(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025080785
(43)【公開日】2025-05-26
(54)【発明の名称】発光ダイオードフィルム
(51)【国際特許分類】
H10H 20/852 20250101AFI20250519BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20250519BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20250519BHJP
H10H 20/85 20250101ALI20250519BHJP
H10H 20/854 20250101ALN20250519BHJP
【FI】
H10H20/852
F21V19/00 150
F21V19/00 170
H01L23/02 F
H10H20/85
H10H20/854
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024199177
(22)【出願日】2024-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2023-0157557
(32)【優先日】2023-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524420335
【氏名又は名称】オー-フレックス シーオー エルティディー
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】ユ ヒュン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム ミョン ソプ
(72)【発明者】
【氏名】ムン ジョン オク
(72)【発明者】
【氏名】リム リュン グン
(72)【発明者】
【氏名】キム セ ラ
(72)【発明者】
【氏名】チョ ハン キ
【テーマコード(参考)】
3K013
5F142
【Fターム(参考)】
3K013BA01
3K013CA09
3K013EA13
5F142AA82
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CG03
5F142CG05
5F142CG13
5F142CG43
5F142DB20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】LEDおよび電極を保護し、付着信頼性に優れ、付着後の再作業性に優れた発光ダイオードフィルムを提供する。
【解決手段】本発明は、基板と、前記基板の少なくとも一部分に形成される電極層と、前記電極層上の少なくとも一部分に形成されるはんだと、前記はんだ上に位置して前記電極層に連結される発光ダイオードと、前記基板、電極層および発光ダイオードの全面に塗布されるモールディング層と、前記モールディング層上に位置する可変粘着フィルムとを含み、下記の式1を満足することを特徴とする発光ダイオードフィルムに関し、前記本発明の発光ダイオードフィルムは、LEDおよび電極を保護し、付着信頼性に優れ、付着後の再作業性に優れた発光ダイオードフィルムを提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の少なくとも一部分に形成される電極層と、
前記電極層上の少なくとも一部分に形成されるはんだと、
前記はんだ上に位置して前記電極層に連結される発光ダイオードと、
前記基板、電極層および発光ダイオードの全面に塗布されるモールディング層と、
前記モールディング層上に位置する可変粘着フィルムとを含み、
下記の式1を満足することを特徴とする発光ダイオードフィルム:
【数1】
【請求項2】
前記モールディング層は、前記基板および前記可変粘着フィルムそれぞれに対して100gf/cm以上の付着力を有する、請求項1に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項3】
前記モールディング層のヤング率(Young’s modulus)が0.05~50MPaである、請求項1に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項4】
前記モールディング層は、モールディング液をUV硬化させて形成される、請求項1に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項5】
前記モールディング液は、硬化収縮率が13%以下である、請求項4に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項6】
前記モールディング液の粘度が100cps~2,000cpsの範囲である、請求項4に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項7】
前記モールディング液は、シリコーンアクリレート系、アクリレート系、ウレタンアクリレート系、ウレタン系、ブチレン系、イソブチレン系およびラバーから選択される1種以上のオリゴマー、ポリマーおよび/またはこれらの誘導体から選択されるオリゴマーまたはポリマーおよびUV開始剤および添加剤を含む、請求項4に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項8】
前記モールディング液は、無機散乱粒子、有機散乱粒子、吸光粒子、またはこれらの組み合わせを追加的に含む、請求項7に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項9】
前記モールディング液は、無溶剤型である、請求項7に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項10】
前記可変粘着フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルム上の可変粘着層とを含み、
前記基材フィルムは、前記モールディング層上に直接的に位置する、請求項1に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項11】
前記可変粘着層が目的とする設置対象の被粘着表面に付着する、請求項10に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項12】
前記可変粘着層は、前記被粘着表面に対する粘着力として1以上のA値を有する、請求項10に記載の発光ダイオードフィルム。
【数2】
【請求項13】
前記被粘着表面に対する前記可変粘着層の粘着力(A1)が50gf/in以下である、請求項12に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項14】
前記被粘着表面に対する前記可変粘着層の粘着力(A2)が50gf/in超過である、請求項12に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項15】
前記被粘着表面がガラスまたはプラスチック材質である、請求項12に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項16】
前記可変粘着層は、感圧粘着剤である、請求項10に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項17】
前記可変粘着層上に離型フィルムを含む、請求項10に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項18】
前記可変粘着層の厚さが50~150μmである、請求項10に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項19】
前記基板が光吸収、光遮断または光散乱機能を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項20】
前記可変粘着フィルム内の基材フィルムおよび可変粘着層の1つ以上の層が光吸収、光遮断または光散乱機能を有する、請求項10~18のいずれか1項に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項21】
前記可変粘着フィルムの透過率が30~80%である、請求項20に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項22】
一面に前記電極層が形成された基板の他面の下部に保護フィルムまたは保護コーティング層が追加的に含まれる、請求項1~18のいずれか1項に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項23】
前記保護フィルムは、粘着層と、基材層と、保護コーティング層とを含み、この時、前記粘着層は、前記基板に対向して配置される、請求項22に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項24】
前記保護コーティング層が光吸収、光遮断または光散乱機能を有する、請求項22に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項25】
