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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025080073
(43)【公開日】2025-05-23
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20250516BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193075
(22)【出願日】2023-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】増田 勝博
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA44
5B376GA07
(57)【要約】
【課題】ソフトウェア更新でのユーザ許諾の頻度を減らす。
【解決手段】車両10に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報を表示するHMI18を制御するOTAマスタ11は、更新ソフトウェアのインストールの実行に車載機器の機能の一時停止を伴う第1更新、及び更新ソフトウェアのインストールの実行に車載機器の機能の一時停止を伴う第2更新の2種のソフトウェア更新のうち、第1更新の場合にのみ、インストールの開始前に、車両10のユーザによるインストールの実行の許諾操作を受け付けていることを示す許諾受付画像をHMI18に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報を表示する表示部を制御する制御部を備えており、
前記制御部は、第1更新及び第2更新の2種のソフトウェア更新のうち、前記第1更新の場合のみ、前記車載機器への更新ソフトウェアのインストールの開始前に、前記車両のユーザによる前記インストールの実行の許諾操作を受け付けていることを示す許諾受付画像を前記表示部に表示させることを行い、
前記第1更新は、前記インストールの実行に前記車載機器の機能の一時停止を伴うソフトウェア更新であり、前記第2更新は、前記インストールの実行に前記車載機器の機能の一時停止を伴わないソフトウェア更新である制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ソフトウェア更新が前記第1更新である場合、前記インストールの実行中に、前記車載機器の機能が一時停止することを示す情報、及び前記インストールの実行中に一時停止する前記車載機器の機能の内容を示す情報の少なくとも一方を前記表示部に表示させる請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記更新ソフトウェアのダウンロードの完了後、前記車両の走行状況、及び前記車両の位置の少なくとも一方に基づき決定される時期に前記許諾受付画像を前記表示部に表示させる請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
車両に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報を表示する表示部を制御する方法であって、
第1更新及び第2更新の2種のソフトウェア更新のうち、前記第1更新の場合のみ、前記車載機器への更新ソフトウェアのインストールの開始前に、前記車両のユーザによる前記インストールの実行の許諾操作を受け付けていることを示す許諾受付画像を前記表示部に表示させ、
前記第1更新は、前記インストールの実行に前記車載機器の機能の一時停止を伴うソフトウェア更新であり、前記第2更新は、前記インストールの実行に前記車載機器の機能の一時停止を伴わないソフトウェア更新である制御方法。
【請求項5】
車両に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報を表示する表示部を制御する制御装置により実行されるプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは、第1更新及び第2更新の2種のソフトウェア更新のうち、前記第1更新の場合のみ、前記車載機器への更新ソフトウェアのインストールの開始前に、前記車両のユーザによる前記インストールの実行の許諾操作を受け付けていることを示す許諾受付画像を前記表示部に表示させること、を前記制御装置に実行させるものであり、
