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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008068
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電子部品及び電子部品パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/34 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01L23/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109925
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】比留間 義明
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA04
5F136BC01
5F136BC07
5F136DA04
5F136DA27
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】従来の態様と比較して、より高い放熱効果を得ることができる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品100は、金属部材の一例である金属基板10と、金属基板10の一方側に設けられた電子素子40と、前記電子素子40と、前記金属基板10の一方側の面及び側面の少なくとも一部を封入する封止部30と、を有している。前記金属基板10は他方側において前記封止部30から外方に突出し、露出している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材と、
前記金属部材の一方側に設けられた電子素子と、
前記電子素子と、前記金属部材の一方側の面及び側面の少なくとも一部を封入する封止部と、
を備え、
前記金属部材は他方側において前記封止部から外方に突出し、露出している、電子部品。
【請求項2】
前記金属部材は本体部と端子部とが一体になったリードフレームであり、
前記端子部は封止部の側方から外部に突出している、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記金属部材は、前記電子素子が一方側に設けられる第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域とを有し、
前記第1領域の厚みは前記第2領域の厚みよりも厚くなる、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記金属部材は、前記電子素子が一方側に設けられる第1領域を有し、
前記第1領域の縦断面の放熱部材側端部は四角形状、三角形状又は半円形状となっている部分を含む、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記金属部材は、前記電子素子が一方側に設けられる第1領域を有し、
前記第1領域は、前記電子素子を収容する凹部を有する、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項6】
前記電子素子の少なくとも一部は、前記封止部の外方に位置している、請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
基板と、
前記基板の他方側に設けられた電子素子と、
前記電子素子の他方側に設けられた放熱体と、
前記電子素子と、前記放熱体の側面の第1部分を封入する封止部と、
を備え、
前記放熱体の他方側の面及び側面の第2部分が前記封止部から外方に突出し、露出している、電子部品。
【請求項8】
前記放熱体の縦断面の放熱部材側端部は四角形状、三角形状又は半円形状となっている部分を含む、請求項7に記載の電子部品。
【請求項9】
前記基板は金属基板からなり、
前記金属基板は一方側において前記封止部から外方に突出し、露出している、請求項7又は8に記載の電子部品。
【請求項10】
冷却体と、
前記冷却体に設けられた放熱部材と、
複数の電子部品と、
を備え、
前記複数の電子部品は請求項1又は7に記載の電子部品からなり、
前記電子部品の各々において、金属部材の前記封止部から外方に突出して露出している部分又は放熱体の前記封止部から外方に突出して露出している部分が前記放熱部材に当接する電子部品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子及び封止部を有する電子部品及び電子部品パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子装置、電子モジュール等の電子部品において、放熱効率を上げるために金属基板等の裏面を露出させ、絶縁シート等の絶縁部を介してヒートシンク等に載置することが行われている。両面から放熱する電子部品も知られており、例えば特許文献1では、半導体チップと、半導体チップを封止する封止樹脂体と、半導体チップの第1主面側に配置され、第1主電極と電気的に接続される第1導体板(第1ヒートシンク)と、半導体チップの第2主面側に配置され、第2主電極と電気的に接続される第2導体板(第2ヒートシンク)が設けられている。そして、第一基板及び第二基板の各々は絶縁板を介して冷却器に当接している。
