(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008065
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/12 20060101AFI20250109BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20250109BHJP
B41J 29/17 20060101ALI20250109BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H04N1/12
H04N1/00 002A
B41J29/17
B41J29/393 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109921
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 暁彦
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AS02
2C061CM01
2C061CM14
2C061CM17
5C062AA05
5C062AB03
5C062AB08
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC55
5C062AC61
5C062AE01
5C062BA06
5C062BD01
5C072AA05
5C072BA13
5C072CA02
5C072DA12
5C072DA23
5C072EA04
5C072FB12
5C072FB25
5C072NA01
5C072NA08
5C072SA03
5C072UA11
5C072UA13
5C072XA03
5C072XA05
(57)【要約】
【課題】背景部材に付着する汚れを画像と誤認識すること防止し、これにより高精度な画像形成が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に画像を形成するための画像形成部と、前記画像が形成された記録媒体の画像形成面を読み取る読取装置と、前記読取装置が前記記録媒体の画像形成面を読み取る際に、前記記録媒体の下地として配置される背景部材と、前記背景部材をクリーニングするためのクリーニング部とを備えた画像形成装置である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成するための画像形成部と、
前記画像が形成された記録媒体の画像形成面を読み取る読取装置と、
前記読取装置が前記記録媒体の画像形成面を読み取る際に、前記記録媒体の下地として配置される背景部材と、
前記背景部材をクリーニングするためのクリーニング部とを備えた
画像形成装置。
【請求項2】
前記背景部材を前記記録媒体の下地となる位置から移動させるための駆動機構を備え、
前記クリーニング部は、前記駆動機構によって前記背景部材を前記記録媒体の下地となる位置から移動させた位置において、前記背景部材に対向して配置される
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、
前記搬送方向に搬送される前記記録媒体を、前記搬送方向に対して略垂直な搬送幅方向にわたって支持することにより、前記背景部材と前記記録媒体との間に間隔を保つ支持部材と備え、
前記読取装置は、前記搬送幅方向にわたって前記記録媒体の画像形成面と前記背景部材とを読み取る
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、外周面に前記背景部材を設けた無端ベルトと、前記無端ベルトが掛け渡されたローラーと、前記ローラーを駆動させることによって前記無端ベルトを前記搬送幅方向に沿って走行させるモーターとを備え、
前記クリーニング部は、前記無端ベルトを挟んで前記読取装置と逆側において、前記背景部材に対向して配置されている
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記クリーニング部は、前記無端ベルトの外周面に先端部が押圧されるクリーニング部材を備え、
前記クリーニング部材は、前記駆動機構による前記背景部材の移動により前記背景部材に対して摺動する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記背景部材を外周面に設け軸方向を前記搬送幅方向としたローラー部材と、前記ローラー部材を回転させることによって前記背景部材を前記ローラー部材の周方向に回動させるモーターとを備え、
前記クリーニング部は、前記ローラー部材を挟んで前記読取装置と逆側において、前記ローラー部材の外周面に対向して配置されている
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記クリーニング部は、
前記ローラー部材の外周面に先端部が押圧されるクリーニング部材と、
前記クリーニング部材を、前記ローラー部材の軸方向に沿って移動させる移動機構とを備える
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記クリーニング部は、前記ローラー部材の外周面に先端部が押圧されるクリーニング部材を備え、
前記クリーニング部材は、前記駆動機構による前記背景部材の回動により前記背景部材に摺動される
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記駆動機構は、前記背景部材を外周面に設け軸方向を前記搬送幅方向としたローラー部材と、前記ローラー部材を回転させることによって前記背景部材を前記ローラー部材の周方向に回動させるモーターとを備え、
前記クリーニング部は、前記駆動機構によって前記背景部材を前記記録媒体の下地となる位置から移動させた位置において、前記背景部材に向かって送風する送風ファンを備えた
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記クリーニング部は、前記背景部材に対して前記送風ファンから供給された送風を吸引する吸引ファンを備えた
