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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008060
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】方位推定装置、方位推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/02 20060101AFI20250109BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20250109BHJP
   G01S 13/34 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G01S7/02 218
G01S13/931
G01S13/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109910
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿南 裕穂
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC01
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AD05
5J070AD08
5J070AD09
5J070AF03
5J070AH35
(57)【要約】
【課題】方位依存誤差を改善することが可能な方位推定装置および方位推定方法を提供する。
【解決手段】方位推定装置として機能するレーダ装置1は、記憶部32と、理想のモードベクトルを補正するとともに、モードベクトルの補正結果と受信部20で受信される反射波に対応する受信信号とを用いて方位を推定するプロセッサ31と、を備える。記憶部32には、受信部20の視野角の範囲において2以上の整数であるN個に区分された校正区間ごとに最適化された行列要素値を有する複数の校正行列Qが記憶されている。そして、プロセッサ31は、記憶部32に記憶された複数の校正行列Qを用いて校正区間ごとにモードベクトルを補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物標で反射した反射波のレーダ装置(1)への到来角を前記物標の方位として推定する方位推定装置であって、
記憶部(32)と、
前記反射波の前記到来角に応じた位相を示すモードベクトルを補正する補正部(31a)と、
前記補正部での前記モードベクトルの補正結果である補正モードベクトルと、前記レーダ装置の受信部で受信される前記反射波に対応する受信信号とを用いて、前記方位を推定する方位推定部(31b)と、を備え、
前記記憶部には、前記受信部の視野角の範囲において2以上の整数であるN個に区分された校正区間ごとに最適化された行列要素値を有する複数の校正行列が記憶されており、
前記補正部は、前記記憶部に記憶された複数の前記校正行列を用いて前記校正区間ごとに前記モードベクトルを補正する、方位推定装置。
【請求項2】
前記記憶部には、第1手法によって求められた第1校正行列および前記第1手法とは異なる第2手法によって求められた第2校正行列のうち、前記方位の推定誤差が小さくなるものが前記最適化された前記行列要素値を有する前記校正行列として記憶されている、請求項1に記載の方位推定装置。
【請求項3】
前記第1手法は、既知の前記到来角である既知到来角から受信した前記受信信号または前記受信信号の固有値分解から得られる信号部分空間と、前記既知到来角によって決まる理想の前記モードベクトルとを用いて前記第1校正行列を求める手法であり、
前記第2手法は、前記受信信号の固有値分解から得られる雑音部分空間と、前記既知到来角によって決まる理想の前記モードベクトルとを用いて前記第2校正行列を求める手法である、請求項2に記載の方位推定装置。
【請求項4】
前記記憶部には、前記第1校正行列および前記第2校正行列を求める際に用いられていない前記受信信号に基づいて前記方位を推定した際の前記推定誤差が小さくなるものが前記最適化された前記行列要素値を有する前記校正行列として記憶されている、請求項3に記載の方位推定装置。
【請求項5】
物標で反射した反射波のレーダ装置(1)への到来角を前記物標の方位として推定する方位推定方法であって、
前記反射波の前記到来角に応じた位相を示すモードベクトルを補正する補正ステップ(S130、S240)と、
前記補正ステップでの前記モードベクトルの補正結果である補正モードベクトルと、前記レーダ装置の受信部で受信される前記反射波に対応する受信信号とを用いて、前記方位を推定する方位推定ステップ(S140、S240)と、を備え、