前記粘着層、基材層および保護コーティング層の1つ以上の層が光吸収、光遮断または光散乱機能を有する、請求項23に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項26】
前記電極層が形成された前記基板の他面の下部に直接的に明暗比改善層を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項27】
前記基板の最下部に施工用保護フィルムを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の発光ダイオードフィルム。
【請求項28】
耐光性試験後の黄色度(b*)がΔ5以下である、請求項1~18のいずれか1項に記載の発光ダイオードフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報化社会の発展によりディスプレイデバイスへの要求も多様な形態で増加しており、これに応じて、最近は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ELD(Electro Luminescent Display)、VFD(Vacuum Fluorescent Display)、OLED(Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)などの多様なディスプレイデバイスが研究されて用いられている。そして、最近のディスプレイデバイスは室内および室外に設置され、広告などの目的で用いられている。特に、透明LEDディスプレイは、電源オフの状態では製品の後ろの物体を鮮明に示し、LEDがオンになると、デジタルサイネージ(Digital Signage)のように多様なコンテンツを示すことができる。
【0003】
透明LEDディスプレイのうち透明LEDフィルムは、薄いフィルム上に発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下、「LED」)が光源として設けられたディスプレイデバイスである。透明LEDディスプレイフィルムは、複数のLEDを含むことができ、外部から伝達された駆動信号により前記LEDを作動させて、意図された映像をディスプレイすることができる。このような透明LEDディスプレイフィルムは全体的にフィルムからなるので、薄くて軽く、柔軟な構造を有することができる。
【0004】
透明LEDディスプレイフィルムは、多様な目的のために曲面または平面などの多様な表面を有する設置対象上に付着可能であり、多様な表面に付着するために、透明LEDディスプレイフィルムは付着信頼性に優れていなければならない。また、付着工程の際、透明LEDディスプレイのフィルム位置を誤って設定したり、設置対象の間に異物が混入する場合、設置対象から透明粘着フィルムを再剥離するための再剥離性が要求される。
【0005】
透明LEDディスプレイフィルムを被付着面に付着するための粘着層形成のために、従来の透明LEDディスプレイフィルムは、感圧接着剤(PSA)とモールディングのためのポリエステルとが積層された構造のシートをLEDの位置した部分を打抜いて位置整列後に付着する方法を使用しており、製造工程が複雑で製造時間が長くかかるという短所があった。また、光源がホールに位置するので、衝撃から脆弱であり、ホールに位置する汚染物質が金属パッドまたは光源に吸着する場合に不良が発生する問題がある。
【0006】
特許文献1は、透明発光ダイオードフィルムに関し、ベースと、前記ベース上に位置し、少なくとも1つのパターンが形成された電極層と、前記電極層上の少なくとも一部分に形成されたパッドと、前記パッド上に位置する発光ダイオードと、前記電極層上の少なくとも他の部分に形成された接着層とを含み、前記接着層は、前記発光ダイオードに対応する部分に開口部が形成されたことを特徴とする(
図1参照)。特許文献1は、ベースが耐熱性の強い材質を含み、透明発光ダイオードフィルムを形成する時、温度による状態変化が起こらないようにする。
【0007】
しかし、特許文献1(韓国特許公開公報第2017-0139924号(2017.12.20.公開))において、透明発光ダイオードフィルム内の接着層として光学用粘着層は、
図1に示すように、接着層が発光ダイオードを除いた部分に位置するので、接着層の積層後、発光ダイオードを実装するために、発光ダイオードに対応する部分に開口部が形成される。このように開口部を形成した後、発光ダイオードを実装する製造工程の場合、工程段階および発光ダイオードフィルムの複雑性によって透明発光ダイオードフィルムの費用が高いという短所があり、透明発光ダイオードフィルムの保護層を除去後に被付着面に付着する過程で発光ダイオードが実装された開口部に不純物が流入しやすく、この場合、不純物が金属パッドまたは光源に吸着するため、加熱による製品損傷および不良を誘導することがある。
【0008】
また、LEDチップなどの発光ダイオードが実装される開口部の位置には接着層が存在しないため、設置対象物の被付着面との接着信頼性が低いという限界が存在していた。
【0009】
図2に示されるように、従来の透明LEDディスプレイフィルムの開口部の周囲に形成された接着層は、PSAとPETとが積層された構造になっているが、離型フィルムを除去した後、接着層を被付着面に付着する過程で開口部に不純物が流入しやすく、開口部には接着層が存在する粘着面が少ないという問題点が発生する。
【0010】
上記の問題点を改善するための努力の一環として、特許文献2(韓国登録特許公報第10-2425807号(2022.07.22.登録)では、貫通ホールに位置する光源を熱硬化性液状樹脂で覆うことにより、汚染物質の流入問題を解決しようとした。特許文献2は、前面および前記前面に対向する後面を備える基板と、前記前面に形成される電極層と、前記前面に設けられ、前記電極層に連結される光源と、前記基板の前面に付着し、前記電極層の少なくとも一部と前記光源とを外部に露出させる貫通ホールを備える第1樹脂層と、前記貫通ホールに位置し、外部に露出する前記電極層の一部を覆う第2樹脂とを含む。前記樹脂層は、ベースに液状樹脂を注入することにより形成できるが、この時、液状樹脂の大部分が熱硬化性樹脂で、熱硬化過程を経て収縮されると、表面が平らでなく屈曲が生じたり、このような屈曲が空間を生成することにより、樹脂層と被付着面との間の付着面積を減少させて結合力および付着力を低下させる。これを防ぐために、平坦化を到達するために、熱源が存在する状況で全面に均一な圧力を加えて硬化させなければならないという煩わしさおよび短所が存在していた。一例として、1M2の面積に数百Kgfの圧力を加えるために設備の大きさおよび重量が大きくなるという短所が存在し、硬化工程中のフィルムの深さ変形が生じる恐れが存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許公開公報第2017-0139924号(2017.12.20.公開)
【特許文献2】韓国登録特許公報第10-2425807号(2022.07.22.登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するために、電極層、はんだおよび発光ダイオードの上部全面にモールディング層を塗布し、モールディング層の上部に可変粘着フィルムを積層することにより、LEDおよび電極を保護し、付着信頼性に優れ、付着後の再作業性に優れた発光ダイオードフィルムを提供する。
【0013】
また、前記優れた発光ダイオードフィルムの構造および製造工程を単純化することにより、製造費用を節減しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基板と、前記基板の少なくとも一部分に形成される電極層と、前記電極層上の少なくとも一部分に形成されるはんだと、前記はんだ上に位置して前記電極層に連結される発光ダイオードと、前記基板、電極層および発光ダイオードの全面に塗布されるモールディング層と、前記モールディング層上に位置する可変粘着フィルムとを含み、下記の式1を満足することを特徴とする発光ダイオードフィルムを提供する。
【数1】
【0015】
本発明の一実施形態において、前記モールディング層は、前記基板および前記可変粘着フィルムそれぞれに対して100gf/cm以上の付着力を有することができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記モールディング層のヤング率(Young’s modulus)が0.05~50MPaであってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記モールディング層は、モールディング液をUV硬化させて形成されてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記モールディング液は、硬化収縮率が13%以下であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記モールディング液の粘度が100cps~2,000cpsの範囲であってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記モールディング液は、シリコーンアクリレート系、アクリレート系、ウレタンアクリレート系、ウレタン系、ブチレン系、イソブチレン系およびラバーから選択される1種以上のオリゴマー、ポリマーおよび/またはこれらの誘導体から選択されるオリゴマーまたはポリマーおよびUV開始剤および添加剤を含むことができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記モールディング液は、無機散乱粒子、有機散乱粒子、吸光粒子、またはこれらの組み合わせを追加的に含むことができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記モールディング液は、無溶剤型であってもよい。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルム上の可変粘着層とを含み、前記基材フィルムは、前記モールディング層上に直接的に位置してもよい。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着層が目的とする設置対象の被粘着表面に付着できる。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着層は、前記被粘着表面に対する粘着力として1以上のA値を有することができる。
