(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008058
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】自律走行車両装置
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109907
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】519184930
【氏名又は名称】株式会社ソミックマネージメントホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 桐馬
(72)【発明者】
【氏名】長坂 智
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB05
5H301BB10
5H301BB11
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD13
5H301DD15
5H301GG08
5H301LL01
5H301LL02
5H301LL06
5H301LL07
5H301LL08
5H301LL11
5H301LL14
(57)【要約】
【課題】傾斜した路面に対して屈曲して延びる後続路面に移行する際に障害物などの検知対象物の検知外れを抑制することができる自律走行車両装置を提供する。
【解決手段】自律走行車両装置100は、下り路面DRに対して180°未満の角度範囲で屈曲して延びる下り後続路面DARを自走する自走車両体101を備えている。自走車両体101は、自走車両体101の前方の検知対象物OBを検知するための光学センサ110および制御装置120をそれぞれ備えている。光学センサ110は、下り路面DRと平行な仮想平面TPよりも上側に光を発する上向き角度で取り付けられている。制御装置120は、自走車両体の前方に存在する検知対象物OBとの距離を算出する測距部121と、測距部121によって算出された距離情報に基づいて自走車両体の走行または操舵のうちの少なくとも一方を制御する自律走行制御部122とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面に対して下り傾斜となる下り路面に対して180°未満の角度範囲で屈曲して延びる下り後続路面を自走する自走車両体と、
前記自走車両体の走行方向の前方に向けて設けられて直線状に光を発するとともにこの光の反射光を受光する光学センサと、
前記光学センサによる検出信号を用いて前記自走車両体の前方に存在する物体との距離を算出する測距部と、
前記測距部によって算出された距離情報に基づいて前記自走車両体の走行または操舵のうちの少なくとも一方を制御する自律走行制御部とを備え、
前記光学センサは、
前記下り路面と平行な仮想平面よりも上側に前記光を発する上向き角度で設けられていることを特徴とする自律走行車両装置。
【請求項2】
請求項1に記載した自律走行車両装置において、
前記光学センサは、
前記物体の高さの半分以下の高さ位置に設けられていることを特徴とする自律走行車両装置。
【請求項3】
水平面に対して上り傾斜となる上り路面に対して180°を超える角度範囲で屈曲して延びる上り後続路面を自走する自走車両体と、
前記自走車両体の走行方向の前方に向けて設けられて直線状に光を発するとともにこの光の反射光を受光する光学センサと、
前記光学センサによる検出信号を用いて前記自走車両体の前方に存在する物体との距離を算出する測距部と、
前記測距部によって算出された距離情報に基づいて前記自走車両体の走行または操舵のうちの少なくとも一方を制御する自律走行制御部とを備え、
前記光学センサは、
前記上り路面と平行な仮想平面よりも下側に前記光を発する上向き角度で設けられていることを特徴とする自律走行車両装置。
【請求項4】
請求項3に記載した自律走行車両装置において、
前記光学センサは、
前記物体の高さの半分以上の高さ位置に設けられていることを特徴とする自律走行車両装置。
【請求項5】
請求項1または請求項3に記載した自律走行車両装置において、さらに、
前記光学センサを支持して前記自走車両体に取り付けるセンサ取付部材を備えることを特徴とする自律走行車両装置。
【請求項6】
請求項5に記載した自律走行車両装置において、
前記センサ取付部材は、
前記光学センサを支持するセンサ支持部分が前記自走車両体に取り付けられる車両取付部に対して屈曲した傾斜面に形成されていることを特徴とする自律走行車両装置。
【請求項7】
請求項5に記載した自律走行車両装置において、
前記センサ取付部材は、
前記光学センサの取り付け角度を調整可能であることを特徴とする自律走行車両装置。
【請求項8】
請求項1または請求項3に記載した自律走行車両装置において、さらに、
前記自走車両体の傾斜角度に応じた検出信号を出力する傾斜センサと、
前記傾斜センサが出力する前記検出信号に基づいて前記傾斜角度を算出する傾斜角度算出部と、
前記光学センサの取り付け角度を調整する角度調整機構と、
前記算出した傾斜角度を用いて前記角度調整機構を制御して前記光学センサの取り付け角度を調整する取付角度制御部を備えることを特徴とする自律走行車両装置。
【請求項9】
請求項1または請求項3に記載した自律走行車両装置において、
前記光学センサは、
