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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008073
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】包装シート付き包装用箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65D5/54 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109930
(22)【出願日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】390008707
【氏名又は名称】丸金印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大谷 英雄
(72)【発明者】
【氏名】石田 ゆう
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA02
3E060BA08
3E060BB03
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE12
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CE26
3E060CE27
3E060CF05
3E060DA30
3E060EA20
(57)【要約】
【課題】箱内のPTPシート包装の医薬品の残部を大きさ、形状に合わせて包装する。
【解決手段】この包装用箱B1は、箱の周面にPTPシートを被包可能な大きさ、形状に切り取り線C1を付設されて、PTPシートを被包可能な包装シートS1を切り取り可能に備える。この包装シートS1は、全体を2面に折り曲げ可能な折り曲げガイド線Fと、2面の一方の長さ方向両端側に、両端側の一部を他端方向に向けて折り曲げ可能な一部折り曲げガイド線F1とを有し、この包装用シートS1でPTPシートの残部をその大きさ、形状に合わせて包装できるようにした。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱の周面に、前記箱に収容する物品を被包可能な大きさ、形状に切り取り線を付設されて、前記箱の周面に前記物品を被包可能な包装シートを切り取り可能に備え、前記箱から切り取った前記包装シートにより、前記物品を簡易に包装できるようにした包装シート付き包装用箱であって、
前記包装シートは、
全体を少なくとも2面に折り曲げ可能な折り曲げガイド線と、
前記折り曲げ線により少なくとも2面に折り曲げられた各面又は当該各面の一部の面の長さ方向両端側又は一端側に、当該両端側の一部又は当該一端側の一部を他端方向に向けて折り曲げ可能な一部折り曲げガイド線と、
を備え、
前記包装用シートを、前記物品の使用により減少又は縮小される前記物品の残部の大きさ、形状に合わせて、前記物品の残部を包装できるようにした、
ことを特徴とする包装シート付き包装用箱。
【請求項2】
包装シートの表面に物品に関する各種の情報を表示される請求項1に記載の包装シート付き包装用箱。
【請求項3】
折り曲げガイド線は箱の角部となす折り曲げ線を含む請求項1又は2に記載包装シート付き包装用箱。
【請求項4】
一部折り曲げガイド線は、各面又は一部の面の長さ方向両端側又は一端側の縁部と前記各面又は前記一部の面の側縁との間に向けて斜めに形成される折り曲げ線からなる請求項1又は2に記載の包装シート付き包装用箱。
【請求項5】
一部折り曲げガイド線は、各面又は一部の面の長さ方向両端側又は一端側で折り曲げガイド線上に又は前記折り曲げガイド線に近接して並列に形成される切り取り線と、前記切り取り線の内側端と前記各面又は前記一部の面の側縁との間に形成される折り曲げ線とからなる請求項1又は2に記載の包装シート付き包装用箱。
【請求項6】
一部折り曲げガイド線は、各面又は一部の面の長さ方向両端側又は一端側で折り曲げガイド線上又は前記折り曲げガイド線に近接して並列に形成される切り取り線と、前記切り取り線と前記各面又は前記一部の面の側縁との間に並列に形成される複数の折り曲げ線とからなる請求項1又は2に記載の包装シート付き包装用箱。
【請求項7】
切り取り線の一側に凸形状の切り取り線が形成されて、包装シートは一側に凸形状部を有し、前記凸形状部に当該凸形状部の前記包装シート側の一側部側に対して他側部側を切り起こし可能に切り起こし線を形成されて、当該他側部側が係止爪をなす請求項1又は2に記載の包装シート付き包装用箱。
【請求項8】
切り取り線の一側に凸形状の切り取り線が形成されて、包装シートは一側に凸形状の係止部を有し、前記包装シートの他側側に前記係止部を挿入係止可能な切り込み線からなる係合部を有する請求項1又は2に記載の包装シート付き包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品などの物品の包装に使用する包装用の箱に関し、特に、箱の一部を切り取り、包装シート(箱に収容する物品を箱の開封後、簡易に包装するためのシート)として使用できるようにした包装シート付き包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、従前、この種の包装シート付き包装用箱を特許文献1により開示している。
【0003】
特許文献1の包装用箱は、箱の一部に設けられる情報カードを大きくして物品に関する多くの情報量に対応し、さらに、物品を簡易に包装する包装シートとしても使用できることを目的として提案したものである。
【0004】
