(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008007
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】天井支持構造
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
E04B9/18 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109813
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】湯 正明
(72)【発明者】
【氏名】永松 英夫
(57)【要約】
【課題】構造材から天井へ伝わる振動を安価に抑制できる天井支持構造を提供する。
【解決手段】天井支持構造12は、天井ボード25が取り付けられる野縁20と、金属製の平板から成型されており、野縁20を梁11に取り付け可能なランナー22,22a,22bとを備える。ランナー22,22a,22bは、梁11の第1側面16または第2側面17に固定される固定部34,34a,34bと、野縁20が嵌合される嵌合部36,36a,36bと、固定部34,34a,34bと嵌合部36,36a,36bとを連結しており、上下方向1に弾性変形可能な連結部35,35a,35bと、を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井ボードが取り付けられる野縁と、金属製の平板から成型されており、上記野縁を構造材に取り付け可能なランナーと、を備える天井支持構造であって、
上記ランナーは、
上記構造材の側面に固定される固定部と、
上記野縁が嵌合される嵌合部と、
上記固定部と上記嵌合部とを連結しており、上下方向に弾性変形可能な連結部と、を有する天井支持構造。
【請求項2】
上記連結部は、
上記固定部の下端から上下方向と交差する第1方向に延びる第1延部と、
当該第1延部から下方へ湾曲して延びて上記嵌合部と接続する第2延部と、を有する請求項1に記載の天井支持構造。
【請求項3】
上記連結部は、上記固定部の下端から上下方向と交差する第1方向かつ下方へ延びており、
上記嵌合部は、
上記連結部の延出端から上記第1方向の逆方向に沿って延びる上板と、
上記上板の延出端から下方に延びる背板と、
上記背板の下端から上記上板に対向して延びる下板と、を有する請求項1に記載の天井支持構造。
【請求項4】
上記連結部は、
上記固定部の下端から上下方向と交差する第1方向かつ下方へ延びる第3延部と、
上記第3延部の延出端から上記第1方向の逆方向に沿って延びる第4延部と、を有しており、
上記嵌合部は、
上記第4延部の延出端から上記第1方向に延びる第1板と、
上記第1板における上記第1方向と逆方向の先端から下方に延びる第2板と、
上記第2板の下端から上記第1板に対向して延びる第3板と、を有しており、
上記固定部および上記連結部は、上記嵌合部の上記第2板から切り起こされたものである請求項1に記載の天井支持構造。
【請求項5】
天井ボードが取り付けられる野縁と、金属製の平板から成型されており、上記野縁を構造材に取り付け可能なランナーと、を備える天井支持構造であって、
上記ランナーは、
上記構造材の側面と交差する交差方向に沿って延びる上板と、
上記上板の上記構造材に向く端から下方に延びる背板と、
上記背板の下端から上記上板に対向して延びる下板と、を有しており、
上記背板は、
上記交差方向に沿って山形状に突出して、上下方向に弾性変形可能な弾性部を有する天井支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井を支持する天井支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
天井が構造材に支持される天井支持構造の例としては、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1の天井構造では、内壁ランナーが壁体に取り付けられた状態で野縁の端部が取り付けられ、野縁の下方に天井の面材が取り付けられる。
【0003】
また、特許文献2の第1中間構造部分では、H形鋼に防振ゴム部材を備えた中間天井吊り金具が固定され、当該中間天井吊り金具に野縁受が固定され、野縁受けに野縁が固定され、野縁に天井下地材が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3194065号公報