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記駆動機構の駆動を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記駆動機構の制御により前記背景部材を前記記録媒体の下地となる位置から移動させる
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記読取装置による前記画像の読み取り結果に基づいて、前記背景部材が汚れたと判断した場合に、前記駆動機構の制御により前記背景部材を前記記録媒体の下地となる位置から移動させ、前記クリーニング部により前記背景部材をクリーニングする
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記読取装置による読取領域の範囲内で、かつ前記記録媒体に対する画像形成の範囲外で得られた前記読取装置による前記画像の読み取り結果に基づいて、前記背景部材の汚れを判断する
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記画像形成部による前記記録媒体に対する画像形成前後において得られた前記読取装置による前記画像の読み取り結果に基づいて、前記背景部材の汚れを判断する
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記駆動機構による前記背景部材の移動の前後において得られた前記読取装置による前記画像の読み取り結果に基づいて、前記背景部材の汚れを判断する
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御部は、定期的に前記駆動機構の制御により前記背景部材を前記記録媒体の下地となる位置から移動させ、前記クリーニング部により前記背景部材をクリーニングする
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項17】
記録媒体に画像を形成するための画像形成部と、前記画像が形成された記録媒体の画像形成面を読み取る読取装置と、前記読取装置前記記録媒体の画像形成面を読み取る際に、前記記録媒体の下地として配置される背景部材と、前記背景部材をクリーニングするためのクリーニング部と、前記背景部材を前記記録媒体の下地となる位置から移動させるための駆動機構とを備えた画像形成装置による画像形成方法であって、
制御部が、前記駆動機構の制御により前記背景部材を前記記録媒体の下地となる位置から移動させ、
前記移動させた位置において前記クリーニング部が前記背景部材をクリーニングする
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、記録媒体に形成された画像を読み取るための読取装置を備えている。この画像形成装置においては、読取装置によって読み取った検査用画像の読取値に基づいて、画像形成に係る各部を制御する。また、読取装置による検査用画像の読取値は、読取装置で読み取った基準白色部材の読取値に基づいてシェーディング補正される。なお、基準白色部材は、シェーディング補正のための基準データを取得するための基準白部を有している。このような読取装置を備えた画像形成装置に関する技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、移動手段により読取手段および基準白色部材の少なくとも一方をシートの搬送方向と直交する方向に移動させながら、基準白色部材を読取手段により複数回読み取る技術が記載されている。これにより、基準白色部材の汚れと読取手段の汚れとを区別して検出できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、記録媒体に形成された画像を読取装置で読み取る場合、記録媒体の裏面側には、下地となる背景部材が配置される。読取装置は、記録媒体に形成された画像とともに、記録媒体の両脇からはみ出している背景部材も読み取る。また、記録媒体が光透過性を有する材質であれば、読取装置は、記録媒体と重なる部分の背景部材も読み取る。このため、背景部材に汚れが付着していると、付着した汚れを、検査用画像として誤認識する場合がある。このような検査用画像の誤認識は、画像の形成精度を低下させる要因となる。
【0005】
そこで本発明は、背景部材に付着する汚れを画像と誤認識すること防止し、これにより高精度な画像形成が可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明は、記録媒体に画像を形成するための画像形成部と、前記画像が形成された記録媒体の画像形成面を読み取る読取装置と、前記読取装置が前記記録媒体の画像形成面を読み取る際に、前記記録媒体の下地として配置される背景部材と、前記背景部材をクリーニングするためのクリーニング部とを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、背景部材に付着する汚れを画像と誤認識すること防止し、これにより高精度な画像形成が可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の各実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【
図3】
図3は、背景部材およびその周辺の構成を説明するための平面図である。
【
図4】
図4は、背景部材およびその周辺の構成を説明するための側面図である。
【
図5】
図5は、背景部材へのダストの付着による不具合の一例を説明する平面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の背景装置の構成を示す側面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の背景装置の構成を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の変形例としての背景装置を示す側面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の変形例としての背景装置を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、背景部材とシェーディング部材との入れ替えを示す図である。