この文献1の包装用箱は、箱の周面にこの箱に収容する物品を被包可能な大きさ、形状に切り取り線を付設されて、箱の周面に物品を包装可能なシートを切り取り可能に備え、このシートを、シートの表面に物品に関する各種の情報を表示して情報シートとして、又は物品を簡易に包装するための包装シートとして、又はその両方を兼用する情報、包装シートとして使用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3199781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、医療機関や調剤薬局で取り扱われる錠剤やカプセル錠などの医療用の医薬品は、複数錠ずつが1枚のPTPシートに包装され、このPTPシートが複数枚単位でさらにピロー包装されて、又は結束バンドでひとまとまりにして、例えば100錠など複数錠分の医薬品が個装箱に包装される。そして、医療機関や調剤薬局では、薬剤師が箱から医薬品を使用する分だけ取り出し、残りは箱に戻して保管するといったことが行われている。このように箱から医薬品を取り出して使用しているうちに、箱の中の医薬品の数は徐々に減少していき、箱の中には、例えば錠剤10錠入りのPTPシートが1枚になり、さらにこのPTPシートの一部が切り取られていくと、残りが数錠(例えば4錠、2錠又は1錠)になる。それでも、この残りの医薬品は、保存上の必要から、元の箱の中に戻されて保管される。つまり、1枚のPTPシート分の医薬品でもその一部の数錠の医薬品でも保管上、例えば100錠入り用の箱に保管される。医薬品の保管スペース上、無駄になることは言うまでもない。
【0007】
また、近時は、改正薬機法に基づき、医療用の医薬品などへのバーコード表示が義務化され、図13に示すように、PTPシートの裏面にGS1コード(バーコード)が印刷される。このGS1コードは、PTPシートの裏面に1錠単位又は2錠単位で印刷されており、これからはPTPシート包装の医薬品も1錠単位又は2錠単位で保管、管理されていくものと考えられる。
【0008】
このような背景から、これから先、この種の箱は例えばPTPシート1枚単位からその一部、すなわち1錠単位までの医薬品の保管に適した形態にすることが求められると、見込まれる、
【0009】
そこで、本発明は、このような従来の問題を解決するもので、例えば、PTPシート包装の医薬品の場合であれば、箱内に残ったPTPシートを1シート(1枚)単位から1シート(1枚)の一部、すなわち1錠単位までの医薬品など、箱内の物品の使用(消費)により減少する物品の残部の大きさ、形状に合わせて包装形態を変えて、簡易に包装することのできる包装シート付き包装用箱を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の包装シート付き包装用箱は、
箱の周面に、前記箱に収容する物品を被包可能な大きさ、形状に切り取り線を付設されて、前記箱の周面に前記物品を被包可能な包装シートを切り取り可能に備え、前記箱から切り取った前記包装シートにより、前記物品を簡易に包装できるようにした包装シート付き包装用箱であって、
前記包装シートは、
全体を少なくとも2面に折り曲げ可能な折り曲げガイド線と、
前記折り曲げ線により少なくとも2面に折り曲げられた各面又は当該各面の一部の面の長さ方向両端側又は一端側に、当該両端側の一部又は当該一端側の一部を他端方向に向けて折り曲げ可能な一部折り曲げガイド線と、
を備え、
前記包装用シートを、前記物品の使用により減少又は縮小される前記物品の残部の大きさ、形状に合わせて、前記物品の残部を包装できるようにした、
ことを要旨とする。
この場合、包装シートの表面に物品に関する各種の情報を表示されることが好ましい。
【0011】
そして、この包装用箱は各部が次のように構成されることが好ましい。
(1)折り曲げガイド線は箱の角部となす折り曲げ線を含む。
(2)一部折り曲げガイド線は、各面又は一部の面の長さ方向両端側又は一端側の縁部と前記各面又は前記一部の面の側縁との間に斜めに形成される折り曲げ線からなる。
(3)上記(2)に代えて、一部折り曲げガイド線は、各面又は一部の面の長さ方向両端側又は一端側で折り曲げガイド線上に又は前記折り曲げガイド線に近接して並列に形成される切り取り線と、前記切り取り線の内側端と前記各面又は前記一部の面の側縁との間に形成される折り曲げ線とからなる。
(4)上記(2)、(3)に代えて、一部折り曲げガイド線は、各面又は一部の面の長さ方向両端側又は一端側で折り曲げガイド線上又は前記折り曲げガイド線に近接して並列に形成される切り取り線と、前記切り取り線と前記各面又は前記一部の面の側縁との間に並列に形成される複数の折り曲げ線とからなる。
(5)切り取り線の一側に凸形状の切り取り線が形成されて、包装シートは一側に凸形状部を有し、前記凸形状部に当該凸形状部の前記包装シート側の一側部側に対して他側部側を切り起こし可能に切り起こし線を形成されて、当該他側部側が係止爪をなす。
(6)切り取り線の一側に凸形状の切り取り線が形成されて、包装シートは一側に凸形状の係止部を有し、前記包装シートの他側側に前記係止部を挿入係止可能な切り込み線からなる係合部を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装シート付き包装用箱によれば、上記の構成により、包装シートを、物品の使用(消費)により減少又は縮小される物品の残部の大きさ、形状に合わせて、物品の残部を包装できるようにしたので、例えば、PTPシート包装の医薬品の場合であれば、箱内に残ったPTPシートを1シート(1枚)単位から1シート(1枚)の一部、すなわち1錠単位まで、箱内の物品の使用により減少又は縮小される物品の残部の大きさ、形状に合わせて包装形態を変えて、簡易に包装することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態における包装シート付き包装用箱の構成を示す図((a)は正面側から見た斜視図(b)は背面側から見た斜視図)
図2】同包装用箱の組み立て前のブランクシートを示す平面図(展開図)
図3】同包装用箱の特に包装シートの構成を示す図(平面図)
図4】同包装用箱の特に包装シートの使用例を示す図(斜視図)
図5】同包装用箱の特に包装シートの使用例を示す図(斜視図)
図6】同包装用箱の特に包装シートの使用例を示す図(斜視図)
図7】本発明の第2の実施の形態における包装シート付き包装用箱の構成を示す図((a)は正面側から見た斜視図(b)は背面側から見た斜視図)
図8】同包装用箱の組み立て前のブランクシートを示す平面図(展開図)
図9】同包装用箱の特に包装シートの構成を示す図(平面図)
図10】同包装用箱の特に包装シートの使用例を示す図(斜視図)
図11】同包装用箱の特に包装シートの使用例を示す図(斜視図)
図12】同包装用箱の特に包装シートの使用例を示す図(斜視図)
図13】第1、第2の実施の形態での包装シートにより包装される物品として例示するPTPシートを示す図(背面図)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。なお、以下の各実施の形態では、複数個の錠剤又はカプセル錠で1枚のPTPシートに収納され、このPTPシートが複数枚単位でさらにピロー包装されたもの、又は結束バンドでひとまとまりにしたもの(以下、医薬品パックいう。)を包装するのに使用する医薬品用の包装シート付き包装用箱を例示している。