前記第1更新は、前記インストールの実行に前記車載機器の機能の一時停止を伴うソフトウェア更新であり、前記第2更新は、前記インストールの実行に前記車載機器の機能の一時停止を伴わないソフトウェア更新である記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報の表示に係る制御装置、制御方法、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、ソフトウェアの実行により動作する各種の車載機器が搭載されている。無線通信を介して車外からダウンロードしたソフトウェアにより、車載機器のソフトウェアを更新するOTA(Over The Air)技術が知られている。特許文献1には、更新ソフトウェアのダウンロード、インストール、及びアクティベートの3つのフェイズを通じて車載機器のソフトウェアを更新するOTA技術が記載されている。上記従来の技術では、各フェイズのそれぞれの開始前に、ユーザの許諾を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-163396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
許諾の問い合わせの頻度が高いと、ユーザが煩わしく感じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する制御装置は、車両に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報を表示する表示部を制御する制御部を備えており、前記制御部は、第1更新及び第2更新の2種のソフトウェア更新のうち、前記第1更新の場合のみ、前記車載機器への更新ソフトウェアのインストールの開始前に、前記車両のユーザによる前記インストールの実行の許諾操作を受け付けていることを示す許諾受付画像を前記表示部に表示させることを行うように構成されている。
【0006】
上記課題を解決する制御方法は、車両に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報を表示する表示部を制御するための制御方法であって、第1更新及び第2更新の2種のソフトウェア更新のうち、前記第1更新の場合のみ、前記車載機器への更新ソフトウェアのインストールの開始前に、前記車両のユーザによる前記インストールの実行の許諾操作を受け付けていることを示す許諾受付画像を前記表示部に表示させている。
【0007】
上記課題を解決する記憶媒体は、車両に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報を表示する表示部を制御する制御装置により実行されるプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは、第1更新及び第2更新の2種のソフトウェア更新のうち、前記第1更新の場合のみ、前記車載機器への更新ソフトウェアのインストールの開始前に、前記車両のユーザによる前記インストールの実行の許諾操作を受け付けていることを示す許諾受付画像を前記表示部に表示させることを前記制御装置に実行させるものである。
【0008】
上記制御装置、制御方法、及び記憶媒体における前記第1更新は、前記インストールの実行に前記車載機器の機能の一時停止を伴うソフトウェア更新であり、前記第2更新は、前記インストールの実行に前記車載機器の機能の一時停止を伴わないソフトウェア更新である。
【発明の効果】
【0009】
上記制御装置、制御方法、及び記憶媒体には、ソフトウェア更新でのユーザ許諾の頻度を減らす効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の制御装置及び車両の構成を模式的に示す図である。
図2】インストール・フェイズの処理手順を示すシーケンス図である。
図3】許諾受付画像の表示例を示す図である。
図4】案内画像の表示例を示す図である。
図5】第2実施形態における許諾受付画像の表示に係る処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、制御装置、制御方法、及び記憶媒体の第1実施形態を、図1図4を参照して詳細に説明する。
【0012】
<制御装置及び車両の構成>
図1に示すように車両10には、OTAマスタ11、DCM12、ADAS13、PCU14、エンジンECU15、変速機ECU16、ブレーキECU17、HMI18等の車載機器が搭載されている。これらの車載機器は、車載ネットワーク19を介して、互いに通信可能に接続されている。OTAマスタ11は、自身を含む車載機器のソフトウェア更新の管理を司る。DCM12は、データ通信モジュール(Data Communication Module)であり、移動体通信網20を介した車外との無線通信機能を提供する。本実施形態の場合、DCM12は、車両10の各車載機器で行われる自己診断の結果を記録して、車外のデータセンタ等に送信する機能を担っている。ADAS13は、先進運転支援システム(Advanced Driving Assistant System)であり、自動ブレーキ装置や急発進防止装置などの先進運転支援機能を提供する。PCU14は、電源制御ユニット(Power Control Unit)であり、車内での電力制御を行う車載機器である。