【特許文献2】特開2018-119326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の天井構造では、内壁ランナーが壁体に直接取り付けられるため、階上の床の振動が壁体および野縁を伝って階下の天井の面材に伝わる。このため、上階の振動は天井を介して階下へと伝わり易い。他方、特許文献2の第1中間構造部分では、防振ゴム部材によって階上から伝わる振動を吸収することができるが、野縁受を必要とする構造であるためコストが増す。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造材から天井へ伝わる振動を安価に抑制できる天井支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 請求項1に係る天井支持構造は、天井ボードが取り付けられる野縁と、金属製の平板から成型されており、上記野縁を構造材に取り付け可能なランナーと、を備える天井支持構造である。上記ランナーは、上記構造材の側面に固定される固定部と、上記野縁が嵌合される嵌合部と、上記固定部と上記嵌合部とを連結しており、上下方向に弾性変形可能な連結部とを有している。
【0008】
固定部と嵌合部とを連結する連結部が上下方向に弾性変形可能であるため、構造材に生じた上下方向の振動が緩和されて嵌合部に伝わる。その結果、2階の床から1階の天井ボードへと伝わる振動が抑制される。また、野縁受を必要としないため安価に振動の抑制を実現できる。
【0009】
(2) 請求項2は、上記連結部は、上記固定部の下端から上下方向と交差する第1方向に延びる第1延部と、当該第1延部から下方へ湾曲して延びて上記嵌合部と接続する第2延部と、を有する請求項1記載の天井支持構造である。
【0010】
(3) 請求項3は、上記連結部は、上記固定部の下端から上下方向と交差する第1方向かつ下方へ延びており、上記嵌合部は、上記連結部の延出端から上記第1方向の逆方向に沿って延びる上板と、上記上板の延出端から下方に延びる背板と、上記背板の下端から上記上板に対向して延びる下板と、を有する請求項1記載の天井支持構造である。
【0011】
(4) 請求項4は、上記連結部は、上記固定部の下端から上下方向と交差する第1方向かつ下方へ延びる第3延部と、上記第3延部の延出端から上記第1方向の逆方向に沿って延びる第4延部と、を有しており、上記嵌合部は、上記第4延部の延出端から上記第1方向に延びる第1板と、上記第1板における上記第1方向と逆方向の先端から下方 に延びる第2板と、上記第2板の下端から上記第1板に対向して延びる第3板と、を有しており、上記固定部および上記連結部は、上記嵌合部の上記第2板から切り起こされたものである請求項1記載の天井支持構造である。
【0012】
ランナーを製造する際の歩留まりがよい。
【0013】
(5) 請求項5に係る天井支持構造は、天井ボードが取り付けられる野縁と、金属製の平板から成型されており、上記野縁を構造材に取り付け可能なランナーと、を備える天井支持構造であって、上記ランナーは、上記構造材の側面と交差する交差方向に沿って延びる上板と、上記上板の上記構造材に向く端から下方に延びる背板と、上記背板の下端から上記上板に対向して延びる下板と、を有しており、上記背板は、上記交差方向に沿って山形状に突出して、上下方向に弾性変形可能な弾性部を有している。
【0014】
野縁を固定部の上端に位置する上板と連結部の下方に位置する下板との間に挟持するため、野縁の位置が固定部に近くなる。このため、野縁が横方向に動かなくなり1階の天井ボードに伝わる横方向の振動が発生しない。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る天井支持構造は、構造材から天井へ伝わる振動を安価に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、建物10の天井支持構造12を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す天井支持構造12を左方から視た図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るランナー22の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すランナー22を後方から視た図である。