【0015】
図1図2に第1の実施の形態を示している。図1は包装シート付き包装用箱B1の構成を示し、図2は包装シート付き包装用箱B1の組み立て前のブランクシートP1の構成を示している。
【0016】
図1に示すように、包装シート付き包装用箱B1(以下、単に包装用箱B1又は箱B1という場合がある。)は、箱B1の周面に、箱B1に収容する医薬品パックを被包可能な大きさ、形状に切り取り線C1を付設されて、箱B1の周面に医薬品パックを被包可能な包装シートS1を切り取り可能に備え、箱B1から切り取った包装シートS1により、医薬品パックを簡易に包装できるようになっている。
【0017】
そして、この包装用箱B1では特に、包装シートS1は、全体を少なくとも2面S1A、S1Bに折り曲げ可能な折り曲げガイド線Fと、折り曲げ線Fにより少なくとも2面S1A、S1Bに折り曲げられた各面又は当該各面の一部の面の長さ方向両端側又は一端側に、当該両端側の一部又は当該一端側の一部を他端方向に向けて折り曲げ可能な一部折り曲げガイド線F1と、を備え、この包装用シートS1を、PTPシート包装の医薬品の使用により減少される医薬品パックの残部の大きさ、形状に合わせて、医薬品パックの残部を包装できるようにしてある。
【0018】
なお、この包装用箱において、包装シートS1は、表面に医薬品に関する各種の情報を表示されて、情報表示用のシートとしても、また、情報表示・包装兼用のシートとしても使用できる。この実施の形態では、後者である。
【0019】
この箱B1は、図2に示すように、全体が板紙を打ち抜いて一体に形成された一枚のブランクシートP1からなり、このブランクシートP1が各部を順次折り曲げられ、所定の各接着位置が糊により接着固定されて組み立てられる。
【0020】
このブランクシートP1は、全体が左右方向に長い直方体形状に組み立て可能に、直方体形状に組み立て後の状態で、底面11、正面12、天面13、背面14、及び底面11に重合される背面14と底面11との連結面15をなす、相互に折り曲げ線L1-L4を介して連接して形成される4側面形状部P11-P15(底面形状部P11、正面形状部P12、天面形状部P13、背面形状部P14、及び連結面形状部P15)と、底面形状部P11及び天面形状部P13の左右方向の両端にそれぞれ折り曲げ線L5,L6及びL7,L8を介して形成され、直方体形状に組み立て後の状態で底面左フラップ16、底面右フラップ17及び天面左フラップ18、天面右フラップ19をなす底面左フラップ形状部P16、底面右フラップ形状部P17及び天面左フラップ形状部P18、天面右フラップ形状部P19と、背面形状部P14の左方向の一端に折り曲げ線L11を介して形成され、直方体形状に組み立て後の状態で左端面の蓋21をなす左蓋形状部P21及び背面形状部P14の右方向の一端に折り曲げ線L12を介して形成され、直方体形状に組み立て後の状態で右端面の蓋22をなす右蓋形状部P22と、を有する。
【0021】
この場合、4側面形状部P11-P14はそれぞれ左右に長い長方形に形成され、連結面形状部P15は左右に長く高さの小さい台形に形成され、正面形状部P12、背面形状部P14(の上下方向の高さ)がそれぞれ底面形状部P11、天面形状部P13(の前後方向の長さ)よりも少し大きく形成される。連結面形状部P15は左右方向の長さが底、天面形状部P11、P13の左右方向の長さと略同じで、前後方向の長さが底、天面形状部P11、P13の前後左右方向の長さよりも小さく形成される。底面左フラップ形状部P16、底面右フラップ形状部P17はそれぞれ略台形に形成され、天面左フラップ形状部P18、天面右フラップ形状部P19はそれぞれ略台形に形成される。左蓋形状部P21、右蓋形状部P22はそれぞれ四角形に形成され、その先端に折り線を介して半トラックフィールド形状に形成される差し込み片211、221を有する。
【0022】
また、この場合、正面形状部P12の右端に右蓋形状部P22を切り離すための破断線C31が略台形の溝形に形成され、この正面形状部P12の左端に、この箱B1を廃棄するときに、箱B1が折り畳みやすくなるように、左蓋形状部P21を切り離すための破断線C32が略台形の溝形に形成される。
【0023】
そして、このブランクシートP1においては、箱B1の正面12をなす正面形状部P12、天面13をなす天面形状部P13及び背面14をなす背面形状部P14の連接する3側面形状部に跨って、切り取り線C1が一側に凸形状を有して、医薬品を被包可能な大きさの矩形状に付されて、凸形状の切り取り線C11と矩形状の切り取り線C12とからなり、この箱B1の開封後のPTP包装の医薬品を簡易に包装し、かつこの箱B1に包装される医薬品に関する各種の情報を表示する包装シートS1が切り取り可能に形成される。
また、この箱B1の場合、切り取り線C1の一側に凸形状の切り取り線C11が形成されて、包装シートS1は一側に凸形状部S11を有し、この凸形状部S11に凸形状部S11の包装シートS1側の一側部側に対して他側部側を切り起こし可能に切り起こし線C113を形成されて、その他端部側に係止爪S111が設けられる。
【0024】
この場合、凸形状の切り取り線C11は、箱B1の正面形状部P12と天面形状部P13との間の折り曲げ線L2の中央から正面形状部P12側に向けて正面形状部の両端と平行に延びる短い一対のミシン目線C111とこれらのミシン目線C111間に連続して円弧状に延びるミシン目線C112とにより形成される。この凸形状の切り取り線C11内にはさらに、平行な一対の切り取り線C111と円弧状の切り取り線C112との間に切り起こし線C113が形成される。この切り起こし線C113は、平行な一対の切り取り線C111と円弧状の切り取り線C112との間からそれぞれ相互に反対側の間に向けて少し直線状に形成される折り曲げ線C114と、これらの折り曲げ線C114間に他端方向(天面形状部P13方向に向けて)凸の円弧状に形成される切り込み線C115とからなり、円弧状の切り込み線C115で囲まれた部分が係止爪S111をなす。この凸形状の切り取り線C11の円弧状のミシン目線C112で囲まれた一端を裏面側に向けて傾倒させることにより、係止爪S111が元の平面位置から起こされ、当該一端を戻すことにより、係止爪S111が元の平面位置に戻されるようになっている。