エンジンECU15は、エンジン制御用の電子制御ユニット(Electronic Control Unit)である。変速機ECU16は、変速機制御用の電子制御ユニットである。ブレーキECU17は、ブレーキ制御用の電子制御ユニットである。HMI18は、ヒューマン・マシン・インターフェイス(Human Machine Interface)であり、乗員の操作を受け付ける入力装置と、画像や音声により乗員に情報を表示する表示装置と、を備えている。HMI18は、走行経路を案内するナビゲーション機能、及び音楽や映像を再生するエンターテイメント機能を備える構成としてもよい。これらの車載機器はそれぞれ、ソフトウェアが記憶された記憶モジュール21と、ソフトウェアを実行するプロセッサ22と、を有している。OTAマスタ11は更に、車外から取得した更新ソフトウェアを記憶するデータストレージ23を有している。
【0013】
さらに車両10には、車両10の電源オンと電源オフとを切替えるための電源スイッチ24が設置されている。車両10の駆動システムは、電源オフから電源オンへの切替えに応じて始動し、電源オンから電源オフへの切替えに応じて停止する。
【0014】
車両10は、移動体通信網20を介してOTAサーバ30に接続されている。OTAサーバ30は、車載機器の更新ソフトウェアを配信するサーバ装置である。OTAサーバ30は、更新ソフトウェアの配信用のプログラムやデータを記憶する記憶装置31と、配信用のプログラムを実行するプロセッサ32と、を有している。OTAサーバ30は、移動体通信網20を介して、車両10のユーザの情報端末40との通信が可能である。情報端末40の例には、スマートフォンが挙げられる。情報端末40は、記憶装置41、プロセッサ42、及びHMI43を備えている。プロセッサ42は、記憶装置41に格納されたソフトウェアを読込んで実行する。HMI43は、ユーザの操作を受け付ける入力装置と、ユーザに情報を表示する表示装置と、を備えている。記憶装置41に格納されたソフトウェアには、ユーザが所有する車両10の情報確認やリモート操作等の機能を提供するソフトウェアが含まれている。
【0015】
<ソフトウェア更新の概要>
次に、車両10における車載機器のソフトウェア更新の概要を説明する。ソフトウェア更新の対象となる車載機器には、OTAマスタ11、DCM12、ADAS13、PCU14、エンジンECU15、変速機ECU16、ブレーキECU17、及びHMI18が含まれる。ソフトウェア更新は、ダウンロード・フェイズ、インストール・フェイズ、及びアクティベート・フェイズを通じて行われる。
【0016】
ダウンロード・フェイズでは、OTAサーバ30から車両10への更新ソフトウェアの送信が行われる。OTAマスタ11は、OTAサーバ30から受信した更新ソフトウェアをデータストレージ23に記憶する。ダウンロード・フェイズには、ダウンロードの実行可否判定、更新データの検証等、ダウンロードに関する一連の処理が含まれる。OTAサーバ30からOTAマスタ11への更新ソフトウェアの送信は、更新ソフトウェアを圧縮した圧縮データを送信することや、更新ソフトウェア又は圧縮データを分割した分割データを送信することで行ってもよい。また、複数の車載機器の更新ソフトウェアを纏めて送信してもよい。
【0017】
インストール・フェイズでは、更新対象の車載機器への更新ソフトウェアのインストールが行われる。インストール・フェイズにおいてOTAマスタ11は、更新対象の車載機器の記憶モジュール21への更新ソフトウェアの書き込みを行う。インストール・フェイズには、インストールの実行可否判定、更新データの転送、更新ソフトウェアの検証等、インストールに関する一連の処理が含まれる。更新データが更新ソフトウェアそのものを含む場合、インストール・フェイズにおいてOTAマスタ11は、更新対象の車載機器に更新データを転送する。更新データが更新ソフトウェアの圧縮データ、差分データあるいは分割データを含む場合、更新データからの更新ソフトウェアの生成処理が行われる。生成処理は、OTAマスタ11が行ってもよいし、更新対象の車載機器が行ってもよい。更新ソフトウェアの生成は、圧縮データの解凍、差分データ又は分割データの組み付けにより行うことができる。なお、インストール・フェイズの完了時には、更新ソフトウェアは無効化されている。
【0018】
アクティベート・フェイズでは、更新対象の車載機器において、更新ソフトウェアのアクティベート、すなわち更新ソフトウェアの有効化が実施される。アクティベート・フェイズには、アクティベート実行の可否判定、更新ソフトウェアの整合チェック、アクティベートの実行結果の検証等のアクティベートに関する一連の処理が含まれる。
【0019】
<インストール・フェイズの処理手順>
続いて、図2図4を併せ参照して、インストール・フェイズの処理手順を説明する。