前記自走車両体の前方0.5m以上かつ5m以下の範囲における人の腰付近に前記光を照射する向きで設けられていることを特徴とする自律走行車両装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進行方向上に存在する物体との接触または衝突を避けながら自律的に走行する自律走行車両装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2次元LiDAR(Light Detection And Ranging)を用いて進行方向上に存在する障害物などの検知対象物を避けながら自律的に走行する自律走行車両装置がある。例えば、下記特許文献1には、2次元LiDARで構成された障害物センサを搭載して後進時における障害物との接触を避ける自律走行車両装置としてのフォークリフトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたフォークリフトにおいては、障害物センサが路面近くに配置されて路面と平行な水平方向にレーザ光を照射していると考えられるため、フォークリフトが傾斜した路面から水平な路面に移行する際に障害物の検知外れが生じる場合があるという問題がある。
【0005】
例えば、
図12に示すように、2次元LiDARで構成された障害物センサ1を備えた自律走行車両装置2が下り傾斜となる下り路面DRを走行する場合においては、水平な水平路面HRに差し掛かった際に障害物センサ1から出射されるレーザ光Lが検知対象物OBとして検出すべき人から外れて水平路面HRに照射される。このため、自律走行車両装置2においては、検知対象物OBを正しく検出することができないばかりでなく、水平路面HRを検知対象物OBとして誤認してしまうことがあるという問題があった。
【0006】
なお、上記特許文献1に記載されたフォークリフトにおいては、床面上に載置されたパレットの形状を3次元的に測定するための2次元ライダーが床面にレーザ光を照射するように傾斜した状態で設けられている(
図8)。しかしながら、上記特許文献1に記載された2次元ライダーは、水平な床面に載置されたパレットの3次元形状を測定してフォークを開口部に挿入する際に起動されるものであり、傾斜した路面上を走行する際に使用されるものではなく本願発明が想定する走行場面を全く想定していないものである。また、上記特許文献1に記載されたフォークリフトにおいては、パレットが傾斜した路面の前方に配置されることは全く想定されていないばかりでなく、仮に想定されていたとしても、例えば、上り傾斜となる上り路面の先の水平路面上に載置されたパレットについてはフォークリフトが上り路面を上りきる直前付近ではパレットが2次元ライダーの検出範囲から外れて3次元形状の測定が不可能である。
【0007】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、傾斜した路面に対して屈曲して延びる後続路面に移行する際に障害物などの検知対象物の検知外れを抑制することができる自律走行車両装置を提供することにある。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、水平面に対して下り傾斜となる下り路面に対して180°未満の角度範囲で屈曲して延びる下り後続路面を自走する自走車両体と、自走車両体の走行方向の前方に向けて設けられて直線状に光を発するとともにこの光の反射光を受光する光学センサと、光学センサによる検出信号を用いて自走車両体の前方に存在する物体との距離を算出する測距部と、測距部によって算出された距離情報に基づいて自走車両体の走行または操舵のうちの少なくとも一方を制御する自律走行制御部とを備え、光学センサは、下り路面と平行な仮想平面よりも上側に光を発する上向き角度で設けられていることにある。
【0009】
このように構成した本発明の特徴によれば、自律走行車両装置は、水平面に対して下り傾斜となる下り路面に対して180°未満の角度範囲で屈曲して延びる下り後続路面を自走する自走車両体に下り路面上で平行な仮想平面よりも上側に向けて光を発する対象物検知用の光学センサが設けられているため、下り路面から下り後続路面に移行する際に検知対象物の検知外れを抑制することができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記自律走行車両装置において、光学センサは、物体の高さの半分以下の高さ位置に設けられていることにある。
【0011】
これによれば、自律走行車両装置は、光学センサが自律走行車両装置の進行方向上の物体の高さの半分以下の高さ位置に設けられているため、自律走行車両装置が水平面に対して下り傾斜となる下り路面に対して180°未満の角度範囲で屈曲して延びる下り後続路面に移行する際にも検知対象物の検知外れを抑制することができる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、水平面に対して上り傾斜となる上り路面に対して180°を超える角度範囲で屈曲して延びる上り後続路面を自走する自走車両体と、自走車両体の走行方向の前方に向けて設けられて直線状に光を発するとともにこの光の反射光を受光する光学センサと、光学センサによる検出信号を用いて自走車両体の前方に存在する物体との距離を算出する測距部と、測距部によって算出された距離情報に基づいて自走車両体の走行または操舵のうちの少なくとも一方を制御する自律走行制御部とを備え、光学センサは、上り路面と平行な仮想平面よりも下側に光を発する上向き角度で設けられていることにある。
【0013】