矩形状の切り取り線C12は、正面側の一辺の切り取り線C121、左側の一辺の切り取り線C122、右側の一辺の切り取り線C123、背面側の一辺の切り取り線C124からなる。正面側の一辺の切り取り線C121は正面形状部P12と天面形状部P13との間の折り曲げ線L2上で凸形状の切り取り線C11の平行な一対のミシン目線C111の他端から左右方向に向けて正面形状部P12の左右の端部に近接する所定の位置までジッパー線により形成される。左側の一辺の切り取り線C122は正面側の一辺の切り取り線C121の左端に連続して天面形状部P13及び背面形状部P14の左側端部の内側に当該端部と平行にミシン目線により形成される。右側の一辺の切り取り線C123は正面側の一辺の切り取り線C121の右端に連続して天面形状部P13及び背面形状部P14の右側端部の内側に当該端部と平行にミシン目線により形成される。背面側の一辺の切り取り線C124は背面形状部P14と連結面形状部P15との間の折り曲げ線L4に近接して平行に、左右の各辺の切り取り線C122、C123の背面側端部間にミシン目線により形成される。
【0025】
そして、この包装シートS1にあっては、さらに折り曲げガイド線F、一部折り曲げガイド線F1が付設される。
【0026】
折り曲げガイド線Fは箱B1の角部となす折り曲げ線を含み、この箱B1の場合、折り曲げガイド線Fとして天面形状部P13と背面形状部P14との間の折り線L3が利用される。この場合、折り曲げガイド線Fは折り線L3からなる。
【0027】
一部折り曲げガイド線F1は、包装シートS1の2面S1A、S1B又はその一部の面の長さ方向両端側の縁部と2面S1A、S12又はその一部の面の側縁との間に斜めに形成される折り曲げ線からなる。なお、ここで包装シートS1の2面S1A、S12のうち、天面側の一方の面をS1Aとし、背面側の他方の面をS1Bとする。この場合、一部折り曲げガイド線F1は、箱B1の背面側の他方の面S1Bでその左右両端側において、左右両端縁部上折り曲げガイド線Fに近接する位置と、この他方の面S1Bの側縁をなす切り取り線C124上で両端寄りの位置との間に斜めに折り曲げ線により形成される。
【0028】
なお、このブランクシートP1には、4側面形状部P11-P14や左右の蓋形状部P21、P22などに医薬品に関する各種の情報が印刷され、特に、正面形状部P12、天面形状部P13及び背面形状部P14の連接する3側面形状部の包装シートS1内に、とりわけ医療機関で利用性の高い情報が記入される。
【0029】
このようにしてブランクシートP1は、連結面形状部P15の表面側が底面形状部P11の裏面側に合わせられて糊で接着され、箱B1に組み立て可能に扁平状に折り畳み加工される。そして、医薬品パックの包装工程で、組み立て前の箱B1が箱形に起こされ、この箱B1の左右の各開口が各左フラップ16、18、各右フラップ17、19を介して左右の各蓋21、22により封止される。この場合、各蓋21、22の差し込み片211、221が正面板12の内側に差し込まれて糊で接着固定される。
【0030】
包装用箱B1はこのようにして構成され、この箱B1の組み立てとともにこの箱B1により医薬品パックが包装されて、医薬品が調剤薬局や医療機関へ供給される。調剤薬局や医療機関では、この包装用箱B1に包装された医薬品がこの箱B1に入れられたまま保管される。
【0031】
なお、この包装用箱B1の場合、箱B1による保管に代えて、包装シートS1で包装して保管することもできる。この場合、包装シートS1の一側の凸形状部S11を例えば親指で押し込んで切り離し、このままこの凸形状部S11で包装シートS1の1面S1Aの裏面側を外側に向けて押し出すようにしながら、包装シートS1をジッパー線、ミシン目線からなる切り取り線C1(矩形状の切り取り線C12)に沿って切り取る。この切り取った包装シートS1は、折り曲げ線L2、L3を使って断面コ字形に折り曲げ、その中にすべてのPTPシートを差し込む。そして、この場合は、包装シートS1の上から輪ゴムを掛けて全体を結束する。このようにしてすべてのPTPシートを包装シートS1により包装して保管棚などに備え置くことができる。これにより、複数枚のPTPシートを箱B1から出しても保管棚などにばらつくことなく、整然と保管され、PTPシート包装の医薬品を使用する際に、PTPシートを箱B1から取り出すのに比べて、取り出しやすくなる。特に、頻繁に取り出される医薬品の場合、取り扱いが容易となる。また、このような医薬品の保管にしても、包装シートS1に医薬品に関する情報が表示されているので、この包装シートS1から医薬品の情報を確認することができる。
【0032】
PTPシート包装の医薬品を箱B1で保管する場合、医薬品が使用される毎に箱B1内のPTPシートの数は減少し、PTPシートの嵩が徐々に減って、全体の大きさ、形状が小さくなっていく。そして、残りのPTPシートが1、2シート(1、2枚)になったり、さらに最後の1シートが部分的に切り取られて、残りが4錠、2錠又は1錠になったりする。この空に近い箱B1が1箱保管棚などに置かれていてはスペースの無駄であり、この空に近い箱B1に代えて、医薬品が詰められた開封前の新たな箱が置かれる方がスペースの有効利用からすると望ましい。かかる場合に、この包装用箱B1では、箱B1から残りの医薬品を取り出し、図3に示すように、この箱B1の正面12、天面13及び背面14の3側面から包装シートS1を切り取って、この包装シートS1で残りの医薬品をその大きさ、形状に合わせて包装し保管することができる。この箱Bの包装シートS1は、折り曲げガイド線F、一部折り曲げガイド線F1を使って、医薬品の残部の保管に適合する形態に変えることができる。
【0033】