ソフトウェアの更新対象となる車載機器には、シングルバンクの記憶モジュール21を搭載する機器と、デュアルバンクの記憶モジュール21を搭載する機器と、が存在する。シングルバンクの記憶モジュール21は、プロセッサ32が実行するソフトウェアを記憶する記憶領域を一つだけ有している。シングルバンクの記憶モジュール21を搭載する車載機器の場合、更新前のソフトウェアを格納した記憶領域と同じ記憶領域に更新後のソフトウェアが書き込まれる。そのため、インストールの実行に、車載機器の機能の一時停止を伴う場合がある。これに対して、デュアルバンクの記憶モジュール21は、2つの記憶領域を有している。2つの記憶領域のうちの一方は無効化されており、もう一方は有効化されている。プロセッサ22は、有効化された記憶領域からソフトウェアを読込んで実行する。デュアルバンクの記憶モジュール21を搭載する車載機器の場合、更新後のソフトウェアは、無効化された記憶領域に、すなわち更新前のソフトウェアを格納した記憶領域とは別の記憶領域に書き込まれる。そのため、更新前のソフトウェアを起動したまま、インストールを実行できる。
【0020】
このようなハードウェアの制約により、インストール中に機能が一時停止する車載機器が存在する。本実施形態の場合、エンターテイメント機能を提供するHMI18は、シングルバンクの記憶モジュール21を搭載している。これに対して、インストール中も機能を維持することが必要な車載機器は、デュアルバンクの記憶モジュール21を搭載している。具体的には、OTAマスタ11、DCM12、ADAS13、PCU14、エンジンECU15、変速機ECU16、及びブレーキECU17は、デュアルバンクの記憶モジュール21を搭載している。
【0021】
なお、シングルバンクの記憶モジュール21を搭載するHMI18においても、ソフトウェアの種別によっては、機能の一時停止を伴うことなくインストールを実行できる場合がある。例えば、ユーザが選択可能なHMI18のUI(ユーザ・インターフェイス)の種類を追加するためのソフトウェア更新等は、HMI18の機能の一時停止を伴うことなくインストールを実行できる。
【0022】
以下の説明では、インストールの実行に車載機器の機能の一時停止を伴うソフトウェア更新を第1更新と記載する。また、インストールの実行に車載機器の機能の一時停止を伴うソフトウェア更新を伴わないソフトウェア更新を第2更新と記載する。ソフトウェア更新が第1更新で行われるか、第2更新で行われるかは、車載機器やソフトウェアの種別により決定されている。ソフトウェア更新に際してOTAサーバ30が各車両10に配信するキャンペーン情報には、今回のソフトウェア更新が第1更新及び第2更新のいずれであるかを示す更新種別情報が含まれている。
【0023】
図2に示すように、OTAマスタ11は、インストール・フェイズが開始されると、今回のソフトウェア更新が、第1更新であるか、第2更新であるかの更新種別判定を実施する(S20)。本実施形態の場合、OTAマスタ11は、キャンペーン情報中の更新種別情報に基づき、更新種別判定を行っている。
【0024】
OTAマスタ11は、S20において今回の更新が第1更新であると判定した場合、HMI18への許諾受付画像の表示の可否判定を行う(S22)。許諾受付画像は、ユーザによるインストール実行の許諾操作の受付中であることを示す画像である。例えば、OTAマスタ11は、例えば車両10の走行状況に基づき、可否判定を行う。具体的には、OTAマスタ11は、車速やブレーキの作動状況、シフトポジション等に基づき、車両10が走行中であるか、停車中であるかを判定する。そして、OTAマスタ11は、車両10が停車中である場合に、許諾受付画像の表示を許可すると判定する。また、車両10の位置に基づき、許諾受付画像の表示の可否を判定するようにしてもよい。例えば、OTAマスタ11は、予め登録された駐車場所に車両10が停車したことが確認された場合に、許諾受付画像の表示を許可すると判定する。車両10の位置情報は、ナビゲーション機能を提供するHMI18から取得可能である。OTAマスタ11は、S22において表示を許可すると判定すると、許諾受付画像の表示をHMI18に指示する(S24)。HMI18は、指示に応じて許諾受付画像を表示する(S26)。
【0025】
図3に、許諾受付画像の表示例を示す。許諾受付画像には、インストールを開始するか、後で行うか、を選択するためのボタンが表示されている。また、許諾受付画像には、インストールを開始すると、車載機器の機能が一時停止することを示す情報が表示されている。例えば図3の場合、HMI18が提供するエンターテイメント機能が一時停止する機能の例として表示されている。
【0026】
許諾受付画像を表示したHMI18においてユーザが、インストールの許諾操作を行うと(S28)、HMI18は、許諾操作が行われたことをOTAマスタ11に通知する(S30)。OTAマスタ11は、通知に応じて、更新対象の車載機器にインストールの実行を指示する(S32)。加えて、OTAマスタ11は、HMI18に対して、案内画像の表示を指示する(S34)。更新対象の車載機器は、指示に応じてインストールを実行する(S36)。HMI18は、指示に応じて案内画像を表示する(S38)。第1更新によるソフトウェア更新の対象となる車載機器がHMI18である場合、HMI18がインストールと並行して、案内画像の表示を実行する。