このように構成した本発明の特徴によれば、自律走行車両装置は、水平面に対して上り傾斜となる上り路面に対して180°を超える角度範囲で屈曲して延びる上り後続路面を自走する自走車両体に上り路面上で平行な仮想平面よりも下側に向けて光を発する対象物検知用の光学センサが設けられているため、上り路面から上り後続路面に移行する際に障害物の検知外れを抑制することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記自律走行車両装置において、光学センサは、物体の高さの半分以上の高さ位置に設けられていることにある。
【0015】
これによれば、自律走行車両装置は、光学センサが自律走行車両装置の進行方向上の物体の高さの半分以上の高さ位置に設けられているため、自律走行車両装置が水平面に対して上り傾斜となる上り路面に対して180°を超える角度範囲で屈曲して延びる上り後続路面に移行する際にも検知対象物の検知外れを抑制することができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記自律走行車両装置において、さらに、光学センサを支持して自走車両体に取り付けるセンサ取付部材を備えることにある。
【0017】
これによれば、自律走行車両装置は、さらに、光学センサを支持して自走車両体に取り付けるセンサ取付部材を備えているため、自走車両体に対して種々の形態で光学センサを取り付けることができる。例えば、センサ取付部材は、光学センサを自走車両体から張り出した位置に設けることで光学センサの周囲の検知可能範囲を広げることができる。
【0018】
また、本発明の他の特徴は、前記自律走行車両装置において、センサ取付部材は、光学センサを支持するセンサ支持部分が自走車両体に取り付けられる車両取付部に対して屈曲した傾斜面に形成されていることにある。
【0019】
これによれば、自律走行車両装置は、センサ取付部材が光学センサを支持するセンサ支持部分が自走車両体に取り付けられる車両取付部に対して屈曲した傾斜面に形成されているため、光学センサを容易に傾斜した状態で支持することができる。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、前記自律走行車両装置において、センサ取付部材は、光学センサの取り付け角度を調整可能であることにある。
【0021】
これによれば、自律走行車両装置は、センサ取付部材が光学センサの取り付け角度を調整可能に構成されているため、光学センサの取り付け角度、すなわち、光の照射方向を所望する方向に自由に変更にすることができる。
【0022】
また、本発明の他の特徴は、前記自律走行車両装置において、さらに、自走車両体の傾斜角度に応じた検出信号を出力する傾斜センサと、傾斜センサが出力する検出信号に基づいて傾斜角度を算出する傾斜角度算出部と、光学センサの取り付け角度を調整する角度調整機構と、算出した傾斜角度を用いて角度調整機構を制御して光学センサの取り付け角度を調整する取付角度制御部を備えることにある。
【0023】
これによれば、自律走行車両装置は、自走車両体の傾斜角度に応じて光学センサの取り付け角度が調整されるため、路面の傾斜角度に応じて光学センサの向きを自動的に調整することができる。
【0024】
また、本発明の他の特徴は、前記自律走行車両装置において、光学センサは、自走車両体の前方0.5m以上かつ5m以下の範囲における人の腰付近に光を照射する向きで設けられていることにある。
【0025】
これによれば、自律走行車両装置は、光学センサが自走車両体の前方0.5m以上かつ5m以下の範囲における人の腰付近に光を照射する向きで設けられているため、下り路面を走行した場合であっても上り路面を走行した場合であっても人または人と同程度の高さの検知対象物の検知外れを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る自律走行車両装置の外観構成を水平路面を走行する状態で模式的に示す側面図である。
【
図2】
図1に示す自律走行車両装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図1に示す自律走行車両装置の作動を制御するための制御システムのブロック図である。
【
図4】
図1に示す自律走行車両装置における光学センサおよびセンサ取付部材の外観構成の概略を示す側面図である。
【
図5】
図1に示す自律走行車両装置が下り路面から下り後続路面に差し掛かった状態を示す側面図である。
【
図6】
図1に示す自律走行車両装置が上り路面から上り後続路面に差し掛かった状態を示す側面図である。
【
図7】本発明の変形例に係る自律走行車両装置における光学センサおよびセンサ取付部材の外観構成の概略を示す側面図である。
【
図8】本発明の他の変形例に係る自律走行車両装置が走行する下り後続路面が下り傾斜面である場合を示す側面図である。
【
図9】本発明の他の変形例に係る自律走行車両装置が走行する下り後続路面が上り傾斜面である場合を示す側面図である。
【
図10】本発明の他の変形例に係る自律走行車両装置における光学センサおよびセンサ取付部材の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図11】本発明の他の変形例に係る自律走行車両装置における光学センサおよびセンサ取付部材の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図12】従来の自律走行車両装置が下り路面から下り後続路面に差し掛かった状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る自律走行車両装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る自律走行車両装置100の外観構成を水平路面HRを走行する状態で模式的に示す側面図である。また、