前記受信部の視野角の範囲において2以上の整数であるN個に区分された校正区間ごとに最適化された行列要素値を有する複数の校正行列を求める校正ステップ(S270)と、を含み、
前記補正ステップでは、前記校正ステップで求めた複数の前記校正行列を用いて前記校正区間ごとに前記モードベクトルを補正する、方位推定方法。
【請求項6】
既知の前記到来角である既知到来角から受信した前記受信信号または前記受信信号の固有値分解から得られる信号部分空間と、前記既知到来角によって決まる理想の前記モードベクトルとを用いて第1校正行列を求める第1演算ステップ(S220)と、
前記受信信号の固有値分解から得られる雑音部分空間と、前記既知到来角によって決まる理想の前記モードベクトルとを用いて第2校正行列を求める第2演算ステップ(S230)と、を含み、
前記校正ステップでは、前記第1校正行列および前記第2校正行列のうち、前記方位の推定誤差が小さくなるものが前記最適化された前記行列要素値を有する前記校正行列として求められる、請求項5に記載の方位推定方法。
【請求項7】
前記校正ステップでは、前記第1校正行列および前記第2校正行列を求める際に用いられていない前記受信信号に基づいて前記方位を推定した際の前記推定誤差が小さくなるものが前記最適化された前記行列要素値を有する前記校正行列として求められる、請求項6に記載の方位推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方位推定装置および方位推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既知となる到来角から受信した受信信号から所定数の信号を選択し、選択した信号に基づいて推定される到来角と既知となる到来角と差を小さくするための誤差モデル行列を求めるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-211241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載のレーダ装置を車両のバンパの内側に設置した場合、レーダ装置からの送信波および物標で反射した反射波がパンパによる屈折や反射の影響によって、一部の到来角での受信信号の振幅や位相の誤差、アンテナ間の相互結合誤差が生ずる。このような到来角に依存する誤差について、以下では方位依存誤差とも呼ぶ。
【0005】
特許文献1には、誤差モデル行列を用いて、反射波の到来角を物標の方位として推定することが記載されているが、全方位に対して単一の誤差モデル行列を適用することになっているので、上述の方位依存誤差を改善することができない。
【0006】
本開示は、方位依存誤差を改善することが可能な方位推定装置および方位推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
物標で反射した反射波のレーダ装置への到来角を物標の方位として推定する方位推定装置であって、
記憶部(32)と、
反射波の到来角に応じた位相を示すモードベクトルを補正する補正部(31a)と、
補正部でのモードベクトルの補正結果である補正モードベクトルと、レーダ装置の受信部で受信される反射波に対応する受信信号とを用いて、方位を推定する方位推定部(31b)と、を備え、
記憶部には、受信部の視野角の範囲において2以上の整数であるN個に区分された校正区間ごとに最適化された行列要素値を有する複数の校正行列が記憶されており、
補正部は、記憶部に記憶された複数の校正行列を用いて校正区間ごとにモードベクトルを補正する。
【0008】
請求項5に記載の発明は、
物標で反射した反射波のレーダ装置への到来角を物標の方位として推定する方位推定方法であって、
反射波の到来角に応じた位相を示す理想のモードベクトルを補正する補正ステップ(S130、S240)と、
補正ステップでのモードベクトルの補正結果である補正モードベクトルと、レーダ装置の受信部で受信される反射波に対応する受信信号とを用いて、方位を推定する方位推定ステップ(S140、S240)と、を備え、
受信部の視野角の範囲において2以上の整数であるN個に区分された校正区間ごとに最適化された行列要素値を有する複数の校正行列を求める校正ステップ(S270)と、を含み、
補正ステップでは、校正ステップで求めた複数の校正行列を用いて校正区間ごとにモードベクトルを補正する。
【0009】
このように、所定の校正区間ごとに最適化された校正行列によって補正したモードベクトルを用いて反射波の到来角を推定する構成になっていれば、全方位に対して同じ校正行列を用いる場合に比べて、方位依存誤差を抑えることができる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るレーダ装置の概略構成図である。
図2】第1実施形態に係るレーダ装置の処理部が実行する推定処理の流れを示すフローチャートである。
図3】第1実施形態に係るレーダ装置の受信部を説明するための説明図である。
