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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008025
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 650
A63F5/04 602D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109858
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 優
【テーマコード(参考)】
2C182
2C518
【Fターム(参考)】
2C182CB05
2C518AC14
2C518CA03
2C518EA01
2C518EA09
2C518EB01
2C518EB16
(57)【要約】
【課題】〇〇枚突破演出の変化態様によって所定の情報(設定値等)を示唆する。
【解決手段】遊技者に有利な特定遊技状態における遊技価値数に関する情報(獲得枚数)を計数可能な計数手段と、前記計数手段による計数結果が特定結果に到達した場合、特定情報(〇〇枚数突破)を表示可能な表示手段と、前記表示手段に表示される特定情報の変化態様(消去態様)を決定可能な決定手段(副制御部20)と、を備え、前記決定手段は、遊技に関する所定情報(設定値等)に基づいて、前記表示手段に表示される特定情報の変化態様(消去態様)を決定可能であり、前記表示手段は、前記決定手段により決定された変化態様(消去態様)に基づいて、表示中の特定情報を変化(消去)させることを可能にしてある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者に有利な特定遊技状態における遊技価値数に関する情報を計数可能な計数手段と、
前記計数手段による計数結果が特定結果に到達した場合、特定情報を表示可能な表示手段と、
前記表示手段に表示される特定情報の変化態様を決定可能な決定手段と、
を備え、
前記決定手段は、
遊技に関する所定情報に基づいて、前記表示手段に表示される特定情報の変化態様を決定可能であり、
前記表示手段は、
前記決定手段により決定された変化態様に基づいて、表示中の特定情報を変化させることが可能である
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
第1設定値と、第1設定値よりも遊技が有利に進行し得る第2設定値と、を含む複数の設定値の中から何れかの設定値を設定可能な設定手段を備え、
前記所定情報は、
前記設定手段により設定された設定値を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記所定情報は、
前記計数手段による計数結果を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記表示手段は、
前記特定情報の表示中において、特定条件が成立した場合、前記決定手段により決定された変化態様に基づいて当該特定情報を変化させることが可能であり、
前記特定情報の表示中において、前記特定条件が成立する前に特別条件が成立した場合、予め定められた変化態様に基づいて当該特定情報を変化させることが可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定枚数の遊技価値を獲得した場合、その旨を表示することで、遊技者に達成感や優越感を与える遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-58445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の遊技機には、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の遊技機は、遊技者に有利な特定遊技状態における遊技価値数に関する情報を計数可能な計数手段と、前記計数手段による計数結果が特定結果に到達した場合、特定情報を表示可能な表示手段と、前記表示手段に表示される特定情報の変化態様を決定可能な決定手段と、を備え、前記決定手段は、遊技に関する所定情報に基づいて、前記表示手段に表示される特定情報の変化態様を決定可能であり、前記表示手段は、前記決定手段により決定された変化態様に基づいて、表示中の特定情報を変化させることが可能であるようにしてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】メダルレス遊技機の外観を示す概略正面図である。
図2】メダルレス遊技機の内部構成を示す概略斜視図である。
図3】メダルレス遊技機の制御構成を示すブロック図である。
図4】メダルレス遊技機の遊技方法を示すフローチャートである。
図5】内部抽選テーブルを示す図表である。
図6】配当表を示す図表である。
図7】遊技状態の遷移を示す状態遷移図である。
図8】履歴情報の表示態様を示す図である。
図9】履歴抽選の判定パターンを説明する図である。
図10】他の実施形態に係るメダルレス遊技機における配当表を示す図表である。
図11】他の実施形態に係るメダルレス遊技機における遊技状態の遷移を示す状態遷移図である。
図12】AT抽選テーブルを示す図表である。(a)は弱レア役当選時に参照するAT抽選テーブルA(弱レア役)であり、(b)は強レア役当選時に参照するAT抽選テーブルB(強レア役)である。
図13】キャラ出現テーブルを示す図表である。(a)は10G毎に参照するキャラ出現テーブルAであり、(b)は1000G毎に参照するキャラ出現テーブルBである。
図14】キャラ出現イメージを示す図である。(a)は背景画像であり、(b)はキャラが出現した様子を示す。
図15】ポイント抽選テーブルを示す図表である。(a)は押し順ベル役Bの当選時に参照するポイント抽選テーブルA(ベルB)であり、(b)はレア役当選時に参照するポイント抽選テーブルB(レア役)である。
図16】疑似ボーナス抽選テーブルを示す図表である。(a)は弱レア役当選時に参照する疑似ボーナス抽選テーブルA(弱レア役)であり、(b)は強レア役当選時に参照する疑似ボーナス抽選テーブルB(強レア役)である。
図17】消去演出における消去態様を示す図である。(a)はひび、(b)は縦割れ、(c)は横割れ、(d)はX割れ、(e)は粉々を示す。
図18】消去態様抽選テーブルを示す図表である。(a)は余剰分が+30枚以下の場合に参照する消去態様抽選テーブルA(+30枚以下)であり、(b)は余剰分が+31枚以上99枚以下の場合に参照する消去態様抽選テーブルB(+31枚以上+99枚以下)であり、(c)は余剰分が+100枚以上の場合に参照する消去態様抽選テーブルC(+100枚以上)である。
図19】消去演出の様子を示す図である。(a)は通常遊技状態時5ゲーム目で獲得枚数が500枚に到達したときの様子を示す図であり、(b)は6ゲーム目で押し順ベルに当選した場合を示す図であり、(c)は(b)の後に実行された縦割れの消去演出を示す図であり、(d)は(c)の後に500枚突破の表示が消去されたことを示す図である。
図20】押し順ナビ時の演出を示す図である。(a)は押し順ベル役A3又はB3当選時の演出態様を示し、(b)は押し順ベル役A5又はB5当選時の演出態様を示す。
図21】レースパートにおける演出を示す図である。(a)はレースパートの開始ゲーム(1ゲーム目)においてレース開始前を示す図である。(b)はレースパートの終了前のゲーム(10ゲーム目)においてレース勝利(AT継続)を示す図であり、(c)はレースパートの終了ゲーム(11ゲーム目)において、次の遊技状態である準備パートの開始画面を示す図である。(d)はレースパートの終了前のゲーム(10ゲーム目)においてレース敗北(AT非継続)を示す図であり、(e)はレースパートの終了ゲーム(11ゲーム目)において、レースパートの終了結果であるリザルト画面を示す図である。
図22】特典抽選テーブルを示す図表である。(a)は弱レア役当選時に参照する特典抽選テーブルA(弱レア役)を示し、(b)強レア役当選時に参照する特典抽選テーブルB(強レア役)を示す。
図23】キャラ出現テーブル(リザルト)を示す図表である。
図24】リザルト時の演出を示す図である。(a)は最終ゲームにおいて結果を示すリザルト画面を示し、(b)は最終ゲームの次ゲームのMAXベット操作時の表示画面を示す。
図25】状態移行抽選テーブルを示す図表である。(a)はリプレイ役又は1枚役当選時に参照する状態移行抽選テーブル(リプレイ役、1枚役)であり、(b)は弱レア役当選時に参照する状態移行抽選テーブル(弱レア役)であり、(c)は強レア役当選時に参照する状態移行抽選テーブル(強レア役)である。
図26】ポイント抽選テーブルを示す図表である、(a)は押し順ベル役Bの当選時に参照するポイント抽選テーブル(ベルB)であり、(b)は強レア役当選時に参照するポイント抽選テーブル(強レア役)である。
図27】押し順ナビ時の演出を示す図である。(a)は押し順ベル役A5当選時の演出態様を示し、(b)は押し順ベル役B5当選時の演出態様を示し、(c)は押し順ベル役B6当選時の演出態様を示す。
図28】(a)は疑似ボーナス1G目から準備パート10G目までの流れを示し、(b)は準備パート31Gから次回準備パート10G目までの流れ(継続)を示し、(c)は準備パート31Gから通常遊技状態10G目までの流れ(非継続)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図面を参照して説明する。
本実施形態の遊技機は、実物のメダル(遊技媒体)を使用せず、メダルをデータ(いわゆるクレジットメダル)として管理し、電子情報でメダル貸出を行ない遊技するため、遊技者が遊技メダルに触れることなく遊技ができる装置である。
このように、遊技機は、当該データ形式の疑似遊技媒体を使用して遊技を行う遊技機(実施形態ではメダルレス遊技機という)である。このような遊技機は、スマートパチスロ(登録商標)、スマスロ(登録商標)等とも称される。
以下、メダルレス遊技機として、AT(ART)状態を有する6号機のスロットマシンに適用した例を説明するが、これに限らず、例えば、リアルボーナスの遊技が可能なノーマルタイプ(所謂Aタイプ)のスロットマシンに適用することもできる。
なお、メダルレス遊技機で使用されるデータとしてのメダルを「遊技メダル」と称し、過去の遊技で獲得した「遊技メダル」を遊技店側(管理装置、専用ユニット)に預けたデータとしてのメダルを「持メダル」と称する。
【0008】
まず、メダルレス遊技機1の全体構成について説明する。
前扉1aの中央部には、後方を視認可能な表示窓6が形成されており、この表示窓6を透して、リール41に表された図柄を視認することができる。
表示窓6の下方には、前側に突出する段部が形成されており、この段部の周辺に、ベットボタン2a、MAXベットボタン2b、演出ボタン2g、計数ボタン2c、精算ボタン2d、スタートレバー3、停止ボタン5などの操作手段や、遊技メダル数表示装置7、計数ボタンランプ2e、ベット数ランプ2fなどの報知手段を設けている。なお、遊技メダル数表示装置7は、段部の上面側や前面側に設けるようにしてもよい。
表示窓6の上方には、遊技者に停止ボタン5の操作順序をナビゲートするナビランプ12を備えている。
前扉1aの上部には、表示手段や報知手段として動作する表示器8を備えている。表示器8は、例えば、1画面の液晶表示器を例示することができるが、これに限らず、複数画面の構成(例えばメイン画面とサブ画面)でもよい。なお、表示器8に代え又は加えて前扉1aの下部(下パネル)に液晶表示器を設けても良く、必ずしも表示器8を設けなくてもよい。
【0009】
表示器8の側方には、報知手段として動作する、音による演出や報知を行うスピーカ9や、各役の入賞時や表示器8で表示される演出に対応して光の演出や報知を行うランプ11を備えている。
【0010】
筐体1bの内部には、遊技を統括的に制御するCPUを実装した主制御部10を備え、また、主制御部10の制御下で遊技の演出等に関する制御を行うCPUを実装した副制御部20を備えている。
また、筐体1bの内部には、ドラムユニット4を備えている。ドラムユニット4は、水平方向に並設される3つのリール41a~41cを備え、これらリール41が、ステッピングモータ(図示省略)の駆動によりそれぞれ回転可能に構成されている。
各リール41a~41cの外周面には、所定の配列に従って複数の図柄(識別情報)が表され、リール41の停止状態において、各リール41a~41cについて、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が表示窓6を透して視認可能となっている。
筐体1bの内部には、主制御部10及び副制御部20を含む各装置に電力を供給するための電源装置15を設けている。
筐体1bの内部には、遊技メダル数クリアボタン14や確率設定装置16が設けられており、台間装置である専用ユニット19が、各メダルレス遊技機1に対応して遊技機の外部に隣接されている(図示省略)。
【0011】
図3に示すように、主制御部10には、ベットボタン2a、MAXベットボタン2b、精算ボタン2d、スタートレバー3、停止ボタン5、専用ユニット19、ドラムユニット4、計数ボタン2c、遊技メダル数表示装置7、遊技メダル数クリアボタン14、確率設定装置16、電源装置15などの各部が接続されている。
なお、図3の破線部(専用ユニット19)は外部の機器であることを示している。
主制御部10は、遊技に関する抽選を実行可能な抽選手段として機能するほか、上記各部の動作を検知・制御したり、遊技状態を移行したり、所定のタイミングで、所定のコマンド(制御情報)を副制御部20に出力する。例えば、内部抽選処理の抽選結果を示す当選対象コマンドや入賞判定の結果を示す入賞判定コマンドを出力する。
副制御部20には、ナビランプ12、計数ボタンランプ2e、ベット数ランプ2f、演出ボタン2g、表示器8、スピーカ9、ランプ11などの各部が接続されている。
副制御部20は、演出制御手段として動作し、主制御部10からのコマンド(制御情報)に応じて、上記各部の動作を制御する。
【0012】
要部の動作について説明する。
遊技メダル数表示装置7は、遊技価値表示手段であり、遊技に使用可能な遊技メダル(遊技価値)の総数を表示する。
このため、遊技者は、遊技メダル数表示装置7に表示されている遊技メダル数の範囲内で遊技メダルを投入して遊技を行うことができる。
遊技メダル数表示装置7は、記憶手段(RAMなど)と表示手段(7セグLEDなど)とを備え、主制御部10は、遊技メダルが貸し出されたり払い出された場合は、その貸出数や払出数を加算することで、加算結果(総計)を「遊技メダル数」として記憶手段に記憶(記録)し、表示手段に表示する。
また、主制御部10は、遊技メダルが投入されると、遊技メダル数表示装置7において「記憶・表示」している「遊技メダル数」から投入数を減算する。
遊技メダルの貸出しは、台間装置である専用ユニット19の貸出操作により行われ、遊技メダルの投入は、ベットボタン2a又はMAXベットボタン2bの操作により行われる。
遊技メダル数表示装置7において記憶・表示可能な遊技メダル数(遊技価値の量)には、上限値(例えば16300とする)が設定されており、例えば入賞による払出しにより遊技メダルの総計が上限値を超過すると遊技ができないように「遊技不可」の制御が実行される。
「遊技不可」の状態では、スタートレバー3、ベットボタン2a、MAXベットボタン2b、精算ボタン2dの各操作を受付けないようにしている。
【0013】
ベットボタン2a及びMAXベットボタン2bは、遊技の開始に際して遊技メダルを投入(ベット)するために使用される操作手段である。
ベットボタン2aは、押圧操作によりベット数「1」を設定(一時的にRAMに記憶)し、MAXベットボタン2bは、最大のベット数「3」を設定(一時的にRAMに記憶)する。
主制御部10は、ベットボタン2a又はMAXベットボタン2bの押下操作に応じ、対応するベット数を遊技メダル数表示装置7にて記憶・表示されている遊技メダル数から減算する。
【0014】
スタートレバー3は、遊技メダルが投入された後に、遊技者が遊技を開始する際に操作する操作手段である。
停止ボタン5は、ゲームの進行に応じて可変表示される複数の図柄(識別情報)を停止させるために操作可能な操作手段(停止操作手段)であって、複数の停止操作部(5a~5c)を備える。
演出ボタン2gは、遊技者の操作により表示器8で表示されている演出等に変化を与える場合に操作可能な操作手段である。
【0015】
計数ボタン2cは、遊技者が獲得した遊技メダルを計数処理する場合に操作する操作手段である。
具体的には、計数ボタン2cは、遊技メダル数表示装置7(遊技価値表示手段)に表示される遊技メダル(遊技価値)の少なくとも一部を、計数データとして機外の専用ユニット19(外部)に出力するために操作する計数操作手段である。
このため、計数ボタン2cは、遊技を終了する際において操作されるが、これに限らず、原則いつでも(遊技中や遊技不可の状態でも)操作可能である。
計数ボタン2cは、押下態様によって計数の量が異なる。
例えば、計数ボタン2cが「短押し」(例えば500ミリ秒未満押下)された場合、主制御部10は、「1」の遊技メダルが計数されたこと、すなわち計数量「1」を特定可能な計数データを専用ユニット19に出力する。この場合、主制御部10は、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数から計数量「1」を減算する処理を実行する。
計数ボタン2cが「長押し」(例えば500ミリ秒以上押下)された場合、主制御部10は、最大「50」の遊技メダルが計数されたこと、すなわち、最大計数量「50」を特定可能な計数データを専用ユニット19に出力する。この場合、主制御部10は、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数から計数量(最大「50」)を減算する処理を実行する。
例えば、遊技メダル数表示装置7において「50以下」の遊技メダル数が表示されている状態において計数ボタン2cが長押しされた場合、最大「50」の遊技メダルが計数されることから、すべての遊技メダル数が計数される。
この場合、主制御部10は、計数量を特定可能な計数データを専用ユニット19に出力すると共に、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数から計数量を減算する。
この結果、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数は「0」に更新される。
また、遊技メダル数表示装置7において「50超」の遊技メダル数が表示されている状態において計数ボタン2cの長押しが継続された場合、1回目の長押し検知に応じ遊技メダル数「50」が計数され、2回目以降の長押し検知のたび(例えば300ミリ秒ごと)に最大「50」の遊技メダルが計数される。
この場合、主制御部10は、計数総量を特定可能な計数データを専用ユニット19に出力すると共に、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数から計数総量を減算する。
なお、長押し継続に基づく専用ユニット19への計数データの出力は、長押し継続の終了時に計数総量を特定可能な計数データを一括で出力してもよく、長押し検知のたびに計数量(最大50)を特定可能な計数データを個別出力してもよい。
専用ユニット19側では、例えば返却ボタンが操作されるまでの計数量の総数を持メダル数として管理する。
また、通常の計数ボタン2c以外に、例えば短押しで100枚計数できるボタンや、長押ししても500枚までで止めてくれる計数ボタンなど、別個の計数ボタンを設けてもよい。
【0016】
このように、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数は、計数処理によって減算することができる。
このため、遊技メダル数が上限値を超過することで「遊技不可」の状態になった場合、対処方法として、計数ボタン2cの操作により遊技メダル数を上限値以下に減らすことで「遊技不可」の状態を解除することができる。
【0017】
遊技メダル数クリアボタン14は、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数をリセットする(0にする)ための店員用の操作手段である。
遊技メダル数クリアボタン14が操作された場合、主制御部10は、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数を「0」に更新する。