【
図5】
図5は、ランナー22を用いた天井ボード25の取り付け手順を説明する図である。
【
図6】
図6は、ランナー22を用いた天井ボード25の取り付け手順を説明する図である。
【
図7】
図7は、ランナー22を用いた天井ボード25の取り付け手順を説明する図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の変形例に係るランナー22aを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るランナー22bを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る天井支持構造12を示す図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係るランナー22cを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0018】
以下では、建物10が建築された状態を基準として上下方向1が定義される。上下方向1に直交する野縁20が延出する方向が左右方向2と定義される。上下方向1および左右方向2に直交する梁11が延出する方向が前後方向3と定義される。
【0019】
[第1実施形態]
建物10は、木造軸組構造の住宅などであり、基礎に載置された土台に、複数の柱が立てられている(図示省略)。複数の柱のうち一部の柱は、梁(構造材の一例)11を支持している。梁11には、天井支持構造12が配置されている。
図1、
図2では、2階13の床14の下に1階15の天井支持構造12が位置する場合について示されている。梁11は、2階13の床14の下方に複数配置されている。
図1、
図2に示されるように、梁11は、前後方向3に沿って延びており、左方を向く第1側面(側面の一例)16と、右方を向く第2側面(側面の一例)17と、を有している。
【0020】
野縁20は、左右方向2に延びている。野縁20の右端部分27は、梁11の第1側面16に取り付けられたランナー22に嵌められており、野縁20の他端は、梁11の左方に位置する別の梁に固定されたランナー22に嵌められている。ランナー22および野縁20の配置は、梁11の右方についても同じであり、野縁20の左端部分28が梁11の第2側面17に取り付けられたランナー22に嵌められ、他端が梁11の右方に位置する別の梁に固定されたランナー22に嵌められている。
【0021】
梁11の左方に位置する天井支持構造12は、野縁20と、ランナー22と、を備えている。野縁20、ランナー22はそれぞれ、鋼やアルミニウムなどの所定の厚みを有する平板の金属製材料が圧延加工されて成形されている。
【0022】
野縁20は、左右方向2から視て断面が略四角形であり、左右方向2に沿って筒状に延びている。野縁20は、前後方向3に複数が並べられている。
【0023】
ランナー22は、野縁20を支持する。ランナー22は、第1側面16の下寄りの位置においてビス39およびビス55によって固定されている。第1側面16に固定されたランナー22は、複数の野縁20の右端部分27を支持する。
図3、
図4に示されるように、ランナー22は、固定部34と、連結部35と、嵌合部36と、を備えている。
【0024】
固定部34は、梁11の第1側面16または第2側面17に固定される部分である。固定部34は、梁11の第1側面16または第2側面17に沿うように、前後方向3に3つが等間隔を隔てて位置している。各固定部34は、第1側面16または第2側面17に当接する主面37と、左右方向2に貫通する貫通孔38と、左右方向2に貫通し上下方向1に長い長孔44とを有している。各固定部34の前後方向3における寸法は、第1側面16または第2側面17にビス39などによって固定できる程度の寸法であればよい。
【0025】
連結部35は、嵌合部36と各固定部34とを連結する。各連結部35は、第1側面16に固定された状態の各固定部34の左方且つ下方に位置している。より具体的には、各連結部35は、第1延部50と、第2延部51とを有している。
【0026】
第1延部50は、固定部34の下端29から左方(第1方向の一例)に向かって延びている。第1延部50は、左右方向2および前後方向3に沿う。第1延部50は、前後方向3の寸法が固定部34と同じである。第2延部51は、第1延部50の左端から左方に膨らむように湾曲しつつ下方に延びている。第2延部51は、嵌合部36と接続している。第2延部51の前後方向3の寸法は第1延部50と同じである。