図4】方位の推定処理の概要を説明するための説明図である。
図5】校正行列を求めるための測定系を説明するための説明図である。
図6】校正行列を求めるための手法を説明するための説明図である。
図7】全方位に対して単一の校正行列を適用して方位を推定した際の方位の推定誤差を説明するための説明図である。
図8】視野角の範囲に区分される校正区間を説明するための説明図である。
図9】第1実施形態のレーダ装置の制御部が実行する推定処理を説明するための説明図である。
図10】第1実施形態における校正区間および区間幅の関係を説明するための説明図である。
図11】校正区間ごとに設定した校正行列を適用して方位を推定した際の方位の推定誤差の一例を説明するための説明図である。
図12】校正区間ごとに設定した校正行列を適用して方位を推定した際の方位の推定誤差の別の例を説明するための説明図である。
図13】校正機器が実行する演算処理の流れを示すフローチャートである。
図14】第1手法で求めた第1校正行列を用いて方位推定処理を実施した際の推定誤差の一例を示している。
図15】第2手法で求めた第2校正行列を用いて方位推定処理を実施した際の推定誤差の一例を示している。
図16】第1校正行列および第2校正行列を用いて方位推定処理を実施した際の推定誤差を示している。
図17】最適な校正行列を用いて方位推定処理を実施した際の方位の推定誤差を説明するための説明図である。
図18】第2実施形態における校正区間および区間幅の関係を説明するための説明図である。
図19】第2実施形態の変形例となる校正区間および区間幅の関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図17を参照して説明する。本実施形態では、本開示の方位推定装置および方位推定方法を車両に搭載されて車両の周囲に存在する様々な物標を検出するレーダ装置1に適用した例について説明する。
【0014】
レーダ装置1は、例えば、車両のフロント部品の内側に配置され、車両の前方に向けて電波を出射するとともに、車両の前方にある物標によって反射した電波を受信することで、物標までの距離、自車両に対する相対速度、自車両に対する方位等を求める。
【0015】
レーダ装置1は、信号の変調方式としてFMCW方式が採用されている。レーダ装置1は、電波の動作周波数が、ミリ波に対応する周波数帯(例えば、76.5GHz)とされている。なお、レーダ装置1が送受信する電波の動作周波数は、ミリ波に対応する周波数に限定されず、ミリ波以外の周波数であってもよい。
【0016】
図1に示すように、レーダ装置1は、送信部10と、受信部20と、制御部30とを備える。送信部10は、発振部11と変調部12とを有し、送信アンテナ13から送信波を送信させる。受信部20は、複数個の受信アンテナ21を用いて、物標によって送信波が反射された反射波を受信する。受信部20は、受信アンテナ21で受信した信号をMMIC22にて処理することで所望の形態の受信信号Xに変換する。なお、“MMIC”は、Monolithic Microwave Integrated Circuitの略称である。
【0017】
制御部30は、レーダ装置1における電子制御部を構成している。レーダ装置1は、プロセッサ31と記憶部32を備えたマイクロコンピュータである。記憶部32は、例えば、ROM、RAM、EEPROMOが挙げられる。マイクロコンピュータの各種機能は、記憶部32に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。この例では、記憶部32が、コンピュータプログラムを格納した非遷移有形記録媒体に該当する。プロセッサ31が実行する機能の一部または全部は、ハードウエア回路で実現されていてもよい。
【0018】
本実施形態の制御部30は、プロセッサ31にて、反射波の到来角に応じた位相を示すモードベクトルを補正するとともに、モードベクトルの補正結果である補正モードベクトルと、反射波に対応する受信信号Xとを用いて方位を推定する。なお、本実施形態では、プロセッサ31におけるモードベクトルを補正する構成が補正部31aを構成し、プロセッサ31における補正モードベクトルおよび受信信号Xを用いて方位を推定する構成が方位推定部31bを構成している。
【0019】
本実施形態のレーダ装置1は、送信アンテナ13を1つ有するSIMOレーダとして構成されている。なお、レーダ装置1は、送信アンテナ13を複数有するMIMOレーダやMISOレーダとして構成されていてもよい。なお、SIMOは、Single Input Multiple Outputの略称である。MIMOは、Multiple Input Single Outputの略称である。MISOは、Single Input Multiple Outputの略称である。なお、m個の送信アンテナ13とn個の受信アンテナ21を有するMIMOレーダは、m×n個の受信アンテナ21を有するSIMOレーダと等価なアレイアンテナとして取り扱うことが可能である。また、m個の送信アンテナ13と1つの受信アンテナ21を有するMISOレーダは、m個の受信アンテナ21を有するSIMOレーダと等価なアレイアンテナとして取り扱うことが可能である。