【数2】
【0026】
本発明の一実施形態において、前記被粘着表面に対する前記可変粘着層の粘着力(A1)が50gf/in以下であってもよい。
【0027】
本発明の一実施形態において、前記被粘着表面に対する前記可変粘着層の粘着力(A2)が50gf/in超過であってもよい。
【0028】
本発明の一実施形態において、前記被粘着表面がガラスまたはプラスチック材質であってもよい。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着層は、感圧粘着剤であってもよい。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着層上に離型フィルムを含むことができる。
【0031】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着層の厚さが50~150μmであってもよい。
【0032】
本発明の一実施形態において、前記基板が光吸収、光遮断または光散乱機能を有することができる。
【0033】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着フィルム内の基材フィルムおよび可変粘着層の1つ以上の層が光吸収、光遮断または光散乱機能を有することができる。
【0034】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着フィルムの透過率が30~80%であってもよい。
【0035】
本発明の一実施形態において、一面に前記電極層が形成された基板の他面の下部に保護フィルムまたは保護コーティング層が追加的に含まれてもよい。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記保護フィルムは、粘着層と、基材層と、保護コーティング層とを含み、この時、前記粘着層は、前記基板に対向して配置されてもよい。
【0037】
本発明の一実施形態において、前記保護コーティング層が光吸収、光遮断または光散乱機能を有することができる。
本発明の一実施形態において、前記粘着層、基材層および保護コーティング層の1つ以上の層が光吸収、光遮断または光散乱機能を有することができる。
【0038】
本発明の一実施形態は、前記電極層が形成された前記基板の他面の下部に直接的に明暗比改善層を含む発光ダイオードフィルムを提供する。
【0039】
本発明の一実施形態において、前記発光ダイオードフィルムは、前記基板の最下部に施工用保護フィルムを含むことができる。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記発光ダイオードフィルムは、耐光性試験後の黄色度(b*)がΔ5以下であってもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、外力からLEDおよび電極の保護が可能であり、付着信頼性に優れ、付着後の再作業性に優れて付着施工性が改善された発光ダイオードフィルムを提供することができる。また、本発明は、発光ダイオードフィルムの製造工程を単純化して製造費用が節減された発光ダイオードフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】従来公知の発光ダイオードフィルムの一実現例としてフィルムの断面図を示したものである。
【
図2】従来公知の発光ダイオードフィルムの一実現例としてフィルムの断面図を示したものである。
【
図3】本発明の一実施形態による発光ダイオードフィルムの断面図を示したものである。
【
図4】本発明の一実施形態による発光ダイオードフィルムの断面図を示したものである。
【
図5】本発明の発光ダイオードフィルムが目的とする設置対象の被粘着表面に付着した一実施形態を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付した図面を参照して、本願の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本願の実施例を詳細に説明する。しかし、本願は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面にて本願を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付した。
【0044】
本願明細書全体において、ある部分が他の部分に「連結」、「付着」、または「粘着」されているとする時、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0045】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」、「上部に」、「下に」あるいは「下部に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0046】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に直接的に」、「上部に直接的に」、「上端に直接的に」、「下に直接的に」、「下部に直接的に」、「下端に直接的に」位置しているとする時、他の部材に接しており、2つの部材の間にさらに他の部材が存在しないことを意味する。
【0047】
本願明細書全体において、空間的に相対的な用語である「下(below)」、「下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に示されているように、構成要素との相関関係を容易に記述するために使用できる。
【0048】
本願明細書全体において、用語「発光ダイオード」は、基礎半導体ダイオード構造体(すなわち、LEDなど)を言及するために使用される。通常、「発光ダイオード」または「LED」という用語は、有機、無機、または量子ドットLEDチップまたは装置/デバイスを称することができる。本願では、「発光ダイオード」、「LED」、「LEDチップ」などが同一の意味で混用されて使用される。
【0049】
本願明細書全体において、「目的とする設置対象」は、本発明の「発光ダイオードフィルム」が窮極的に付着する設置または付着対象および品物を意味し、一例として、「目的とする設置対象」には、屋外壁面、室内天井、室内壁面、運送手段の側面または窓、垂れ幕、張り紙、チラシなどを含むと理解されるが、これらに限定されない。本発明において、「発光ダイオードフィルム」が使用/付着したり、使用/付着可能な対象、設置位置、使用目的、用途などを考慮して、「目的とする設置対象」を広範囲に解釈しなければならない。
【0050】
本発明による、前記発光ダイオードフィルムは、前記目的とする設置対象の一面である「被付着面」または「被粘着表面」に付着する。本願明細書全体では、「被付着面」、「被付着表面」、「被粘着面」または「被粘着表面」が同一の意味で混用されて使用される。
【0051】
また、前記「目的とする設置対象」の被粘着表面の材料としては、凹凸が存在しなかったり、高い平坦度を有するガラスまたはプラスチックが含まれ、プラスチックとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、およびポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルクロライド(PVC)などのプラスチックが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0053】
本明細書で使用された(技術的用語および科学的用語を含む)すべての用語は、他に定義されない限り、本発明の属する技術分野における通常の専門家が一般的に理解するものと同一の意味である。また、本明細書で使用された用語は、本明細書および関連技術分野における意味と一貫した意味を有すると解釈されなければならず、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化または過度に形式的な意味で解釈されてはならないことが理解されなければならない。
【0054】