【
図11】
図11は、背景部材が清浄な状態において読取装置から得られる信号を示す図である。
【
図12】
図12は、画像形成時に読取装置から得られる信号の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態の背景部材のクリーニングを説明する図(その1)である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の背景部材のクリーニングを説明する図(その2)である。
【
図15】
図15は、第2実施形態の画像形成方法を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態の背景装置の構成を示す側面図(その1)である。
【
図17】
図17は、第3実施形態の背景装置の構成を示す側面図(その1)である。
【
図18】
図18は、第4実施形態の背景装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお各実施形態において、実質的に同一の機能または同一の構成を有する要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、本発明の各実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
図1に示す画像形成装置1は、検査部10を備えたものである。画像形成装置1は、検査部10の他に、画像形成部20、記録媒体供給部30、および記録媒体収容部40を備えている。
【0011】
画像形成部20は、シート状の記録媒体[r]に画像を形成するもので、例えば電子写真方式のものである。記録媒体供給部30は、画像形成部20に対して記録媒体[r]を供給するものである。一方、記録媒体収容部40は、画像形成部20において画像が形成された記録媒体[r]を収容するものである。
【0012】
ここで、記録媒体[r]は、例えば長尺状のものである。この場合、記録媒体供給部30は、長尺状の記録媒体[r]を巻き出す巻き出し機31を備える。一方、記録媒体収容部40は、長尺状の記録媒体[r]を巻き取る巻き取り機41を備える。巻き出し機31と巻き取り機41との間には、複数の搬送ローラー50が配置されている。複数の搬送ローラー50は、巻き出し機31および巻き取り機41とともに、記録媒体[r]を所定の搬送方向[FD]に搬送するための搬送機構を構成する。これらの搬送ローラー50は、巻き出し機31と巻き取り機41との間における記録媒体[r]の走行路を規定するものであり、記録媒体[r]が順次に掛け回される。
【0013】
また検査部10は、画像形成に係る制御のためのデータを得る部分である。検査部10は、画像形成部20と記録媒体収容部40との間に配置される。このような検査部10は、読取装置11および背景装置12を備える。また検査部10は、このほかにも、シェーディング部材13、測色計14、および制御部15を備える。これらは次のようである。
【0014】
<読取装置11>
読取装置11は、画像形成部20から排出された記録媒体[r]の主面を撮像する。検査部10は、記録媒体[r]の搬送方向[FD]に対して垂直な搬送幅方向にわたって配置されたラインセンサーである。この読取装置11は、搬送幅方向にわたって記録媒体[r]の主面を撮像する。
【0015】
図2は、検査部10の要部を示す図である。
図2に示すように、読取装置11は、発光素子11aと、受光素子11bと、カバーガラス11cとを備えたものである。これらは、記録媒体[r]の搬送方向[FD]に対して略垂直な搬送幅方向にわたって配置されている。発光素子11aは、搬送方向[FD]における2方向に、それぞれ配置されている。各発光素子11aは、記録媒体[r]に対し、カバーガラス11cを介して検査光を照射する。受光素子11bは、記録媒体[r]で反射した検査光を、カバーガラス11cを介して受光する。受光素子11bは、受光した検査光の強度を電気信号に変換して制御部15に送信する。
【0016】
<背景装置12>
背景装置12は、2つの搬送ローラー50間において、読取装置11のカバーガラス11cに対向して配置されている。読取装置11のカバーガラス11cと背景装置12との間には、2つの搬送ローラー50に対して掛け回された記録媒体[r]が配置される。この背景装置12は、背景部材12aを有する。背景部材12aは、記録媒体[r]を介して、読取装置11のカバーガラス11cに対向して配置されている。
【0017】
背景部材12aは、読取装置11が記録媒体[r]の主面を読み取る際の下地となる部材である。背景部材12aは、搬送幅方向[CD]に延設された黒色背景120bと、白色背景120wとを備える。また背景装置12は、ここでの図示を省略した水平駆動部により、搬送方向[FD]に移動可能な構成である。これにより、読取装置11が記録媒体[r]の主面を撮像する際の背景を、黒色背景120bと、白色背景120wとで切り替え自在な構成である。
【0018】
また背景装置12は、2つのコロ12b,12b’を有する。2つのコロ12b,12b’は、記録媒体[r]の搬送方向[FD]において背景部材12aを挟む位置に配置されている。2つのコロ12b,12b’は、搬送方向[FD]に搬送される記録媒体[r]を、搬送方向[FD]に対して略垂直な搬送幅方向にわたって支持する。これらのコロ12b,12b’は、背景部材12aに対して記録媒体[r]を浮かせた状態で保持し、記録媒体[r]と背景部材12aと間を所定の間隔に保つ。
【0019】
図3は、背景部材12aおよびその周辺の構成を説明するための平面図である。また
図4は、背景部材12aおよびその周辺の構成を説明するための側面図である。
図3および
図4に示すように、背景部材12aは、記録媒体[r]の搬送方向[FD]に対して垂直な搬送幅方向[CD]において、記録媒体[r]の端部から十分な長さではみ出すように配置されている。なお、読取装置11による読取領域[A1](
図3参照)は、記録媒体[r]の搬送幅方向[CD]の全域と、記録媒体[r]の搬送幅方向[CD]の端部からはみ出した領域を含む。
【0020】