【0020】
レーダ装置1は、受信部20での信号の受信結果に基づいて、物標までの距離、物標の速度、物標の方位を推定する物標検出処理を制御部30にて実行する。以下、制御部30が実行する物標検出処理について図2を参照しつつ説明する。図2に示す処理は、送信アンテナ13から所定の送信周期でチャープ信号が送信されると、制御部30によって周期的または不定期に実行される。
【0021】
図2に示すように、物標からの反射波を複数の受信アンテナ21で受信すると、制御部30は、ステップS100にて、物標からの反射波を複数の受信アンテナ21で受信した際の受信信号Xを受信部20から取得する。
【0022】
例えば、図3に示すように、レーダ装置1の受信部20が、L個の受信アンテナ21を有するリニアアレイ(素子位置d1、、・・・d)を含んで構成されているとする。この場合における各受信アンテナ21での受信信号Xは、理想的な信号ではなく、素子間相互結合、アンテナ素子毎の特性(振幅、位相)のバラツキによる誤差、アンテナ素子の位置による誤差等の種々のアレイ誤差が含まれることがある。このようなアレイ誤差を含む受信信号Xは、例えば、図4の数式F10でモデル化することができる。なお、数式F10では、受信信号Xを“X(t)”としている。
【0023】
ここで、数式F10~F13、F15における“T”は、転置を示している。数式F12における“s(t)”は、K個の到来波それぞれの複素振幅を示す信号ベクトルである。数式F11、F13における“n(t)”は、各アンテナ素子における平均が“0”、分散が熱雑音電力の雑音成分からなる雑音を要素とした雑音ベクトルである。数式F14、F15における“a(θ)”は、K番目の到来波に対応する理想的なモードベクトルであり、“A”は、“a(θ)”を列とするモード行列である。モードベクトルは、反射波の前記到来角に応じた位相を示すベクトルである。なお、“λ”は波長である。
【0024】
また、数式F11、F16における“Q”は、種々のアレイ誤差を含む場合における誤差モデルを示す行列である。本実施形態では、誤差モデルを示す行列を理想のモードベクトルを補正する校正行列Qとしている。
【0025】
受信部20から受信信号Xを取得すると、制御部30は、ステップS110にて、FFT処理を行う。制御部30は、受信信号XをFFTにより周波数解析することで、物標までの距離を求める。また、制御部30は、FFTによりビート周波数成分毎にFFTを行ってドップラ周波数を求めるとともに当該ドップラ周波数に基づいて物標の相対速度を求める。なお、FFTは、Fast Fourier Transformの略称である。
【0026】
続いて、制御部30は、ステップS120にて、FFTピーク処理を行う。制御部30は、例えば、FFT処理で求めた距離と速度からなるRVマップでピークが生じた周波数ビンを検出する。
【0027】
続いて、制御部30は、ステップS130にて、アレイ補正処理を行う。アレイ補正処理では、理想のモードベクトルを補正して種々のアレイ誤差等を踏まえた補正モードベクトルを求める処理である。アレイ補正処理では、校正行列Qを用いて理想のモードベクトルである“a(θ)”を補正して補正モードベクトルである“am(θ)”を得る。校正行列Qの詳細については後述する。本実施形態では、アレイ補正処理が理想のモードベクトルを補正する“補正ステップ”に対応している。
【0028】
続いて、制御部30は、ステップS140にて、方位推定処理を行う。本実施形態では、方位推定処理が補正モードベクトルおよび受信信号Xを用いて方位を推定する“方位推定ステップ”に対応している。
【0029】
具体的には、方位推定処理では、受信信号Xに基づいて、図4の数式F17で示す相関行列RXXを求める。そして、制御部30は、相関行列RXXの固有値分解から図4の数式F18に示す雑音部分空間Uを求める。なお、数式F17における“T”は転置ではなく、スナップショット数である。
【0030】
その後、制御部30は、雑音部分空間Uと校正行列Qで補正した補正モードベクトルである“am(θk)”とが直交する関係(すなわち、am(θk) ⊥ U:k=1、2、・・・K)を利用した図4の数式F19に示すMUSIC法によって方位を推定する。このMUSIC法では、θ=θkのときに数式F19の分母がゼロに近づくため、非常に大きな値となる。このピーク値を検出することで反射波の到来角を物標の方位として推定する。なお、本実施形態では、MUSIC法によって方位を推定しているが、方位推定は、MUSIC法に限らず、例えば、DBF、Capon、MODE等の他の手法によって実現されていてもよい。