このため、「遊技不可」の状態は、店員による遊技メダル数クリアボタン14の操作によっても解除することができる。
【0018】
精算ボタン2dは、設定されたベット数を遊技メダル数表示装置7に返却する場合に操作する操作手段である。
例えば、ベット数「1」が設定されている状態で精算ボタン2dが押下操作された場合、主制御部10は、ベット数をクリアすると共に、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダルに「1」を加算する。
ベット数「2」が設定されている状態で精算ボタン2dが押下操作された場合、主制御部10は、ベット数をクリアすると共に、遊技メダル数表示装置7において表示されている遊技メダル数に「2」を加算する。
ベット数「3」が設定された状態で精算ボタン2dが押下操作された場合、主制御部10は、ベット数をクリアすると共に、遊技メダル数表示装置7において表示されている遊技メダル数に「3」を加算する。
つまり、精算ボタン2dは、ベット数(掛け数)として設定された遊技メダル(遊技価値)を、遊技メダル数表示装置7(遊技価値表示手段)に表示される遊技メダル数(遊技価値)に加えるために操作可能な特定操作手段である。
このため、遊技者は、遊技を終了する場合、ベット数ランプ2fが点灯していることによりベット数が設定されていることを確認したときは、精算ボタン2dを押下すればよい。
これにより、設定中のベット数の遊技メダル数が遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数に加算されるため、その後、計数ボタン2cを押下操作すればベット数も合わせて返却することができる。
【0019】
なお、ベットボタン2aや計数ボタン2cなど他の操作手段に精算ボタン2dの機能を持たせることもできる。
例えば、ベットボタン2aを「短押し」した場合はベット数「1」を設定し、ベットボタン2aを「長押し」した場合は精算ボタン2dの動作(上記返却動作)を行うようにできる。
また、計数ボタン2cを操作した場合に、計数動作の前に、精算ボタン2dの動作(上記返却動作)を行うようにできる。これにより、遊技者は、計数動作を行うだけで、ベット分のメダルを遊技メダル数に確実に返却してから、遊技メダル数を専用ユニット19に出力(計数)できる。
【0020】
ベット数ランプ2fは、ベット数が設定されたことや、ベット数(1~3ベット)をLEDの点灯により、遊技開始前に報知する報知手段である。
副制御部20は、ベット数「1」が設定された状態において1つのランプ(例えば図1に示す「1BET」のランプ)を点灯し、ベット数「2」が設定された状態において2つのランプ(例えば図1に示す「1BET」と「2BET」のランプ)を点灯し、ベット数「3」が設定された状態において3つのランプ(例えば、図1に示す「1BET」と「2BET」と「3BET」のランプ)を点灯する制御を行う。
すなわち、ベット数ランプ2fは、掛け数表示手段であり、遊技における掛け数として設定されたベット数(遊技価値)を少なくとも遊技開始前に表示するようにしている。
副制御部20は、遊技の開始(スタートレバー3の操作)を検知すると、ベット数ランプ2fを消灯する制御を行う。
また、副制御部20は、精算ボタン2dの操作に応じ、ベット数に対応する遊技メダルが投入されたことを検知すると、ベット数ランプ2fを消灯する制御を行う。
つまり、ベット数ランプ2fは、ベット数が設定された状態において点灯し、遊技メダルの投入に応じて消灯する。
【0021】
確率設定装置16は、特定遊技状態(AT状態)に移行する確率(当選確率)を複数段階(例えば、6段階)に変更可能であり、遊技者にとっての有利度合いを複数段階で設定変更可能である。
主制御部10は、遊技場の店員による確率設定装置16における確率設定操作に基づき、何れか1つの設定値を記憶部に記憶し、当該記憶された設定値に基づいてAT状態の当選確率を制御する。例えば、設定1が最も低い当選確率であり、大きい数字ほど当選確率が高くなっている。
【0022】
専用ユニット19は、遊技メダルの貸し出しを行う貸出装置である。
専用ユニット19は、メダルレス遊技機1の外部に併設され、メダルレス遊技機1とは接続端子板を介してデータ通信可能に接続されている。
専用ユニット19において現金の投入(紙幣)などの貸出操作が行われると、専用ユニット19は、遊技メダルの貸出数を特定可能な貸出データをメダルレス遊技機1に出力する。
メダルレス遊技機1では、主制御部10が、入力した貸出データに基づいて遊技メダルの貸出数を特定し、当該貸出数を遊技メダル数表示装置7において記憶・表示している遊技メダル数に加算する。
【0023】
専用ユニット19は、遊技メダルの返却を行う返却装置でもある。
具体的には、メダルレス遊技機1は、計数ボタン2cの操作に基づき、遊技メダルの計数量を特定可能な計数データを専用ユニット19に出力する。
専用ユニット19は、メダルレス遊技機1から出力された計数データを入力すると、当該計数データに基づき特定された遊技メダルの計数量を持メダル数として管理する。
専用ユニット19は、カードユニット(図示省略)を備えており、カードユニット(図示省略)において持メダル数をICカードに記憶(記録)することができる。
ICカードは、返却操作(返却ボタンの押下)によりカードユニットから排出されることができる。
排出されたICカードは、遊技場に設けられた景品交換コーナーに渡すことで、持メダル数と景品とを景品交換したり、他の専用ユニット19のカードユニットに挿入することで、持メダル数を使用して再遊技することができる。
専用ユニット19と遊技メダル数表示装置7とは連動しており、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示している遊技メダル数が少なくとも「1」以上あればICカードを返却操作により排出できず、遊技メダル数が「0」の場合に限りICカードを返却操作により排出できるようになっている。
つまり、遊技者は、遊技メダル数をすべて計数した後でなければICカードを取得することができない。
これにより、遊技者が、残存する遊技メダルの返却漏れを無くすことができる。
【0024】
専用ユニット19は、ホールコンピュータや管理装置等と呼ばれるコンピュータと中継装置を介して又は直接接続することが可能であり、アウト、セーフなどの遊技情報や売上情報等をコンピュータに出力できるようになっている。
これにより、例えば、コンピュータにおいてアウト数、セーフ数、景品玉数などを遊技機毎に集計したり、これらの遊技情報により誤差玉を算出できるようになっている。
【0025】
また、専用ユニット19は、遊技者が係員(店員)を呼び出す際に操作する呼出ボタンや係員が呼び出されたことを報知する呼出ランプ等が設けられた呼出装置(図示略)と中継装置を介して又は直接接続することが可能であり、メダルレス遊技機1から受信したゲームの実行情報やAT状態等の発生情報などの遊技情報を呼出装置に出力できるようになっている。
【0026】
メダルレス遊技機1における遊技(メダルレス遊技ともいう)について、図4のフローチャートを参照して説明する。
遊技開始処理を実行する(S1)。
遊技開始処理では、まず、メダルレス遊技機1は、専用ユニット19から出力された貸出データを入力する。
具体的には、遊技者が、専用ユニット19において遊技メダルの貸出操作を行うと、専用ユニット19から貸出数を特定可能な貸出データが出力されるので、メダルレス遊技機1は、この貸出データを入力する。
メダルレス遊技機1は、貸出データを入力すると、主制御部10が、当該貸出データに基づいて貸出数を特定し、当該貸出数に対応する遊技メダル数を遊技メダル数表示装置7において記憶・表示させる。
「貸出数」が「100」の場合、遊技メダル数表示装置7において表示されている初期の遊技メダル数は「0」であるから、「0」から「100」(=0+100)に更新される。
遊技開始処理では、次に、遊技者による操作に応じ、遊技メダルの投入を行う。
具体的には、ベットボタン2a又はMAXベットボタン2bの操作に応じ、1回の遊技に使用される遊技メダル数としてベット数を設定する。
遊技メダル数表示装置7において遊技メダル数「100」が表示されている状態で、ベット数「3」が設定された場合、主制御部10は、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数を「100」から「97」(=100-3)に更新し、副制御部20は、ベット数ランプ2fが有する3つのランプをすべて点灯させる。
1回の遊技に使用される遊技メダル数としてベット数(例えば3ベット)が設定されると、遊技開始可能な状態となり、スタートレバー3の操作が有効な状態となる。
【0027】
抽選処理を実行する(S2)。
遊技開始な状態において、スタートレバー3が傾動操作されるとゲームが開始され、主制御部10は、複数の当選役の中から、今回ゲームの当選役を決定する内部抽選処理を実行する。
副制御部20は、スタートレバー3の傾動操作に応じ、ベット数ランプ2fを消灯する制御を行う。
ベット数ランプ2fの消灯により、投入(ベット)された遊技メダル数が使用されたことが示される。
【0028】
リール回転処理を実行する(S3)。
具体的には、主制御部10が、複数の図柄の表されたリール41a~41cの変動を開始させる。各リール41a~41cは、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達すると、各リール41a~41cに対応して設けられた停止ボタン5a~5cが押圧操作可能な状態となる。
【0029】
リール停止処理を実行する(S4)。
各停止ボタン5a~5cが押圧操作されると、主制御部10は、操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果とにより許容される図柄の組合せで停止表示するように、各リール41a~41cの停止制御を行う。
【0030】
入賞処理を実行する(S5)。
主制御部10は、リール41の停止制御では、停止ボタン5の操作タイミングに基づき、内部抽選処理の抽選結果(当選役)に応じた図柄の組合せで停止するように制御が行われるところ、第3停止操作後に、有効ライン(入賞ライン)上に停止した図柄の組合せを判定した結果、所定の図柄の組合せであるときに入賞と判定する。
なお、第3停止操作後とは、遊技者が第3リールを停止するために停止操作した停止ボタン5から指等を離した時点後のことをいい、第3リールとは、3つのリール41a~41cの停止操作が各1回ずつ計3回された場合において、その最後である3操作目に停止操作(第3停止操作)されたリールをいう。
また、本実施形態では、入賞の判定は、上・中・下段のライン、右下がりのライン、右上がりの計5ラインのうち、中段のラインのみを有効ラインとして、中段のライン上に停止した図柄の組合せに基づいて判定されるようになっている。
なお、入賞を判定する入賞ラインの本数は、1ラインに限らず、図柄の配置構成、図柄の種類、当選役に対応する図柄の組合せなどの関係により、適宜変更することができる。
【0031】
払出処理を実行する(S6)。
特定の小役について入賞したことが判定された場合、対応する数の遊技メダルを払い出す(以下、単にメダルを払い出すともいう。)処理を実行する。
主制御部10は、例えば、10枚払出役に入賞したことを判定した場合、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数に払出数「10」を加算する。
【0032】
遊技終了処理を実行する(S7)。
遊技終了処理では、遊技メダルの計数処理を実行する。
具体的には、遊技者により計数ボタン2cが操作されると、主制御部10は、遊技メダル数表示装置7に記憶・表示されている遊技メダル数を計数する。
より具体的には、計数ボタン2cが短押しされた場合、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数から計数量「1」を減算する。
計数ボタン2cが長押しされた場合、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数から最大計数量「50」を減算する。
計数ボタン2cの長押しが継続された場合、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数から最大計数量「50」を続けて減算する。
これにより計数量を特定可能な計数データが専用ユニット19に出力される。
専用ユニット19は、入力した計数データに基づき計数量の総数を持メダル数として記憶する。
専用ユニット19では、返却操作に応じ、カードユニットにおいて持メダル数がICカードに記憶され、次いで、当該ICカードがカードユニットから排出される。
なお、ICカードは、遊技メダル数表示装置7において記憶・表示されている遊技メダル数が「0」の場合にのみ排出可能である。
このため、遊技者は、遊技メダル数表示装置7において表示されている遊技メダル数が「0」になるまで計数ボタン2cを操作して計数処理を実行させる必要がある。
遊技者は、排出されたICカードに基づいて再遊技や景品交換を行うことができる。
再遊技は、S1において現金を投入する代わりに、ICカードをカードユニットに挿入する。
これにより、専用ユニット19における貸出操作等に応じ遊技開始処理(S1)が実行可能になり、次いで、抽選処理(S2)~払出処理(S6)が実行可能になる。
【0033】
本発明に係るメダルレス遊技機1は、上述の構成に加え、以下の特徴的な構成を備えている。各項目の構成をそれぞれ単独で搭載してもよく、組み合わせて搭載してもよい。
【0034】
(当選役と対応する図柄の組合せ)
次に、各当選役と各当選役に対応する図柄の組合せについて説明する。
当選役は、例えば、小役、リプレイ役、ボーナス役等を有する。
小役には、例えば、ベル役、スイカ役、チェリー役、チャンス役、1枚役がある。
また、チェリー役には、弱チェリー役と強チェリー役がある。
なお、以下の説明において、チェリー役、スイカ役、チャンス役を纏めて「レア役」ともいう。
また、レア役は、当選確率の比較的高い弱チェリー役とスイカ役は「弱レア役」として設定され、当選確率の比較的低い強チェリー役とチャンス役は「強レア役」として設定されている。
【0035】
ベル役には、押し順ベル役が設けられている。
押し順ベル役は、停止ボタン5の押し順に従うことにより図柄の組合せが揃う当選役であり、本実施形態では10個の押し順ベル役A1~A6、B3~B6が設けられている。なお、以下の説明において、押し順ベル役A1~A6、B3~B6を纏めて、単に押し順ベル役ともいう。
押し順ベル役A1~A6は、6通りある押し順のうちの1通りの押し順(正解押し順)によって、停止ボタン5a~5cが操作されることで、対応する図柄の組合せ(「ベル・ベル・ベル」)が停止表示され、他の5通りの押し順(不正解押し順)によって停止ボタン5が操作された場合には、対応する図柄の組合せが停止表示されないようになっている。
具体的には、押し順ベル役A1は、正解押し順が「5a→5b→5c」(左→中→右:左1ST押し)に設定され、押し順ベル役A2は、正解押し順が「5a→5c→5b」(左→右→中:左1ST押し)に設定され、押し順ベル役A3は、正解押し順が「5b→5a→5c」(中→左→右:中1ST押し)に設定され、押し順ベル役A4は、正解押し順が「5b→5c→5a」(中→右→左:中1ST押し)に設定され、押し順ベル役A5は、正解押し順が「5c→5a→5b」(右→左→中:右1ST押し)に設定され、押し順ベル役A6は、正解押し順が「5c→5b→5a」(右→中→左:右1ST押し)に設定される。
【0036】
不正解押し順によって停止表示される他の図柄の組合せとして、押し順ベルこぼし目とハズレ目がある。
不正解押し順で停止ボタン5a~5cが操作された場合、押し順ベルこぼし目に対応する図柄の組合せを停止させることができなければ、取りこぼしが発生し、ハズレ目(「リプレイ・チェリー・ベル」など)が停止表示される。
押し順ベルこぼし目に対応する図柄の組合せが停止した場合には、1枚のメダルが付与され、ハズレ目に対応する図柄の組合せが停止した場合には、メダルが付与されないようになっている。
【0037】
押し順ベル役B3~B6は、4通りある押し順のうち、1通りの押し順(正解押し順)によって停止ボタン5a~5cが操作されることで、対応する図柄の組合せが停止表示され、他の3通りの押し順(不正解押し順)によって停止ボタン5が操作された場合には、対応する図柄の組合せが停止表示されないようになっている。
具体的には、押し順ベル役B3は、正解押し順が「5b→5a→5c」(中→左→右:中1ST押し)に設定され、押し順ベル役B4は、正解押し順が「5b→5c→5a」(中→右→左:中1ST押し)に設定され、押し順ベル役B5は、正解押し順が「5c→5a→5b」(右→左→中:右1ST押し)に設定され、押し順ベル役B6は、正解押し順が「5c→5b→5a」(右→中→左:右1ST押し)に設定される。
【0038】
なお、ベル役には、押し順ベル役とは対応する図柄の組合せがなる共通ベル役を設けてもよい。例えば、共通ベル役は、停止ボタン5a~5cに対する押し順に関係なく対応する図柄の組合せ(「ベル・リプレイ・ベル」)が停止するようにしてもよい。
【0039】
また、本実施形態に係るメダルレス遊技機1は、押し順ベル役に関する遊技状態として、AT(アシストタイム)を発生可能となっている。
ATは、内部抽選処理によって押し順ベル役に当選したゲームにおいて、副制御部20が表示器8等を制御することにより、停止ボタン5a~5cに対する正解押し順や目押しの目安となる図柄等を報知する状態である。
すなわち、主制御部10及び副制御部20は、内部抽選処理の抽選結果として押し順ベル役となったゲームにおいて、図柄の組合せを導出するための停止操作に関する情報を報知するための制御を実行する。
したがって、ATの発生により遊技者が容易にメダルを獲得することが可能であり、AT中は、非AT中に比べて出玉スピードが速くなる。ATが継続して実行される遊技状態として、後述するAT状態がある。
【0040】
例えば、押し順の報知は、押し順ベル役1に当選した場合には、「1」、「2」、「3」の文字情報からなる押し順を、左から順に表示器8に表示し、「左」、「中」、「右」の音声をスピーカ9から出力し、ナビランプ12を、12a(左)、12b(中)、12c(右)の順で点灯することにより、停止ボタン5の押し順を報知する。
なお、表示器8、ランプ11、ナビランプ12、スピーカ9等の出力手段や報知手段によって押し順がナビゲートされることを「押し順ナビ」ともいう。
非ATでは、内部抽選処理の当選結果が押し順ベル役あっても、停止ボタン5の押し順が報知されない。このため、遊技者は、操作した停止ボタン5の操作順序が、偶然に当選した押し順ベル役に対応する押し順と一致しない限り、基本的に、当選した押し順ベル役に対応する図柄の組合せを、停止表示させることができない。
このため、メダルレス遊技機1の遊技性は、遊技者がATに長期間制御されるような遊技を行うことにより、出玉を増やすといったものになる。
【0041】
後述するAT状態では、滞在する遊技状態に応じて、押し順ナビの発生頻度が変化するように制御される。
例えば、通常AT状態では、押し順ベル役B3~B6が当選した場合、原則、押し順ナビを実行しないように制御され、一方、上位AT状態では、押し順ベル役B3~B6が当選した場合、現在の純増状態(後述する)に応じて所定の確率(例えば、100%、70%、0%)で押し順ナビを実行するように制御される。
これにより、通常AT状態よりも上位AT状態の方がAT状態中に遊技者が獲得可能なメダル数が多くなるように(純増枚数が多くなるように)制御される。
【0042】
チェリー役は、対応する図柄の組合せを「チェリー・ANY・ANY」とする小役であり、「チェリー」図柄が左リール41aの上段又は下段に停止する弱チェリー役と、「チェリー」図柄が左リール41aの中段に停止する強チェリー役とがある。
スイカ役は、対応する図柄の組合せを「スイカ・スイカ・スイカ」とする小役である。
1枚役は、対応する図柄組合せを「ベル・ベル・リプレイ」とする小役である。したがって、1枚役の入賞時には上記した「押し順ベルこぼし目」と同様の図柄組合せが停止することとなる。
【0043】
リプレイ役は、押し順に関係なく図柄の組合せが揃い、入賞ライン上に「リプレイ・リプレイ・リプレイ」の図柄の組合せが停止表示する。
チャンス役は、対応する図柄組合せを、「ベル・スイカ・スイカ」(チャンス目)とする小役である。
また、レア役は、所定のリールにおける入賞に対応する図柄を狙った停止操作(所謂目押し操作)を要するものとなっていて、当選して引込停止制御が行われた場合でも必ず対応する図柄組合せが停止するものとはなっていない。
【0044】