ここで、コロ12b,12b’の表面は、完全に滑らかな状態ではなく、微細な凹凸形状を有する。また、記録媒体[r]は、搬送方向[FD]に向かって搬送される際に、搬送幅方向[CD]に蛇行する(
図3参照)。このため、記録媒体[r]の搬送に際しては、背景部材12aの両側に配置されたコロ12b,12b’と記録媒体[r]とが、搬送方向[FD]および搬送幅方向[CD]に擦れる。これにより、コロ12b,12b’と記録媒体[r]との接触部では、コロ12b,12b’との摩擦によって記録媒体[r]が筋状に削られたダスト[d](紙粉)が発生する。さらに、記録媒体[r]の搬送に際しては、記録媒体[r]の両面において、搬送方向[FD]に向かう搬送風[W](
図4参照)が発生する。このため、背景部材12aよりも搬送方向[FD]の上流側に位置するコロ12bと記録媒体[r]との摩擦で生じたダスト[d]は、搬送風[W]によって背景部材12aに運ばれ、背景部材12aに付着する。
【0021】
なお、ここで発生するダスト[d]は、記録媒体[r]における画像形成面に対する裏面を構成する材料が削られたものである。記録媒体[r]は、タック紙、ノンタック紙、または合成紙などである。タック紙は、画像形成面側の材料層と、裏面側の材料層とが粘着層で貼合わせされた構成である。画像形成面側の材料層は、コート紙、上質紙またはフィルム紙などである。裏面側の材料層は、剥離紙である。一様な材料からなる基材紙である。また合成紙は、ユポ氏などの樹形系合成材料からなる。
【0022】
そしてこのような背景部材12aへのダスト[d]の付着により、次のような不具合が発生する。
図5は、背景部材12aへのダスト[d]の付着による不具合の一例を説明する平面図である。
図5に示すように、背景部材12aにおける読取領域[A1]の範囲内にダスト[d]が付着した場合、これらのダスト[d]は、読取装置11によって読み取られる。記録媒体[r]が光透過性を有する場合、読取装置11は、記録媒体[r]と重なる部分に付着したダスト[d]も読み取る。
【0023】
ここで、記録媒体[r]には、画像形成領域[A]に形成される画像の他に、トンボマーク[m1]や色補正用パッチ[m2]などの検査用画像が形成される。これらの検査用画像は、画像形成領域[A]の外側で、記録媒体[r]の端縁部に形成される。そして、搬送方向[F]の下流側に形成されたトンボマーク[m1]を、読取装置11(
図2参照)が読み取ることで、記録媒体[r]の位置を検知する。さらに、トンボマーク[M1]に並べて搬送方向[F]の上流側に配置された色補正用パッチ[m2]を、読取装置11(
図2参照)が読み取ることで、色補正する。
【0024】
ところが、記録媒体[r]の端縁付近に付着した筋状のダスト[d](例えばダスト[d’])は、トンボマーク[m1]と誤検知される場合がある。このような誤検知により、トンボマーク[m1]に続けて配置されている色補正用パッチ[m2]の検知が不可能となり、正しい色補正ができなくなる。
【0025】
記録媒体[r]の光透過性にかかわらず、このようなトンボマーク[m1]の誤検知は、黒色背景120b上にダスト[d]が付着した場合に発生し易い。また記録媒体[r]が色付きのものであれば、白色背景120w上に有色紙粉のダスト[d]が付着した場合にも、このような誤検知が発生する。また特に、光透過性を有する記録媒体[r]に、白トナーを下引きとして形成された検査用画像を読取装置11で読み取る場合に、この誤検知は発生し易い。
【0026】
以上のこの他にも、光透過性を有する記録媒体[r]であれば、色補正用パッチ[m2]にダスト[d]が重なると、色補正用パッチ[m2]の色を誤検知する場合もある。そこで、背景装置12は、次のような構成を有することとする。
【0027】
図6は、第1実施形態の背景装置12の構成を示す側面図である。また、
図7は、第1実施形態の背景装置12の構成を示す斜視図であり、
図6の一部を下方から見た場合の図面である。
図6および
図7に示すように、背景装置12は、背景部材12aを回動させるための駆動機構100と、背景部材12aをクリーニングするためのクリーニング部200を備える。これらは次のようである。
【0028】
[駆動機構100]
駆動機構100は、背景部材12aを記録媒体[r]の下地となる位置から移動させるためものである。駆動機構100は、無端ベルト101と、無端ベルト101が掛け回されたローラー102,103、モーター104、プーリー105、およびタイミングベルト106を有する。
【0029】
無端ベルト101は、外周面に背景部材12aが設けられ、内周側に歯車101aが設けられたものである。ローラー102、103は、無端ベルト101の歯車101aと嵌合する歯車(図示省略)が、外周面に設けられたものである。なお、背景部材12aは、黒色背景120bと白色背景120wとが、それぞれ無端ベルト101の回動方向にわたって配置された構成である。このような背景部材12aは、例えば無端ベルト101の外周面に貼り合わせられたシール部材であってよい。
【0030】
モーター104は、無端ベルト101を回動させ、搬送幅方向[CD](
図5参照)に沿って走行させるためのものである。プーリー105は、モーター104の回転軸と同軸に設けられている。プーリー105と、一方のローラー102におけるプーリー部分とに、タイミングベルト106が回し掛けられている。これにより、モーター104の回転が、一方のローラー102に伝わり、無端ベルト101および無端ベルト101の外周面に配置した背景部材12aが回動する。
【0031】
このような駆動機構100は、ローラー102,103間における無端ベルト101の外周面が、読取装置11(
図2参照)に対向するように配置される。これにより、ローラー102,103間が、読取領域[A1](
図6参照)となる。
【0032】
[クリーニング部200]
クリーニング部200は、背景部材12aをクリーニングするためものであるクリーニング部200は、無端ベルト101において、読取領域[A1]が設定されている面とは逆側に配置されている。つまり、このクリーニング部200は、駆動機構100によって背景部材12aを記録媒体[r]の下地となる位置から移動させた位置において、背景部材12aに対向して配置される。
【0033】