【0031】
ここで、校正行列Qを求めるための測定系等について、図5図9を参照しつつ説明する。校正行列Qを求めるための測定系では、例えば、図5に示すように、校正機器40、校正機器40の回転させるローテータ50、ターゲットとなるコーナリフレクタ60が使用される。
【0032】
校正機器40は、レーダ装置1と同様の機能を備える機器である。なお、校正機器40は、レーダ装置1とは別のレーダ装置1と同様の機能を備える機器が採用されていてもよいし、レーダ装置1そのものが採用されていてもよい。
【0033】
校正行列Qを求めるための測定系は、ローテータ50を用いて校正機器40を所定の角度に回転させることによって、コーナリフレクタ60からの反射波の到来角度θを設定し、その時の受信信号Xを校正機器40で測定可能とされている。なお、図5は、平面図であり、到来角度θは水平方向の角度となっている。また、校正機器40の正面に対して直交する方向での到来角度θをゼロとしている。
【0034】
このような測定系を用いて校正行列Qを求める際には、受信部20の視野角の範囲内において、所定の角度ステップで校正機器40を回転させ、その都度測定される受信信号Xを校正機器40のメモリに受信データとして記憶する。そして、校正機器40は、メモリに記憶された受信データに基づいて校正行列Qを求める。
【0035】
ここで、校正行列Qを求める手法は、種々の手法があり、例えば、図6に示す“手法A”および“手法B”に大別することができる。手法Aは、既知の到来角である既知到来角から受信した受信信号Xmeansまたは受信信号Xmeansの固有値分解から得られる信号部分空間Uと、既知到来角によって決まる理想のモードベクトルとを用いて校正行列Qを求める手法である。手法Bは、既知の到来角である既知到来角から受信した受信信号Xmeansの固有値分解から得られる雑音部分空間Uと、既知到来角によって決まる理想のモードベクトルとを用いて校正行列Qを求める手法である。なお、受信信号Xmeansは、実際の受信信号Xを所定のスナップショット数で平均化したものである。
【0036】
ところで、例えば、レーダ装置1を車両のバンパの内側に設置した場合、レーダ装置1からの送信波および物標で反射した反射波がパンパによって屈折したり、反射したりすることがある。この影響によって、一部の到来角での受信信号Xの振幅や位相の誤差やアンテナ間の相互結合誤差等の方位依存誤差が生ずることがある。
【0037】
図7は、全方位に対して単一の校正行列Qを適用した際の方位の推定誤差を説明するための説明図である。この例の校正行列Qは、図7(a)に示すように、視野角の範囲で校正機器40を“1[deg]”の角度ステップで回転させた際の受信データ(以下、校正データとも呼ぶ)を用いて求めたものである。また、この例では、視野角の範囲で校正機器40を“0.5[deg]”の角度ステップで回転させた際の受信データを評価データとし、当該評価データに基づいて推定した方位と既知到来角との差を方位の推定誤差として求めている。
【0038】
全方位に対して単一の校正行列Qを適用して物標の方位を推定した場合、例えば、図7(b)に示すように、一部の到来角における方位の推定誤差が大きくなる傾向がある。また、例えば、図7(c)に示すように、スペクトルパワーのピークが小さく、ピーク幅が大きくなる傾向がある。
【0039】
これらを踏まえ、本実施形態のレーダ装置1は、視野角の範囲を複数の区間に区分し、当該区間ごとに設定した校正行列Qによってモードベクトルを補正することで、方位推定誤差の改善を図っている。
【0040】
レーダ装置1は、例えば、図8に示すように、視野角の範囲において2以上の整数であるN個に区分された校正区間ごとに設定された校正行列Q~Qが制御部30の記憶部32に記憶されている。この校正行列Q~Qは、例えば、図9の数式F26で示すように、到来角度θを引数とする行列とされている。
【0041】
本実施形態のレーダ装置1は、記憶部32に記憶された複数の校正行列Q~Qを用いて、例えば、図9の数式F21で示すように、校正区間ごとにモードベクトルを補正する。その後、レーダ装置1は、例えば、図9の数式F29で示すように、モードベクトルの補正結果である補正モードベクトルと、受信部20で受信される受信信号Xとを用いて物標の方位として推定する。なお、図9に示す数式F20、F22~F25、F27、F28は、図4に示す数式F10、F12~F15、F17、F18と同じ式となっている。
【0042】
本実施形態の校正行列Q~Qは、例えば、図10に示すように、校正区間内にある複数のポイントで得られた受信データを用いて求められる。なお、図10では、視野角の範囲に6つの校正区間を設定し、各校正区間の区間内にある12個の受信データを用いて、6つの校正行列Q~Qを求めたものを例示している。
【0043】