【0003】
特許文献2では、特許文献1で示されている電子部品とは異なり、放熱機能を果たす面であっても絶縁シート等の絶縁部をヒートシンク等の冷却体との間に設ける必要がない電子部品も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-100479号公報
【特許文献2】特許第6810279号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電子素子からの発熱がより高くなっているところ、放熱効果をさらに高めることが求められている。
【0006】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、従来の態様と比較して、より高い放熱効果を得ることができる電子部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[概念1]
本発明による電子部品は、
金属部材と、
前記金属部材の一方側に設けられた電子素子と、
前記電子素子と、前記金属部材の一方側の面及び側面の少なくとも一部を封入する封止部と、
を備え、
前記金属部材が他方側において前記封止部から外方に突出し、露出してもよい。
【0008】
[概念2]
概念1による電子部品において、
前記金属部材は本体部と端子部とが一体になったリードフレームであり、
前記端子部は封止部の側方から外部に突出してもよい。
【0009】
[概念3]
概念1又は2による電子部品において、
前記金属部材は、前記電子素子が一方側に設けられる第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域とを有し、
前記第1領域の厚みは前記第2領域の厚みよりも厚くなってもよい。
【0010】
[概念4]
概念1乃至3のいずれか1つによる電子部品において、
前記金属部材は、前記電子素子が一方側に設けられる第1領域を有し、
前記第1領域の縦断面の放熱部材側端部は四角形状、三角形状又は半円形状となっている部分を含んでもよい。
【0011】
[概念5]
概念1乃至4のいずれか1つによる電子部品において、
前記金属部材は、前記電子素子が一方側に設けられる第1領域を有し、
前記第1領域は、前記電子素子を収容する凹部を有してもよい。
【0012】
[概念6]
概念1乃至5のいずれか1つによる電子部品において、
前記電子素子の少なくとも一部は、前記封止部の外方に位置してもよい。
【0013】
[概念7]
本発明による電子部品は、
基板と、
前記基板の他方側に設けられた電子素子と、
前記電子素子の他方側に設けられた放熱体と、
前記電子素子と、前記放熱体の側面の第1部分を封入する封止部と、
を備え、
前記放熱体の他方側の面及び側面の第2部分が前記封止部から外方に突出し、露出してもよい。
【0014】
[概念8]
概念7による電子部品は、
前記放熱体の縦断面の放熱部材側端部は四角形状、三角形状又は半円形状となっている部分を含んでもよい。
【0015】
[概念9]
概念7又は8による電子部品は、
前記基板は金属基板からなり、
前記金属基板は一方側において前記封止部から外方に突出し、露出してもよい。
【0016】
[概念10]
本発明による電子部品パッケージは、
冷却体と、
前記冷却体に設けられた放熱部材と、
複数の電子部品と、
を備え、
前記複数の電子部品の各々が、概念1乃至9のいずれか1つに記載の電子部品であり、
前記電子部品の各々において、金属部材の前記封止部から外方に突出して露出している部分又は放熱体の前記封止部から外方に突出して露出している部分が前記放熱部材に当接してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、一方側に電子素子が設けられた金属基板の他方側の一部が封止部から外方に突出して露出している態様、又は電子素子の一方側に設けられた放熱体の他方側の面及び側面の第2部分が封止部から外方に突出している態様を採用することから、従来の態様と比較して、高い放熱効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本件発明の第1の実施の形態による電子部品の側方断面図。
図2】本件発明の第1の実施の形態の変形例1による電子部品の側方断面図。
図3】本件発明の第1の実施の形態の変形例2による電子部品の側方断面図。
図4】本件発明の第1の実施の形態の変形例3による電子部品の側方断面図。
図5】本件発明の第1の実施の形態の変形例4による電子部品の側方断面図。
図6A】本件発明の第1の実施の形態の変形例5による電子部品の側方断面図。
図6B】本件発明の第1の実施の形態の変形例5による電子部品を収容する凹部を示した平面図。
図7】本件発明の第1の実施の形態による電子部品パッケージの概略平面図。
図8図7の直線VIII―VIII'断面における電子部品パッケージの側方断面図。
図9】本件発明の第2の実施の形態による電子部品の側方断面図。