【0027】
図4に、第1更新の場合の案内画像の表示例を示す。案内画像には、インストールの実行中であることを示す情報と、インストールの進捗状況を示す情報と、が表示されている。さらに、第1更新の場合の案内画像には、インストールの実行に伴い一時停止する車載機器の機能の内容を示す情報が表示されている。図4の場合、HMI18が提供するエンターテイメント機能が一時停止する機能の例として表示されている。
【0028】
車載機器は、インストールが完了すると、インストールの完了をOTAマスタ11に通知する(S40)。OTAマスタ11は、通知に応じて案内画像の表示停止をHMI18に指示する。HMI18は、指示に応じて案内画像の表示を停止する。以上により、インストール・フェイズは完了して、アクティベート・フェイズに移行する。
【0029】
一方、図2のS20においてOTAマスタ11が今回の更新が第2更新であると判定した場合には、S22~S30の処理をスキップして、S32の処理が実施される。具体的には、OTAマスタ11は、更新種別判定(S22)に次いで、車載機器にインストールの実行を指示することと(S32)、HMI18に案内画像の表示を指示することと、を行う。この場合のHMI18に表示する案内画像は、図4に例示した第1更新の場合の案内画像から、一時停止する車載機器の機能の内容を示す情報を省いたものとなる。
【0030】
<実施形態の作用、効果>
第1更新の場合、インストールを開始すると車載機器の機能が一時的に利用できなくなる。こうした第1更新の場合、OTAマスタ11は、インストールの開始前に許諾受付画像をHMI18に表示させる。許諾受付画像は、車両10のユーザによる前記インストールの実行の許諾操作を受け付けていることを示す画像である。そして、OTAマスタ11は、ユーザがインストールの許諾操作を行ったことに応じて、車載機器にインストールの実行を指示している。そのため、ユーザは、車載機器の機能の一時停止を許容できる時期を選んで更新ソフトウェアのインストールを実行させられる。
【0031】
第2更新の場合、更新対象の車載機器の機能を、ひいては車両10の機能を維持したまま、インストールを実行できる。そのため、第2更新の場合、インストールを実行しても、車両10の機能に変化は生じない。こうした第2更新の場合、OTAマスタ11は、HMI18への許諾受付画像の表示を行わずにインストールを実行させる。よって、第2更新の場合には、ユーザが許諾せずとも、自動でインストールが実行される。
【0032】
本実施形態の場合、OTAマスタ11が制御装置であり、かつ車両10に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報を表示する表示部を制御する制御部に対応する。また、HMI18が、車両10に搭載された車載機器のソフトウェア更新に関する情報を表示する表示部に対応する。さらに、OTAサーバ30が、更新ソフトウェアを配信する車外のサーバに対応する。
【0033】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
(1)OTAマスタ11は、インストールの実行に車載機器の機能の一時停止を伴う第1更新の場合にのみ、許諾受付画像をHMI18に表示させている。そして、OTAマスタ11は、インストールの実行に車載機器の機能の一時停止を伴わない第2更新の場合には、ユーザが許諾せずとも自動でインストールを実行させている。そのため、機能の一時停止を伴う場合にはインストールの実行時期のユーザ選択を可能としつつも、そうでない場合にはユーザ許諾を省いてインストールを実行できる。したがって、本実施形態には、ソフトウェア更新でのユーザ許諾の頻度を減らす効果がある。
【0034】
(2)OTAマスタ11は、ソフトウェア更新が第1更新であるか第2更新であるかの更新種別判定を行っている。具体的には、OTAマスタ11は、更新ソフトウェアを配信する車外のOTAサーバ30から取得した更新種別情報に基づき、更新種別判定を行っている。そして、OTAマスタ11は、更新種別の判定結果に基づき、インストール・フェイズの処理手順を自身で決定している。そのため、OTAマスタ11は、外部からの指示に頼らずとも、第1更新の場合と第2更新の場合とで、インストール・フェイズの処理手順を切替えられる。
【0035】
(3)OTAマスタ11は、ソフトウェア更新が第2更新である場合にはユーザの許諾操作を待たずに車載機器への更新ソフトウェアのインストールを実行させている。車載機器の機能の一時停止を伴わない場合には、インストールが自動で実行されるため、ユーザの負担が減る。
【0036】
(4)OTAマスタ11は、ソフトウェア更新が第1更新である場合にはユーザが許諾操作を行ったことに応じて車載機器への更新ソフトウェアのインストールを実行させる。そのため、ユーザは、車載機器の機能の一時停止を許容できる時期を選んでインストールを実行できる。