図2は、
図1に示す自律走行車両装置100の構成を模式的に示す平面図である。また、
図3は、
図1に示す自律走行車両装置100の作動を制御するための制御システムのブロック図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法また比率などは異なっていることがある。
【0028】
この自律走行車両装置100は、デパートまたはショッピングセンターなどの商業施設、病院、駅または役場などの公共施設、駐車場、山林、農場、工場内または工事現場などで荷役、牽引、清掃、散水、散布、情報報集(計測を含む)または情報提供などの各種役務を提供するために自律的に走行する車両型ロボットである。この自律走行車両装置100は、自走車両体101を備えている。
【0029】
(自律走行車両装置100の構成)
自走車両体101は、進行方向上に存在する検知対象物OBへの接触または衝突を避けながら自律的に走行するための機械的、電気的または電子的な部品が組み付けられた車両である。具体的には、自走車両体101は、主として、車体フレーム102を備えている。
【0030】
車体フレーム102は、自走車両体101の車体を支える骨格となる部品であり、鋼材などの金属またはエンジニアプラスチックや繊維強化プラスチックなどの樹脂材を枠状に形成して構成されている。本実施形態においては、車体フレーム102は、自走車両体101の進行方向に沿って延びる直方体状の枠体表面に金属板を貼って箱状に形成されている。この車体フレーム102は、主として、第1前輪103、第2前輪104、ステアリング機構106、第1後輪107、第2後輪108、光学センサ110、制御装置120およびバッテリ124をそれぞれ備えている。
【0031】
第1前輪103および第2前輪104は、自走車両体101の左右の前輪をそれぞれ構成する部品であり、金属製のホイールの外周部にゴム製のノンパンクタイヤが嵌め込まれてそれぞれ構成されている。これらの各第1前輪103および第2前輪104の各ホイール内には前輪第1駆動モータ103aおよび前輪第2駆動モータ104aがそれぞれ設けられている。
【0032】
前輪第1駆動モータ103aおよび前輪第2駆動モータ104aは、第1前輪103および第2前輪104をそれぞれ正転駆動または逆転駆動させるための電動モータである。すなわち、前輪第1駆動モータ103aおよび前輪第2駆動モータ104aは、第1前輪103内および第2前輪104内にそれぞれ一体的に組み付けられた所謂インホイールモータである。これらの前輪第1駆動モータ103aおよび前輪第2駆動モータ104aは、後述する制御装置120によって作動が制御される。
【0033】
これらの第1前輪103および第2前輪104は、自走車両体101の車幅方向に延びる車軸105によって互いに連結されているとともにこの車軸105を介して車体フレーム102に取り付けられている。また、第1前輪103および第2前輪104は、ステアリング機構106が設けられている。
【0034】
ステアリング機構106は、自走車両体101の進行方向を変えるために第1前輪103および第2前輪104の向きを変化させるリンク機構からなる機械装置である。このステアリング機構106は、制御装置120によって作動が制御される電動モータで構成されたステアリング駆動モータ106aの駆動力によって作動する。
【0035】
第1後輪107および第2後輪108は、自走車両体101の左右の後輪をそれぞれ構成する部品であり、金属製のホイールの外周部にゴム製のノンパンクタイヤでそれぞれ構成されている。これらの各第1後輪107および第2後輪108の各ホイール内には後輪第1駆動モータ107aおよび後輪第2駆動モータ108aがそれぞれ設けられている。
【0036】
後輪第1駆動モータ107aおよび後輪第2駆動モータ108aは、第1前輪103および第2前輪104をそれぞれ正転駆動または逆転駆動させるための電動モータである。すなわち、後輪第1駆動モータ107aおよび後輪第2駆動モータ108aは、第1後輪107内および第2後輪108内にそれぞれ一体的に組み付けられた所謂インホイールモータである。これらの後輪第1駆動モータ107aおよび後輪第2駆動モータ108aは、制御装置120によって作動が制御される。
【0037】
これらの第1後輪107および第2後輪108は、自走車両体101の車幅方向に延びる車軸109によって互いに連結されているとともにこの車軸109を介して車体フレーム102に取り付けられている。
【0038】
光学センサ110は、自走車両体101の進行方向上に存在する人または物などの検知対象物OBを検出するための検出器である。具体的には、光学センサ110は、主として、いずれも図示しない光源、受光素子および回転ミラーをそれぞれ備えて構成されており、制御装置120によって作動が制御される。
【0039】
光源は、検知対象物OBに照射するためのレーザ光L(例えば、赤外線レーザ光)からなる光を出射する光学素子である。光学センサ110が備える光源は、検知対象物OBからの反射光を得ることができる光であれば、赤外線レーザ光以外のレーザ光、例えば、可視光レーザ光または紫外線レーザ光などを発する光源であってもよい。
【0040】
受光素子は、前記光源から出射されて検知対象物OBによって反射された反射光を受光して電気信号に変換した検出信号を出力する光学素子である。本実施形態においては、受光素子は、検出信号を制御装置120に出力する。