図10】本件発明の第2の実施の形態の変形例1による電子部品の側方断面図。
図11】本件発明の第2の実施の形態の変形例2による電子部品の側方断面図。
図12】本件発明の第2の実施の形態の変形例3による電子部品の側方断面図。
図13】本件発明の第2の実施の形態の変形例4による電子部品の側方断面図。
図14A】本件発明の第3の実施の形態による電子部品の側方断面図。
図14B】本件発明の第3の実施の形態の変形例による電子部品の側方断面図。
図15】複数の電子部品を含む電子部品パッケージにおいて、裏面において金属基板が単純に露出している態様による不都合を説明するための側方断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の実施の形態
本実施の形態において、電子部品100の封止部30の裏面側からおもて面側に向かう方向を含む方向(図1の上下方向)を「第一方向」と呼び、図1の左右方向を「第二方向」と呼び、図1の紙面の法線方向を「第三方向」と呼ぶ。また、第一方向を法線とする平面内の方向(第二方向及び第三方向を含む面内方向)を「面内方向」と呼ぶ。図1の下方側を他方と呼び、図1の上方側を一方と呼ぶ。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態の電子部品100は、金属部材である金属基板10と、金属基板10の一方側にはんだ等の導電性接着剤(図示せず)を介して設けられた電子素子40と、金属基板10の一方側の面及び側面の少なくとも一部を封入する封止部30と、有する。本実施の形態では、金属部材の一例として金属基板10を用いて説明するが、これに限られるものではない。金属基板10の本体部11が他方側において封止部30から外方に突出し、露出している。本体部11の裏面及び側面の他方側の端部が封止部30から外方に露出している。電子素子40は、例えば、発熱性の高いICやチップ(例えばパワーMOSFET等)であってもよい。封止部30は封止樹脂等からなってもよい。本態様のように、一方側に電子素子40が設けられた金属基板10の他方側の一部が封止部30から外方に突出して露出している態様を採用することによって、従来の態様と比較して、高い放熱効果を得ることができる。従来の態様では、封止部30の裏面から金属基板10の裏面が単純に露出している態様が知られていたが、取り扱いの困難さから金属基板10の他方側(裏面側)の一部が封止部30から外方に突出して露出している態様は採用されていなかった。これに対して、本態様では、封止部30の裏面と面一にするのではなく、封止部30の裏面から金属基板10の裏面をあえて突出させることで、金属基板10が外部と触れる表面積を増やすこととし、放熱性を高めている点で有益な効果を実現できるものである。
【0021】
放熱シートや放熱グリス等の放熱剤といった放熱部材110が電子部品100の裏面に設けられる場合には、金属基板10の裏面及び側面の一部を放熱部材110と当接し、ひいては放熱部材110内に埋設することができ、放熱効果をさらに高めることができる。図1に示す態様では、放熱部材110として放熱シートが示されている。
【0022】
金属基板10は本体部11と第一端子部15が一体になったリードフレームであってもよい。金属基板10は銅からなるリードフレームであってもよい。本実施の形態では、本体部11と第一端子部15が屈曲部13を介して連結されている。第一端子部15は封止部30の側方から外部に突出してもよい。金属基板10がリードフレームからなる場合には、リードフレームを板状になった金属基板10を打ち抜いたリードフレームを屈曲させることで、電子部品100が設けられる本体部11と、本体部11から面内方向で延びた第一端子部15とが形成されてもよい。このような態様を採用することで、裏面側からの放熱効果に加え、第一端子部15を介した放熱効果も実現でき、より高い放熱効果を実現できる点で有益である。
【0023】
電子部品100の一方側(おもて面側)には制御基板80が設けられてもよい。そして、第一端子部15と制御基板80とが、はんだ等の導電性接着剤(図示せず)を介して設けられてもよい。電子素子40のおもて面(図1の上面)には、ワイヤ又は接続子からなる接続体60が設けられてもよい。この接続体60は、封止部30の外方に突出する第二端子部20に接続されてもよい。電子素子40及び第二端子部20の各々に対する接続体60の接続は、はんだ等の導電性接着剤が用いられてもよい。
【0024】
パワー半導体等では、複数(例えば4個や6個等)の電子部品100が用いられることが一般的である。この点、本実施の形態では、図7及び図8で示すように、放熱フィンを有するヒートシンク等からなる冷却体120と、冷却体120に設けられた放熱シートや放熱剤等からなる放熱部材110と、複数の電子部品100と、を有する電子部品パッケージ200も提供される。複数の電子部品100の1つ以上(典型的には各々)において、金属基板10の封止部30から外方に突出して露出している部分が放熱部材110に埋設して設けられるようにしてもよい。図7及び図8で示す複数の電子部品100が設けられる電子部品パッケージ200では、はんだ付けの影響、電子部品100のばらつき、ネジ締めの位置のばらつき等により、複数ある電子部品100の一部(例えば6個ある電子部品100のうちの2個等)において放熱部材110と電子部品100との間が離間することがある(図15参照)。