図3に示されるように、本発明は、基板100と、前記基板100の少なくとも一部分に形成される電極層110と、前記電極層110上の少なくとも一部分に形成されるはんだ120と、前記はんだ120上に位置して前記電極層110に連結される発光ダイオード130と、前記基板100、電極層110および発光ダイオード130の全面に塗布されるモールディング層140と、前記モールディング層140上に位置する可変粘着フィルムとを含み、下記の式1を満足することを特徴とする発光ダイオード130フィルムを提供する。
【数3】
【0055】
本発明による発光ダイオードフィルム10が目的とする設置対象の被粘着表面に対して優れた粘着信頼性を確保するためには、前記モールディング層140の厚さAが前記はんだの厚さBと発光ダイオードの厚さCとの合計より大きいか、等しくなければならない。もし、前記モールディング層140の厚さAがLEDチップの厚さより小さい場合、可変粘着フィルム150をラミネーションする過程で気泡が生成、トラップされる可能性が高く、付着施工の際に視覚的に歪みが発生して審美的機能が低下する。これに対し、前記モールディング層140の厚さAが前記はんだ120の厚さBと発光ダイオードの厚さCとの合計の5倍超過の場合、発光ダイオードフィルム10の可撓性および伸縮性特性が低下し、フィルムの厚さが増加するだけでなく、曲面の被粘着表面を有する設置対象に耐久性が低下する。それだけでなく、発光ダイオードフィルム10の駆動時、光ムラ現象が激しくなりうる。
【0056】
本発明は、
図3に示されるように、前記モールディング層140が電極層110、はんだおよび発光ダイオードが形成された基板100の全面を覆うように塗布される。前記モールディング層140は、実装されたLEDチップの全体を覆うように基板100上に塗布されて、物理的な外力からLEDチップを保護し、LEDチップ上に不純物が流入することを防止する。それだけでなく、本発明による発光ダイオードフィルム10の製造工程は、工程自体が単純かつ簡単で製造費用が節減される。
【0057】
前記モールディング層140上には可変粘着フィルム150が位置する。前記可変粘着フィルム150は、基材フィルム152と、前記基材フィルム152上の可変粘着層とを含むことができる。この時、前記基材フィルム152は、前記モールディング層140上に直接的に位置して付着し、前記基材フィルム152上に位置した前記可変粘着層151は、以後、目的とする設置対象の被粘着表面に付着する。前記基材フィルム152は、外力から電極層110、はんだ120および発光ダイオードの損傷を防止することができ、前記可変粘着層151は、優れた粘着信頼性および再作業性を有する(
図5参照)。
【0058】
本発明において、前記モールディング層140の一面は基板100に付着し、他面は上部に位置した前記可変粘着フィルム150に付着する。前記モールディング層140は、前記基板100および前記可変粘着フィルム150それぞれに対して100gf/cm以上の付着力を有する。前記モールディング層140は、高い付着力を有することにより、LEDおよび電極を保護し、優れた耐久性を有する。
【0059】
前記モールディング層140のヤング率(Young’s modulus)が0.05MPa~50MPaであり、好ましくは0.05~30であり、さらに好ましくは0.08~20である。前記モールディング層140のヤング率が50MPaより高ければ、可撓性、伸縮性および付着施工特性が低下し、0.05MPaより低い場合、外部衝撃への露出時にモールディング層140の下部に位置した金属配線、LEDなどに物理的損傷が加えられることがある。
【0060】
前記モールディング層140は、モールディング液をUV硬化させて形成されてもよいし、前記モールディング液は、硬化したモールディング層140が下記の式1を満足するように塗布される。
【数4】
【0061】
前記厚さ範囲を有する場合にも、前記モールディング層140は、高透明性と低い硬化収縮率を有することにより、平坦化およびLEDチップに対する付着力が増大し、曲面接着時にも耐久性および付着力に優れている。
【0062】
前記モールディング液は、UV硬化時、硬化収縮率が13%以下であり、好ましくは10%以下である。硬化に伴うモールディング液の収縮率(硬化収縮率)が大きければ、密着性の低下、LEDの位置と空き空間との間の段差による外観歪み現象および反りの原因になるため、モールディング液の硬化収縮率は13%以下が好ましい。本発明によるモールディング液は、低い硬化収縮率を有することにより、LED光源部および周辺部の厚さ偏差の発生を防止して、本発明による発光ダイオードフィルム10の付着時、被粘着表面におけるリング(ring)形状の光学的歪みおよび付着浮き上がり不良が発生することを防止することができる。本発明において、前記モールディング液は、前記電極層110、前記はんだ120および前記発光ダイオードが形成された前記基板100の全面の表面平坦化に優れ、粘着信頼性が高いモールディング層140を提供する。
【0063】
前記モールディング液の粘度は、硬化前の23℃で100cps~2,000cpsの範囲であり、好ましくは100~1500である。前記範囲において、モールディング層140の塗膜が過度に厚くならず、所望の厚さに制御できる。
【0064】
前記モールディング層140は、光が容易に透過するように透明な材質で形成されてもよい。好ましくは、光学透明レジン(OCR)のように透過率80%以上の透明な状態であってもよい。光学透明レジン(OCR)は、すべて低反射特性により透過率を高めて視認性を向上させる。
【0065】
前記モールディング液は、光学透明レジン(OCR)を形成するための光学透明粘着樹脂組成物によって製造できる。前記光学透明樹脂粘着組成物は、シリコーンアクリレート系、アクリレート系、ウレタンアクリレート系、ウレタン系、ブチレン系、イソブチレン系およびラバーから選択される1種以上のオリゴマー、ポリマーおよび/またはこれらの誘導体から選択されるオリゴマーまたはポリマーおよびUV開始剤および添加剤を含むことができる。以下、前記モールディング液の成分についてさらに具体的に説明するが、これに限定されず、光学透明レジン(OCR)製造用に広く知られた光学透明樹脂組成物を使用することができる。
【0066】
前記オリゴマーまたはポリマーの重量平均分子量は、約5,000~300,000g/molであってもよい。
【0067】
<アクリレート系オリゴマー>
前記アクリレート系オリゴマーは、メチルメタアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、フェノキシアクリレート、メチルアクリレート、ヘクサンジオールジアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上のオリゴマーを含むことができるが、これに限定されず、好ましくは、ウレタンアクリレートオリゴマーであってもよい。
【0068】
前記アクリレート系樹脂は、前記モールディング液の総重量に対して20~80重量%含まれてもよい。前記アクリレート系樹脂の重量が20重量%未満であれば、モールディング層の硬化収縮率が上昇し、80重量%超過であれば、モールディング層の耐久性が低下する。
【0069】
前記アクリレート系樹脂の重量平均分子量は、約5,000~300,000g/molであってもよい。
【0070】
<イソブチレンオリゴマー>
前記イソブチレンオリゴマーとしては、イソブチレン単量体の単独オリゴマー;イソブチレン単量体と重合可能な他の単量体のオリゴマー;またはこれらの混合物が含まれる。一例として、前記イソブチレンオリゴマーは、例えば、1-ブテン、2-ブテン、イソプレン、スチレンまたはブタジエンの単量体を含むことができる。
【0071】
前記イソブチレンオリゴマーを含む硬化樹脂は、極性が非常に低く、透明であり、腐食の影響がほとんどないため、優れた水分遮断特性、耐久信頼性および光特性を実現することができる。
前記イソブチレンオリゴマーは、イソブチレンとイソプレンのオリゴマー、イソプレンとスチレンのオリゴマー、ブタジエンとスチレンのオリゴマー、イソプレン、ブタジエンおよびスチレンのオリゴマー、およびポリイソプレン、ポリブタジエンまたはイソプレンとスチレンのオリゴマー、ブタジエンとスチレンのオリゴマー、またはイソプレン、ブタジエンおよびスチレンのオリゴマーが例示されてもよい。
【0072】
前記イソブチレンポリマーは、前記モールディング液の総重量に対して10~60重量%含まれてもよい。
【0073】
<ラバー>
前記ラバーは、末端に水酸基またはカルボキシル基のような官能基を有することができる。一つの例として、前記ラバーとしては、例えば、末端に水酸基またはカルボキシル基のような官能基を有するポリジエンが使用できる。例えば、前記ラバーとして、ポリイソプレン骨格またはポリブタジエン骨格、スチレン-ブタジエン骨格を有する化合物、エチレンとプロピレンとの共重合体(EPM)、またはエチレン、プロピレンおよび非共役ジエンの三元共重合体(EPDM)などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
また、前記ラバーの重量平均分子量は、本出願の目的を損なわない範囲内で適宜選択可能であり、例えば、約1,000~200,000g/mol、約1,000~150,000g/molまたは約2,000~100,000g/molの範囲であってもよい。
【0075】
前記ラバーは、前記モールディング液の総重量に対して10~60重量%含まれてもよい。