【0027】
嵌合部36は、梁11に固定された状態において前後方向3に長い長尺の部材である。嵌合部36には、複数の野縁20が嵌合される。嵌合部36は、固定部34より左方に位置している。嵌合部36は、各連結部35の下方に位置している。嵌合部36は、上板40と、背板41と、下板42とを有している。
【0028】
上板40は、第2延部51の下端31から右方に延びている。上板40は、上下方向1から視て、左右方向2よりも前後方向3に長い矩形形状である。上板40は、左右方向2および前後方向3に沿っている。上板40は、3つの第1延部50と対向している。上板40は、前後方向3の寸法が第2延部51よりも大きい。上板40の左右方向2における寸法D1(
図4参照)は、左右方向2における第1延部50の寸法D2よりも小さい。
【0029】
背板41は、上板40の右端32から下方に向かって延びている。背板41は、上下方向1および前後方向3に沿っている。背板41は、前後方向3の寸法が上板40の前後方向3の寸法と同じである。背板41の左方を向く面には、野縁20の右端が当接する(
図1参照)。
【0030】
下板42は、背板41の下端33から左方に向かって延びている。下板42は、左右方向2および前後方向3に沿っており、上面が上板40の下面と対向している。下板42は、前後方向3の寸法が背板41の前後方向3の寸法と同じである。下板42は、左右方向2の寸法D3(
図4参照)が上板40の左右方向2の寸法D1よりも大きい。
【0031】
図1に示されるように、ランナー22は、梁11の右方にも取り付けられており、主面37が第2側面17に当接するように配置されている。複数の天井ボード25は、梁11の左方および右方に固定されたランナー22によって支持された野縁20にビス26によって固定されている。
【0032】
[ランナー22による天井ボード25の取付手順]
以下においては、ランナー22によって梁11に天井ボード25を取り付ける手順について
図5、
図6および
図7を参照しつつ説明する。天井ボード25を梁11に取り付けるに際しては、作業者は、まず、ランナー22を梁11に取り付ける。具体的には、作業者は、
図5に示されるように、各固定部34を梁11の第1側面16に位置決めした状態で、各長孔44にビス39を仮留めする。このとき、ビス39は、梁11に完全に締結されておらず、ランナー22が梁11に対して上下方向1にスライド可能な状態となる。作業者は、この状態で各貫通孔38を第1側面16に対して上下方向1に位置合わせし、ビス55を各貫通孔38に挿通しつつ第1側面16に固定する。作業者は、ビス55を締結した後、ビス39も締め付けてランナー22を第1側面16に固定する。
【0033】
梁11の左方においてランナー22が取り付けられた後、第2側面17にランナー22が取り付けられる。具体的には、
図6に示されるように、作業者は、ランナー22を第2側面17に位置決めした状態で各長孔44にビス39を仮留めする。作業者は、仮留めした後にランナー22を、上下方向1において、第1側面16に取り付けたランナー22と同じ位置に合わせる。作業者は、位置を合わせた状態でビス55を各貫通孔38に挿通しつつランナー22を第2側面17に固定する。作業者は、ビス55を固定した後、ビス39も締め付けてランナー22を第2側面17に固定する。第2側面17に固定されたランナー22は、第1側面16に固定されたランナー22に対して、上下方向1において同じ位置に固定される。
【0034】
次に、
図7に示されるように、作業者は、第1側面16に固定されたランナー22の嵌合部36に複数の野縁20を取り付ける。野縁20は、左端部分が梁11の左方に位置する別の梁に固定されたランナーに支持され(図示省略)、右端部分27が第1側面16に固定されたランナー22の上板40と下板42との間に挟持される。このとき、野縁20の右端は背板41に当接する。野縁20は、左右方向2に沿った状態で、前後方向3に複数が並んで配置される。作業者は、それぞれの野縁20を上板40と下板42との間に挟んだまま前後方向3に移動させて互いの間隔を調整できる。作業者は、梁11の右方に位置する野縁20の左端部分28も同様に上板40と下板42との間に挟持させて、野縁20同士の前後方向3における間隔を調整する。
【0035】
図1、
図7に示されるように、作業者は、前後方向3に並べた野縁20の下面24に、複数の天井ボード25をビス26留めする。
