否かを判定する(ステップS124)。その結果、カメラ映像から給油者を検知できた場合には、評価値の加算を行う(ステップS125)。一方、カメラ映像から給油者を検知できなかった場合には、評価値の減算を行う(ステップS126)。
【0035】
図6には、正しい給油行動か否かの評価に関する処理フローの例を示してある。評価部201は、正しい給油行動または正しくない給油行動を検出した結果のデータを参照して、給油者が静電気除去シートに触れたか否かを判定する(ステップS141)。その結果、給油者が静電気除去シートに触れた場合には、評価値の加算を行う(ステップS142)。一方、給油者が静電気除去シートに触れなかった場合には、評価値の減算を行う(ステップS143)。
【0036】
評価部201は更に、給油者が給油ノズルを正常に挿入したか否かを判定する(ステップS144)。その結果、給油者が給油ノズルを正常に挿入した場合には、評価値の加算を行う(ステップS145)。一方、給油者が給油ノズルを正常に挿入しなかった場合には、評価値の減算を行う(ステップS146)。
【0037】
評価部201は更に、給油者が携帯電話を操作したか否かを判定する(ステップS147)。その結果、給油者が携帯電話を操作しなかった場合には、評価値の加算を行う(ステップS148)。一方、給油者が携帯電話を操作した場合には、評価値の減算を行う(ステップS149)。
【0038】
なお、
図5や
図6の処理フローにおいて、望ましい給油行動であった場合の評価値の加算量は、給油行動に関わらずに一定でもよく、給油行動の重要度などに応じて変化させてもよい。望ましくない給油行動であった場合の評価値の減算量も同様に、給油行動に関わらずに一定でもよく、給油行動の重要度などに応じて変化させてもよい。また、
図5や
図6の処理フローに示した判定条件は例示に過ぎず、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0039】
評価部201は、上記のようにして評価値を計算した後に、算出結果の評価値を含む給油履歴データを生成して、記憶部202内の給油履歴データベースに記憶させる(ステップS105)。評価部201は更に、記憶部202内の顧客データベースから給油者に対応する顧客データを読み出し、算出結果の評価値の加算または減算により顧客データを更新した後に、記憶部202内の顧客データベースに記憶させる(ステップS106)。
【0040】
以上のように、本例の給油監視システム100は、給油所に設置された監視カメラ140の映像に基づいて給油可否の判定を行う画像分析装置111と、監視カメラ140の映像に基づいて、給油者の行動に関する評価値を算出する評価部201と、評価部201により算出された評価値を給油者に対応付けて記憶する記憶部202とを備える。そして、評価部201は、給油可否判定の判断材料として所定の対象物をカメラ映像から検出する処理を行い、対象物の検出結果に応じて評価値を計算する。評価部201は更に、センシング結果またはカメラ映像に基づいて、正しい給油行動または正しくない給油行動を検出する処理を行い、それらの行動の検出結果に応じて評価値を計算する。このような構成により、本例の給油監視システム100によれば、給油者毎に望ましい給油行動をしているかどうかを定量化できる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態は例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、その他の様々な実施形態をとることが可能であると共に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等の種々の変形を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0042】
また、本発明は、上記の説明で挙げたような装置や、これら装置で構成されたシステムとして提供することが可能なだけでなく、これら装置により実行される方法、これら装置の機能をプロセッサにより実現させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、給油所に設置されたカメラの映像に基づいてAIによる給油可否の判定を行う給油監視システムに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
100:給油監視システム、 110:監視装置、 111:画像分析装置、 112:制御装置、 113:無線装置、 114:学習モデル記憶部、 120:端末装置、 121:制御部、 122:通信部、 123:表示部、 124:操作部、 130:給油管理装置、 135:計量機、 140:監視カメラ、 150:センサー、 201:評価部、 202:記憶部