【0041】
回転ミラーは、ミラーが回転することで前記光源から出射されたレーザ光Lを平面視で同光源の周囲360°に導くとともに同光源の周囲360°から届く反射光を受光素子に導くための機械装置である。具体的には、回転ミラーは、レーザ光Lを反射させる鏡と、この鏡を連続的に回転させる電動モータを備えて構成されている。
【0042】
すなわち、光学センサ110は、光学センサ110を中心とする二次元平面において光学センサ110の周囲360°の領域内に存在する検知対象物OBをレーザ光Lの戻り時間および波長に基づいて検知対象物OBの距離、方向または性質を検出する所謂「2DLiDAR」で構成されている。この「2DLiDAR」は、公知であるためこれ以上の説明は省略する。この光学センサ110は、センサ取付部材111を介して自走車両体101に取り付けられている。
【0043】
センサ取付部材111は、
図4に示すように、光学センサ110を自走車両体101に取り付けるための部品であり、金属材、樹脂材または木材を板状に形成して構成されている。具体的には、センサ取付部材111は、車両取付部111aとセンサ支持部111bとで構成されている。
【0044】
車両取付部111aは、センサ取付部材111において自走車両体101に取り付けられる部分であり平板状に形成されている。この車両取付部111aは、2つの貫通孔が形成されており、これら2つの貫通孔にそれぞれボルト112を貫通させて自走車両体101にねじ嵌合させることで自走車両体101に取り付けられる。
【0045】
センサ支持部111bは、光学センサ110が取り付けられる部分であり平板状に形成されている。この場合、センサ支持部111bは、光学センサ110を水平面HPに対して上向きになる傾斜面で構成されている。より具体的には、センサ支持部111bは、
図5に示すように、光学センサ110が後述する下り路面DRと平行な仮想平面TPよりも上側に向けてレーザ光Lを発する姿勢となる傾斜面で構成されている。本実施形態においては、センサ支持部111bは、車両取付部111aを水平姿勢にした状態において同車両取付部111aに対して10°の角度で上り傾斜となる上り傾斜面で構成されている。これは、自走車両体101に取り付けられた光学センサ110から約2000mm(2m)先に大人がいると仮定した場合にその大人の臀部または腰の付近の高さ(約700mm~1000mm)位置に光学センサ110から出射されるレーザ光Lが通過する角度に設定したものである。
【0046】
このセンサ支持部111bの上面には、光学センサ110がボルト(図示せず)を介して取り付けられている。そして、このセンサ取付部材111は、本実施形態においては、自走車両体101の前端部であって自走車両体101の幅方向中央部に取り付けられている。この場合、センサ取付部材111における車両取付部111aの高さは、前記大人の身長(例えば、1700mm)の半分以下の高さに設定される。本実施形態においては、センサ取付部材111における車両取付部111aの高さは、路面から約500mmの高さに取り付けられる。これにより、光学センサ110から出射される光の照射領域は、光学センサ110を中心する360°の平面領域であって同平面領域が水平面HPに対して10°だけ自律走行車両装置100の前方側に上り傾斜となる傾斜面状となる。
【0047】
制御装置120は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、自律走行車両装置100の全体の作動を総合的に制御する。具体的には、制御装置120は、ROMなどの記憶装置に予め記憶された走行制御プログラムを実行することによって前輪第1駆動モータ103a、前輪第2駆動モータ104a、ステアリング駆動モータ106a、後輪第1駆動モータ107a、後輪第2駆動モータ108aおよび光学センサ110の各作動を制御して自律走行車両装置100の走行、停止および旋回(操舵)の各制御を行う。
【0048】
この場合、制御装置120は、光学センサ110からの検出信号を用いて周囲の検知対象物OBまでの距離を測定して環境地図を作成するとともに同環境地図内における自己の位置を特定して検知対象物OBに対して接触または衝突を避けながら自律走行するために前輪第1駆動モータ103a、前輪第2駆動モータ104a、ステアリング駆動モータ106a、後輪第1駆動モータ107a、後輪第2駆動モータ108aおよび光学センサ110の各作動を制御する。ここで、環境地図とは、自律走行車両装置100が走行を予定する領域の検知対象物OBの存在状況を示す平面的な地図情報である。すなわち、自律走行車両装置100は、所謂SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)の技術によって自律走行するように構成されている。
【0049】
この場合、制御装置120において、光学センサ110からの検出信号を用いて周囲の検知対象物OBまでの距離を測定する処理を実行する機能を担う部分が測距部121である。本実施形態においては、測距部121は、光学センサ110から出力される検出信号のうち、光学センサ110を中心として自律走行車両装置100の前方側に210°の範囲でかつ光学センサ110を中心とする半径10mの範囲でのみ測距処理を行うものである。すなわち、測距部121が検知対象物OBを検知する検知領域SEは、光学センサ110を中心として自律走行車両装置100の前方側に210°の範囲でかつ光学センサ110を中心とする半径10mの範囲の平面視で扇状の領域である。