ボーナス役は、対応する図柄の組合せを「BAR・BAR・BAR」とする役であり、その入賞により遊技状態をボーナス状態に移行させる役である。
ボーナス役は、当選した遊技及び当該遊技以降の遊技においても対応する図柄の組合せが停止(ボーナス役が入賞)しない限り、当選した権利を持ち越すことが可能である。このため、対応する図柄の組合せが停止することでボーナス役が入賞するまでの期間は、ボーナス当選の成立状態が維持される(以下、この状態を「ボーナス当選状態」という)。通常のゲームでは、殆どの期間、ボーナス当選状態中において実行されることとなる。
一方、ボーナス役に当選し、ボーナス役に対応する図柄の組合せが停止表示する(ボーナス役が入賞する)と、ボーナス状態に移行し、当該ボーナス状態の終了後にボーナス役の当選の権利を持ち越していない非持越し状態(以下、この状態を「ボーナス非当選状態」という。)となる。
なお、ボーナス状態においては、メダルの増減がほぼないように役の抽選が行われるもの(所謂ゼロボ)となっている。
【0045】
また、ボーナス役は、リプレイ役に当選した場合の所定の割合で重複して当選する。
ボーナス役がリプレイ役と重複して当選した場合は、主制御部10は、ボーナス役に対応する図柄の組合せは、最も低い優先順位でリール制御を行う。
したがって、ボーナス役が重複して当選した遊技において、基本的にはボーナス役に対応する図柄の組合せは停止させることはできず、リプレイ役に対応する図柄の組合せが停止することとなり、ボーナス当選状態が以降の遊技においても継続する(持ち越される)こととなる。
なお、これに限らず、ボーナス役は、単独で当選してもよい。
【0046】
以上のような図柄の組合せに基づいて、小役、リプレイ役、ボーナス役の入賞の有無がそれぞれ判定される。判定の結果、入賞と判定した場合には、図6に示すように、遊技価値が付与される(メダルが払い出される)。すなわち、主制御部10は、図柄の停止態様に応じた遊技価値(メダル)を付与する遊技価値付与手段を備えている。
例えば、押し順ベル役A1~A6において、対応する図柄の組合せが停止表示した場合には、10枚のメダルが払い出され、押し順ベル役B3~B6において、対応する図柄の組合せが停止表示した場合には、13枚のメダルが払い出される。
また、押し順ベル役については、AT状態中において、遊技者が保有するメダルが増加するような当選確率に設定されている。
【0047】
スイカ役に対応する図柄の組合せが停止した場合には、6枚のメダルが払い出され、弱チェリー役、強チェリー役、チャンス役及び1枚役の各当選役に対応する図柄の組合せが停止した場合には、夫々1枚のメダルが払い出される。
また、リプレイ役に対応する図柄の組合せの停止表示により、次ゲームにおいてメダルの投入を行うことなく、再遊技が可能な状態となる。
また、ボーナス役に対応する図柄の組合せが停止した場合には、メダルの払い出しはされない。
【0048】
なお、各当選役に対応する図柄の組合せが停止表示した場合に払い出されるメダルの数は、上記の枚数以外でもよい。
また、各当選役に対応する図柄の組合せは、上記以外でもよく、目押し操作を必要する図柄で構成するようにしてもよいし、目押し操作を必要としない図柄で構成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、ベット数に関わらずメダルの払い出し数を同数に想定しているが、ベット数に応じてメダルの払い出し数を異ならせてもよい。
【0049】
(各役の当選確率)
次に、図5を参照して、各役の当選確率について説明する。
図5は、ボーナス当選状態において、各役の抽選に用いられる内部抽選テーブルを示している。
内部抽選テーブルは、主制御部10による内部抽選処理において取得する乱数値の取得範囲(個数)を65536個とし、そのうちの当たり値(当選)の個数を各々示している。
各役に当選する確率は、図5に示すように、例えば、確率設定装置16での設定値が設定1であった場合には、リプレイ役は、8982/65536の確率で設定され、1枚役は、14400/65536の確率で設定され、弱チェリー役は、650/65536の確率で設定され、強チェリー役は、164/65536の確率で設定され、スイカ役は、919/65536の確率で設定され、チャンス役は、491/65536の確率で設定され、押し順ベル役A1~A2は、2885/65536の確率で設定され、押し順ベル役A3~A6は、6492/65536の確率で設定され、押し順ベル役B3~B6は、2048/65536の確率で設定されている。
このように、ボーナス当選状態では、各役の当選確率は、押し順ベル役>1枚役>リプレイ役>スイカ役>弱チェリー役>チャンス役>強チェリー役の関係性で設定されている。
また、詳細な説明は省略するが、設定2~6での各役の当選確率も、図示するような値に設定されている。
【0050】
図5に示す各役の当選確率は、ボーナス当選状態の値であるが、ボーナス役に当選していない状態(ボーナス非当選状態)においても、同様の当選確率となっている。ただし、ボーナス非当選状態においては、リプレイ役の当選と同時にボーナス役にも当選することとなる。
【0051】
なお、各役の当選確率の関係性は、図5に示すもの以外でもよい。
また、当選確率は、設定値に応じて当選確率が変動する当選役(例えば、弱チェリー役)と設定値に応じて当選確率が変動しない当選役を設けているが、これに限らず、全設定値共通としてもよい。
また、弱チェリー役以外の役についても、高設定である程、当選確率が高くなるように設定してもよく、又は、低くなるように設定してもよい。
また、3ベットゲームにおける各役の当選確率を示しているが、3ベットゲーム以外の場合の各役の当選確率としてもよい。
また、当選役には、ハズレ役を設けていないが、ハズレ役を設けてもよい。
【0052】
(通常区間、有利区間)
本実施形態に係る主制御部10は、後述する遊技状態とは別に、遊技区間として通常区間(非有利区間)及び有利区間のいずれかに制御することが可能な区間制御手段を備えている。
通常区間は、押し順ベル役に係る押し順ナビが実行されることのない遊技区間であり、有利区間が終了された後、次ゲームが開始されることで開始され、有利区間移行条件が成立することで終了する。
また、主制御部10の初期状態(リセット時)には通常区間に制御される。
【0053】
本実施形態では、有利区間移行条件の成立としては、内部抽選処理において所定の役(例えば、1枚役以外の役)に当選することであり、当選ゲームの第3リール停止操作後に、通常区間から有利区間に移行する。
なお、有利区間移行条件の成立を、レア役に当選した場合としてもよく、また、例えば、所定の当選役に対応する図柄の組合せの停止表示又は所定の当選役に対応しない図柄の組合せの停止表示(例えば、ハズレ目又は押し順ベルこぼし目)等によって、移行するようにしてもよい。
また、メダル数が増加する遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、AT状態)へ移行したことを条件に有利区間に移行させ、有利な遊技状態が連続した場合には有利区間を継続させるようにしてもよい。
【0054】
有利区間は、押し順ベル役に係る押し順ナビが実行可能な遊技区間であり、押し順ナビが実行されることで通常区間と比較して遊技者にとって有利な遊技区間である。
また、有利区間は、通常区間において有利区間移行条件が成立した後に、所定の有利区間の終了条件が成立することで終了される。
有利区間の終了条件としては、例えば、メダルレス遊技機1(主制御部10)がリセット(設定変更時も含む)された場合等がある。
なお、本実施形態では、基本的には、AT状態の終了時には有利区間は継続するものとなっているが、AT状態の終了時に有利区間の終了条件を成立させるようにしてもよいし、AT状態終了時の差枚数に応じて有利区間を終了するか否かを決定するようにしてもよい。
また、点灯により有利区間中であることを報知可能な有利区間ランプを設けて、主制御部10により点灯制御を行うようにしてもよい。
また、有利区間ランプを設けた場合に、有利区間中で、かつ、メダルが増加する遊技状態(例えば、AT状態)中に点灯するようにしてもよい。
【0055】
さらに、メダルレス遊技機1には、遊技者が獲得するメダル数を制限するためのリミッタ機能(以降、有利区間リミッタともいう)が設けられており、有利区間リミッタが作動した場合にも有利区間の終了条件が成立するようになっている。
例えば、有利区間リミッタは、「1回の有利区間中の獲得枚数(差枚数(投入されたメダル数-払い出されたメダル数))が、上限枚数(例えば、+2400枚)に到達したこと」の条件を満たすことである。
したがって、有利区間リミッタは、1回の有利区間における差枚数が上限枚数に達した場合に作動することとなる。
また、上限枚数の条件を「1回の有利区間中の獲得枚数(純増枚数(所謂MY))が、上限枚数(例えば、2400枚)に到達したこと」としてもよい。
【0056】
なお、上記の有利区間の終了条件は、「1回の有利区間中のゲーム数(有利区間ゲーム数)が、上限ゲーム数(例えば、4000ゲーム)に到達したこと」の条件を満たす場合に成立するようにしてもよい。すなわち、有利区間リミッタを、1回の有利区間におけるゲーム数が上限ゲーム数に達した場合に作動するようにしてもよい。
なお、有利区間の終了条件は、上記に限らず、例えば、「少なくとも1回の押し順ベルの報知がされたこと」、「ボーナス役に対応した図柄の組合せが停止表示されたこと」等を含めてもよい。
また、有利区間中に所定の当選役(通常区間移行役)に当選したことを契機に、有利区間を終了し、通常区間に移行するようにしてもよい。
【0057】
有利区間が終了した場合には、遊技に関する情報のうち、ボーナスの当選権利は持ち越されるものの、その他の情報は初期化される。例えば、後述する各カウンタの値や各遊技状態中に管理される各種情報(例えば、確率状態、純増状態、小役の連続当選回数、当選役の履歴、セットストック(後述する))は、有利区間が終了した場合に初期化される。
なお、これに限らず、有利区間の終了で初期化される情報のうち、一部又は全ての情報について、初期化されないようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態のメダルレス遊技機1には、遊技者が獲得するメダル数を制限するための機能として、メダルレス遊技機1の電源が投入されてから遮断されるまでに遊技者側が実際に獲得するメダル数(純増枚数)を制限する所謂コンプリート機能(単にコンプリートともいう)を設けている。
具体的には、メダルレス遊技機1の電源が投入されてから遮断されるまでの純増枚数(MY)が所定数(コンプリート値である+19000枚)に達した場合に、ゲーム実行不能状態として、その後のゲームが不能となる遊技停止状態にするようにしている。
したがって、遊技場の営業中において、遊技者側が獲得するメダル数が制限されることとなる。
また、遊技場の営業中に、1回の有利区間中における差枚数が極めて小さい値となっていて、有利区間リミッタ機能が作動するまでに極めて多数のメダルを遊技者が獲得可能な状態となっていても、有利区間リミッタ機能が作動するまでにコンプリート機能が先に作動することとなり、差枚数が極めて小さい値となっていた場合でも、遊技場側の不利益が極めて大きくなってしまうことを防止可能となる。
【0059】
(遊技に関するカウンタ)
有利区間中は、主制御部10が計数手段として動作することにより、以下に示すカウンタの計数結果を記憶部に記憶する。
・有利区間ゲーム数カウンタ(以下、カウンタAともいう。)…有利区間中のゲーム回数の計数値
・有利区間差枚数カウンタ(以下、カウンタBともいう。)…有利区間中の獲得枚数(差枚数)の計数値
【0060】
カウンタBは、有利区間リミッタに関するカウンタである。
主制御部10は、通常区間から有利区間に移行すると、有利区間中に実行したゲーム回数の計数(カウンタA)と、有利区間中に獲得したメダル枚数の計数(カウンタB)を開始し、カウンタBの示す値が特定値(+2400枚)に到達した場合に、有利区間を強制的に終了する。
なお、カウンタAを、有利区間リミッタに関するカウンタとして用いてもよく、例えば、カウンタAの示す値が特定値(4000ゲーム)に到達した場合に、有利区間を強制的に終了してもよい。
カウンタA及びカウンタBの値は、有利区間が終了した場合に初期化(ゼロクリア)される。
【0061】
カウンタBは、1回の有利区間における遊技者側が消費(ベット数として入力)したメダル数と、払い出(付与)されたメダル数の差数を主制御部10が監視するためのカウンタであり、消費メダル数と払い出しメダル数との差枚数(差遊技価値)を計数可能である。
また、カウンタBは、初期化されない限り、ゲームの実行に際して消費されたメダルの総数が、ゲームの結果により払い出されたメダルの総数よりも大きくなった場合も計数されるものとなっている。
【0062】
これにより、有利区間中において遊技者側が実際に獲得したメダルがなく、メダルの消費のみが行われている場合も、そのときの消費メダル数(遊技者側が損失したメダル数)を計数可能である。
すなわち、主制御部10は、有利区間における遊技価値(メダル)の付与数よりも、有利区間における遊技価値の消費数の方が多くなった場合もカウンタBの値を計数可能である。
【0063】
本実施形態に係るメダルレス遊技機1は、このような構成に加えて、以下に示すような遊技状態と、この遊技状態に基づく特徴的なゲーム性を備えている。
各遊技状態は、主制御部10が遊技状態制御手段として動作することにより、それぞれの遊技状態に制御(以下、移行ともいう)される。
【0064】
(各遊技状態の詳細)
次に、図7を参照して、本実施形態に係るメダルレス遊技機1の各遊技状態と、各遊技状態の遷移について説明する。
なお、主制御部10は、通常区間及び有利区間の移行制御と遊技状態間の移行制御を、独立して行うことができる。
以下、特に説明がない場合には、各遊技状態から他の遊技状態への移行タイミングは、基本的に、移行条件が成立した遊技の第3リール停止操作後(若しくは、メダルの払い出し終了後)である。なお、これに限定されず、移行条件の成立後、次ゲームから移行してもよい。
【0065】
図7に示すように、本実施形態に係るメダルレス遊技機1の遊技は、通常遊技状態、AT状態等の複数の遊技状態において実行される。
主制御部10は、所定の移行条件が成立することに基づいて、一の遊技状態から他の遊技状態へと移行するように制御可能である。
通常遊技状態は、非ATに制御され、AT状態は、ATに制御される。
通常遊技状態においては、長期間滞在する程、遊技者のメダルが増加しにくい期間が長くなり、遊技者にとって不利になる。一方、AT状態は、遊技を続けることでメダルが増加しやすく、遊技者にとって有利な遊技状態である。
そのため、遊技者は、非ATに制御される通常遊技状態からATに制御されるAT状態への移行を目指し、AT状態に長く滞在することを目指して遊技を行うことになる。
なお、通常遊技状態を一部AT、すなわち押し順ベル役当選時の所定の確率(例えば、40%)で押し順ナビを実行するように制御してもよい。
【0066】
(通常遊技状態)
通常遊技状態は、メダルレス遊技機1のリセット時、設定値が変更(設定値の打ち直しも含む)された場合又は有利区間が終了した場合等に滞在する。また、AT状態の終了後に突入する場合がある。
メダルレス遊技機1(主制御部10)がリセットされた場合に滞在する通常遊技状態では、通常区間(非有利区間)に制御される。
また、通常遊技状態中は、表示器8の画面主要部に通常遊技状態中であることを報知する通常遊技状態画像が表示される。
【0067】
通常遊技状態では、様々な契機でAT状態への移行抽選が行われる。
例えば、本実施形態では、複数ゲームに亘る内部抽選処理の抽選結果(当選役)の履歴に基づいて、AT状態への移行抽選が行われる(以下、履歴抽選という。)。
具体的には、履歴抽選は、複数ゲームに亘る役の当選履歴の組合せが、特定のパターンのときに抽選条件が成立となり、そのゲームにおいて、所定の当選確率に基づいてAT状態への移行抽選を行う。
すなわち、主制御部10は、ゲームの実行毎に行われる所定の抽選の抽選結果に基づいて特定遊技状態(AT状態)の制御に関する判定を実行可能な判定手段として機能する。
なお、通常遊技状態中の履歴抽選の詳細は後述する。
【0068】
また、通常遊技状態では、レア役の当選を契機として、AT状態への移行抽選が行われる。
例えば、主制御部10は、通常遊技状態中のゲームにおいて、弱レア役に当選した場合の所定確率(例えば、10%)、強レア役に当選した場合の所定確率(例えば、30%)で当選するようなAT状態への移行抽選が行われる。
また、確率設定装置16に設定されている設定値が高い方が、AT状態に移行する確率が高くなるように設定してもよい。
【0069】
なお、通常遊技状態からAT状態へ移行するための移行条件としては、上記の移行抽選によるもの以外でもよい。
例えば、通常遊技状態中(有利区間滞在中のみ)のゲームの実行回数又は通常遊技状態中(非有利区間滞在中も含む)のゲームの実行回数が所定回数となった場合に、AT状態に移行させるようにしてもよい。
また、通常遊技状態中の役の抽選結果に応じて所定のポイントを付与し、このポイントの加算値が所定数となった場合に、AT状態に移行させるようにしてもよい。また、ポイントの加算値が所定数となった場合に、抽選を行い、当該抽選に当選した場合にAT状態に移行させるようにしてもよい。
また、通常遊技状態中に、毎ゲーム、所定の当選確率(例えば、0.01%)でAT状態への移行抽選を行ってもよい。当該抽選に当選した場合には、セットストック(後述する)を複数付与した状態でAT状態へ移行するようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、通常遊技状態から直接AT状態に移行するようにしているが、通常遊技状態よりもAT状態に移行し易いCZ状態(所謂チャンスゾーン)を設け、通常遊技状態からCZ状態を介してAT状態に移行するようにしてもよい。
また、通常遊技状態では、AT状態への移行確率が相対的に低い通常確率状態と、相対的に高い高確率状態とを設けることで、移行確率を変更可能としてもよい。確率状態の移行は、例えば、レア役当選時の所定の確率で通常確率状態から高確率状態に移行(昇格)するような制御を行い、例えば、リプレイ役当選時、ベル役当選時及びハズレ役当選時の所定の確率で高確率状態から通常確率状態へ移行(降格)する制御が行われるようにしてもよい。
【0071】
AT状態への移行抽選に当選した場合は、主制御部10は、当選した次ゲームで、通常遊技状態からAT状態へ移行するように制御する(図7の矢印a)。
なお、AT状態へ移行する場合には、所定ゲーム数の前兆演出の実行後に移行するようにしてもよい。前兆演出は、演出内容が変化したことを遊技者が認識でき、期待感を高めるものであれば何れでもよい。
【0072】
(AT状態)
AT状態(特定遊技状態)は、ATに制御されるため、押し順ベル役に対する押し順ナビが行われることでメダルの獲得が極めて容易な遊技状態である。
AT状態には、通常AT状態と、通常AT状態よりも遊技者に有利な上位AT状態が設けられており、各々異なる遊技内容を実現可能としている。
初当たり時(通常遊技状態からの移行時)の通常AT状態と上位AT状態の移行先の振り分けは、例えば、AT状態の移行抽選に当選した際に、所定の振分率に基づいて決定される。例えば、初当たり時における有利区間ゲーム数や有利区間差枚数に基づいて振り分けを行うことができる。また、確率設定装置16に設定されている設定値が高い方が、上位AT状態に移行する確率が高くなるように設定してもよい。
なお、これに限らず、原則、通常AT状態に移行するように制御し、特定の条件が成立した場合(例えば、所定の当選確率(例えば、0.01%)でAT状態への移行抽選に当選した場合)のみ、上位AT状態に移行するようにしてもよい。
【0073】
(通常AT状態)
通常AT状態(第1特定遊技状態)は、初当たり時(通常遊技状態からの移行時)に規定ゲーム数(例えば、100ゲーム)が残りゲーム数として付与され、ゲームの実行により残りゲーム数が減算され、残りゲーム数が「0」となるまで継続する(所謂セット継続型)。
通常AT状態は、押し順ベル役A1~A6が当選した場合、100%の確率で押し順ナビが実行され、押し順ベル役B3~B6が当選した場合、押し順ナビが実行されないように制御されることで、1ゲームあたりの純増枚数が約3枚のAT状態である。
なお、押し順ベル役A1~A6が当選した場合、所定の確率(例えば、10%)で押し順ナビが実行されないようにしてもよく、押し順ベル役B3~B6が当選した場合、所定の確率(例えば、10%)で押し順ナビが実行されるようにしてもよい。
【0074】