その結果として、複数ある電子部品100のうちの一部が十分に冷却できない問題があった。この点、複数の電子部品100の各々において、金属基板10の封止部30から外方に突出して露出している部分が放熱部材110に当接する態様を採用することで、はんだ付けの影響、電子部品100のばらつき、ネジ締めの位置のばらつき等があったとしても、複数の電子部品100の各々を十分に冷却できる点で非常に有益である(図8参照)。なお、図15では、左側で示した放熱部材110に対する別の電子部品100による押圧関係から、左側で示した電子部品100の金属基板10が左側で示した放熱部材110から離間している。より具体的には、図15の左側で示した態様では、別の電子部品100による押圧関係から一部で下方に凹んだ放熱シート等からなる放熱部材110に対して、凹んでいない箇所で封止部30の他方側端部(角部)が当接することで、放熱シート等からなる放熱部材110の凹んだ部分と金属基板10とが離間している。図7は概略的に示した図面であり、制御基板80が透けた態様で表示され、制御基板80の下方に位置する電子部品100及び放熱部材110が示されている。
【0025】
本実施の形態では、電子素子40が一方側に設けられる領域を第1領域と呼び、第1領域とは異なる領域を第2領域と呼ぶ。第1領域は電子素子40が一方側に設けられる箇所を含む領域を意味し、本実施の形態では本体部11が第1領域となる。また、第2領域は電子素子40が一方側に設けられていない箇所を含む領域を意味し、本実施の形態では第一端子部15が第2領域となる。電子素子40が一方側に設けられる第1領域(本体部11)の厚みが、第1領域とは異なる第2領域(第一端子部15)の厚みより、厚くなるようにしてもよい。このような厚みの調整は、リードフレームを生成するための金型を調整することで実現されてもよい。本体部11の厚みが厚い場合には、放熱シートや放熱剤といった放熱部材110による冷却効果を効果的に電子素子40に伝えることができる点で有益である。なお、本実施の形態では、あえて費用をかけて裏面で封止部30から外部に突出するリードフレームを生成するための金型を準備してまでも、放熱効果を求めている点は注目に値するものである。
【0026】
第1領域である本体部11の縦断面は四角形状、三角形状又は半円形状となっている部分を含んでもよい。ここで、「四角形状、三角形状又は半円形状となっている部分を含んでもよい」というのは、第1領域である本体部11の縦断面の一部の領域が、四角形状、三角形状又は半円形状となっていればよいことを意味する。本体部11の縦断面における放熱部材側端部(図1乃至図4の下端部)が四角形状、三角形状又は半円形状となってもよい。図3で示すように本体部11の縦断面の下端部が三角形状となっている場合には、放熱シートや放熱剤といった放熱部材110との接着面積を大きくすることができ、より高い放熱効果を得ることができる。図2で示すように本体部11の縦断面の下端部が半円形状となっている場合にも、放熱部材110との接着面積を大きくすることができ、より高い放熱効果を得ることができる。縦断面が四角形状となる場合には、長方形や正方形の他、図4で示すような台形も含まれている。このように縦断面を台形とする場合にも、放熱シートや放熱剤といった放熱部材110との接着面積を大きくすることができ、より高い放熱効果を得ることができる。なお、放熱部材110が放熱シートからなる場合には、本体部11の縦断面の下端部が半円形状となっている場合や台形となっている場合には、放熱シートとの密着性を高めることができる点で有益である。本体部11の縦断面の下端部が半円形状となっている場合の方が、台形となっている場合と比較しても、放熱シートとの密着性をより高めることが期待できる点で、有益である。
【0027】
図5で示すように本体部11の縦断面における放熱部材側端部(図1の下端部)に複数の凸部19が設けられてもよい。このような凸部19を設けることで、放熱部材110との接着面積を大きくすることができ、より高い放熱効果を得ることができる。また、当該凸部19によって位置決め部材としての効果を発揮することができる点でも有益である。
【0028】
図6A及び図6Bで示すように、第1領域である本体部11は、電子素子40を収容する凹部12を有してもよい。凹部12はくぼみ(キャビティ)となってもよい。凹部12内に電子素子40の底面及び側面の一部が収容されるようにしてもよいし、図6Aで示すように凹部12内に電子素子40の全体が収容されるようにしてもよい。ここで凹部12内に電子素子40の全体が収容されるというのは、電子素子40の一方側の面(上面)が凹部12の一方側端部(上端)よりも他方側(下方側)に位置していることを意味している。
【0029】
凹部12内に収容された電子素子40の少なくとも一部は、封止部30の外方に位置してもよい。電子素子40の少なくとも一部が封止部30の外方に位置するというのは、縦断面で見たときに、電子素子40の他方側の面及び側面の一部又は全部が、封止部の他方側の面よりも他方側に位置していることを意味している。図6Aで言うと、電子素子40の下面及び側面の一部又は全部が封止部30の下面よりも下方側に位置していることを意味している。