【0037】
(5)OTAマスタ11は、ソフトウェア更新が第1更新である場合、前記インストールの実行中に一時停止する車載機器の機能の内容を示す情報をHMI18に表示させている。そのため、インストールの実行に伴って車載機器の機能が一時停止していることがユーザに分かり易くなる。
【0038】
(6)OTAマスタ11は、更新ソフトウェアのダウンロードの完了後、車両10の走行状況や車両10の位置により決定される時期に許諾受付画像をHMI18に表示させている。そのため、車両10の駐車中のように、ユーザがHMI18の画像の確認や操作を行いやすい状況にあるときに、許諾受付画像を表示できる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、制御装置、制御方法、及び記憶媒体の第2実施形態を、図5を併せ参照して詳細に説明する。なお本実施形態にあって、上記実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0040】
第1実施形態の場合、車両10に設置のHMI18に対する、ソフトウェア更新に関する情報の表示制御を、同じ車両10に搭載されたOTAマスタ11が行っていた。本実施形態の場合、ソフトウェア更新に関する情報を、車両10のユーザが所有する情報端末40に表示している。そして、データセンタのOTAサーバ30が、情報端末40の表示制御を行っている。
【0041】
車両10のOTAマスタ11は、更新ソフトウェアのダウンロードを完了すると、その完了をOTAサーバ30に通知する(S50)。OTAサーバ30は、通知に応じて更新種別判定を実施する(S52)。OTAサーバ30は、例えば自身が車両10に配信したキャンペーン情報に基づき、更新種別判定を実施する。
【0042】
OTAサーバ30は、今回のソフトウェア更新が第1更新であると判定した場合には、車両10のユーザが所有する情報端末40に対して、許諾受付画像の表示を指示する(S54)。情報端末40は、指示に応じて許諾受付画像を表示する(S56)。情報端末40が表示する許諾受付画像は、図3に準ずる。その後、ユーザがインストールの許諾操作を行うと(S58)、情報端末40はインストールが許諾されたことをOTAサーバ30に通知する(S60)。OTAサーバ30は、通知に応じて車両10のOTAマスタ11に、インストールの実行が許可されたことを通知する(S62)。OTAマスタ11は、通知に応じて、更新対象の車載機器にインストールの実行を指示する(S64)。車載機器は、指示に応じてインストールを開始する(S66)。
【0043】
次いでOTAマスタ11は、インストールが開始されたことをOTAサーバ30に通知する(S68)。OTAサーバ30は、通知に応じて案内画像の表示を情報端末40に指示する(S70)。情報端末40は、指示に応じて案内画像を表示する(S72)。このときの情報端末40に表示される案内画像の内容は、図4に準ずる。
【0044】
車載機器は、インストールが完了すると、OTAマスタ11を経由して、インストールが完了したことをOTAサーバ30に通知する(S74、S76)。OTAサーバ30は、通知に応じて案内画像の表示停止を情報端末40に指示する(S78)。情報端末40は、指示に応じて案内画像の表示を停止する。以上により、インストール・フェイズの処理は完了して、アクティベート・フェイズに移行する。
【0045】
これに対して、OTAサーバ30は、図5のS52において今回の更新が第2更新であると判定した場合、S54~S60の処理をスキップして、インストールの実行が許可されたことをOTAマスタ11に通知する(S62)。そして、S62以降のインストール・フェイズの処理は、第1更新の場合と同様に行われる。
【0046】
こうした本実施形態の制御装置、制御方法、及び記憶媒体は、第1実施形態に準じた作用、効果を奏する。本実施形態の場合、OTAサーバ30が制御部及び制御装置に、情報端末40が表示部に、それぞれ対応する。
【0047】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0048】
・第1実施形態におけるOTAマスタ11は、HMI18に許諾受付画像を表示させる時期を、車両10の走行状況及び位置に基づき決定していた。許諾受付画像の表示時期を、他の態様で決定してもよい。例えば、ダウンロードの完了に応じて、許諾受付画像を表示してもよい。
【0049】
・第2更新の場合にも、インストールのユーザ許諾を実施するかどうかを、設定により切替えられるようにしてもよい。この設定の切替えをユーザが実施可能とした場合、ユーザ許諾の頻度を減らしたいというユーザの要望にも、ソフトウェア更新の進捗を詳細に確認したいというユーザの要望にも、応えられる。また、国や地域によっては、第1更新であるか、第2更新であるかに拘わらず、インストールの実行にユーザ許諾を必須とすることが法規で定められている場合がある。また、法規の改正により、インストールの実行に際してのユーザ許諾の要否が変更される場合がある。上記設定の切替えを、車両10のメーカやディーラが実施可能とした場合、国や地域毎の法規の違いや、法規の改正への対応が容易となる。