本実施形態では、校正データを収集する区間の幅(以下、区間幅とも呼ぶ)が校正区間の幅と一致している。また、校正データを収集する角度ステップは、各校正区間で同じ値とされている。なお、図10に示す例では、角度ステップは2[deg]に設定されている。
【0044】
ここで、例えば、図11(a)に示すように、校正区間の区間数Nが多かったり、校正データを収集する角度ステップが小さかったりするデータ条件では、図11(b)、図11(c)に示すように方位依存誤差の影響が小さくなり易い。このようなケースでは、方位の推定誤差の低減効果を充分に得られることになる。
【0045】
一方、例えば、図12(a)に示すように、校正データを収集する角度ステップが大きく、校正行列Q~Qを求める際の受信データの数が少ないデータ条件では、図12(b)、図12(c)に示すように、方位依存誤差の影響が大きくなり易い。このようなケースでは、方位の推定誤差の低減効果が小さくなってしまうことがある。
【0046】
このように、方位の推定誤差の低減効果は、校正区間の区間数Nおよび角度ステップに応じて変化する。また、方位の推定誤差の低減効果は、区間幅や校正行列Qを求める手法によっても変化する。
【0047】
これらを踏まえて、校正機器40は、校正区間の区間数N、角度ステップ、区間幅、校正行列Qを求める手法等の方位の推定誤差の低減効果に影響する区間パラメータとし、最適な区間パラメータを選定して校正行列Qを最適化する最適化処理を行う。以下、校正機器40が実行する最適化処理について図13を参照しつつ説明する。図13に示す処理は、送信アンテナ13から所定の送信周期でチャープ信号が送信されると、校正機器40によって実行される。
【0048】
図13に示すように、校正機器40は、ステップS200にて、既知の方位からの受信信号Xを取得する。具体的には、校正機器40は、所定の角度ステップで回転される度に測定される受信信号Xをメモリに受信データとして記憶する。
【0049】
続いて、校正機器40は、ステップS210にて、校正区間の区間数N、角度ステップ、区間幅等の区間パラメータを設定する。校正機器40は、例えば、初回については、予め定めた初期値を区間パラメータに設定し、次回以降は、区間の区間数N、角度ステップ、区間幅のいずれか1つを変化させたものを区間パラメータに設定する。
【0050】
続いて、校正機器40は、ステップS220にて、校正区間ごとに第1手法によって第1校正行列Qaを求める演算処理を実行する。校正機器40は、例えば、図6に挙げた手法Aの1つを第1手法とし、当該手法に基づいて第1校正行列Qaを求める。なお、本実施形態では、ステップS220の処理が、“第1校正行列Qaを求める第1演算ステップ”に対応している。
【0051】
続いて、校正機器40は、ステップS230にて、校正区間ごとに第1手法とは異なる第2手法によって第2校正行列Qbを求める演算処理を実行する。校正機器40は、例えば、図6に挙げた手法Bの1つを第2手法とし、当該手法に基づいて第2校正行列Qbを求める。なお、本実施形態では、ステップS230の処理が、“第2校正行列Qbを求める第2演算ステップ”に対応している。
【0052】
続いて、校正機器40は、ステップS240にて、コーナリフレクタ60の方位を推定する方位推定処理を実行する。この方位推定処理では、例えば、図2に示すFFT処理、FFTピーク処理、アレイ補正処理、方位推定処理によってコーナリフレクタ60の方位を推定する。具体的には、方位推定処理では、第1校正行列Qaによって補正したモードベクトルを用いた方位の推定結果を第1推定方位として求めるとともに、第2校正行列Qbによって補正したモードベクトルを用いた方位の推定結果を第2推定方位として求める。なお、本実施形態では、ステップS240の処理が“補正ステップ”および“方位推定ステップ”に対応している。
【0053】
続いて、校正機器40は、ステップS250にて、方位推定処理で求めた方位の推定誤差が所定の閾値以下となっているか否かを判定する。この判定処理では、第1校正行列Qaおよび第2校正行列Qbを求める際に用いられた受信信号Xに基づく方位の推定誤差だけでなく、各校正行列Qを求める際に用いられていない受信信号Xに基づく方位の推定誤差についても閾値と比較するようになっている。
【0054】
また、校正機器40は、方位推定処理で求めた第1推定方位および第2推定方位と既知到来角とを比較して、第1推定方位の推定誤差および第2推定方位の推定誤差を求める。そして、校正機器40は、第1推定方位の推定誤差および第2推定方位の推定誤差の一方が閾値以下である否かを判定する。なお、閾値は、例えば、方位の誤差の許容範囲の上限値等に設定される。
【0055】
推定誤差が閾値を超えている場合、校正機器40は、ステップS210に戻り、これまでとは異なる区間パラメータで校正行列Qを求め、当該校正行列Qを用いた方位推定処理を行う。
【0056】