【0030】
本体部11の外周が放熱部材110と接触することになるが、縦断面において、凹部12内の電子素子40の底面及び側面の一部が封止部30の外方に位置している場合には、電子素子40を放熱部材110に近づけて配置することができるため、放熱部材110による冷却効果をより直接的に電子素子40に伝えることができる点で有益である。なお、図6Bで示す凹部12は、図6Aで示す凹部12と比較して、電子素子40に対して大きくなっている。
【0031】
図7及び図8で示すように、複数の電子部品100が設けられる態様では、本体部11の縦断面における放熱部材側端部の形状がICやチップ等の電子部品100の種類(例えば発熱量や発熱の仕方)に応じて適宜調整されるようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、例えば本体部11の縦断面における放熱部材側端部の形状を載置される電子部品100に応じて適切なものとすることができ、より効果的な放熱効果を実現できる点で有益である。
【0032】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0033】
本実施の形態では、電子部品100の封止部30の裏面側からおもて面側に向かう方向を含む方向(図9の上下方向)を「第一方向」と呼び、図9の左右方向を「第二方向」と呼び、図9の紙面の法線方向を「第三方向」と呼ぶ。また、第一方向を法線とする平面内の方向(第二方向及び第三方向を含む面内方向)を「面内方向」と呼ぶ。図9の下方側を他方と呼び、図9の上方側を一方と呼ぶ。
【0034】
図9で示すように、本実施の形態の電子部品100は、基板である金属基板10と、金属基板10の他方側(図9の下方側)にはんだ等の導電性接着剤(図示せず)を介して設けられた電子素子40と、電子素子40の他方側(図9の下方側)に設けられた放熱体150と、電子素子40及び放熱体150の側面の第1部分150aを封入する封止部30と、を有してもよい。放熱体150の他方側の面及び側面の第2部分150bが封止部30から外方に突出し、露出している(なお、第2部分150bは第1部分150aよりも他方側に位置している部分である。)。放熱体150と電子素子40との間にもはんだ等の導電性接着剤が設けられてもよいが、このような態様に限られることはなく、放熱体150と電子素子40との間に導電性接着剤が設けられなくてもよい。第1の実施の形態とは異なり、本実施の形態では、金属基板10は封止部30の上面から露出しているものの、封止部30から外方(図9では上方)に突出していない。第1の実施の形態で採用したあらゆる構成を本実施の形態でも採用することができる。また第1の実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0035】
本実施の形態では、図9の上方で封止部30から露出した金属基板10による放熱と、図9の下方で封止部30から突出して露出した放熱体150による放熱の両方の効果を得られる点で有益である。なお、封止部30から突出して露出した放熱体150は放熱部材110に当接し、ひいては放熱部材110内に埋設されることから、より高い放熱効果を発揮できることになる。
【0036】
放熱体150の縦断面は四角形状、三角形状又は半円形状となっている部分を含んでもよい。放熱体150の縦断面の放熱部材側端部(図9乃至図12における第2部分150bの下端部)が四角形状、三角形状又は半円形状となってもよい。図11で示すように放熱体150の縦断面の下端部が三角形状となっている場合には、放熱シートや放熱剤といった放熱部材110との接着面積を大きくすることができ、より高い放熱効果を得ることができる。図10で示すように放熱体150の縦断面の下端部が半円形状となっている場合にも、放熱部材110との接着面積を大きくすることができ、より高い放熱効果を得ることができる。第1の実施の形態と同様、縦断面が四角形状となる場合には、長方形や正方形の他、図12で示すような台形も含まれている。このように縦断面を台形とする場合にも、放熱シートや放熱剤といった放熱部材110との接着面積を大きくすることができ、より高い放熱効果を得ることができる。なお、放熱部材110が放熱シートからなる場合であって、放熱体150の縦断面の下端部が半円形状となっている場合や台形となっているときには、放熱シートとの密着性を高めることできる点で有益である。放熱体150の縦断面の下端部が半円形状となっている場合の方が、台形となっている場合と比較しても、放熱シートとの密着性をより高めることが期待できる点で、有益である。
【0037】
放熱体150の縦断面における放熱部材側端部(図13における第2部分150bの下端部)に複数の凸部159が設けられてもよい。このような凸部159を設けることで、放熱部材110との接着面積を大きくすることができ、より高い放熱効果を得ることができる。また、当該凸部159によって位置決め部材としての効果を発揮することができる点でも有益である。
【0038】