【0050】
これは、光学センサ110を中心とする自律走行車両装置100の後方側については自律走行車両装置100自身または自律走行車両装置100が積載または自律走行車両装置100に取り付けられる各種物品によって自律走行車両装置100の周囲に存在する検知対象物OBを正しく検出することが困難なためである。なお、検知領域SEは、光学センサ110を中心として自律走行車両装置100の前方側に210°以外の範囲、または光学センサ110を中心とする半径10m以外の範囲であってもよいことは当然である。また、環境地図は、外部で別途作成されたものが制御装置120に記憶されてもよい。
【0051】
また、制御装置120において、検知対象物OBまでの距離に基づいて前輪第1駆動モータ103a、前輪第2駆動モータ104a、ステアリング駆動モータ106a、後輪第1駆動モータ107a、後輪第2駆動モータ108aおよび光学センサ110の各作動を制御する機能を担う部分が自律走行制御部122である。この制御装置120は、手元コントローラ123によって作動制御される。
【0052】
手元コントローラ123は、自律走行車両装置100の使用者が制御装置120に対して作動の指示を与えるための装置であり、使用者が入力操作を行う操作子(図示せず)、制御装置120の作動状況を表示する表示装置(図示せず)および制御装置120との間で無線通信を行う送受信部(図示せず)をそれぞれ備えている。なお、手元コントローラ123は、無線に代えてまたは加えて有線で制御装置120に電気的に繋がっていてもよいことは当然である。
【0053】
バッテリ124は、前輪第1駆動モータ103a、前輪第2駆動モータ104a、ステアリング駆動モータ106a、後輪第1駆動モータ107a、後輪第2駆動モータ108a、光学センサ110および制御装置120のほか、自律走行車両装置100が備える各種電気機器にそれぞれ電力を供給するための電源装置である。このバッテリ124は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池のほか、水素酸素燃料電池、化学電池または金属空気電池など電気を発生させるように構成されていればよく、一次電池であってもよい。本実施形態においては、バッテリ124は、二次電池で構成されており、図示しない外部電源(例えば、家庭用100V電源または200V電源など)から電力の供給を受けて蓄電する。このバッテリ124は、インバータ(図示せず)を介して電力を必要とする各機器に接続されている。
【0054】
(自律走行車両装置100の作動)
次に、上記のように構成した自律走行車両装置100の作動について説明する。この自律走行車両装置100は、前記したように、屋内または屋外において各種役務を提供するために自律走行する。
【0055】
まず、作業者は、自律走行車両装置100の制御装置120に環境地図を設定する。具体的には、作業者は、手元コントローラ123を操作することで制御装置120を環境地図の作成モードに設定した上で、手元コントローラ123による手動操作によって自律走行車両装置100を走行させる。この場合、作業者は、環境地図を作成するために必要な範囲を手動操作によって自律走行車両装置100を直接操縦して走行させる。これにより、制御装置120には、光学センサ110が出力する検出信号に基づいて自律走行車両装置100を走行させる領域における検知対象物OBの存在状況を示す環境地図(図示せず)を作成することができる。
【0056】
この環境地図を作成するための走行において制御装置120は、光学センサ110による検知領域SEは光学センサ110を中心として水平路面HRに対して10°だけ自律走行車両装置100の前方側に上り傾斜した範囲となる。このため、制御装置120は、自律走行車両装置100が水平面HP(
図5において図示せず)に対して下り傾斜となる下り路面DRから水平な下り後続路面DARに差し掛かった際に、検知領域SEから壁または人などの検知対象物OBが外れることが防止される。
【0057】
なお、制御装置120は、従来のように、検知領域SEが下り路面DRと平行であった場合には、図に示すように、自律走行車両装置100が下り路面DRから水平な下り後続路面DARに差し掛かった際には、検知領域SEから壁または人などの検知対象物OBが外れて下り後続路面DARを検知対象物OBとして誤検出してしまうことがある。つまり、制御装置120は、誤った形状の環境地図を作成することになる。また、環境地図作成時においては、自律走行車両装置100を走行させる環境内に検知対象物OBとして人が存在していないことが好ましい。
【0058】
一方、制御装置120は、
図7に示すように、自律走行車両装置100が水平面HP(
図6において図示せず)に対して上り傾斜となる上り路面URから水平な上り後続路面UARに差し掛かった際においても、検知領域SEから壁または人などの検知対象物OBが外れることが防止される。ただし、制御装置120は、壁または人などの検知対象物OBの高さが検知領域SEよりも低かった場合には検知外れが生じる場合がある。しかし、制御装置120は、後述する自律走行時においては、自律走行車両装置100が上り後続路面UARに到達した段階で検知対象物OBを検知できるため、自律走行車両装置100が検知対象物OBに接触または衝突することを避けることができる。なお、作業者は前記した通り、別途作成した環境地図を制御装置120に読み込ませて設定することもできるものである。
【0059】