【0076】
<アクリレートモノマー>
前記光学透明樹脂粘着組成物は、アクリレートモノマーを追加的に含むことができる。
【0077】
高分子量体の前記オリゴマーおよびポリマーの希釈により粘度を調整する機能を含み、要求されるモジュラス、付着性、高温高湿評価時に発生しうる白濁を調整可能な極性などを付与することができる。単官能アクリレートおよび多官能アクリレートモノマーを使用することができる。UV硬化反応を利用してモールディング層の収縮率、硬化反応速度、耐久性を調整することができる。
【0078】
アクリレートモノマーは、前記モールディング液の総重量に対して20~90重量%含まれてもよいし、好ましくは20~80重量%、より好ましくは30~70重量%含まれてもよい。30重量%より少なく含まれる場合、組成液の粘度調整が難しく、70%より多く含まれる場合、硬化収縮制御および硬化反応速度の制御が難しい。使用されるオリゴマーまたはポリマーと相溶性があり、要求される物性を満足する構成であれば、いかなる構造を適用しても構わない。
【0079】
<光開始剤>
前記光開始剤は、特定波長領域の紫外線が照射された時、活性ラジカルを生成し、生成されたラジカルが反応性アクリレートオリゴマーまたはモノマーの光重合反応を誘導する。前記光開始剤は、ケトン系光開始剤、ホスフィン系光開始剤であってもよい。
【0080】
前記ケトン系光開始剤の例として、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)、2-イソプロピルチオキサントン(ITX)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
前記光開始剤は、前記モールディング液の総重量に対して0.01~2重量%含まれてもよい。
【0082】
<添加剤>
前記添加剤としては、反応性希釈剤、散乱剤、接着補助剤、界面活性剤、充填剤、カップリング剤、シラン、湿潤剤、可塑剤、離型剤、架橋剤、触媒、硬化剤、湿潤剤、UV安定剤、熱安定剤、防錆剤のような選択的な通常の添加剤が含まれてもよい。また、前記モールディング液は、添加剤としてその他の溶剤を含むことができるが、無溶剤型が好ましい。前記反応性希釈剤および可塑剤それぞれは、モールディング液の総量に対して1~10重量%含まれてもよい。前記反応性希釈剤および可塑剤を除いたその他の添加剤の総合は、モールディング液の総量に対して0.01~5重量%内で適宜含まれてもよい。
【0083】
揮発性有機化合物である溶剤は、人体に有害であり、環境汚染を発生させる問題がある。それだけでなく、従来の工程は、溶剤の揮発に必要な乾燥オーブン(oven)の使用によってモールディング液の生産性低下などの短所まである。しかし、本発明の無溶剤型モールディング液は、有害性と環境汚染問題を解決すると同時に、溶剤の揮発のために使用する乾燥工程の省略により生産性を向上させ、これとともに、溶剤の揮発による収縮が発生しないので、モールディング層の硬化収縮率を減少させる効果を有する。
【0084】
本発明の一実施形態において、前記モールディング液は、コントラスト改善および光特性付与のために有機・無機染料および顔料を含むことができる。前記散乱剤としては、SiO2、TiO2、ZrO2などの無機散乱粒子、有機散乱粒子、吸光粒子、またはこれらの組み合わせが含まれてもよい。
【0085】
本発明の一実施形態において、前記モールディング層140上に位置する可変粘着フィルム150は、被粘着表面に付着して、発光ダイオードフィルムを目的とする設置対象に設けられるようにする。
【0086】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着フィルム150は、基材フィルム152と、前記基材フィルム152上の可変粘着層151とを含むことができる。この時、前記基材フィルム152は、前記モールディング層140上に直接的に位置して付着し、前記基材フィルム152上に位置した前記可変粘着層151は、以後、目的とする設置対象の被粘着表面に付着する。
【0087】
本発明の一実施形態において、前記可変粘着フィルム150の可変粘着層151は、被粘着表面に対して下記の式2によるA値が1以上を満足する。
【数5】
【0088】
前記可変粘着層151が前記目的とする設置対象の被粘着表面に付着した後、常温で30分後に測定された前記被粘着表面に対する粘着力(A1)は、50gf/in以下である。
【0089】
前記可変粘着層151が前記目的とする設置対象の被粘着表面に付着した後、常温で1,000時間後に測定された前記被粘着表面に対する粘着力(A2)は、50gf/in超過である。
【0090】
前記式1によるA値が1以上を満足することにより、前記可変粘着フィルム150は、目的とする設置対象の被粘着表面に対して優れた濡れ性、再剥離性、粘着信頼性を有する。特に、気泡などの不良なく付着可能であり、プラスチックまたはガラスなどの表面に対しても再剥離が可能で、剥離力および作業性に優れ、完全粘着された後は剥離、浮き上がりなどを防止することができる。
【0091】
前記可変粘着フィルム150の基材フィルム152は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリイミド(PI)、環状オレフィン重合体(COP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)およびポリプロピレン(PP)からなる群より選択された高分子樹脂、またはこれらのアロイ樹脂を含むことができるが、これに限定されない。前記基材フィルム152の厚さは、50μm~150μm、好ましくは50μm~100μmであってもよい。
【0092】
前記可変粘着フィルム150の可変粘着層151は、感圧粘着剤組成物から製造可能であり、前記感圧接着剤組成物は、ウレタン系樹脂を主成分として含むウレタン樹脂組成物、界面調整剤および粘着増加剤を含むことができる。
【0093】
本発明の一実施形態において、前記感圧粘着剤組成物中の前記界面調整剤と前記粘着増加剤との重量比(界面調整剤/粘着増加剤)が0.8以下であってもよい。前記範囲を満足する場合、前記可変粘着フィルム150は、目的とする設置対象の被粘着表面に対して優れた濡れ性、再剥離性、粘着信頼性を有する。
【0094】
前記可変粘着層151は、前記界面調整剤および粘着増加剤を同時に含むことにより、プラスチックまたはガラスなどの被粘着表面に対する再剥離性および付着安定性を同時に満足させる効果がある。前記感圧接着剤組成物から製造される可変粘着層151は、被粘着表面に対して付着直後は前記可変粘着層151内の界面調整剤が被粘着表面に分布および存在して、被粘着表面に対して低い粘着力および優れた再剥離性を有するが、時間の経過とともに界面調整剤と粘着増加剤の再配列が起こりながら粘着増加剤と被粘着表面との間の相互作用によって粘着力が増加し、これによって付着安定性を付与する。窮極的に、本発明は、前記可変粘着層151を介して優れた濡れ性、再剥離性および粘着信頼性を有する発光ダイオードフィルム10を提供することができる。
【0095】
前記可変粘着フィルム150は、目的とする設置対象の被粘着表面に付着する前まで、可変粘着層151上に離型フィルム200を含むことができる。
【0096】
前記離型フィルム200は、前記可変粘着層151に対する離型性(release properties)を有するために疎水性を呈するが、プラスチックまたはガラスなどの被粘着表面は、離型フィルム200に比べて親水性の性質を呈する。したがって、可変粘着層151上の離型フィルム200を除去して、可変粘着層151を目的とする設置対象の被粘着表面に付着する場合、付着直後瞬間的に可変粘着層151内に存在する界面調整剤の疎水性基が被粘着表面に配向されて低い粘着力を有する。しかし、時間の経過とともに前記離型フィルム200より相対的に親水性を呈するプラスチックまたはガラスなどの被粘着表面に対して可変粘着層151内の界面調整剤の疎水性基と親水性基との平衡をなして再配列が起こり、結局、粘着増加剤が被粘着表面と反応して粘着力が増加する。
【0097】
以下、前記可変粘着層151に含まれるウレタン樹脂組成物、界面調整剤および粘着増加剤として下記の物質を使用することができるが、これに限定されない。
【0098】
<ウレタン樹脂組成物>
前記ウレタン樹脂組成物は、ポリオールと多官能性イソシアネート化合物とを触媒の存在下で反応させてなるウレタンプレポリマーを硬化させて得られたウレタン樹脂を主成分とする。
【0099】
前記ポリオールは、1種のポリオールを含有してもよく、さらに好ましくは、2種以上のポリオールを含有させてもよい。この時、2種以上のポリオールの1種は、OH基を3個以上有するポリオールを含むものであり、その一例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびヒマシ油系ポリオールからなる群より選択使用可能である。このようなポリオール成分によって、残留物低減などの再作業性に優れた特性を発現することができる。
【0100】