このようなクリーニング部200は、クリーニング部材201と収容箱202とを備える。クリーニング部材201は、背景部材12aに押圧されるヘラ状のものである。ヘラ状の先端部201aは、例えば可撓性を有するゴム材料で構成されている。このようなクリーニング部材201は、無端ベルト101の回動方向に垂直な方向にわたって、先端部201aを背景部材12aに対して押圧される。またクリーニング部材201の先端部201aは、駆動機構100による背景部材12aの移動により、背景部材12aに対して摺動する。これにより、先端部201aが背景部材12aに押圧される位置が、背景部材12aのクリーニングポイントとなる。
【0034】
収容箱202は、天面を開口させたものであって、クリーニング部材201を収容する。クリーニング部材201の先端部201aによって背景部材12aから掻き取られたダスト[d]を、この収容箱202は収容する。
【0035】
図8は、第1実施形態の変形例としての背景装置12を示す側面図である。また
図9は、第1実施形態の変形例としての背景装置12を示す斜視図であり、
図8の一部を下方から見た場合の図面である。
図8および
図9に示すように、背景装置12のクリーニング部200’は、円柱形状の側周壁から複数のヘラを突設させたブラシ状のクリーニング部材203を有するものであってもよい。ブラシ状のクリーニング部材203のヘラは、例えば可撓性を有するゴム材料で構成されている。なおヘラの先端が背景部材12aに押圧される位置が、背景部材12aのクリーニングポイントとなる。
【0036】
このようなクリーニング部材203は、収容箱202の底面に立設された支柱204に対して回動自在に支持されている。また、クリーニング部材203は、無端ベルト101の回動方向に垂直な方向にわたって、ヘラの先端を背景部材12aに対して押圧される。これにより、クリーニング部材203は、背景部材12aの回動にともなって回動する。なお、クリーニング部材203は、背景部材12aの回動に対して抵抗しつつ回動する回動することで、先端部201aを背景部材12aに対して摺動させる。これにより、掻き取ったダスト[d]を、収容箱202に落下させる。
【0037】
なお、以上説明した背景装置12は、ここでの図示を省略した駆動部により、読取装置11(
図1参照)に対向する位置からの退避が可能である。
図10は、背景部材12aとシェーディング部材13との入れ替えを示す図である。
図10の状態(1)のように、背景装置12は、読取装置11に対向する位置に配置される。また、
図10の状態(2)に示すように、背景装置12は、読取装置11に対向する位置から退避した位置に移動する。状態(2)では、背景装置12とともに、記録媒体[r]も読取装置11に対向する位置から退避する。また状態(2)においては、読取装置11に対向する位置に、シェーディング部材13が配置される。これにより、読取装置11によるシェーディング部材13の読み取りが実施される。
【0038】
<シェーディング部材13>
シェーディング部材13は、読取装置11による読取値を補正するためのシェーディング補正に際し、色見本となる部材である。このシェーディング部材13は、シェーディング補正に際し、状態(2)に示すように読取装置11のカバーガラス11cに対向して配置される。
【0039】
<測色計14>
測色計14は、記録媒体[r]に形成された画像を測色する。測色計14に対向する位置には、記録媒体[r]を介して背景部材14aが配置されている。
【0040】
<制御部15>
制御部15は、例えばコンピュータのハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部15は、CPUがROMから所定のプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムをCPUが実行することにより、画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する。
【0041】
制御部15は、読取装置11からの信号に基づいて、記録媒体[r]の端縁の位置を検知し、検知結果を画像形成部20に送信する。また制御部15は、読取装置11からの信号に基づいて、背景部材12aにダスト[d](
図3~
図5参照)が付着しているか否かを判断する。そして、付着していると判断した場合には、背景装置12の駆動機構を制御し、背景部材12aを記録媒体[r]の下地となる位置から移動させ、背景部材12aをクリーニングする。なお、制御部15による背景部材12aのクリーニングの手順は、次の画像形成方法において説明する。
【0042】
<画像形成方法>
次に、以上説明した検査部10を備えた画像形成装置による画像形成方法を説明する。ここで説明する画像形成方法は、記録媒体[r]に対する画像形成に際し、背景部材12aをクリーニングする手順である。この手順は、制御部15が保持する画像形成プログラムによって実施される手順であって、以下のように実施される。
【0043】
先ず、画像形成に際しては、
図10の状態(1)とし、背景装置12を読取装置11に対向する位置に配置しておく。この状態で、記録媒体[r]に対する画像形成を開始する。この場合、
図1を用いて説明したように、記録媒体供給部30から巻き出した長尺状の記録媒体[r]を、記録媒体収容部40に巻き取ることで、記録媒体[r]を搬送方向[FD]に搬送する。また、画像形成部20においては、搬送方向[FD]に搬送される記録媒体[r]に対して画像を形成する。さらに、検査部10においては、記録媒体[r]に形成された画像を読取装置11で読み取り、測色計14で測色する。
【0044】
以上のような画像形成において、制御部15は、読取装置11からの信号に基づいて、次のように背景部材12aをクリーニングする。なお、以下においては、光透過性を有する記録媒体[r]に対して画像形成を行う場合を例示するが、本実施形態はこれに限定されることはない。
【0045】
[ダスト付着の検知]
先ず、記録媒体[r]の搬送を開始する前の状態で、記録媒体[r]および下地となる背景部材12aを含む読取領域[A1]の基準画像を、読取装置11が読み取る。記録媒体[r]の搬送を開始する前の状態は、すなわち記録媒体[r]に対する画像形成の前の状態であり、ダスト[d]の発生(