通常AT状態では、当選した役の種類に応じて、ポイントの付与抽選が行われる。例えば、内部抽選処理において当選確率の低い役に当選するほど、より多数のポイントが付与されるようになっている。
そして、通常AT状態の最終ゲームにおいて、各ゲームにおいて加算されたポイントの合計値が算出されて、当該合計値に基づいて次セットの新たなAT状態を継続させるための継続抽選が行われる。例えば、ポイントの合計値が多いほど、継続抽選に当選し易くすることができる。
【0075】
通常AT状態では、AT状態の継続抽選として、上記の抽選以外に、履歴抽選による継続抽選が行われる。
通常AT状態において実行される履歴抽選は、通常遊技状態において実行される履歴抽選と同様に、役の当選履歴の組合せが、特定のパターンのときに抽選条件が成立となり、そのゲームにおいて、所定の当選確率に基づいてAT状態の継続抽選を行う。
なお、通常AT状態中の履歴抽選の詳細は後述する。
【0076】
通常AT状態において、AT状態の継続抽選に当選した場合には、主制御部10は、AT状態の実行権利(セットストック)を付与し、実行中の通常AT状態のゲーム数を消化した後に、次セットの通常AT状態を開始するように制御する。
セットストックは、1つ又は2つ以上が付与され、次セットの通常AT状態が継続することで1つ消失する。
一方、通常AT状態の最終ゲームにおいて、AT状態の継続抽選に非当選の場合には、AT状態の終了条件が成立して、主制御部10は、次ゲームから通常遊技状態に移行するように制御する(図7の矢印e)。
【0077】
また、通常AT状態が所定期間継続した場合には、主制御部10は、通常AT状態よりも有利な上位遊技状態に移行するように制御する(図7の矢印b)。
例えば、通常AT状態が、連続で所定セット数(例えば、8セット)継続した場合には、次セットから上位AT状態に移行する。
なお、これに限らず、通常AT状態中に遊技者が獲得したメダル数(純増枚数)が所定数となった場合や、払い出されたメダル数が所定数となった場合に上位AT状態へ移行するようにしてもよい。
【0078】
また、通常AT状態において、特化ゾーンへの移行条件が成立した場合には、主制御部10は、特化ゾーンに移行するように制御する(図7の矢印c)。
例えば、通常AT状態中に、レア役に当選した場合、特化ゾーンへの移行抽選が行われる。例えば、設定値が1の場合、5%の当選確率で特化ゾーンへの移行権利が付与され、確率設定装置16に設定されている設定値が高くなるほど当選確率が高くなるように設定してもよい。
特化ゾーンへの移行抽選に当選した場合には、次ゲームで特化ゾーンに移行してもよいし、所定ゲーム数が実行された後に特化ゾーンへ移行してもよい。
通常AT状態から特化ゾーンへの移行時には、残りゲーム数の減算は中断されて、特化ゾーンから通常AT状態への復帰により残りゲーム数の減算が再開される。したがって、特化ゾーン中のゲームにおいては、残りゲーム数の減算は行われないこととなる。
【0079】
なお、通常AT状態中は、残りゲーム数を加算する上乗せ抽選を行うこともできる。例えば、レア役の当選を契機として上乗せ抽選を実行し、当該抽選に当選した場合には、所定ゲーム数を残りゲーム数に加算することでAT状態の継続期間が延長される。
上乗せ抽選の当選確率は、確率設定装置16での設定値に応じて変化させるようにしてもよく、当選役に応じて上乗せされるゲーム数を変化させるようにしてもよい。
【0080】
(上位AT状態)
上位AT状態(第2特定遊技状態、第3特定遊技状態)は、初当たり時(通常遊技状態からの移行時)又は通常AT状態からの移行時に規定ゲーム数(例えば、100ゲーム)が残りゲーム数として付与され、ゲームの実行により残りゲーム数が減算され、残りゲーム数が「0」となるまで継続する(所謂セット継続型)。
上位AT状態は、押し順ベル役A1~A6が当選した場合、100%の確率で押し順ナビが実行され、押し順ベル役B3~B6が当選した場合、現在の純増状態に応じて押し順ナビが実行されるように制御され、1ゲームあたりの純増枚数が可変するAT状態である。
純増状態として、例えば、1ゲームあたりの純増枚数が約3枚の純増状態(3枚純増状態(第1の第2特定遊技状態))、1ゲームあたりの純増枚数が約5枚の純増状態(5枚純増状態)、1ゲームあたりの純増枚数が約7枚の純増状態(7枚純増状態(第2の第2特定遊技状態))が設けられており、これらの純増状態が上位AT状態中に変更するように制御される。
また、3枚純増状態に制御されている場合には、押し順ベル役B3~B6が当選した場合、押し順ナビが実行されないように制御され、5枚純増状態に制御されている場合には、押し順ベル役B3~B6が当選した場合、例えば70%の確率で押し順ナビが実行され、7枚純増状態に制御されている場合には、押し順ベル役B3~B6が当選した場合、100%の確率で押し順ナビが実行されるように制御される。
このように、上位AT状態中は、純増枚数が多い純増状態に制御されているほど、押し順ベル役B3~B6に対応する押し順ナビの実行率が高くなるように制御される。
なお、押し順ナビの実行率は、適宜変更できるものとする。
すなわち、上位AT状態中は、通常AT状態よりも、一回のゲーム実行毎に獲得可能な遊技価値の平均値が高くなるように制御される。
また、上位AT状態中は、現在の純増状態を遊技者に対して報知しないようになっている。なお、これに限らず、所定の契機で報知するようにしてもよい。
【0081】
上位AT状態中は、セットストック抽選が行われる。
セットストック抽選は、例えば、所定のレア役に当選した場合、所定の当選確率に基づいてセットストックの付与抽選が行われる。例えば、弱チェリー役<チャンス役<強チェリー役の関係性に基づいて当選し易くなっている。
セットストック抽選に当選した場合には、1つ又は2つ以上のセットストックが付与される。
【0082】
また、上位AT状態の最終ゲームにおいて、AT状態の継続抽選が行われる。
継続抽選は、例えば、予め定められた当選確率に基づいて、次セットの新たなAT状態を継続させるか否かの抽選が行われる。この場合、当選確率は、通常AT状態よりも高い確率で継続するように設定することが好ましい(例えば、80%の当選確率)。
継続抽選に当選した場合には、1つ又は2つ以上のセットストックが付与される。
【0083】
上位AT状態の最終ゲームにおいて、セットストックを保有している場合には、次セットの上位AT状態を開始するように制御する。
一方、上位AT状態の最終ゲームにおいて、セットストックを保有していない場合には、AT状態の終了条件が成立して、主制御部10は、次ゲームから通常遊技状態に移行するように制御する(図7の矢印e)。
【0084】
また、上位AT状態では、通常AT状態とは異なり履歴抽選が行われないようになっている。
これにより、上記の継続抽選に加えて、履歴抽選による当選によって上位AT状態が継続することを防止できるため、遊技者に対して過度の利益が付与されることを防止することができる。
なお、これに限らず、上位AT状態では、履歴抽選のうち一部の抽選の実行のみ制限することも可能である。例えば、後述するベル役に関する抽選(押し順ベル役3連、押し順ベル役4連、押し順ベル役5連)のみ行わないようにしてもよい。
これにより、押し順ナビの実行頻度が高い上位AT状態において、履歴抽選の抽選条件となる押し順ベル役3~5連が成立することを防止することができるため、上位AT状態が過度に継続することを防ぐことができる。
また、上位AT状態では、例えば、履歴欄内外抽選(後述する)のみ実行可能とし、履歴欄内抽選(後述する)の実行を制限してもよい。
これにより、履歴抽選の抽選条件となる判定パターンを減らすことで、上位AT状態が過度に継続することを防ぐことができる。
また、現在の純増状態に応じて履歴抽選の実行を制限してもよく、例えば、純増状態が7枚純増状態の場合のみ履歴抽選の実行を制限してもよい。
なお、上位AT状態において、特化ゾーンに移行するようにしてもよく、例えば、所定の役に当選したことに基づいて特化ゾーンへの移行抽選を行ってもよい。
【0085】
(特化ゾーン)
特化ゾーン(第3特定遊技状態)は、予め定められたゲーム数(例えば、20ゲーム)の期間継続し、予め定められたゲーム数が実行された場合には、主制御部10は、次ゲームから通常AT状態に移行するように制御する(図7の矢印d)。
特化ゾーン中は、各ゲームにおいて所定の特典を付与する上乗せ抽選が行われる。すなわち、特化ゾーンは、上乗せに特化した遊技状態であり、遊技者にとって有利な遊技状態である。
例えば、レア役の他、リプレイ役以外の全ての役が上乗せ抽選の契機役となり、所定の特典として多数のゲーム数が付与(上乗せ)される可能性が高められる。
上乗せ抽選に当選した場合には、付与された特典に応じてAT状態の継続期間が延長されることとなる。
なお、特典として、ポイントを付与(上乗せ)してもよく、この場合、通常AT状態中よりも高い確率でポイントが付与されるようにしてもよい。
【0086】
また、特化ゾーン中は、履歴抽選のうち一部の抽選を実行しないようになっている。例えば、後述するベル役に関する抽選(押し順ベル役3連、押し順ベル役4連、押し順ベル役5連)は行われないようになっている。
一方、後述するレア役に関する抽選(履歴欄内におけるレア役の複数当選)は行うようになっている。
これにより、押し順ベル役3~5連の条件成立による履歴抽選が行われないように制御することで、遊技者に対して過度の利益が付与されることを防止することができるとともに、レア役の当選による履歴抽選を行うことでAT状態の継続(セットストックの獲得)の期待が残るため、バランスの取れた遊技性を提供することができる。
なお、これに限らず、特化ゾーン中は、全ての履歴抽選を行わないようにしてもよい。
【0087】
(履歴抽選)
次に、図8、9を参照して、履歴抽選について詳しく説明する。
本実施形態におけるメダルレス遊技機1は、前述したように、複数ゲームに亘る内部抽選処理の抽選結果(当選役)の履歴に基づいて、AT状態の制御に関する履歴抽選を行う。
まず、履歴抽選において参照する当選役の履歴について説明する。
副制御部20は、複数ゲームに亘る当選役の履歴を管理する。
具体的には、記憶部(記憶手段)の所定の記憶領域に複数ゲームに亘る当選役の履歴を記憶する。
例えば、記憶領域における所定のアドレス(XXXXH)に今回ゲームの当選役の種類を記憶し、上記アドレスの次のアドレス(XXXX+1H)に1ゲーム前の当選役の種類を記憶し、上記アドレスの次のアドレス(XXXX+2H)に2ゲーム前の当選役の種類を記憶し、以降同様に、それ以前のゲームの当選役の種類を順次アドレスに記憶する。
なお、履歴として過去何ゲーム分記憶するかは、任意の値に設定することができる。また、上記の記憶領域がクリア(初期化)されるタイミングは、例えば、有利区間終了時でもよく、他の契機でもよい。
【0088】
副制御部20は、主制御部10から今回ゲームにおける当選対象コマンドを受信すると、各記憶領域に記憶されている当選役の種類を、上位の記憶領域(上位アドレス)にシフトするとともに、新たに受信した当選役の種類を今回ゲーム分の記憶領域に記憶する。
そして、1ゲームが終了したと判定したときには、副制御部20は、表示器8に当選役の履歴に対応する情報(履歴情報)を表示させるように制御する。
【0089】
(履歴情報)
履歴情報は、当選役を識別可能な情報であり、例えば、当選役に対応する図柄の組合せを構成する一部の図柄画像などからなる。
図8に示すように、履歴情報は、表示器8の表示領域のうち、予め定められた履歴情報表示領域に表示される。
図8に示す例では、通常遊技状態において、表示器8における右下の領域を履歴情報表示領域81とし、この履歴情報表示領域81を所定数(例えば4つ)の領域(81a~81d)に区分けして、並んで配置するとともに、区分けしたそれぞれの領域(表示欄)に各ゲームに対応する履歴情報Z0~Z3を割り当てて表示する。
例えば、履歴情報表示領域81aには今回ゲームの履歴情報Z0、履歴情報表示領域81bには1ゲーム前の履歴情報Z1、履歴情報表示領域81cには2ゲーム前の履歴情報Z2、履歴情報表示領域81dには3ゲーム前の履歴情報Z3というように、区分けされた履歴情報表示領域81のそれぞれの領域に、各ゲームに対応する履歴情報Z0~Z3を割り当てて表示する。
なお、履歴情報表示領域81の表示欄はZ0~Z3の4つとしたが、これに限らず、3つ以下又は5つ以上としてもよい。
【0090】
例えば、図8(a)に示す例は、今回ゲームで弱チェリー役に当選し、1ゲーム前のゲームで1枚役に当選し、2ゲーム前のゲームでスイカ役に当選し、3ゲーム前のゲームで押し順ベル役に当選した例を示しており、履歴情報Z0~Z3として役に対応する図柄画像が表示されている。
なお、当選役が1枚役の場合には、表示無しや、「×」などのマーク等を履歴情報とすることができる。
このような履歴情報Z0~Z3は、1ゲームの実行ごとに新たな履歴情報Z0が生成されることから、1ゲーム終了ごとに履歴情報表示領域81に表示される履歴情報が右にシフトするようになっている。
【0091】
具体的には、図8(a)に示す状況で、新たなゲームが実行され、例えばリプレイ役に当選した場合には、図8(b)に示すように、前回のゲームまでの履歴情報Z0~Z2の表示される領域がそれぞれ1つずつ右にシフトされ、履歴情報表示領域81aには、新たな履歴情報Z0としてリプレイ役に対応する図柄画像が表示される。
すなわち、ゲーム終了時に履歴情報表示領域81において、最も古い履歴情報Z3が消去されるとともに、前回のゲームまでの履歴情報Z0~Z2が右にシフトされ、最新(今回)のゲームに対応する履歴情報Z0が新たに追加される。
【0092】
また、副制御部20は、履歴抽選が行われたときには、その旨を識別可能な抽選実行情報を表示させる。
例えば、図8(c)に示す例は、履歴抽選が行われた旨を識別可能な抽選実行情報82を表示器8に表示させた場合である。
この例では、1ゲーム前と今回ゲームの2ゲーム連続して弱チェリーに当選したことで、後述する履歴抽選の抽選条件(履歴欄内におけるレア役の複数当選)を満たしたことから、履歴抽選が行われた旨を、履歴情報Z0と履歴情報Z1とを囲む画像により特定させる例である。
【0093】
また、通常AT状態では、履歴抽選によりAT状態の継続抽選が行われるが、通常AT状態中も通常遊技状態と同様に、継続抽選の対象となる履歴情報が履歴情報表示領域81に表示される。
一方、上位AT状態及び特化ゾーン(第3特定遊技状態)では、履歴抽選のうち一部の抽選又は全部の抽選が行われないことから、履歴情報の表示が制限されるようになっている。
具体的には、内部抽選処理の抽選結果のうち、特定の抽選結果に対応する履歴情報(特定履歴情報)は表示されないように制御される。
例えば、図8(d)に示す例は、今回ゲーム、1ゲーム前及び2ゲーム前のゲームで押し順ベル役に当選し、3ゲーム前のゲームでリプレイ役に当選した例を示している。
この場合、履歴情報Z3には、リプレイ役に対応する図柄画像が表示されるものの、履歴情報Z0~Z2には、押し順ベル役(特定の抽選結果)に対応する図柄画像(特定履歴情報)は表示されずに、「・」や「-」などのマーク等が履歴情報として表示される。
すなわち、副制御部20は、第3特定遊技状態において履歴表示領域に、特定の抽選結果に対応する履歴情報として特定履歴情報を表示しないように制御可能である。
これにより、履歴抽選の対象役(押し順ベル役)に対応する図柄画像が表示されることで、履歴抽選が行われるのではないかという疑義が遊技者に生じることを防止することができる。
なお、これに限らず、履歴抽選の対象ではない役(例えば、リプレイ役)に対応する図柄画像もマーク等の履歴情報で表示してもよい。
【0094】
(履歴抽選の判定パターン)
次に、履歴抽選の判定パターンについて説明する。
履歴抽選は、複数ゲームに亘る役の当選履歴の組合せが、特定のパターンのときに抽選条件が成立となり、そのゲームにおいて、パターンごとの抽選内容に基づいて抽選が行われる。
以下、図9を参照して、各判定パターンについて具体的に説明する。
なお、図9に示すような判定パターン情報は、予め記憶部に記憶されている。
【0095】
・通常遊技状態中の履歴抽選
通常遊技状態では、例えば、図9(a)に示す判定パターンに基づいて履歴抽選が行われる。
(1)「押し順ベル役3連」
今回ゲームを含む直近3ゲームにおいて、押し順ベル役が連続で当選した場合に抽選条件が成立する。
この場合、履歴情報表示領域81の履歴情報Z0~Z2には、押し順ベル役に対応する図柄画像が表示された状態となる。
当該抽選条件が成立した場合には、今回ゲームにおいて、30%の当選確率でAT状態への移行抽選が行われる。
なお、共通ベル役を設ける場合には、押し順ベル役に限らず、共通ベル役の当選も含めてもよい。
【0096】
(2)「押し順ベル役4連」
今回ゲームを含む直近4ゲームにおいて、押し順ベル役が連続で当選した場合に抽選条件が成立する。
この場合、履歴情報表示領域81の履歴情報Z0~Z3には、押し順ベル役に対応する図柄画像が表示された状態となる。
当該抽選条件が成立した場合には、今回ゲームにおいて、100%の当選確率でAT状態への移行抽選が行われる。すなわち、AT状態への移行が確定する。
なお、共通ベル役を設ける場合には、押し順ベル役に限らず、共通ベル役の当選も含めてもよい。
このように、押し順ベル役が連続して当選するほど、AT状態への当選確率が高くなるため、遊技中の当選役に注目を集めることができ、遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0097】
このように、判定パターン(1)及び(2)による履歴抽選は、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される履歴のみに基づいて抽選を行う「履歴欄内抽選」が行われる。
すなわち、主制御部10は、履歴表示領域に表示される履歴情報に対応する履歴に基づく一方、履歴表示領域に履歴情報が表示される対象となっていない履歴には基づかずに、特定遊技状態の制御に関する判定を実行可能な第1判定手段として機能する。
【0098】
(3)「弱チェリー役当選後、10ゲーム以内に押し順ベル役3連(但し、弱チェリー役の当選は履歴欄外に対応するゲーム)」
弱チェリー役の当選後、10ゲーム以内に今回ゲームを含む直近3ゲームにおいて、押し順ベル役が連続で当選した場合に抽選条件が成立する。
但し、弱チェリー役の当選履歴は、履歴情報表示領域81に履歴情報が表示される対象となっていない履歴の場合である。
つまり、弱チェリー役の当選により弱チェリー役に対応する図柄画像が履歴情報Z0に表示された後、ゲームの実行により順次右にシフトされ、履歴情報表示領域81の表示欄内から履歴情報が消去された状態であり、履歴情報Z0~Z2には、押し順ベル役に対応する図柄画像が表示された状態である(図9(a)参照)。
具体的には、弱チェリー役の当選後、2ゲーム後から10ゲーム後までの期間において、押し順ベル役が3連続で当選した場合に当該抽選条件が成立することになる。
当該抽選条件が成立した場合には、今回ゲームにおいて、70%の当選確率でAT状態への移行抽選が行われる。
なお、弱チェリー役の当選後、1ゲーム後から押し順ベル役が3連続で当選した場合には、当該抽選条件は成立せず、前述の判定パターン(1)の抽選条件が成立して、履歴欄内抽選が行われることになる。
【0099】
(4)「強チェリー役当選後、5ゲーム以内にチェリー役当選(但し、強チェリー役の当選は履歴欄外に対応するゲーム)」
強チェリー役の当選後、5ゲーム以内にチェリー役(弱チェリー役又は強チェリー役)が当選した場合に抽選条件が成立する。
但し、先の強チェリー役の当選履歴は、履歴情報表示領域81に履歴情報が表示される対象となっていない履歴の場合である。
つまり、強チェリー役の当選により強チェリー役に対応する図柄画像が履歴情報Z0に表示された後、ゲームの実行により順次右にシフトされ、履歴情報表示領域81の表示欄内から履歴情報が消去された状態であり、履歴情報Z0には、弱チェリー役又は強チェリー役に対応する図柄画像が表示された状態である(図9(a)参照)。
具体的には、強チェリー役の当選後、4ゲーム後又は5ゲーム後において、チェリー役(弱チェリー役又は強チェリー役)が当選した場合に当該抽選条件が成立することになる。
このように、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される第1の抽選結果(チェリー役)に対応する履歴と、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示されない第1の抽選結果(チェリー役)に対応する履歴とに基づいて、AT状態の移行抽選が行われる。
当該抽選条件が成立した場合には、今回ゲームにおいて、100%の当選確率でAT状態への移行抽選が行われるとともに、さらに、特化ゾーンへの移行も確定する。