前記ポリエステルポリオールは、ポリオール成分と酸成分とのエステル化反応により得ることができる。ポリオール成分の一例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,8-デカンジオール、オクタンデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択使用可能である。酸成分の一例としては、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、二量体酸、2-メチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-エチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルカルボン酸およびこれらの酸無水物などを使用することができる。
【0101】
また、ポリエーテルポリオールは、水、低分子量ポリオール(プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシン、ヒドロキノンなど)を開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドから選択されるアルキレンオキシドを付加重合させることにより得られる。具体的な一例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどがある。
【0102】
前記ポリカプロラクトンポリオールは、εカプロラクトンまたはσ-バレロラクトンなどの環状エステル単量体の開環重合によって得られるカプロラクトン系ポリエステルジオールである。その一例としては、前記ポリオール成分とホスゲンとを重縮合反応させて得られるポリカーボネートポリオール、前記ポリオール成分と炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、炭酸エチルブチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジフェニルまたは炭酸ジベンジルなどの炭酸ジエステル類とをエステル交換および縮合させて得られるポリカーボネートポリオール、前記ポリオール成分を2種以上併用して得られる共重合ポリカーボネートポリオール、前記各種ポリカーボネートポリオールとカルボキシル基含有化合物とをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール、前記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエーテル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記各種ポリカーボネートポリオールとエステル化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記各種ポリカーボネートポリオールとジカルボン酸化合物とを重縮合反応させて得られるポリエステル系ポリカーボネートポリオール;および前記各種ポリカーボネートポリオールとアルキレンオキシドとを共重合させて得られる共重合ポリエーテル系ポリカーボネートポリオールなどがある。
【0103】
前記ヒマシ油系ポリオールは、ヒマシ油脂肪酸と前記ポリオール成分とを反応させて得られるヒマシ油系ポリオールである。
【0104】
前記ウレタン樹脂を製造するための他の成分として、多官能性イソシアネート化合物は、多官能性脂肪族系イソシアネート化合物、多官能性脂環族系イソシアネート化合物、多官能性芳香族系ジイソシアネート化合物またはイソシアヌレート環を有する三量体から選択される単独またはそれらの混合形態で使用することができる。
【0105】
前記多官能性脂肪族系イソシアネート化合物の好ましい一例としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネートおよび2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択使用可能である。
【0106】
また、多官能性脂環族系イソシアネート化合物の一例としては、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネートおよび水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートがある。前記多官能性芳香族系ジイソシアネート化合物は、フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネートおよびキシリレンジイソシアネートからなる群より選択使用可能である。
【0107】
前記ポリオールと前記多官能性イソシアネート化合物とを触媒の存在下で反応させて、ヒドロキシ基末端を有するウレタンプレポリマー形態で製造した後、官能基2以上の多官能イソシアネートを硬化剤として用いて三次元網状構造を形成することができる。
【0108】
前記多官能性イソシアネート化合物の他の例としては、前述した各種多官能性イソシアネート化合物のトリメチロールプロパン付加物、水と反応して得られたビュレット、およびイソシアヌレート環を有する三量体を使用することができ、これらを併用してもよい。
【0109】
上述のように、ウレタン樹脂は、ポリオールと多官能性イソシアネート化合物とを含む組成物を硬化させて得られ、このような組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で帯電防止剤、触媒、ウレタン樹脂以外の他の樹脂成分、粘着付与剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、導電剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、潤滑剤、溶剤などを含むことができ、さらに好ましくは、帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤または光安定剤のような劣化防止剤を含むことができる。
【0110】
<界面調整剤>
界面調整剤は、1つの分子内に水に溶けやすい親水性と油に溶けやすい疎水性とをともに有する化合物である。親水性(Hydrophile)は、水分子と容易に結合する性質を意味する。逆に、水と親和力が弱い性質を疎水性(Hydrophile)という。
【0111】
本発明において、前記界面調整剤としては、シリコーン系非イオン界面調整剤が使用できる。
【0112】
前記シリコーン系非イオン界面調整剤は、変形したポリジメチルシロキサン(modified polydimethylsiloxane)(例えば、アルキル変性、フェニル-変性、アミノ-変性、ポリエーテル-変性、およびポリオキシアルキレン-変性ポリジメチルシロキサンなど)、有機シリコーン(organosilicone)、ポリアルキレン変性ヘプタメチルトリシロキサン(polyalkylene modified heptamethyl trisiloxane)、ポリアルキレンオキシド変性ジメチルポリシロキサン(polyalkyleneoxide modified dimethylpolysiloxane)、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルトリシロキサン(polyalkyleneoxide modified heptamethyl trisiloxane)、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルシロキサン(polyalkyleneoxide modified heptamethylsiloxane)、ポリエーテル-ポリメチルシロキサン-コポリマー(polyether-polymethylsiloxane-copolymer)、ポリエトキシル化ジメチルシロキサン(polyethoxlated dimethyl siloxanes)、ポリメチルシロキサンコポリマー(Polymethylsiloxane copolymer)、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマー(polyoxpropylene-polyoxyethylene block copolymers)、シリコーン-ポリエーテルコポリマー(siliconepolyether copolymer)から選択された単独または1つ以上であってもよいが、これに限定されない。好ましい実施形態として、前記シリコーン系非イオン界面調整剤は、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド極性ブロックがシリコーン骨格にグラフトされた構造であるポリアルキレンオキシド変性シリコーンで、ポリエチレンオキシド変性ジメチルポリシロキサンまたはポリプロピレンオキシド変性ジメチルポリシロキサンであってもよい。また、好ましくは、前記ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドを含むポリアルキレンオキシド変性シリコーンであってもよいし、この時、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの末端がメチル基、ブチル基などのアルキル基でキャッピングされてもよい。ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの末端がアルキル基でキャッピングされていない場合、反応により生成されたヒドロキシが粘着剤のウレタン樹脂と化学的に反応可能で、被粘着面に対する界面調整剤の再配列を妨げるからである。