一方、推定誤差が閾値以下である場合、校正機器40は、ステップS260にて、推定誤差が閾値以下となる区間パラメータを最適な区間パラメータとして出力する。そして、校正機器40は、ステップS270にて、第1校正行列Qaおよび第2校正行列Qbのうち、方位の推定誤差が小さくなるものを最適化された行列要素値を有する校正行列Qとして出力する。なお、本実施形態では、ステップS270の処理が、最適化された複数の校正行列Qを求める“校正ステップ”に対応している。
【0057】
具体的には、校正機器40は、第1校正行列Qaを用いた際の推定誤差が第2校正行列Qbを用いた際の推定誤差以下となる区間については、第1校正行列Qaを、最適化された行列要素値を有する校正行列Qとして設定する。また、校正機器40は、第1校正行列Qaを用いた際の推定誤差が第2校正行列Qbを用いた際の推定誤差よりも大きくなる区間については、第2校正行列Qbを、最適化された行列要素値を有する校正行列Qとして設定する。このようにして求められた校正行列Qは、レーダ装置1の記憶部32に記憶され、物標の方位を推定する際に用いられる。
【0058】
ここで、図14は、最適な区間パラメータにおいて、第1手法で求めた第1校正行列Qaを用いて方位推定処理を実施した際の推定誤差の一例を示している。また、図15は、最適な区間パラメータにおいて、第2手法で求めた第2校正行列Qbを用いて方位推定処理を実施した際の推定誤差の一例を示している。図16は、最適な区間パラメータにおいて、各校正行列Qを用いて方位推定処理を実施した際の推定誤差を示している。図16では、第1校正行列Qaを用いて方位推定処理を実施した際の推定誤差を実線で示し、第2校正行列Qbを用いて方位推定処理を実施した際の推定誤差を一点鎖線で示している。
【0059】
図14および図15に示す例では、図16に示すように、第1校正行列Qaを用いた際の推定誤差が、視野角の範囲のうち一部の区間(本例では20~40[deg]の範囲)において、第2校正行列Qbを用いた際の推定誤差よりも大きくなっている。この場合、視野角の範囲のうち一部の区間(本例では20~40[deg]の範囲)については、第2校正行列Qbが校正行列Qとして設定され、それ以外は第1校正行列Qaが校正行列Qとして設定される。これによると、例えば、図17に示すように、視野角の範囲全体において、推定誤差を低減することができる。
【0060】
以上説明したレーダ装置1は、物標の方位を推定する方位推定装置としての機能を果たす。また、校正機器40等を用いて物標の方位を推定する方法は、本開示の方位推定方法に対応している。
【0061】
本実施形態のレーダ装置1の制御部30は、記憶部32と、反射波の到来角に応じた位相を示すモードベクトルを補正するとともにモードベクトルの補正結果と受信部20で受信される受信信号Xとを用いて方位を推定するプロセッサ31と、を備える。記憶部32には、受信部20の視野角の範囲において2以上の整数であるN個に区分された校正区間ごとに最適化された行列要素値を有する複数の校正行列Qが記憶されている。プロセッサ31は、記憶部32に記憶された複数の校正行列Qを用いて校正区間ごとにモードベクトルを補正する。
【0062】
このように、所定の校正区間ごとに最適化された校正行列Qによって補正したモードベクトルを用いて反射波の到来角を推定する構成になっていれば、全方位に対して同じ校正行列Qを用いる場合に比べて、方位依存誤差を抑えることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0064】
(1)記憶部32には、第1手法によって求められた第1校正行列Qaおよび第1手法とは異なる第2手法によって求められた第2校正行列Qbのうち、方位の推定誤差が小さくなるものが最適化された行列要素値を有する校正行列Qとして記憶されている。このように、異なる手法で第1校正行列Qaおよび第2校正行列Qbを求め、その中から方位の推定誤差が小さくなるものが校正行列Qとして採用されていれば、校正区間ごとに最適化な校正行列Qを用いたモードベクトルの補正を実現することができる。
【0065】
(2)第1手法は、既知の前記到来角である既知到来角から受信した受信信号Xまたは受信信号Xの固有値分解から得られる信号部分空間Uと、既知到来角によって決まる理想のモードベクトルとを用いて第1校正行列Qaを求める手法である。また、第2手法は、受信信号Xの固有値分解から得られる雑音部分空間Uと、既知到来角によって決まる理想のモードベクトルとを用いて第2校正行列Qbを求める手法である。これによれば、校正区間ごとに最適化な校正行列Qを用いたモードベクトルの補正を実現することができる。
【0066】