なお、強チェリー役の当選後、1ゲーム後から3ゲーム後までの期間において、チェリー役(弱チェリー役又は強チェリー役)が当選した場合には、当該抽選条件は成立せず、後述するその他の判定パターン(1)「履歴欄内におけるレア役の複数当選」の抽選条件が成立して、履歴欄内抽選が行われることになる。
【0100】
このように、判定パターン(3)及び(4)による履歴抽選は、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される履歴と、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示されない履歴と、に基づいて抽選を行う「履歴欄内外抽選」が行われる。
すなわち、主制御部10は、履歴表示領域に表示される履歴情報に対応する履歴と、履歴表示領域に履歴情報が表示される対象となっていない履歴(ゲームの実行により履歴情報が消去されることで既に履歴表示領域に履歴情報が表示される対象となっていない履歴)と、に基づいて特定遊技状態の制御に関する判定を実行可能な第2判定手段として機能する。
【0101】
・通常AT状態中の履歴抽選
通常AT状態では、例えば、図9(b)に示す判定パターンに基づいて履歴抽選が行われる。
(1)「押し順ベル役3連」
抽選条件の成立契機や履歴情報表示領域81における履歴情報の表示態様は、上述した通常遊技状態中の判定パターン(1)と同様である。
当該抽選条件が成立した場合には、今回ゲームにおいて、10%の当選確率でAT状態への継続抽選が行われる。
(2)「押し順ベル役4連」
抽選条件の成立契機や履歴情報表示領域81における履歴情報の表示態様は、上述した通常遊技状態中の判定パターン(2)と同様である。
当該抽選条件が成立した場合には、今回ゲームにおいて、50%の当選確率でAT状態への継続抽選が行われる。
【0102】
(3)「押し順ベル役5連」
今回ゲームを含む直近5ゲームにおいて、押し順ベル役が連続で当選した場合に抽選条件が成立する。
この場合、履歴情報表示領域81の履歴情報Z0~Z3には、押し順ベル役に対応する図柄画像が表示され、4ゲーム前に当選した押し順ベル役に対応する図柄画像は、履歴情報表示領域81の表示欄内には表示されない。
当該抽選条件が成立した場合には、今回ゲームにおいて、100%の当選確率でAT状態の継続抽選が行われる。すなわち、AT状態の継続が確定する。
なお、共通ベル役を設ける場合には、押し順ベル役に限らず、共通ベル役の当選も含めてもよい。
【0103】
なお、判定パターン(1)~(3)が成立した場合には、次のように制御してもよい。
判定パターン(1)の成立を契機としてAT状態の継続抽選に当選した場合には、次ゲームで押し順ベル役が当選し、判定パターン(2)が成立した場合は、AT状態の継続を確定してもよい。つまり、「押し順ベル役3連」で継続抽選に当選した場合には、「押し順ベル役4連」では無条件でセットストックを付与してもよい。
また、判定パターン(1)の成立を契機としてAT状態の継続抽選に当選した場合には、次ゲームで、押し順ベル役ではなくレア役に当選した場合でも、判定パターン(2)が成立したと見做して、AT状態の継続を確定してもよい。
さらに、この場合、レア役当選の次ゲームで、押し順ベル役に当選した場合には、判定パターン(3)が成立したと見做して、特典を付与してもよい。
一方、判定パターン(1)の成立を契機としたAT状態の継続抽選に非当選の場合には、次ゲームで、レア役に当選した場合には、判定パターン(2)が成立したと見做さずに、押し順ベル役の連続当選が途切れたこととしてもよい。
【0104】
(4)「スイカ役当選後、7ゲーム以内にチェリー役当選(但し、スイカ役の当選は履歴欄外に対応するゲーム)」
スイカ役の当選後、7ゲーム以内にチェリー役(弱チェリー役又は強チェリー役)が当選した場合に抽選条件が成立する。
但し、スイカ役の当選履歴は、履歴情報表示領域81に履歴情報が表示される対象となっていない履歴の場合である。
つまり、スイカ役の当選によりスイカ役に対応する図柄画像が履歴情報Z0に表示された後、ゲームの実行により順次右にシフトされ、履歴情報表示領域81の表示欄内から履歴情報が消去された状態であり、履歴情報Z0には、弱チェリー役又は強チェリー役に対応する図柄画像が表示された状態である(図9(b)参照)。
具体的には、スイカ役の当選後、4ゲーム後から7ゲーム後までの期間において、チェリー役(弱チェリー役又は強チェリー役)が当選した場合に当該抽選条件が成立することになる。
当該抽選条件が成立した場合には、今回ゲームにおいて、50%の当選確率で特化ゾーンへの移行抽選が行われる。
なお、スイカ役の当選後、1ゲーム後から3ゲーム後までの期間において、チェリー役(弱チェリー役又は強チェリー役)が当選した場合には、当該抽選条件は成立せず、後述するその他の判定パターン(1)「履歴欄内におけるレア役の複数当選」の抽選条件が成立して、履歴欄内抽選が行われることになる。
【0105】
このように、判定パターン(3)及び(4)による履歴抽選は、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される履歴と、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示されない履歴と、に基づいて抽選を行う「履歴欄内外抽選」が行われる。
【0106】
(5)「スイカ役とチェリー役1回当選」
今回ゲームを含む直近4ゲームにおいて、スイカ役とチェリー役(弱チェリー役又は強チェリー役)がそれぞれ1回当選した場合に抽選条件が成立する。
この場合、履歴情報表示領域81の履歴情報Z0には、スイカ役又はチェリー役に対応する図柄画像が表示され、履歴情報Z1~Z3には、スイカ役又はチェリー役に対応する図柄画像が1つ表示される。
当該抽選条件が成立した場合には、今回ゲームにおいて、100%の当選確率で特化ゾーンへの移行抽選が行われる。すなわち、特化ゾーンへの移行が確定する。
このように、判定パターン(5)による履歴抽選は、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される履歴のみに基づいて抽選を行う「履歴欄内抽選」が行われる。
【0107】
・その他の判定パターン
上述した判定パターンに加えて又は代えて、次に示すような判定パターンに基づいて履歴抽選を行うこともできる。
(1)「履歴欄内におけるレア役の複数当選」
今回ゲームを含む直近4ゲームにおいて、レア役が複数回当選した場合に抽選条件が成立する。
例えば、今回ゲームを含む直近4ゲームにおいて、弱チェリー役、強チェリー役、スイカ役及びチャンス役の何れかの役が合計2回当選した場合に抽選条件が成立する。
また、合計3回当選した場合や、合計4回当選した場合を抽選条件の成立としてもよい。
当該抽選条件が成立した場合には、例えば、通常遊技状態ではAT状態への移行を確定とし、通常AT状態ではAT状態の継続を確定とし、特化ゾーンでは多数のゲーム数を付与(上乗せ)するようにしてもよい。
なお、合計2回当選した場合、合計3回当選した場合及び合計4回当選した場合の全ての契機において抽選条件が成立するものとしてもよい。この場合、合計3回、合計4回当選した場合は、合計2回当選した場合の特典に加えてさらに特典を付与(例えば、セットストックの付与)するようにしてもよい。
【0108】
また、これに加えて、同じ役が連続で複数回当選した場合には、遊技者にとって有利な特典を付与するようにしてもよい。
この場合、内部抽選処理において当選確率が低い役の方が有利な特典を付与してもよい。例えば、弱チェリー役が2回連続で当選した場合よりも強チェリー役が2回連続で当選した場合の方が、有利な特典を付与ようにしてもよい。
また、連続当選回数が多い方が、遊技者にとって有利な特典を付与するようにしてもよい。例えば、弱チェリー役が2回連続で当選した場合よりも、3回連続で当選した場合の方が有利な特典を付与するようにしてもよく、3回連続で当選した場合よりも4回連続で当選した場合のほうが有利な特典を付与ようにしてもよい。
【0109】
(2)「履歴欄内外抽選の変形例」
今回ゲームを含む5ゲーム以上の所定期間において、特定の役が所定回数当選した場合に抽選条件が成立する。
例えば、今回ゲームを含む直近10ゲームにおいて、ベル役が7回当選した場合に抽選条件が成立する。
また、例えば、今回ゲームを含む直近77ゲームにおいて、弱チェリー役が7回当選した場合に抽選条件が成立する。
当該抽選条件が成立した場合には、所定の当選確率でAT状態の制御に関する抽選を行うようにしてもよく、又は、所定の特典を付与(セットストックの付与など)してもよい。
【0110】
また、今回ゲームにおいてチェリー役に当選した場合、その4ゲーム前に押し順ベル役が連続で当選(例えば、4ゲーム連続当選)していた場合に抽選条件が成立する。
つまり、連続する押し順ベル役に対応する図柄画像が履歴情報表示領域81の欄内から消去された直後のゲームにおいてチェリー役に当選した場合である。
当該抽選条件が成立した場合には、所定の当選確率でAT状態の制御に関する抽選を行うようにしてもよく、又は、所定の特典を付与(セットストックの付与など)してもよい。
【0111】
(3)「履歴欄外抽選」
履歴情報表示領域81の表示欄内に表示されていない履歴のみに基づいて履歴抽選(履歴欄外抽選)を行うようにしてもよい。
すなわち、今回ゲームを含む直近4ゲームより以前のゲームの履歴に基づいて抽選を行う。
例えば、今回ゲームを含む直近4ゲームより以前のゲームにおいて、直近100ゲームで弱チェリー役が10回当選していた場合に抽選条件が成立する。
また、履歴欄内抽選及び履歴欄内外抽選では抽選条件の成立とされない判定パターンに基づいて履歴抽選を行うようにしてもよい。例えば、「リプレイ役3連」等で抽選条件が成立するようにしてもよい。
当該抽選条件が成立した場合には、所定の当選確率でAT状態の制御に関する抽選を行うようにしてもよく、又は、所定の特典を付与(セットストックの付与など)してもよい。
また、所定の契機において、例えば、100ゲーム前や200ゲーム前の当選履歴に基づいてAT状態の制御に関する抽選を行うようにしてもよい。
【0112】
また、上述した履歴抽選は、次に示すような変形例としてもよい。
上述の実施形態では、履歴として、内部抽選処理の抽選結果を示す当選対象コマンドに対応する当選履歴を用いたが、これに加えて又は代えて、入賞判定の結果を示す入賞判定コマンドに対応する入賞履歴を用いることもできる。
また、上述の実施形態では、履歴抽選の判定パターンとして、押し順ベル役の連続するゲーム数は、3ゲーム~5ゲームとしたが、これに限らず、2ゲームや6ゲーム以上を抽選条件の成立としてもよい。この場合、連続するゲーム数が多いほどより有利な特典を付与するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、履歴欄内外抽選の抽選条件が成立した場合、表示欄外の履歴は非表示としているが、履歴情報表示領域81とは別の表示領域に表示欄外の履歴を表示してもよい。
また、履歴情報表示領域81の表示欄外の履歴に基づいて履歴抽選が行われている旨の報知を行ってもよい。例えば、「押し順ベル役5連」の履歴抽選が行われる場合には、「履歴外から含めてベル連中」などのメッセージを表示や、「ベル5連中」などのメッセージを表示してもよい。
【0113】
以上のように、本実施形態におけるメダルレス遊技機1は、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される履歴のみに基づく履歴欄内抽選と、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される履歴と履歴情報表示領域81の表示欄内に表示されない履歴とに基づく履歴欄内外抽選を実行可能である。
これにより、様々な判定パターンによって履歴抽選が行われるため、興趣性を向上させることが可能である。
また、履歴欄内外抽選において、履歴情報表示領域81の表示欄に表示がされていない履歴によってAT状態の制御に関する抽選が行われるため、意外性を持たせることができ、興趣性を向上させることが可能である。
また、例えば、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される履歴のみに基づいてAT状態の制御に関する抽選を行った場合には、「あと1ゲーム早くレア役が当選していれば履歴抽選の抽選条件が成立したのに」等のような所謂無駄引き感(引き損感)を遊技者に与えてしまう虞があるが、履歴情報表示領域81の表示欄に既に表示されていない履歴であってもAT状態の制御に関する抽選の対象とするため、このような事態も軽減することができる。
【0114】
また、履歴欄内外抽選において、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される第1の抽選結果(チェリー役)に対応する履歴と、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示されない第1の抽選結果(チェリー役)に対応する履歴とに基づいて、AT状態の制御に関する抽選を行われるものの、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示される第2の抽選結果(スイカ役)に対応する履歴と、履歴情報表示領域81の表示欄内に表示されない第2の抽選結果(スイカ役)に対応する履歴とに基づいて、AT状態の制御に関する抽選を行わないように制御されるため、当選役に注目を集めることができ、興趣性を向上させることが可能となる。
【0115】
(押し順推奨報知)
本実施形態におけるメダルレス遊技機1は、推奨する押し順として、停止ボタン5aを第1停止操作とする「左1ST押し」としている。
そのため、左1ST押し以外の押し順である、停止ボタン5bを第1停止操作とする中1ST押し(特定の順番)や、停止ボタン5cを第1停止操作とする右1ST押し(特定の順番)(以下、これらを纏めて変則押しという。)が遊技者により行われた場合には、特定情報を出力可能としている。
「特定情報の出力」とは、例えば、表示器8において「左押し推奨です」等の表示や、スピーカ9から禁止音の出力や、ランプ11の点灯態様の変化等である。なお、押し順の注意喚起を示唆する態様であれば、これらの出力態様に限らない。
【0116】
前述したように、通常遊技状態、通常AT状態(第1特定遊技状態)及び上位AT状態(3枚純増状態)においては、抽選結果が特別の抽選結果(押し順ベル役B3~B6)となったゲームにおいて、押し順ナビが実行されないように制御される。
そして、このような押し順ナビが実行されていないゲームにおいて、遊技者により変則押しが積極的に行われてしまうと、偶然に変則押しに対応する当選役(押し順ベル役B3~B6)に入賞する頻度が高くなり、13枚のメダルが払い出されてしまうことから、メダルレス遊技機1が想定している出玉率等の遊技性能に影響を及ぼすことになる。
そこで、本実施形態におけるメダルレス遊技機1では、押し順ナビが実行されていないゲームの場合は、表示器8において「左押しが推奨です」等の注意喚起の表示を行うことで、変則押しが積極的に行われることを回避することができ、想定していない13枚のメダルの払い出しを防止することができる。
【0117】
具体的には、副制御部20は、通常遊技状態中に、変則押しがされた場合には、常に、表示器8に「左押しが推奨です」等の表示を行う。
また、通常AT状態や上位AT状態(3枚純増状態)中に、押し順ナビが実行されないゲームにおいて変則押しがされた場合には、表示器8に「左押しが推奨です」等の表示を行う。
すなわち、押し順ナビが実行されないゲーム、すなわち、所定の役(例えば、1枚役、リプレイ役、レア役)が当選した場合も同様に、変則押しがされた場合には、表示器8に「左押しが推奨です」等の表示が行われることになる。
【0118】
一方、前述したように、上位AT状態(7枚純増状態)においては、抽選結果が特別の抽選結果(押し順ベル役B3~B6)となったゲームにおいて、押し順ナビが実行されるように制御される。
そのため、通常AT状態及び上位AT状態(3枚純増状態)中のように、押し順ナビが実行されていない場合に、変則押しが行われることで、13枚のメダルが払い出されてしまうといった問題は生じ得ない。
しかしながら、上位AT状態(7枚純増状態)中の押し順ナビが実行されないゲームにおいて変則押しがされた場合、表示器8に「左押しが推奨です」等の表示を行わない場合には、通常AT状態及び上位AT状態(3枚純増状態)中の出力態様と異なることから、現在の純増状態(7枚純増状態)が遊技者に察知されてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態におけるメダルレス遊技機1では、上位AT状態(7枚純増状態)中は、通常AT状態及び上位AT状態(3枚純増状態)中と同様に、押し順ナビが実行されないゲームにおいて変則押しがされた場合には、表示器8に「左押しが推奨です」等の表示を行うようになっている。
すなわち、押し順ナビが実行されないゲーム、すなわち、所定の役(例えば、1枚役、リプレイ役、レア役)が当選したゲームにおいて、変則押しがされた場合、表示器8に「左押しが推奨です」等の表示がされることになる。
【0119】
このように、通常AT状態、上位AT状態(3枚純増状態)及び上位AT状態(7枚純増状態)のいずれの状態であっても、抽選結果が特別の抽選結果(押し順ベル役B3~B6)ではなく所定の抽選結果(例えば、1枚役、リプレイ役、レア役等)となったゲームにおいて変則押しがされた場合、表示器8に特定情報(「左押しが推奨です」等)を出力可能である。
これにより、上位AT状態(7枚純増状態)中の出力態様と、通常AT状態及び上位AT状態(3枚純増状態)中の出力態様との区別がつき難くなり、現在の純増状態が遊技者に察知されてしまうことを防ぐことができる。
【0120】
なお、通常遊技状態、通常AT状態及び上位AT状態(3枚純増状態)において、変則押しが行われたときには、ペナルティを課してもよい。
変則押しのペナルティとしては、例えば、AT状態中は、変則押しが行われた後、所定のゲーム数に亘りAT状態の継続抽選や上乗せ抽選を実行しない等のペナルティを課すことができる。
一方、上位AT状態(7枚純増状態)中に変則押しが行われた場合には、ペナルティを課さないようにしてもよい。
【0121】
以上説明したように、本発明においては、通常遊技状態と、遊技者に有利な特定遊技状態(AT状態)と、を有し、ゲームの実行毎に行われる所定の抽選の抽選結果に基づいて特定遊技状態の制御に関する判定を実行可能な判定手段(主制御部10)を備える遊技機(メダルレス遊技機1)において、抽選結果に対応する履歴を記憶する記憶手段(記憶部)と、履歴に対応する履歴情報を表示可能な履歴表示領域を有する表示手段(表示器8)と、を備え、判定手段は、履歴表示領域に表示される履歴情報に対応する履歴に基づく一方、履歴表示領域に履歴情報が表示される対象となっていない履歴には基づかずに、特定遊技状態の制御に関する判定を実行可能な第1判定手段(主制御部10)と、履歴表示領域に表示される履歴情報に対応する履歴と、履歴表示領域に履歴情報が表示される対象となっていない履歴と、に基づいて特定遊技状態の制御に関する判定を実行可能な第2判定手段(主制御部10)と、を備える構成としている。
【0122】
このような構成を備える本発明に係る遊技機は、履歴表示領域に表示される履歴のみに基づく判定(履歴欄内抽選)と、履歴表示領域に表示される履歴と既に履歴表示領域に表示されない履歴とに基づく判定(履歴欄内外抽選)を実行可能であるため、履歴抽選による特定遊技状態の制御に関する判定(抽選)に、意外性を持たせることができるため、興趣性を向上させることが可能になる。
また、例えば、履歴表示領域に表示される履歴のみに基づいて特定遊技状態の制御に関する判定(抽選)を行った場合には、「あと1ゲーム早くレア役が当選していれば履歴抽選の抽選条件が成立したのに」等のような所謂無駄引き感(引き損感)を遊技者に与えてしまう虞があるが、履歴表示領域に既に表示されていない履歴であっても特定遊技状態の制御に関する判定(抽選)の対象とするため、このような事態も軽減することができる。
【0123】
これに対して、例えば、特許文献(特開2016-54837号公報)には、所定ゲーム数分の当選履歴を表示する履歴欄を備え、履歴欄に表示される当選履歴に基づいてATの抽選を行う遊技機が開示されている。
しかしながら、この遊技機においては、当選履歴による抽選が一般的であり、意外性がなく、興趣を十分に向上させることができていなかった。