【0113】
前記シリコーン系非イオン界面調整剤は、ウレタン樹脂100重量部を基準として、0.01~5重量部の含有量で使用することが好ましい。前記シリコーン系非イオン界面調整剤が0.01重量部未満で含まれると、粘着剤の離型フィルム200に接触している粘着剤の界面に界面調整剤の量が不足して粘着力が高くなって再作業性に問題点があり、5重量部超過で含むと、粘着剤の界面に界面調整剤の量が多くて再配列が平衡をなすことに時間がかかり粘着力の上昇が行われず、付着信頼性が脆弱な問題点がある。
【0114】
前記シリコーン系非イオン界面調整剤は、親水性親油性平衡(Hydrophilic Lipophilic Balance、HLB)値として4~8を有する。前記シリコーン系非イオン界面調整剤のHLB値が4~8の場合、粘着剤を被粘着面に付着後、時間の経過とともに界面調整剤の親水性基が被粘着面側に配向されるので、粘着力が徐々に上昇することを見出した。一方、HLB値が4未満であれば、疎水性(親油性)に近くて粘着剤内で被粘着面側に再配列が行われず粘着力の上昇が難しく、HBL値が8超過であれば、親水性に近くて粘着剤内で再配列が行われず粘着力が上昇せず、付着信頼性が脆弱である。
【0115】
<粘着増加剤>
本発明において、前記粘着増加剤としては、シランカップリング剤が使用できる。一実施形態として、前記粘着増加剤として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランなどが使用できる。
【0116】
前記粘着増加剤は、ウレタン樹脂100重量部を基準として、0.1~10重量部の含有量で使用することが好ましい。前記粘着増加剤が0.1重量部未満で含まれると、被粘着面に付着後、粘着力の上昇が行われず、付着信頼性が脆弱であり、10重量部超過で一定時間経過後、剥離が必要な場合、被粘着物の破壊および粘着剤の残渣が発生する問題点がある。
【0117】
本発明の一実施形態において、前記粘着剤組成物は、前記界面調整剤(a)と前記粘着増加剤(b)との重量比(a/b)は、0.8以下含まれる。前記界面調整剤(a)と前記粘着増加剤(b)との重量比(a/b)は、好ましくは0.7以下であり、さらに好ましくは0.5以下であってもよい。前記界面調整剤(a)と前記粘着増加剤(b)との重量比(a/b)が0.8超過の場合、時間の経過とともに粘着力の上昇が行われず、付着信頼性が非常に低い。
【0118】
本発明の一実施形態として、前記発光ダイオードフィルム10は、基板100と、前記基板100の少なくとも一部分に形成される電極層110と、前記電極層110上の少なくとも一部分に形成されたはんだ120と、前記はんだ120上に位置して前記電極層110に連結される発光ダイオードと、前記基板100、電極層110および発光ダイオードの全面を覆うように塗布されるモールディング層140と、前記モールディング層140上に位置する可変粘着フィルム150とを含み、さらに、追加的に一面に前記電極層110が形成された前記基板100の他面の下部に保護フィルム170が追加的に含まれてもよい(
図4参照)。前記保護フィルムは、外部衝撃から発光ダイオードフィルム10の物理的損傷を防止する機能を有する。
【0119】
前記保護フィルム170は、前記電極層110が形成された前記基板100の他面の下部に位置し、一例として、前記保護フィルム170は、前記基板100の下部に直接的に位置してもよいし、または前記基板100と前記保護フィルム170との間に他の部材が存在してもよい。
【0120】
本発明の一実施形態において、前記保護フィルム170は、粘着層171と、基材層172と、保護コーティング層173とを含むことができる。この場合、前記粘着層171は、前記基板に対向して配置され、前記保護コーティング層173は、最終製品の発光ダイオードフィルム10において基板の下部の最外角部に位置するように配置される。
【0121】
本発明の一実施形態において、前記一面に前記電極層が形成された基板の他面の下部に保護コーティング層173のみが付着できる。前記保護コーティング層173は、前記基板100の下部に直接的に位置してもよいし、または前記基板100と前記保護コーティング層173との間に他の部材が存在してもよい。
【0122】
本発明の一実施形態において、前記粘着層171および保護コーティング層173は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂などの適切なベース樹脂で調製された粘着剤組成物を用いて製造できるが、これに限定されず、一般的に使用される粘着剤組成物で製造されてもよい。
【0123】
前記保護フィルム170内の粘着層171、基材層172および保護コーティング層173の1つ以上の層は、ベース樹脂のほか、通常使用される添加剤を含むことができ、一例として、光吸収、光遮断、光散乱物質を含むことにより、光吸収、光遮断または光散乱機能を含むことができる。
【0124】
前記保護コーティング層173は、本発明による効果を阻害しない範囲で、前記挙げられた樹脂のほか、一般的に添加される添加剤を含むことができ、一例として、光吸収、光遮断および/または光散乱物質を含むことにより、光吸収、光遮断および/または光散乱機能を含むことができる。
【0125】
本発明の他の実施形態において、前記基板100が光吸収、光遮断または光散乱機能を有することができ、および/または前記可変粘着フィルム150内の基材フィルム152および可変粘着層151の1つ以上の層が光吸収、光遮断または光散乱機能を有することができる。この時、可変粘着フィルムの透過率は、30~80%であってもよい。
本発明において、発光ダイオードフィルム10に含まれる1層以上が光吸収、光遮断または光散乱機能を有する場合、1つ以上の層に通常使用される光吸収、光遮断または光散乱物質が含まれてもよい。
【0126】
本発明の一実施形態において、発光ダイオードフィルム10の明暗比(Contrast ratio)改善のために、前記電極層110が形成された前記基板100の他面の下部に直接的に明暗比改善層190が位置してもよい。前記明暗比改善層190は、カーボンブラックなどの吸光材を含む黒色樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して形成されてもよいし、シート、プレート、フィルムなどの形態で存在してもよい。前記吸光材としては、カーボンブラック、低次酸化チタンや酸窒化チタンなどのチタンブラック、酸化鉄などの金属酸化物、その他の有機顔料混色系などが使用できる。
【0127】
前記明暗比改善層190は、ブラックまたは有色の色を呈することにより、不透明または半透明の光学性質を有する。また、前記明暗比改善層190は、透過率に応じたパターンを有することにより、光学的特性が改善された発光ダイオードを提供することができる。一例として、前記黒色樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して黒色被膜を形成し、フォトリソグラフィ法を利用して前記明暗比改善層190の微細パターン化を提供することができる。
【0128】
図4に示されるように、本発明の一実施形態において、前記基板100の最下部に施工用保護フィルム180を含むことにより、工程中に製品の損傷を防止することができ、前記施工用保護フィルム180は製造工程後は除去される。
【0129】
本発明による発光ダイオードフィルム10は、耐光性試験後の黄色度(b*)は、Δ5以下である。発光ダイオードフィルム10の黄色度がΔ5超過であれば、フィルム全体の透明性が低下するので、耐光性試験後の黄色度(b*)はΔ5以下を満足しなければならない。したがって、前記発光ダイオードフィルム10は、透明度および可視光線透過率が高く、所望のニュートラルな色と優れた耐光性を同時に達成することができる。
【実施例0130】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成および作用をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明の理解のためのものであり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されない。
【0131】
発光ダイオードフィルムの製造
188μmのPETにNi-Cuの積層構造で形成されたメッシュ型透明電極基板上の端子部分にはんだペースト(solder paste)をプリント後、チップマウンティング装置を用いてLEDを実装し、ピーク温度が180℃となるようにリフローを経て、フィルム型LED基板を準備した。
【0132】
その後、下記の実施例および比較例で製造されたモールディング液を予め準備したフィルム型LED基板上に塗布し、比較例7を除き、前記塗布されたモールディング層に下記の方法により製造された可変粘着フィルムの可変粘着層がモールディング層を対向するように接触および付着させた後、UV照射によりモールディング層を硬化させることにより、発光ダイオードフィルムを得た。
【0133】
<可変粘着フィルムの製造>