次に、作業者は、制御装置120に環境地図を作成した場合には、自律走行車両装置100を自律走行させる。具体的には、作業者は、手元コントローラ123を操作することで制御装置120を自律走行モードに設定した上で、手元コントローラ123による手動操作によって自律走行車両装置100を自律走行させる。この場合、作業者は、制御装置120に対して環境地図上における目的地を入力する。これにより、制御装置120は、光学センサ110から出力される検出信号に基づいて環境地図上における現在位置を特定した後、目的地に向けて走行ルートを決定して走行を開始する。
【0060】
この自律走行車両装置100の自律走行において制御装置120は、前記した環境地図の作成時と同様に、自律走行車両装置100が下り路面DRから水平な下り後続路面DARに差し掛かった際には、検知領域SEから壁または人などの検知対象物OBが外れることが防止される(
図5参照)。そして、制御装置120は、検知領域SE内にて所定の距離範囲内に検知対象物OBの存在を検知した場合においては、自走車両体101の走行の停止、減速または旋回(操舵)のうちの少なくとも1つを行って検知対象物OBへの接触または衝突を回避する動作を実行する。
【0061】
また、制御装置120は、自律走行車両装置100が上り路面URから水平な上り後続路面UARに差し掛かった際においても、検知領域SEから壁または人などの検知対象物OBが外れることが防止される(
図6参照)。この場合、制御装置120は、図に示すように、壁または人などの検知対象物OBの高さが検知領域SEよりも低かった場合には検知外れが生じる場合がある。しかし、制御装置120は、自律走行車両装置100が上り後続路面UARに到達した段階で検知対象物OBを検知できるため、自律走行車両装置100が検知対象物OBに接触または衝突することを避けることができる。
【0062】
このように構成した本発明の特徴によれば、自律走行車両装置100は、水平面HPに対して下り傾斜となる下り路面DRに対して180°未満の角度範囲で屈曲して延びる下り後続路面DARを自走する自走車両体101に下り路面DR上で同下り路面DRと平行な仮想平面TPよりも上側に向けて光を発する対象物検知用の光学センサ110が設けられているため、下り路面DRから下り後続路面DARに移行する際または上り路面URから上り後続路面UARに移行する際に検知対象物OBの検知外れを抑制することができる。
【0063】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記に示す各変形例においては、上記各実施形態と同様の構成部分には対応する符号を付して、その説明は省略する。
【0064】
例えば、上記実施形態においては、光学センサ110は、2000mm(2m)先の大人の身長(例えば、1700mm)の半分以下の高さに設けるように構成した。これによれば、自律走行車両装置100は、光学センサ110が仮想平面TPよりも上側に向けて光を発する上向きの取付状態において検知対象物OBとしての人を効果的に検知することができる。すなわち、自律走行車両装置100は、接触または衝突を回避する主たる検知対象物OBを人間とした。
【0065】
しかし、自律走行車両装置100は、接触または衝突を回避する主たる検知対象物OBとして人間以外の物体を採用できることは当然である。また、光学センサ110は、光学センサ110が上向きの取付状態においても主たる検知対象物OBの高さの半分以上の高さ位置に設けることは可能である。また、制御装置120は、2000mm未満または2000mmを超える距離、例えば、500mm(0.5m)以上かつ5000mm(5m)以下の範囲に存在する検知対象物OBを検知するように構成することもできる。
【0066】
また、上記実施形態においては、光学センサ110は、下り路面DRと平行な仮想平面TPよりも上側に向けて光を発する上向き姿勢で取り付けた。しかし、光学センサ110は、
図7に示すように、上り路面URと平行な仮想平面TPよりも下側に向けて光を発する下向き姿勢で取り付けることもできる。この場合、光学センサ110は、主たる検知対象物OBの半分以下の高さ位置に設けることもできるが、主たる検知対象物OBの半分以上の高さ位置に設けることで自律走行車両装置100が下り路面DRから水平な下り後続路面DARに差し掛かった際により効果的に検知対象物OBの検知外れを防止することができる。
【0067】
また、上記実施形態においては、下り後続路面DARおよび上り後続路面UARは、水平面を想定した。しかし、下り後続路面DARは、
図8および
図9にそれぞれ示すように、下り路面DRに対して180°未満の角度範囲で屈曲して延びる下り傾斜面DAR1または上り傾斜面DAR2であってもよい。また、上り後続路面UARについても、下り後続路面DARと同様に、上り路面URに対して180°を超える角度範囲で屈曲して延びる上り傾斜面または下り傾斜面であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態においては、光学センサ110は、1つのレーザ光Lを回転(走査)させることで放射状に照射するように構成した。しかし、光学センサ110は、光学センサ110を中心として扇状に揺動させて照射することもできる。また、光学センサ110は、複数の発光部を直線状または円弧状に並べたラインセンサで構成することもできる。
【0069】
また、上記実施形態においては、光学センサ110は、センサ取付部材111を介して自走車両体101に取り付けた。しかし、光学センサ110は、センサ取付部材111を省略して自走車両体101に直接取り付けることも可能である。この場合、自走車両体101における光学センサ110の取り付け位置は、傾斜面に形成しておくとよい。