図4参照)はない。このため、背景部材12aは、清浄な状態である。
【0046】
図11は、背景部材12aが清浄な状態において読取装置11から得られる信号を示す図である。横軸は読取位置であり、縦軸は階調である。背景部材12aは、ダスト[d]の付着が目立ちやすい黒色背景120bであることとする。この図に示すように、背景部材12aが清浄な状態において、読取装置11から得られる信号は、読取領域[A1]の全域においてピークの発生はない。これは、赤(Red)、緑(Green)、および青(Blue)の何れの信号の同様である。
【0047】
なお、基準画像の読取りは、上記に限定されることはない。画像形成装置1のメンテナンスにおいて、記録媒体[r]を画像形成装置1から取り外した状態で、読取装置11が背景部材12aのみを読み取って基準画像としてもよい。
【0048】
以上のように基準画像を読み取った後、上述したように記録媒体[r]に対する画像形成を開始する。画像形成を開始した後の画像形成の期間中において、記録媒体[r]に形成された画像が読取領域[A1]に存在しないタイミングで、読取装置11が読取領域[A1]の画像を読み取る。この場合の画像は、トンボマーク[m1]や色補正用パッチ[m2]などの検査用画像も含む。
【0049】
制御部15は、画像形成の期間中に、このようなタイミングを定期的に発生させる。読取装置11は、このタイミングにおいて繰り返し読取領域[A1]の画像を繰り返し読み取る。上記タイミングにおいて読取装置11から得られた信号にピークが発生した場合に、制御部15は、背景部材12aにダストが付着したと判断する。
【0050】
図12は、画像形成時に読取装置から得られる信号の一例を示す図である。
図12に示すように、背景部材12aの読み取り領域[A1]内にダスト[d1]~[d4]が付着した場合、読取装置から得られる信号には、ダスト[d1]~[d4]の付着箇所に対応する読取位置に、ピークが現れる。
【0051】
ダストの付着の判断は、
図11と
図12の信号の差分によって判断することが好ましい。制御部15は、この差分において信号にピークが発生した場合に、制御部15は、背景部材12aにダストが付着したと判断することで、より正確な判断ができる。なお、記録媒体[r]が光透過性のないものであれば、読取装置11による読取領域[A1]の範囲内で、かつ記録媒体[r]の範囲外で得られた読み取り結果に基づいて、背景部材12aにダスト[d]が付着したと判断される。
【0052】
なお、以上のようなダスト検知の判断は、例えば、記録媒体[r]に対して搬送方向[FD]に0m~1000mの範囲に画像形成する場合、100mごとに実施されることとする。
【0053】
[クリーニング]
以上のように、背景部材12aに対してダスト[d1]~[d4]が付着していると判断した場合、制御部15は次のように背景部材12aのクリーニングを実施する。
【0054】
図13は、第1実施形態の背景部材のクリーニングを説明する図(その1)であり、背景装置12を側方から見た図である。
図13に示すように、背景部材12aにおける読取領域[A1]内には、読取位置0mm~400mmの各位置にダスト[d1]~[d4]が付着している。背景部材12aの表面において、読取領域[A1]からクリーニング部200のクリーニングポイント[P]までの背景部材12aの距離は150mmであることとする。
【0055】
この場合、制御部15は、背景部材12aを所定の回動方向に回動させることで、ダスト[d1]~[d4]の付着箇所を移動させる。背景部材12aの回動方向に対し、クリーニング部200のクリーニングポイント[P]から最も遠い読取位置(350mm)にあるダスト[d4]が、クリーニングポイント[P]を超えるように、制御部15は背景部材12aを回動させる。
【0056】
図14は、第1実施形態の背景部材のクリーニングを説明する図(その2)であり、背景装置12を側方から見た図である。
図14に示すように、少なくともダスト[d4]の読取位置(350mm)に、読取領域[A1]からクリーニングポイント[P]までの距離(150mm)を追加した移動量[md]だけ、制御部15は、背景部材12aを回動させる。
【0057】
これにより、背景部材12aに付着したダスト[d1]~[d4]の全てが、クリーニング部材201によって背景部材12aから除去される。除去されたダスト[d1]~[d4]は、収容箱202に回収される。なお、以上は、
図8および
図9を用いて説明したクリーニング部200’を有する場合も同様である。
【0058】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態によれば、クリーニング部200が背景部材12aに付着したダスト[d]を除去する。これにより、読取装置11が、記録媒体[r]に形成された画像と共に、背景部材[r]に付着したダスト[d]を読み取ることが防止される。このため、背景部材12aに付着したダスト[d]を、画像形成部20で形成された画像と誤認識するエラーを未然に防止できる。この結果、画像形成部20で形成された検査用画像の読取値に基づく制御により高精度な画像形成ができ、また画像形成装置1のダウンタイムを削減できる。
【0059】
また記録媒体[r]の下地となる位置から移動させる駆動機構100を設け、移動させた位置においてクリーニング部200が背景部材12aをクリーニングする構成である。このため、長尺状の記録媒体[r]を、画像形成装置1の搬送機構に掛け回した状態で、背景部材12aをクリーニングすることができる。これによっても、画像形成装置1のダウンタイムを削減でき、また画像形成装置1のメンテナンスの手間を省くことができる。
【0060】
≪第2実施形態≫
図15は、第2実施形態の画像形成方法を説明するための図であり、読取装置11から得られる2回の信号を示す図である。
図15を用いて説明する第2実施形態の画像形成方法が、第1実施形態の画像形成方法と異なるところは、ダストの検知の手順にあり、他の手順は第1実施形態で説明した画像形成方法と同様である。
【0061】
すなわち、制御部15は、背景部材12aを回動させた前後において、読取装置11から信号を得る。この場合、制御部15は、読取領域[A1]の範囲内で所定の移動距離(例えば100mm)だけ、背景部材12aを回動させる。