このように、本実施形態のメダルレス遊技機1によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0124】
(他の実施形態)
次に、他の実施形態に係るメダルレス遊技機1について説明する。
他の実施形態(以下、「本実施形態」とも称する)のメダルレス遊技機1は、図1図5に記載の構成において、前述の実施形態(以下、「基本実施形態」とも称する)のメダルレス遊技機1と共通する。
このため、図1図5及びこれらに関する説明は、基本実施形態の記載を援用して省略する。
以下、本実施形態の遊技機につき、基本実施形態と共通する部分の説明は省略し、基本実施形態と異なる部分について主に説明を行う。
【0125】
図10は、本実施形態におけるメダルレス遊技機1の配当表である。
同図に示すように、押し順ベル役A1~A6(押し順ベル役Aと総称する)の払い出し数は9枚であり、押し順ベル役B3~B6(押し順ベル役Bと総称する)の払い出し数は15枚である。
【0126】
本実施形態におけるメダルレス遊技機1も、基本実施形態と同様、推奨する押し順として、停止ボタン5aを第1停止操作とする「左1ST押し」としている(前記「押し順推奨報知」参照)。
そのため、変則押しが遊技者により行われた場合には、ペナルティを課す制御を実行する。
例えば、通常遊技状態においては、遊技者により変則押しが行われた場合、天井ゲーム数を加算しないようにしている。
また、準備パート及びレースパートにおいても、押し順ナビが実行されない場合は、左1ST押しで遊技するこを前提としているため、準備パート時に変則押しが行われた場合、ポイント抽選を実行せず、レースパート時に変則押しが行われた場合、特典抽選を実行しないようにしている。
変則押しが行われた場合、例えば、表示器8において「左押し推奨です」等の表示や、スピーカ9から禁止音の出力や、ランプ11の点灯態様の変化等を実行することができる。これにより、左1ST押しが促され、ペナルティが課されない(遊技者が不利にならない)ように制御できる。なお、押し順の注意喚起を示唆する態様であれば、これらの出力態様に限らない。
なお、変則押しが行われた場合でも、上述したペナルティ(天井ゲーム数非加算、ポイント抽選非実行、特典抽選非実行)を課さなくてもよい。
【0127】
本実施形態のメダルレス遊技機1では、通常AT状態と上位AT状態とを設けていない。つまり、基本実施形態のメダルレス遊技機1は、通常AT状態と上位AT状態とを設け、通常AT状態では押し順ベル役Bが当選した場合、原則、押し順ナビを実行しないように制御し、上位AT状態では、押し順ベル役Bが当選した場合、現在の純増状態に応じて所定の確率で押し順ナビを実行するように制御するが、本実施形態のメダルレス遊技機1は、このような制御は実行しない。
ただし、本実施形態においても、通常AT状態と上位AT状態とを設けたり、通常AT状態では押し順ベル役Bが当選した場合、原則、押し順ナビを実行しないように制御し、上位AT状態では、押し順ベル役Bが当選した場合、現在の純増状態に応じて所定の確率で押し順ナビを実行してもよい。
【0128】
本実施形態のメダルレス遊技機1は、準備パート中に押し順ベル役Bに当選した場合、所定の確率で押し順ナビを実行し、押し順ベル役Aに当選した場合、100%押し順ナビ(ナビ率:100%)を実行する(一部AT)。
本実施形態のメダルレス遊技機1においても、確率設定装置16(設定手段)が、第1設定値(例えば設定1)と、第2設定値(例えば設定6)とを含む複数の設定値の中からいずれかの設定値を設定可能である。
例えば、AT抽選では、第1設定値よりも第2設定値の方が当選確率が高く、遊技を有利に進行し得るようになっている(図12)。
【0129】
(各遊技状態の詳細)
図11に示すように、本実施形態に係るメダルレス遊技機1の遊技は、複数の遊技状態において実行される。
主制御部10は、制御手段として、これら複数の遊技状態のうち、何かの遊技状態に制御を行う。
基本的には、非AT状態(有利区間)に制御される。
通常遊技状態は、非AT状態に制御される。
ATは、AT状態に制御される。準備パートは一部ATに制御され、疑似ボーナスは、ATに制御される。
【0130】
通常遊技状態に長期間滞在する程、遊技者のメダルが増加しにくい期間が長くなり、遊技者にとって不利になる。一方、AT状態は、遊技を続けることでメダルが増加しやすく、遊技者にとって有利な遊技状態である。
そのため、遊技者は、通常遊技状態から準備パートに移行したり、当該準備パートを複数遊技したり(継続)、準備パートやレースパートを介して疑似ボーナスに移行することを目指して遊技を行うことになる。
なお、通常遊技状態を一部AT、すなわち押し順ベル役当選時の所定のナビ率で押し順ナビを実行するように制御してもよい。
【0131】
通常遊技状態において、レア役当選に基づくAT抽選に当選するか、天井ゲーム数に到達すると、準備パート(一部AT)に移行する(図11の矢印a)。
準備パートは、40ゲームで構成され、疑似ボーナス抽選に当選すると疑似ボーナス(AT)に移行する(図11の矢印b)。
疑似ボーナスは、21ゲームで構成され、内部抽選処理で押し順ベルに当選した場合、ナビ率:100%で押し順ナビが実行される(AT)。
疑似ボーナスは、21ゲームが消化されると終了し、その後、準備パートに移行する(図11の矢印c)。疑似ボーナス終了後に移行した準備パートでは、40ゲームの最初から遊技が開始される。
準備パートは、40ゲームが消化されると終了し、その後、レースパート(非AT)に移行する(図11の矢印d)。
準備パートの最終ゲームでは、レースパート後のAT継続(準備パートの継続)を掛けた継続抽選(AT継続抽選)が実行される。
レースパートは、11ゲームで構成され、当該11ゲームが消化されると終了する。
レースパートでは、準備パートにおける継続抽選に当選している場合(継続が確定している場合)は、当該レースパートの終了後に、準備パートに移行する(図11の矢印e)。
【0132】
レースパートでは、レア役当選時に特典抽選が実行され、当該特典抽選に当選すると特典が付与される。
「特典」には、AT継続が確定していない場合(準備パートの継続抽選に非当選の場合)には、「準備パート」(つまり準備パートの継続)が該当し、AT継続が確定している場合には、「疑似ボーナス」が該当する。
つまり、特典抽選に当選した場合は、準備パートに移行する場合(図11の矢印e)と、疑似ボーナスに移行する場合(図11の矢印f)とがある。
レースパートにおいて、レア役に当選しなかった場合(特典抽選が実行されなかった場合)、当該レースパートの終了後に通常遊技状態に移行する(図11の矢印g)。
各遊技状態中は、表示器8に当該遊技状態中であることを示す情報が表示される。
また、本実施形態に係るATは、1ゲームごとに加算されるゲーム数が上限数(固定ゲーム数)に到達した場合にATが終了するゲーム数加算方式のゲーム数管理型を適用している。このため、準備パート中及び疑似ボーナス中は、「現在のゲーム数/固定ゲーム数」を表示器8に表示している(図19,21の左下部、図27の右上部)。
各ステージ、各種抽選などの詳細は後述する。
【0133】
(通常遊技状態)
本実施形態に係る通常遊技状態には、天井ゲーム数:777Gが設定されており、当該天井ゲーム数を消化した場合にAT(準備パート)に移行する(図11の矢印a)。
なお、天井ゲーム数は上記に限らず任意のゲーム数を設定できる。
通常遊技状態中は、レア役の当選を契機として、AT状態への移行抽選(AT抽選)を実行する。
図12(a)は、弱レア役に当選した場合に参照するAT抽選テーブルA(弱レア役)であり、図12(b)は、強レア役に当選した場合に参照するAT抽選テーブルB(強レア役)である。
これらの図に示すように、AT抽選は、高設定ほどAT抽選に当選し易く、弱レア役に当選した場合に比べ強レア役に当選した場合の方がAT抽選に当選し易く設定されている。
AT抽選に当選した場合、次ゲーム又は前兆演出を挟んで準備パート(一部AT)に移行する(図11の矢印a)。
【0134】
なお、通常遊技状態において、低確率(例えば、押し順ベル役A当選時の1/400)で押し順ナビを実行してもよく、通常遊技状態において押し順ナビが実行された場合、AT抽選(例えば、1/4で当選する抽選)を実行してもよい。
通常遊技状態では、AT状態への移行確率が相対的に低い低確率状態と、相対的に高い高確率状態とを設けることで、移行確率を変更可能としてもよい。確率状態の移行は、例えば、レア役当選時の所定の確率で低確率状態から高確率状態に移行(昇格)するような制御を行い、例えば、高確率状態中に所定ゲーム数消化した場合など所定条件が成立した場合に高確率状態から低確率状態へ移行(降格)する制御が行われるようにしてもよい。
低確率状態や高確率状態という状態に応じて、同じレア役でもAT抽選の当選確率が異なるようにしてもよい。
【0135】
弱レア役に当選した場合の所定確率(例えば、10%)、強レア役に当選した場合の所定確率(例えば、30%)で当選するようなAT抽選を行ってもよい。
通常遊技状態からAT状態へ移行するための移行条件としては、上記のAT抽選によるもの以外でもよい。
通常遊技状態中に、毎ゲーム、所定の当選確率(例えば、0.01%)でAT抽選を行ってもよい。当該AT抽選に当選した場合には、セットストックを複数付与した状態でAT状態へ移行するようにしてもよい。
通常遊技状態よりもAT状態に移行し易いCZ(所謂チャンスゾーン)を設け、通常遊技状態からCZ状態を介してAT状態に移行するようにしてもよい。
【0136】
通常遊技状態では、所定ゲーム数を消化するごとに、所定のキャラクター(キャラA~E)を表示器8に表示させるキャラ出現演出を実行する。
具体的には、通常遊技状態において、10G毎(10G、20G、・・・という第1周期)にキャラ出現抽選Aを実行し当該抽選で決定したキャラを表示器8に表示し、1000G毎(1000G、2000G、・・・という第2周期)にキャラ出現抽選Bを実行し当該抽選で決定したキャラを表示器8に表示する。なお、キャラ表示に限らず音声出力やランプ表示を行うこともできる。
つまり、副制御部20は、第2決定手段として、キャラE(第1特別情報)を含む複数のキャラ(特別情報)の中から、通常遊技状態(第2状況)において出力するキャラ(特別情報)を抽選で決定し、出力手段(表示器8、スピーカ9、ランプ11等)が、第2決定手段により決定された特別情報を通常遊技状態(第2状況)において出力する。
【0137】
図13(a)は、キャラ出現抽選Aを実行する際に参照するキャラ出現テーブルAであり、図13(b)は、キャラ出現抽選Bを実行する際に参照するキャラ出現テーブルBである。
これらに示すように、キャラ出現抽選A及びキャラ出現抽選Bは、いずれもキャラA~Eの中から出現するキャラを抽選で決定し、かつ、各キャラの当選確率は、キャラA<キャラB=キャラC<キャラD<キャラEの関係性を有している。
キャラ出現抽選Aは、全設定値共通の当選確率(出現確率)で抽選が実行されるのに対し、キャラ出現抽選Bは、設定値(低設定)1~3と、設定値(高設定)4~6とで出現確率を異ならせている。
キャラ出現抽選Bにおいて、キャラA~Dは、高設定の方が当選し易く、キャラEは、低設定の方が当選し易いため、キャラの出現に基づいて設定値を示唆することができる
なお、出現確率は上述したものに限らず、任意の出現確率を設定することができる。
【0138】
キャラ出現抽選は、通常遊技状態におけるゲーム数を計数し、計数結果が10Gの倍数か1000Gの倍数の場合に実行するが、通常遊技状態以外の遊技状態(準備パート、レースパート、疑似ボーナス)でも通常遊技状態におけるゲーム数の計数結果を記憶部に記憶させておき、再度、通常遊技状態に戻った場合に、その途中から続けて計数を行う。
ただし、記憶部に記憶させた計数結果は、機体の電源OFFによりリセットすることができる。
電源OFFすることで計数結果は蓄積されないので、電源OFFしない場合に比べ、キャラ出現抽選Bが実行されるまでの期間を相対的に長くすることができる。
そうすると、キャラ出現抽選Aとの関係からも、キャラの出現度合いを複雑化することができるので、キャラ出現に基づく設定変更を曖昧にすることができる。
【0139】
図14は、キャラ出現イメージを示す図である。
図14(a)は、通常遊技状態の9ゲーム目における表示器8の表示画像であり、図14(b)は、通常遊技状態の10ゲーム目における表示器8の表示画像である。
これらの図に示すように、通常遊技状態において、表示器8には、背景画像として主人公や木などが表示される。
このため、9ゲーム目では、通常遊技状態を示す背景画像(主人公や木)だけが表示器8に表示されているが、10ゲーム目では、キャラAが表示器8に表示されている。
つまり、10G目では、キャラ出現抽選Aの実行結果に基づくキャラAが出現している。
【0140】
なお、キャラ出現演出は、1ゲーム完結型を想定しているが、2ゲーム以上、又は、次回のキャラが出現するまで継続して出現するようにもできる。
また、ゲーム数にかかわらず、いずれか一方のキャラ出現テーブルを常に参照するようにしてもよい。
また、所定の周期(第1周期や第2周期)ではなく、所定役(レア役等)当選など、他の条件が成立した場合に、キャラ出現テーブルを参照してキャラを出現させるようにしてもよい。
また、通常遊技状態のみならず、他の遊技状態でもキャラが出現するようにしてもよい。
また、キャラ出現の演出は、画像演出のみならず、他の演出(音声演出、ランプ演出等)に代えたり、加えて実行するようにしてもよい。
また、サブ画面や下パネル表示器にキャラを表示して、メイン画面(表示器8)の演出の邪魔にならないようにしてもよい。
また、準備パート、レースパート、疑似ボーナス(遊技者に有利な遊技状態)のいずれか、又は、すべてにおいて、通常遊技状態と同一のキャラを表示する制御を実行してもよい。
これにより、周囲の遊技者等により、どのような場合にキャラが出現するのかをわかりづらくすることができ、キャラ出現の効果(設定示唆を曖昧にする効果)を一層高めることができる。
【0141】
(準備パート)
準備パートは、40G継続する一部ATに制御される遊技状態である。
このため、準備パートは、遊技者に有利な遊技状態である。
「一部AT」は、押し順ベルに当選した場合にナビ率100%で押し順ナビを実行する(全ナビともいう)のではなく、部分的に押し順ナビを実行するAT状態のことをいう。
例えば、押し順ベル役Bの当選時には、ナビ抽選を行うことにより、40%のナビ率で押し順ナビを実行し、60%のナビ率で押し順ナビを実行しない。
なお、上記ナビ率は一例であり、他のナビ率であってもよく、また、例えば、押し順ベル役B3~B6の当選時に交互に押し順ナビの実行/非実行を制御してもよい。
また、押し順ベル役Bに当選した場合に、全ナビを実行してもよく、100%押し順ナビを実行しないようにもできる。
押し順ベル役A1~A6の当選時には、全ナビを実行する。
【0142】
準備パートでは、押し順ベル役A及び押し順ベル役Bのナビ態様(ナビ演出)を同一に制御する。
「同一」とは、背景画像や正解押し順の大きさ、形状、位置、色などが同一又はほぼ同一(類似)のことをいう。
これにより、押し順ベル役Bの押し順ナビの実行を強調しないようにでき、押し順ベル役Bの当選時に押し順ナビの非実行があることを際立たせないようにできる。
仮に、押し順ベル役Aと押し順ベル役Bのナビ態様を同一にしない場合、押し順ベル役Bだけが押し順ナビの非実行の場合があるため、そのような押し順ベル役Bに当選したとしても、遊技者にとっては有利でない押し順ベルに当選したと思われかねない。
本実施形態では、押し順ベル役A及び押し順ベル役Bのナビ態様(ナビ演出)を同一にしているので、押し順ベル役Bに当選しても押し順ベル役Aに当選したか押し順ベル役Bに当選したかを明確に把握できないので、有利でない押し順ベルに当選したと思われることはない。
また、疑似ボーナスにおける押し順ベル役Bのナビ率(100%)に対して、準備パート(一部AT)における押し順ベル役Bのナビ率が少ないことを際立たせないようにできる。
【0143】
準備パートでは、主制御部10が、計数手段として、メダル獲得枚数(遊技価値数)に関する情報を計数し、副制御部20が、計数手段の計数結果に基づき、メダルを単位枚数獲得する毎に「〇〇枚突破演出」を実行する。「〇〇」は任意の枚数を示す。計数手段の制御は副制御部20にて実行してもよい。演出実行タイミングは、遊技終了以降(全リール停止以降)が好ましいが、遊技開始以降(全リール回転開始以降)や、一又は二リール停止以降でも良い。
例えば、副制御部20の制御に基づき、計数手段による計数結果が500枚(特定結果)に到達した場合、「500枚突破」(特定情報)を表示器8に表示する。なお、「特定情報」は、基本実施形態の「特定情報」と異なる概念であり、後述する第1特定情報や第2特定情報とも異なる概念である。
つまり、単位獲得枚数(単位差枚数)の倍数を「〇〇枚突破演出」の実行契機獲得枚数(実行契機差枚数)としている。
本実施形態では、実行契機獲得枚数を500枚とし、メダルを500枚獲得する毎に「500枚突破演出」を実行する(「500枚突破」を表示する)例について説明するが、これに限らず任意の獲得枚数(例えば400枚)でもよい。
「500枚突破演出」は、準備パートでのみ実行し、レースパートや疑似ボーナスなど、他の遊技状態では実行しないが、これに限らず他の遊技状態で実行してもよい。
他の遊技状態中にメダルを500枚獲得した場合には、その後に、準備パートに制御され、且つ、当該準備パート中に払い出しが発生した場合に「500枚突破演出」を実行する。
【0144】
準備パートでは、AT継続(レースパートの終了後に再度準備パート(AT)に移行すること)を掛けた抽選(AT継続抽選)を最終ゲームで実行する。
AT継続抽選は、準備パートで貯めた(累計された)ポイントを当選確率(つまり継続率)として実行する。
ポイントは、押し順ベル役B又はレア役に当選するたびに付与及び累計される。付与ポイント及び累計ポイントは、記憶部に参照可能な態様で記憶される。
具体的には、押し順ベル役B又はレア役に当選した場合、ポイント抽選(準備パート時)を実行し、当該抽選結果に対応したポイントが付与される。
【0145】
図15(a)は、押し順ベル役Bに当選した場合に参照するポイント抽選テーブルA(ベルB)であり、図15(b)は、レア役に当選した場合に参照するポイント抽選テーブルB(レア役)である。
これらの図に示すように、押し順ベル役Bに当選した場合は、5、10、20、30ポイントの中から付与するポイントを抽選で決定し、レア役に当選した場合は、10、30、50、100ポイントの中から付与するポイントを抽選で決定する。
いずれの抽選も、低設定ほど、低ポイントが当選し易く、高ポイントが当選し難く、高設定ほど高ポイントが当選し易く、低ポイントが当選し難いように設定されている。
例えば、押し順ベル役Bに当選した場合、設定1では、244/256の確率で5ポイントが当選し、2/256の確率で30ポイントに当選するが、設定6では、214/256の確率で5ポイントが当選し、12/256の確率で30ポイントに当選する。
また、レア役に当選した場合、設定1では、231/256の確率で10ポイントが当選し、1/256の確率で100ポイントに当選するが、設定6では、206/256の確率で10ポイントが当選し、6/256の確率で100ポイントに当選する。
【0146】
ポイント抽選を経て付与されたポイントの累計ポイントは、ATの継続率として参照される。
例えば、押し順ベル役Bの当選時のポイント抽選で10ポイントが付与され、その後、レア役の当選時のポイント抽選で50ポイントが付与された状態で、最終ゲームに到達した場合、ポイント累計は60ポイント(=10+50)なので、60%の当選確率でAT継続抽選が実行される。
このため、ポイント累計が100ポイント以上の場合、AT継続抽選の当選確率は100%になるのでAT継続が確定する。
【0147】
準備パートの終了時にポイント累計が100ポイントを超過した場合、当該超過したポイントは、次回の準備パートに持ち越す。
例えば、累計ポイントが150ポイントの場合、本準備パート→レースパート→AT継続(準備パート)という流れで遊技状態を進行しつつ、当該継続された準備パートでの累計ポイント数は初期値:50ポイントで管理される。
また、累計ポイントが250ポイントの場合(2回のAT継続が確定した場合)、本準備パート→レースパート→1回目のAT継続(1回目の準備パート)→レースパート→2回目のAT継続(2回目の準備パート)という流れで遊技状態を進行しつつ、当該2回目の準備パートでの累計ポイント数は初期値:50ポイントで管理される。
【0148】
なお、持ち越したポイントを次回の準備パートにおけるゲーム数に換算(例えば、1ポイント=1ゲーム)して上乗せしてもよい。