【0070】
また、上記実施形態においては、センサ取付部材111は、板状の車両取付部111aに板状のセンサ支持部111bが屈曲して繋がって形成されている。これにより、光学センサ110は、自走車両体101の前端部から前方に張り出した位置に設けられる。しかし、センサ取付部材111は、屈曲する板状体以外の構成、例えば、傾斜面を有するブロック体で構成することもできる。
【0071】
また、上記実施形態においては、センサ取付部材111は、光学センサ110を1つの可変不能な取付け角度で固定的に自走車両体101に取り付けた。しかし、センサ取付部材111は、光学センサ110の取り付け角度を可変的に取り付けることもできる。例えば、
図10に示したセンサ取付部材113は、主として、支柱113a、センサ支持部113bおよび調整ねじ113cをそれぞれ備えて構成することができる。
【0072】
ここで、支柱113aは、自走車両体101に対して柱状に延びて形成されている。また、センサ支持部113bは、アーム状に延びて形成されており、一方の端部が光学センサ110を支持するとともに他方の端部が支柱113aの側面に調整ねじ113cを介して取り付けられている。調整ねじ113cは、センサ支持部113bを貫通して支柱113aにねじ嵌合している。このように構成されたセンサ取付部材113は、調整ねじ113cを緩めることでセンサ支持部113bを調整ねじ113cを回動中心として回動させることができるため、光学センサ110を所望する角度に調整して固定することができる。
【0073】
また、
図11に示すセンサ取付部材114は、前記調整ねじ113cに代えて支柱113a内に設けた電動モータ115でセンサ支持部113bを支持することで手元コントローラ123の操作によって光学センサ110を所望する角度に固定することができる。
【0074】
この場合、自律走行車両装置100は、自走車両体101の傾きを検出する傾斜センサ130を備えるとともに、制御装置120は傾斜センサ130からの検出信号に基づいて電動モータ115の回転制御を行う角度制御部131を備えることで自走車両体101の傾きに応じて光学センサ110の傾斜角度を自動的に調整することもできる(
図3参照)。
【0075】
また、上記実施形態においては、自律走行車両装置100は、自走車両体101の前端部に1つの光学センサ110を設けて構成した。しかし、自律走行車両装置100は、自走車両体101に2つ以上の光学センサ110を設けて構成することもできる。例えば、自律走行車両装置100は、自走車両体101の前端部に加えて後端部にも光学センサ110を設けて自律走行車両装置100の後進時における障害物回避を行うことができる。
【0076】
また、自律走行車両装置100は、例えば、自走車両体101の前端部に互いに異なる傾斜角度で取り付けられた複数の光学センサ110を設けて、前記した傾斜センサ130からの検出信号に基づいて路面の傾斜角度に応じて複数の光学センサ110の中から最適な光学センサ110を選択して使用することもできる。また、光学センサ110は、自走車両体101における前端部などの端部以外の部分、例えば、自走車両体101の端部よりも内側部分に設けることもできる。
【0077】
また、上記実施形態においては、自律走行車両装置100が環境地図上における目的地に自律的に移動する際に検知対象物OBの検知機能を発揮させる例について説明した。しかし、自律走行車両装置100は、環境地図の有無に拘らず、作業者が手元コントローラ123を用いて直接操縦する場合においても検知対象物OBの検知機能を発揮させてもよい。また、自律走行車両装置100は、人、動物、自車以外の他の自律走行車両装置に追従して走行するために検知対象物OBの検知機能を発揮するようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、自走車両体101は、インホイールモータ形式の四輪駆動で構成した。しかし、自走車両体101は、インホイールモータ形式の二輪駆動で構成されていてもよいし、1つまたは2つのモータの駆動力を2つまたは4つの駆動輪に配分するように構成されていてもよい。また、自走車両体101は、自走できれば電動モータ以外の原動機、例えば、レシプロエンジンを原動機に採用することもできる。
【符号の説明】
【0079】
OB…検知対象物、HR…水平路面、HP…水平面、TP…仮想平面、DR…下り路面、DAR…下り後続路面、DAR1…下り傾斜面、DAR2…上り傾斜面、UR…上り路面、UAR…上り後続路面、L…レーザ光、SE…検知領域、
1…障害物センサ、2…自律走行車両装置、
100…自律走行車両装置、
101…自走車両体、102…車体フレーム、103…第1前輪、103a…前輪第1駆動モータ、104…第2前輪、104a…前輪第2駆動モータ、105…車軸、106…ステアリング機構、106a…ステアリング駆動モータ、107…第1後輪、107a…後輪第1駆動モータ、108…第2後輪、108a…後輪第2駆動モータ、109…車軸、
110…光学センサ、111…センサ取付部材、111a…車両取付部、111b…センサ支持部、112…ボルト、113…センサ取付部材、113a…支柱、113b…センサ支持部、113c…調整ねじ、114…センサ取付部材、115…電動モータ、
120…制御装置、121…測距部、122…自律走行制御部、123…手元コントローラ、124…バッテリ、
130…傾斜センサ、131…角度制御部。