この場合、包装シートS1の一側の凸形状部S11を例えば親指で押し込んで切り離し、このままこの凸形状部S11で包装シートS1の1面S1Aの裏面側を外側に向けて押し出すようにしながら、包装シートS1をジッパー線、ミシン目線からなる切り取り線C1に沿って切り取る。この切り取った包装シートS1を、図4に示すように、折り曲げ線Fで2つ(2面S1A、S1B)に折る。このようにすると、この2面S1A、S1Bの間に1、2シート(1、2枚)分のPTPシートを挟むことができる。この場合、包装シートS1の2面S1A、S1Bの両側縁間を開いて、2面S1A、S1B間に1、2シート分のPTPシートを差し入れる。このようにして、天面側の一方の面S1の一側縁中央の凸形状部S11に形成された係止爪S111を背面側の他方の面S2の側縁側に起こし、その側縁の中央に係止することで、2面S1A、S1Bの両側縁間を固定する。この係止爪S111による2面S1A、S1B間の係合固定により、2面S1A、S1B間に差し入れられた1、2シート分のPTPシートは2面S1A、S1B間に確実に挟持保持されて、ばらつくことなく、整然と保管可能となる。また、1、2シート分のPTPシートの両面側が包装シートS1の2面S1A、S1Bで面的に保護されるので、PTPシートのアルミ面やアルミ面に印刷されるGS1コードを確実に保護することができる。このように1、2シート分のPTPシート全体の大きさ、形状に合った薄形の包装シートS1でコンパクトに保管されるので、これを保管棚や引き出しなどの小スペースに安定して、他の医薬品箱の邪魔になることなく、置くことができる。また、この包装シートS1からPTPシートを取り出す際は、包装シートS1の一方の面S1Aの係止爪S111を他方の面S1Bから起こすだけで、他方の面S1Bから簡単に外れるので、2面S1A、S1B間からPTPシートを容易に取り出すことができる。さらに、この場合でも、この医薬品の保管中、包装シートS1から医薬品に関する情報を確認することができる。
【0034】
そして、この包装シートS1で保管されたPTPシートもその使用により、最後の1シートが部分的に切り取られて、4錠、2錠、又は1錠になると、全体の大きさが小さくなって、2面S1A、S1B間の端部から抜け落ちるおそれがあり、この包装シートS1の2面S1A、S1B間での確実な保持が難しくなる。そこで、このように残りが数錠になった場合は、その全体の大きさ、形状に合わせて、この包装シートS1の医薬品の包装形態を変えることができる。
【0035】
この場合、図5に示すように、包装シートS1の一方の面S1Bの両端側の一部折り曲げ線F1でその両端側の一部を内側向き(裏面方向)に他端に向けて折り返す。この場合、各一部折り曲げ線F1は他方の面S1Bの長さ方向両端側の各縁部と他方の面S1Bの側縁との間に斜めに形成されているので、両端側の一部は三角形をなし、他方の面S1Bの裏面に対向される。これにより、2面S1A、S1Bの両端は他方の面S1Bの両端の三角形の一部により閉じることができる。最後のPTPシートの残り4錠、2錠又は1錠は、この包装シートS1の2面S1A、S1B間で両端を他方の面S1Bの両端の一部で閉じられたスペースに入れればよい。このようにして、図6に示すように、一方の面S1Aの側縁中央の係止爪S111を他方の面S1Bの側縁側に向けて起こし、その側縁の中央に係止することで、2面S1A、S1Bの両側縁間を固定する。この係止爪S111による2面S1A、S1B間の係合固定により、これら2面S1A、S1B間で両端を閉じられたスペースに入れた残り4錠、2錠又は1錠の医薬品はこのスペース内に確実に保持されて、ばらつくことがなく、整然と保管可能となる。このように残り4錠、2錠又は1錠の医薬品を全体の大きさ、形状に合った薄形で小形の包装シートS1でコンパクトに保管できるので、保管棚や引き出しなどの小スペースに安定して、他の医薬品の箱の邪魔になることなく、置くことができる。また、包装シートS1からこの残りの医薬品を取り出す際は、包装シートSの一方の面S1Aの係止爪S111は他方の面S1Bから起こすだけで、他方の面S1Bから簡単に外れるので、2面S1A、S1B間から残りの医薬品を容易に取り出すことができる。さらに、この場合でも、この医薬品の保管中、包装シートS1から医薬品に関する情報を確認することができる。
【0036】
以上説明したように、この包装シート付き包装用箱B1によれば、箱B1内に残ったPTPシートを1シート(1枚)単位から1シート(1枚)の一部の1錠単位までをその大きさ、形状に合わせて包装形態を変えて、これらを簡易に包装し、保管することができる。
【0037】
また、この包装用箱B1によれば、この箱B1独自の次のような顕著な利点を有する。
(1)包装シートS1の表面に医薬品に関する各種の情報が表示されるので、包装シートS1が医薬品の大きさ、形状に合わせて包装形態を変えても、この包装シートS1で医薬品に関する各種の情報を確認することができる。
(2)折り曲げガイド線Fは箱B1の角部となす折り曲げ線を含み、これを利用できるので、折り曲げガイド線Fのための加工が不要で、PTPシート包装の医薬品の1シート単位の包装に適合する包装形態を簡単な構造で低コストに実現することができる。
(3)一部折り曲げガイド線F1は、2面S1A、S1Bの他方の面S1Bの長さ方向両端側の縁部と他方の面S1Bの側縁との間に斜めに形成されるので、PTPシート包装の医薬品の1錠単位の包装に適合する包装形態を簡単な構造で低コストに実現することができる。
(4)切り取り線C1の一端に凸形状の切り取り線C11が形成されて、包装シートS1の一端に凸形状部S11を有し、凸形状部S11にこの凸形状部S11の包装シートS1側の一端部側に対して他端部側を切り起こし可能に切り起こし線C113を形成されて、その他端部側を係止爪S111としたので、この係止爪S111を他方の面S2の側縁側に係脱することで、2面S1A、S1B間を簡単に開閉することができ、包装シートS1へのPTPシート包装の医薬品の差し入れ及び取り出しを簡易に行うことができる。
【0038】
図7図8に第2の実施の形態を示している。この実施の形態は、包装シート付き包装用箱B2(以下、単に包装用箱B2、箱B2という場合がある。)全体の構成が第1の実施の形態と共通で、包装シートS2の構成は一部、特に2面S2A、S2B間の係止形式と一部折り曲げガイド線F2が第1の実施の形態と異なる。この実施の形態では、第1の実施の形態と共通の構成については、第1の実施の形態と共通の符号を付してその説明を簡略にし、第1の実施の形態と異なる構成については、第1の実施の形態と異なる新たな符号を付して説明を追加する。
【0039】
この包装用箱B2では、包装シートS2は、全体を2面S2A、S2Bに折り曲げ可能な折り曲げガイド線Fと、折り曲げ線Fにより2面S2A、S2Bに折り曲げられた各面又は一方の面の長さ方向両端側に両端側の一部を他端方向に向けて折り曲げ可能な一部折り曲げガイド線F2と、を備え、この包装用シートS2を、PTPシート包装の医薬品の使用(消費)により減少されるPTPシートの残部の大きさ、形状に合わせて、PTPシートの残部を包装できるようにしてある。
【0040】
なお、この包装用箱B2において、包装シートS2は、表面に医薬品に関する各種の情報を表示されて、情報表示用のシートとしても、また、情報表示・包装兼用のシートとしても使用できる。この実施の形態では、後者である。