(3)記憶部32には、第1校正行列Qaおよび第2校正行列Qbを求める際に用いられていない受信信号Xに基づいて方位を推定した際の推定誤差が小さくなるものが最適化された行列要素値を有する校正行列Qとして記憶されている。このように、各校正行列Qを求める際に用いられていない受信信号Xに基づいて方位を推定した際の推定誤差が小さくなるように校正行列Qの行列要素値を最適化すれば、方位依存誤差を適切に抑えることができる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図18を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0068】
図18に示すように、第2実施形態では、校正データを収集する区間幅が校正区間の幅よりも拡大している。具体的には、本実施形態の区間幅は、校正区間に加えて校正区間の両端に隣接する複数のポイントを含んで設定されている。
【0069】
また、第2実施形態では、校正データを収集する角度ステップが第1実施形態と同様に各校正区間で同じ値とされている。なお、図18に示す例では、角度ステップが2[deg]に設定されている。
【0070】
本実施形態の校正行列Qは、区間幅にある複数のポイントで得られた受信信号Xを用いて決定される。これによれば、第1実施形態に比べて、校正行列Qを求める際の受信データを増やせるので、方位の推定誤差を更に低減することが期待できる。
【0071】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の方位推定装置、方位推定方法は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0072】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態では、校正データを収集する角度ステップが2[deg]に設定されているものを例示したが、角度ステップは、最適化処理によって求められた角度に設定される。第2実施形態では、校正データを収集する区間幅が校正区間の幅よりも拡大され、校正行列Qを求める際の受信データが多くなっているので、例えば、図19に示すように、角度ステップは3[deg]に設定される場合もあり得る。なお、角度ステップは、各校正区間で同じ値ではなく、校正区間の位置に応じて変更されていてもよい。このことは第1実施形態についても同様である。
【0073】
また、第2実施形態では、校正区間および校正区間の両端に隣接する複数のポイントが区間幅に設定されているが、これに限定されない。区間幅は、校正区間および校正区間の一端に隣接する複数のポイントを含んで設定されていてもよい。なお、区間幅は、校正区間の位置に応じて変更されていてもよい。
【0074】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0075】
上述の実施形態では、第1手法によって求められた第1校正行列Qaおよび第2手法によって求められた第2校正行列Qbのうち、方位の推定誤差が小さくなるものが校正行列Qとして記憶部32に記憶されているものを例示したが、これに限定されない。レーダ装置1には、例えば、第1手法および第2手法の一方だけで求められた校正行列Qが記憶部32に記憶されていてもよい。
【0076】
上述の実施形態で説明したように、第1校正行列Qaおよび第2校正行列Qbを求める際に用いられていない受信信号Xに基づいて方位を推定した際の推定誤差が小さくなるものを最適な校正行列Qとすることが望ましいが、これに限定されない。方位推定装置および方位推定方法は、第1校正行列Qaおよび第2校正行列Qbを求める際に用いられていた受信信号Xに基づいて方位を推定した際の推定誤差が小さくなるものを最適な校正行列Qとするようになっていてもよい。
【0077】
上述の実施形態では、本開示の方位推定装置および方位推定方法を車両に搭載されて車両の周囲に存在する様々な物標を検出するレーダ装置1に適用した例について説明したが、これに限定されない。本開示の方位推定装置および方位推定方法は、車両以外の機器や物体に設置されるレーダ装置1にも適用可能である。
【0078】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0079】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0080】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0081】
本開示の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせで構成された一つ以上の専用コンピュータで、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 レーダ装置
31a 補正部
31b 方位推定部
32 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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