また、持ち越したポイントを疑似ボーナスの当選確率とする疑似ボーナス抽選を実行してもよく、当該疑似ボーナス抽選に当選した場合、レースパートの終了後に疑似ボーナスに移行してもよい。例えば、ポイント累計が160ポイントの場合、超過した60%を当選確率とする疑似ボーナス抽選を実行し、当該疑似ボーナス抽選に当選した場合、レースパートの終了後に疑似ボーナスに移行し、当該疑似ボーナス抽選に非当選の場合は、レースパートの終了後に準備パートに移行する。
また、準備パートが終了してレースパートに移行する場合、記憶しているポイントを消去してもよい。
また、ポイントを持ち越すのではなく、準備パートのセットストックを付与してもよい。
この場合、レースパートにおける後記「特典」としてAT継続を確定してもよい。
【0149】
準備パートでは、レア役に当選した場合、疑似ボーナス抽選(AT抽選)を実行する。
具体的には、弱レア役に当選した場合は、図16(a)に示す疑似ボーナス抽選テーブルA(弱レア役)を参照して疑似ボーナス抽選を実行し、強レア役に当選した場合は、図16(b)に示す疑似ボーナス抽選テーブルB(強レア役)を参照して疑似ボーナス抽選を実行する。
疑似ボーナス抽選に当選した場合、疑似ボーナスに移行する(図11の矢印b)。
疑似ボーナス抽選に当選せず、40Gのゲームを終了した場合は、レースパートに移行する(図11の矢印d)。
つまり、レア役に当選した場合は、疑似ボーナス抽選と前記ポイント抽選を共に実行(ダブル抽選)することになる。
なお、レア役に当選した場合、疑似ボーナス抽選→ポイント抽選の順で各抽選を実行するようにして、疑似ボーナスに当選した場合はポイント抽選を実行しないようにしてもよく、疑似ボーナスに当選した場合にだけポイント抽選を実行してもよい。
【0150】
(〇〇枚突破の変化演出)
準備パートにおける「〇〇枚突破演出」では、当該演出を実行したゲームの次ゲームにおいて変化態様抽選を実行し、当該変化態様抽選により決定した変化態様にて「〇〇枚突破演出」を変化させる「変化演出」を当該次ゲームにおいて実行する。
以下、変化演出の一例として、「500枚突破」表示を消去する「消去演出」について説明する。この場合、「変化態様抽選」として「消去態様抽選」を実行し、当該抽選の実行によって消去態様を決定する。
図17は、消去演出における消去態様を示す図である。(a)はひび、(b)は縦割れ、(c)は横割れ、(d)はX割れ、(e)は粉々を示す。
消去態様抽選では、a(ひび)、b(縦割れ)、c(横割れ)、d(X割れ)、e(粉々)の中から消去演出に用いる消去態様を抽選により決定する(図18参照)。
つまり、副制御部20が、決定手段として、表示器8に表示された「500枚突破」(特定情報)の変化態様(消去態様)を決定する。
【0151】
「ひび」に当選した場合、図17(a)に示すように、「500枚突破」を表示したゲームの次ゲームでその表示領域に「ひび」の模様を表示し、当該次ゲーム中に「500枚突破」表示を消去する消去演出を実行する。
「縦割れ」に当選した場合、図17(b)に示すように、「500枚突破」を表示したゲームの次ゲームでその表示領域が縦方向に切断された様子を表示し、当該次ゲーム中に「500枚突破」表示を消去する消去演出を実行する。
「横割れ」に当選した場合、図17(c)に示すように、「500枚突破」を表示したゲームの次ゲームでその表示領域が横方向に切断された様子を表示し、当該次ゲーム中に「500枚突破」表示を消去する消去演出を実行する。演出消去タイミングは、遊技終了以降(全リール停止以降)が好ましいが、遊技開始以降(全リール回転開始以降)や、一又は二リール停止以降でも良い。
「X割れ」に当選した場合、図17(d)に示すように、「500枚突破」を表示したゲームの次ゲームでその表示領域がX方向に切断される様子を表示し、当該次ゲーム中に「500枚突破」表示を消去する消去演出を実行する。
「粉々」に当選した場合、図17(e)に示すように、「500枚突破」を表示したゲームの次ゲームでその表示領域が粉々に粉砕された様子を表示し、当該次ゲーム中に「500枚突破」表示を消去する消去演出を実行する。
なお、消去態様抽選を「〇〇枚突破」を表示したゲームの次ゲームで実行し、当該抽選により決定した消去態様で「〇〇枚突破」表示を消去する動作を当該次ゲーム中に実行する態様について説明したが、これに限らず、例えば、消去態様抽選を「〇〇枚突破」を表示したゲームで実行してもよく、この場合、「〇〇枚突破」表示の開始又は終了時の差枚数に基づいて消去態様抽選を実行し、当該抽選により決定した消去態様で「〇〇枚突破」表示を消去する動作を当該次ゲーム中に実行すればよい。
【0152】
図18は、消去演出の際に参照する消去態様抽選テーブルである。
図18(a)は、実行契機獲得枚数(実行契機差枚数)に到達した時点(「〇〇枚突破演出」が消去されるゲームの開始時点)における実際の獲得枚数(差枚数)の当該実行契機獲得枚数(実行契機差枚数)に対する余剰分(以下、単に「余剰分」と称する)が「+30枚以下」の場合に参照する消去態様抽選テーブルA(+30枚以下)であり、図18(b)は、「余剰分」が「+31枚以上+99枚以下」の場合に参照する消去態様抽選テーブルB(+31枚以上+99枚以下)であり、図18(c)は、「余剰分」が「+100枚以上」の場合に参照する消去態様抽選テーブルC(+100枚以上)である。
【0153】
例えば、準備パート中のゲームの払い出しにより獲得枚数が+512枚になることで「500枚突破」が表示された場合、獲得枚数:512枚の500枚にする「余剰分」が「+12枚」であるため、消去態様抽選テーブルA(図18(a))を参照して抽選を実行し、当該抽選により決定した消去態様で「500枚突破」表示を消去する。
また、疑似ボーナス中に獲得枚数が500枚を到達し、当該疑似ボーナス終了後に準備パートに移行した場合は、当該最初のゲームで「500枚突破」表示を実行し、その次ゲームでの獲得枚数が602枚であった場合には、獲得枚数:602枚の500枚に対する「余剰分」が「+102枚」であるため、消去態様抽選テーブルB(図18(c))を参照して抽選を実行し、当該抽選により決定した消去態様で「500枚突破」表示を消去する。
【0154】
図18に示すように、各消去態様は、設定値に基づいて決定するようにしている。
例えば、「余剰分」が+30枚以下の場合、設定1だと消去態様は「ひび」しか当選(決定)しないが、設定6だと242/256の確率で「ひび」が決定し、7/256の確率で「縦割れ」が決定し、4/256の確率で「横割れ」が決定し、2/256の確率で「X割れ」が決定し、1/256の確率で「粉々」が決定する。
また、「余剰分」が+31枚以上+99枚以下の場合、設定1だと消去態様は「ひび」しか当選(決定)しないが、設定6だと228/256の確率で「ひび」が決定し、14/256の確率で「縦割れ」が決定し、8/256の確率で「横割れ」が決定し、4/256の確率で「X割れ」が決定し、2/256の確率で「粉々」が決定する。
また、「余剰分」が+100枚以上の場合、設定1だと消去態様は「ひび」しか当選(決定)しないが、設定6だと200/256の確率で「ひび」が決定し、28/256の確率で「縦割れ」が決定し、16/256の確率で「横割れ」が決定し、8/256の確率で「X割れ」が決定し、4/256の確率で「粉々」が決定する。
【0155】
つまり、決定手段は、遊技に関する所定情報に基づいて、表示器8に表示される「〇〇枚突破」(特定情報)の変化態様(消去態様)を決定可能であり、表示器8において、「決定手段」により決定された変化態様(消去態様)に基づいて、表示中の「〇〇枚突破」(特定情報)を変化(消去)させる。
「遊技に関する所定情報」には、確率設定装置16(設定手段)により設定された設定値や、計数手段による計数結果(獲得枚数に関する情報)が含まれる。
「遊技に関する所定情報」に、特定小役当選回数を含めることもできる。
消去態様抽選テーブルB(図18(b))の「余剰分」の適用範囲を+31枚以上50枚以下にするなど、一部の「余剰分」についてテーブルを参照しないようにもできる。
つまり、この場合、「余剰分」が+31枚以上99枚以下の場合は消去演出は実行されないことになる。
これにより、消去演出のタイミングにバリエーションが加えられ、演出を優先する遊技者は、「余剰分」が+50枚を超えないように遊技を行うなど、特殊な遊技態様を提供できる。
【0156】
消去演出は、設定値に応じて消去態様が異なっており、「余剰分」が多いほど設定を示唆する消去態様で消去演出が実行されるため、「〇〇枚突破演出」により興趣を向上させることができる。
例えば、「粉々」は、設定5か設定6でしか実行されないため、「粉々」の消去演出の頻度が多い場合には、設定5か設定6が設定されている可能性が高い。
また、「粉々」の消去演出の頻度は、「余剰分」が+30枚以下<+31枚以上+99枚以下<+100枚以上の関係性を有しているので、「余剰分」が多いほど設定5か設定6が設定されている可能性が高い。
【0157】
なお、「余剰分」に応じて消去態様抽選テーブルを変更するのではなく、「〇〇枚突破演出」の次ゲームの当選役に応じて参照するテーブルを変えてもよい。
例えば、図18(a)のテーブルは、ハズレやレア役以外の小役に当選した場合に参照し、図18(b)のテーブルは、弱レア役に当選した場合に参照し、図18(c)のテーブルは、強レア役に当選した場合に参照する。
また、獲得枚数自体の多さで参照するテーブルを変えてもよい。
例えば、図18(a)のテーブルは、獲得枚数が2000枚に到達(突破)した場合に参照し、図18(b)のテーブルは、獲得枚数が2001枚以上4500枚以下に到達(突破)した場合に参照し、図18(c)のテーブルは、獲得枚数が5000枚に到達(突破)した場合に参照してもよい。
また、余剰分、当選役、獲得枚数自体の多さの組合せで、参照するテーブルを変えてもよい。
【0158】
「消去演出」は「○○枚突破演出」終了後の次ゲームが、準備パートであれば必ず実行する(準備パートの最終ゲームで「○○枚突破演出」が実行された場合には「消去演出」を実行しない)ことを想定しているが、所定の小役(押し順ベル等)又は押し順ナビが実行されたという特定条件が成立した場合にだけ、「消去演出」を実行してもよい。
また、この場合、所定期間(3ゲーム又は準備パート終了まで等)内に前記特定条件が成立せず、所定期間経過後に前記特定条件が成立した場合、予め定められた消去態様(例えば「ひび」)で消去演出を実行するようにしてもよい。
つまり、表示器8(表示手段)は、「〇〇枚突破」(特定情報)の表示中において、押し順ベル当選など特定条件が成立した場合、前記決定手段により決定された変化態様(消去態様)に基づいて当該特定情報を変化(消去)させることが可能であり、「〇〇枚突破」(特定情報)の表示中において、特定条件が成立する前(押し順ベル当選前)に特別条件が成立(3ゲーム経過)した場合、予め定められた変化態様(消去態様)に基づいて当該特定情報を変化(消去)させることが可能である。
【0159】
500枚突破演出から消去演出までのイメージについて、図19を参照しながら説明する。
図19(a)は、準備パートの5ゲーム目で、獲得枚数が500枚に到達したことに基づいて「500枚突破演出」が実行された場合の表示器8の表示画面を示す。
図19(b)は、準備パートの6ゲーム目で押し順ベル役Aに当選し、押し順ベル役Aの押し順ナビが実行された様子を示す。
図19(c)は、準備パートの6ゲーム目における図19(b)の後の様子を示す図である。
具体的には、押し順ベル役Aが入賞した後の様子を示す図であり、準備パートの6ゲーム目で実行した消去態様抽選によりb(縦割れ)が当選したことに基づいて、「500枚突破」の表示領域が縦割れしている様子を示している。
図19(d)は、準備パートの6ゲーム目における図19(c)の後の様子を示す図である。
具体的には、「500枚突破」の表示領域が縦割れの後、消去され、その結果、背景画像(主人公と木)のみが表示された様子を示している。準備パート時の背景画像は通常遊技状態時の背景画像と同じでも異ならせてもよい。
【0160】
なお、上述の「500枚突破演出」は「〇〇枚突破演出」の一例であり、獲得枚数が1000枚に到達した場合には、「1000枚突破」を表示し、獲得枚数が1500枚に到達した場合には、「1500枚突破」を表示する、・・・というように、「余剰分」が+500枚の倍数に到達するたびに「〇〇数突破演出」を実行する。
また、上述した消去態様に限るものではない。例えば、爆発後に消去したり、縦割れなどの表示なしに消去する態様や、当選ゲームの次ゲームや数ゲーム後まで「〇〇枚突破」の表示を維持した後に消去する態様も消去態様に含まれる。
また、消去態様は、変化態様の一例であり、他の変化態様を適用することもできる。
例えば、「〇〇枚突破」表示が所定態様で変化する演出であればよい。
【0161】
図20(a)は、準備パート中のゲームにおいて、押し順ベル役A3又はB3が当選したときのナビ態様(ナビ演出)を示す図であり、図20(b)は、押し順ベル役A5又はB5が当選したときのナビ態様(ナビ演出)を示す図である。
押し順ベル役A3及びA5の入賞時の払出しは9枚で、押し順ベル役B3及びB5の入賞時の払出しは15枚である(図10)が、これらの図20に示すように、どちらも同様の態様(同様の背景及び押し順ナビ)でナビ演出を実行している。
つまり、双方のナビ演出は、背景画像や正解押し順の大きさ、形状、位置、色などを同一又はほぼ同一(類似)の態様で押し順ナビを実行している。
これにより、ナビ演出からは、押し順ベル役Aに当選したのか、押し順ベル役Bに当選したのかを判別困難にしている。
【0162】
(レースパート)
レースパートは、11G継続する非ATの遊技状態である。
レースパートは、特典などによりAT継続する場合は11G終了後に準備パートに移行し(図11の矢印e)、特典などにより疑似ボーナスが付与された場合は11G終了後に疑似ボーナスに移行し(図11の矢印f)、AT継続しないなど特典が付与されない場合は11G終了後に通常遊技状態に移行する(図11の矢印g)。
このように、レースパートでは、遊技者に有利な特典が付与される可能性がある。
レースパートでは、味方キャラ(主人公)と敵キャラとでレースを行い、レース結果を示す演出を実行する。
ATが継続する場合にはレースに勝利した演出を実行し、ATが継続しない場合にはレース結果としてレースに敗北した演出を実行する。
【0163】
図21は、レースパートにおける演出を示す図である。
図21(a)は、レースパートの開始ゲーム(1ゲーム目)の画面である。
同図は、レースパートの開始ゲーム(1ゲーム目)では、主人公(味方キャラ)と敵キャラとがレースを開始する前の状態を示している。
図21(b)~(c)は、味方キャラがレースに勝利した場合(AT継続)の画面遷移を示す図である。
具体的には、2~9ゲームにおいて、主人公と敵キャラとがレースを行う様子を表示し(図示省略)、10ゲーム目(レースパートの終了ゲームの直前のゲーム)において、主人公がレースに勝利したこと、つまり、AT継続であることを表示し、11ゲーム目(最終ゲーム)で、次の遊技状態である、準備パートが開始されることを示す開始画面を表示する。
図21(d)~(e)は、味方キャラがレースに敗北した場合(AT非継続)の画面遷移を示す図である。
具体的には、2~9ゲームにおいて、主人公と敵キャラとがレースを行う様子を表示し(図示省略)、10ゲーム目(レースパートの終了ゲームの直前のゲーム)において、主人公がレースに敗北したこと、つまり、AT非継続であることを表示し、11ゲーム目(最終ゲーム)で、レースパートが終了したこと、及び、遊技結果(例えばセット数や獲得枚数)を示すリザルト画面を表示する。なお、レースパートが終了したことではなく、ATが終了したことを示す表示(報知)を行っても良い。
【0164】
レースパートでは、レア役当選時に特典抽選を実行し、当選(「当り」)の場合に「特典」を付与する。
「特典」とは、AT継続が確定していない場合(レースパート終了後に準備パート又は疑似ボーナスへの移行が確定していない場合)は、「準備パート(AT継続)」の付与が該当し、AT継続が確定している場合(レースパート終了後に準備パート又は疑似ボーナスへの移行が確定している場合)は、「疑似ボーナス」の付与が該当する。
なお、AT継続が確定している場合において、特典抽選に複数回当選した場合はその都度「疑似ボーナス」を付与するが、「疑似ボーナス」の付与数を制限してもよい(最大1個以下や3個以下等)。
【0165】
図22は、特典抽選の実行時に参照する特典抽選テーブルである。
図22(a)は、弱レア役当選時に参照する特典抽選テーブルA(弱レア役)であり、図22(b)は、強レア役当選時に参照する特典抽選テーブルB(強レア役)である。
これらの図に示すように、弱レア役当選時より強レア役当選時の方が特典に当選し易く、低設定より高設定の方が特典に当選し易い。
なお、11G目(最終ゲーム)は、レースパートの一部なので特典抽選テーブルを参照して特典抽選を実行する。
例えば、図21(e)は、レースパートの最終ゲームに表示されるリザルト画面(本実施形態ではAT非継続の場合に表示する画面)であるが、当該最終ゲームにおける特典抽選で当選すると、リザルト画面の表示後に、所定の継続報知を実行し、AT(準備パート)を継続することになる。
【0166】
レースパートでは、設定値に応じてリザルト画面にキャラを出現させるキャラ出現演出を実行する。
キャラ出現演出では、出現させるキャラを抽選(キャラ出現抽選)で決定する。
キャラ出現抽選は、レースパートのリザルトゲーム時に実行するが、準備パート中に実行してもよい。
図23は、キャラ出現抽選の際に参照されるキャラ出現テーブル(リザルト)である。
同図に示すように、キャラA~Eは、それぞれが異なる設定を示唆する。
例えば、キャラBを出現させることで奇数示唆を実行し、キャラCを出現させることで偶数示唆を行う。なお、キャラ表示に限らず音声やランプ表示を行うこともできる。
すなわち、副制御部20は、第1決定手段として、確率設定装置16(設定手段)により設定された設定値に基づいて、キャラE(第1特定情報)を含む複数のキャラ(特定情報)の中から、リザルト(第1状況)において出力するキャラ(特定情報)を決定し、出力手段(表示器8、スピーカ9、ランプ11等)が、第1決定手段により決定された特定情報をリザルト(第1状況)において出力する。
同図及び図13,14に示すように、リザルト画面に表示するキャラは、通常遊技状態中に表示されるキャラと同一であるが、表示するキャラによって設定が示唆される点で通常遊技状態中とは異なる。
「同一」とは、キャラの大きさ、形状、位置、色などが同一又はほぼ同一(類似)のことをいう。
【0167】
例えば、キャラEは最高設定を示唆(報知)するキャラであるが、当該キャラEは通常遊技状態中に頻繁に出現するキャラ(通常遊技状態では設定に左右されず出現するキャラ)であるため、キャラEを出現させても、周囲の来店者に最高設定である旨を認識し難くすることが出来る。
つまり、リザルトに係る第1決定手段は、設定手段によって、第1設定値(例えば設定1)が設定されている場合よりも、第2設定値(例えば設定6)が設定されている場合の方が、高確率でキャラE(第1特定情報)を決定可能であり、通常遊技状態に係る第2決定手段は、設定手段によって、第1設定値が設定されている場合と第2設定値が設定されている場合とで、同一確率でキャラE(第1特別情報)を決定可能である(図13(a)、図23参照)。
リザルトに係る第1決定手段は、設定手段によって、第1設定値(例えば設定1)が設定されている場合、キャラE(第1特定情報)を決定せず、通常遊技状態に係る第2決定手段は、設定手段によって、第1設定値が設定されている場合、キャラE(第1特別情報)を決定可能である。
即ち、設定示唆専用キャラとして(リザルトのみ出現するキャラとして)キャラEを扱うと、当該キャラEが出現した時点で周囲の来店者に最高設定であることを容易に認識されてしまうが、本発明では、通常遊技状態中にキャラEが頻繁に出現するため、単にキャラEが出現しても最高設定である旨を認識し難くすることが出来る。
【0168】
なお、通常遊技状態中に出現し難いキャラ(例えばキャラA)を、高設定を示唆するキャラにして扱ってもよい。
また、通常遊技状態中に出現しないキャラを、設定示唆しないキャラ、又は、設定示唆するキャラとして出現するようにしてもよい。
また、通常遊技状態中に出現するキャラとリザルトで出現するキャラは同一でもよく、非同一が認識困難な態様でもよい。つまり、双方のキャラにおいて、例えば、大きさ違い、形状違い、位置違い、色違い等の程度で同一かほぼ同一(類似)であればよい。
すなわち、リザルト時に表示するキャラE(第1特定情報)は、通常遊技状態中に表示するキャラE(第1特別情報)と少なくとも一部が同一の情報であればよい。