【0062】
制御部15は、背景部材12aを回動させる前の1回目の信号と、背景部材12aを回動させた後の2回目の信号とを比較する。2回目の信号において、1回目の信号に発生したピークの読取位置を移動距離(100mm)だけ移動させた読取位置に同様のピークが発生している場合に、制御部15は、そのピークがダスト[d3]、[d4]の付着に起因するピークであると判断する。
【0063】
この場合のクリーニングは、第1実施形態と同様に実施される。ただし、クリーニングに際しての背景部材12aを回動させる移動量は、2回目の信号に発生したピークに対応するダスト[d3]、[d4]が、クリーニングポイント[P]に達する距離とすればよい。
【0064】
<第2実施形態の効果>
以上説明した第2実施形態であっても、第1実施形態の構成と同様の効果を得ることができる。さらに第2実施形態の方法であれば、読取領域[A1]に対する画像の存在に係らず、背景部材12aへのダスト[d]の付着を判断できる。また、読取装置11からの1回目の信号と2回目の信号の同一位置に同様のピークがある場合、これらのピークは読取装置11のカバーガラス11cの汚れまたは傷に起因するものと判断できる。この場合、画像形成装置1が有する表示部や制御部15と通信接続された端末装置に対し、制御部15は、カバーガラス11cの汚れを報知し、カバーガラス11cの清掃を促すことができる。
【0065】
≪第3実施形態≫
図16は、第3実施形態の背景装置12’の構成を示す側面図(その1)である。
図17は、第3実施形態の背景装置12’の構成を示す側面図(その2)である。本第3実施形態の画像形成装置において、背景装置12’以外の構成要素は、第1実施形態で説明した構成要素と同様のものであってよい。
【0066】
図16および
図17に示す背景装置12’は、2つの搬送ローラー50(
図2参照)間において、読取装置11のカバーガラス11cに対向して配置されていることは、第1実施形態と同様である。背景装置12’は、2つのコロ12b,12b’と、背景部材12aを回動させるための駆動機構300と、背景部材12aをクリーニングするためのクリーニング部400を備える。2つのコロ12b,12b’および背景部材12aは、第1実施形態で説明したものと同様のものであるため、ここでの説明は省略する。
【0067】
[駆動機構300]
駆動機構300は、ローラー部材301と、ローラー部材301を回転させるためのモーター302とを有する。ローラー部材301は、搬送ローラー50および2つのコロ12b,12b’に対して平行に配置されている。ローラー部材301は、外周面に背景部材12aが設けられたものである。ローラー部材301の外周面に設けられる背景部材12aは、黒色背景120bと、白色背景120wとである。黒色背景120bと白色背景120wは、ローラー部材301の軸方向に沿って延設されている。このような背景部材12aは、例えばローラー部材301の外周面に貼り合わせられたシール部材であってよい。
【0068】
[クリーニング部400]
クリーニング部400は、背景部材12aをクリーニングするためものである。クリーニング部400は、ローラー部材301を介して、読取装置11とは逆側に配置されている。クリーニング部400は、クリーニング部材401、収容箱402、および電動アクチュエータ403を備える。
【0069】
このうちクリーニング部材401は、円柱形状の側周壁から複数のヘラを突設させたブラシ状のものである。クリーニング部材401のヘラは、例えば可撓性を有するゴム材料で構成されている。円柱形状のクリーニング部材401は、駆動機構300のローラー部材301と平行に配置されている。このようなクリーニング部材401は、次に説明する収容箱402の底面に立設された支柱401aに対して回動自在に支持されている。またクリーニング部材401の先端部は、駆動機構300による背景部材12aの移動により、背景部材12aに対して摺動する。なお、ヘラの先端が背景部材12aに押圧される位置が、背景部材12aのクリーニングポイントとなる。
【0070】
また収容箱402は、天面を開口させたものであって、クリーニング部材401を収容する。クリーニング部材401の先端部によって背景部材12aから掻き取られたダスト[d]を、この収容箱402は収容する。
【0071】
また電動アクチュエータ403は、クリーニング部材401を、ローラー部材301の軸方向に沿って移動させるための移動機構である。電動アクチュエータ403は、ボールねじ403aを回転させる。ボールねじ403aは、収容箱402の下部に嵌入され、駆動機構300のローラー部材301と平行に配置されている。このボールねじ403aは、モーターの駆動により、収容箱402および収容箱402に固定されたれたクリーニング部材401を、駆動機構300のローラー部材301に沿って搬送幅方向[CD]に移動させる。
【0072】
以上のような背景装置12’を備えた画像形成装置による画像形成方法は、第1実施形態または第2実施形態で説明した手順と同様に実施される。ただし、背景部材12aをクリーニングする際には、駆動機構300によって背景部材12aを回動させつつ、電動アクチュエータ403によってクリーニング部材401を移動させる。クリーニング部材401は、ダスト[d]を検知した部分に移動させればよい。
【0073】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態の方法であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第3実施形態においては、クリーニング部400のクリーニング部材401が、駆動機構300のローラー部材301に沿って移動する構成とした。しかしながら、クリーニング部材401および収容箱402は、読取領域[A1]の範囲にわり、駆動機構300のローラー部材301に沿って配置されたものであってもよい。この場合、クリーニング部材401および収容箱402は、搬送幅方向[CD]に移動する必要はない。この場合、クリーニング部材401は、ローラー部材301の回動によって、ローラー部材301の外周面に設けられた背景部材12aに対して摺動する構成であればよい。