【0041】
この箱B2は、図8に示すように、全体が板紙を打ち抜いて一体に形成された一枚のブランクシートP2からなり、このブランクシートP2が各部を順次折り曲げられ、所定の各接着位置が糊で接着固定されて組み立てられる。
【0042】
このブランクシートP2は、箱B2の基本構成となる部分が第1の実施の形態のブランクシートP1と共通で、ここでは、その説明を省略する。
【0043】
このブランクシートP2においては、箱B2の正面12をなす正面形状部P12、天面13をなす天面形状部P13及び背面14をなす背面形状部P14の連接する3側面形状部に跨って、切り取り線C2が一側に凸形状を有して一側側を台形状に、この一側側から他側側に向けて医薬品を被包可能な大きさの矩形状に付されて、凸形状の切り取り線C21と矩形状の切り取り線C22とからなり、この箱B2の開封後の医薬品を簡易に包装し、かつこの箱B2に包装される医薬品に関する各種の情報を表示する包装シートS2が切り取り可能に形成される。
また、この箱B2の場合、切り取り線C2の一側に凸形状の切り取り線C21が形成されて、包装シートS2の一側に凸形状の係止部S211を有し、包装シートS2の他側側に係止部S211を挿入係止可能な切り込み線からなる係合部S210を有する。
【0044】
この場合、凸形状の切り取り線C21は、箱B2の正面形状部P12と天面形状部P13との間の折り曲げ線L2の中央から離間して正面形状部P12の底面形状部P11側の中央に半トラックフィールド形状の断続的な切り込み線により形成される。この凸形状の切り取り線C21の両端から一端側は正面形状部P12において中央部に他側方向に台形状の切り取り線C21Gがジッパー線により形成され、この切り取り線C21Gは矩形状の切り取り線C22に連続される。この凸形状の切り取り線C21で囲まれた一部は係止部S211をなし、この台形状の切り取り線C21Gで囲まれた一部は折り返し部S212をなす。この折り返し部S212の台形の下底に当たる部分には、この折り返し部S212を包装シートS2の裏面側に向けて折り返し可能に、箱B2の折り線L2と平行に折り返し線fが形成される。
【0045】
この場合、矩形状の切り取り線C22は、正面形状部P12において天面形状部P13側寄りの位置で一側側の台形状の切り取り線C21Gの各端部に連続し、左側の一辺の切り取り線C222、右側の一辺の切り取り線C223、背面側の一辺の切り取り線C224からなる。左側の一辺の切り取り線C222は台形状の切り取り線C21Gの左側の端部から連続して正面形状部P12、天面形状部P13及び背面形状部P14の左側端縁部の内側に当該端縁部と平行にミシン目線により形成される。右側の一辺の切り取り線C223は台形状の切り取り線C21Gの右側の端部から連続して正面形状部P12、天面形状部P13及び背面形状部P14の右側端縁部の内側に当該端縁部と平行にミシン目線により形成される。背面側の一辺の切り取り線C224は背面形状部P14と連結面形状部P15との間の折り曲げ線L4上で左右の各辺の切り取り線C222、C223の背面側端部間にミシン目線により形成される。
【0046】
そして、この包装シートS2にあっては、さらに折り曲げガイド線F、一部折り曲げガイド線F2が付設される。
【0047】
折り曲げガイド線Fは箱B2の角部となす折り曲げ線を含み、この箱B2の場合、第1の実施の形態と同様に、折り曲げガイド線Fとして天面形状部P13と背面形状部P14との間の折り線L3が利用される。この場合、折り曲げガイド線Fは折り線L3からなる。
【0048】
一部折り曲げガイド線F2は、2面S2A、S2Bの一方の面の長さ方向両端側で折り曲げガイド線Fに近接して並列に形成される切り取り線F21と、この切り取り線F21と2面S2A、S2Bの一方の面の側縁との間に並列に形成される複数の折り曲げ線F22とからなる。この場合、一部折り曲げガイド線F2は、箱B2の背面側の他方の面S2Bでその左右両端側において、両端の縁部上で折り曲げガイド線Fに近接する位置から折り曲げガイド線Fと平行にミシン目線により形成される切り取り線F21と、この切り取り線F21の中間部及び内側の端部から背面側の他方の面S2Bの側縁部に向けて直角に形成される2つの折り曲げ線F22とからなる。これらの一部折り曲げ線F2間で背面形状部P14の連結面形状部P15側の側部側に当該側部と略平行に切り込みが形成されて、これが一側の係止部S211の係合部S210をなす。
【0049】
このようにしてブランクシートP2は、連結形状部P15の表面側が底面形状部P11の裏面側に合わせられて糊で接着され、箱B2に組み立て可能に扁平状に折り畳み加工される。そして、医薬品パックの包装工程で、組み立て前の箱B2が箱形に起こされ、箱B2の左右の各開口が一対のフラップ形状部P16,P17、P18,P19を介して各蓋形状部P21、P22により封止される。
【0050】
包装用箱B2はこのようにして構成され、この箱B2の組み立てとともにこの箱B2により医薬品パックが包装され、調剤薬局や医療機関へ供給される。調剤薬局や医療機関では、この包装用箱B2に包装された医薬品がこの箱B2に入れられたまま保管される。
【0051】
なお、この包装用箱B2の場合でも、医薬品パックの箱B2による保管に代えて、包装シートS2で包装して保管することもでき、この点は第1の実施の形態と同様である。
【0052】
医薬品を箱B2で保管する場合、PTPシート包装の医薬品が使用される毎に箱B2内のPTPシートの数は減少し、PTPシートの嵩が徐々に減って、全体の大きさ、形状が小さくなっていく。そして、残りのPTPシートが1、2シート(1、2枚)になった場合、この包装用箱B2から残りの医薬品を取り出して、図9に示すように、この箱B2の正面12、上面13及び背面14の3側面から包装シートS2を切り取り、この包装シートS2で残りのPTPシートをその大きさ、形状に合わせて包装し保管することができる。この箱B2の包装シートS2は、折り曲げガイド線F、一部折り曲げガイド線F2を使って医薬品の包装形態を変えることができる。
【0053】