【0036】
[第1実施形態の作用効果]
本実施形態においては、固定部34と嵌合部36とを連結する連結部35が上下方向1に弾性変形可能であるため、梁11に生じた上下方向1の振動が連結部35で緩和されて嵌合部36に伝わる。その結果、2階13の床14から1階15の天井ボード25へと伝わる振動が抑制される。また、天井支持構造12を野縁20と、ランナー22とで構成でき、野縁受を必要としないため、安価に振動の抑制を実現できる。
【0037】
[第1実施系形態の変形例]
上述の実施形態に係るランナー22は、嵌合部36が、前後方向3において、固定部34および連結部35よりも寸法が大きい場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。また、第1延部50が固定部34の下端から左方に向かって延び、第2延部51がその左端から左方に膨らむように湾曲しつつ下方に延びている場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。ランナー22aは、例えば、以下において説明される構成であってもよい。
【0038】
図8に示されるように、変形例に係るランナー22aは、1枚の矩形形状の平板を折り返して形成されている。固定部34aは、貫通孔38aと、長孔44aとを有している。貫通孔38aは、固定部34aにおいて、左右方向2に貫通している。貫通孔38aは、前後方向3に3つが等間隔に離間して位置している。長孔44aは、固定部34aにおいて左右方向2に貫通しており上下方向1に長い。長孔44aは、固定部34aにおいて3つの貫通孔38aの下方にそれぞれ位置している。
【0039】
連結部35aは、固定部34aの下端46から左方(第1方向の一例)且つ下方へ延びている。連結部35aは、前後方向3に沿っている。嵌合部36aは、上板40aと、背板41aと、下板42aとを有している。
【0040】
上板40aは、連結部35aの左端(連結部の延出端の一例)47から右方(第1方向の逆方向の一例)に延びている。嵌合部36aは、前後方向3において固定部34aと同じ寸法であり、連結部35aとも同じ寸法である。背板41aは、上板40aの右端(上板の延出端の一例)48から下方に延びている。下板42aは、背板41aの下端49から左方に向かって延びている。下板42aは、左右方向2および前後方向3に沿っており、上面が上板40の下面と対向している。
【0041】
[その他の変形例]
上述の第1実施形態においては、各固定部34が、前後方向3に3つが等間隔を隔てて位置している場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。固定部34は、前後方向3に沿って延びる一つの嵌合部36に対して2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0042】
上述の第1実施形態においては、下板42の左右方向2の寸法D3が上板40の左右方向2の寸法D1よりも大きい場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。下板42の左右方向2の寸法D3は、上板40の左右方向2の寸法D1よりも小さくてもよいし、同じであってもよい。
【0043】
上述の第1実施形態においては、ビス55を第1側面16または第2側面17に完全に締め付けた後に、仮留めしておいたビス39も締め付けてランナー22を第1側面16または第2側面17に固定する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。仮留めされたビス39は、ランナー22がビス55によって固定された後に第1側面16または第2側面17から取り外されてもよい。つまり、ランナー22は、ビス55のみによって固定されてもよい。
【0044】
また、上述の第1実施形態においては、固定部34が、ランナー22を梁11に固定するための貫通孔38と、梁11に対するランナー22の位置を位置決めするための長孔44とを有する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。固定部34は、貫通孔38のみを有するものであってもよい。
【0045】
[第2実施形態]
上述の第1実施形態では、ランナー22の連結部35が上板40の左端に繋がっている場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。例えば、