【0074】
≪第4実施形態≫
図18は、第4実施形態の背景装置の構成を示す側面図である。本第4実施形態の画像形成装置において、背景装置12”以外の構成要素は、第1実施形態で説明した構成要素と同様のものであってよい。
【0075】
図18に示す背景装置12”は、2つの搬送ローラー50(
図2参照)間において、読取装置11のカバーガラス11cに対向して配置されていることは、他の実施形態と同様である。背景装置12”は、背景部材12aを回動させるための駆動機構500と、背景部材12aをクリーニングするためのクリーニング部600を備える。
【0076】
[駆動機構500]
駆動機構500は、ローラー部材501を有する。ローラー部材501は、ここでの図示を省略したモーターによって回転自在である。ローラー部材501は、搬送ローラー50に対して平行に配置されている。ローラー部材501は、ここでの図示を省略したモーターによって回転自在である。ローラー部材501の外周面には、ローラー部材501の軸方向に沿って背景部材12aの黒色背景120bおよび白色背景120wが配置されている。これらの黒色背景120bおよび白色背景120wの両側には、それぞれ2つのコロ12b,12b’が配置されている。2つのコロ12b,12b’および背景部材12a(黒色背景120bおよび白色背景120w)は、第1実施形態で説明したものと同様のものである。背景部材12aは、例えばローラー部材501の外周面に貼り合わせられたシール部材であってよい。ただし、2つのコロ12b,12b’は、ローラー部材501の外周面に対して固定された状態において、回動自在に支持されていることとする。
【0077】
また、ローラー部材501の外周面には、シェーディング部材13を設けてもよい。シェーディング部材13は、例えば基準白部材13wと基準黒部材13bとを含んでもよい。これらの基準白部材13wおよび基準黒部材13bは、ローラー部材501の軸方向に沿って配置されていることとする。さらに、ローラー部材501の外周面には、読取装置11のカバーガラス11cをクリーニングするためのクリーナー502を設けてもよい。
【0078】
なお、以上のように、外周面に背景部材12aおよびコロ12b,12b’を設けたローラー部材501は、筐体503内に収容されていることとする。この筐体503は、読取装置11のカバーガラス11cに向かう面が大きく開口したものである。また、ローラー部材501の外周面に、シェーディング部材13およびクリーナー502が設けられている場合、ローラー部材501を収容した筐体503は、読取装置11のカバーガラス11cに対して自在に近接可能な構成である。
【0079】
[クリーニング部600]
クリーニング部600は、背景部材12aをクリーニングするためものである。クリーニング部600は、筐体503の壁面に固定された送風ファン601、吸引ファン602、およびフィルタ603を備える。
【0080】
送風ファン601は、ローラー部材501の延設方向にわたって、ローラー部材501の外周面に送風[W1]を吹き当てる。より詳しくは、送風ファン601は、ローラー部材501の外周面に設けられた背景部材12aに対して送風[W1]を吹き当てる。これにより、背景部材12aに付着したダスト[d]を吹き飛ばして、背景部材12aから除去する。ローラー部材501の外周面に対して、送風ファン601からの送風[w1]を吹き当てる位置は、ローラー部材501の外周面が下方を向く位置であることが好ましい。
【0081】
また、吸引ファン602は、送風ファン601からローラー部材501の外周面に吹き当てた送風[W1]を吸引する。これにより、吸引ファン602は、送風[W1]と共に背景部材12aから除去されたダスト[d]を吸引する。この吸引ファン602は、ローラー部材501の外周面に吹き当てられた送風[W1]を、効果的に吸引できる位置に配置されることとする。
【0082】
フィルタ603は、吸引ファン602の吸引開口に配置され、送風[W1]に含まれているダスト[d]を回収する。
【0083】
以上のような背景装置12”を備えた画像形成装置による画像形成方法は、第1実施形態または第2実施形態で説明した手順と同様に実施される。ただし、背景部材12aをクリーニングする際には、駆動機構500によって背景部材12aを送風ファン601の送風口に対応する位置にまで回動させ、背景部材12aに対して送風ファン601からの送風[W1]を供給する。
【0084】
<第4実施形態の効果>
第4実施形態の方法であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
なお、以上説明した各実施形態においては、制御部15が、背景部材12aに対するダストの付着を検出した場合に、背景部材12aをクリーニングする手順を説明した。しかしながら、制御部15は、定期的に背景部材12aを移動させることで、背景部材12aをクリーニングする構成としてもよい。さらに、画像形成装置1のメンテナンスにおいて記録媒体[r]を取り外したタイミングで、制御部15は、背景部材12aを移動させることで、背景部材12aをクリーニングする構成としてもよい。また、以上説明した各実施形態においては、読取装置11に対向して配置された背景部材12aに対してクリーニング部を設けた構成を説明したが、各実施形態は測色計14の背景部材14aに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…画像形成装置
11…読取装置
12a…背景部材
12b,12b’…コロ(支持部材)
14…測色計
14a…背景部材
15…制御部
20…画像形成部
31…巻き出し機(搬送機構)
41…巻き取り機(搬送機構)
50…搬送ローラー(搬送機構)
100,300,500…駆動機構
101…無端ベルト
102…ローラー
104…モーター
200,200’,400,600…クリーニング部
201,203,401…クリーニング部材
201a…先端部
301,501…ローラー部材
302…モーター
403…電動アクチュエータモーター(移動機構)
403a…ボールねじ(移動機構)
601…送風ファン
602…吸引ファン
[FD]…搬送方向
[CD]…搬送幅方向
[r]…記録媒体