この場合、包装シートS2の一側の係止部S211当たりを例えば親指で押し込んで切り離し、このままこの係止部S211で折り返し部S212の裏面側を外側に向けて押し出すようにしながら、包装シートS2をジッパー線、ミシン目線からなる切り取り線C2に沿って切り取る。そして、この切り取った包装シートS2を、折り曲げ線Fで2つ(2面S2A、S2B)に折る。このようにすると、この2面S2A、S2Bの間に1、2シート分のPTPシートを挟むことができる。この場合、包装シートS2の2面S2A、S2Bの両側縁部間を開いて、2面S2A、S2B間に1、2シート分のPTPシートを2面S2A、S2B間に差し入れる。このようにして、図10に示すように、一側側の折り返し部S212を折り返し線fを中心にして折り返す。そして、一側の係止部S211を他側側の係合部S210に差し込むことにより、これら係止部S211と係合部S210とを係合させて、2面S2A、S2Bの両側縁部間を固定する。この係止部S211、係合部S210による2面S2A、S2B間の係合固定により、2面S2A、S2B間に差し入れられた1、2シート分のPTPシートが2面S2A、S2B間に確実に挟持保持されて、ばらつくことがなく、整然と保管される。また、1、2シート分のPTPシートの両面側が包装シートS2の2面S2A、S2Bで面的に保護されるので、PTPシートのアルミ面やアルミ面に印刷されるGS1コードを確実に保護することができる。このように1、2シート分のPTPシートが全体の大きさ、形状に合った薄形の包装シートS2でコンパクトに保管されるので、これを保管棚や引き出しなどの小スペースに安定して、他の医薬品の箱の邪魔になることがなく、置くことができる。また、この包装シートS2からPTPシートを取り出す際は、包装シートS2の一方の面S2Aの係止部S211を他方の面S2Bの係合部S210から引き出すだけで、他方の面S2Bから簡単に外れるので、2面S2A、S2B間からPTPシートを容易に取り出すことができる。さらに、この場合でも、この医薬品の保管中、包装シートS2から医薬品に関する情報を確認することができる。
【0054】
そして、この包装シートS2で保管されたPTPシートもその使用により、最後の1シートが部分的に切り取られて、残りが4錠、2錠分、又は1錠になると、全体の大きさが小さいため、2面S2A、S2B間の端部から抜け落ちるおそれがあり、この包装シートS2の2面S2A、S2B間での確実な保持が難しくなる。そこで、このように数錠になった場合は、その全体の大きさ、形状に合わせて医薬品の包装形態を変えることが望ましい。
【0055】
この場合、図11図12に示すように、包装シートS2の他方の面S2Bの両端側の一部折り曲げ線F2でその両端側の一部を内側向き(裏面方向)に他端に向けて折り返す。この場合、各一部折り曲げ線F2は折り曲げ線Fに対して直角に向けて形成されているので、両端側の一部は四角形をなし、他方の面S2Bの裏面に対向される。これにより、2面S2A、S2Bの両端は他方の面S2Bの両端の四角形の一部により閉じることができる。最後のPTPシートの残り4錠、又は1、2錠は、この包装シートS2の2面S2A、S2B間で両端を他方の面S2Bの両端の一部で閉じられたスペースに入れて包装する。また、この場合、一部折り曲げ線F2は中間部の折り曲げ線F22と内側端の折り曲げ線F22とを有するので、これを選択的に用いることにより、医薬品の残された数に応じて、2面S2A、S2B間のスペースの長さを調節することができる。つまり、中間部の折り曲げ線F22で折り曲げれば、2面S2A、S2B間のスペースを少し大きくして、例えば、4錠の医薬品の包装に適合し、内側端の折り曲げ線F22で折り曲げれば、2面S2A、S2B間のスペースを小さくして、例えば1、2錠の医薬品を保管に適合させることができる。このようにして、既述のとおり、一方の面S2Aの一側中央の係止部S211を他方の面S2Bの他側側の係合部S210に差し込み係合させることで、2面S2A、S2Bの側縁間を固定する。この係止部S211、係合部S210による2面S2A、S2B間の係合固定により、2面S2A、S2B間で両端を閉じられたスペースに入れた4錠、又は1、2錠の医薬品はこのスペース内に確実に保持されて、ばらつくことがなく、整然と保管される。このように4錠、2錠又は1錠の医薬品を全体の大きさ、形状に合った薄形で小形の包装シートS2でコンパクトに保管されるので、保管棚や引き出しなどの小スペースに安定して、他の医薬品の箱の邪魔になることがなく、置くことができる。しかも、包装シートS2からPTPシートを取り出す際は、包装シートS2の一方の面S2Aの係止部S211を他方の面S2Bの係合部S210から引き出すだけで、他方の面S2Bの係合部S210から簡単に外れるので、2面S2A、S2B間から4錠、又は1、2錠の医薬品を容易に取り出すことができる。さらに、この場合でも、この医薬品の保管中、包装シートS2から医薬品に関する情報を確認することができる。
【0056】
このようにしても第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができ、さらに、最後の1枚のPTPシートが部分的に切り取られて、数錠になった場合の医薬品も、その数に合わせてさらに包装形態を変えて包装することができる。
【0057】
また、この包装用箱B2によれば、この箱B2独自の次のような顕著な利点を有する。
(1)一部折り曲げガイド線F2は、2面S2A、S2Bの他方の面S2Bの長さ方向両端側で折り曲げガイド線Fに近接して並列に形成される切り取り線F21と、切り取り線F21と他方の面S2Bの側縁との間に並列に形成される複数の折り曲げ線F21、F22とからなるので、2面S2A、S2B間のスペースの長さを調節することができ、他方の面S2Bの両端の各一部を中間部の折り曲げ線F21で折り曲げれば、2面S2A、S2B間のスペースが大きくなって、例えば4錠の医薬品の包装に適合し、内側端の折り曲げ線F22で折り曲げれば、2面S2A、S2B間のスペースが小さくなって、例えば1、2錠の医薬品の保管に適合させることができる。
(2)切り取り線C2の一側に凸形状の切り取り線C21が形成されて、包装シートS2は一側に凸形状の係止部S211を有し、包装シートS2の他側側に係止部S211を挿入係止可能に切り込み線が形成されて、包装シートS2の他側側に係合部S210を有するので、これら係止部S211、係合部S210を係脱することで、2面S2A、S2B間を簡単に開閉することができ、包装シートS2へのPTPシート包装の医薬品の差し入れ及び取り出しを簡易に行うことができる。
【0058】