本実施の形態でも、冷却体120と、冷却体120に設けられた放熱部材110と、複数の電子部品100と、を有する電子部品パッケージ200も提供される。本実施の形態では放熱体150が封止部30の裏面から外方に突出していることから、複数の電子部品100の各々において、封止部30から外方に突出して露出している放熱体150を放熱部材110に当接させることができ、はんだ付けの影響、電子部品100のばらつき、ネジ締めの位置のばらつき等があったとしても、複数の電子部品100の各々を十分に冷却できる点で非常に有益である。
【0039】
複数の電子部品100が設けられる態様では、放熱体150の縦断面における放熱部材側端部の形状がICやチップ等の電子部品100の種類(例えば発熱量や発熱の仕方)に応じて適宜調整されるようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、例えば放熱体150の縦断面における放熱部材側端部の形状を載置される電子部品100に応じて適切なものとすることができ、より効果的な放熱効果を実現できる点で有益である。
【0040】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0041】
図14A及び図14Bに示すように、本実施の形態の電子部品100は、第1の実施の形態で示したように封止部30から外部に突出して露出した金属基板10と、第2の実施の形態で示したように封止部30から外部に突出して露出した放熱体150を有している。図14A及び図14Bの態様では、一例として、制御基板80に設けられた開口部81の内方に、第二冷却体122及び第二放熱部材112が設けられる態様となっている。この態様では、開口部81の内周面と第二冷却体122及び第二放熱部材112の外周面との間には間隙が設けられている。第1の実施の形態及び第2の実施の形態で採用したあらゆる構成を本実施の形態でも採用することができる。また第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0042】
図14Aで示す態様では、金属基板10の本体部11の封止部30から外方に突出して露出した部分に第二放熱部材112が設けられ、放熱体150の封止部30から外方に突出して露出した部分に第一放熱部材111が設けられている。また、第一放熱部材111は第一冷却体121に設けられ、第二放熱部材112は第二冷却体122に設けられている。
【0043】
図14Bで示す態様では、金属基板10の本体部11の封止部30から外方に突出して露出した部分に第一放熱部材111が設けられ、放熱体150の封止部30から外方に突出して露出した部分に第二放熱部材112が設けられている。また、第一放熱部材111は第一冷却体121に設けられ、第二放熱部材112は第二冷却体122に設けられている。
【0044】
本実施の形態の態様を採用することで、金属基板10の本体部11のうち封止部30から外方に突出して露出した部分及び放熱体150の封止部30から外方に突出して露出した部分の両方から放熱することができ、より高い放熱効果を実現することができる。特に本実施の形態のように、第一放熱部材111及び第二放熱部材112と第一冷却体121及び第二冷却体122が設けられる場合には、より高い放熱効果を実現することができる点で有益である。なお、本実施の形態では、第一冷却体121は第1の実施の形態及び第2の実施の形態で用いられた冷却体120と同様の構成となっており、第一冷却体121は放熱フィンを有するヒートシンク等からなる。他方、第二冷却体122は第一冷却体121よりも小型の放熱板となっている。
【0045】
本実施の形態では、第一冷却体121と、第二冷却体122と、第一冷却体121に設けられた第一放熱部材111と、第二冷却体122に設けられた第二放熱部材112と、第一冷却体121に第一放熱部材111を介して設けられた複数の電子部品100と、を有する電子部品パッケージ200も提供される。図14Aに示す態様では、放熱体150が封止部30の裏面(下面)から外方に突出していることから、複数の電子部品100の各々において、封止部30から外方に突出して露出している放熱体150を放熱部材110に当接させることができる。また、図14Bに示す態様では、金属基板10の本体部11が封止部30の封止部30の裏面(下面)から外方に突出していることから、複数の電子部品100の各々において、封止部30から外方に突出して露出している金属基板10の本体部11を放熱部材110に当接させることができる。このため、はんだ付けの影響、電子部品100のばらつき、ネジ締めの位置のばらつき等があったとしても、複数の電子部品100の各々を十分に冷却できる点で非常に有益である。
【0046】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した各実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0047】
10 金属基板
12 凹部
30 封止部
40 電子素子
100 電子部品
110 放熱部材
120 冷却体
150 放熱体
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
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図14A
図14B
図15