図9に示されるように、連結部35bが嵌合部36bの第2板61の上端に繋っていてもよい。更に本実施形態におけるランナー22bは、固定部34bおよび連結部35bが第2板61から切り起こされて形成されるものであってもよい。
【0046】
ランナー22bは、固定部34bと、連結部35bと、嵌合部36bとを有している。固定部34bは、梁11の第1側面16または第2側面17に沿うように、前後方向3に3つが等間隔を隔てて位置している。各固定部34bは、第1側面16または第2側面17に当接する主面37b(
図10参照)と、左右方向2に貫通する貫通孔38bと、左右方向2に貫通し上下方向1に長い長孔44bとを有している。各固定部34bの前後方向3における寸法は、第1側面16または第2側面17にビスなどによって固定できる程度の寸法であればよい。
【0047】
連結部35bは、嵌合部36bと各固定部34bとを連結する。各連結部35bは、右方に開口するV字状に折り曲げられている。より具体的には、各連結部35bは、第3延部58と、第4延部59とを有している。
【0048】
第3延部58は、固定部34bの下端65から左方(第1方向の一例)に沿って延びている。第3延部58は、前後方向3の寸法が固定部34bと同じである。第4延部59は、第3延部58の左端(第3延部の延出端の一例)66から右方(第1方向の逆方向の一例)に沿って延びている。第4延部59の前後方向3の寸法は第3延部58と同じである。
【0049】
嵌合部36bは、第1板60と、第2板61と、第3板62とを有している。第1板60は、第4延部59の下端(第4延部の延出端の一例)67から左方に延びる。第1板60は、左右方向2および前後方向3に沿っている。第1板60は、各第4延部59よりも前後方向3に長い。
【0050】
第2板61は、第1板60の右端(第1方向と逆方向の先端の一例)68から下方に向かって延びている。第2板61は、上下方向1および前後方向3に沿っている。第2板61は、前後方向3において第1板60と同じ寸法である。第2板61には3つの切欠き穴45が形成されている。切欠き穴45は、前後方向3よりも上下方向1に長い矩形形状の開口である。
【0051】
第2板61の切り起こされた部分は、折り返されて固定部34b、第3延部58、および第4延部59が形成される。切り起こされた部分は、前後方向3に沿う2箇所の折り目で折り曲げられることにより、先端部分に固定部34bが形成され、中央部分に第3延部58が形成され、基端部分に第4延部59が形成される。
【0052】
第3板62は、第2板61の下端69から左方に向かって延びている。第3板62は、上面が第2板61の下面と対向している。第3板62は、前後方向3の寸法が第1板60の前後方向3の寸法と同じである。
【0053】
固定部34bおよび連結部35bを第2板61の切り起こされた部分で形成することができるため、使用する材料のサイズを小さくできる。このため、歩留まりよくランナー22bを製造できる。
【0054】
上述の第1および第2実施形態においては、第1側面16に固定されたランナー22,22a,22bの連結部35,35a,35bが固定部34,34a,34bの左方に位置する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。例えば、連結部35,35a,35bは、第1側面16よりも左方に位置していればよい。なお、ランナー22,22a,22bが第2側面17に取り付けられる場合は第2側面17よりも右方に位置していればよい。つまり、連結部35,35a,35bは、梁11の第1側面16または第2側面17と干渉しない方向に延びていればよい。
【0055】
上述の第1および第2実施形態においては、嵌合部36,36a,36bは、前後方向3に長い長尺の部材である場合を例にあげて説明したが、嵌合部36,36a,36bは、梁11よりも短いものであればよい。つまり、嵌合部36,36a,36bは、ランナー22,22a,22bが梁11に沿って1つが配置できる前後方向3に長いものであってもよいし、梁11に沿って複数が配置されるものであってもよい。
【0056】
[第3実施形態]
上述の第1実施形態では、ランナー22の嵌合部36が連結部35の下方に位置しており、野縁20を連結部35の下方において支持する場合を例にあげて説明したがこの構成に限らない。例えば、ランナー22cは、
図11、
図12に示されるように、貫通孔38cの上方に位置する上板80と下方に位置する82とで野縁20を挟持するものであってもよい。