また、リザルト時に操作手段(演出ボタン等)を操作した場合のみ、キャラを表示するようにしてもよい。
また、サブ画面や下パネル表示器にキャラを表示してもよい。
【0169】
図24(a)は、リザルト画面であり、図24(b)は、リザルトゲーム後のMAXベット操作時に表示される画面である。
つまり、リザルト画面でキャラAと背景画像(図24(a))が表示され、その後のベット操作に応じ通常遊技状態中の背景画像(図14(a))に遷移している。
すなわち、レースパートのリザルトの背景画像と通常遊技状態の背景画像とを同一(前記「非同一が認識困難な態様」を含む)にすることによって、キャラが出現した際に、その背景画像によって「設定示唆をしているのか否か」を周囲の遊技者に察知され難くしている。
【0170】
(疑似ボーナス)
疑似ボーナスは、21G継続するATである。当該ATは全ナビであるため、出玉が最も獲得できる遊技状態である。
このため、疑似ボーナスは遊技者に有利な遊技状態である。
疑似ボーナスは、21Gを終了すると準備パートに移行する(図11の矢印c)。
疑似ボーナスには、後記ポイント抽選に関連して「低確」、「高確」、「超高確」、「確定」の4種類の状態が存在する。
各状態は、所定役の当選に基づいて実行される状態移行抽選の抽選結果等に基づいて制御される。
【0171】
図25は、状態移行抽選の実行時に参照するテーブルである。
図25(a)は、リプレイ役又は1枚役に当選した場合に参照する状態移行抽選テーブルA(リプレイ役、1枚役)であり、図25(b)は、弱レア役に当選した場合に参照する状態移行抽選テーブルB(弱レア役)であり、図25(c)は、強レア役に当選した場合に参照する状態移行抽選テーブルC(強レア役)である。
状態移行抽選では、現在滞在している状態に基づいて移行先の状態を決定する。
具体的には、現在の滞在状態が低確の場合において、状態移行抽選A(リプレイ役、1枚役)が実行されたときは、移行先状態として低確又は高確に当選する可能性があり(図25(a))、状態移行抽選B(弱レア役)が実行されたときは、移行先状態として高確又は超高確に当選する可能性があり(図25(b))、状態移行抽選C(強レア役)が実行されたときは、移行先状態として高確又は超高確に当選する可能性がある(図25(c))。
同様に、現在の滞在状態が高確の場合、移行先状態として低確又は高確に当選する可能性があり、現在の滞在状態が超高確の場合、移行先状態として低確、高確又は超高確に当選する可能性がある(図25)。
例えば、開始ゲーム(疑似ボーナスの1ゲーム目)において、リプレイ役又は1枚役に当選したことに基づいて状態移行抽選が実行され、その結果、高確に当選した場合、次ゲームにおいて高確の状態に移行するが、低確に当選した場合、次ゲームにおいても現状の低確状態が維持される。
【0172】
開始ゲームは「低確」の状態に制御される。このため、前記状態移行抽選により現状よりも有利な状態(例えば高確又は超高確)に当選しない場合は、現状の状態に滞在し続けることになる。
高確及び超高確は、1Gで終了し、前記状態移行抽選を実行しない場合には、低確に移行する(状態移行抽選の実行で低確に当選した場合も低確に移行する)制御が実行される。
確定は、後述のポイント抽選に当選してポイントが付与されるか、疑似ボーナスが終了するまで継続し、ポイントが上乗せされた場合は、低確に移行する制御が実行される。
なお、上述した高確、超高確及び確定の滞在期間は一例であり、他の滞在期間を適用することもできる。
押し順ベル役Bに当選した場合、特別な演出を実行する(例えば、押し順ナビを大きく表示する)こともできる。
これにより、遊技者に最高払出数の役に当選したことを報知できるので、高揚感を与えることができる。
【0173】
ポイント抽選は、図26に示すポイント抽選テーブルを参照して実行される。
図26(a)は、押し順ベル役Bの当選時に参照するポイント抽選テーブルA(ベルB)であり、図26(b)は、強レア役の当選時に参照するポイント抽選テーブルB(強レア役)である。
疑似ボーナスにおけるポイント抽選を経て付与されたポイントは蓄積され、疑似ボーナスの終了後に制御される準備パートにて実行されるAT継続抽選に利用される。
【0174】
疑似ボーナスでは、滞在している状態を示唆することができる。
例えば、背景画像を対応する状態で表示したり、状態が変位するたびに背景画像を変更する(遷移させる)ことで、そのときに滞在している状態を示唆してもよい。
また、背景画像を変更するのではなく、対応する帯画像を出すことで、滞在している状態を示唆してもよい。
例えば、高確:緑帯、超高確:赤帯、確定:金帯などの帯画像を表示することで、表示されている帯画像の色によって滞在している状態を示唆することができる。
【0175】
疑似ボーナスの最終ゲームでは、状態移行抽選を実行しないようにしてもよい。
これは、状態移行抽選が次ゲームの移行先状態を決定するものであるところ、当該最終ゲームで疑似ボーナスが終了する(つまり、次ゲームが存在しない)からである。
また、最終ゲームで状態移行抽選を実行してもよく、この場合、抽選結果(移行先状態)を次回の疑似ボーナスで引き継ぐようにしてもよい。
【0176】
ポイント抽選では、100ポイント又は200ポイントが当選する可能性がある。
ポイント抽選を経て付与されたポイントは、準備パートで管理しているポイントに加算される。
このため、100ポイントが付与された場合、1回のAT継続が確定し、200ポイントが付与された場合、2回のAT継続が確定する。
疑似ボーナスの1~20G目では、強レア役の当選に基づく抽選を経てポイントが付与された場合、通常のナビ演出を実行し、押し順ベル役Bの当選に基づく抽選を経てポイントが付与された場合、通常とは異なるナビ演出を実行する。
「通常のナビ演出」とは、例えば、正解押し順を一般的なサイズで表示したり、背景画像を一般的な背景画像で表示することをいう。
「通常とは異なるナビ演出」とは、例えば、正解押し順を一般的なサイズよりも大きく表示(特大表示)したり、背景画像を一般的な背景画像と異なる態様(色違い、キャラのデザインが異なる、大きさが特大等)で表示することをいう。
例えば、強レア役の当選に基づく抽選を経てポイントが付与された場合、「V」等を表示することで100%ポイント付与を報知してもよく、押し順ベル役Bの当選に基づく抽選を経てポイントが付与された場合、50%の確率で、ナビと同時に巨大な画像(キャラ画像)を通常とは異なる態様で表示してもよい。
このように、最高払出枚数の押し順ベル役Bの当選時に、通常とは異なるナビ演出を実行することにより、最高払出枚数が付与されたことを報知して、遊技者に高揚感を与えることができる。
なお、疑似ボーナスの21G目は、準備パートの開始画面が表示されるため、見た目上は、準備パートに見えるので、ポイントが付与されても報知しないが、報知する場合があってもよい。
疑似ボーナスで付与する特典はポイントに代えて又は加えて、準備パート又は疑似ボーナスに対するセットストックでもよい。
【0177】
図27は、疑似ボーナスにおいて、押し順ベルが当選したときのナビ態様を示す図である。
図27(a)は、押し順ベル役A5が当選したときのナビ態様を示し、図27(b)は、押し順ベル役B5が当選したときのナビ態様を示し、図27(c)は、押し順ベル役B6が当選したときのナビ態様を示している。
最高払出枚数である押し順ベル役B5,B6の当選時には、巨大な押し順ナビの画像を表示し(図27(b),(c))、押し順ベル役B5,B6よりも払出枚数が少ない押し順ベル役Aの当選時には通常の押し順ナビを実行するようにしている。
また、入賞音及び払出音に関して、疑似ボーナス時のみ、押し順Aと押し順ベルBとで異ならせてもよい。
また、押し順不正解時にその旨を示す画像や音声を出力する場合、押し順ベル役Aよりも押し順ベル役Bの方が、大きな画像や大きな音声で出力したり、出力期間を長くする等の制御を実行することで、押し順ベル役B当選時に「優越感」を際立たせたり、押し順ベル役A当選時に「残念感」を際立たせてもよい。
なお、押し順ベル役Aのときに押し順ナビと共に画像を表示してもよいが、この画像は押し順ベル役Bよりも小さな画像であることが好ましい。
また、押し順ナビ自体の大きさを払出枚数に関連させてもよい。
例えば、ナビ画像の大きさは、押し順ベル役A<押し順ベル役Bにする。
また、押し順ナビ自体の大きさを変更する場合には、キャラ画像を表示しなくてもよい。
押し順ナビの大きさを制御するのではなく、背景画像に巨大な画像(キャラ画像)を表示してもよい。
【0178】
図28は、遊技状態及び画面等の関係性を示す図表である。
同図に示すように、本実施形態のメダルレス遊技機1では、準備パートの開始前の遊技状態に応じて、開始画面でATか非ATになるようにしている。
具体的には、図28(a)や(b)に示すように、準備パートの開始前の遊技状態(疑似ボーナス(AT)やレースパート(非AT))の終了ゲームで、次の遊技状態である準備パートの開始画面を表示する。
特に、疑似ボーナスから準備パートへ移行する場合には、非AT状態をまたがないため、シームレスな遊技性を提供することができる。
レースパートのリザルト画面では、キャラを表示する(前述のキャラ出現演出)。
【0179】
(その他)
通常遊技状態とレースパートにおけるキャラ出現演出におけるキャラは同一又は類似していることや、キャラの出現確率は図13図23に示すものに限らないことについて述べたが、例えば、リザルトにおいては、キャラEのような高い出現確率のキャラの出現確率を低くしてもよく、キャラAのような低い出現確率のキャラの出現確率を高くしてもよい。また、通常遊技状態においては、キャラAの出現確率をキャラEの出現確率より高くしたり、キャラEの出現確率をキャラAの出現確率よりも高くするなど、双方の出現確率を異ならせてもよい。
つまり、特定情報としての複数のキャラは、設定手段によって第1設定値(例えば設定1)及び第2設定値(例えば設定6)の一方が設定されている場合において、リザルトに係る第1決定手段により決定され得るキャラA(第2特定情報)を含み、特別情報としての複数のキャラは、キャラA(第2特定情報)と少なくとも一部が同一の情報であるキャラA(第2特別情報)を含み、前記第1決定手段は、設定手段によって第2設定値が設定されている場合、キャラE(第1特定情報)よりも高確率でキャラA(第2特定情報)を決定可能であり、前記第2決定手段は、設定手段によって第2設定値が設定されている場合、キャラE(第1特別情報)をキャラA(第2特別情報)とは異なる確率で決定してもよい。
これにより、キャラEの特別感を無くして、キャラE出現時の高設定確定感を薄めることができる。
【0180】
通常遊技状態中に出現するキャラ」には、「通常遊技状態中に発生する特定演出(連続演出や連続演出への発展を示す演出等)に登場するキャラ(図示省略)」も含めることができる。
つまり、この場合、「通常遊技状態中に発生する特定演出に登場するキャラ」と「リザルト画面のキャラ」を「同一」にしても良い。
【0181】
消去演出の態様によって、ポイントや有利区間リミットまでの差数等、その他の情報を示唆するようにしてもよい。
上述した一部又は全ての遊技状態において、一部AT又は全ナビにしてもよい。
準備パート及び疑似ボーナスにおいて、ゲーム数管理型ATに制御するようにしたが、何れか一方又は双方について、獲得枚数(余剰分を含む)、払出枚数、特定小役当選回数のうちのいずれかの情報に基づく管理型ATとしてもよい。
なお、レースパートをATとした場合も同様に、ゲーム数、獲得枚数、払出枚数、特定小役当選回数のうちいずれかの情報に基づく管理型ATとしてもよい。
レースパートをAT(全ナビ)とした場合、押し順ベル当選時にナビ非実行抽選(1/200で当選)を行い、当該抽選で当選した場合に、特典を付与するようにしてもよい。
準備パートにおいて、ポイント上乗せ確定時に、押し順ベルの押順が正解するまで非ATとしてもよい。
【0182】
以上説明したように、本発明においては、遊技者に有利な特定遊技状態(準備パート、レースパート、疑似ボーナス)における遊技価値数に関する情報(獲得枚数)を計数可能な計数手段と、前記計数手段による計数結果が特定結果に到達した場合、特定情報(〇〇枚突破)を表示可能な表示手段と、前記表示手段に表示される特定情報の変化態様(例えば消去態様)を決定可能な決定手段と、を備え、前記決定手段は、遊技に関する所定情報(設定値、獲得枚数、特定小役に関する情報)に基づいて、前記表示手段に表示される特定情報の変化態様を決定可能であり、前記表示手段は、前記決定手段により決定された変化態様に基づいて、表示中の特定情報を変化(消去)させることを可能にしている。
【0183】
これにより、所定枚数の遊技価値を獲得した場合に表示される情報の変化態様で、遊技に関する情報を示唆するため、興趣を高めることができる。
【0184】
これに対して、例えば、特許文献(特開2020-58445号公報)には、所定枚数の遊技価値を獲得した場合、その旨を表示することで、遊技者に達成感や優越感を与える遊技機が開示されている。
しかしながら、この遊技機においては、単に、獲得に関する情報を表示するだけであり、十分に興趣を高めることができていなかった。
【0185】
また、本発明においては、第1設定値(例えば設定1)と、第1設定値よりも遊技が有利に進行し得る第2設定値(例えば設定6)と、を含む複数の設定値の中から何れかの設定値を設定可能な設定手段(確率設定装置16)と、前記設定手段により設定された設定値に基づいて、第1特定情報(例えばキャラE)を含む複数の特定情報(キャラ)の中から、第1状況(リザルト等)において出力する特定情報(キャラ)を決定可能な第1決定手段(キャラ出現抽選)と、第1特別情報(例えばキャラE)を含む複数の特別情報(キャラ)の中から、前記第1状況とは異なる第2状況(通常遊技状態等)において出力する特別情報(キャラ)を決定可能な第2決定手段(キャラ出現抽選)と、前記第1決定手段により決定された特定情報(キャラ)を前記第1状況(リザルト等)で出力可能であり、前記第2決定手段により決定された特別情報(キャラ)を前記第2状況(通常遊技状態)で出力可能な出力手段と、を備え、前記第1特定情報(キャラE)は、前記第1特別情報(キャラE)と少なくとも一部が同一の情報である。
つまり、設定示唆演出と共通の演出を設定示唆演出以外でも実行することで、本当に設定示唆演出が実行されたか否かを察知し難くできることから、注目対象にならないようにすることができる。
【0186】
また、前記第1決定手段(リザルト等におけるキャラ出現抽選)は、前記設定手段によって、前記第1設定値(例えば設定1)が設定されている場合よりも、前記第2設定値(例えば設定6)が設定されている場合の方が、高確率で前記第1特定情報(キャラE)を決定可能であり、前記第2決定手段(通常遊技状態におけるキャラ出現抽選)は、前記設定手段によって、前記第1設定値(例えば設定1)が設定されている場合と前記第2設定値(例えば設定6)が設定されている場合とで、同一確率で前記第1特別情報(キャラE)を決定可能にしている。
つまり、高設定を示唆する設定示唆演出を、設定を示唆しない設定示唆演出よりも、通常遊技状態において出現率を高くすることで、本当に設定示唆演出が実行されたか否かを、より一層察知し難くできる。
【0187】
これに対して、例えば、特許文献(特開2020-58445号公報)には、設定示唆演出を実行することで、設定値を示唆する遊技機が開示されている。
このような遊技機では、管理者により高設定が設定されている場合には、遊技者がその旨を察知することが可能となることから、遊技機が高設定を示唆する設定示唆演出が実行することで、「高設定を使う遊技店」という印象を遊技者に与えることができる。
言い換えると、管理者が出玉を遊技者に還元する意思のある遊技店(優良店)であることを、遊技者に対してアピールすることができる。
しかしながら、上記遊技機では、設定示唆演出として表示される画像が、当該遊技機で設定示唆演出でしか登場しない画像であることから、当該画像が自身の遊技する遊技機で表示された場合は、周囲にいる来店者によって、容易に高設定が入っていることを察知されてしまう可能性が高い。
また、自身の遊技する遊技機が高設定であると周囲にいる来店者によって察知されてしまうと、来店者によって常に空台にならないか注目される対象となり、周りの目が気になって遊技に集中することができない可能性が高くなるという問題が生じる虞があった。
本実施形態のメダルレス遊技機1によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0188】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述の実施形態では、AT状態は、ゲーム数管理型ATに制御される場合で説明したが、これに限らず、例えば、差枚数、押し順ナビの発生回数、小役当選回数、メダルの獲得枚数、メダルの払出数等の少なくとも1つで管理するようにしてもよい。
また、通常AT状態と上位AT状態で管理する対象を異ならせてもよい。
【0189】
また、上述の実施形態では、AT機の場合で説明したが、AT機以外(例えば、RT機、ART機)に本発明を適用してもよい。
また、基本実施形態において、AT中は、ゲーム数減算方式を適用する場合で説明し、他の実施形態において、AT中は、ゲーム数加算方式を適用する場合で説明したが、基本実施形態においてゲーム数加算方式を適用し、他の実施形態においてゲーム数減算方式を適用してもよい。
【0190】
また、上述の実施形態では、通常遊技状態は、通常区間又は有利区間に制御され、AT状態は、有利区間に制御される場合を想定して説明したが、これに限らず、各遊技状態は、通常区間及び有利区間の何れか一方又は双方に制御されるようにしてもよい。
【0191】
また、上述の実施形態では、各種処理において参照するテーブルは、一例であり、前述したテーブルにのみ限定されるものではない。さらに、各種テーブルに係る当選確率は、前述した値に限らず、適宜変更することができる。
また、各種テーブルにおいて全設定値で当選確率が共通のものと、設定値ごとに当選確率が異なるものがあるが、これに限らず、全てのテーブルにおいて全設定値で当選確率が共通であっても、異なるものであってもよい。また、一部の設定値のみ(偶数設定のみ、奇数設定のみ、高設定のみ)当選確率や参照するテーブルが異なっていてもよい。
また、上述の実施形態において、「一方よりも他方の方が確率が高い」、あるいは「一方よりも他方の方が確率が低い」、等の内容を含んで表現した場合には、一方の確率は0%を含み、他方の確率が100%を含むものとする。
また、上述の実施形態において、制御上で規定された数値は一例であり、幅を持った数値(2以上)でもよいし、幅を持たない数値(1)でもよい。
【0192】
また、前扉1aにモータやスピーカ等の作動により当該前扉1aを振動させる振動手段を設けて、相対的に期待度の高い演出が行われた場合に、振動手段を作動させることで、遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。
また、前扉1aに遊技者に向けて風を吹き付ける送風手段を設けて、相対的に期待度の高い演出が行われた場合に、送風手段を作動させることで、遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。
【0193】
また、上述の実施形態では、遊技状態制御手段などの各種手段としての動作を主制御部10が行ったが、副制御部20がその一部又は全部を行い、副制御部20が各種手段として動作することもできる。
また、反対に、副制御部20が表示器8等において演出を実行する手段として動作を行ったが、主制御部10がその一部又は全部を行い、主制御部10が各種手段として動作することもできる。
【0194】
また、上述の実施形態において、遊技機は、スロットマシンである例を示したが、これに限定されない。遊技機は、例えば、パチンコ、玉スロなどその他の遊技機でもよい。
また、遊技機は、メダルなどの現物の遊技媒体を用いる遊技機(スロットマシン)でもよい。
【0195】
また、上述の実施形態では、可変表示手段としてモータにより駆動制御されるリール41を用いたが、これに代えて又はこれに加えて、液晶表示器などの表示器8にリール等の図柄が変動する画像を表示させることにより、表示器を識別情報の可変表示手段として用いることもできる。
【符号の説明】
【0196】
1 メダルレス遊技機(遊技機)
8 表示器(表示手段、出力手段)
81 履歴情報表示領域(履歴表示領域)
10 主制御部(判定手段、第1判定手段、第2判定手段)
16 確率設定装置
20 副制御部(決定手段、第1決定手段、第2決定手段)
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