なお、第1、第2の各実施の形態では、包装シートS1、S2が、全体を2面に折り曲げ可能に折り曲げガイド線Fを備えるものとしたが、包装シートS1、S2は3面又はそれ以上に折り曲げ可能に複数の折り曲げガイド線を備えるものとしてもよい。この場合でも、3面又はそれ以上に折り曲げられた各面又は当該各面の一部の面の長さ方向両端側又は一端側に、当該両端側の一部又は当該一端側の一部を他端方向に向けて折り曲げ可能な一部折り曲げガイド線を備えて、包装用シートを、PTPシート包装の医薬品の使用により減少されるPTPシートの残部の大きさ、形状に合わせて、PTPシートの残部を包装するようにしてもよい。
また、第1、第2の各実施の形態では、包装シートS1、S2の2面の一方の長さ方向両端側に、その両端側の一部を他端方向に向けて折り曲げ可能に一部折り曲げガイド線F1、F2を備えるものとしたが、2面の、また3面以上の場合でも、各面又は当該各面の一部の面の長さ方向両端側又は一端側に、当該両端側の一部又は当該一端側の一部を他端方向に向けて折り曲げ可能な一部折り曲げガイド線を備えてもよい。
このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
第1、第2の各実施の形態では、折り曲げガイド線Fは箱B1、B2の角部となす折り曲げ線L3を利用したが、この折り曲げガイド線は箱の角部となす折り曲げ線とは別に設けてもよい。
このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
第1の実施の形態では、一部折り曲げガイド線F1が、2面S1A。S1Bの一方、この場合、他方の面S1Bで長さ方向両端側の縁部(切り取り線C122、C123)と側縁(C124)との間に斜めに形成される折り曲げ線からなるものとしたが、この一部折り曲げガイド線は、2面の、また3面以上の場合でも、各面又は一部の面の長さ方向両端側又は一端側の縁部と各面又は一部の面の側縁との間に斜めに形成されるものであればよい。
このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
第2の実施の形態では、一部折り曲げガイド線F2は、2面S2A、S2Bの一方、この場合、他方の面S2Bの長さ方向両端側で折り曲げガイド線Fに近接して並列に形成される各切り取り線F21と、各切り取り線F21と他方の面S2Bの側縁(切り取り線C224)との間に並列に形成される複数の折り曲げ線F22とからなるものとしたが、この一部折り曲げガイド線は、2面の、また3面以上の場合でも、各面又は一部の面の長さ方向両端側又は一端側で折り曲げガイド線上又は折り曲げガイド線に近接して並列に形成される切り取り線と、切り取り線と各面又は一部の面の側縁との間に並列に形成される複数の折り曲げ線とからなるものであってもよい。
このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
第2の実施の形態では、一部折り曲げガイド線F2は、2面S2A、S2Bの一方、この場合、他方の面S2Bの長さ方向両端側で折り曲げガイド線Fに近接して並列に形成される各切り取り線F21と、各切り取り線F21と他方の面S2Bの側縁(切り取り線C224)との間に並列に形成される複数の折り曲げ線F22とからなるものとしたが、この一部折り曲げガイド線は、2面の、また3面以上の場合でも、各面又は一部の面の長さ方向両端側又は一端側で折り曲げガイド線上又は折り曲げガイド線に近接して並列に形成される切り取り線と、切り取り線の内側端と各面又は一部の面の側縁との間に形成される折り曲げ線のみとからなるものであってもよい。
このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
第1の実施の形態では、切り取り線C1の一側に凸形状の切り取り線C11が形成されて、包装シートS1は一側に凸形状部S11を有し、凸形状部S11に当該凸形状部S11の包装シートS1側の一側部側に対して他側部側を切り起こし可能に切り起こし線C113を形成されて、当該他側部側が係止爪S111をなすものとし、第2の実施の形態では、切り取り線C2の一側に凸形状の切り取り線C21が形成されて、包装シートS2は一側に係止部S211を有し、包装シートS2の他側側に係止部S211を挿入係止可能な切り込み線からなる係合部S210を有するものとしたが、第1の実施の形態において、係止爪に代えて、第2の実施の形態の係止部、係合部を備えてもよく、第2の実施の形態において、係止部、係合部に代えて、第1の実施の形態の係止爪を備えてもよい。
このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
そして、第1、第2の各実施の形態では、PTPシート包装の医薬品を包装するのに使用する包装シート付き包装用箱として例示したが、この包装用箱は、医薬品に限定されるものではなく、この医薬品と同様に、箱から取り出されて使用される毎に減少又は縮小される各種の物品にも、同様に適用でき、同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0065】
B1、B2 包装カード付き包装用箱
S1、S2 包装シート
S1A、S2A 一方の面
S1B、S2B 他方の面
C1、C2 切り取り線
C11、C21 凸形状の切り取り線
C21G 台形状の切り取り線
C111 ミシン目線
C112 ミシン目線
C113 切り起こし線
C114 折り曲げ線
C115 切り込み線
C12、C22 矩形状の切り取り線
C121 切り取り線
C122 切り取り線
C123 切り取り線
C124 切り取り線
C222 切り取り線
C223 切り取り線
C224 切り取り線
C31 破断線
C32 破断線
S11 凸形状部
S111 係止爪
S211 係止部
S210 係合部
S212 折り返し部
f 折り返し線
F 折り曲げ線
F1 一部折り曲げ線
F2 一部折り曲げ線
F21 切り取り線
F22 折り曲げ線
11 底面
12 正面
13 天面
14 背面
15 連結面
16 底面左フラップ
17 底面右フラップ
18 天面左フラップ
19 天面右フラップ
21 左側の蓋
211 差し込み片
22 右側の蓋
221 差し込み片
P1 ブランクシート
P11 底面形状部
P12 正面形状部
P13 天面形状部
P14 背面形状部
P15 連結面形状部
P16 底面左フラップ形状部
P17 底面右フラップ形状部
P18 天面左フラップ形状部
P19 天面右フラップ形状部
P21 左蓋形状部
P22 右蓋形状部
L1-L12 折り曲げ線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13