【0057】
図11に示されるように、梁11の左方に位置する天井支持構造12は、野縁20と、ランナー22cとを備えている。ランナー22cは、梁11に固定された状態において前後方向3に長い長尺の部材である。ランナー22cは、梁11の下寄りの位置において第1側面16に背板81が当接した状態でビス39によって固定されている。第1側面16に固定されたランナー22cは、複数の野縁20の右端部分27cを支持する。
【0058】
図12に示されるように、ランナー22cは、上板80と、背板81と、下板82とを有している。上板80は、左右方向2および前後方向3(交差方向の一例)に沿っており、前後方向3に長い。
【0059】
背板81は、上板80の右端(構造材に向く端の一例)83から下方に延びている。背板81は、前後方向3の寸法が上板80と同じである。背板81は、固定部90と、貫通孔38aと、弾性部91と、延部92と、を有している。
【0060】
固定部90は、上下方向1および前後方向3に沿っている。固定部90は、背板81の上寄りに位置している。固定部90には、貫通孔38cが左右方向2に貫通する。貫通孔38cは、前後方向3に3つ、等間隔に離間して位置している。
【0061】
弾性部91は、固定部90の下方に位置している。弾性部91は、左方に沿って山形状に突出している。より具体的には、弾性部91は、第1部分93と、第2部分94とを有している。
【0062】
第1部分93は、固定部90の下端84から左方且つ下方に延びている。第1部分93は、前後方向3に沿う。第1部分93は、前後方向3の寸法が固定部90と同じである。第1部分93は、左右方向2に沿う寸法が上板80よりも小さい。
【0063】
第2部分94は、第1部分93の左端85から右方且つ下方に延びている。第2部分94は、前後方向3に沿い、前後方向3の寸法が第1部分93と同じである。第2部分94は、左右方向2に沿う寸法が第1部分93の左右方向2に沿う寸法よりも小さい。
【0064】
延部92は、第2部分94の下端86から下方に延びている。延部92は、上下方向1および前後方向3に沿う。延部92は、背板81の下寄りに位置している。延部92は、固定部90と平行であり、固定部90よりも左方に位置する。延部92は、前後方向3に沿う寸法が第2部分94と同じである。
【0065】
下板82は、延部92の下端(背板の下端の一例)87から左方に延びている。下板82は、上面が上板80の下面に対向している。下板82は、前後方向3の寸法が第2部分94と同じである。下板82は、左右方向2の寸法が上板80よりも大きい。
【0066】
天井ボード25を梁11に設置するに際しては、作業者は、第1側面16にランナー22cを位置決めした状態で、各貫通孔38cにビス39を留める。これにより、ランナー22cは、第1側面16に固定される。
【0067】
梁11の左方においてランナー22cが取り付けられた後、第2側面17にも第1側面16に固定されたランナー22cと上下方向1において同じ位置にランナー22cが取り付けられる。
【0068】
作業者は、野縁20の右端部分27cを第1側面16に固定されたランナー22cの上板80と下板82との間に挟持させ、同様に、左端部分を梁11の左方に位置する別の梁に固定されたランナー22cに挟持させる。このとき、野縁20の右端は第1部分93の左端85に当接する(
図11参照)。作業者は、前後方向3に複数配置された野縁20を上板80と下板82との間に挟んだまま前後方向3に移動させて互いの間隔を調整できる。作業者は、同様に、第2側面17に固定されたランナー22cの上板80と下板82との間に複数の野縁20を取り付ける。
図11に示されるように、天井ボード25が野縁20の下面24にビス26によって固定される。
【0069】
[その他の変形例]
上述の第3実施形態においては、ランナー22cが前後方向3に長い長尺の部材である場合を例にあげて説明したが、ランナー22cは、梁11よりも短いものであればよい。つまり、ランナー22cは、梁11に沿って1つが配置できる前後方向3に長いものであってもよいし、梁11に沿って複数が配置できるものであってもよい。
【0070】
上述の各実施形態においては、ランナー22,22a,22b,22cが梁11に取り付けられる場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。ランナー22,22a,22b,22cは建物の内壁に取り付けられてもよい。