末端にヒドロキシ基含有ウレタンプレポリマー(重量平均分子量80,000)100重量部に、多官能ヘキサメチレンジイソシアネート架橋剤6重量部を配合し、触媒ジブチルチンジラウリレート(DBTDL)0.01重量部、HBL7のポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシド(20/80)ポリジメチルシロキサン0.3重量部、3-メタアクロイルプロピルトリメトキシシラン2重量部を追加して、固形分が50重量%となるようにメチルエチルケトン(MEK)で希釈し、混合および脱泡して、可変粘着剤組成物を製造した。前記製造された可変粘着剤組成物をPET基材フィルム上に塗布し、120℃のオーブンで3分間乾燥して、粘着層の厚さが100μmとなるようにコーティングした。
【0134】
<モールディング液の製造>
実施例1:ウレタンアクリルオリゴマーSC2404(Miwon)30gr、イソボルニルアクリレート20gr、エチルヘキシルアクリレート40gr、トリメチロールプロパントリアクリレート10gr、イルガキュア651 1grを均質化させてモールディング液を製造した。
製造されたモールディング液を用いて、前述した方法により発光ダイオードフィルムを得た。本実施例では、モールディング層140の厚さAははんだの厚さBとLEDの厚さCとの合計高さの1.5倍の発光ダイオードフィルムを得た。
【0135】
実施例2:ポリイソブチレンBASF OPPANOL B15N 20gr、イソボルニルアクリレート50gr、エチルヘキシルアクリレート15gr、Tricyclodecane dimethanol diacrylate 15gr、イルガキュア651 1grを均質化させてモールディング液を製造したことを除き、実施例1の方法により発光ダイオードフィルムを得た。
【0136】
実施例3:バスケットミルを用いて、実施例1のモールディング液に1μmの平均粒径を有するジルコニア(ZrO2)3grを分散させて散乱剤が含まれるようにすることを除き、実施例1の方法により発光ダイオードフィルムを得た。
【0137】
実施例4:バスケットミルを用いて、実施例1のモールディング液に25nmの平均粒径を有するカーボンブラック0.5grを分散させて透過率調整可能な粒子が含まれるようにすることを除き、実施例1の方法により発光ダイオードフィルムを得た。
【0138】
比較例1:モールディング層の厚さAがはんだの厚さBとLEDの厚さCとの合計高さの0.8倍となるようにすることを除き、実施例1の方法により発光ダイオードフィルムを得た。
【0139】
比較例2:モールディング層の厚さAがはんだの厚さBとLEDの厚さCとの合計高さの5.2倍となるようにすることを除き、実施例1の方法により発光ダイオードフィルムを得た。
【0140】
比較例3:ウレタンアクリルオリゴマーSC2404(Miwon)10gr、イソボルニルアクリレート10gr、エチルヘキシルアクリレート75gr、トリメチロールプロパントリアクリレート5gr、イルガキュア651 1grを均質化させてモールディング液を製造した。製造されたモールディング液を用いて、前述した方法により発光ダイオードフィルムを得た。本例では、モールディング層の厚さAははんだの厚さBとLEDの厚さCとの合計高さの0.8倍の発光ダイオードフィルムを得た。
【0141】
比較例4:モールディング層の厚さAははんだの厚さBとLEDの厚さCとの合計高さの5.2倍であることを除き、比較例3の方法により発光ダイオードフィルムを得た。
【0142】
比較例5:アクリルウレタンオリゴマーSC2404(Miwon)40gr、イソボルニルアクリレート30gr、エチルヘキシルアクリレート10gr、トリメチロールプロパントリアクリレート20gr、イルガキュア651 1grを均質化させてモールディング液を製造した。製造されたモールディング液を用いて、前述した方法により発光ダイオードフィルムを得た。本例では、モールディング層の厚さAははんだの厚さBとLEDの厚さCとの合計高さの0.8倍の発光ダイオードフィルムを得た。
【0143】
比較例6:モールディング層の厚さAははんだの厚さBとLEDの厚さCとの合計高さの5.2倍であることを除き、比較例5の方法により発光ダイオードフィルムを得た。
【0144】
比較例7:実施例1のモールディング液を用いかつ、可変粘着フィルムの代わりにPET素材の離型フィルムをモールディング層上に付着することを除けば、実施例1の方法により発光ダイオードフィルムを得た。
【0145】
実験例:発光ダイオードフィルムの性能評価
下記の方法により前記実施例および比較例で製造された透明LEDフィルムパネルの性能を評価した。
【0146】
1.モールディング層の収縮率の測定
実施例および比較例のモールディング液の塗布後、UV硬化前のモールディング液(液状)と、UV硬化後のモールディング層(固状)の密度を測定して、下記の式に代入して収縮率を計算した。
モールディング液の収縮率=(1/硬化後の密度-1/硬化前の密度)/(1/硬化前の密度)*100
【0147】
2.引張強度(ヤング率および延伸率)
実施例および比較例で準備したモールディング液を塗布し、硬化させて、1.3mmの厚さのモールディング層を得て、モールディング層サンプルを長さ60mm、幅15mmとなるようにカットした。カットされた試験片をUTM(universal testing machine)の上部と下部ジグに距離が25mmとなるように固定した後、100mm/minの速度で試験片を引張しながら、試験片が切断されるまでの変形率(strain)に応じた応力(stress)を測定してヤング率値を計算した。
【0148】
-ヤング率(Young’s modulus(E’)):変形率0.3%~1%の区間における応力(stress)/変形率(strain)の比の値
【数6】
【0149】
3.全光線透過率およびヘイズ値の測定
前記実施例および比較例で製造されたモールディング層をJIS K 7105規格で380~760nmの範囲の全光線光透過率を測定し、NDH-7000(Nippon Denshoku社)を用いてヘイズを測定した。
【0150】
4.プッシュテスト
実施例1~4および比較例1~6で準備した発光ダイオードフィルムの可変粘着フィルムをガラスまたはSUSプレートに付着させて、透明基板が上層に位置するように準備した。比較例7の場合、分岐した発光ダイオードフィルムのモールディング層をガラスまたはSUSプレートに付着させて、透明基板が上層に位置するように準備した。この時、発光ダイオードフィルムを駆動させてLEDを発光した後、LEDの地点に直径5mmのプルーブを用いてプッシュプルゲージ(Push Pull Gage)で圧力を加えて、LEDの落ちる力を測定した。良品判定基準は3Kgfに設定した。
【0151】
5.付着施工性
実施例および比較例で製造された発光ダイオードフィルムを430×600mmのサイズで準備し、羊毛ヘラを用いて、気泡の発生なく、発光ダイオードフィルムのモールディング層または可変粘着フィルムをガラス素材の被付着面に付着させた。実施例および比較例それぞれの付着施工性は下記の基準で判断した。
【0152】
良好O:
トラップされた気泡発生なし、付着後のサイド広がり現象なし
-付着後の位置再説明のための再剥離および再付着過程で優れた性能を示す
不良X:
-気泡生成およびトラップ現象確認
-付着後の位置を再説明するための再剥離および再付着性が劣悪
【0153】
【0154】
前記表1に記載されているように、実施例1~4は、すべて良好な付着施工性および耐久性を示した。
【0155】
これに対し、比較例1~6は、前記式1(1*(B+C)≦A≦5*(B+C)、(ここで、Aは、前記基板から測定されたモールディング層の高さであり、Bは、はんだの厚さであり、Cは、発光ダイオードの厚さである))を満足しなかった。
【0156】
それによって、比較例1の場合、可変粘着フィルムをラミネーションする過程で気泡がトラップされることにより浮き上がりが発生し、LEDチップが位置した部位に対応するモールディング層および可変粘着フィルムの厚さ均一性および平坦度が良くなかった。これによって、付着施工性が良好でなく、発光ダイオードの耐久性を引き起こした。比較例2の場合、モールディング層が式1(1*(B+C)≦A≦5*(B+C)、(ここで、Aは、前記基板から測定されたモールディング層の高さであり、Bは、はんだの厚さであり、Cは、発光ダイオードの厚さである))を満足しないことにより、プッシュテストで2.5の低い力でも配線クラックが発生し、モールディング層のねじれが発生して浮き上がり現象による付着施工性が良くなかった。また、プッシュテストの結果値が3Kgf以下で耐久性が十分でないことを確認した。
【0157】
比較例3および4の場合、付着施工性が良好でなく、モールディング層のヤング率が0.05より低い0.03と測定された。特に、比較例4の場合、プッシュテストの結果値が1.1Kfと非常に低い値で測定されて、外部から加えられる衝撃、押圧、折れ曲がり変形の力によって配線、はんだクラック、LEDなどが損傷し、耐久性が良好でなかった。
【0158】
比較例5および6の場合、モールディング層の収縮率が15%と高く、ヤング率が120MPaと測定されて、可撓性、伸縮性および粘着特性が低下することを確認した。比較例5および6のように高いヤング率を有する場合、モールディング層の収縮率が10~13%超過となり、この場合、発光ダイオードフィルムの被粘着表面に付着時にややカールが形成されても、浮き上がりが発生して付着施工性が低下する。
【0159】
可変粘着フィルムを含まない比較例7の場合、再付着粘着力と、それによる付着施工性が良くなかった。