【0050】
・第1実施形態におけるOTAマスタ11による車両10のHMI18の表示制御とともに、第2実施形態におけるOTAサーバ30による情報端末40の表示制御を行うようにしてもよい。この場合、OTAマスタ11及びOTAサーバ30の双方が制御装置に対応する。また、車両10のHMI18及び情報端末40の双方が表示装置に対応する。この場合の第1更新におけるインストールは、HMI18及び情報端末40のいずれか一方においてユーザが許諾操作を行ったことで実行が許可される。
【0051】
図3の許諾受付画像や、図4の案内画像において、一時停止する機能の具体的な内容を示す情報ではなく、インストールの実行に伴って車載機器の機能が一時停止することのみを示す情報を表示するようにしてもよい。この場合にも、車両機器の機能を利用できなくても、その原因がインストールにあると推定できるため、ユーザが不安や不信を抱き難くなる。
【0052】
図3及び図4に示す各画像の表示例は、文字を用いて情報を画像内に表示するように構成されていた。これらの画像内に、静止画や動画等の、文字以外の表現方法を用いて情報を表示するようにしてもよい。
【0053】
・第1更新の場合の案内画像に、インストールの実行に伴う車載機器の機能の一時停止に関する情報を表示しないようにしてもよい。この場合、第1更新及び第2更新の双方の場合の案内画像の表示内容を共通としてもよい。さらに第1更新、第2更新のいずれの場合にも、インストールの実行中に案内画像を表示しないようにしてもよい。
【0054】
・第1実施形態では、ソフトウェア更新を管理するOTAマスタ11が、ソフトウェア更新に関する情報の表示制御を行っていた。ソフトウェア更新の管理と、ソフトウェア更新に関する情報の表示制御と、を別の車載機器が行うようにしてもよい。
【0055】
・第1実施形態における車両10のHMI18の表示制御を、OTAサーバ30が実施するようにしてもよい。また、第2実施形態における情報端末40の表示制御を、OTAマスタ11が実施するようにしてもよい。さらに、ソフトウェア更新の対象となっている車載機器が、ソフトウェア更新に関する情報の表示制御を行うようにしてもよい。
【0056】
図2のS20における更新種別判定を、インストール・フェイズの開始前に実行するようにしてもよい。例えば、OTAサーバ30からキャンペーン情報を受信した時点で、OTAマスタ11が更新種別判定を実施するようにしてもよい。
【0057】
図2のS20の更新種別判定を、上記実施形態とは別の態様で実施するようにしてもよい。例えば、次の態様で更新種別判定を行うことが可能である。第1更新、第2更新のそれぞれでソフトウェア更新を行う車載機器やソフトウェアの種別の分類情報をOTAマスタ11の記憶モジュール21に予め記憶しておく。ソフトウェアの更新に際してOTAマスタ11は、更新を行う車載機器やソフトウェアの種別を、キャンペーン情報又は更新対象の車載機器から取得する。そして、OTAマスタ11は、記憶モジュール21に記憶された分類情報を参照して、取得した種別が第1更新、第2更新のいずれに分類されているかを判定する。図5のS52においてOTAサーバ30が実施する更新種別判定についても同様に、別の態様で実施可能である。
【0058】
・制御装置及び制御部は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェアなどの1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。専用のハードウェアとしては、例えば、特定用途向け集積回路であるASICを挙げることができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0059】
本明細書において使用される「少なくとも一方」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも一方」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも一方」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0060】
10…車両、11…OTAマスタ、12…DCM、13…ADAS、14…PCU、15…エンジンECU、16…変速機ECU、17…ブレーキECU、18…HMI、19…車内ネットワーク、20…移動体通信網、21…記憶モジュール、22…プロセッサ、30…OTAサーバ、31…記憶装置、32…プロセッサ、40…情報端末、41…記憶装置、42…プロセッサ、43…HMI。
図1
図2
図3
図4
図5