【0071】
上述の各実施形態においては、ランナー22,22a,22b,22cは、貫通孔38,38a,38b,38cにビス55が挿通されて梁11に固定される場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。ランナー22,22a,22b,22cには貫通孔38,38a,38b,38cがなくてもよい、この場合、ランナー22,22a,22b,22cは、ビス55が直接打ち込まれて梁11に固定される。
【0072】
上述の各実施形態においては、野縁20は左右方向2に延びており、右端部分27および左端部分28がランナーに22,22a,22b,22cに挟持される場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。野縁20は、他の部材を介するなどしてランナー22,22a,22b,22cに前後方向3に延びる姿勢で配置されてもよい。このとき、野縁20は、ランナー22,22a,22b,22cに対して平行な状態で差し込まれてもよい。
【0073】
[付記1]
天井ボードが取り付けられる野縁と、金属製の平板から成型されており、上記野縁を構造材に取り付け可能なランナーと、を備える天井支持構造であって、
上記ランナーは、
上記構造材の側面に固定される固定部と、
上記野縁が嵌合される嵌合部と、
上記固定部と上記嵌合部とを連結しており、上下方向に弾性変形可能な連結部と、を有している天井支持構造。
【0074】
[付記2]
上記連結部は、
上記固定部の下端から上下方向と交差する第1方向に延びる第1延部と、
当該第1延部から下方へ湾曲して延びて上記嵌合部と接続する第2延部と、を有する付記1に記載の天井支持構造。
【0075】
[付記3]
上記連結部は、上記固定部の下端から上下方向と交差する第1方向かつ下方へ延びており、
上記嵌合部は、
上記連結部の延出端から上記第1方向の逆方向に沿って延びる上板と、
上記上板の延出端から下方に延びる背板と、
上記背板の下端から上記上板に対向して延びる下板と、を有する付記1に記載の天井支持構造。
【0076】
[付記4]
上記連結部は、
上記固定部の下端から上下方向と交差する第1方向かつ下方へ延びる第3延部と、
上記第3延部の延出端から上記第1方向の逆方向に沿って延びる第4延部と、を有しており、
上記嵌合部は、
上記第4延部の延出端から上記第1方向に延びる第1板と、
上記第1板における上記第1方向と逆方向の先端から下方に延びる第2板と、
上記第2板の下端から上記第1板に対向して延びる第3板と、を有しており、
上記固定部および上記連結部は、上記嵌合部の上記第2板から切り起こされたものである付記1に記載の天井支持構造。
【0077】
[付記5]
天井ボードが取り付けられる野縁と、金属製の平板から成型されており、上記野縁を構造材に取り付け可能なランナーと、を備える天井支持構造であって、
上記ランナーは、
上記構造材の側面と交差する交差方向に沿って延びる上板と、
上記上板の上記構造材に向く端から下方に延びる背板と、
上記背板の下端から上記上板に対向して延びる下板と、を有しており、
上記背板は、
上記交差方向に沿って山形状に突出して、上下方向に弾性変形可能な弾性部を有する天井支持構造。
【符号の説明】
【0078】
11・・・梁(構造材)
12・・・天井支持構造
16・・・第1側面(側面)
17・・・第2側面(側面)
20・・・野縁
22,22a,22b,22c・・・ランナー
25・・・天井ボード
29・・・固定部34の下端
34,34a,34b,90・・・固定部
35,35a,35b・・・連結部
36,36a,36b・・・嵌合部
40,40a,80・・・上板
41,41a,81・・・背板
42,42a,82・・・下板
46・・・固定部34aの下端
47・・・連結部35aの左端(連結部の延出端)
48・・・上板40aの右端(上板の延出端)
49・・・背板41aの下端
50・・・第1延部
51・・・第2延部
58・・・第3延部
59・・・第4延部
60・・・第1板
61・・・第2板
62・・・第3板
65・・・固定部34bの下端
66・・・第3延部58の左端(第3延部の延出端)
67・・・第4延部59の下端(第4延部の延出端)
68・・・第1板60の右端(第1方向と逆方向の先端)
69・・・第2板61の下端(第2板の下端)
83・・・上板80の右端(構造材に向く端)
87・・・延部92の下端(背板の下端)
91・・・弾性部